地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
月水金火木土
2026/7/10公開
「契約結婚」を職業とするヒロインの三角関係

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ラブコメの女王と言われて久しいパク・ミニョンのファンなら間違いなく沼るドラマが『月水金火木土』。
彼女が演じる主人公サンウンは、政略結婚向けの「財閥嫁仕様」にするため、芸術・語学からあらゆる場面でのマナーまで、これでもか、というほど徹底的に仕込まれて育った。
ところが、本番のお見合いの席で相手を殴ってちゃぶ台返しをし、育ての親を怒らせて家を出ることになる。そして自立のために選んだのが、彼女が仕込まれた嫁仕様のスキルを駆使して「結婚に苦しむ男を助ける」ヘルパーとしてのお仕事だった。
お食事からデート、親への挨拶、結婚式、婚姻届けと、顧客の要望に合わせて対応する。その姿もインテリだったり可愛いお嫁さんだったりと変幻自在。これぞパク・ミニョンと唸らされる演技のうまさが堪能できる。
何度も映し出される多様な相手との結婚式のシーンはブライダル雑誌「ゼクシィ」の巻頭ページかと思うほど。
で、そこに登場するのが二人のイケメン。

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月水金の夜の食事だけの契約をしたのは、離婚歴のあるジホ(コ・ギョンピョ)。この手の朴訥(ぼくとつ)な役柄は昔からはまり役だった。彼はコミュニケーションに問題があり、極端な無口で、二人はただ黙々と一緒にご飯を食べるだけ。しかも職業は裁判官という超堅物。
火木土のお相手は、財閥一族の末息子で韓流スターのヘジン。演じたキム・ジェヨンは、ドラマ『100日の朗君様』で暗殺者を魅力的に演じた個性派俳優だ。そして「月水金……」では、もう一つの顔も見せてくれる。

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で、このドラマではヘジンの初恋の相手がサンウンだったというおまけ付き。
両極端な男性の間を日ごとに行き来する契約「妻」生活が繰り広げられるのだが、何があっても日曜日は自分のためにお休みというルールが徹底されている。
それにしても、お世話もせず、飯食って付き合ってあげるだけでお金がもらえるって、マジ最高な設定だ。期間限定で、いつでもキャンセルができて、こんなに手のかからない男だったらどんなに楽かと思うほど。
サンウンのルームメイトは、以前のクライアントでゲイのクァンナム(カン・ヒョンソク)。彼は両親を安心させるためサンウンと偽装結婚して1年後に離婚したが、その後、ルームメイトとして生活を共にすることになった。
このドラマには、女性を「商品」としてやりとりする家同士の結婚から逃れるために自立した結果が、同じように自身の商品化となるアイロニーがあるが、大事なのはそこに自分の意思があるか否かなのだ。
韓ドララブコメの王道のごとく、最後は「本当の愛」を見つけてめでたしめでたしなのだが、このドラマの見どころはそこではない。
「つがい」になることを求める社会制度の矛盾と、女性パートナーがいなければ成り立たない「男」社会の脆弱さが透けて見えるのだ。女によって支えられている男たちの滑稽さに溢れているとでも言おうか。
その意味でも、女の商品化から解放される場がゲイの友人との同居生活だったというのは、なかなか示唆的だ。
実は、韓ドラの世界では、「契約婚」系ストーリーはもう旬が過ぎたと言えるだろう。契約結婚から愛が芽生えて……というパターンは、漫画、アニメを含め、ゲップが出るほど市場を席巻してきた。
代表作はチャン・ヒョクの『運命のように君を愛してる』(2014年)かな。
お互いの利益のために夫婦を演じてはいるが、大したことのない女と侮っていた財閥や貴族の男が、女性の能力や魅力に惹かれて夢中になる、というパターン。
しかし、同じ契約婚モノでも、この『月水金火木土』が面白いのは、既存の社会制度の中では独りで生きていけない男たちが山のように沸き出てくるところだ。
そして、その姿の後ろにあるのは「男は結婚して一人前」という、バカげた信仰だ。
本当の愛を探して、とドラマの解説にはあるが、「男の役に立つ女」をやめて、最後は女の人生の応援団になる男を選んだのだ、と思って見てみると、違うドラマに見えるんじゃないかな。

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今回ご紹介した作品
月水金火木土
- 配信
- U-NEXTにて独占配信中
情報は2026年7月時点のものです。














