2022/11/02公開

犯人が視える霊媒探偵と推理小説家のタッグが事件を解決

本文中に、第1・2話のネタバレを含みます。

　人気のミステリー小説をドラマ化した「霊媒探偵・城塚翡翠」。普通のミステリーと違うのは、まず殺人の犯人が霊視によってだいたい判明してから、その証拠を推理していく、という流れです。

　霊能力を持つ城塚翡翠（清原果耶）は、霊視によって殺人事件の犯人が見えたりするのですが、それだけだと状況証拠にはならないので、推理作家の香月史郎（瀬戸康史）とタッグを組み、香月の推理力で証拠を見つけ出す、というストーリー。

　香月が霊媒の城塚翡翠と知り合ったのは、大学の後輩の結花ゆいか（田辺桃子）からの相談がきっかけでした。金縛り状態で、部屋のすみで女性が泣いている、という現象に悩んだゆいかは、香月に同行してもらい、翡翠のもとを訪れます。

　翡翠が住んでいるのは高層マンションの超ゴージャスな部屋。アシスタントの千和崎真（小芝風花）がアテンドし、アンティーク調のクラシカルなソファーで待機する2人。もし現実の霊能者で若くしてこんな破格の暮らしぶりの人がいたら、ちょっと怪しいと疑ってしまいますが……。千和崎真によると、「先生は働かなくても生きていけるくらいのお嬢様なんですよ」とのこと。相談料ももらっていないとのことで、莫大な遺産でも相続したのでしょうか。自分には死がつきまとっているとか、自分と関わる人は不幸になる、といった発言もそのあとのストーリーで出てきたので、何人ぶんの遺産なのかと恐ろしくなってきます。

　赤いカーテンに覆われたカウンセリングルームに入ると、そこにお嬢様系霊媒、翡翠がたたずんでいました。清原果耶が華奢で浮世離れした女性になりきっています。ゆいかの職業が、会社の受付だと当てたあと、「あなたがどれだけ外から影響を受けているか調べます」と、体に触れずに手をかざすような仕草をしながら、ゆっくりと周囲を歩く翡翠。触れられていないのに、肩を触られたと怯えるゆいか。メンタリストがたまに見せるテクニックですが、これを見て海外ドラマ『メンタリスト』を思い出しました。人の深層心理を読んで、犯罪捜査に協力する敏腕メンタリストの物語ですが、今回のドラマは翡翠と香月、2人でメンタリストのような役割をしていくのでしょうか。

　当初は霊能力に疑念を抱いていた香月でしたが、ゆいかとのカウンセリングを見て、徐々に信用するように。翡翠が、ゆいかについて「嫌な予感がする」と言っていた悪い予感が現実になり、ゆいかは、しばらくして部屋で遺体で発見。彼女に対して執着心を抱いていた男や、空き巣も容疑者として名前が上がりましたが、翡翠の霊視によって、犯人は女性説が浮上。女友だちが犯人かもれないということで、香月が改めて推理。遺体の傍らに散らばっていた割れたグラスの破片の中に、女友達のメガネの破片も混ざっていることが判明し、事件は解決の方向へ……。

　第2話では、大御所推理作家・黒越の別荘に招かれ、心霊現象を調べるという任務をおおせつかった2人。別荘には推理作家の弟子も何人か集まっていて、不気味な館に複数人で滞在……ということで既にフラグが立っています。予想通り翌朝、黒越が遺体で見つかります。ドラマだからかもしれませんが、特に誰も悲しんだりしていなくて、実は人望がなかったのでしょうか。翡翠が見た夢をもとに香月が推理し、弟子の男性が犯人という結論に導かれました。自分のアイディアを先生にパクられたことで激昂したそうです。1話完結で、わりとサクサク展開していきますが、不気味な別荘の館や、翡翠のゴージャスマンションなどセットの世界観がアンティーク調に作り込まれていて、重厚な印象に。

　香月が冷静に推理するいっぽうで、翡翠は逆に恋愛のテクニックを仕掛けているようにも見えます。友だちがいなくて、自分の殻にこもっている、という設定ですが、もしかして香月を狙っているのかもしれない、と思える節が。日常での自然体を見せて、霊媒キャラとのギャップで心を掴むシーンもありました。降霊で人格が豹変し、錯乱状態になるのもかなりのギャップ感です。推理作家くらいになると、このくらい激しいキャラでないと心惹かれないかもしれません。死が近付いている、と怯える表情を見せて、男性の庇護欲を刺激。

　また、第2話で心霊現象を2人で検証しているとき、リビングで香月の肩にもたれて眠るシーンがありました。これは作為的なのかそれとも天然なのか……。気付いたら翡翠にSNSのアドレスを聞いていた香月。常に冷静な香月が、翡翠のあざといテクニックに落とされるのはいつなのか、推理作家と霊媒のバトルを見守りたいです。もしかしたら恋愛の先にまだ何かお互いの思惑があるのかもしれませんが……。