地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
未確認日記
2026/3/27公開
前田旺志郎とラランド・ニシダがW主演するオカルトコメディー

写真提供:テレビ朝日
テレビ朝日の挑戦的新ドラマ枠「ドラドラ大作戦」。1月に放映されたのは、前田旺志郎&ラランド・ニシダがW主演する『未確認日記』です。ヒロインは坂巻有紗。俳優陣がテンション低めで自然体なのが不思議と心地よいドラマです。
ドラマは、和風建築の邸宅で余命いくばくもない父親の元に駆けつけた栄太(前田旺志郎)の対面シーンから始まります。父親は極道の組長。絶縁状態だった栄太にとっては20年ぶりの対面で、布団に寝ている父親から意外な思いを聞かされます。「最期に会いたい人がいる」と。それは「2メートル近い大男」で「力が桁外れ」「服を着ていなかった」「目が澄んでいる」「怪力」「毛深い」という、人間離れした存在でした。途方に暮れた栄太ですが、検索してみると未確認生物(UMA)「ビッグフット」というワードが表示。さらにネットの動画を見ていくと、UMAのサイトにたどりつき、ネッシーやチュパカブラ、そしてビックフットの動画が出てきました。UMA好きにとっては超メジャーな未確認生物です。「樹海にビックフット!?」という動画もあり、自然の中でひっそり生息していそうですが、栄太が家の外に出ると、ビックフットらしき、もふもふした巨体の生き物と遭遇。そのビックフットは、自販機の下の小銭を拾っていました。海外では森の守護者とも言われる神秘的な生き物が、小銭を拾うというセコい行為をしていたとは。このドラマは、伝説のUMAと意外な言動のギャップ感を楽しむ趣向も感じられます。
UMAを発見したのにそこまで驚いていない栄太。「あれですよね、ビックフット」と語りかける栄太に対し、ビックフットは「黙っててもらえますか」「飲み物なんでもおごるので」と、若い男性の声で答えます。ラランド・ニシダが、現代版ビックフットを絶妙に演じています。ビックフットはけむくじゃらの体の一部とシルエットはかいま見えますが、全体像は明らかにされず、ミステリアスさを保っています。栄太が父の最期の願いについて話すと、「ケーキとか買っていきましょうか」と前向きに協力してくれそうでした。「ビックフット自分だけなんで」「この世で一体だけなんですか?」「一人ね。一体じゃなくて」と、数える単位を言い直す場面も。後半、坂巻有紗演じる栄太の同僚、ヤマダが「一頭だけなんですか」と言うと「その一頭って言うのやめてもらえます?」と軽く抗議する場面もありました。UMAは動物として扱いがちですが、未確認生物を格下と決めつける人間の傲慢さに気付かされます。
写真に撮られるのを嫌がり、人目を気にするビックフット。「世間にバレたら規約違反になっちゃうんで。UMA協定っていうのがあるんですよね」と話します。それでも、もうすぐ死にそうな父親のため、シルエットの撮影だけは許可してくれて優しいです。その写真を持って父親のところへ行き、確認してもらうと「会いたかった人物」で間違いない、とのこと。しかし実際会う段になると、他の人に見られそうになったからか、ビックフットはどこかへ逃げていってしまいます。そしてなぜか父親も姿を消していて……。和室には大きな足跡が残されていて、もしやビックフットに誘拐? と謎を残したまま第2話へ。
全体的にユルいトーンで、オカルトコメディでありながら、謎は別に解いても解かなくてもいいミステリー要素もあります。第2話は、栄太の父親の誘拐の疑いをかけられ、ビックフットが怒っているシーンから始まりました。「どうしても会いたいって言ったから仕方なく行ったんですよ」と文句を言うビックフット。そう言いながら、栄太の父の行方のヒントがあるかもしれないと、パソコンを立ち上げ、UMA仲間とオンライン会議。ネッシーやツチノコ、チュパカブラといった伝説のUMAたちとリモートでつながってトークするのですが、どこか哀愁が漂う内容でした。
「自分のこと知らない人が結構増えてます」とぼやくネッシー。ビックフットも「今、UMA特集とかやってないですよね、地上波で。予算の問題らしいですよ」「露出ないと露骨に知名度落ちてきちゃいますよね」と、世の風潮に敏感です。ツチノコは「キューキュー」とだけ話し、字幕が表示。チュパカブラの「相変わらず人間に見つかったら食ってるんですか」という物騒な発言もありましたが……。UMA同士の人気や知名度についてのトークが妙に実感がこもっていたのは、それぞれ芸人さんが声を担当していたからでしょうか。
結局父親は元気な姿で発見され、ビックフットが実在していたのか、それともフェイクだったのか、真相はわからないまま……。オカルト系なのに恐怖を煽るような演出もなく、登場人物が終始淡々としていて、UMAには人情味が感じられ、平和な気分に浸れるドラマでした。昭和のオカルトのエモさが抽出されていて、不思議な余韻が残ります。
今回ご紹介した作品
未確認日記
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情報は2026年3月時点のものです。














