辛酸なめ子さんのドラマ批評 - ヤンキー激戦区の四天王がアイドルグループに転生したら?

地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。

※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。

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ヤンキー激戦区の四天王がアイドルグループに転生したら?

2026/7/6公開

昭和のヤンキーが現代に転生してアイドルに!?

画像:ヤンキー激戦区の四天王がアイドルグループに転生したら?

©NTV

 このところヤンキーがブームになっているのでしょうか。Netflixの恋愛リアリティ番組「ラヴ上等」が大ヒットして、ヤンキー文化の体験型展示「大ヤンキー展」も大宮、北千住と巡回するほど大人気でした。令和になって、コンプライアンスやハラスメント意識が高まり、SNSの炎上の懸念もあって、自由にワイルドに生きてきたヤンキーへの憧れが高まっているのかもしれません。

 そんな中、6月にスタートしたのが「ヤンキー激戦区の四天王がアイドルグループに転生したら?」(日本テレビ系)です。物語の舞台は、ヤンキー激戦区として名を馳せた「聖零伍(ステレゴ)地区」から始まります。何時代かわかりませんが、その地区では「恋爆四姫」と呼ばれる4人の伝説のスケバンがその名を轟かせていました。彼女たちの対決シーンに、昭和の名ドラマ『スケバン刑事』を思わせるグループが出てきてかなり懐かしかったです。セーラー服のスケバンたちが、ヨーヨーを手に挑発していました。スケバン同士で「スケバンジャンケン」などで戦っていたら、「恋爆四姫」は倉庫のようなところに閉じ込められてしまいます。意識が遠のき、気がついたら4人は令和の世の中にアイドルとして転生していたのです。「転生もの」として斬新な展開です。4人は三流アイドルグループ「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」として転生。

 しかしそれまでサラシに特攻服だった4人は、180度違う衣装に困惑。「何っ!? このひらひら」「なんでこんなの着てんだよ」「クソボケ! どうなってんだよ?」と、アイドル衣装で毒づく青山りゅな、虎白みお、朱鳥ここな、玄野ねねの4人。ちなみに彼女たちは「≠ME(ノットイコールミー、通称ノイミー)」という指原莉乃プロデュースのアイドルグループのメンバーです。ライバルのアイドルグループもノイミーのメンバーだそうで、ファンにとっては必見のドラマです。ドラマ内の曲もリリースされ、現実のアイドル界も活気付きそうです。

 4人が転生したのは、アイドルイベントの楽屋でこれから出番というときでした。ということは、スタンバイしていたアイドルと魂が入れ替わったのでしょうか。急にステージに出ても何もパフォーマンスできず、客からの「やる気ないなら帰れよブス!」というディスりにキレて飛び蹴りをかまし、ステージはカオスに。塚地武雅演じる、弱小芸能事務所のマネージャー、豆田潤が、この騒動で出番がなくなったアイドルが所属する大手芸能事務所「G-ZONE」に平謝りします。しかし元ヤンキーの4人は謝罪する気も皆無。G-ZONE所属のアイドルグループ「Gleam Story」に対しても「おめえ何ガン飛ばしてんだよ!」と威嚇しますが「ガンって何?」と言われてしまいます。粗暴な言動が目立ち、炎上して話題になった「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」に目をつけたG-ZONEのやり手社長。「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」と「Gleam Story」が、一対一でパフォーマンスして視聴者投票で決着をつける、という企画が立ち上がります。「Gleam Story」が勝利する想定で……。

 このバトルに乗るべきか、アイドルとして活動すべきか迷った4人は、「スケバンジャンケン」で決めることに。何かで迷ったとき、スケバンは「スケバンジャンケン」に委ねるとのことで、「大ヤンキー展」にも出てこなかった手法です。グーが正拳突き、パーが手刀、チョキが目潰し、という攻撃的なジャンケンですが、メンバー同士でやった結果、「この喧嘩は買う」と決まりました。

 スケバン時代「殺して♩ 殺して」と歌っていたのを「恋して♩ 恋して」と歌詞をアレンジ。アイドル風の名曲が生まれます。歌詞の中に「なりたい明日は自分でつかめ」と妙にポジティブなフレーズが。このドラマの裏テーマなのかもしれません。

「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」のパフォーマンスは「Gleam Story」よりもインパクトがあり、放送されたら勝算があったのですが、大手芸能事務所G-ZONEに番組ごとつぶされてしまいます。そんなある日、マネージャーの豆田は何人ものアイドルを『てっぺん』へ連れていったプロデューサーと会い、「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」のプロデュースを頼みます。しかしそのプロデューサー、乾の作った動画は、4人の態度の悪さを誇張したり、わざと怒らせたり、むしろ反感を買わせるような演出でした。

「芸能界は世間の感情を動かした方が勝つ」「一番の終わりは無関心だ」と、炎上を煽る乾のやり方に疑問を抱いたメンバー。後をつけたらなんと彼はG-ZONEの手先で、「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」をつぶすために画策していたことが判明。義憤に駆られた「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」はG-ZONEの社長に決闘状を叩きつけ、また新たなアイドル戦国時代が始まる……というのが2話までの展開です。

 かつては元ヤンのアイドルが芸能界で実際に輝いていた時代もありました。ヤンキー出身の女子は、早熟で大人びた魅力があり、負けず嫌いで闘志やガッツがある、という長所があり、芸能界で成功しやすい傾向が。しかし人気を得てからの言動には要注意です。タピオカ店騒動じゃないですが、人気を得たあと、非常識で傍若無人な振る舞いをすると、世間から厳しい批判に晒され、引退にまで追い込まれてしまいます。人気と実力を得た「きゅん爆♡FOUR PRINCESS」のその後はどうなるのでしょう。ヤンキー出身アイドルのその後の身の振り方も描いていて欲しいです。また、ヤンキーキャラに感情移入しすぎたノイミーのメンバーが、役が抜けなくてキャラ変してしまう危険性も……。逆転生にならないことを祈ります。

今回ご紹介した作品

ヤンキー激戦区の四天王がアイドルグループに転生したら?

放送
日本テレビ系にて毎週水曜24時59分~放送中
配信
huluにて配信中

情報は2026年7月時点のものです。

筆者一覧(五十音順)

相田冬二

映画批評家

池田敏

海外ドラマ評論家

伊藤ハルカ

海外ドラマコラムニスト

今祥枝

映画・海外TV批評家

影山貴彦

同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト

小西未来

映画・海外ドラマライター

辛酸なめ子

漫画家・コラムニスト

辛淑玉

人材コンサルタント

田幸和歌子

フリーライター

寺脇研

映画評論家・元文部官僚

成馬零一

ライター・ドラマ評論家

ペリー荻野

コラムニスト

松本侑子

作家・翻訳家

村上淳子

海外ドラマ評論家

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