2024/4/4配信

美人社長とイケメン悪魔の恋を描くファンタジー・ラブコメ

Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

　これまで数多くの映画やドラマに登場した『悪魔』。そんな悪魔との禁断の恋といえば映画『ジョー・ブラックをよろしく』（98）が印象深い。まだまだ美男として君臨していた30代のブラッド・ピット（ブラピ）が魅力的でした。

　それから25年。ブラピを超える美しき悪魔を誕生させたのが財閥の後継者争いに巻き込まれる美人社長と、能力を失った悪魔の恋を描いた『マイ・デーモン』です。

　デーモンを演じるのはこれまでホラーからロマンスまで人気作で主演を張ってきたソン・ガン。イケメンがしのぎを削る韓国エンタメ界においても身長186センチ、端正な小顔は群を抜いていますが、本作ではさらに悪魔を演じるため減量したそうで、よりシャープな美男顔で不敵な笑みからとぼけた表情まで変幻自在。その演技力、存在感がますます抜きん出たものに。4月2日陸軍に入隊ゆえ、本作はソン・ガンの圧倒的な魅力を堪能する置き土産ともいえます。

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　相手役のキム・ユジョンは子役出身でキュートな美貌と演技力を兼ね備えた存在で、本作は最高のビジュアルカップルを生み出したと言われており、やたらふたりのアップが多いのですがどこを切り取っても眼福しきり。

　ソン・ガン扮するチョン・グウォンは、崖っぷちの人間の願いを叶えるのと引き換えに「10年後には死」の契約を相手に結ばせます。もともとは人間でしたが、命と引き換えに自分の欲望、願望を叶える人々を200年以上も見てきたグウォンは人間を見下しています。

　表向きは文化人を支援する財団理事長職を務めるグウォンは、レストランでト・ドヒ（キム・ユジョン）にお見合いの相手と間違えられます。ドヒは財閥ミレグループの食品会社のヤリ手社長で会長に目をかけられていますが、財閥一族からは疎まれ常に失脚を狙われている立場。

　ドヒが何者かに襲われたところで契約を持ちかけたグウォンはドヒを助けるのですが、なぜか突然、能力を喪失。しかし、彼女の手を握るとパワーが戻ることに気付き、ここでお約束の契約結婚へ

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　これまで韓国ドラマではあらゆる契約結婚のきっかけがありましたが、悪魔の能力移動というのはかなり異色かつ斬新！　ドヒにとってはグウォンがボディーガードになってくれることがメリットではじめは互いの利益のための結婚でしたが、しだいに惹かれていきます。実はふたりは前世で深い繋がりがあり、出会いは必然だったのですが──。

　韓国の制作発表会見では、本作をファンタジー・ラブコメと称していましたが、サスペンス度もかなり強力。オレ様なグウォンとプライドの高いドヒの勘違いによるコミカルな展開、大甘なロマンスシーンの反面、ドヒに迫る危機は手に汗握りっぱなし。その振り幅が予想以上に大きい。愛する人を守るためのふたりの決断が切なく胸に迫ります。

　罪と贖罪、家庭内暴力、精神疾患、身分差別などが含まれるサスペンスは見応えたっぷり。加えて、ホームレスが仮の姿の「神」に扮するヨム・ヘランの人間の愚かさに対する台詞が重みを加えます。

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　とはいえ、ファンタジーと銘打つだけあり、こだわりの映像が美しい。海辺や海中のシーンは幻想的で、グウォンの契約者の残り時間を示す時計が並べられている部屋もアート作品のよう。何度も繰り返されるキスも美しすぎるのですが、グウォンがベランダから落ちるドヒを助ける危険なシーンまで美しいのに脱帽です。

　眼福と笑いとロマンスとサスペンスを盛り込みながら、最終話ではグウォンとドヒだけでなく、主要キャラクターそれぞれの結末が丁寧に描かれていたのも良きでした。