地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
ミワさんなりすます
2023/11/16配信
最高のエンターテインメント!
「ミワさんなりすます」が、毎日楽しみで仕方がありません。厳密には月曜から木曜の週4日の放送です「ミワさんなりすます」が、毎日楽しみで仕方がありません。NHKは時に大胆な編成をしますね。視聴率的に圧倒的高さを誇る、「連続テレビ小説」すなわち朝ドラを抱えるNHKが、昨年2022年の4月からスタートさせたのが「夜ドラ」です。「ミワさん~」で15作品目となります。
この「夜ドラ」、正直当初は「この企画ってどうなんだろう?」と思っていました。というのも1話の放送が朝ドラと同じ15分というのは良しとして、気になるのは放送枠の点です。夜10時45分からの放送なのです。読者のみなさんのご推察どおり、民放各局の番組が、まさにエンディング、クライマックスを迎える時間、それが10時45分という時間です。
たとえば夜11時から放送するように編成し直しすることによって、随分「夜ドラ」は浸透すると思うのです。もちろんさまざまな事情があることは承知しているつもりですが。同じようなタイプで言えば、日本テレビ系の日曜日夜10時半のドラマ枠も同じようなことが言えるかなと思います。こちらの方も事情があることは十分承知しておりますが。いまやリアルタイム視聴の時代ではないとはいえ、やはり放送枠は大事だと思います。
さて、そんな「夜ドラ」作品の「ミワさん~」ですが、結構、いえ大いに健闘しているのです。15本目ということで視聴者にもこの枠のドラマが知られてきているということもあるでしょう。実際ここしばらく、「夜ドラ」に佳作が目立つようになりました。
「ミワさんなりすます」の原作は、青木U平さんの漫画で、「ビッグコミックオリジナル」で2021年から現在まで連載中です。ドラマの脚本は、「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)や、「私の家政夫ナギサさん」などで知られる、徳尾浩司さんです。間違いのない方ですね。
レンタルDVDショップでアルバイトをするフリーターで超映画マニアの久保田ミワ(松本穂香)は、こんなことある?という偶然の重なりに恵まれ、寝ても覚めても憧れて止まない世界的大物俳優・八海(やつみ)崇(堤真一さん)の豪邸で家政婦として働くことになります。そのあたりの偶然の詳細については是非ドラマを観ていただきたいところですが、本来働く予定だった新人家政婦・美羽(みわ)さくら(恒松祐里さん)が急なハプニングで働けなくなったこと、名前が「ミワ」と「美羽」だったいうことが幸い?したという訳です。
首尾よく憧れの俳優の豪邸で働けるようになったといっても、すぐバレそうなものですよね。ですが、そこはエンターテインメント、すべてが上手く回転するのです。映画オタクであることが功を奏し、八海をアシストしたこともあって、ミワさんは八海さんに特別扱いされ可愛がられるようになるのです。松本さんと堤さんの会話がもう絶妙で、それこそキュンキュンしながら見ている視聴者が多いことでしょう。
いつまでも嘘をつき通し、なりすましているわけにもいかないのですが、物語はミワさんと美羽さんの再会により新たな局面を迎えます。美羽さん自身の隠されていた秘密も明らかにされ、弱みを握られていることもあって、ミワさんは変わらず家政婦として働き続けかけますが、自身の罪の意識にこれ以上耐えられなくなったミワさんは、ついに八海さんにすべてを告白するのです。その結果どうなったのか? そこは控えておくことに致しましょう。
新たな人物の登場により、さらに物語は面白く展開し始めます。何より気になるのは、ミワさんと八海さんが迎える結末ですが、それは先ほども述べた通り原作の漫画連載がまだ続いていますので、ドラマオリジナルの結末が用意されるということになるでしょうか。
松本さん堤さん以外に、作品を支える俳優陣がとても充実していることで、ドラマに深みが出ています。そのあたりもあわせて味わってみてはいかがでしょう。
今回ご紹介した作品
ミワさんなりすます
- 放送
- NHK総合ほかで放送中
情報は2023年11月時点のものです。