地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
どんど晴れ
2026/1/5公開
朝ドラ再放送で触れる新鮮な感動
今年も当コラムを担当させて頂けることになりました。引き続きどうぞよろしくお願い致します。1月は多くの新ドラマがスタートする月です。皆さんご贔屓の作品、見つかりそうでしょうか? 私も現在、懸命に吟味を重ねているところです。
さて、今回取り上げるのは、2007年に放送されたNHKの朝ドラ「どんど晴れ」です。何故そんな昔の番組を?と思われた方がいらっしゃるかもしれませんね。実は今NHK BSで、月曜から土曜日の午前7時15分から再放送されているのです。すでにご存じの方も多いかもしれませんが、NHKは、新作の朝ドラの前の時間枠で、かつての朝ドラ作品を再放送する編成を行っています。BSの「どんど晴れ」に対して、地上波ではお昼12時半から「マッサン」(2014年~2015年)が、昨年12月22日から再放送され始めました。好評を博している朝ドラ「ばけばけ」の前枠で、地上波のお昼に「マッサン」、BSでは「どんど晴れ」が放送されているというわけです。
「ばけばけ」の放送開始当初は、画面の暗さや、スタッフ・出演者のテロップ表記の小ささが少々気になったりしましたが、ヒロインの髙石あかりさん、小泉八雲役を演じるトミー・バストウさんらの好演が光る魅力的な作品になっています。さりげない日常をユーモアに交えて描く、ふじきみつ彦さんの脚本がいいですね。ちなみにテロップ表記については、ほどなく見やすい大きさに改善されました。私も新聞の連載コラムに改善を求める旨を記していましたので、少しはお役に立ったかもしれません(笑)。
実は私、2023年12月19日に記した当コラムで「まんぷく」の再放送を取り上げています。「まんぷく」がスタートしたのが2018年で、再放送が2023年。時間経過はわずか5年ですが、よくぞこれだけ内容を忘れているな、と我ながら呆れました。前述のとおり「どんど晴れ」は2007年の作品ですので、もはや私にとって新作といってもいいかもしれません。改めてNHKのアーカイブ活用の上手さに感心します。民放も大いに参考にできる部分があるでしょう。
さて「どんど晴れ」ですが、舞台となるのは、岩手県と神奈川県横浜市。ヒロインが婚約者の実家である盛岡市の老舗旅館で女将修行をしながら成長していく姿を描いた現代ドラマです。主演を務めたのは、2000人以上の応募者の中からオーディションで選ばれた比嘉愛未さん。放送開始当時、比嘉さんは20歳の若さ。瑞々しい熱演が視聴者の心を掴みました。ちなみに「どんど晴れ」とは、岩手県遠野地方で使われる言葉で「めでたし、めでたし」という意味だそうです。今回の再放送に先んじて、2015年にもBSで一度再放送されていますので、今回2度目の再放送ということになります。視聴率ももちろん健闘していましたが、熱きファンが多数いる朝ドラということでしょう。
「どんど晴れ」は、およそ20年前の作品のため、現代とは異なる価値観に時に気づくのも興味深いところです。自らのパティシエになる夢をあきらめてでも、婚約者のため老舗旅館で女将修業を続けるヒロインの姿は尊いですが、もしかすると令和の今では少々違和感を抱く人がいるかもしれません。「ドラマは時代を映す鏡」だと改めて思います。今は亡き名優の大杉蓮さん、長門裕之さんらのとの再会や、天才子役時代の神木龍之介さんに出会えるのも再放送ならではの魅力でしょう。
私がこのドラマで最も魅力的に感じるのが、宮本信子さんの存在です。女将である彼女にとって、自分たちの立場をおびやかしかねないヒロインは、決して歓迎すべき存在ではないのですが、表層的な敵役としてだけでない感情の機微の表現が素晴らしいのです。宮本さんは「どんど晴れ」が朝ドラ初出演でしたが、この後、「あまちゃん」(2013)、さらには「ひよっこ」(2017)の名演を通し、朝ドラに欠かせない存在となっていきました。
今回ご紹介した作品
どんど晴れ
- 放送
- NHK BSにて毎週月~土曜の7時15分~放送中
- 配信
- NHKオンデマンドにて配信中
情報は2026年1月時点のものです。














