地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
税金で買った本
2026/10/05公開
ヤンキー高校生が図書館でアルバイトをすることに
読者の皆さんは、日ごろ図書館へ足を運ばれるでしょうか?
私は「活字の虫」といった、とりわけ本好きなタイプとは言えないのですが、図書館がとても好きです。お気に入りの図書館が3つほどありまして、足繫く通っています。仕事の上での調べものをすることが大半ですが、特に用事はなくても、気がつけば足が向いています。多くの本に囲まれた落ち着いた雰囲気、満足気な利用者の表情、そこに流れる空気を吸うために訪れるのです。町で偶然図書館を見かけると、迷いなく入ります。新聞を数紙流し読みして過ごすだけで、気持ちがリセットされるのが分かります。「森林浴」に似ているかもしれませんね。コロナ禍の数年間は、開館している図書館を探して静かな時間を過ごすのが私の至福の時でした。あの頃は、図書館に随分救われました。
現在NHK夜ドラで放送されているのが、「税金で買った本」です。ずいのさんの原作で、系山冏(けいやま・けい)さん作画の同タイトルの漫画を元にドラマ化されています。物語の舞台は図書館です。「税金で買った本」とは、すなわち図書館に置いてある本なのですね。実はずいのさん、図書館勤務の経験がおありとのこと。そのせいでしょう、エピソードのひとつひとつがとてもリアルなのです。
ケンカっ早くて、いささかやんちゃな高校生・石平紀一役を演じているのは、奥平大兼さんです。覚えていらっしゃるでしょうか? 現在「VIVANT2」(TBS系)にも出演中の松坂桃李さんが一風変わった高校教師役で主演していた「御上先生」で、正義感あふれる生徒・神崎拓斗役を印象深く演じていたのが、奥平さんです。神崎は頭の切れる優等生でしたので、もしかすると今回の石平とすぐには結びつかなかった方もいたかもしれませんね。ですが、どちらも性格の真っすぐな魅力的なキャラクターであることに違いはありません。お母さんのりょうこ(矢田亜希子さん)のことを、「くそばばぁ」呼ばわりするなど、少々口は悪いのですが、親子関係は決して悪くなく、女手ひとつで自分を育ててくれている母に感謝している風でもあり、どこか憎めないキャラクターなのです。
紀一には、灰坂坑太(新原泰佑さん)と山田栄介(下川恭平さん)という悪友がいて、彼らとその日その日の楽しみに興じていたのですが、同時にどこか満たされぬ思いも抱えていました。そんな時、たまたま10年ぶりに近所の図書館を訪れたことから、紀一の生活が「変化」し始めます。元々本が好きで、知的好奇心旺盛な彼は、アルバイトしていた飲食店をクビになったこともあって、その図書館でアルバイトすることになります。物語はそこから一気に「図書館ストーリー」へと展開していきます。一般図書係の早瀬丸小夜香(西野七瀬さん)や、資料係の白井里雪(青木マッチョさん)など、ユニークな職員のみなさんに囲まれながら、図書館の魅力にどっぷり浸かっていくのです。傷んだ本を修理するシーンや、本を紛失してしまった時の図書館のマニュアルなど、「なるほど、そうだったのか!」と図書館の裏側を知れる楽しみもあります。図書館が主催する「おはなし会」などのイベントに奮闘する職員さんの姿なども描かれ、改めて図書館のお仕事が多岐にわたっていることに気づかされもします。
ドラマのメインテーマは、紀一の「変化による成長」でしょう。そこで鍵となるのは、もちろん図書館での日々なのですが、実は、もうひとりキーマンがいます。紀一が幼い頃に本に触れる楽しさを教えてくれたのは、平山浩行さん演じる紀一のお父さんなのです。ある本を巡ってのお父さんと紀一、そしてりょうことの背景については、ドラマで徐々に明かされていくことでしょう。そのあたり、どうぞ皆さんの目でお確かめいただきたいところです。
今回ご紹介した作品
税金で買った本
- 放送
- NHK総合にて毎週月~木曜22時45分~放送中
- 配信
- NHKオンデマンドにて配信中
情報は2026年10月時点のものです。














