イラスト/辛酸なめ子
第2週
夏ドラマ特集でも書きましたけど、ジャニーズ事務所に問題はあっても所属タレントには頑張ってほしい。第2週は同事務所所属のタレントが複数登場です。
採点表
相田 | 影山 | 田幸 | |
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下剋上球児 (TBS) | |||
ONE DAY~聖夜のから騒ぎ (フジ) | |||
家政夫のミタゾノ (テレ朝) | |||
時をかけるな、恋人たち (カンテレ・フジ) | |||
いちばんすきな花 (フジ) | |||
うちの弁護士は手がかかる (フジ) | |||
ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~ (日テレ) |
- 絶対見るべき
- 時間があれば
- んー……
私のイチオシ
-
相田冬二相田冬二
いちばんすきな花
フジテレビ系 木 22:00~「多様性」という言葉がむしろ嘲笑のネタになるシビアな現実社会を見据えながら、コミュニケーションへの期待と絶望を共に抱えるアンバランスな4人のささやかな連帯を、適度な重さから紡ぐ。ドラマ作りは祈りだ。
-
影山貴彦影山貴彦
いちばんすきな花
フジテレビ系 木 22:00~多部未華子はじめ4人の主演の繊細な演技も光るが、何にも増して脚本の生方美久の筆力が素晴らしい。「男女間の友情」がテーマながら、そこに留まらぬ物語の深み。社会の既成概念へのアンチテーゼが心揺さぶる。
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田幸和歌子田幸和歌子
時をかけるな、恋人たち
カンテレ・フジテレビ 火 23:00~『サマータイムマシン・ブルース』の上田誠脚本×永山瑛太の約18年ぶり再タッグにワクワクしないわけがない。「未来丸出し」の永山瑛太と、ヨーロッパ企画ファンというやさぐれた吉岡里帆も好相性。セットも音楽も好物。
ひとこと批評
日
高校野球を通して現代社会の問題と愛を描く
下剋上球児
TBS系 21時
出演
鈴木亮平、黒木華、井川遥
-
相田
手垢のついた題材に向き合う粘り腰。エデュケーションとしての野球。アンチ熱血ドラマ。 -
影山
王道の日曜劇場的熱きテイストに、「金ドラ」的色合いを醸し出す予感。安定感は抜群。 -
田幸
映像・劇伴などの新井順子P×塚原あゆ子監督らしさと「日曜劇場」らしさの配合が絶妙。
月
全く関わりのない男女3人のたった1日の物語
ONE DAY~聖夜のから騒ぎ
フジテレビ系 21時
出演
二宮和也、中谷美紀、大沢たかお
-
相田
台詞、設定、芝居、演出。全てわざとらしく軽薄。笑えぬ茶番。異様なオールドスタイル。 -
影山
豪華ラインナップで気合いの入り具合も伝わるが些か散漫。継続して惹き付けられるか? -
田幸
気合は感じるが、豪華キャストを揃えすぎたことで散漫になり、内容が入って来ない。
火
痛快“覗き見”ヒューマンドラマシリーズ第6弾
家政夫のミタゾノ
テレビ朝日系 21時
出演
松岡昌宏、伊野尾慧、余貴美子
-
相田
連ドラにおける痛快とは? 正義とは? 考えたら頭を抱えた。テレ朝スタイルの終着駅。 -
影山
初ゴールデン進出ながら安定の面白さ。ただ初期の頃のワクワク感は薄い。 -
田幸
ゴールデンに来ても日和ることなく、もはや安定感のミタゾノワールド。良いマンネリ。
火
時空を超えたSFラブコメディ
時をかけるな、恋人たち
カンテレ・フジテレビ 23時
出演
吉岡里帆、永山瑛太
-
相田
新鮮味はないが、永山瑛太の孤軍奮闘で魅せる。ヒロイン像の弱さをカバーできるか。 -
影山
「時空の旅」も少し飽きてきた気もするが。企画でどこまで魅せるか。永山瑛太に期待。 -
田幸
原作つきでなく、丸ごとヨーロッパ企画らしさ全開のSFを地上波連ドラで観られるお得感。
木
年齢も性別も環境も違う男女4人の愛の物語
いちばんすきな花
フジテレビ系 22時
出演
多部未華子、松下洸平、今田美桜
-
相田
極めて現代的な潤いが感じられる野心作。平明な屈折を程よく包むアプローチが絶妙。 -
影山
男女間の友情、心の琴線を見事に描写。脚本の生方美久が上手い。独特の世界観が満開。 -
田幸
「二人組」「初対面」などのモヤモヤの言語化が巧み。坂元裕二風味だが、陶酔感が…。
金
元敏腕芸能マネージャーと天才弁護士の法廷ドラマ
うちの弁護士は手がかかる
フジテレビ系 21時
出演
ムロツヨシ、平手友梨奈、吉瀬美智子
-
相田
あまりに過保護なコンビもの。予定調和の嵐。キャラにも観点にも見どころがゼロ。 -
影山
ドラマの成否をムロツヨシの頑張りが担っている感じ。分かりやすい作りは悪くない。 -
田幸
「パワハラ」の基準の難しさや時効など、使える情報も。調整役を主役にしたのが良い。
土
税金滞納者に寄り添う徴税吏員の姿を描く
ゼイチョー~「払えない」にはワケがある
日本テレビ系 22時
出演
菊池風磨、山田杏奈
-
相田
旧態依然としたお仕事ドラマ、フォーマットの頑なさ。ハラスメント・レヴェル。 -
影山
「シッコウ!!」に類似した既視感のある作りに、見る意欲がやや低下してしまった。 -
田幸
いろいろ既視感。隙あらば増税の現代に「平等に税をとる」決め台詞が虚しく響く。
採点担当
相田冬二
影山貴彦
田幸和歌子
-
相田冬二
あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
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影山貴彦
かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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田幸和歌子
たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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