通販生活の一話だけ観て2023春ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

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NHKの朝ドラ、夜ドラの新シリーズがスタート。日テレの日曜夜枠には、あの人気芸人2人の半生を描いた異色作が登場します。

いよいよ始まりました「1話だけ観て採点」特集。こんな無謀な(?)企画を快くお引き受けいただいた3人の筆者には感謝しかありません。第1回は4作品のラインナップ。NHKの朝ドラ、夜ドラの評価、割れましたね~。(編集部)

採点表

相田 影山 田幸
らんまん (NHK) 0.5 2 3
おとなりに銀河 (NHK) 0 1.5 2.5
何かおかしい2 (テレ東) 1.5 1.5 1.5
だが、情熱はある (日テレ) 2.5 2.5 2
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    だが、情熱はある

    日テレ 日 22:30~

    過剰な自意識。勘違いのポジティヴィティ。芸人の出発を明るい自虐で紡ぐが、微に入り細に入りの筆致で普遍的な清々しさを呼び込む。髙橋海人の不敵なコンプレックス。森本慎太郎の打たれ強い純真。演技の交錯も秀逸。

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    だが、情熱はある

    日テレ 日 22:30~

    芸人はとても繊細な人間が多い。オードリー若林と南海キャンディーズ山里の半生を演じる髙橋海人(King & Prince)と森本慎太郎(SixTONES)が、細やかな感情を今後どこまで表現することができるか注目したい。

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    らんまん

    NHK 月-土 8:00~

    変人主人公なのに久しぶりの正統派朝ドラに安心感。子役3人が非常に上手く、初週で退場となる母・広末涼子とワンポイント登場の坂本龍馬、ディーン・フジオカが、物語の根幹を担う存在に。松坂慶子の存在感も見事。

ひとこと批評

月-土

天才植物学者・槙野万太郎の半生

らんまん

NHK 8時
出演

神木隆之介、浜辺美波、志尊淳

  • 相田

    0.5 時代的な不条理を牧歌的に描く鈍感力に唖然。
  • 影山

    2 主人公幼少期の1週目だったが熱演に引き込まれた。ライバルはBS再放送の「あまちゃん」?
  • 田幸

    3 『ゲゲゲの女房』『あさが来た』『まんぷく』等の空気も漂わせつつ、上々の初週に。

月-木

今季夜ドラはやさしい恋の物語

おとなりに銀河

NHK 22時45分
出演

佐野勇斗

  • 相田

    0 全てが主人公に都合よく進む醜悪さは拷問。
  • 影山

    1.5 注目度No.1八木莉可子の存在感が、今後どう開花していくか。2週目からに注目したい。
  • 田幸

    2.5 『舞いあがれ』で注目された八木莉可子の目力と透明感はファンタジーにも相性抜群。

些細な違和感がやがて恐怖に変わる

何かおかしい 2

テレビ東京系 24時30分
出演

浅利陽介、津田寛治、松尾諭

  • 相田

    1.5 新味はないが手練手管を駆使して快適に進行。
  • 影山

    1.5 出演者の一部変更で、パート1の恐さをどれくらい踏襲できるか。第1話は無難なスタート。
  • 田幸

    1.5 小さな違和感の正体がわかった瞬間の恐怖が肝だった前作。続編は「明確に」おかしい。

若林&山里、人気芸人2人の前日譚

だが、情熱はある

日本テレビ系 22時30分
出演

髙橋海人(King & Prince)、森本慎太郎(SixTONES)、薬師丸ひろ子

  • 相田

    2.5 丁寧に丁寧に屈折の息吹きを掬い取る誠実。
  • 影山

    2.5 魅力あふれる芸人の心のひだをどこまで描き切ることができるか。今後が楽しみ。
  • 田幸

    2 森本慎太郎と高橋海人は芸達者で脇も良く、面白そうな空気だが、水卜アナのナレが…。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
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  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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