通販生活の1話だけ観て2024秋ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

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今週は6本の新ドラマを紹介。「日曜劇場」(TBS)は、昭和の高度成長期と70年後の現代を描く物語。豪華なキャストにも注目です。

採点表

相田 影山 田幸
モンスター (カンテレ・フジ) 0.5 3 1.5
ザ・トラベルナース (テレ朝) 1.5 2 2
わたしの宝物 (フジ) 1.5 1 2.5
D&D ~医者と刑事の捜査線~ (テレ東) 2 0.5 1.5
海に眠るダイヤモンド (TBS) 1.5 2.5 3
マイダイアリー (ABCテレビ・テレ朝) 1 1.5 2.5
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    D&D ~医者と刑事の捜査線~

    テレビ東京系 金 21:00~

    医療×捜査もの。ベタにベタを重ねる定番ジャンル・コラボレーションだが、新しいことなど何もしないという開き直りが、潔い痛快を生み出した。キャスト陣が全員立派。

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    モンスター

    フジテレビ系 月 22:00~

    主演の趣里の演技が怖いほどの迫力で、一気に惹きつけられた。「僕シリーズ3部作」を手掛けた橋部敦子の、緻密かつヒリヒリする脚本が素晴らしい。ラストシーンに登場した古田新太の存在が、タイトルにも関連か。

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    海に眠るダイヤモンド

    TBS系 日 21:00~

    高度経済成長期と現代を結ぶ70年の社会と人間の営みが詰まった骨太ドラマ。1955年の世界はキャラクター造形もセットもカット割もアニメ映像のような壮大さ・高揚感がある。2つの時代で太陽と月を演じ分ける神木隆之介は宝。

ひとこと批評

常識にとらわれないモンスター弁護士のリーガルドラマ

モンスター

カンテレ・フジテレビ系 22時
出演

趣里、ジェシー(SixTONES)、古田新太

  • 相田

    0.5 意図的だとは思うが、ヒロインの類型があまりにハナにつく。
  • 影山

    3 朝ドラヒロインを経て、趣里の演技がさらに磨かれた感あり。物語の構築が見事!
  • 田幸

    1.5 破天荒天才弁護士キャラは既視感。法で裁けないモンスターは興味深いが、内容は普通。

中井貴一×岡田将生の最強の“くせ者”ナース・コンビ

ザ・トラベルナース

テレビ朝日系 21時
出演

岡田将生、中井貴一、山崎育三郎

  • 相田

    1.5 おにぎりのように楽しめばよいのだろうが、あまりに安定しすぎではある。
  • 影山

    2 絶好調・岡田将生とベテランの味・中井貴一のナースバティもの続編だけに安心感抜群。
  • 田幸

    2 中井貴一の細かい姑感ある芝居が魅力。岡田将生との呼吸の合ったやりとりも健在。

不倫相手の子を夫の子と偽り…、愛と裏切りが交錯する

わたしの宝物

フジテレビ系 22時
出演

松本若菜、田中圭、深澤辰哉

  • 相田

    1.5 松本若菜の純度は相変わらず高いが、すごろくゲームの逆流のよう。
  • 影山

    1 強引&拙速な展開だが、今後を見届けたい気持ちにはなる。田中圭が意外とハマり役。
  • 田幸

    2.5 モラハラ夫とカゴの鳥かと思いきや、幼馴染との再会・妊娠からの死、托卵という衝撃。

医者とベテラン刑事のバディが難事件を解き明かす

D&D ~医者と刑事の捜査線~

テレビ東京系 21時
出演

藤木直人、寺島進、早見あかり

  • 相田

    2 藤木直人と寺島進が役者同士互いをリスペクトしている。火花なんて要らない。
  • 影山

    0.5 俳優たちは健闘も、新味のないストーリー展開と、やや大仰な演出が気になった。
  • 田幸

    1.5 医師×刑事のバディもの。まとまりよく、安定感はある。登場人物の名がハロプロだらけ。

昭和と現代2つの時代が交差、70年にわたる愛と友情、家族の物語

海に眠るダイヤモンド

TBS系 21時
出演

神木隆之介、斎藤工、杉咲花

  • 相田

    1.5 大変な大作。ホスト神木隆之介には見惚れるが。大丈夫か? と心配になる。
  • 影山

    2.5 卓越の俳優陣、スタッフで「民放の大河」的上々滑り出し。来週選挙特番で休止は残念。
  • 田幸

    3 秋ドラマ本命の野木亜紀子脚本×塚原あゆ子D×新井順子Pチーム。役者も映像も死角なし。

大学時代をともに過ごした仲間との何気ない日常

マイダイアリー

ABCテレビ・テレビ朝日系 22時15分
出演

清原果耶、佐野勇斗、吉川愛

  • 相田

    1 新しいと言えば新しいが、ドラマというフォーマットとは相性が良くない。
  • 影山

    1.5 現在の大学生の等身大とは乖離あるが、丁寧に描かれた「青春群像物語」として見たい。
  • 田幸

    2.5 不器用で優しい人々の平凡な日常を繊細に描く。心に刺さる言葉は兵藤るり(脚本)ならでは。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
    相田冬二さんのコラム一覧
  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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