イラスト/辛酸なめ子
第1週
人気作の続編やNHK大河の新作ほか新春早々から話題作が目白押しの第1週。最近、不調が囁かれるフジの「月9」、今シーズンはどうでしょうか!?
採点表
相田 | 影山 | 田幸 | |
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君が心をくれたから (フジ) | |||
正直不動産2 (NHK) | |||
リビングの松永さん (カンテレ) | |||
おっさんずラブ リターンズ (テレ朝) | |||
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! (東海テレビ、フジ) | |||
光る君へ (NHK) |
- 絶対見るべき
- 時間があれば
- んー……
私のイチオシ
-
相田冬二相田冬二
リビングの松永さん
カンテレ 火 23:00~やや無理のある設定も中島健人が演じれば不思議なリアリティが生まれる。単なる硬派でも、静かな熱血でも、ストイックを気どるナルシストでもない「行動の人」松永さんを、じっくりじわじわ低温調理で見せる、魅せる。
-
影山貴彦影山貴彦
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!
東海テレビ・フジテレビ 土 23:40~古い価値観に凝り固まった原田泰造演じる主人公が、今後どのようにアップデートしていくかが見せ所。攻め込んだ内容に好感を持った。安易に変化の様を描くのではく、そのプロセスをじっくり味わいたい。
-
田幸和歌子田幸和歌子
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!
東海テレビ・フジテレビ 土 23:40~『その女、ジルバ』『おいハンサム‼』など時折、傑作が飛び出す「土ドラ」。ジェンダー観や仕事観、エイジズムなど様々な偏見に気づかされる。原田泰造の哀愁、五十嵐大地の言葉・表情の持つしなやかな説得力に脱帽。
ひとこと批評
月
“過酷な奇跡”が引き起こすファンタジー・ラブストーリー!
君が心をくれたから
フジテレビ 21時
出演
永野芽郁、山田裕貴、白洲 迅
-
相田
手垢のつきまくった不幸アイテムを連続でぶち上げ続ける地獄の花火大会。出演者が不憫。 -
影山
かなり感情移入しにくい内容。若者層への訴求を狙っているのだろうが、厳しいか。 -
田幸
美しい景色と映像、ポエムな台詞、薄い人物造形からの衝撃展開に至るまでが長すぎる。
火
嘘のつけない不動産営業マンが活躍するシリーズ第2弾!
正直不動産2
NHK総合 22時
出演
山下智久、福原遥、市原隼人
-
相田
清冽な続編。山下智久は依然初々しく、作品そのものがカスタマーファーストで感動する。 -
影山
パート1の面白さが維持されつつディーン・フジオカの加入で心地よい緊張感が増した。 -
田幸
笑いとほっこり、実用情報のバランスの良さは抜群。ディーンも加わり、パワーアップ。
火
シェアハウスを舞台にした年の差ラブコメディ
リビングの松永さん
カンテレ 23時
出演
中島健人(Sexy Zone)、髙橋ひかる、向井康二
-
相田
ヒロインに過保護な展開。だが、中島健人の有無を言わさぬ説得力でとにかく見せきる。 -
影山
先の見通せてしまう凡庸な展開で、残念ながら大きな興味をそそられないでいる。 -
田幸
原作と大きく異なり、こってりしたキャラクター、こってりした演出が古い印象。
金
男たちのピュアな愛を描いた話題作の続編
おっさんずラブ リターンズ
テレビ朝日 23時15分
出演
田中圭、林遣都、吉田鋼太郎
-
相田
相変わらずの世界観。が、井浦新のウエット過剰な情感演技がルーティンを変幻させる予感。 -
影山
安定の滑り出しだが、時代性を鑑みると、もう少し遊びの要素は控え目がいいか。 -
田幸
恋愛期間を経た生活のリアルが描かれる一方、 “春牧”のもどかしさ、愛おしさは健在。
土
LINE漫画で連載中の人気作をドラマ化
おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!
東海テレビ・フジテレビ 23時40分
出演
原田泰造、中島颯太、城桧吏
-
相田
現代をやろうとする意欲が空回りするドラマ自体のオジサンイズムをどれだけ許容できるか。 -
影山
テーマを真っ直ぐ攻めて描いているリアリティーさを評価したい。 -
田幸
セクハラパワハラ、あらゆる偏見に切り込み、価値観をアップデートさせてくれる秀作。
日
『源氏物語』を生んだ紫式部の生涯を描く大河ドラマ
光る君へ
NHK総合 20時
出演
吉高由里子、柄本佑、黒木華
-
相田
工夫のない構造と作劇に、突拍子もないバイオレンスが浮きまくっていて失笑するしかない。 -
影山
初回は様子見かと思っていたが、激しい展開に。吉高由里子登場の次回からに期待。 -
田幸
戦いのない雅な世界かと思いきや、見事に騙された。平坦気味の前半も見直すと発見が。
採点担当
相田冬二
影山貴彦
田幸和歌子
-
相田冬二
あいだ・とうじ●映画批評家。雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。zoomトークイベント「相田冬二、映画×俳優を語る。」は通算220回を突破。2023年は、『町中華の宝石 きくらげたまご』(東京ニュース通信社)のメインライター、行定勲『映画女優(ヒロイン)のつくり方』(幻冬舎)の取材・構成を務めた。2024年は2冊の著作を刊行。
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影山貴彦
かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト。元毎日放送(МBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。朝日放送(ABC)ラジオ番組審議会委員長、ギャラクシー賞テレビ部門委員、日本笑い学会理事。著書に『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(じっぴコンパクト新書)『テレビのゆくえ』(世界思想社)など。
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田幸和歌子
たこう・わかこ●ライター。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。雑誌、ウェブ媒体等で俳優やタレントなどのインタビューを手掛け、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint、共著)など。
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