イラスト/辛酸なめ子
第2週
院内警察、検察審査会、刑事、そして運び屋と、なんだか一般にはなじみのないストーリーが展開されそうな第2週。果たして、3人の採点は?
採点表
相田 | 影山 | 田幸 | |
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となりのナースエイド (日テレ) | |||
院内警察 (フジ) | |||
ジャンヌの裁き (テレ東) | |||
ハコビヤ (テレ東) | |||
新空港占拠 (日テレ) | |||
さよならマエストロ ~父と私のアパッシオナート~ (TBS) |
- 絶対見るべき
- 時間があれば
- んー……
私のイチオシ
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相田冬二相田冬二
新空港占拠
日本テレビ 土 22:00~映画とも配信系ドラマとも異なる味わい。簡潔にパニック状況を積み重ねる様に地上波ドラマの矜持を感じる。機動力あるスポーティな演出の勝利か。前作未見だが、櫻井翔の佇まいは定番のヒーロー像を塗り替えてもいる。
-
影山貴彦影山貴彦
ハコビヤ
テレビ東京 金 24:52~田辺誠一と影山優佳の組み合わせがいい。無駄にサイドストーリーを膨らませがちなドラマが散見される中、約30分で展開させる出演者を絞ったシンプルさの中にある人間ドラマが心地いい。
-
田幸和歌子田幸和歌子
ジャンヌの裁き
テレビ東京 金 20:00~政治家の裏金疑惑で検察への注目度が高まる今。極端なキャラやベタな展開も間口を広げる上で重要。「不起訴は99%の立件のため」「不起訴になれば真実は誰も調べられない」の言葉が響く。弱者が救われる世界が見たい。
ひとこと批評
水
ナースエイド(看護助手)の活躍を描く病院エンタメ
となりのナースエイド
日本テレビ 22時
出演
川栄李奈、高杉真宙、矢本悠馬
-
相田
川栄李奈の清潔感をやたら強調する阿漕さに辟易。正義の凡庸な押し付けにもウンザリ。 -
影山
軽やかさとシリアスさのバランスが、いまひとつうまく噛み合っていない感じ。 -
田幸
今どき珍しいほどに医療監修が雑なドラマ。川栄李奈と高杉真宙の無駄遣い。
金
“刑事モノ×医療モノ”2大王道ジャンルの混合作
院内警察
フジテレビ 21時
出演
桐谷健太、瀬戸康史、長濱ねる
-
相田
着眼点は新鮮だが、語り口が古く、対決の構図もやや凡庸か。面白くなる糸口は色々ある。 -
影山
想像していたよりもシリアスな展開に些か戸惑うも、徐々にハマる可能性も。 -
田幸
医療×警察のバランスも、コミカルとシリアスのバランスも悪い。セリフもスベリ気味。
金
素人集団の検察審査会が巨悪に迫るエンタメ司法ドラマ
ジャンヌの裁き
テレビ東京 20時
出演
玉木宏、桜井ユキ、優香
-
相田
ドラマらしいドラマではある。玉木宏の人物造形には興味を抱かせる要素が。これから、か。 -
影山
コンセプトは悪くない。より深めに描いていくことで『正義は今』の魅力が増すか。 -
田幸
巻き込まれが似合う玉木宏。人物造形は極端だが、今「検察審査会」に注目するのは◎。
金
洋食屋と運び屋の2つの顔を持つ男が主人公の人間ドラマ
ハコビヤ
テレビ東京 24時52分
出演
田辺誠一、影山優佳、おいでやす小田
-
相田
目新しさはないが、実直な作りに良心を感じる。文字通り、老舗洋食店の手堅さ。 -
影山
洋食屋と運び屋の2つの顔を持つ男の物語。分かりやすい展開がいい。田辺誠一が◎。 -
田幸
タイトルから想像しにくいハートウォーミングな展開。田辺誠一主演は、良い人選。
土
1年ぶりに帰ってきた刑事・武蔵三郎に新たな難敵が迫りくる
新空港占拠
日本テレビ 22時
出演
櫻井翔(嵐)、比嘉愛未、ジェシー(SixTONES)
-
相田
前作『大病院占拠』の説明を一切しない潔さが◎! 速度を緩めない通常枠の美に酔う。 -
影山
手に汗握る、と言いたいところだが、そうした緊張感が画面から伝わってこない。 -
田幸
なぜ櫻井翔にアクションを? 場所を変えてなぜ続編を? 「嘘だろ?」の繰り返しが単調。
日
不器用な父と素直になれない娘の親子の愛の物語
さよならマエストロ ~父と私のアパッシオナート~
TBS 21時
出演
西島秀俊、芦田愛菜、新木優子
-
相田
丁寧だが、冗長かも。豪華なキャスト陣から深みある演技を引き出せないもどかしさも。 -
影山
つい最近放送の「リバーサルオーケストラ」が重なるが、どう差別化していくか。 -
田幸
出来は良いが、家事のできないシロさんが『リバーサルオーケストラ』に降臨した感。
採点担当
相田冬二
影山貴彦
田幸和歌子
-
相田冬二
あいだ・とうじ●映画批評家。雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。zoomトークイベント「相田冬二、映画×俳優を語る。」は通算220回を突破。2023年は、『町中華の宝石 きくらげたまご』(東京ニュース通信社)のメインライター、行定勲『映画女優(ヒロイン)のつくり方』(幻冬舎)の取材・構成を務めた。2024年は2冊の著作を刊行。
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影山貴彦
かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト。元毎日放送(МBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。朝日放送(ABC)ラジオ番組審議会委員長、ギャラクシー賞テレビ部門委員、日本笑い学会理事。著書に『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(じっぴコンパクト新書)『テレビのゆくえ』(世界思想社)など。
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田幸和歌子
たこう・わかこ●ライター。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。雑誌、ウェブ媒体等で俳優やタレントなどのインタビューを手掛け、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint、共著)など。
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