イラスト/辛酸なめ子
第3週
この特集では毎回書いていますが、旧ジャニーズ事務所に問題はあっても所属(&出身)タレントには頑張ってほしい。第3週は同事務所所属のタレントが3人登場です。
採点表
相田 | 影山 | 田幸 | |
---|---|---|---|
春になったら (カンテレ) | |||
婚活1000本ノック (フジ) | |||
大奥 (フジ) | |||
グレイトギフト (テレ朝) | |||
アイのない恋人たち (ABC) | |||
厨房のありす (日テレ) |
- 絶対見るべき
- 時間があれば
- んー……
私のイチオシ
-
相田冬二相田冬二
アイのない恋人たち
ABC 日 22:00~15年前の自分に取り憑かれている人々の恋愛の現在進行形を描くユニークな一編。人の悩みを定型に落とし込まずに生き生きと自立させている。中でも主役然としない主役を鮮やかに体現する福士蒼汰の芝居は出色の出来。
-
影山貴彦影山貴彦
春になったら
カンテレ 月 22:00~娘を愛する父、父を思う娘。悲しい結末をイメージしてしがちながら、木梨憲武と奈緒の組み合わせで、明るさをキープしてくれそうな点に期待を寄せる。木梨演じる父は、かつて芸人を目指していたのでは?と予想する。
-
田幸和歌子田幸和歌子
春になったら
カンテレ 月 22:00~べテラン・福田靖脚本と松本佳奈の瑞々しい演出による余白が魅力。人生の始まりと終わりを1クール=3ヵ月と重ねて描く構成も粋。木梨、奈緒、濱田岳、小林聡美…悲喜劇を表現できる役者が揃って、ただただ笑って泣ける。
ひとこと批評
月
3ヵ月後に結婚する娘と世を去る父のハートフルドラマ
春になったら
カンテレ 22時
出演
奈緒、木梨憲武、濱田岳
-
相田
この父娘が平静を装うためなら何だって許される的なベクトルに不安を抱くが演出は安定。 -
影山
「生」と「死」。テーマは理解できる。切ない話を木梨憲武と奈緒の明るさでどう見せる? -
田幸
脚本役者映像音楽、全て満点。コメディアンが見せる悲しさと泣きそうな笑顔の娘が◎。
水
最新事情を通して登場人物をコミカルに描く婚活エンタメ
婚活1000本ノック
フジテレビ 22時
出演
福田麻貴、八木勇征、関水渚
-
相田
聞くに耐えない言葉が何度も飛び出すが、とりあえず軽快。30分枠で充分な内容だが。 -
影山
幽霊等の設定など、笑える域に達せず。22時枠の編成とするには、かなりしんどい内容。 -
田幸
サクサク観られるちょうど良いテンポと温度。福田麻貴のちょうど良い感は異常。
木
フジの連ドラとして約20年ぶりに復活する「大奥」シリーズ
大奥
フジテレビ 22時
出演
小芝風花、亀梨和也(KAT-TUN)、宮舘涼太(Snow Man)
-
相田
亀梨和也の奮闘も虚しく、ラジオドラマ並に大袈裟な女優陣の陳腐な厚塗り芝居の大行進。 -
影山
NHKの「大奥」に比べ凡庸に映ってしまった。何かが違う。小芝風花はいい。 -
田幸
NHK×森下佳子×芝居巧者ばかりの直後になぜこれを? チープで気の毒で、応援はしたい。
木
殺人球菌「ギフト」をめぐる医療ミステリー
グレイトギフト
テレビ朝日 21時
出演
反町隆史、佐々木蔵之介、尾上松也
-
相田
悪も正義も腰砕け。紋切型をいくら集めたところで薄っぺらさは隠しようがない。笑止。 -
影山
スケールの大きな医療もの。今後ストーリーの拡がりに比例した魅力を作れるか? -
田幸
医療モノに見えるブラッディマンデイか。豪華キャストだが、聞き取れない。話が散漫。
日
東京のアラサー男女7人の恋愛物語
アイのない恋人たち
ABC 22時
出演
福士蒼汰、岡崎紗絵、佐々木希
-
相田
こなれた部分と、こなれてない部分の同居こそが現代恋愛事情。物事の核心をリアライズ。 -
影山
押しつけがましい説明トーンが気になる。陳腐で古くさい作りが、やや残念。 -
田幸
毒気の強い遊川和彦節を抑えた新鮮味ある意欲作。岡崎紗絵が作品に力を与えている。
日
自閉スペクトラム症の料理人が主人公の笑えて泣ける物語
厨房のありす
日本テレビ 22時30分
出演
門脇麦、永瀬廉(King & Prince)、大森南朋
-
相田
やや類型ながら、芸達者たちの誠実な芝居で見せる。前田敦子が佳きハーモニーを呼び込む。 -
影山
門脇麦の存在感。目だけの演技もいい。ユニークな物語がどう膨らんでいくかに期待。 -
田幸
門脇麦の熱演が光るが、主人公のキャラや父娘、友人、母の設定が韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』と酷似。
採点担当
相田冬二
影山貴彦
田幸和歌子
-
相田冬二
あいだ・とうじ●映画批評家。雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。zoomトークイベント「相田冬二、映画×俳優を語る。」は通算220回を突破。2023年は、『町中華の宝石 きくらげたまご』(東京ニュース通信社)のメインライター、行定勲『映画女優(ヒロイン)のつくり方』(幻冬舎)の取材・構成を務めた。2024年は2冊の著作を刊行。
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影山貴彦
かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト。元毎日放送(МBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。朝日放送(ABC)ラジオ番組審議会委員長、ギャラクシー賞テレビ部門委員、日本笑い学会理事。著書に『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(じっぴコンパクト新書)『テレビのゆくえ』(世界思想社)など。
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田幸和歌子
たこう・わかこ●ライター。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。雑誌、ウェブ媒体等で俳優やタレントなどのインタビューを手掛け、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint、共著)など。
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