人生決算書の作り方

葬儀・お墓の決算

遺された家族のことを考え、
自分の理想の形を決めておきましょう。

教えてくれる人

一般社団法人 終活カウンセラー協会代表理事

武藤頼胡さん

“終活”という考えを普及すべく、全国各地で年間230件以上の講演を行なう。著書に『こじらせない「死に支度」』(主婦と生活社)。

Q1

自分の葬儀は「質素でいい」と考えています。それを子どもに伝えておくだけで十分ですよね。(65歳・会社員)

A

ご自身の生活環境を考えて、「質素にできるかどうか」を検討しましょう。そのうえで喪主となる方と相談してください。

 質問者は現在働いていらっしゃいます。仮にいま亡くなられたら、同僚の方は葬儀に参列したいと思うはずです。「質素でいい」とお考えでも、「質素にできない」状況もあります。
 私が講演の際によく聞くのは「親の葬儀を身内や親しい友人が参列する家族葬にしたけれど、後日『お線香をあげたい』と何人も訪ねてきた」という話です。これではかえって家族に面倒をかけてしまいます。いま一度、ご自身の生活環境を踏まえた上で喪主となる家族と相談しましょう。

葬儀社を決める時は見積りを最低3社はとる

 葬儀の手配に追われ、遺された家族が故人を偲ぶ余裕がなかったという話も聞きます。家族のために、自ら葬儀社を決めることも大切です。
 選ぶポイントは「見積りがわかりやすいかどうか」
 ある葬儀社の見積り項目に「6尺5万円」とありました。これでは何の費用かわかりませんよね。実は「6尺」とは「棺」のサイズのことです。
 葬儀社の見積りがわかりやすいかを見極めるためには、最低3社から見積りをとってください。比較することで、費用の内訳を詳細に記しているかがわかります。
 また、葬儀は参列者の人数があらかじめわからないため、見積りより請求が高くなることがよくあります。見積りの段階でその説明をしてくれていれば、いい葬儀社と言えるでしょう。
 葬儀後、家族は次の一歩がなかなか踏み出せません。そんな時、葬儀社の担当者が「四十九日に向けてお寺と早めに話しましょう」と、声をかけてくれるだけでも安心するものです。見積りをとる際に「葬儀後はどういう流れになりますか?」と聞いて、親切に答えてくれるかどうか。それもいい葬儀社を選ぶコツです。