M・U(34歳・主婦)作
体は確かに牛ですが、顔がどうもおっさんです。鼻輪さえおっさんヒゲに見えます。気難しいけど心根は優しい山の男という感じでしょうか。職業で言うと木こり系。家に帰れば可愛い女房が待っている、そんな男です。
S・U(76歳・無職)作
そして、その可愛い女房がこれです。全く無関係なお2人が描いた作品ですが、見た瞬間「夫婦だ」と思いました。なかなか艶っぽい感じです。でも牛としてはどうでしょう。右の夫ともども、牛度は低いです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
I・M(59歳・主婦)作
お人好し、って感じです。角がないことすら、本人全く気にしていません。牛はしっぽでハエをぴしぴしと追い払いますが、この牛はそれすらもせず、たかられ放題。それが彼の優しさです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
名前ナシ(79歳・自由業)作
なかなか意欲的な作品と見ました。全体的にはごく普通と見えるのですが、パーツごとには抽象的技法が生きています。角やしっぽのきわめて記号的な線、なによりも乳の描写が斬新です。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
Y・K(56歳・主婦)作
かわいいんだかかわいくないんだか。子供のようでいて無精ひげのおっさんのようでもあるその不気味にばかり気を取られてしまいがちですが、今いちど冷静に見直してみます。ひとっつも牛じゃありませんな、こりゃ。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
K・C(78歳・主婦)作
私が小学生の時に初めて見た牛にそっくりです。それまでは牛乳石鹸のマークみたいな牛しか頭になかったのですが、牛を正面から見た時の意外な形へのおどろきが、今ふたたびよみがえりました。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
S・K(46歳・会社員)作
知らぬうちにSさんの作品を4枚も選んでいました。並べてみました。Sさんになったつもりで、上からじっくり見ていきましょう。学ぶとは何なのか、試行錯誤とはどうゆうことかが実感できます。3作目で何かをつかみかけたと思った瞬間、4作目で全てを見失ってしまう。人生の縮図のようではありませんか。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
T・K(44歳・会社員)作
真正面から迫り来る牛の疾走感、画面の奥ゆき感、そして見上げれば月にむら雲。非常に映画的です。そして次の瞬間スクリーンに現れるのは仁王立ちで暴れ牛を迎え撃つ大山倍達でしょう。「空手バカ一代」の名場面です。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
O・K(47歳・主婦)作
白と黒を逆にしただけで、妙にメルヘンになるから不思議です。ツノから鼻スジにかけての白い部分に何かありそうです。でも、気を落ち着けて見てみると、これははたして牛なんでしょうか。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
Y・S(26歳・会社員)作
全体的に「顔」で苦労をしている作品は多かったのですが、これは「眉毛」「鼻の下のスジ(人中)」「唇」が牛の常識を無視しています。こんなに牛じゃない顔だというのに、あえて顔だけで勝負に出たところがすごい。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
S・M(86歳)作
牛の王国のバカ王子です。牛なのに「モー」ではなく、「ふぁー」と鳴くこのバカ王子。国王の悩みのタネですが、国民には意外と人気があります。道を歩いていると国民がどんどん体当たりしてくるほど親しまれています。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
N・K(31歳・会社員)作
確かに牛ですが、なんか変です。バランスもいいし、足腰も強そうだし、乳だって十分に出しそうなのに。ちょっとペンを持って、ツノと鼻輪という牛の2大アイテムを描き足してみましょう。一気に牛度アップです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
N・K(20歳・学生)作
はるかに広がる草原、遠くに見える風車小屋。ここはスイスでしょうか北海道でしょうか。そんなさわやかな高原風景にたたずむこの牛。病気でしょうか。うんこより牛本人のほうが臭そうです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
U・T(47歳・会社員)作
市場へ売られていく牛を歌った「ドナドナ」でもわかるように、牛にはちょっと哀しさがあります。この作品は、そんな哀しさを余すところなく表現してます。おじいさんの様な顔と下り坂を下っている点が哀しみの原因です。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
T・T(37歳・農業/漁業)作
牛肉もミルクも、元々日本人の食生活にはなかった「外来品」のイメージのせいでしょうか、どちらかというと牛は「洋モノ」です。バタ臭い動物です。しかしTさんのこの牛は日本の牛です。
今回のお題「牛」の総評
牛というテーマは、これさえ描いておけば間違いないという記号が見つけやすかったようです。「ツノ」「鼻輪」「おっぱい」あと「よだれ」など。「モー」という鳴き声が書き込まれた作品が多かったのも特徴でした。動物全般に言えることかもしれませんが、実物の牛を見る機会はだんだん減ってきていることでしょう。写真やテレビの画面の中にいる牛は、怖くないし臭くない。そんな影響が表れていたような気がします。つっても、私も小学校の時の遠足で見たっきりですが。最後に「牛だけにウッシッシ」とか「モウ、ダメ」などというダジャレは書き添えないでください。理事長はダジャレを好みません。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39歳。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。