脳梗塞の発症数は
冬より夏が多い。
脳梗塞の発症数は、
冬より夏が多いのをご存じでしょうか?
汗をかき、体内の水分が不足すると血栓ができ、
血管がつまりやすくなるそうです。
こまめに水分補給を心がけましょう。
教えてくれる人
桑島 巌先生
くわじま・いわお●東京都健康長寿医療センター顧問、東京医科大学兼任教授。
血中の水分が不足するとネバネバになり血栓ができやすくなります。
高血圧の読者の中には、冬のヒートショック(寒暖差による血圧変動や血圧事故)には注意を払っているのに、夏は心配ないものと思い込んでいらっしゃる方がまだまだ多いようですね。
血管が破れてしまう「脳出血」はたしかに冬に多く発症しますが、血管が詰まる「脳梗塞」は冬よりも夏の方が発症数は多いのです。
動脈硬化で狭くなった血管に血栓ができて血管が詰まる、いわゆる「アテローム血栓性脳梗塞」や「ラクナ梗塞」です。同じように「心筋梗塞」も夏の発症数は増えています。
なぜ、夏のほうが血管が詰まりやすいのかというと、水分不足のせいです。
夏は気温が上がるために、体内の熱を発散しようと血管は拡張して、同時に血圧も低下します。そこへきて汗をかくことで血中の水分が不足してネバネバになり、血栓ができやすくなるのです。
とくに高血圧で高齢の読者は代謝が落ちてのどの渇きを感じにくくなっているので、夏の日中はのどが渇いたと感じなくても「2時間おきにコップ1杯程度の水分補給」を心がけてください。
ネバネバの血液は流れが悪く、血管をつまらせる原因にもなるので注意が必要です。
もともと脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高い糖尿病や高脂血症の読者はさらに夏の血圧に注意してください。40代、50代でまだ血圧が安定している読者でも、急に血圧が上昇しはじめることがありますから、血圧測定を習慣にして、ご自分の血圧の変動を見逃さないようにしてください。