地上波にBS・CS、ネット配信と、観られるドラマの数がどんどん増える昨今、本当に面白いドラマはどれなのか──。ドラマ批評の専門家や各界のドラマ好きの方々が、「これは見るべき!」というイチオシ作品を紹介します。あなたの琴線に触れるドラマがきっと見つかるはず。
※紹介する作品は、コラム公開時点で地上波・BS/CS・ネット配信などで見られるものに限ります。
アイドルアイ
2026/3/16公開
弁護士のヒロインが殺人容疑者の“推し”の事件を解決

© 2025 Astory Co., Ltd. & KT Studiogenie Co., Ltd. All Rights reserved.
もし実生活で大ファンのスターと仕事で関わることになったら? という妄想を抱く人は少なからずいるはず。これまでも『ソンジェ背負って走れ』『彼女の私生活』など推し活女子が主役のドラマはありましたが、本作はより直接的。
オタクが歓喜する設定をベースに、弁護士のヒロインが殺人の容疑者となった推しの事件を解明する法廷サスペンスを軸に、K-POPの事務所と所属アイドルの闇、罪を生みだす法曹界の構造までを重層的に描いています。
刑事事件専門の有能な弁護士メン・セナは、実はアイドルグループ、“ゴールドボーイズ”の長年の大ファン。“最推し”であるボーカルのド・ライクが殺人事件の容疑者となり弁護を引き受けることに。ファンであることを隠して、ライクに向き合い事件の真相を追い、疑いと信頼のあいだで少しずつ距離を縮めていくのです。

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このメン・セナを国民的ガールズグループ『少女時代』のチェ・スヨンに配役したのが逆転現象で面白い。さんざん“推されていた”彼女が“推す”役。沈着冷静な弁護士のときとウキウキのオタクのときの激しいギャップを見事に演じ分けました。まさかスヨンがペンライトを手に声援を送る姿を見られるとは……。
ド・ライク役のキム・ジェヨンはインタビューで「スヨンさんが、実際の活動経験をもとに本当にたくさんのアドバイスをくれた」と感謝を述べています。本作のライブ場面などがとてもリアルなのはスヨンのサポートの成果といえそうです。
念願のデビューを果たしアイドルとなったド・ライク。グループ人気に陰りが出てきたこともありソロとしても活動するのですが、超ハードスケジュールやプレッシャー、ストーカーファンのせいで頭痛と不眠に悩まされて病院や薬と縁が切れない。壊れかけていたライクは殺人事件の容疑者となり、メン・セナと出会い、しだいに仮面を捨てて自分らしく生きるようになります。
キム・ジェヨンは『100日の郎君様』での刺客役で注目を浴び、『月水金火木土』や『地獄から来た判事』などの話題作で俳優としての地位を確立。本作では華やかな世界にいながら、もがき苦しむ陰のあるアイドルを演じ、さらに演技の幅を広げました。
もちろん最後まで犯人がわからないミステリーの部分も面白いのですが、K-POPの裏側を浮き彫りにした部分が刺さります。
アイドルグループ内の人気格差。売上げが全てで、事務所との契約に縛られ口約束は簡単に反故にされる理不尽さのなかで、メンバーは次第に仲違いし疲弊していく……。
10代はじめから練習生として貴重な青春時代を犠牲にアイドルを目指しても、殆どの練習生がデビューできない確率の方が高いのが揺るぎない事実。
陽の目をみなかった者たちは、学歴社会の韓国でいい仕事につけずホストに流れるケースもあるそうです。
そんな背景もあり韓国コンテンツ振興院が発表した資料によると、練習生の数は2020年「1,895人」を記録。しかし、2022年末時点で「1,170人」に減少したのも仕方がないことかもしれません。
運良くデビューできても、ド・ライクのように精神的にギリギリの状態に追い込まれたり、事務所と再契約できず解散パターンも多く、なかには運良く俳優に活路を見出した人もいますが、K-POP人気の裏でたくさんの壮絶な悲哀があるのは容易に想像できます。
とはいえ、本作はグッズやチケット購入のオタクの習性を明かしクスッとさせるところもあり、11話を最終話にすることもできるのにもう1話加え、“推し”がいることで仕事を頑張れるミン・セナの姿や、“推し”との幸せなその後がしっかり描かれて、見終わったあと笑顔になれる作品です。
今回ご紹介した作品
アイドルアイ
- 配信
- ABEMA、Netflixなどで配信中
情報は2026年3月時点のものです。














