通販生活の一話だけ観て2023夏ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

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織田裕二の30年ぶりの脇役にも注目ですが、「コメディードラマとお笑いネタを掛け合わせた新感覚ドラマ」というNHKの試みは吉と出るか凶と出るか?

採点表

相田 影山 田幸
CODE-願いの代償- (読売テレビ) 0.5 1.5 2
シッコウ!!~犬と私と執行官~ (テレ朝) 1.5 2.5 2.5
ラフな生活のススメ (NHK) 2 1 1.5
週末旅の極意 (テレ東) 0.5 1.5 1.5
初恋、ざらり (テレ東) 2.5 2.5 3
警部補ダイマジン (テレ朝) 0 2 2.5
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    初恋、ざらり

    テレビ東京系 金 24:12~

    波乱を予感させる善人を、風間俊介が一分の隙もない完璧な演技で全うし、ドキドキさせる。フラットだが、ぎっしり身の詰まった表現で、彼のシーンはとにかく目が離せない。早くも今期MVP決定か?

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    シッコウ!!~犬と私と執行官~

    テレビ朝日系 火 21:00~

    視聴者に馴染みの薄い職業をフィーチャーするドラマが近年流行っているが、テーマを通して人間がどう深く描かれるかが成否を分ける。伊藤沙莉&織田裕二が互いに刺激し合うことで、上質の作品に膨らみそうな予感大だ。

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    初恋、ざらり

    テレビ東京系 金 24:12~

    軽度知的障がいと自閉症を持ち、「普通」に生きたいと思う、劣等感と純粋さを持つ主人公を演じる小野花梨が抜群。坪田文脚本×池田千尋監督×祖父江里奈CPという女性チームが描く女性の生きづらさのリアリティが秀逸。

ひとこと批評

「どんな願いも叶うアプリ」を巡るサスペンス

CODE-願いの代償-

読売テレビ・日本テレビ系 22時30分
出演

坂口健太郎、染谷将太、松下奈緒

  • 相田

    0.5 吸引力が足りなすぎ。テンポも持久力もなく、職務に徹する演じ手たちが不憫。
  • 影山

    1.5 緊迫感ある展開に引き込まれたが、「CODE」という謎のアプリに受け手が乗れ切れるか。
  • 田幸

    2 ツッコミどころはあるが、ながら見させないハラハラのスピード感は第1話として強い。

執行官をテーマにした痛快お仕事コメディ

シッコウ!!~犬と私と執行官~

テレビ朝日系 21時
出演

伊藤沙莉、中島健人(SexyZone)、織田裕二

  • 相田

    1.5 老後の青島みたいな織田裕二は悪くないがダラダラお仕事ドラマ。犬好き主人公像が脆弱。
  • 影山

    2.5 単なるお仕事ドラマに留まらない深みを初回から感じた。伊藤沙莉&織田裕二が光る。
  • 田幸

    2.5 織田裕二のハイテンションに戸惑うが、大森美香脚本×伊藤沙莉×脇役勢には安定感あり。

コメディ×お笑いネタの新感覚ドラマ

ラフな生活のススメ

NHK総合 23時
出演

小池栄子、桜井玲香、中川大輔

  • 相田

    2 すべてがお笑いのテンションで進行する、異様なセットドラマ。悲哀が爆発する!
  • 影山

    1 小池栄子は魅力的だしお笑いもいい。だが30分の尺が妙に長く感じる。演出に難ありか。
  • 田幸

    1.5 実験的番組の試みは面白いが、ドラマとコントが完全に分離しているのはもったいない。

結婚10年、夫婦の時間を取り戻す旅

週末旅の極意

テレビ東京系 25時
出演

観月ありさ、吉沢悠

  • 相田

    0.5 観月ありさも、吉沢悠も、まるで別人。ホテルタイアップぬるま湯温泉夫婦旅。
  • 影山

    1.5 タイアップをしっかり取得しての会話劇。悪くない。テレ東らしいニッチを狙っている。
  • 田幸

    1.5 飯テロならぬ旅テロドラマ。綺麗な映像は魅力だが、芝居がかったセリフに少々違和感。

軽度知的障害を持つ有紗の初めての恋

初恋、ざらり

テレビ東京系 24時12分
出演

小野花梨、風間俊介

  • 相田

    2.5 風間俊介が、すべてをさらう。精緻な芝居で、現代的かつ困難な主題を軽々乗り越える。
  • 影山

    2.5 難しいテーマを丁寧に描いている点に好感。現実社会に横たわる課題をいかに見せるか。
  • 田幸

    3 原作のキャラも空気感も忠実に再現しつつ、綺麗ごとじゃない愛と性が実写により増幅。

悪をもって悪を制すダークヒーロー見参

警部補ダイマジン

テレビ朝日系 23時15分
出演

生田斗真、土屋太鳳

  • 相田

    0 生田斗真が生田斗真をやり、向井理が向井理をやる。タイプキャストの嵐。陳腐の極み。
  • 影山

    2 冒頭から引き込む展開。三池崇史監督の世界観がどう拡がるか。刺激維持がポイント。
  • 田幸

    2.5 ダークヒーローモノかと思いきや、秒でバレて逆に利用される展開は新鮮。向井理が美。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
    相田冬二さんのコラム一覧
  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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