通販生活の1話だけ観て2025冬ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

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今週は新ドラマ7本を紹介。11年ぶりという香取慎吾さん主演ドラマやバカリズムさん脚本のドラマにも期待です。

採点表

相田 影山 田幸
東京サラダボウル (NHK) 1 3 3
御曹司に恋はムズすぎる  (カンテレ・フジ) 1.5 1 1
プライベートバンカー (テレ朝) 1.5 2 1
日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった (フジ) 1 1.5 3
ホンノウスイッチ (テレ朝) 0 1.5 1
フォレスト (ABC、テレ朝) 0.5 0.5 1.5
ホットスポット (日テレ) 2.5 2.5 3
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    ホットスポット

    日本テレビ 日 22:30~

    何かが起きているが何も起きていないような筆致が素晴らしい。初回の幕切れは非凡だが、それすらもスラスラと。市川実日子の国宝ぶりがまぶしい。

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    東京サラダボウル

    NHK総合 火 22:00~

    奈緒と松田龍平のW主演を実現させた制作陣に拍手。ヒリッとした緊張感、洒落たムードを醸し出しながら、外国人居住者の実情に迫るストーリー展開は、見る者の偏見や先入観を打ち破る作品になりそう。

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    ホットスポット

    日本テレビ 日 22:30~

    冬ドラマ大本命は期待以上。幼馴染の会話だけでも永遠に聞いていられるバカリズムマジックと役者の巧さ。宇宙人という突飛な設定も日常に溶け込んでいて、どう転がるかわからない楽しみも。能力と副作用設定も絶妙。

ひとこと批評

国際捜査を行う警察官とワケあり通訳人のコンビ

東京サラダボウル

NHK総合 22時
出演

奈緒、松田龍平、中村蒼

  • 相田

    1 意識は高いが、志は低い。目先を変えただけの順列組み合わせ。
  • 影山

    3 外国人居住者の実情に焦点を当てたテーマ性がいい。奈緒&松田龍平のコンビが最高。
  • 田幸

    3 外国人ヘイトが増す今「溶け合うんじゃなくそのまま共存する」東京を描く意義は大きい。

超わがままナルシスト御曹司と庶民女子の恋愛模様

御曹司に恋はムズすぎる 

カンテレ・フジテレビ系 23時
出演

永瀬廉(King & Prince)、山下美月、西畑大吾(なにわ男子)

  • 相田

    1.5 手垢のつきまくった設定。が、永瀬廉の献身で、なんとか見せる。
  • 影山

    1 うぬぼれ御曹司と超庶民女子のベタなラブコメの世界にどっぷり浸かれるかがポイント。
  • 田幸

    1 ベタなキャラにベタな展開、古典的で幼稚。永瀬廉と山下美月は適役。

資産家一族の金にまつわる問題に切り込むマネーサスペンス

プライベートバンカー

テレビ朝日系 21時
出演

唐沢寿明、鈴木保奈美、上杉柊平

  • 相田

    1.5 安定感ありすぎて、驚きはないが、ドラマを愛玩する層にはウケそう。
  • 影山

    2 プライベートバンカー・唐沢寿明の活躍に一定の惹きつけはあるが、物語が少し強引かも。
  • 田幸

    1 豪華な顔触れだが、女性を無知でヒステリックに描く造形や古く軽い演出など気になる。

香取慎吾主演、「最低男」が政治家になるために選んだのは…

日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった

フジテレビ系 22時
出演

香取慎吾、志尊淳、冨永愛

  • 相田

    1 ごくごく平凡なドラマ。あまりにも展開がスロウすぎて、びっくり。
  • 影山

    1.5 慎吾おじさん熱演だが展開が少し凡庸。政治家を目指す必要があるか? 動機がやや弱め。
  • 田幸

    3 選挙と家族に加え、男性に見えにくいケア労働を描くのが男性プロデューサーという驚き。

ひょんなことから関係を持った幼なじみのとのラブストーリー

ホンノウスイッチ

テレビ朝日系 23時
出演

宮近海斗(Travis Japan)、葵わかな、戸塚純貴

  • 相田

    0 すべてが過保護な甘やかしドラマ。胸焼けがするほど単調。旨みゼロ。
  • 影山

    1.5 幼馴染同士の恋の行方というベタなストーリーが意外と新鮮に響くのは、作りの巧さか。
  • 田幸

    1 こちらもベタな設定・展開で気恥ずかしくなる。

恋人同士がそれぞれに抱える“嘘”が絡み合うサスペンス

フォレスト

ABCテレビ、テレビ朝日系 22時15分
出演

比嘉愛未、岩田剛典、ファーストサマーウイカ

  • 相田

    0.5 この尺で延々、段取り芝居を見せられるのは、ほぼほぼ我慢大会。
  • 影山

    0.5 物語の組み立て的には悪くない部分もあるが、今後見続けたいという意欲が湧かない。
  • 田幸

    1.5 韓国ドラマ的引きの強さとスピーディさだが、既視感も。この枠すでに路線変更なのか。

バカリズム脚本SFコメディ、宇宙人と一緒に平和を守る!?

ホットスポット

日本テレビ系 22時30分
出演

市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏

  • 相田

    2.5 すべてを程々で済ますという、実に優雅かつ贅沢なセッション模様。
  • 影山

    2.5 ★は3.0に近い2.5。「ブラッシュアップライブ」的テイスト満開のバカリズムワールドの魅力。
  • 田幸

    3 冒頭からラストまで飽きさせることなく毎秒面白い。脚本も役者も演出も全て揃っている。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●映画批評家。雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。zoomトークイベント「相田冬二、映画×俳優を語る。」は通算220回を突破。2023年は、『町中華の宝石 きくらげたまご』(東京ニュース通信社)のメインライター、行定勲『映画女優(ヒロイン)のつくり方』(幻冬舎)の取材・構成を務めた。2024年は2冊の著作を刊行。
    相田冬二さんのコラム一覧
  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授・コラムニスト。元毎日放送(МBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。朝日放送(ABC)ラジオ番組審議会委員長、ギャラクシー賞テレビ部門委員、日本笑い学会理事。著書に『テレビドラマでわかる平成社会風俗史』(じっぴコンパクト新書)『テレビのゆくえ』(世界思想社)など。
    影山貴彦さんのコラム一覧
  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●ライター。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。雑誌、ウェブ媒体等で俳優やタレントなどのインタビューを手掛け、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint、共著)など。
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