遺された家族のことを考え、
自分の理想の形を決めておきましょう。
教えてくれる人
一般社団法人 終活カウンセラー協会代表理事
武藤頼胡さん
“終活”という考えを普及すべく、全国各地で年間230件以上の講演を行なう。著書に『こじらせない「死に支度」』(主婦と生活社)。
実家の墓は遠方です。子どももいないので、私や夫が死んだあと、墓の管理はどうすれば…。(77歳・主婦)
寺院や霊園に相談して永代供養にする、もしくは墓を住まいの近くに移す「改葬」を考えましょう。
講演で寄せられる質問の7割が、この「遠方にある墓をどうしたらいいか」という問題です。
質問者のように先祖代々の墓が遠方にあって、子どもなど承継者がいない場合は「永代供養」を考えましょう。永代供養は、墓や遺骨の管理を寺院や霊園が代わりに行なってくれることです。
「永代」は「一定期間」の意味で、供養してくれる管理者によって異なりますが、13年や33年など期間が決まっています。その期間を過ぎると墓は更地に戻され、遺骨は合祀されます。
寺院、霊園によっては永代供養ができないところもあるので、まずは確認が必要です。永代供養ができるのであれば、何年供養してくれるのか、管理費や読経料はかかるのかなど、条件をあわせて聞いておくといいでしょう。
墓の引っ越しはお寺と揉める!?
Q4の通り、墓地・霊園は「寺院墓地」「公営墓地」「民間霊園」の大きく分けて3種類になります。
しかし、実は一番多い墓の種類は「みなし墓地」と呼ばれるものです。その数は全国87万基のうち、なんと70万基。畑や集落の横に何十もの墓がまとまっているのを一度は見たことがあるでしょう。あれがみなし墓地です。
永代供養をしてもらえないみなし墓地に墓がある、もしくは住まいの近くに墓を移してお参りしたい場合は「改葬」と呼ばれる墓の引っ越しをすることになります。
手順としては、まず現在の墓がある管理者に、移す了承を得ましょう(みなし墓地の場合、自分の家が管理者ということもあります)。
よく「お寺とは長い付き合いだから言いにくいし、揉めないか心配」という相談を受けます。しかし、揉めた話はほとんど聞いたことがありません。「今後、自宅に近い場所でお墓参りをしっかりしたい」と丁寧に説明すれば、スムーズにいくと思います。
移す了承が得られ、次の墓地も決まったら、あとはお寺や霊園、業者が手続きを進めてくれます。費用は、更地にする元の墓の大きさや、離檀料などのお布施によって差があり、20万~200万円かかるとされています。
最近は改葬先にお寺や霊園を選ばず、遺骨を身近に置く「手元供養」をする人も増えています。高くても30万円程度の費用でできることも人気の理由です。ただ、注意したいのは自分が亡くなったあとの遺骨の行方です。遺言書に記すか、承継者がいる場合は事前に必ず相談をしましょう。
みなし墓地
みなし墓地の定義は、1948年の墓地埋葬法制定の以前に建てられた、都道府県知事の認可を得た墓のこと。
手元供養
手元供養は、遺骨の一部を小さな骨壺に入れたり、ペンダントにして保管する方法もある。