小林ひろ美(60歳)
美容家。「美・ファイン研究所」主宰。スキンケアの大切さを伝えるほか、商品開発も行う。独自の美容術は、楽しみながら簡単にできると好評。透明感あふれる美肌の持ち主で、奇跡の60歳とも言われる。
「化粧水もクリームも、つけ方を変えるだけで
肌はもっと潤います」――小林さん
美肌のために何よりも大切なのは、肌を潤いで満たすこと、すなわち保湿です。土台となる肌が乾燥していては、どんな最先端のコスメや美容法を取り入れても十分な効果は発揮できません。潤った肌は、美肌の絶対条件なのです。
保湿といっても、ただ肌に水分を与えるだけではダメ。与えた水分をキープして、潤いを肌に閉じ込めるところまでが本当の意味での保湿です。そのために必要なのが「落とす」「潤す」「フタをする」の3つのステップ。この3つがしっかりできていれば、肌は確実に潤います。
どんなお手入れも、続かなければ意味がありませんから、続けやすいことも実は重要。今回ご紹介する保湿術は特別な道具もいらないし、使うアイテムも今までと同じなので無理なく続けられると思いますよ。
コツコツ続ければ点がいつしか線になり、肌が上向きになったことを実感できるはず。今日からぜひ始めてみてください。
続けるためのポイント
洗面所に
しばられない。
お手入れセットをカゴにまとめておけば、どこでもスキンケアができますよ。
がんばりすぎない。
ゆるくても続けることが大切。あれもこれもと欲張らずお手入れを楽しんで!
クレンジングで 落とす
「『落とす』は保湿の第一歩。
手早く、こすらず、丁寧に、が鉄則です」
化粧水などで肌を潤すことには一生懸命でも、「落とす」は漫然と済ませている人も多いのでは。メイクや皮脂汚れをきちんと落とせば、そのあとの化粧水やクリームが肌に入りやすくなります。意識を変えて、丁寧に取り組んでみましょう。
クレンジング剤は、肌に長い時間のせていると潤いまで奪ってしまいます。だから、メイクも汚れも手早く落とすこと。オイルタイプのクレンジングは、メイクになじみやすいのでおすすめです。
落とすときは、絶対にゴシゴシこすらないでくださいね。肌に負担がかかって老化を早めてしまいます。
両手であたためてから顔にのせる。
クレンジング剤をたっぷり手にとる。両手でこすりあわせてあたため、顔全体に押さえるようにのせる。
量が少ないと摩擦で肌に負担がかかるのでケチらないこと。
指を使ってくるくると、
らせんを描くようになじませる。
くるくるとクレンジング剤をなじませていく。アゴに親指を引っかけて中指でなじませると、余計な力が入らない。アゴ先からエラに向かって、額は中央からこめかみに向かって指を動かす。
皮膚の薄い小鼻や口元、目の周りは特に力を入れすぎないように注意。
すすぎは、落ちたと思ってから
プラス3回流す。
クレンジング剤にぬるま湯をなじませて乳化させて洗い流す。お湯の温度は34~38度くらいが目安。汚れを肌に残さないように小鼻の際や目尻まで丁寧に洗い流す。
クレンジングオイル
潤紡ぎ
余裕があったらトライ
ホットタオルでマスク
洗顔後、ホットタオルであたためると肌が柔らかくなって血行もよくなります。熱めのお湯で濡らしたタオルで十分。やけどに注意して行いましょう。
化粧水で 潤す
「洗顔後の保湿は90秒以内が勝負。
〝601円づけ〟で、たっぷり肌に潤いを」
洗顔後やお風呂上りは、90秒以内に化粧水をつけましょう。時間がたつほど肌は乾いて硬くなり、せっかく保湿力の高い化粧水を使っても、肌に入っていきにくくなります。
私がおすすめするのは「601円づけ」。つける量を硬貨の大きさに見立て、500円玉、100円玉、1円玉大の量を重ねてつけることで、肌をしっかり潤します。
つけ終わったら、頬骨の一番高いところを触る「満タンチェック」で潤いを確かめましょう。頬骨の周りは肌が薄くて乾きやすいところですから、ここが潤っていれば合格です。もし潤いが足りなかったら、量を足して十分に保湿しましょう。
500円玉大を顔全体になじませる。
化粧水を手に取り、両手をこすり合わせるように指先まで広げて顔全体になじませる。顔の中心から外側に向かって軽くすべらせるように動かす。
スーッとこすらないように優しくつけていく。
100円玉大を
トントンつけて血行促進。
化粧水を親指以外の両手の指先になじませて、トントンと軽く顔全体をパッティングする。腕は動かさず、顔を上下に動かして。
まぶたや目の両端にも指先を当てて細部まで潤す。
1円玉大を押し込むようにつける。
手のひらになじませて、顔全体に押し込むようにハンドプレス。最後は額とアゴ、鼻を両手で包み込むように押さえる。
化粧水をつけ終わったら
満タンチェックで潤いを確認。
片手を軽く握り、第二関節の部分で頬骨のトップを触る。ひんやりしていて、ムッチリ吸いつくような感じがしたら潤いが満タンの証拠。まだ足りなければ、②③のステップをもう一度繰り返す。
日本酒エキスローション
ゆきあかり
クリームで フタをする
「補った水分が逃げ出さないように
クリームで扉を閉めましょう」
化粧水をつけただけでは扉が開けっ放しの状態と同じで、潤いがどんどん逃げてしまいます。油分のあるクリームや乳液を重ねて、潤いを肌に閉じ込めましょう。
最初につけるのは、目周りと口元。私はこの2ヵ所を、肌の〝ファーストクラスのお客さま〞と呼んでいます。シワをつくりたくないなら、待たせないこと、怒らせないこと。まずここを優先して保湿しましょう。
顔全体に広げる際は、朝と夜で広げる方向を変えるのもポイントです。ちょっとした違いですが、デリケートな肌にとって、その差は大きなもの。ぜひ試してみてください。
目周りと口元につけてから
全体に広げる。
クリームを手にとり、両手をこすり合わせて指先まで広げる。指先のクリームを目の周りと口元につけたら、朝は外から内に、夜は内から外にクリームを広げる。
日中皮脂が出るTゾーン(額や鼻)は少な目でよいので、顔の外側に手のひらを当てて、内側にすべらせて広げる。
夜はマッサージ効果もプラス。リンパを押し流すイメージで、顔の中心に手のひらを当てて、外側にすべらせて広げる。
目尻はチョキづけで徹底的に保湿。
指先をチョキにして、目尻のシワを広げてしっかりクリームを塗りこむ。ほうれい線にも、頬をふくらませて塗り込む。
肌型セラミド保湿クリーム
潤みど
余裕があったらトライ
乳液仮面返し
化粧水で肌を整えた後に行いましょう。乾燥が気になる時のスペシャルケアにもぴったりです。
❶シートマスクをつける。
❷3分経ったら、マスクの上からたっぷり乳液を重ね、内から外にくるくるとマッサージするように広げる。
❸シートマスクをくるっとひっくり返してつけ、再び3分パック。外したらハンドプレスし、仕上げにクリームをつけて終了。
日本酒エキス乳液
ささめゆき
ビタミンC
ローションマスク
『肌再』
気分もあがる
〝おまけ〟のテクニック。
首までが顔!
「乙女の祈りづけ」でデコルテケア。
首元の乾燥が気になったら、クリームを少し多めにつけて、ぜひ試してみてください。
❶フェイスラインに沿ってクリームを広げ、片手で耳の下から鎖骨までリンパを流すイメージで手を動かす。
❷鎖骨のあたりで反対の手を重ねてグッと押し込むように圧をかける。反対側も同様に行う。
首の真ん中は甲状腺があるので刺激しないよう注意しましょう。
仕上げのオイルで肌に光を宿す。
基本の3ステップの後、仕上げにオイルも加えれば、さらなる保湿効果が期待できます。手のひら全体に広げたら、顔全体を包み込むようにふわっとつけること。最後に指先についたオイルを、ツヤを出して光を集めたい頬骨のあたりにスッと伸ばしてください。
W薬用美白保湿オイル
潤むく
指先と爪はすき間時間で保湿。
私はネイルオイルを持ち歩いて、タクシーの移動中などのすき間時間にケアしています。手を軽く握ってちょんちょんと爪の根元につけたら、反対の親指で一気に小指から親指に向かってなじませるだけ。一本一本ケアしなくていいから、これなら簡単ですよ。
ネイルオイル
美爪手
「スプーンどんぶらこ」で
硬くなりがちな頭皮を柔らかく。
❶スプーンの背を頭皮に当てて手のひらで軽く固定する。
❷柄を持った手を、船のオールを動かすように上下させる。カレースプーンなど大き目のスプーンを使ってください。