通販生活の一話だけ観て2023夏ドラマ採点

イラスト/辛酸なめ子

3

春ドラ『波よ聞いてくれ』で俳優としての評価を高めた小芝風花、代役で久々の主演作となる若村麻由美など、特集第3週は女優陣に要注目!

採点表

相田 影山 田幸
転職の魔王様 (カンテレ) 0.5 2.5 2
この素晴らしき世界 (フジ) 2 1.5 2.5
彼女たちの犯罪 (読売テレビ) 2.5 2 3
  • 3 絶対見るべき
  • 2 時間があれば
  • 1 んー……

私のイチオシ

  • 相田冬二
    相田冬二

    彼女たちの犯罪

    読売テレビ・日本テレビ系 木 23:59~

    ほぼ映画の作りだが、ドラマにしかできない日常の集積、怠さの堆積などが、節度ある虚構性の下に結実している。王道であり、異端であり。表現の自由を感じる。渋い。このまま貫いてほしい。

  • 影山貴彦
    影山貴彦

    転職の魔王様

    カンテレ・フジテレビ系 月 22:00~

    転職問題を真摯に扱っている点に好感。前作「波よ聞いてくれ」で、型破りなラジオパーソナリティー役を好演した小芝風花が、今回内省的ヒロインを演じているのが見もの。名手・成田凌との共演で、さらに成長するか?

  • 田幸和歌子
    田幸和歌子

    彼女たちの犯罪

    読売テレビ・日本テレビ系 木 23:59~

    タイプ違いの3人の中でも「静」の存在でありつつ、生臭さや謎を担っている前田敦子が良い。揺れる声色には不安や怒り、希望や落胆など様々な感情が溢れ、物語全体のトーンを支配している。毎熊克哉のクズっぽさも◎。

ひとこと批評

異色の転職エージェントが悩める人々を救う

転職の魔王様

カンテレ・フジテレビ系 22時
出演

成田凌、小芝風花

  • 相田

    0.5 成田凌と石田ゆり子以外が大げさすぎ。編集の間もズレまくりで、ドラマ自体が味覚障害に。
  • 影山

    2.5 転職というテーマに興味大。「波よ聞いてくれ」で成長遂げた小芝風花の演技に注目。
  • 田幸

    2 転職系CMの多さが気になっていた昨今、ドンピシャなテーマ。時代のニーズに合う作品。

平凡な主婦が大女優に“なりすまし”?!

この素晴らしき世界

フジテレビ系 22時
出演

若村麻由美、木村佳乃、沢村一樹

  • 相田

    2 若村麻由美と小田和正の相性が抜群によい。自分のできることをやる。これぞファンタジーの矜持!
  • 影山

    1.5 若村麻由美熱演。このネタで視聴者をどこまで引き付けられるか。展開次第で星上昇も。
  • 田幸

    2.5 若村麻由美と濃い脇役勢に胡散臭い笑顔の時任勇気、不機嫌顔の円井わんが好バランス。

「普通の幸せ」を求めた先にあるものは…

彼女たちの犯罪

読売テレビ・日本テレビ系 23時59分
出演

深川麻衣、石井杏奈、前田敦子

  • 相田

    2.5 前田敦子が久々によい。大森一樹監督の傑作『悲しき天使』を彷彿とさせる硬派な女性共闘劇。
  • 影山

    2 昼ドラ的な匂い立つサスペンスが、今の時代に逆に新鮮に映る。癖になりそうな予感も。
  • 田幸

    3 性格も環境もかけ離れた3人の女性の「日常」を並行して描く上での衝撃展開にやられた。

採点担当

相田冬二

影山貴彦

田幸和歌子

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  • 相田冬二

    あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
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  • 影山貴彦

    かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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  • 田幸和歌子

    たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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