イラスト/辛酸なめ子
第2週
今週も新ドラマ8本とボリュームたっぷり。なかでも注目は、「家族」がテーマの3本。それぞれ異なる家族のかたちが描かれます。
採点表
相田 | 影山 | 田幸 | |
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マウンテンドクター (カンテレ・フジ) | |||
夫の家庭を壊すまで (テレ東) | |||
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった (NHK) | |||
西園寺さんは家事をしない (TBS) | |||
錦糸町パラダイス~渋谷から一本~ (テレ東) | |||
GO HOME~警視庁身元不明人相談室~ (日テレ) | |||
マル秘の密子さん (日テレ) | |||
顔に泥を塗る (テレ朝) |
- 絶対見るべき
- 時間があれば
- んー……
私のイチオシ
-
相田冬二相田冬二
西園寺さんは家事をしない
TBS系 火 22:00~直球勝負のすがすがしさを支えているのは、キャスト・スタッフが一丸となったパワー。一切、手を抜かず、しかし決して重くはしない、覚悟と余裕。はやくも2024年のナンバーワン候補。
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影山貴彦影山貴彦
錦糸町パラダイス~渋谷から一本~
テレビ東京系 金 24:12~俳優陣・作り手たちが皆、自分たちがずっとやりたかったことを楽しみながら作品に反映させているのだろう。それが画面から溢れている。内容はもちろん申し分ないが、余韻が殊に素晴らしい。今期の大穴に推す。
-
田幸和歌子田幸和歌子
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
NHK 火 22:00~悲劇が続くのに、笑いと温かさに満ちた「喜劇」に見えるのは、大九明子監督と河合優実や、ダウン症の弟をダウン症の当事者俳優・吉田葵が演じることによる、本物の家族の日常をのぞいてしまったようなリアリティゆえ。
ひとこと批評
月
北アルプスの大自然で繰り広げられる「山岳医療」ドラマ
マウンテンドクター
カンテレ・フジテレビ 22時
出演
杉野遥亮、大森南朋、岡崎紗絵
-
相田
ケレンを排した地道な作りが清々しい。「何かやってる」感が皆無で、好ましさが持続する。 -
影山
序盤10分から佳き(よき)緊張感。テンポの良さが光る。杉野遥亮と大森南朋の対比がいい。 -
田幸
近年多いニッチな医療系。ペーペーから無理なく一気に成長を見せる杉野遥亮の演技は◎。
月
15年連れ添った夫には、もう一つの家庭があった!
夫の家庭を壊すまで
テレビ東京 23時06分
出演
松本まりか、竹財輝之助、野波麻帆
-
相田
復讐とミステリー。ホラーテイストを基調にコミカルな要素もふりかけているところが新機軸。 -
影山
松本まりかがハマり役。怖さ、面白さ、爽快感がうまく融合しておりクセになる予感。 -
田幸
復讐までの長さは衝撃。松本まりかの狂気の芝居は十八番だが、既視感が気になる。
火
「快進撃にもほどがある」と話題の河合優実さん主演
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
NHK総合 22時
出演
河合優実、坂井真紀、吉田葵
-
相田
純度は高いし、錦戸亮は好演。だが、残念ながらシリーズは後半で失速する。 -
影山
名作に疑いないことは、BSでの放送で実証済み。今回編集のため本編が短いのが惜しい。 -
田幸
「ふてほど」(「不適切にもほどがある!」)より河合優実の魅力は断然本作。複雑でも「可哀想」じゃないユーモアは秀逸。
火
家事は一切しない独身女性とシングルファザーが同居!?
西園寺さんは家事をしない
TBS 22時
出演
松本若菜、松村北斗(SixTONES)、倉田瑛茉
-
相田
松本若菜、松村北斗、いずれも名演。子役、犬までスキがなく、ドラマを観る歓びに溢れる。 -
影山
松本若菜の出世作となるか? 松村北斗との掛け合いが微笑ましく柔らかな気持ちになる。 -
田幸
母に去られた主人公と妻を失くしたシングルファーザーの「家事」を対比する構成が◎。
金
賀来賢人、柄本時生など若手人気俳優が共演
錦糸町パラダイス~渋谷から一本~
テレビ東京 24時12分
出演
賀来賢人、柄本時生、落合モトキ
-
相田
柄本時生企画、廣木隆一監督。丁寧で誠実な意欲作だが、初回ではまだ動ききらなかった印象。 -
影山
豪華な出演陣、興味あふれる内容、洒落た余韻。今後の展開に目が離せぬ素晴らしさだ。 -
田幸
役者プロデュース&コロナ禍に生まれた役者ユニット出演、能登支援という企画が新しい。
土
身元不明の遺体から、死の真相を明らかに!
GO HOME~警視庁身元不明人相談室~
日本テレビ 21時
出演
小芝風花、大島優子、阿部亮平
-
相田
地道な観点と、つぶさな展開。オーソドキシーを全うしていく、連ドラらしい連ドラ。爽快。 -
影山
小芝風花×大島優子のバディものが悪くない。吉田鋼太郎の存在でドラマが締まっている。 -
田幸
シリアスなテーマで日常や笑い、バディ・チームをバランスよく見せる八津弘幸脚本が◎。
土
華麗なる一族・九条家に立ち向かう
マル秘の密子さん
日本テレビ 22時
出演
福原遥、松雪泰子、桜井日奈子
-
相田
新書っぽい作りだが、松雪泰子再生プロジェクト、小柳ルミ子再生プロジェクトとして楽しく観れる。 -
影山
福原遥の個性と作品テイストのミスマッチ感が否めず。今後の展開次第で興味増すか? -
田幸
毒々しいおとぎ話に福原遥はハマる。ビビットすぎるビジュアルは物語の邪魔になる気も。
土
謎の美女の正体は「メイク男子」だった!
顔に泥を塗る
テレビ朝日 23時30分
出演
髙橋ひかる
-
相田
中高生向けな幼いドラマの作りだが、この題材はここまで咀嚼して提示しないと伝わらないのかも。 -
影山
ストーリー展開は決して悪くないと思うが、ドラマとしての完成度がややしんどいか。 -
田幸
話は良い。メイク男子・木村慧人は美しい。西垣匠のモラハラも上手い。でも画がチープ。
採点担当
相田冬二
影山貴彦
田幸和歌子
-
相田冬二
あいだ・とうじ●雑誌、ネット、劇場用パンフレットなどで執筆中。著書に「作家主義 レオス・カラックス アートシアター時代1988×2022」(A PEOPLE)「さよならくちびる」(徳間文庫)など。
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影山貴彦
かげやま・たかひこ●同志社女子大学メディア創造学科教授/コラムニスト。元毎日放送(MBS)プロデューサー。専門は放送を中心としたメディア研究。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」「テレビのゆくえ」「おっさん力」など。
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田幸和歌子
たこう・わかこ●出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)や、共著に『脚本家・野木亜紀子の時代』(blueprint)など。
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