沖縄県外の皆さん、辺野古のこと、沖縄の基地のこと、「他人ごと」でなく「自分ごと」としてそろそろ考えていただけませんか。 沖縄県外の皆さん、辺野古のこと、沖縄の基地のこと、「他人ごと」でなく「自分ごと」としてそろそろ考えていただけませんか。

2019年2月24日、辺野古(沖縄県名護市)への新基地建設の是非を問う県民投票が行なわれ、沖縄県民は明確に「ノー」の意思表示をしました。あれから5年——。国はその意思を無視して基地建設のための埋め立て工事を進めています。当時、県民投票を呼びかけて実現した元山仁士郎さんと、県の行政の責任者だった玉城デニー知事に、改めて辺野古のこと、沖縄の基地のことについて語っていただきました。

司会/今井一(ジャーナリスト)

基地問題を伝えるために、全国11ヵ所で「トークキャラバン」を開催。

玉城
元山さん、お久しぶり!
元山
ごぶさたしています。昨年12月に肺炎で入院されたと聞いて心配していたのですが、お元気そうで。
玉城
もうすっかり治りました。今日は楽しい話ですよね(笑)。
元山
私もできればそうしたいのですけど(笑)。今日の対談は日本全国の人たちに辺野古や沖縄の現状を知ってもらうことがテーマなので……。
司会
相当厳しい話もしていただくことになるかと思いますが、ぜひお二人とも率直なやりとりをお願いします。
2019年2月24日に辺野古での基地建設の是非を問う県民投票が実施されましたが、開票後の記者会見で玉城知事は「今日、沖縄県民は明確な意思を示しました。(沖縄県外の)皆さん、これを他人ごと(ひとごと)だと思うのではなく、『自分ごと』として受け止めてほしい。そのために、これから自分は全国各地を行脚します」とおっしゃいました。この5年間、それを実行してこられましたか。

2019年2月25日未明、前日の県民投票の結果を受けて沖縄県庁で記者会見する玉城知事(撮影/今井一)。

玉城
はい。「デニー知事のトークキャラバン」と銘打って、これまで全国11ヵ所で、辺野古の新基地建設や沖縄の基地問題についてお話しさせていただきました。オンライン視聴の方も含め、話を聞いていただいた方は約4800人になります。
これまで国は、辺野古新基地建設をめぐる問題点について国民に語らず、事実を伝えない「不可視化」の方針をとってきました。それが、国民の意識を日米安保や米軍基地の問題から遠ざけることになってきたと思います。特に沖縄県外では、メディアにおいても辺野古の問題や沖縄の基地負担について十分に報道されているとは言えません。
元山
県内でも基地がない市町村では「基地被害」にピンとこない方もいるかもしれませんが、県外ではなおさら関心が低いのは確かです。
玉城
いずれにしても、政府による「不可視化」によって、結果としてインターネットの世界ではまったく事実と異なることが書かれ、「噓も百回言えば真実になる」というようなことが起こっています。であれば、問題点や沖縄県の考えを、知事である私が直接、はっきりとお伝えしようと始めたのが「トークキャラバン」なんです。

23年7月19日、長崎市で開催されたトークキャラバン。写真提供/新外交イニシアティブ(ND)

県内でも基地問題の啓発に取り組む。写真は、23年8月26日に名護市で開かれた「若者と考える『理想の沖縄』-横たわる基地問題を超えて-」で参加者と語り合う玉城知事。写真提供/新外交イニシアティブ(ND)

元山
毎回どんな話をされているのですか。
玉城
主に次の三つのことを話しています。
➀国土面積の約0.6%でしかない沖縄県に、米軍専用施設面積の70.3%が押しつけられている。
②22年に安保関連三文書が閣議決定され、新たな自衛隊基地の建設やミサイル配備などが進んで沖縄の軍事的負担が増している。
③こうした軍事化は周辺諸国との緊張を高め、沖縄が直接的な攻撃対象となる危うさをはらんでいる。
こうした状況に対して、しっかりと警鐘を鳴らしていかなくてはならないと思っています。