沖縄県外の皆さん、辺野古のこと、沖縄の基地のこと、「他人ごと」でなく「自分ごと」としてそろそろ考えていただけませんか。 沖縄県外の皆さん、辺野古のこと、沖縄の基地のこと、「他人ごと」でなく「自分ごと」としてそろそろ考えていただけませんか。

2019年2月24日、辺野古(沖縄県名護市)への新基地建設の是非を問う県民投票が行なわれ、沖縄県民は明確に「ノー」の意思表示をしました。あれから5年——。国はその意思を無視して基地建設のための埋め立て工事を進めています。当時、県民投票を呼びかけて実現した元山仁士郎さんと、県の行政の責任者だった玉城デニー知事に、改めて辺野古のこと、沖縄の基地のことについて語っていただきました。(前編はこちら

司会/今井一(ジャーナリスト)

玉城
さらに、米国側が新基地は「沖縄でなければならない」と言っていないことは、「日本政府が別の場所に配置すると決めれば、米国側は受け入れるだろう」というモンデール元駐日大使の発言からも明らかです。
「辺野古に新基地ができなければ、世界で一番危険な米軍基地と言われる普天間飛行場の移設が進まない」とも言われますが、このまま辺野古に基地を建設したとしても、それが使えるようになるまでには最低12年かかるとされています。今後の工事の難易度から考えると、さらに大幅に工期が延びる可能性は非常に高く、その間、普天間飛行場は固定化され「早期の危険性の除去」にはまったくならないのです。
元山
それにもかかわらず、国は沖縄県民が選挙や住民投票を通じて何度となく示してきた「移設反対」の明確な民意を完全に無視し続け、今年1月10日から辺野古沖の大浦湾埋め立て工事に着手しました。
玉城
我々は「公有水面埋立法」に基づき、しっかりと理由を述べたうえで21年11月に「設計変更は承認できない」と判断しました。同法では、たとえ国による埋め立てでも、それを承認するかどうかは地域の実情に詳しい地元自治体の知事の権限とされています。にもかかわらず、高裁判決は我々の主張を一切検討することなく、一方的に国の請求を認めました。その明らかな誤りを追及するために最高裁に上告することを決めましたが、最高裁の結論を待つことなく国は埋め立て工事を開始したのです。これは、地方自治体の自己決定権、つまりは憲法で謳われている地方自治の本旨をないがしろにする行為です。
元山
代執行についてのニュースを見ていて、本当に悲しかったです。沖縄にはかつての沖縄戦の記憶があり、そして戦後も過重な基地負担、米軍による事故や事件被害に苦しんできた。その歴史のもとで県民は「せめて辺野古に基地を造るのはやめてほしい」と訴えてきたわけです。それなのに、その声は今回も無視されてしまいました。

沖縄県民の民意を明確に示した2019年の県民投票。

司会
元山さんは「沖縄の民意を無視した」と言われましたが、その「民意」が明確に示されたのが、元山さんたちが「話そう基地のこと。決めよう、沖縄の未来」と呼びかけて実現した19年の県民投票でした。基地建設のために辺野古の海を埋め立てることに対し、多くの有権者がよく考え、よく話し合い、思いを込めた一票を投じました。

2019年2月14日、県民投票告示の日に沖縄県庁前の県民広場で投票を呼びかける元山さん(写真中央)。撮影/普久原朝日