今年に入って5ヵ月間で起きた震度5弱以上の地震は、すでに7回。 今年に入って5ヵ月間で起きた震度5弱以上の地震は、すでに7回。

防災道具、備えてますか?

地震のニュースを聞いても、驚かなくなっていませんか?
過去5年の年平均10.4回から考えると、今年はやや頻発ぎみ。
「震度5弱」は、家具の倒壊など、
人にも被害が生じる可能性がある地震ですから、慣れっこは禁物。
危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、
いま備えるべき防災道具を教えていただきました。

教えてくれる人

危機管理アドバイザー国崎信江さん

くにざき・のぶえ●女性・母の視点から防災・防犯を推奨。内閣府などの防災に関する専門委員を務める。著書に『決定版 巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)など。

「南海トラフ地震の津波は2分で来る。揺れていても逃げてください」

 南海トラフ巨大地震は、今後30年間に70~80%の確率で起こると言われています。30年ならまだ先だと思うかもしれませんが、あくまでも「30年以内」。あした起きてもおかしくないのです。
 一番の脅威は、東海から九州の広範囲を襲う津波。東日本大震災の最大波は地震の30分ほど後でしたが、南海トラフ地震は最速で2分後と予想されています。
 一方で地震の揺れは「長周期地震動」といって数分続きますから、「揺れが収まったら避難」では間に合わないかもしれません。海辺にお住いの方は、揺れている最中でも、動けるなら避難のための行動を始めてください。
 津波が届かない内陸部でも、震度7の揺れでは家が崩れたり土砂崩れに巻き込まれたりする危険があります。危ないと思ったら迷わず逃げてください。

「避難所に入れる人は少数派。在宅避難を前提に、食べ物や水、消耗品の備蓄を」

 地震が起きたら避難所で生活するものと思っている方が多いですが、避難所の数はそれほど多くありません。東京なら収容人数は都民の4分の1程度。残り4分の3の方は在宅避難か、親戚や知人宅への分散避難を余儀なくされます。
 支援物資は避難所が優先になりがちなので、在宅避難の方は家族分の食べ物や水を自分で用意する必要があります。
 地震で道路が寸断されると買い物にも行けないので、目安は1ヵ月。まずは傷みやすい食材から食べる。食べきれなかった冷蔵庫のお肉はクーラーボックスに移して、冷凍食品を保冷剤代わりにしてもたせるといった工夫で乗り切ります。
 食料だけではなく、トイレットペーパーなどの消耗品も1ヵ月分用意しましょう。トイレットペーパーなら12ロール入り2パックあれば4人家族で1ヵ月もちますから、備蓄といっても身構える必要はありません。

防犯道具特集

身近な危険でもうひとつ、住宅への侵入犯から守る道具をご紹介。あなたの家の弱点を補う道具を、防犯ジャーナリストの梅本正行さんに聞きました。

教えてくれる人

防犯ジャーナリスト梅本正行さん

うめもと・まさゆき●日本防犯学校学長。犯罪被害に遭う可能性を予測して防ぐ「予知防犯対策」を提唱。近著に『すぐできる60歳からの自宅防犯ワザ100』(宝島社)など。

「防犯の第一歩は侵入犯に〝入りにくい家〟と思わせることです」

 昨年、日本の犯罪件数が20年ぶりに増加しました。身近な犯罪で目立ったのが住宅への侵入強盗で、1年間で129件。今年1月に狛江市で高齢女性が強盗グループに殺害された〝ルフィ事件〟もそのうちの1件です。
「大きな家だから狙われたんだろう。ウチは大丈夫」と思っていませんか?強盗が狙うのは、大きい家や豪邸ではなく「入りやすい家」。防犯対策の弱い家が狙われるのです。
 対策は「光で照らす」「音で警告する」「侵入に時間をかけさせる」の3つが基本。
 これは空き巣などの侵入窃盗を防ぐために有効です。まずは自宅の敷地内を見回して、どこがお宅の弱点か考えてみてください。
 裏口があれば照明を付ける、鍵を2つ付ける、といった小さな対策の積み重ねが「入りにくい家」をつくる一歩です。