お母さん、今日は笑ってくれるかな。

お母さん、今日は笑ってくれるかな。

7人に1人(13.9%)と言われるわが国の子どもの貧困率は、ひとり親世帯、とくに母子世帯の子どもにかぎってみると、2人に1人(50.8%)にはね上がります。朝から働いて、子どもを迎えにいって、晩ごはんをつくって、子どもが寝たあとでまた働きに出ても、お金が足りない。

子どもたちがお母さんの横顔ばかり見なくてすむように、ひとりで踏んばっているお母さんたちへの支援が必要です。

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「親といつも一緒にいることが、子どもにとっての幸せとは限りません」

認定NPO法人CPAO(しーぱお)/大阪府大阪市

取材・文=横山健(通販生活編集部)

 CPAO(しーぱお)は「ごはん会」を通じて、貧困状態にある子どもの支援をしています。この「ごはん会」活動に、2017年下半期の「子どもの貧困・ネット1%カンパ」から300万円の支援をしました。

 CPAOの活動にはもうひとつの柱があります。しんどい状況にいる子どもに対して親も丸ごとサポートする活動です。
 大量服薬して気絶したシングルマザーの部屋へ夜中に駆けつけて病院へ搬送したり、水道すら止まっている母子家庭を何度も訪れて食料を持って行ったり、サポートの内容はさまざま。
 一言で言えば、困っている子どもやシングルマザーがいたら、できることは何でもやって問題を一緒に乗りこえたい、というのがCPAO代表の徳丸ゆき子さんのスタンスです。

 家賃滞納で強制退去させられた母子や、体力的、精神的に余裕がなくなったシングルマザーの子どもを自宅で預かることもしょっちゅうです。
 ただ、出張も多く多忙な徳丸さんが、自宅で子どもの面倒を見るのは限界があります。
 そこで、しんどい状況にいる子どもをいつでも長期間預かることができる家「CPAOハウス」を立ち上げることにしました。

とくまる・ゆきこ●12年、公益財団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」を退職。13年5月に子ども支援関係者らと「大阪子どもの貧困アクショングループ/CPAO」を立ち上げる。16年にNPO法人化、18年に認定NPO取得。13歳の息子を持つシングルマザー。

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「2階の2部屋は居住スペース、1階はシングルマザーがいつでも集えるコミュニティスペースにします。24時間の常駐でスタッフ1名はいるようにして、そのほかのスタッフも時間のあるときはできるだけこちらに来るようにします。

 子どもがひどい状況にいるなら児童相談所の一時保護に預ければいいだろう、と思う方もいるかもしれませんが、ことはそう簡単ではありません。

 たとえば、5年ほど関わっている3人きょうだいですが、両親はともに健在で生活保護を受けています。生活はひどく無計画で、保護費が支給される月の初めは外食や買い物を思う存分にして、月の半ばには電気代も払えなくなってしまう、ということの繰返し。
 3人きょうだいは、あまり食事をさせてもらえず、同級生と比べて身体はかなり細く小さく、体重も驚くほど軽い。
 ネグレクト(育児放棄)ですが、まったく食べさせてもらっていないわけではありません。緊急優先される、もっとわかりやすくひどい状態に置かれている子どもの対応で大阪市の児童相談所は手一杯です。

 本来なら両親の問題を解決することが先ですが、それには時間も手間もかなりかかります。その間にも3人きょうだいは成長していく。私は『子どものいま』を優先してサポートしたいと思っています。

 家の実情を知られたくないからか、子どもを家から出したがらない両親を説得して、なんとか3人きょうだいがCPAOのごはん会に来るようにはできました。週3回のごはん会へつづけて来ている間はきょうだいの顔がふっくらとします。でも、しばらく家から出してもらえなくなると、次に来たときはまた頬がこけている。
 口止めをされているようであまり話してはくれませんが、断片的に聞いた話では、2,3日まともな食事を出してもらえないことはざら。父親が自分だけラーメンを食べて残った汁を子どもたちの食事にすることもあるそうです。

 これまでは、3人きょうだいの状況をあまり良くできませんでしたが、『CPAOハウス』なら長期間、両親から離れ、そこから学校に通うといった生活をすることもできます。生活費が無くなる月の後半だけでも3人きょうだいを預かることができるかもしれません」

築50年の木造家屋が改装されて「CPAOハウス」になった。

「この3人きょうだいだけでなく、『CPAOハウス』で一定期間生活できる、自宅がしんどいときにいつでも泊まれる場所があれば良い方向へ向かうだろう、という子どもは少なくありません。

 今年中学1年の女の子、ミオちゃん(仮名)もその1人です。
 お母さんはDVから逃げてきてスナックで働いていています。夜はほとんど家にいません。
 ミオちゃんは小学低学年のころから、お母さんの分まで料理をつくるくらいしっかりしていました。私の自宅に泊まりにきても、『オカンが帰ってきたときにさびしいと思うから帰るわ』と言うような母親想いの子でした。
 それが小学6年になると、一人暮らしの高校3年生とつき合い出して、その年の夏休みはまったく家に帰りませんでした。

『高校に行きたい』と言っていましたが、いま中学校にはほとんど通っていません。でもまだ間に合うはずです」

 CPAOが手に入れたのは築50年の木造2階建て。そのまま使える状態ではなかったので改装工事をして、5月中旬に「CPAOハウス」はスタートしました。

この活動に、330万円をカンパしました。

「CPAOハウス」改装費 300万円
団体の運営費 30万円

活動を応援したい方は、
ぜひ下記へご支援をお寄せください。

認定NPO法人「CPAO(しーぱお)」

所在地 〒544-0004 大阪府大阪市生野区巽北1-4-3
メール info@cpao0524.org
支援金受付 三菱UFJ銀行 生野支店
普通0135871
口座名義NPO法人CPAO