与えられたお題を記憶だけを頼りに描く・・・
それが「記憶スケッチ」。通販生活で95年から02年まで連載していた大人気投稿企画の再録です。さぁ、百聞は一見にしかず。理事長・ナンシー関さんの愛ある選評をご堪能ください。
※投稿者の年齢・職業は初出掲載時のままです。
ナンシー関
消しゴム版画家、コラムニスト。1962年、青森市生まれ。84年、消しゴム版画家としてデビュー。コラム執筆でも才能を発揮し、雑誌連載や著書も多数。02年6月12日逝去。享年39。
今回のお題 「鬼」
ゆき(29歳)
- ナンシー関
- 顔が人間と変わらないところが逆に怖いです。それもコニタン似。コニタン、マッチョだからなあ。
谷原イセヲ(78歳)
- ナンシー関
- カラーでお見せできないのが残念。ゴーギャンを思わせます。とは書いてみたものの、どこがどうゴーギャン。タヒチの観光客相手のファイヤーダンサーに似ていたもので。
上田鈴香(42歳)
- ナンシー関
- かわいいんだかかわいくないんだか。「エヘヘ」なんて笑いながら近づいて来ても、気を許しちゃいけません。タチ悪そうです。
中島久美子(35歳)
- ナンシー関
- どこか日本人離れした印象を受けるのは、腰の位置が高いからでしょうか。メタル系鬼、もしくはWWF系新人レスラー鬼という感じです。
石井靖浩(27歳)
- ナンシー関
- 怖いですねえ。ある意味最も怖いかもしれません。腕力だとか凶暴性だとかいうことではなく、性格的に粘着質な気がします。じわーっとしみ入ってくる怖さ。角の生え方と、目の下のクマ、怖いっす。
利根川美紀(33歳)
- ナンシー関
- 何とも気弱。ツノも牙も鋭くとがっているというのに、素手でも勝てそうな気がするから不思議です。ジュース買って来い、と命令したくなります。
島 淳子(29歳)
- ナンシー関
- 嫌です。人間だとしても嫌なタイプです。説教ぐせがあって、酔うと暴力をふるうこともある。酒乱と言ってもいいでしょう。
匿名希望
- ナンシー関
- でかい。推定4000メートルはありましょう。デフォルメということも含めて、思い切り極端な表現をとることも、時には効果的です。でも、でかすぎ。
宮内利季子(9歳)
- ナンシー関
- たいへん珍しい鬼です。まずメガネ、下ぶくれのりんかく、フレンドリーなポーズ、角の先がこんなに丸まっているのも珍しい。非暴力主義の鬼と見ました。
田中トシ子(78歳)
- ナンシー関
- 近所のバカ、といった風情が妙に気に入ってしまいました。この鬼には金棒ではなくておでんの串を1本持たせてみたいです。
佐藤匡彦(18歳)
- ナンシー関
- 送られてきた作品の中でとりあえず「ボス」になるであろうと思われたのがこの鬼です。髪、ヒゲ、体毛、眉毛、全ての毛が超剛毛であるところがポイントかも。
丹下 典(36歳・会社員)
- ナンシー関
- これが丹下さんにとっての「MY鬼」なのでしょう。しかしながら、とても一枚看板を張れる鬼ではありません。主役の仏像に踏みつけられている「邪鬼その1」ってところです。それもまた鬼。
今回のお題 「鬼」の総評
考えてみれば、鬼というのは多くの昔話や民話に登場し馴染み深い存在ではありますが、その姿形に関してははっきりとした統一性は無いように思えます。
しかし、今回の応募作品を見てわかりました。日本人の「鬼」像は、「泣いたあかおに」と、節分近くになるとでん六豆にオマケでついてくる「赤塚不二夫の鬼の面」の2つに集約されているのです。これはたいへん重大な発見と言えるでしょう。
あと、「金棒」の所持率の高さには目を見張るものがありましたが、もちろん「鬼に金棒」から来ていると思われます。
間違いのパターンとしては「雷様」が最多でした。今この瞬間「えっ、雷様って鬼じゃないの?」と思った人、いますね。