辛淑玉の韓流エンタメ沼

<毎月第1・3火曜更新>「韓流ドラマ」にはまったく興味がなかった辛淑玉さんが、ある日突然ハマった「韓流沼」。隔週でおすすめドラマ1本とその見どころをディープにミーハーに解説します。韓国の芸能・歴史情報、小ネタも満載!!

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キム課長とソ理事

 笑うためだけに何度も見てしまうのが、ナングン・ミンとジュノが主演の『キム課長とソ理事 ~Bravo! Your Life~』(2017年)だ。

 地方都市のヤクザが経営するクラブで裏帳簿を任されていた経理の天才キム・ソンニョ(ナングン・ミン)は、抜群の手腕で、さらにそこからチョロまかしていた。彼の夢はデンマーク移住。そのための資金を貯めていたのだ。

 ところが、それがバレたことで方向転換し、大企業ならもっと抜けるだろうと、経理の中途採用に応募する。キムは見事合格して課長のポストをゲット。しかし入ってみれば、会社ぐるみで裏金作りをし、社長が私腹を肥やしている状態。その結果不審な自殺者を出すなど、社内には様々な問題が山積していた。

 これらの、口封じを含めた「問題解決」のためにヘッドハンティングされたのが検事出身のソ・ユル(ジュノ)だった。キムはさっさとピンハネをして会社からトンズラしようとするのだが、ひょんなことから「いい人」と誤解され、どんどんヒーローにされていく。このあたりのあわわ感が最高に面白い。

イラスト/西村オコ

 そんなキム課長と、冷酷なやり方で手腕を振るっていたソ理事。この物語は、当初は敵対していた二人が、いつしか一緒に会社の立て直しに奔走するという、企業モノ痛快コメディだ。どの回も笑える。少しでも経理の経験があって帳簿や決算書を読めるとなお面白い。

 初めてナングン・ミンを見たのは『ホジュン ~伝説の心医~』(2013年)で、美しい顔立ちの俳優さんだな、と思ったが、『抱きしめたい~ロマンスが必要』(2014年)ではTV通販会社のファッション事業局の局長を演じた。主人公が思いを寄せる上司役だったのだが、これはナングン・ミンでなくてもできる役だった。おそらく、甘いマスクだから甘ったるい役をやらせるという、韓ドラのいつもの失敗パターンだったのだろう。これは惜しかった。

 コミカルな役は他にもあったが、キム課長はナングン・ミンの当たり役だと思う。最近は『ドクタープリズナー』(2019年)で、悪をもって悪を制す、というシリアスな役も演じ、多くの韓ドラファンに「ナングン・ミンは裏切らない」と言わせている。

 ソ理事役のジュノはアイドルグループ「2PM」のメンバーだが、この作品で役者としての評価が高まったと言っていい。えっ、あのジュノが、と思うほどの迫力で拷問をするシーンもあれば、コミカルで軽快なやりとりもこなす。しかも、理事として映るときの見事なスーツの着こなしは、立っているだけでかっこいい。実力派のナングン・ミンの相方をやるのは相当大変だったと思うが、ジュノは見事にやりきった。

 ジュノは、2017年に主役を務めた『ただ愛する仲』では実直で素朴な青年を演じた。傷ついたもの同志がいたわりあうこのドラマは必見。ジュノの魅力を再発見できる。

視聴情報

キム課長とソ理事~Bravo!Your Life~

発売:コンテンツセブン
販売元:TCエンタテインメント
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※情報は2021年9月時点のものです。

辛淑玉

しん・すご●博報堂特別宣伝班を経て1985年、企業内研修の会社を起業。職能別研修を請け負う。著書『怒りの方法(岩波新書)』『差別と日本人(角川ワンテーマ)』など多数。いまは、日・韓・在日の100年史の執筆準備中。
隠れARMY(※)。k-popでは、クロスオーバーグループ「フォレステラ」に夢中。マンガ大好き。※k-popグループBTSファンの総称