夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
2月の審査結果発表
兼題「春泥」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
春泥の能登銭湯をおごらるる
板柿せっか
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夏井いつき先生より
「春泥」とは、凍解・雪解・春雨等によって生じるぬかるみです。「春泥の能登」と地名を特定したことで、私たちの脳裏には、かの震災そして水害に見舞われた能登の現状が立ち上がってきます。
「銭湯」をおごられたのは、ボランティアの方々あるいは復旧現場の作業員さんでしょうか。学術調査等で訪れた研究者や学生かもしれません。能登のために、能登を見捨てることなくよく来てくださったという地元の方の切なる思いが、「銭湯をおごらるる」という事実の向こうにみえてきます。
春とはいえ、余寒の厳しい能登。熱い湯に躰をあたためることが何よりの労わりであることを、被災者の皆さんこそが身に染みて知っているのです。本当の意味での春の訪れを能登の皆さんと共に祈りたい。そんな気持を強くさせられた一句です。
礼服に長靴春泥に集う
秋月あさひ
お祝い事でしょうか、お弔いでしょうか。黒い「礼服」に身を包みつつ、足元はみな一様に「長靴」なのです。この町の「春泥」の頃の礼装はまさにこれ。「春泥に集う」という収斂の仕方が、一句の成否を決めました。
ローラーすべり台春泥の終点へ
赤尾双葉
「ローラーすべり台」とは、一つ一つのローラーが回ることでスピードが出やすく疾走感が楽しめる滑り台です。とはいえ、その終点にあるのが泥濘。この先は、言わずもがなの結末が待っています。「春泥」「終点」と踏んだ韻も隠し味となって。
春泥のここが風呂場や地鎮祭
守田散歩
「春泥のここが」という前半の構成に企みがあります。「ここが風呂場」? この泥濘が? と首を傾げた瞬間の下五「地鎮祭」。中七の切字「や」の詠嘆も効いています。やがて始まる祝詞に春の喜びが重なります。
跡地だと聞き春泥に歩を止める
川崎乃古亭
何の「跡地」であるかは書いていません。が、作中の人物にとって、思い出や思い入れのある「跡地」であることは確か。「春泥」の途上、思わず「歩を止める」という動作にその心情がゆっくりと滲み、広がっていきます。
踏む逃げる、吾は春泥の王である
白沢ポピー
「踏む逃げる」を子供の遊びと読みますか、人生の紆余曲折を思ってしまいますか。読点のあとの「吾は春泥の王である」という詩語がどうにも痛快で、愛してしまった作品です。「春泥の王」のその冠もまた泥なのでしょうね。
春泥や夫は豚の種付けす岡田雅喜
春泥の駐車場なりラーメン屋赤鰯子
海鳴りの寄する母校や春の泥葦屋蛙城
発掘は春泥ひかるあの辺りあたしは斜楽
春泥から生まれたような子の帰宅家守らびすけ
春泥や二十才のころの吾を憎むRUSTY=HISOKA
納骨を済まさん今朝の春の泥男鹿中熊兎
春泥や犬とは真直ぐなる獣川越羽流
あをぐろきは断層あかぐろきは春泥霧賀内蔵
春泥の凸にはひかり凹は影空流峰山
にはとりの腹春泥に清らなり古賀
馬騎りの体幹ふとし春の泥桜鯛みわ
文明は河に始まり春の泥すりいぴい
春の泥掻いても掻いても泥の春高岡春雪
春泥や今朝の私を置いてゆくEarlyBird
春泥や国生み気どり杖をつき相生三楽
春泥や足跡化石一億年相沢薫
春泥や口遊みつつ大跨ぎ愛燦燦
春泥や木喰訪ね靴重し藍野絣
前輪くきくき春泥の坂を漕ぐあいむ李景
春泥やなほ求めおり失せしもの逢來応來
逡巡の恋や春泥飛び越ゆる青井季節
三脚を畳む春の泥を拭ふ青居舞
春泥や移住希望者説明会蒼空蒼子
春泥に濡れる婦人の浪漫主義青田奈央
校庭の春泥ぷくと発酵しあおのめ
春泥に汚れたバスに客五人青星ふみる
春泥や姉に預けしランドセル青松紫雲英
春泥や走り根太き一里塚赤尾てるぐ
春泥や還暦過ぎの恋心あかねペン銀
春泥へどれも斜めや電信柱あが野みなも
三輪山の春泥つけたままの靴赤富士マニア
田代から春泥越えゆく祝いごとacari
春泥や寺の縁起をじっくり読むあかり
象亀の腹癒しをる春の泥明惟久里
春泥や花壇にサックスのオブジェ空地ヶ有
足跡の上に羽根揺る春の泥あきちゃんはようせい
春泥や帝王切開傷跡秋桜みりや
春泥を撥ね上げ進む自衛隊昭廣凡字
春泥や介護タクシー遠回りあくび指南
春泥やあの子転校するらしい浅井翠
運転教習春泥にエンスト朝雲列
春泥や満ち足りた日も喉渇くあさのとびら
春泥や再就職の内定来朝日雫
春泥の補助輪取れて光るリムあじさい卓
春泥や朝市ふらり海緩む明日に翔ぶ会
PK戦熱き膝つく春の泥藍創千悠子
「考える人」の色なる春の泥足立智美
春泥や騎兵隊組むコイントス渥美こぶこ
春泥の子ら球根の芽ぐむよに我孫婆
春泥や直売所盛り上げる歌手あまぐり
春泥がこの頃少し好きである雨森茂喜
リストラも離婚もあった春の泥雨降りお月さん
しあはせにのたくる朝日春の泥綾竹あんどれ
春泥や荷台に本を束ねたり綾竹ろびん
春泥や信号を待つバキュームカーあらい
足跡無き春泥赤旗の校庭荒木響
春泥や長靴弾ませ昭和の子荒木ゆうな
春泥をゆく白犬の背に夕日蛙里
春泥やスマホも銭も持たずゐて有村自懐
過疎の地へ青年教師春の泥アンサトウ
春泥や転勤先の天津飯安春
春泥は清しジャーゴンに子の矜持井若宙
春泥を跳びこえ雲と駈落ちす飯村祐知子
原稿をもらふ往復春の泥猪狩鳳保
春泥や真昼間から酒に酔ふ生野薫
友と和解や春泥を帰り来ぬ郁松松ちゃん
春泥や底のない空現れる池田悦子
春泥や子の手吊りゆく父母の影池田桐人
春泥を嗅ぐ柴犬の尾のまろし池之端モルト
思ひ出の靴捨つ春の泥もろともイサク
春泥を避け春泥に突つ込みぬ石井一草
春泥の塊ならす爺一人石井久次
春泥や歩幅が少したりなくて石田ひつじ雲
春泥の輝きの野を熱気球石塚彩楓
春泥やサイドミラーに能登の海石原由女
春泥を撥ね引つ越しのトラック来石村香代子
春泥や轍のあとの牛の糞(まり)石本美津
隠さざる侵略の記や春の泥泉晶子
ミッフィーの耳に乾きし春の泥和泉攷
我が墓石建つ前の息春の泥和泉園実
高認試験へ渋谷界隈春の泥いずみ令香
不器用な長女いとほし春の泥石上あまね
春泥に転がるカバと見てる河馬いたまき芯
鼻振りて象は春泥浴びにけり一井かおり
春泥や埴輪の瞳とモジリアニ市川卯月
天空を禊ぎし名残り春の泥市川りす
春泥やラジオ体操間に合うかいちご一会
手を繋ぎつつ春泥の両側をいちすぺ
鶏の鳴きて春泥震えをり一ノ瀬なつめ
春泥や恋占いの列長しいつかある日
春泥や歯茎を見せて馬笑ふ伊藤映雪
春泥やミニクーパーの顔拭ふ伊藤薫
三毛帰る尾に乾きたる春の泥伊藤順女
春泥や糞の匂ひの仄かなり伊藤なおじい
春泥や転勤先の水甘し伊藤柚良
春泥は嫌ひと露西亜の女の言ふ伊藤小熊猫
乾きゆく春泥の端ふくらみぬ糸川ラッコ
眠りたる子の束の間よ春の泥いとへん製作所
上澄みの空も明るし春の泥井中ひよこ号
春泥や地の果てを指す名の岬稲畑とりこ
春泥や行列ニキロ紙の剣イナホセドリ
春泥を蹴り上げ陽光を急かす居並小
春泥や最後の一羽のような鳥井上鈴野
春泥や空をゆくものみな光り井上れんげ
春泥を浴びるジープのふかし音井納蒼求
春泥や放射能をおびてなほ猪子石ニンニン
春泥を口笛で来てひよいととぶ井原昇
春泥の靴跡のこす公文塾いまいやすのり
足跡は親子なるべし春の泥今村きき
春泥は弱酸性で泣き虫で伊予吟会宵嵐
春泥もいつか乾くさ婆の欠伸伊代ちゃんの娘2
春泥を飛び越えカレー食べに行こういわさちかこ
春泥や鷺は嘴から振り向きぬ岩清水彩香
春泥やじゃんけんの道けもの道岩瀬けいこ
春泥を踏んで母校に着任すうえともこ
同部署に他社が参入春の泥上野眞理
春泥や像のおしりのひび優しうすい木蓮
春泥の呼吸ぽつぽつ気泡めきうた歌妙
春泥や荷台に新しき机内田こと
ほろ酔いの二人春泥の路地に出る内本惠美子
父を超す春泥の靴揃えけりうつぎゆこ
春泥を詫びて差し出す土産菓子靫草子
春泥を光のほうへ踏むペダル卯之町空
清流に洗う春泥憚りて海口竿富
春泥に浸かっていたい駄々こねたい海沢ひかり
湧水を汲む行列や春の泥梅里和代
春泥をツァラトゥストラと踏みまする梅朶こいぬ
春泥やタバコ屋跡の駐車場梅田三五
いのちにも少しく春の泥のあとうめやえのきだけ
地球儀を半分回し春の泥浦城亮祐
春泥の跳ねて小さきアルペジオ江川月丸
春泥を酔客のごとラジコンカー江口朔太郎
ぽってりと乳房のごとく春の泥蝦夷野ごうがしゃ
行く人のスキツプめきて春の泥蝦夷やなぎ
自転車を引きて春泥の坂道絵十
晩学の小さき躓き春の泥江戸きり子
春泥や学習院の社宅跡朶美子
紙芝居自転車捕らふ春の泥えりべり
最後の朝練春泥は勲章ANGEL
春泥や摘まむ袴の鬱金色おおい芙南
春の泥境界線といふ火種大岩摩利
春泥をずぼずぼずぼん一年生大久保加州
春泥や恋のはじまりゆっくりと大越総
登園へ列ぐなぐなや春の泥大越マーガレット
犬の尾の乾ききったる春の泥太田けいこ
春泥やあの石に右足置けば大竹八重子
序章から進まぬ育児春の泥太田怒忘
春泥やすなばセットに雨うたふ太田一駄歩
ホースの先細め春泥の靴洗ふ大塚恵美子
春泥にまみれて朝の指定靴大津美
春泥や出向先の昼休み大谷維鶴
春泥や偶蹄目も訪れた大矢香津
春泥やああもう義父の三回忌大山長閑
春泥を光の弾として駿馬岡一夏
春泥や離村数戸と知らされて岡井風紋
春泥をつけて新車の朝帰り岡井稀音
春泥を跳んでお使い忘れたりおかえさき
春泥や別れの頃のスニーカー岡崎佐紅
春泥のかがやきにほふ馬場かな 可笑式
たぷたぷと春泥均す赤い靴岡田瑛琳
春泥の渡しを伝い花嫁来岡田きなこ
婚約の指輪あるいは春の泥岡田ひろ子
夜明けまえ春泥匂ふしじまかなオカメインコ
駄菓子屋は道渡りすぐ春の泥岡山小鞠
合否待つ春泥匂う掲示板小川さゆみ
春泥に全身で押す猫車小川天鵲
春泥の足跡なぞり友来たる小川都雪
アジアハイウェイ春泥の日本橋オキザリス
をちみづの溢れて至るのが春泥沖庭乃剛也
春の泥握る「ぐにゅう」と声のする荻原湧
春泥のぐしゃぐしゃになる牛舎前おこそとの
農協のATMに春の泥小田毬藻
春泥に深き轍の蠢けり尾田みのるこ
春泥や轍の先の農機小屋おだむべ
春泥まぶし古希を過ぎて未来越智空子
春の泥蹄洗場にジャンボタワシおぼろ月
水槽へひかり浄しや春の泥ぉ村椅子(志村肇)
下校中ボンジョビを聴く春の泥海音寺ジョー
春泥や想定外の曲がり角かいぐりかいぐり
春泥や車椅子にも内輪差海峯企鵝
春泥へ片足入れて後はもう香依蒼
春泥や霊獣のごと河馬光る火炎幸彦
春泥や朝日に沈む舟の影柿本苧麻
春泥の匂ひ子供の手の匂い風花まゆみ
あの角を曲がれば生家春の泥風花美絵
婚約はまだ春泥のにわたずみ風早杏
春泥を踏んだ娘と言はれけり霞山旅
春泥の能登を重機の履帯かな樫の木
春泥やカーラジオからキャンディーズ風薫子
プラネタリウム出で春泥の靴となる加田紗智
春泥や埴輪のかけら小さき手に蝸牛
白き那須岳春泥へ牛の群れ帷子砂舟
春泥の散った手紙を乾かしぬかつたろー。
春泥よ生温かき吾を汚せ桂子涼子
友見つけ子は春泥を躊躇わず桂佐ん吉
春泥にすべてを曝け出す一歩桂葉子
スニーカよ春泥はこそばゆからうかときち
春泥を丁寧に往く盲導犬かねつき走流
犬猿の友見送るや春の泥花星壱和
春泥やワルツ響かす子らの靴神島六男
春泥やあなた以外の人も好き神長誉夫
春泥の足跡の縁甘くあり神谷たくみ
春泥や蹠とらえる地の形紙谷杳子
実家への道のり遠し春の泥亀岡恵夢
春泥や夕日に影の深さあり亀くみ
春泥や背が一センチ伸びていた亀子てん
農夫には恵のひかり春の泥亀田かつおぶし
春泥の底から生まれ出る光亀山逸子
どこまでも春の泥また草の海亀山酔田
春泥やひとり祝うか誕生日かもめ
春泥やあのキーホルダー現るる加裕子
春泥や黒柔らかきランドセル絡丸いと
春泥や骨の欠片は星となる刈屋まさを
月並みな祝辞携へ春の泥河上摩子
恐竜の糞も豊かに春の泥川崎ルル
春泥やジャングルジムの十の空翡翠工房
春泥や祖母の詩集が出来あがる河孝
前かごの犬と湖辺へ春の泥川村湖雪
国生みの神は矛持ち春の泥河村静葩
春泥の朝ノミの市三周目カワムラ一重
春泥や私の対義語はあたし干天の慈雨
春泥の讃岐路玉切れのうどん屋閑酉
春泥や退院の荷にぬいぐるみ喜祝音
春泥ややぐらの上の馬鹿囃子岸本元世
春泥をいま出棺のクラクション岸来夢
近づかぬ筑波山頂春の泥酒暮
春泥を避けて二輪のよろけたる喜多丘一路
春泥や離婚届の受理通知北村崇雄
春泥の日向を過る鳥の影北村環
春泥や七人の敵次々と貴田雄介
春泥やナスカの地上絵めく轍きなこもち
内見は春泥以外すべて〇城内幸江
春泥の乾きて主なき館木下桃白
春泥を闊歩す病あけの吾子木下風民
春泥に売出しチラシ沈みけりきべし
この靴はもう春泥にくれてやる木ぼこやしき
子豚らのころがりまくる春の泥気まぐれ亭いるか
門限間近春泥を駆け抜ける木村かわせみ
春泥や平飼い鶏の黄身二つ木元紫瑛
春の泥踏んだキャディーさん笑ったQ&A
春泥や空に近づく歩道橋鳩礼
春泥や四柱祀る森深し杏乃みずな
嘘つぽいグミを二粒噛む春泥きゅうもんde木の芽
柳生へは下り坂なり春の泥霧澄渡
春泥がきれいで頬をあをく塗るギル
マンモスの跡も録ったか春の泥銀溟さきのすけ
春泥や荷台の子豚無事だろかくさ
春泥や袱紗のそれは御香料くすみ輝く
春泥にはらり号外ふみにじるくちなしの香
春泥にまみれこの子も一年生くつのした子
一クラスだけの母校や春の泥國吉敦子
春の泥指より脈を与えけり曇ゆら
いわんこっちゃない春泥にすっ転ぶ倉岡富士子
ブライダルカー春泥を鳴らし来る眩む凡
春泥の素直に澄みて母入所栗田すずさん
春泥や山羊の黒目の真つ平ら久留里61
登校や靴をしたたる春の泥愚老
春泥や隣のピアノ辿々し黒瀬三保緑
春泥の足元からむ送別会黒田良@しろい
二人行く春泥の区役所への道桑田栞
餞の詩よ春泥の路と路恵勇
春泥を大胆に行く人や恋月下檸檬
春泥やつばさのいろの時計板げばげば
春泥や人も獣も尾を振りて健央介
春泥や式のつづきの市歌うたひ謙久
春泥や一歩踏み出す少年AケンG
春泥や踵踏みたるコンバース剛海
春泥や野草の青さめきめきと河国老保忠
春泥を踏みて鈴の緒鳴らしたる柑たちばな
春泥や拘置所横の幼稚園幸田梓弓
百年を耐ふる屋号や春の泥こうだ知沙
駄菓子屋に春泥の靴集ひけり宏楽
春泥や迂路清らかな鳥の声越乃杏
銀座より戻りて春の泥の庭木染湧水
勝ち麻雀帰途春泥を悠々と古知野朝子
五年目の苗字、スーパー、この春泥こてぬぐい
留年を決め春泥の門を出る後藤周平
故郷の春泥つきで菜が届き後藤昼間
春泥やゴールキーパー横つ飛び後藤三梅
春泥や猫が伸びするボンネット来冬邦子
ゴーヘイは空へ歩みは春泥へ粉山
春泥やいぼるいぼると国言葉このみ杏仁
春泥や杖をたたみて談話室小林昇
春泥にゆらとたゆたふ景色かな小林澄精
春泥の路地に無人の花屋あり小林のりこ
春泥や医師の所見に図のありてこま爺
春泥や足踏みし待つ直売所小南子
春泥や揉めに揉めての墓じまい小山晃
春泥や仮設だらけの博覧会GONZA
軟式のカーブの握り春の泥今藤明
春泥を豚の子一歩二歩三歩こんのゆうき
春泥や吾の右腕に濃き歯形コンフィ
(車売ります)春泥に看板ぞさいたま水夢
春泥に禰宜の浅沓たぢろがず彩汀
春泥や遊び疲れし膝小僧齋藤桃杏
春泥を蹴散らし届く内祝い宰夏海
ビルの間の春泥にも陽あたりけり榮紅
春泥や村の選挙は無投票坂口いちお
春泥や硝子ペン選る弘法市坂野ひでこ
春泥や引出物まだ決めかねて坂まきか
まっさらの蹄鉄が蹴る春の泥坂本雪桃
春泥や母の家出は数時間櫻井こむぎ
大安の春泥を行く本契約櫻井弘子
春泥や無職の彼のプロポーズさくら悠日
春泥や熱を吐き出す再起動迫久鯨
春泥や決着のヘッドスライディング雑魚寝
春泥を撫でそうな白無垢の裾佐々木るんやみ
春泥を駆ける背に怖くないかと笹靖子
春泥や古き手鏡磨きをりさざれいし
春泥の匂ひなのかと向かい風佐藤公
春泥や半量となるステロイド佐藤恒治
春泥を越すパスワード教えます佐藤茂之
春の泥街に電線消えにけり佐藤志祐
春泥の罅板チョコを半分こさとう昌石
からだじゆう浴びれば仲間春の泥佐藤浩章
春泥や車を引く手押し出す手佐藤まり子
春泥のひかり跳べ跳べコンバース佐藤ゆま
春泥の子カバ鼻ちやうちんプチン佐藤レアレア
春泥や緊張するとよく喋る里山子
春泥は破婚の足になほ残り錆田水遊
春泥や既に徐行の対向車さぶり
春泥の底のつたりとゐる微笑さむしん
妹と靴脱ぎ捨てて春の泥佐柳里咲
閏年ゆゑ春泥の粘りやうさるぼぼ17
春泥大破法定速度へ余波沢井如伽
春泥や佳きを悪いで引き算しない沢拓庵◎いつき組カーリング部
春泥や楽しんじゃえよ自分をよ澤田紫
春泥や隣家は土曜も出勤す三角山子
春泥をずんとスクラム前進す三月兎
赤本を春泥へモラトリアムへ珊瑚霧
女神辞めます春泥を飲み干して三尺玉子
春泥や子の宿題の難しさ四王司
進路まだ決まらぬ子らや春の泥塩風しーたん
春泥やポップス漏るるダンプカー塩沢桂子
春泥や犬五か月に母百よじきばのミヨシ
蹄めく大工の足袋や春の泥柿司十六
春泥やぼくって母の杖なのか四條たんし
春泥や午前「やや重」午後は「良」じつみのかた
玄関に裏返る春泥の靴信濃のあっくん
春泥や母校ジャージと塩むすび芝歩愛美
ヒデキ来てるつて春泥けちらして渋谷晶
四輪駆動返り血のごと春の泥しぼりはf22
春の泥胞衣の如くのぬくもりよ島掛きりの
春泥に踏入る晩節のゆかい島田あんず
あしあとは春泥をとび春泥へ島田雪灯
帝王切開春泥に臥す牛の腹清水縞午
春泥にまみれしシューズ完走す清水ぽっぽ
春泥を飛び越え内定を辞退清水三雲
男坂の春泥轍つづきけり清水容子
陽光の窓辺春泥匂ひ立つ霜月詩扇
眼内レンズ春泥のタイヤ痕霜月シナ
街騒を呑んで艶めく春の泥霜月ふう
春泥を家なき犬の遊びゐて下村修
春泥やぐちやぐちやに消す日記帳じゃすみん
春泥や姥捨山のあちこちに社裏東風
春泥を蹴散らしてゆく装甲車十月小萩
春泥や轍の延びた先は晴れ種種番外
猫車ちよつと傾き春の泥じゅんこ
春泥よ追い出し試合のホイッスル順之介@QLD句会
春泥をまたいでまたいで着くトイレ常幸龍BCAD
春泥のコタン風にムックリの声正念亭若知古
春泥のホームに残る喝采かな白井佐登志
春泥や野球ボールは日本製白井百合子
春泥に無限軌道はきゅらきゅらと不知飛鳥
春泥へ突つ込みしつぽ振りまくる白猫のあくび
昨日の春泥へ今日の春泥白よだか
豪農の土塀長しや春の泥ジン・ケンジ
春泥や大腸ポリープ切除へ水牛庵乱紛
命の素はきっとこんな春泥末広野暢一
春泥や黒きマントの衣擦れにすがりとおる
プリキュアのスキップ軽し春の泥杉岡ライカ
春泥に手加減の無き三輪車杉尾芭蕉
春泥や歩き初めたる子を汚し涼風亜湖
春泥の轍路傍の花は咲く鈴木季良恵
春泥を式服で跳ぶ一家かな鈴木秋紫
黒髪の騎射は春泥はね上げてすずきじゅん
雲ほぐる牛一頭の春の泥鈴木由紀子
ピチカート弾め雀も春泥も鈴白菜実
免許返納春泥を飛ばさるる清白真冬
春泥の車輪詰め込む連絡船すずなき
春泥や雲梯へ巻く落としもの鈴野蒼爽
越後大持引(だいもちひき)春泥へたすき素敵な晃くん
春泥を訪問医師の白衣かな主藤充子
磊塊の沈み込む春泥の底須磨ひろみ
春の泥棟上げ式の祝い餅すみれルース
春泥を二度跳び越えて朗報をせいしゅう
春泥や踏みて冒険てふ終はり清仁
鳥葬の白骨春泥に沈む青峰桔梗丘
春泥や挨拶交わす菩提樹に星夢光風
春泥や象の戻らぬ動物園瀬央ありさ
億年をかけて春泥吾を飾れ瀬紀
春泥や追い切り軽め朝の馬場sekiいつき組広ブロ俳句部
春泥や日銭を稼ぐ金粉ショーせり坊
懐かしい声がして春泥の頃全美
春泥やもう取り返しつかぬ恋SOSHUN
春泥や淡き灯りの美術館草夕感じ
転がりて犀の形となる春泥外鴨南菊
春泥の渡り廊下へ引かれおりそまり
春泥や第三志望の入学金染井亀野
春泥に凹凸ひかり爆ぜ散りぬ染井つぐみ
春泥や蔓に絡まるシャトルコック空豆魚
春泥に裸ん坊の太陽がぞんぬ
春泥や辞令出た夜の地元酒駄詩
春泥の残りしままや妣の靴大ちはる
春泥やもう後戻りできぬ位置たいらんど風人
春泥に天仰ぐここは丹沢高上ちやこ
春泥やハローワークへ離職票高尾一叶
スモックに春の泥はや乾きをり高木音弥
春泥や孤立無援のすべり台高瀬小唄
春泥や眠くないふりの相槌高嶺遠
春泥の匂いや猫の後ろ足高橋花紋
老農のゴルフの素振り春の泥高橋基人
春泥の一本道やレンタカー高橋寅次
春泥や君と気まずくなった朝高橋光加
春の泥どんどん奥の駐車場鷹見沢幸
培養器ぬくむ臭ひや春の泥たかみたかみいつき組広ブロ俳句部
春泥の足跡楽し昇降口高山佳風
春泥を跨ぐや真白なる遠嶺滝川橋
白杖とつなぐ小さき掌春の泥たけぐち遊子
春泥のしづかな午後でありにけりタケザワサトシ
春泥や馬糞牛糞吾れの糞武田豹悟
ディフェンス抜き去る春泥のドリブル竹田むべ
春泥や聞き捨てならぬ犬の声たけろー
しゃがむ子の濁りなき眼へ春の泥たすく
父母に吊るされ春泥を歩くふり多数野麻仁男
春泥や群れる土鳩のせわしなきただ地蔵
失恋にちちんぷいぷい春の泥だっく
春泥を三歩の夫と五歩の吾子立田鯊夢いつき組広ブロ俳句部
春泥にまみれ敗戦後のトンボ田中牡牛
春泥に曲はボサノヴァ弾み来る谷相
春泥に濾されて残る光かな谷斜六
春泥を跳ぬ化石魚の浅き夢谷しゅんのすけ
春泥の痕跡罠の位置変える田畑せーたん
春泥や列の崩れるくじ売場田畑整
轍さへ神世の記憶めく春泥玉家屋
春泥やゆつくり閉ぢてゆく子宮玉木たまね
思い出にリボン結んで春の泥玉野文
落成の園舎ましろや春の泥玉響雷子
春泥に自転車押して来て傾ぐ田村利平
牛乳のびん獣めく春の泥丹波らる
春泥の匂ひ内より聞くサイレン千夏乃ありあり
春泥や歩み板敷く豚舎前竹庵
春泥や寝転ぶ豚は明日出荷ちくりん
春泥を蹴つて二番のわが子かな智幸子
春泥は軍靴のリズムにまつろふ智同美月
見つかった上ばき春の泥の中千歳みち乃
踏みこめば返すベニヤや春の泥千葉右白
春泥や岩塩なめる牛の舌ちやあき
濁りなき濁りありけり春の泥彫刻刀
政治家の立て看板の春の泥ちょうさん
駄菓子屋へ春泥散らし走り込む著子民人
春泥を讃え五十路の転職先へ千代之人
ぬくもれば春泥に魂宿りけり千和にの
春泥や仕事辞めると娘よりつーじい
兄弟も音信不通や春の泥塚本隆二
春泥や雲の影添ふさかさ富士月城龍二
春泥を跨ぐ我闘病の門出なり月の莵
赤子の手よりも優しき春泥よ月夜案山子
春泥や旧市街よりミサの鐘つくばよはく
ささやかな試練くださる寺春泥つくも果音
春泥や面接の前のコンビニつちのこ
暴投の球春泥まで転がるなつちや郷里
春泥の温みよ地球とは重し津々うらら
春泥をキリンの蹄ぽこぽこん綱川羽音
春泥や今日は「きぼう」の見える夜椿泰文
スキップのプに春泥の高く跳ね坪田恭壱
あたらしいパパもやさしい春の泥爪太郎
春泥の底に呼吸の気配ありツユマメ@広ブロ俳句部
春の泥まだ一人では歩けない鶴富士
春泥の軽トラじいちゃん似の他人天雅
春泥をつなぐ轍の放物線電気石
特急の通過する駅春の泥電柱
春泥の轍ばんえい馬の無心天陽ゆう
春泥や十年前の妣の文字土井あくび
春泥や遺跡の上の地鎮祭トウ甘藻
春泥や終の棲家となる墓苑遠峰熊野
春泥に天の沼矛のような棒とかき星
百貫の鬼の足跡春の泥ときめき人
春泥の一気に巻きとるホースかな常磐はぜ
駄菓子屋の店先春泥の靴あとどくだみ茶
中古車の修理受け取り春の泥どこにでもいる田中
春泥をひと巻き父の猫車となりの天然水
春泥も拭かれ代打の空ロッカー戸部紅屑
春泥や神保町の雨宿り苫野とまや
春泥やかさぶた痒くなってきた冨川ニコ
春泥やひかりを三つ編んでみる富永武司
春泥は厭はない空が青ければ富野香衣
ふる里の雲を閉じ込め春の泥友@雪割豆
つくるために壊す春泥の重機富山の露玉
改札や春の泥踏んでも無口鳥田政宗
春泥を巻き上げ四駆河原から豚々舎休庵
春泥やゴム長揃ふ剣道場頓堀頓
春泥や孔明も押す一輪車内藤清瑤
禽が羽根を散らせるままの春の泥内藤羊皐
春泥と呼べばきよらか春の泥中岡秀次
髪束ね彼女春泥我春泥中澤孝雄
「潮騒」のやうに春泥跳んで来い中島走吟
春泥を跳ねる旧式装具かな永田千春
廃車前日春泥をながしけり中十七波
飛び越えど迂回せどなほ春の泥中原柊ニ
朝練の脚の高さや春の泥仲操
郵便夫春泥かろくかはしけり中村想吉
地蔵さんの足に爪あり春の泥なかむら凧人
春泥や樹齢百年大欅那須のお漬物
脛当てのしょっぱいにおい春の泥夏風かをる
五回裏春泥つつくレフトの子夏湖
回転式ドアに逡巡せる春泥夏椿咲く
春泥にワニがいましてカップ酒夏雨ちや
火渡りの踵にまろし春の泥 ななかまど
あしねはふ憂き春泥のユニフォーム7パパいつき組広ブロ俳句部
春泥や老犬ひよいと抱き抱へ名計宗幸
春泥のベンチはちみつパイかじるなびい
嫌はれてやがて相棒春の泥ナンカラ牛眠
春泥やメビウスの輪の沈む場所西尾照常
春泥や宿下駄踏んで宿下駄へ西川由野
春泥に挑む主将の拳かな西田月旦
春泥や田畑に帯ぶはよき光西野和香
気にするのも気にしないのも春の泥西村馬六
春泥の踏み方伝授通学班西村小市
春泥や大地の瘡痂ゆるみをり21
猛々し春泥轢かれ切ってなお二重格子
春泥や使い始めのラインカー二十八
好転反応いそがぬやうに春泥を二城ひかる
春泥を首尾よく徐行仮免許にゃん
春泥の偏頭痛めく匂ひして仁和田永
春泥や主人なき軍靴片方庭野せんたく
春泥や眠り貪る顔たひら暖井むゆき
春泥の底積み木の月忘れらるる布川ユウリ
春泥に牛の歩幅をなぞりけり布村柚子
春泥を用心深く樹木葬沼宮内かほる
ふとつちよのダックスフント抱き春泥沼野大統領
春泥の石狩遥か外輪船猫塚れおん
春泥や明日の今頃東京に猫ふぐ
手を引きて風を測りて春の泥猫またぎ早弓
太陽の匂いの粒子春の泥根々雅水
春の泥うねる戦車しどろもどろ野口雅也
春泥や富士の重みを靴底へ乃咲カヌレ
春泥や遠山照らす日に力野地垂木
春泥やお別れ馬のひづめ跡ののクラブ
春泥や陸尺の尻隆々と野の小花
春の泥みどり混じりて靴の底野の菫
春泥や心の底を覗き込む野原一草
春泥に缶けりの缶止まりけり野原蛍草
春泥に腹擦れし犬の上機嫌のんぬもんぬめぐ
子に貸せば車が春の泥まみれ万里の森
春泥や映画告知のウインドウ白雨
春泥や入所の母は赤い服橋爪利志美
春泥やここの野池は良い釣場橋本有太津
春泥や悪阻の芯の溶けきらず橋本こはく
青年よその春泥を拭かず行け蓮井理久
スーパーのチラシ張り付く春の泥羽住博之
春泥や帰りまでには渇くらし蓮見玲
春泥のヌタ場に睦みゐし跡か長谷川水素
春泥やさながら消えぬ手術痕畑中幸利
けんけんのぱより突っ込む春の泥葉月庵郁斗
触るなといって淋しい春の泥八田昌代
飼い猫は春泥のぬめり知らぬまま花笠きく
春泥を跳んで都となる任地花南天あん
やはらなる竹の孤独や春の泥花はな
当たり棒泳いでいるや春の泥花彼岸
春泥は山のためらひ蹄跡はなぶさあきら
獣生まれるらしい春泥匂う花豆
春泥を僕の学習机来る花見鳥
春泥でででで吾子のながぐつ寅と化し花和音
春泥を跳ねて訪ねる転坂羽馬愚朗
春泥よ捻くれしまま逝きし父はむこ
罅這ふや春泥は陽に穢されて葉村直
春の泥すごい足あと選手権原水仙
春泥や出ていく足跡ばかりなり原善枝
昼の月映して甘し春の泥巴里乃嬬
子象わくわく春泥を撒き散らす晴田そわか
微熱めく風の匂ひや春の泥はるの風花
自転車はレモンイエロー春の泥春野ぷりん
春泥や乳ほと走る胸押さへ春海のたり
春泥に跳んで無傷の履き下ろしはるるん1号
踏んでゆく春泥喜々と飛び散りぬはれまふよう
春泥や震災ごみの仮置場HNKAGA
春泥をようやく届く採用通知ピアニシモ
春泥を練るや造物主の如く柊琴乃
春泥へ夕日の轍ありにけり東沖和季
春泥や空の青きを待つ小枝東田一鮎
春泥やオーボエのラの響きをり匹田小春花
春泥を踏んで行く戦争の音ピコリス
春泥や流れは寄りて落ち合はず菱田芋天
春泥や捕らはれている白き鳥ひすい風香
春泥に力まかせの礫かなヒッチ俳句
春泥踏んだつて調停成立ひでやん
ゴンドラの乗り場は長蛇春の泥一石劣
一か月検診春泥のひかりひと粒の種
春泥光る軽トラからボサノバ日向こるり
春泥を置いて立ち去る通夜の客比々き
アスファルトへ放水側溝に春泥ヒマラヤで平謝り
春泥や門柱遺る解体地日吉とみ菜
春泥を来てロケ現場遠まきに平井由里子
春泥の靴バレちまった道くさ平野芍薬
春泥や農具点検示唆呼称平野純平
友情のくちやくちや捩れ春の泥平本魚水
春泥の犬の半纏潤色比良山
頂へ第一春泥踏みにけり平山仄海
手懐けた春泥端から乾く乾く広島じょーかーず
春泥の靴の裏より掠れけり広瀬康
春の泥「一年トンボでならしとけ」弘友於泥
春泥の泡や何を産まんとす広野光
春泥に孤影を溶くやムンクの絵風慈音
春泥の轍老いらくの惑いよ深蒸し茶
春泥やゆるゆる昇ってく気球ふくじん
懐メロの音割れ春泥の屋台福田みやき
春泥や絵筆は空をまっ青に福ネコ
その他は女の仕事春の泥福良ちどり
春泥や右に左に幌の山羊ふさ女
春泥を吐き吸ふ山の腹太し藤咲大地
白狐様の投げ餅奪ひ合ふ春泥藤里玲咲
物心とは春泥を踏んでより藤白真語
春泥や餃子の皮を買いに行く藤永桂月
春泥に溺れた石這い上がる意志藤中渚
青空の柔らかになる春泥かな藤本仁士
春泥に「ロバのパン屋」の蹄跡藤原訓子
ひらがなをつらつら春のどろふめり藤原素粒子
映像を信じる迂闊春の泥舟端玉
春泥や猫の一番好きな夢ふにふにヤンマー
春泥や一畳の坪庭に生る風友
偽善装うも夕照の春泥古川しあん
跳ねて跳ねて春泥は日に濡れてゐる古瀬まさあき
散餅は無しに春泥の棟上げペトロア
呪文のごと数式唱え春泥をほうちゃん
春泥や大概時間が解決す暮戯
雨虎ほどこそばゆい春の泥黒子
ただ残る庚申塔や春の泥星田羽沖
春泥の乾くアフリカ象の足星月彩也華
春泥を行けば踵の温まれり星詩乃すぴか
春泥へタクシー胎嚢の写真ほしの有紀
骸いま春泥として煌めきぬ細川鮪目
きんぴら噛みて春泥の香を噛みてポップアップ
春の泥なにか生まれてくるやうな堀邦翔
春泥や丘へと細る馬の径牧場の朝
春泥やかけつこに勝つための靴槇原九月
地球ごと春泥まみれなりにけり牧茉侖
春泥に子の長靴は打楽器だまこと七夕
ウグイス嬢の声とほく春の泥正男が四季
まつすぐに往く巫女の列春の泥町田勢
春泥や八艘飛びのスニーカー松井酔呆
ラジオからイマジンの歌春の泥松尾祇敲
シュート打つ春泥髪にかかりつつ松田寛生
春泥や轍ずれたる通学路松本厚史
かにかくに白紙を見つむ春の泥瑪麗
春の泥小学校の仮設風呂毬雨水佳
「瞬足」は16cm春の泥まるにの子
春泥や自転車磨き弟へ丸山隆子
春泥やほのめく星と秘話のあり丸山美樹
輝きは春泥に塗れているぞ美衣珠
春泥へ轍移住の山聳ゆ三浦海栗
春泥や染み抜きと書く特技欄澪那本気子
春泥の領土奪還子どもたち三日月なな子
じくじくと癒えぬ世界や春の泥ミカンスキー
鉄棒の支柱へこそぐ春の泥岬ぷるうと
春泥を跳ぶか避けるか見てゐるか三崎扁舟
町道は畦道春泥を滑る水須ぽっぽ
春泥を照らす文学館の玻璃水巻リカ
春泥は遠吠えを呑み月を抱き三隅涙
骨盤のゆたかな歪み春の泥みづちみわ
春泥やてんでにふるふ河馬の耳みつれしづく
春泥やフロアに集う車椅子みなみはな
ここになきこころ春泥とらえけり三群梛乃
七ヶ月ぶりの仕事や春の泥都乃あざみ
ぐずぐずの春泥にこにこの春泥宮坂暢介
明け星著し春泥を脱藩すみやざき白水
魂を春の泥ごと蹴り上げる宮下ぼしゅん
春泥を来てお茶請けの香々かなみらんだぶぅ
春泥や呼吸しているショベルカー麦乃小夏
キューピーがぬっと春泥より出づる麦のパパ
青空と来て春泥の骨拾ふ椋本望生
立ち漕ぎがスローモーションめく春泥無弦奏
春泥を水の輪千をこす樹齢武者小路敬妙洒脱篤
春泥や抜け出せぬのはあの日の手睦長月
春泥や山穏やかに佇みぬ村上の百合女
渡りおほす春泥奢る山神よ紫小寿々
商談は白紙春泥を蹴る暮夜暝想華
二遊間抜けて失速春の泥茗乃壱
春泥の香よ登山届に書くルート望月ゆう
春泥にシーソーぐぁんと佳き着地本村なつみ
春泥を落として臨む保護者会momo
母校の春泥アウシュヴィッツの春泥百瀬一兎
砂を撒く塾講師春泥の門百瀬はな
眠るたび脳は衰え春の泥桃園ユキチ
春泥の保育所かいじゅうは昼寝森上はな
春泥や聖書に余りある余白もりさわ
子らの膝小僧ぐほぐほと春泥森ともよ
春泥を恐竜通り抜けたらし森中ことり
春泥や草木染めたる糸の里森葉豆
トラクターとぷとぷ春の泥行きて杜まお実
春泥に月白の根の露わなり森毬子
春泥に青空羽のないナプキン森萌有
人生はへのへのもへじ春の泥もりやま博士
バードウォッチャーが春泥に群れおるもろ智行
春泥をぐんぐん義母の長靴は山羊座の千賀子
睫毛まで春泥しらないかみさま弥栄弐庫
春泥や都会から来たスニーカー矢澤かなえ
農道に生後間もなき春の泥野州てんまり
赤子泣く路地春泥の鈍き色安田伝助
春泥や行き五時間の本家まで八幡風花
春泥や靴は自前のエキストラ山尾政弘
春泥を跨ぎてシテの足拍子山川腎茶
春泥を落とす下山の川清水山口香子
足跡のここに途絶えり春の泥山崎のら
春泥を踏んで明るき飼育小屋やまさきゆみ
洗い場へ連行子犬と春泥と山田啓子
春泥や旅立つ前の水入らず山田はつみ
はいといいえでやりすごす春泥山野花子
呼び鈴を押して足元の春泥山本八角
春泥やノドサウルスの瘤に疵やまもと葉美
春泥へ烏が犬が二歳児が山姥和
涅色の舌打ちのごと春の泥有野安津
春泥や素直になれぬ靴の跡雪子
靴裏の粘りて太りたる春泥ゆすらご
春泥や汲取りの香のにぎにぎし湯屋ゆうや
おもひでの走る単線春の泥陽花天
春泥や異国の長き初年果つ陽光樹
春泥の底に生国ありにけり羊似妃
蠢いてゐるやうならば春の泥横浜J子
地鎮祭切麻散るや春の泥横山雑煮
春泥や撮影は今日最終日横山ひろこ
春泥をぎゆいぎゆいとこぐ三輪車吉田蝸牛
春泥の密やか剃髪の頭陀袋吉野川
春泥を今は跨いで日を浴びて善し人
石突きでこをろこをろと春泥を余田酒梨
春泥や頷くだけの友と行く米山カローリング
春泥やサファリパークの驢馬の舌よみちとせ
臍の緒のまだ繋がりぬ春の泥楽花生
春の泥「つぎ小一」と灯油屋にらん丸
春泥を写せば火焔土器と成りリーガル海苔助
春泥やハズレ馬券に牝馬の名柳絮
春泥に塗れたくなるほどの空林平根
春泥を流し美猫になる途中留辺蘂子
和服着て春泥遠き里帰り麗詩
春泥を残して去った泥田坊連雀
春泥を拭へば応ふ柄振かなろまねす子
人体の素を含みをり春の泥呂ろロ
春泥の眩しき日母身罷りぬわかなけん
春泥や誰かの滑り跡またぐ若林くくな
春泥へ叩き込みたき怒気数多海神瑠珂
靴跡を品定め午後の春泥わたなべいびぃ
発熱の星の解熱や春の泥渡部克三度
春泥の映る青空跳びにけり渡邉花
盗塁にセーフの声や春の泥渡邉わかな
春泥は楽しく踏まれ春泥に亘航希
春泥や玻璃のやうなる仔馬の眼笑笑うさぎ
春泥を歩む子象の足の皺雨戸ゆらら
洗車待つバスは三台春の泥上原淳子
花束の夥しきや春の泥くんちんさま
春泥上等GUCCIのガラスコーティング公木正
春泥を抜けてハリストス正教会沙那夏
春泥を来し靴並ぶそろばん塾野ばら
颯爽と現われ被る春の泥上野徹心
春泥や三和土拭き待つよき知らせえのき絵巻
産月のひづめ跡ある春泥にえのき筆丸
春泥に足を取られて天下取る大富孝子
春泥も子らにあいずち帰り道梶浦和子
授業中静かに光る春泥鹿嶌純子
どこからが私どこから春の泥ひだまりえりか
波ひきて彷徨う街中春泥の海KIDUKIきづき
ちゃんがすきぐちゃぐちゃがすき春の泥熊谷温古
春泥や新入部員の自己紹介ケビンコス
春泥の滑る靴先海を割る紫雲英
春泥の畑鳴き声につられて齋藤鉄模写
初デート春泥の靴背伸びして忍之一字
春泥や夫の嘘を見つけたり霜川このみ
春泥の足跡の先たっくんち朱胡江
背を撃たれ春泥の登校急ぐ柊二@冨美夛
下駄箱を置かぬ春泥なき校舎秋芳
春の泥宇宙は緻密な消化器シュリ
むき出しの地球の鼓動春泥や鈴野冬遊
春泥やボイジャー描く軌道いま摂田屋酵道
春の泥あの子は今日も先回り泉幸
尼僧のねこ春泥みやげ持ち込めりそうま純香
春泥に春の予感が映るかな高橋紀代子
春泥や動けぬ月の靴跡に滝上珠加
春泥や跡を残して翔び立たむ多事
子の自殺増ゆる白さや春の泥立石神流
春泥の光二つのホック止め田中勲
春泥や接吻せがむチヨコレイト為六宇近
春泥やつり革軽く三拍子田上南郷
春泥に歴史を刻めラーメン荘哲山(山田哲也)
春泥の二歳素敵なぐっちゃぐちゃ七瀬ゆきこ
春泥の道を早足けんかして奈良素数
学友と初もの探し春の泥葉月ノ小雪
春泥の舟拵えて龍宮へ林典子
春泥や今川焼に新メニュー原田民久
春泥の混じりし庭に種を撒きひめりんご
春泥やまた病得しと知らせ受く昼寝
春泥の轍よ妣の七回忌廣重
春泥もひかりも届かん病牀六尺ふじたさとえ
春泥の中で眠たし浪人生藤田聡恵
エスコートする君は居ず春の泥三茶F
過ぎし日も甘やかに化粧ふ春泥よ光月野うさぎ
春泥は大地が弛みし笑みの跡深山柚仁
金婚に言の葉はなし春の泥目黒青邑
春泥は母の余生に石と成り安元進太郎
踏めば都春泥をゆく田舎道山本さった
豆靴が捕らえられたり春泥に山本武子
春泥や賀状の返事来ぬままに宙美
春泥や湖面に座る真紅の陽よしぎわへい
春泥や胎の子の頬ふくらみて吉谷地由子
水孕み春泥ぬたりと時を俟つ瑠璃ホコリ
春泥の壺にふくらむ武勇伝微呂
春泥やためらわず行く三輪車天鳥そら
春泥にためらひもせず吾子の靴Qさん
初めての春泥へ吾子ためらわず花水木
春泥の靴ためらうや野辺送り松永好子
春泥に足を取られつ月仰ぎ黒猫さとみ
春泥に足を取られて犬跳ねる鱈瑞々
春泥に足を取られて手をつなぐ手嶋錦流
春泥に足取られたる草野球則本久江
春泥や足を取られて会話果つ松平武史
春泥に下駄とられたる幼き日亀田ミノル
春泥を近道だから行く子らよ伊藤ゆかり
近道の春泥を跳ぶ通学路円美々
近道や爪先歩く春の泥増山銀桜
近道の春泥北大キャンパス八木実
近道を春泥ジャンプの子がふたり楽和音
春泥や今日もジャンバー洗う洗う池田華族
春泥やサッカー後の洗濯機大原妃
乾かない洗濯物よ春の泥風の母
春泥の洗濯日和隙を見て4色ボールペン
春泥やホップステップハイヒール風かおる
春泥やホップステップポニーテール苳
春泥や猫が歩いて花が咲くあいあい亭みけ子
春泥のリヤカータイヤ乾く道逢花菜子
春泥にシェネステップやピンヒールあ。うん
享受する春泥散らすあの便り青橘花
見舞い路祈る毎日はや春泥赤恥山子
春泥や右膝術後の第一歩赤目作
号外の通知さらさら春の泥赤尾実果
そんな手になんか乗らない春の泥愛柑(あかん)いつき組note俳句部
春泥や足元気にし登る高尾山聰子
春泥のぐちゃぐちゃ道をふたり行くあきやままごと
春泥や学生服へ玉しぶき秋山らいさく
春泥に朱く日映える宵となり芥川春骨
春泥や市電へ向ける自撮り棒芥茶古美
靴底の重きも軽し春の泥あさぬま雅王
自転車のタイヤ痕あり春の泥淺野紫桜
太き歯や春泥の菜へヌートリア浅乃み雪
ため息と春泥の色猫溶ける亜紗舞那
ゾウの絵の長ぐつ春泥と尻もちあさみあさり
春泥や三和土に並ぶ小さき靴明日葉
春の泥あらふ間なしの往診着阿修羅
春泥にファーストシューズ足止まる飛鳥井薫
春泥や夢見心地のヴィヴァルディあすなろの邦
春泥を溝隠しごと踏みしめるあたなごっち
待ちきれず春泥の畔走りだしアツシ
春泥のもがきいがんだ尻の跡at花結い
自転車で踏んだ草の香春泥よアニマル可秘跳
春泥に夫婦喧嘩は暫し置くあねもねワンヲ
春泥や心平の詩のオノマトペ我孫子もふもふ
春泥や長靴恥じる友増えて阿部八富利
春泥や紙袋には老舗菓子アマリリスと夢
春泥を駆け抜け汚れなき牝馬あみま
九回裏いざ春泥のユニフォーム雨乙女
春泥を跳ねて力車よ浅草寺雨霧彦(木ノ芽)
春泥や地球と遊ぶ柴犬よ雨李
春泥に新たな命のいぶきありあやたゆうと
春泥の2個づつの尻ユニフォームあややDC
春泥や制服着る子真新しあらいゆう
春泥やぐにゃりと地球溶けだしてあらかわすすむ
申告は還付ポストへ春の泥ありいかな
校庭の春泥蹴りて逆上がり有田みかん
春泥やリトルリーガー声弾む有本としを
春泥より先の尖ったえんぴつへ在在空空
校門の春泥飛び越えまた一歩あれていあ
春泥をひこにゃんの待つ天守まで淡湖千優
店の列スマホのうなじ春の泥杏っ子
春泥の富士塚の向こう摩天楼飯田淳子
春泥の肉球残りたるポーチ飯沼深生
春泥や参道のつぼみ赤と白粋庵仁空
春泥に出不精ならむ妻の靴池之端昇雲
じやくじやくと春泥をスプレーの靴 伊沢華純
春泥や五ヵ月振りのエアーメール伊澤遥佳
春泥の更地くっきり侵入痕石岡女依
春泥に転びて「ママに叱られるぅ」石垣エリザ
負の連鎖断ち切るごと春泥踏む石川穴空
春泥に赤い長靴アンパンマン石田ひろみ
玩具なき庭の玩具とて春の泥石塚碧葉
春泥の道端に草朝日受け石堂多分
春泥の足跡残る朝の市石原しょう
つまづきて春泥汚す両の手を石原花野
春泥の石に躓きパンダかな泉恵風
春泥を避けよボールの落下点無花果邪無
春泥の差し出すフローラの足音一久恵
春泥を踏み荒らしたき闇潜む一秋子
春泥の団子大きをパパにあげ一慎
アスファルト育ちの靴に春の泥五つ星
寄り道の子どもの頬に春の泥伊藤亜美子
春泥や摩天楼にもいのちの芽伊藤恵美
春泥や我の一歩は犬四歩伊東海芋
春泥を蹴りてかけ出す子らの声伊藤節子
春泥や出席返事投函す伊藤れいこ
春泥に猫背がちなるランドセル伊ナイトあさか
春泥やしゃっくり愛しき初の孫稲所恵
色々のぽたの水音春の泥井口良範
春泥や足で天地を混ぜかへすいまい沙緻子
春泥や蠢く者の棲家なりいまいみどり
かいぼりの春泥命ふくみをり井松慈悦
春泥や避ける距離だけ君近く今乃武椪
春泥や人のこころに裏表岩木順
春泥を喜ぶ犬の足洗う岩佐りこ
産卵の場所間違えて春の泥岩瀬敬子
春泥に肩を丸めたランドセルイワンモ
春泥避け草踏めばまた春の泥上原まり
春泥に長靴捕られ笑った日兎野旬子
春泥やちさき祠にちさき礼宇田の月兎
春泥の曲がりくねりて熊野古道空木眠兎
上京や車輪に今朝の春の泥宇都宮駿介
春泥を避けて歩くの老農婦宇野翔月
春泥や沓のかたちに乾きゆく海野青
春泥を駆け出しスニーカーの跡浦文乃
爪皮の師匠急ぐや春の泥麗し
春泥を踏みて長靴沈み込む越中之助
春泥やギャングエイジの子らの声榎美紗
春泥を走る走る孫シュート榎本奈
春泥に朝日群れる雀数羽榎本雅
春泥やひかり輝く花たちよえみくれ
春泥の乾きてほろり落ちにけり遠藤佐和子
春泥を同行二人最御崎近江菫花
陽と土と花匂い立つ春泥大江戸小紋
猫帰還背もまみれたり春の泥大久保一水
春泥や万物の美を運び来ぬ大阪駿馬
言ふまいと誓へど堰切る春の泥おおさわまこと
生き延びて春泥の地に咲きにけり大島一声
春泥にボールころがり止まりけり大嶋宏治
春の泥撥ね恐れつつ野点かな大嶋めで
春泥をはねて喜ぶ三輪車大野喬
春泥からスカートを守る女子高生大野てまり
春泥と遊び遅刻もひと昔大原雪
春泥を喜び歩く父の墓大道真波
通学路春泥散らす車輪かな大家港一
あちこちの春泥を子が覗きに来大和田美信
春泥やとんではねてと球児たち岡崎未知
お姫様抱っこ春泥を跳ぶ岡田いっかん
遊ぶ子の顔にいたずら春の泥岡田恵美子
春泥の並ぶ足あとさんぽみちおがたみか
春泥やハイヒールの日すぐそこに岡村恵子
春泥あつめ漆黒泥だんご岡本
春泥の思わずなりは土の罠小川紅子
春泥や太き臀部の新投手小川しめじ
春泥のルブタン脱ぐや遊戯室小川野雪兎
春泥やふりむく犬の尾のふぅわり沖乃しろくも
自転車の春泥すでに乾きたる沖らくだ@QLD句会
春泥や地中に宝隠しをり奥寺窈子
春泥の匂ひ乳母車の轍小倉あんこ
ゴルフデビュー白きシューズに春の泥お品まり
春泥やお尻つけれぬ滑り台小田孝子
裾からげ春泥つっぱね草履吠ゆ乙華散
通行車春泥を撥ね通り過ぎ鬼本余覚
春泥に一瞬の陽光胸躍る小野ぼけろうじん
散歩道にちらほら春泥と花十八番屋さつき
春泥の一本道やタイヤ跡おひい
春泥や固しおのれにノックせんおんあいす
子らは今怪獣と化す春の泥おんちゃん。
春泥を辛抱と唱え進む祖母海堂一花
春泥を臆せず行けり配達人甲斐ももみ
春泥に映える夕陽の朱深し影夢者
春泥やネコ押す父につづく畦かしくらゆう
ブーニンのショパン演奏春の泥かじまとしこ
春泥に緑みつけし頬緩むカズミンスキー
放課後の春泥や笹舟浮かぶ風遊び為参
春泥や犬地図変化長散歩風之川
春泥に愛犬のリード強くひく片岡明
春泥の山にお囃子太刀の児ら片岡一月
春泥を蹴散らすポチやしたり顔片岡みみ
柴犬のゴロゴロ遊ぶ春の泥花鳥風猫
春泥や明日の仕事もまた難儀加藤水玉
春泥や草とのたたかい開幕す金澤孝子
春泥や飛鳥の宮の宴あと叶田屋
春泥に白き映えたるユニフォーム可児真由美
暮れかかる葉山の小径春の泥金子陽
春泥や咄嗟に掴む夫の袖金子泰山
春泥に若葉マークの轍あり金田庭園
春泥や少しはにかむ妻の手を釜眞手打ち蕎麦
あぜ道の湯気かすみたる春泥をかもね
ランドセル春泥ひょいとまたひょいと鴨の里
春泥にどこ吹く風と野球帽加山シンゴ
春泥や飼い主だけが嵌りたる神無月みと
長靴で春泥に跡幼き子よ樺久美
春泥を肥料溢さぬ一輪車岸壁の龍崎爺
吐く息と春泥奏でるハーモニーがんも三世
春泥や通るべからず回り道key
春泥や異国の地ではクーデター季川詩音
春泥に宅配砂利を備へけり菊池克己
あかべこの干ぬ春泥を拭ふ雨如月ゆう
春泥にこのふた月を省みる季紫子
春泥や子の手も口もチョコレート季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
春泥に迷い感じる靴の跡北大路京介
春泥や何の命が生ふるやら北川口泰大
春泥の農道トラクター鎮座ず 入力ミス?北川茜月
恥ずかしや春泥上がる脹ら脛北の星
春泥に受難の日々や我が愛車北美三風
春泥や白き脚絆の托鉢僧木寺仙游
春泥や乾きて積もる窓の棧君塚美蕉
春泥やため池満ちる讃岐路を木村修芳
フローラの素足汚さず春の泥木村信哉
春泥をよけて笑って繋いだ手木村となえーる
春泥や草鞋通学背に跳ねて木村波平
バス待つや鞄に着替え春の泥久えむ茜咲
春泥に見返る妻のやなぎ腰京野秋水
春泥やライングループひとつ増え清鱒
軽トラが春泥蹴散らす田んぼ道喜楽胤
春泥やファーストシューズは洗濯可菫久
春泥を避けし避ければ知らぬ景近未来
春泥のバス停畑には母かくぅ
春泥や真っ赤なソールのハイヒール句々奈
春泥をはねて逃げるや三輪車鯨之
春泥の光るに出会い心和ぐ楠田草堂
駆け抜けよバギーの吾子よ春の泥くずもち鹿之助
口角と裾上げ渡る春の泥國本秀山
手をつなぎ春泥超える保育の子窪田和子
春泥や朝日とどかぬビルの街くぼたみどらー
春泥やおおいに汚せ子供たち熊谷祐輝
春泥やヘルシンキ旅初トラムぐりぐら京子
春泥を駆けるぼくらの影揺れる黒山万牛
春泥や靴箱に白のスニーカー桑田さなえ
春泥や拭いもせずに庭遊び慶唯
春泥を好みて進む子分団家古谷硯翠
足跳ねて丸き春泥払ひをりケント
踏まぬよう転ばぬように春の泥恋瀬川三緒
パンプスの春泥を解く柔き水紅紫あやめ
春泥や懐かしき足の感触郷りん
春泥を踏んで抜き足植える足ごーくん
春泥の轍横切る肉球よ古賀慶次
春泥に痕を重ねて戦車行く古烏さや
鍬跡の黒光りする春泥やこきん
春泥や乾かぬ靴と辿り着くココヨシ
切通しの朝の春泥陽を返す小嶋芦舟
農夫着る迷彩服や春の泥胡秋興
避けながら歩く先にも春泥や湖水鈴
春泥やキャンプにみがく変化球小杉泰文
春泥やとりとめのなき友の愚痴小園夢子
はるのどろのらりくらりとはぐらかす虎堂吟雅
酒粕入豚汁とろとろと春泥古都鈴
きゃぴきゃぴと田んぼが笑う春泥や子猫のミル
身重の尻もちの痛み春の泥こひつじ@QLD俳句会
鋤の春泥濯ぐ田の畔の川駒形さかつ
春泥を飛び越えたくてスニーカーこむぎ
春泥や冷たき戦士の顔に染む小望月あうる
声はずむ朝練の背に春の泥小山秀行
長靴の子らの行進春の泥碁練者
春泥に小走りの跡救助隊西條晶夫
三つ四つ小さき足跡春泥に齋藤あらま彦
春泥に犬が角から駆けてくるさいとう歌月
春泥のスタンプ押しに猫帰宅在仏変人
春泥や伽羅橋にそと腰掛けりさおきち
柳ヶ瀬ついにゼロ百貨店春の泥さ乙女龍チヨ
春泥よ三輪車には手加減を酒井春棋
弾みたき靴捕らわれし春の泥さかい癒香
春の泥背より農婦の視線刺す榊昭広
来し春の泥そろそろと乗る梯子坂島魁文
春泥のきらりズックでぐちゃりさかたちえこ
褄をとり春泥避けて佳人行く坂本千代子
春泥の泥染み付いた選手達相良まさと
16センチかけ足ぬるり春の泥咲美まき
ほの白き街頭映し居る春泥咲世咲
春泥の畑ガリバーめく靴跡咲まこ
靴跡のつま先並ぶ春の泥咲弥あさ奏
旅人や春泥に裾染めにけりさくら亜紀女
廃村のボトルディギング春の泥桜月夜
春泥に盲導犬の賢さや桜華姫
春泥や雨にあふれる梓川桜姫5
粛々と春泥渉る渡御の列佐々木佳芳
春泥や再開発の駅通りささき良月
春泥に映る脱サラの勇姿かな笹桐陽介
春泥の道すそからげしずしずとさざんか
足あとの踊る校庭春の泥砂月みれい
春泥やケンパーの石一つ増え薩摩じったくい
春泥の煙るグランド球の音里芋煮
春泥の山野を駆ける修行僧佐藤俊
春泥や小伝馬町に鐘の音さとうナッツ
春泥や確定申告に並ぶ佐藤佳子
登校の長靴ピチャリ春の泥里こごみ
春泥を渡りて次の姉を待つさふじわよ
春泥やこれより先は無菌室彷徨ういろは
下り来て春泥となる登山道紗藍愛
春泥や舌打ちしつつ目には笑みさわだ佳芳
春泥の校庭に鳴るチャイムかな沢田恵子
昇格のJ1跳ねし春の泥塩の司厨長
春泥や白球追う日今少ししかの光爺
車窓から春泥の香や風までも四季彩
春泥にトラクター跡むこ帰農 「子」?篠崎彰
彼の地より靴底の春泥みやげ篠雪
春泥や巻かれたラグの包紙縞子勾苑
春泥に靴跡乾き底あらわ島じい子
春泥を偶蹄目の行きし跡島田ユミ子
裏道は春泥五分早く着く下丼月光
下駄箱の春泥のくつ乾く午後じょいふるとしちゃん
春泥もなにするものぞ医者通い正見
母と歩いた道に春泥かな泪書夏太浪
春泥や放課後クラブ待合わせ白石美月
点々と黒ストッキングの春泥四郎高綱
慎みて歩けどこむら春の泥しわしわ
友葬り春泥の靴重たかり新濃健
春泥や読みかけの本思い出し森牧亭遊好
春泥や次の一歩の置きどころ深幽
春泥の桂馬の動きのくつあと西瓜頭
春泥や朝日に光る散歩道杉浦あきけん
いまもなほ邪馬台論争春の泥杉本果ら
春泥の乾く外野でノックかな涼希美月
春泥の道端手袋がひとつ鈴木里羅久
春泥に赤きセーラーリボンかな砂山恵子
春泥をはねてはねられ新車ゆく数哩
春泥を跳ねて自転車二人乗り静江
少年の靴春泥を躊躇わず晴好雨独
子等の顔乾きて白き春の泥青児
SLの煙に似てる春の泥瀬野広純
春泥のど真ん中には優勝杯千・いつき組広ブロ俳句部
春泥や離婚届に判を押す惣兵衛
春泥や草上選ぶ散歩道そしじみえこ
児ら遊ぶ春泥に陽のきららかにそぼろ
春泥を蹴散らしクビ差差し切りぬたーとるQ
春泥の背中に跳ねしユニフォーム大
春泥の癖為す吾に笑み溢る大康
春泥や魚拓のごとき靴の後平たか子
滑り台春泥はねてほっぺたへ高辺知子
厄介よでも嬉しいよ春の泥高橋こう
春泥や道譲らるるお年頃高橋ひろみこ
春泥や思い届けし人ありて高旗三紀子
春泥の宿の湯ほたり小桶かな高原としなり
春泥のタイヤ痕あり駐車場田上コウ
春泥に残る靴跡大と小高見正樹
春泥や敵か味方か銃の先竹内不撚
春泥やこれで終いか試験帰路多胡蘆秋
春泥の光踏み行くピンク髪太之方もり子
青空や道の足あと春泥か祐紀杏里
沓脱につまかわ交じる春泥や多田知代子
晴れたとて春泥の山はよだけし ただの山登家
春泥の足跡橋を渡り切る多々良海月
春泥を選びて雀はねやすめ立花かおる
待合せ急ぐ花緒に春の泥たていし隆松
春泥にスパイク跡や茜空伊達紫檀
春泥の跳ねて散らばる児らの靴田中みどり
友逝きて懐かし土手の春の泥たなばたともこ
春泥のつま先立ちの帰り道茅野ともぞう
春泥に突っ込みセーフ逆転す千夜美笑夢
春泥や登り下りし学び舎へ司蓮風
春泥やきょうはながぐつはかされて槻島雫
青春の足跡残る春泥にツキミサキ
春泥や孫の足跡祖父の田に月見里ふく
春泥に故郷を離るる轍跡辻瑛炎
春泥に牧の小羊児を誘う辻美佐夫
春泥の匂い膨らむ日影かな辻栄春
春泥の下に埋もれて咲く黄色蔦駒
春泥の靴並ぶ公園ベンチつついぐれちゃん
春泥の中トラックの疾走津幡GEE
春泥の頃には進路決まりおり哲庵
春泥や着地重ねて吾の道徹光よし季
春泥の長堤をゆく旅立つ日てつねこ
春泥や百歳越えるばば畑へ輝由里
春泥や遊ぶ豆柴二匹居りてん子
路地裏の古民家カフェや春の泥天山郷
下校路に春泥漕ぎて食う目玉天童光宏
春泥や負けた負けたと父帰る天王谷一
春泥にひっくり返るだんご虫常磐樹
春泥のけもの道から花畑徳庵
わら半紙めく春泥のやはらかしDr.でぶ
春泥やジグザグ歩行の木の根道戸口のふっこ
春泥も肩寄せ合えば声弾むとこやまよもこ
春泥のハイパーレスキュー出動すどすこい早川
ノーサイド地につく膝に春の泥杼けいこ
軽やかに春泥かわす力士かな十津川ポロ
校門をくぐるスキップ春の泥どゞこ
春の泥子の耳たぶの白き泥戸根由紀
春泥に飯つぶ探す庭雀登盛満
春泥や上下左右に揺れるバスとよ
春泥や遊び始めは泥団子豊岡重翁
春泥を踏む子踏まぬ子登校班なか鹿の子
春泥のうずくまる君背に日差しなかかよ
履きなれぬ靴と春泥初デート中里凜
春泥や赤いシャベルの忘れ物中島葉月
春泥に遊びし記憶遠くなり中嶋緑庵
春泥もかまわず進む園児たち中藤雅子
春泥を散らし検定合格す仲間英与
たいやきで仲直り春泥の帰路中村明日香
春泥や突つ切る銀輪テスト明中村あつこ
春泥に真っ直ぐトライ拳上ぐ中村こゆき
春泥や窓辺の遺骨鳥舞ひぬ中村雪之丞
春泥や子も犬の子もまろび出で中山由
春泥に夕陽落つ明日に向かいて七五三五三
春泥や歩道滑りていと不快無し
春泥や溜まりの泡のプツプツと夏雲ブン太
春泥がぬめりと光る月夜かな夏目りる
ゆっくりと歩いてをりぬ春の泥生天目テツ子
春泥や踏んだべろりが跳ねてゆく奈良岡歩
春泥に感謝と懺悔添い寝の子奈良華咲
春泥を辿れば通勤列車へと大西真一
春泥の半分乾くスニーカー南全星びぼ
春泥をそろり行く子とボチャンの子にいやのる
畦道のところどころに春の泥にえ茉莉花
春泥になつかれている靴のうら西尾至雲
保育園春泥の靴八方へ入道まりこ
春泥の靴箱ひとつ遅刻の子庭野環石
春泥に雀の足がよろめいてヌートリアみゆう
一輪車往復春泥の新た沼沢さとみ
春泥やハレの日の朝ヒールは白ねがみともみ
バス運休春泥のタクシー乗り場猫辻みいにゃん
春泥を踏まぬやう母の手を引く野三弓
春泥や滑る子らの声高く野瀬博興
春泥や出口調査と云われても野村齋藤
春泥や今日はままごとできますか野山めぐ
春泥や広きコートのトンボ引くのりもとひさえ
春泥に歩幅の狭き蹄跡白山一花
春泥や傘引き摺りてランドセル白山おこ女
体操着の背にも数多や春の泥はごろも856
春泥や汚せぬスーツ鳥見上げ橋野こくう
病窓の春泥拭いて退院日波止浜てる
春泥やキャッチボールの音高し馬笑
春泥を伝えし便りに望郷す蓮田初老
喧嘩して帰る春泥踏みしめて初野文子
春泥や骨なりし弟抱きしめむ花岡淑子
賑はひの残る春泥鄙の駅英凡水
春泥に団子作るや在し日の子羽生野かるど
春泥にチャリを飛ばすや中学生はままこみかん
春泥に影跳ね上げて三歳馬林省造
春泥やサヨナラ決めるホームイン原島ちび助
春の泥触る子泣く子飛び込む子原田くろなつ
北陸を旅して拭う春の泥春あおい
春泥の小道を抜けて大通りharu.k
春泥に歩幅も広くなりにけり春爺
春泥やミモザサラダを食べる午後haru_sumomo
春泥や足元の蕾膨らみ春のうらら
春泥に孫の長靴躍り出る半角斎
春泥に人や大地を希土とせし半熟かさぶた
春泥やズボンに飛ばし帰る子ら伴田至誠
春泥やチョロチョロ流るる締め忘れピーターパン症候群
春泥を避けて滑走ラストターンひーちゃんw
春泥に僅かに映る白い雲東の山
春泥を撥ね上げ襷友の手に東原桜空
春泥を踏ん張るペンギンの歩幅樋口滑瓢
春泥に手桶の重き墓道よ樋口ひろみ
ジャンプ失敗春泥へ小さき靴向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
戦う手涙と共に春泥にひまわりと蒼い月
春泥や庭に豆食む鳩の影平井千恵子
春泥や坂道スキップパンダ舎へ平岡梅
春泥をいぢり水やる中庭で平本文
春泥を蹴飛ばしてゆく十五才浩子赤城おろし
春泥やけんけんぱっで渡りきる広島あーやあーや
春泥のなかに騒動く児らのこゑ廣田惣太郎
春泥やリーガルはいて初訪問広ブロ俳句部三日余子
春泥の乾きし土間の子ども靴琵琶京子
春泥や南予それぞれ道の駅フージー
三回忌並列靴に春の泥FUFU
玄関にぺりりと落ちて春の泥福井桔梗
春泥の乾き待つ間のへぼ将棋福川敏機
春泥に閉じ込めたるや恋心福前彩芽
被災地の春泥の道耕運機ふくのふく
地を削る弾丸シュート割く春泥福間薄緑
呼ぶ声シカト仔犬はツーと春泥へ福弓
春泥を七十すぎて恋の映画藤井かすみそう
雨後の朝光をふふむ春の泥ふじい眞みこ
春泥を踏んで跳ばす赤い靴藤丘ひな子
長靴に春泥みかん山の坂ふじこ
春泥に手形と大きな滑り跡藤沢・マグネット
春泥に猫に狩られし鳥の羽藤原涼
一軒家への轍跡春の泥藤本だいふく
春泥やはねる長靴はずむ声フタバ凛
春泥と盃陽射しとおりゆく船橋こまこ
春泥の光を散らす雀らは冬島直
春泥でこけて見つかる命かな冬の木で考える海
談笑の足元の犬と春泥ふゆのはるこ
やっと来たジムニー春泥の轍古澤久良
迷い笛揺れる春泥のソリスト古田翔晴
春泥や思い出話しに靴並ぶ古道具
乗ってくるキャラバンシューズ春の泥古谷芳明
春泥や行く宛もなく職を辞す碧西里
春泥に長靴ズボリ笑う子ら鳳凰美蓮
春泥のままの球児の戻りけり芳醇
春泥やピョンピョン跳ぶ子わざとバシャ峰晶
春泥踏む街灯はなく月はなく房総とらママ
春の泥鳩の舞いたつボンネットほこ
イクメンの覚束なくて春の泥ほしぞらアルデバラン
保健室春泥の子はおんぶされほしのり
春泥よ靴を放してくれまいか細葉海蘭
春泥や振り向きてまた生きてみるほたる純子
春泥や心身ともに埋もれてく堀籠美雪
春泥や道産子の鼻息荒く堀卓
春泥を巧みに避ける人力車堀隼人
春泥や替へ足袋二足媒酌人凡々
春泥は空鳥跡は飛ぶ鳥に凡狸子
春泥の自転車ギイと上がる坂舞矢愛
春泥や夕光残り靴ひとつ前田冬水
初デート白いパンツに春の泥雅蔵
春泥やぼくら少年探偵団町田思誠
春泥に転ばぬ先のストレッチ町家の日々輝
春泥や樹々はほのかに桜色松浦姫りんご
春泥や溜め息一つ能登の街松岡徘徊狂人
春泥にまろびし母は九十二松岡玲子
春泥にまみれて笑う子の合否松きよ子
旧友の長文ライン春の泥松坂コウ
春泥や旅のまにまにケセラセラまっちゃこ良々
春泥や裾を汚すも大笑ひまつとしきかわ
春泥や不整地走る軽トラは松野蘭
春泥や山の向こうのジャズピアノ松橋春水
春泥に光遊ばせ褒め言葉松本こっこ
校庭の春泥ぬるしラガーマン松本牧子
春泥の音聴いてをり旅の空まやみこ恭
春泥や新車マットに靴の跡真理庵
春泥や能登の神社の祝詞聞くまりい木ノ芽
春泥や足の大きな女の子まるごとハテナ
喜びとぼやき半分春の泥満月
春泥や長靴履いて学校へ三浦ユリコ
春泥へラケット猛抗議のコーチ帝菜
春泥や一客増ゆるティーカップ三上栞
春泥や着物の母に手をひかれみかりん65号
春泥にホイールキャップ君臨す三河三可
淡き色撮るスマフォにも春の泥三木崇弘
春泥と靴もこぼれる三和土かな神酒猫
春泥やスーツケースのタイヤ拭くMR.KIKYO
春泥やゲートボールの声高し水タマリ
決めかねて八十路の返納春の泥三高姫
自転車のタイヤ突つ込む春の泥三田忠彦
鶏舎へと春泥を行く祖父の背よ巳智みちる
葉物抜く軍手や春泥の重み美津うつわ
春泥のひかり宿せる靴の裏満生あをね
春泥をぐにゃりと踏めば青臭し美月舞桜
春泥を若葉マークのクラクションみづたま
松葉づえ今春泥を跳ね上ぐる満る
春泥や子どものやうに一歩二歩緑区のへこ
春泥や山の花咲く道も狭にミナガワトモヒロ
アンパンマンのくつ春泥にはまるみなづき光緒
春泥や未舗装の道下駄重し湊かずゆき
サクヤヒメ春泥は宙の声聞く南りぱりこ
白猫黒猫いま春泥に跳ねてをり源早苗
春泥のお汁粉めいた獣道嶺乃森夜亜舎
春泥の長靴揃う公民館美村羽奏
いま大地目覚めたしるし春の泥宮井そら
春泥に会釈もそぞろ散歩みち見屋桜花
春泥の児の靴洗ふ陽射しかなみやかわけい子
春泥と黄色長靴たわむれり宮城海月
春泥にドッジボールの鈍き音宮武濱女
春泥は洗礼初乗りの四駆みやま千樹
飛び越えし春泥友と学校へ美山つぐみ
春泥を踏み行く明るき空の下宮村寿摩子
春泥にまみれたボールと球児かな宮本モンヌ
地震ごっこ春泥はねらせ走る子らムシ・ミカミ
いっぽごとのけぞり盛れる春の泥霧想衿
春泥からコンクリートへ上がる靴睦月くらげ
春泥や忍者の里の道険しむねあかどり
春泥の長靴二足玄関に恵のママ
長靴の春泥軽しバイト帰りメディックス千里
春泥もいとし合格掲示板愛島さと子
春泥や誰かの靴を飲み込みぬ瑪瑙
実家の朝春泥のトラックかすかもも
雑踏の片隅にある春の泥森海まのわ
春泥や心の傷も包み込む森佳月
春泥やわたしの命にかわるもの森重聲
春泥や妻が生徒とあそびいて森嶋ししく
ギプス重し四方に跳ねる春の泥もりたきみ
弾け飛ぶ春泥のフルスロットル森太郎
春泥を蹴散らし失恋のをのこ森日美香
春泥や飛び込む犬に戸惑う吾森茉那
春泥や走る足跡は4つ脚諸岡萌黄
春泥に注ぐ光や柔らかしモロチンスキー
ローファーに付く春泥は歩いた証野生の栗
春泥をものともせずにスピッツ駆く痩女
春泥や畑あがりのタップダンス八手薫
春泥や子は踏み心地味わひて山内彩月
跳ね上げた春泥ともに帰宅して山内文野
春泥や移りたる部屋絵を掛けてやまかげさくら
春泥やお不動さんに会いに行く山川たゆ
長靴の春泥乾く閑話かな山口絢子
春泥や靴履き替えし停車場山口笑骨
春泥や靴紐を締め直す朝山崎力
春泥を小さき長靴飛び跳ねよ山里うしを
陽に向かい春泥かきわけ小さきあお山下弥生
春泥や友の無事知りひと跨ぎ山下義人
静止無視春泥踏みて嬉々たる子山育ち
春泥の豚売り終へて焼きトン定山田季聴
春泥にはまって猫の朝帰り山田好々子
春泥の小道懐かし亡父の背山田翔子
春泥や下見ドライブ新任地やまだ童子
春の泥寂寞の路さまよいて大和杜
春泥を踏む足元や跳ねる土山本葉舟
長靴の闊歩春泥の種苗園柚木みゆき
春泥の底に隠してゐる事実宥光
シャンプーいやいやシロ春泥を逃走す雪井苑生
春泥や気になる人の手を掴む柚子こしょう
傘すぼめふと立ちどまる春泥にゆっくりしづこ
春泥や跳ねあげし日々遥かなり柚木啓
春泥を越えれば彼に告白だ夢一成
春泥や紅白帽の列蛇行夢見昼顔
春泥や蹴散らせ下腿三頭筋ユリノイロ
靴底の柔かく跳ね春の泥緩木あんず
春泥や仔やぎ産まれし牧場へ鷹子
春泥に敢えて踏み込む俳士かな横井あらか
白杖を導びく先に春の泥横田信一
南向き大股で一歩春泥や横浜順風
グランドに立つ春泥のアスリート横山道男
春泥を全力疾走ボール追う吉田びふう
春泥をばっしゃんとばし犬かける吉成小骨
初めての春泥踏むや三歳児吉藤愛里子
春泥のドッジボールや母憂ふYoshimin空
引き売りの老婆のリヤカー春の泥理佳おさらぎ
春泥やチャペルの鐘のたなびいてリコピン
裏路地の避けて通れぬ春の泥理真
春泥のこびりつきたる車窓かな凛
春泥へ吸い込まれたるホームランルージュ
隊商の馬車どっしりや春の泥黎明
雨上がりの匂い春泥に跳ねるわぎゃん
春泥をくるりシベリアンハスキー渡辺香野
春泥や輪島仮設に子らの声渡辺陽子
鼻先を喜び勇み春泥へ和脩志
春泥に砂蒔く球児初稽古古庄萬里
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
◆俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
◆ひとことアドバイス
●兼題とは
春と冬はきっと仲がいいんだねと広瀬鶏がら
早春や原っぱを行く泥の靴ワカワカシ
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「春泥」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●季重なり
春泥や一歩一歩とあたたかく梅泰然
春泥に沈むや冬という過去は梅鶏
春泥やスキー場では悲しいな小林弥生
春泥の入試ゴム靴そっと出し駒茄子
春泥のおおえる頃に虹映ゆる邨虚空
春泥の靴に重たき冬のこゑ田浦釵釧金
春泥や泥水あびた蕗の芽恵美笑
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「春泥」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●季語の本意
春の季語「春泥」とは、春のぬかるみですが、雨だけでなく雪解け・凍解けによるぬかるみも指します。地理の季語ですから、基本的には野外の光景です。投句の中には、明らかに室内の景と取り合わせているものが多数あり、どこまで許容すべきか、少々悩ましい選となりました。
例えば「春泥やこれより先は無菌室」の場合は、病院? 工場? 春泥をつけた靴を履いているけど、ここから先は無菌室なので履き替えねば……という句意かと推測し、許容しました。
が、「エレベーター七十階は春泥へ」は、エレベーターで辿り着いた七十階が春泥へと続く? 七十階が屋上庭園? こちらは句意が明確に読み取れず、選外としました。
兼題の季語の本意を、歳時記でしっかりと確認してから実作に入る。この習慣はしっかりと身に付けて欲しいところです。
お待たせしました! 2月の兼題「春泥」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。春先、硬い土と思いこんで何気なく踏みしめてから「あっ!」となるあの泥も、俳句にかかればうれしい春の予感に早変わりです。どろどろのスニーカーからはいったん目を逸らします……。4月の兼題「磯遊」もふるってご応募ください。(編集部より)