夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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5月の兼題

「凉し」

2月の審査結果発表

兼題「春泥」

 お待たせしました! 2月の兼題「春泥」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。春先、硬い土と思いこんで何気なく踏みしめてから「あっ!」となるあの泥も、俳句にかかればうれしい春の予感に早変わりです。どろどろのスニーカーからはいったん目を逸らします……。4月の兼題「磯遊」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
春泥の能登銭湯をおごらるる

板柿せっか

夏井いつき先生より

「春泥」とは、凍解・雪解・春雨等によって生じるぬかるみです。「春泥の能登」と地名を特定したことで、私たちの脳裏には、かの震災そして水害に見舞われた能登の現状が立ち上がってきます。
「銭湯」をおごられたのは、ボランティアの方々あるいは復旧現場の作業員さんでしょうか。学術調査等で訪れた研究者や学生かもしれません。能登のために、能登を見捨てることなくよく来てくださったという地元の方の切なる思いが、「銭湯をおごらるる」という事実の向こうにみえてきます。
 春とはいえ、余寒の厳しい能登。熱い湯に躰をあたためることが何よりの労わりであることを、被災者の皆さんこそが身に染みて知っているのです。本当の意味での春の訪れを能登の皆さんと共に祈りたい。そんな気持を強くさせられた一句です。

地
礼服に長靴春泥に集う

秋月あさひ

 お祝い事でしょうか、お弔いでしょうか。黒い「礼服」に身を包みつつ、足元はみな一様に「長靴」なのです。この町の「春泥」の頃の礼装はまさにこれ。「春泥に集う」という収斂の仕方が、一句の成否を決めました。

ローラーすべり台春泥の終点へ

赤尾双葉

「ローラーすべり台」とは、一つ一つのローラーが回ることでスピードが出やすく疾走感が楽しめる滑り台です。とはいえ、その終点にあるのが泥濘。この先は、言わずもがなの結末が待っています。「春泥」「終点」と踏んだ韻も隠し味となって。

春泥のここが風呂場や地鎮祭

守田散歩

「春泥のここが」という前半の構成に企みがあります。「ここが風呂場」? この泥濘が? と首を傾げた瞬間の下五「地鎮祭」。中七の切字「や」の詠嘆も効いています。やがて始まる祝詞に春の喜びが重なります。

跡地だと聞き春泥に歩を止める

川崎乃古亭

 何の「跡地」であるかは書いていません。が、作中の人物にとって、思い出や思い入れのある「跡地」であることは確か。「春泥」の途上、思わず「歩を止める」という動作にその心情がゆっくりと滲み、広がっていきます。

踏む逃げる、吾は春泥の王である

白沢ポピー

「踏む逃げる」を子供の遊びと読みますか、人生の紆余曲折を思ってしまいますか。読点のあとの「吾は春泥の王である」という詩語がどうにも痛快で、愛してしまった作品です。「春泥の王」のその冠もまた泥なのでしょうね。

人
  • 春泥や夫は豚の種付けす岡田雅喜

  • 春泥の駐車場なりラーメン屋赤鰯子

  • 海鳴りの寄する母校や春の泥葦屋蛙城

  • 発掘は春泥ひかるあの辺りあたしは斜楽

  • 春泥から生まれたような子の帰宅家守らびすけ

  • 春泥や二十才のころの吾を憎むRUSTY=HISOKA

  • 納骨を済まさん今朝の春の泥男鹿中熊兎

  • 春泥や犬とは真直ぐなる獣川越羽流

  • あをぐろきは断層あかぐろきは春泥霧賀内蔵

  • 春泥の凸にはひかり凹は影空流峰山

  • にはとりの腹春泥に清らなり古賀

  • 馬騎りの体幹ふとし春の泥桜鯛みわ

  • 文明は河に始まり春の泥すりいぴい

  • 春の泥掻いても掻いても泥の春高岡春雪

  • 春泥や今朝の私を置いてゆくEarlyBird

  • 春泥や国生み気どり杖をつき相生三楽

  • 春泥や足跡化石一億年相沢薫

  • 春泥や口遊みつつ大跨ぎ愛燦燦

  • 春泥や木喰訪ね靴重し藍野絣

  • 前輪くきくき春泥の坂を漕ぐあいむ李景

  • 春泥やなほ求めおり失せしもの逢來応來

  • 逡巡の恋や春泥飛び越ゆる青井季節

  • 三脚を畳む春の泥を拭ふ青居舞

  • 春泥や移住希望者説明会蒼空蒼子

  • 春泥に濡れる婦人の浪漫主義青田奈央

  • 校庭の春泥ぷくと発酵しあおのめ

  • 春泥に汚れたバスに客五人青星ふみる

  • 春泥や姉に預けしランドセル青松紫雲英

  • 春泥や走り根太き一里塚赤尾てるぐ

  • 春泥や還暦過ぎの恋心あかねペン銀

  • 春泥へどれも斜めや電信柱あが野みなも

  • 三輪山の春泥つけたままの靴赤富士マニア

  • 田代から春泥越えゆく祝いごとacari

  • 春泥や寺の縁起をじっくり読むあかり

  • 象亀の腹癒しをる春の泥明惟久里

  • 春泥や花壇にサックスのオブジェ空地ヶ有

  • 足跡の上に羽根揺る春の泥あきちゃんはようせい

  • 春泥や帝王切開傷跡秋桜みりや

  • 春泥を撥ね上げ進む自衛隊昭廣凡字

  • 春泥や介護タクシー遠回りあくび指南

  • 春泥やあの子転校するらしい浅井翠

  • 運転教習春泥にエンスト朝雲列

  • 春泥や満ち足りた日も喉渇くあさのとびら

  • 春泥や再就職の内定来朝日雫

  • 春泥の補助輪取れて光るリムあじさい卓

  • 春泥や朝市ふらり海緩む明日に翔ぶ会

  • PK戦熱き膝つく春の泥藍創千悠子

  • 「考える人」の色なる春の泥足立智美

  • 春泥や騎兵隊組むコイントス渥美こぶこ

  • 春泥の子ら球根の芽ぐむよに我孫婆

  • 春泥や直売所盛り上げる歌手あまぐり

  • 春泥がこの頃少し好きである雨森茂喜

  • リストラも離婚もあった春の泥雨降りお月さん

  • しあはせにのたくる朝日春の泥綾竹あんどれ

  • 春泥や荷台に本を束ねたり綾竹ろびん

  • 春泥や信号を待つバキュームカーあらい

  • 足跡無き春泥赤旗の校庭荒木響

  • 春泥や長靴弾ませ昭和の子荒木ゆうな

  • 春泥をゆく白犬の背に夕日蛙里

  • 春泥やスマホも銭も持たずゐて有村自懐

  • 過疎の地へ青年教師春の泥アンサトウ

  • 春泥や転勤先の天津飯安春

  • 春泥は清しジャーゴンに子の矜持井若宙

  • 春泥を跳びこえ雲と駈落ちす飯村祐知子

  • 原稿をもらふ往復春の泥猪狩鳳保

  • 春泥や真昼間から酒に酔ふ生野薫

  • 友と和解や春泥を帰り来ぬ郁松松ちゃん

  • 春泥や底のない空現れる池田悦子

  • 春泥や子の手吊りゆく父母の影池田桐人

  • 春泥を嗅ぐ柴犬の尾のまろし池之端モルト

  • 思ひ出の靴捨つ春の泥もろともイサク

  • 春泥を避け春泥に突つ込みぬ石井一草

  • 春泥の塊ならす爺一人石井久次

  • 春泥や歩幅が少したりなくて石田ひつじ雲

  • 春泥の輝きの野を熱気球石塚彩楓

  • 春泥やサイドミラーに能登の海石原由女

  • 春泥を撥ね引つ越しのトラック来石村香代子

  • 春泥や轍のあとの牛の糞(まり)石本美津

  • 隠さざる侵略の記や春の泥泉晶子

  • ミッフィーの耳に乾きし春の泥和泉攷

  • 我が墓石建つ前の息春の泥和泉園実

  • 高認試験へ渋谷界隈春の泥いずみ令香

  • 不器用な長女いとほし春の泥石上あまね

  • 春泥に転がるカバと見てる河馬いたまき芯

  • 鼻振りて象は春泥浴びにけり一井かおり

  • 春泥や埴輪の瞳とモジリアニ市川卯月

  • 天空を禊ぎし名残り春の泥市川りす

  • 春泥やラジオ体操間に合うかいちご一会

  • 手を繋ぎつつ春泥の両側をいちすぺ

  • 鶏の鳴きて春泥震えをり一ノ瀬なつめ

  • 春泥や恋占いの列長しいつかある日

  • 春泥や歯茎を見せて馬笑ふ伊藤映雪

  • 春泥やミニクーパーの顔拭ふ伊藤薫

  • 三毛帰る尾に乾きたる春の泥伊藤順女

  • 春泥や糞の匂ひの仄かなり伊藤なおじい

  • 春泥や転勤先の水甘し伊藤柚良

  • 春泥は嫌ひと露西亜の女の言ふ伊藤小熊猫

  • 乾きゆく春泥の端ふくらみぬ糸川ラッコ

  • 眠りたる子の束の間よ春の泥いとへん製作所

  • 上澄みの空も明るし春の泥井中ひよこ号

  • 春泥や地の果てを指す名の岬稲畑とりこ

  • 春泥や行列ニキロ紙の剣イナホセドリ

  • 春泥を蹴り上げ陽光を急かす居並小

  • 春泥や最後の一羽のような鳥井上鈴野

  • 春泥や空をゆくものみな光り井上れんげ

  • 春泥を浴びるジープのふかし音井納蒼求

  • 春泥や放射能をおびてなほ猪子石ニンニン

  • 春泥を口笛で来てひよいととぶ井原昇

  • 春泥の靴跡のこす公文塾いまいやすのり

  • 足跡は親子なるべし春の泥今村きき

  • 春泥は弱酸性で泣き虫で伊予吟会宵嵐

  • 春泥もいつか乾くさ婆の欠伸伊代ちゃんの娘2

  • 春泥を飛び越えカレー食べに行こういわさちかこ

  • 春泥や鷺は嘴から振り向きぬ岩清水彩香

  • 春泥やじゃんけんの道けもの道岩瀬けいこ

  • 春泥を踏んで母校に着任すうえともこ

  • 同部署に他社が参入春の泥上野眞理

  • 春泥や像のおしりのひび優しうすい木蓮

  • 春泥の呼吸ぽつぽつ気泡めきうた歌妙

  • 春泥や荷台に新しき机内田こと

  • ほろ酔いの二人春泥の路地に出る内本惠美子

  • 父を超す春泥の靴揃えけりうつぎゆこ

  • 春泥を詫びて差し出す土産菓子靫草子

  • 春泥を光のほうへ踏むペダル卯之町空

  • 清流に洗う春泥憚りて海口竿富

  • 春泥に浸かっていたい駄々こねたい海沢ひかり

  • 湧水を汲む行列や春の泥梅里和代

  • 春泥をツァラトゥストラと踏みまする梅朶こいぬ

  • 春泥やタバコ屋跡の駐車場梅田三五

  • いのちにも少しく春の泥のあとうめやえのきだけ

  • 地球儀を半分回し春の泥浦城亮祐

  • 春泥の跳ねて小さきアルペジオ江川月丸

  • 春泥を酔客のごとラジコンカー江口朔太郎

  • ぽってりと乳房のごとく春の泥蝦夷野ごうがしゃ

  • 行く人のスキツプめきて春の泥蝦夷やなぎ

  • 自転車を引きて春泥の坂道絵十

  • 晩学の小さき躓き春の泥江戸きり子

  • 春泥や学習院の社宅跡朶美子

  • 紙芝居自転車捕らふ春の泥えりべり

  • 最後の朝練春泥は勲章ANGEL

  • 春泥や摘まむ袴の鬱金色おおい芙南

  • 春の泥境界線といふ火種大岩摩利

  • 春泥をずぼずぼずぼん一年生大久保加州

  • 春泥や恋のはじまりゆっくりと大越総

  • 登園へ列ぐなぐなや春の泥大越マーガレット

  • 犬の尾の乾ききったる春の泥太田けいこ

  • 春泥やあの石に右足置けば大竹八重子

  • 序章から進まぬ育児春の泥太田怒忘

  • 春泥やすなばセットに雨うたふ太田一駄歩

  • ホースの先細め春泥の靴洗ふ大塚恵美子

  • 春泥にまみれて朝の指定靴大津美

  • 春泥や出向先の昼休み大谷維鶴

  • 春泥や偶蹄目も訪れた大矢香津

  • 春泥やああもう義父の三回忌大山長閑

  • 春泥を光の弾として駿馬岡一夏

  • 春泥や離村数戸と知らされて岡井風紋

  • 春泥をつけて新車の朝帰り岡井稀音

  • 春泥を跳んでお使い忘れたりおかえさき

  • 春泥や別れの頃のスニーカー岡崎佐紅

  • 春泥のかがやきにほふ馬場かな 可笑式

  • たぷたぷと春泥均す赤い靴岡田瑛琳

  • 春泥の渡しを伝い花嫁来岡田きなこ

  • 婚約の指輪あるいは春の泥岡田ひろ子

  • 夜明けまえ春泥匂ふしじまかなオカメインコ

  • 駄菓子屋は道渡りすぐ春の泥岡山小鞠

  • 合否待つ春泥匂う掲示板小川さゆみ

  • 春泥に全身で押す猫車小川天鵲

  • 春泥の足跡なぞり友来たる小川都雪

  • アジアハイウェイ春泥の日本橋オキザリス

  • をちみづの溢れて至るのが春泥沖庭乃剛也

  • 春の泥握る「ぐにゅう」と声のする荻原湧

  • 春泥のぐしゃぐしゃになる牛舎前おこそとの

  • 農協のATMに春の泥小田毬藻

  • 春泥に深き轍の蠢けり尾田みのるこ

  • 春泥や轍の先の農機小屋おだむべ

  • 春泥まぶし古希を過ぎて未来越智空子

  • 春の泥蹄洗場にジャンボタワシおぼろ月

  • 水槽へひかり浄しや春の泥ぉ村椅子(志村肇)

  • 下校中ボンジョビを聴く春の泥海音寺ジョー

  • 春泥や想定外の曲がり角かいぐりかいぐり

  • 春泥や車椅子にも内輪差海峯企鵝

  • 春泥へ片足入れて後はもう香依蒼

  • 春泥や霊獣のごと河馬光る火炎幸彦

  • 春泥や朝日に沈む舟の影柿本苧麻

  • 春泥の匂ひ子供の手の匂い風花まゆみ

  • あの角を曲がれば生家春の泥風花美絵

  • 婚約はまだ春泥のにわたずみ風早杏

  • 春泥を踏んだ娘と言はれけり霞山旅

  • 春泥の能登を重機の履帯かな樫の木

  • 春泥やカーラジオからキャンディーズ風薫子

  • プラネタリウム出で春泥の靴となる加田紗智

  • 春泥や埴輪のかけら小さき手に蝸牛

  • 白き那須岳春泥へ牛の群れ帷子砂舟

  • 春泥の散った手紙を乾かしぬかつたろー。

  • 春泥よ生温かき吾を汚せ桂子涼子

  • 友見つけ子は春泥を躊躇わず桂佐ん吉

  • 春泥にすべてを曝け出す一歩桂葉子

  • スニーカよ春泥はこそばゆからうかときち

  • 春泥を丁寧に往く盲導犬かねつき走流

  • 犬猿の友見送るや春の泥花星壱和

  • 春泥やワルツ響かす子らの靴神島六男

  • 春泥やあなた以外の人も好き神長誉夫

  • 春泥の足跡の縁甘くあり神谷たくみ

  • 春泥や蹠とらえる地の形紙谷杳子

  • 実家への道のり遠し春の泥亀岡恵夢

  • 春泥や夕日に影の深さあり亀くみ

  • 春泥や背が一センチ伸びていた亀子てん

  • 農夫には恵のひかり春の泥亀田かつおぶし

  • 春泥の底から生まれ出る光亀山逸子

  • どこまでも春の泥また草の海亀山酔田

  • 春泥やひとり祝うか誕生日かもめ

  • 春泥やあのキーホルダー現るる加裕子

  • 春泥や黒柔らかきランドセル絡丸いと

  • 春泥や骨の欠片は星となる刈屋まさを

  • 月並みな祝辞携へ春の泥河上摩子

  • 恐竜の糞も豊かに春の泥川崎ルル

  • 春泥やジャングルジムの十の空翡翠工房

  • 春泥や祖母の詩集が出来あがる河孝

  • 前かごの犬と湖辺へ春の泥川村湖雪

  • 国生みの神は矛持ち春の泥河村静葩

  • 春泥の朝ノミの市三周目カワムラ一重

  • 春泥や私の対義語はあたし干天の慈雨

  • 春泥の讃岐路玉切れのうどん屋閑酉

  • 春泥や退院の荷にぬいぐるみ喜祝音

  • 春泥ややぐらの上の馬鹿囃子岸本元世

  • 春泥をいま出棺のクラクション岸来夢

  • 近づかぬ筑波山頂春の泥酒暮

  • 春泥を避けて二輪のよろけたる喜多丘一路

  • 春泥や離婚届の受理通知北村崇雄

  • 春泥の日向を過る鳥の影北村環

  • 春泥や七人の敵次々と貴田雄介

  • 春泥やナスカの地上絵めく轍きなこもち

  • 内見は春泥以外すべて〇城内幸江

  • 春泥の乾きて主なき館木下桃白

  • 春泥を闊歩す病あけの吾子木下風民

  • 春泥に売出しチラシ沈みけりきべし

  • この靴はもう春泥にくれてやる木ぼこやしき

  • 子豚らのころがりまくる春の泥気まぐれ亭いるか

  • 門限間近春泥を駆け抜ける木村かわせみ

  • 春泥や平飼い鶏の黄身二つ木元紫瑛

  • 春の泥踏んだキャディーさん笑ったQ&A

  • 春泥や空に近づく歩道橋鳩礼

  • 春泥や四柱祀る森深し杏乃みずな

  • 嘘つぽいグミを二粒噛む春泥きゅうもんde木の芽

  • 柳生へは下り坂なり春の泥霧澄渡

  • 春泥がきれいで頬をあをく塗るギル

  • マンモスの跡も録ったか春の泥銀溟さきのすけ

  • 春泥や荷台の子豚無事だろかくさ

  • 春泥や袱紗のそれは御香料くすみ輝く

  • 春泥にはらり号外ふみにじるくちなしの香

  • 春泥にまみれこの子も一年生くつのした子

  • 一クラスだけの母校や春の泥國吉敦子

  • 春の泥指より脈を与えけり曇ゆら

  • いわんこっちゃない春泥にすっ転ぶ倉岡富士子

  • ブライダルカー春泥を鳴らし来る眩む凡

  • 春泥の素直に澄みて母入所栗田すずさん

  • 春泥や山羊の黒目の真つ平ら久留里61

  • 登校や靴をしたたる春の泥愚老

  • 春泥や隣のピアノ辿々し黒瀬三保緑

  • 春泥の足元からむ送別会黒田良@しろい

  • 二人行く春泥の区役所への道桑田栞

  • 餞の詩よ春泥の路と路恵勇

  • 春泥を大胆に行く人や恋月下檸檬

  • 春泥やつばさのいろの時計板げばげば

  • 春泥や人も獣も尾を振りて健央介

  • 春泥や式のつづきの市歌うたひ謙久

  • 春泥や一歩踏み出す少年AケンG

  • 春泥や踵踏みたるコンバース剛海

  • 春泥や野草の青さめきめきと河国老保忠

  • 春泥を踏みて鈴の緒鳴らしたる柑たちばな

  • 春泥や拘置所横の幼稚園幸田梓弓

  • 百年を耐ふる屋号や春の泥こうだ知沙

  • 駄菓子屋に春泥の靴集ひけり宏楽

  • 春泥や迂路清らかな鳥の声越乃杏

  • 銀座より戻りて春の泥の庭木染湧水

  • 勝ち麻雀帰途春泥を悠々と古知野朝子

  • 五年目の苗字、スーパー、この春泥こてぬぐい

  • 留年を決め春泥の門を出る後藤周平

  • 故郷の春泥つきで菜が届き後藤昼間

  • 春泥やゴールキーパー横つ飛び後藤三梅

  • 春泥や猫が伸びするボンネット来冬邦子

  • ゴーヘイは空へ歩みは春泥へ粉山

  • 春泥やいぼるいぼると国言葉このみ杏仁

  • 春泥や杖をたたみて談話室小林昇

  • 春泥にゆらとたゆたふ景色かな小林澄精

  • 春泥の路地に無人の花屋あり小林のりこ

  • 春泥や医師の所見に図のありてこま爺

  • 春泥や足踏みし待つ直売所小南子

  • 春泥や揉めに揉めての墓じまい小山晃

  • 春泥や仮設だらけの博覧会GONZA

  • 軟式のカーブの握り春の泥今藤明

  • 春泥を豚の子一歩二歩三歩こんのゆうき

  • 春泥や吾の右腕に濃き歯形コンフィ

  • (車売ります)春泥に看板ぞさいたま水夢

  • 春泥に禰宜の浅沓たぢろがず彩汀

  • 春泥や遊び疲れし膝小僧齋藤桃杏

  • 春泥を蹴散らし届く内祝い宰夏海

  • ビルの間の春泥にも陽あたりけり榮紅

  • 春泥や村の選挙は無投票坂口いちお

  • 春泥や硝子ペン選る弘法市坂野ひでこ

  • 春泥や引出物まだ決めかねて坂まきか

  • まっさらの蹄鉄が蹴る春の泥坂本雪桃

  • 春泥や母の家出は数時間櫻井こむぎ

  • 大安の春泥を行く本契約櫻井弘子

  • 春泥や無職の彼のプロポーズさくら悠日

  • 春泥や熱を吐き出す再起動迫久鯨

  • 春泥や決着のヘッドスライディング雑魚寝

  • 春泥を撫でそうな白無垢の裾佐々木るんやみ

  • 春泥を駆ける背に怖くないかと笹靖子

  • 春泥や古き手鏡磨きをりさざれいし

  • 春泥の匂ひなのかと向かい風佐藤公

  • 春泥や半量となるステロイド佐藤恒治

  • 春泥を越すパスワード教えます佐藤茂之

  • 春の泥街に電線消えにけり佐藤志祐

  • 春泥の罅板チョコを半分こさとう昌石

  • からだじゆう浴びれば仲間春の泥佐藤浩章

  • 春泥や車を引く手押し出す手佐藤まり子

  • 春泥のひかり跳べ跳べコンバース佐藤ゆま

  • 春泥の子カバ鼻ちやうちんプチン佐藤レアレア

  • 春泥や緊張するとよく喋る里山子

  • 春泥は破婚の足になほ残り錆田水遊

  • 春泥や既に徐行の対向車さぶり

  • 春泥の底のつたりとゐる微笑さむしん

  • 妹と靴脱ぎ捨てて春の泥佐柳里咲

  • 閏年ゆゑ春泥の粘りやうさるぼぼ17

  • 春泥大破法定速度へ余波沢井如伽

  • 春泥や佳きを悪いで引き算しない沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 春泥や楽しんじゃえよ自分をよ澤田紫

  • 春泥や隣家は土曜も出勤す三角山子

  • 春泥をずんとスクラム前進す三月兎

  • 赤本を春泥へモラトリアムへ珊瑚霧

  • 女神辞めます春泥を飲み干して三尺玉子

  • 春泥や子の宿題の難しさ四王司

  • 進路まだ決まらぬ子らや春の泥塩風しーたん

  • 春泥やポップス漏るるダンプカー塩沢桂子

  • 春泥や犬五か月に母百よじきばのミヨシ

  • 蹄めく大工の足袋や春の泥柿司十六

  • 春泥やぼくって母の杖なのか四條たんし

  • 春泥や午前「やや重」午後は「良」じつみのかた

  • 玄関に裏返る春泥の靴信濃のあっくん

  • 春泥や母校ジャージと塩むすび芝歩愛美

  • ヒデキ来てるつて春泥けちらして渋谷晶

  • 四輪駆動返り血のごと春の泥しぼりはf22

  • 春の泥胞衣の如くのぬくもりよ島掛きりの

  • 春泥に踏入る晩節のゆかい島田あんず

  • あしあとは春泥をとび春泥へ島田雪灯

  • 帝王切開春泥に臥す牛の腹清水縞午

  • 春泥にまみれしシューズ完走す清水ぽっぽ

  • 春泥を飛び越え内定を辞退清水三雲

  • 男坂の春泥轍つづきけり清水容子

  • 陽光の窓辺春泥匂ひ立つ霜月詩扇

  • 眼内レンズ春泥のタイヤ痕霜月シナ

  • 街騒を呑んで艶めく春の泥霜月ふう

  • 春泥を家なき犬の遊びゐて下村修

  • 春泥やぐちやぐちやに消す日記帳じゃすみん

  • 春泥や姥捨山のあちこちに社裏東風

  • 春泥を蹴散らしてゆく装甲車十月小萩

  • 春泥や轍の延びた先は晴れ種種番外

  • 猫車ちよつと傾き春の泥じゅんこ

  • 春泥よ追い出し試合のホイッスル順之介@QLD句会

  • 春泥をまたいでまたいで着くトイレ常幸龍BCAD

  • 春泥のコタン風にムックリの声正念亭若知古

  • 春泥のホームに残る喝采かな白井佐登志

  • 春泥や野球ボールは日本製白井百合子

  • 春泥に無限軌道はきゅらきゅらと不知飛鳥

  • 春泥へ突つ込みしつぽ振りまくる白猫のあくび

  • 昨日の春泥へ今日の春泥白よだか

  • 豪農の土塀長しや春の泥ジン・ケンジ

  • 春泥や大腸ポリープ切除へ水牛庵乱紛

  • 命の素はきっとこんな春泥末広野暢一

  • 春泥や黒きマントの衣擦れにすがりとおる

  • プリキュアのスキップ軽し春の泥杉岡ライカ

  • 春泥に手加減の無き三輪車杉尾芭蕉

  • 春泥や歩き初めたる子を汚し涼風亜湖

  • 春泥の轍路傍の花は咲く鈴木季良恵

  • 春泥を式服で跳ぶ一家かな鈴木秋紫

  • 黒髪の騎射は春泥はね上げてすずきじゅん

  • 雲ほぐる牛一頭の春の泥鈴木由紀子

  • ピチカート弾め雀も春泥も鈴白菜実

  • 免許返納春泥を飛ばさるる清白真冬

  • 春泥の車輪詰め込む連絡船すずなき

  • 春泥や雲梯へ巻く落としもの鈴野蒼爽

  • 越後大持引(だいもちひき)春泥へたすき素敵な晃くん

  • 春泥を訪問医師の白衣かな主藤充子

  • 磊塊の沈み込む春泥の底須磨ひろみ

  • 春の泥棟上げ式の祝い餅すみれルース

  • 春泥を二度跳び越えて朗報をせいしゅう

  • 春泥や踏みて冒険てふ終はり清仁

  • 鳥葬の白骨春泥に沈む青峰桔梗丘

  • 春泥や挨拶交わす菩提樹に星夢光風

  • 春泥や象の戻らぬ動物園瀬央ありさ

  • 億年をかけて春泥吾を飾れ瀬紀

  • 春泥や追い切り軽め朝の馬場sekiいつき組広ブロ俳句部

  • 春泥や日銭を稼ぐ金粉ショーせり坊

  • 懐かしい声がして春泥の頃全美

  • 春泥やもう取り返しつかぬ恋SOSHUN

  • 春泥や淡き灯りの美術館草夕感じ

  • 転がりて犀の形となる春泥外鴨南菊

  • 春泥の渡り廊下へ引かれおりそまり

  • 春泥や第三志望の入学金染井亀野

  • 春泥に凹凸ひかり爆ぜ散りぬ染井つぐみ

  • 春泥や蔓に絡まるシャトルコック空豆魚

  • 春泥に裸ん坊の太陽がぞんぬ

  • 春泥や辞令出た夜の地元酒駄詩

  • 春泥の残りしままや妣の靴大ちはる

  • 春泥やもう後戻りできぬ位置たいらんど風人

  • 春泥に天仰ぐここは丹沢高上ちやこ

  • 春泥やハローワークへ離職票高尾一叶

  • スモックに春の泥はや乾きをり高木音弥

  • 春泥や孤立無援のすべり台高瀬小唄

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  • 春泥や未舗装の道下駄重し湊かずゆき

  • サクヤヒメ春泥は宙の声聞く南りぱりこ

  • 白猫黒猫いま春泥に跳ねてをり源早苗

  • 春泥のお汁粉めいた獣道嶺乃森夜亜舎

  • 春泥の長靴揃う公民館美村羽奏

  • いま大地目覚めたしるし春の泥宮井そら

  • 春泥に会釈もそぞろ散歩みち見屋桜花

  • 春泥の児の靴洗ふ陽射しかなみやかわけい子

  • 春泥と黄色長靴たわむれり宮城海月

  • 春泥にドッジボールの鈍き音宮武濱女

  • 春泥は洗礼初乗りの四駆みやま千樹

  • 飛び越えし春泥友と学校へ美山つぐみ

  • 春泥を踏み行く明るき空の下宮村寿摩子

  • 春泥にまみれたボールと球児かな宮本モンヌ

  • 地震ごっこ春泥はねらせ走る子らムシ・ミカミ

  • いっぽごとのけぞり盛れる春の泥霧想衿

  • 春泥からコンクリートへ上がる靴睦月くらげ

  • 春泥や忍者の里の道険しむねあかどり

  • 春泥の長靴二足玄関に恵のママ

  • 長靴の春泥軽しバイト帰りメディックス千里

  • 春泥もいとし合格掲示板愛島さと子

  • 春泥や誰かの靴を飲み込みぬ瑪瑙

  • 実家の朝春泥のトラックかすかもも

  • 雑踏の片隅にある春の泥森海まのわ

  • 春泥や心の傷も包み込む森佳月

  • 春泥やわたしの命にかわるもの森重聲

  • 春泥や妻が生徒とあそびいて森嶋ししく

  • ギプス重し四方に跳ねる春の泥もりたきみ

  • 弾け飛ぶ春泥のフルスロットル森太郎

  • 春泥を蹴散らし失恋のをのこ森日美香

  • 春泥や飛び込む犬に戸惑う吾森茉那

  • 春泥や走る足跡は4つ脚諸岡萌黄

  • 春泥に注ぐ光や柔らかしモロチンスキー

  • ローファーに付く春泥は歩いた証野生の栗

  • 春泥をものともせずにスピッツ駆く痩女

  • 春泥や畑あがりのタップダンス八手薫

  • 春泥や子は踏み心地味わひて山内彩月

  • 跳ね上げた春泥ともに帰宅して山内文野

  • 春泥や移りたる部屋絵を掛けてやまかげさくら

  • 春泥やお不動さんに会いに行く山川たゆ

  • 長靴の春泥乾く閑話かな山口絢子

  • 春泥や靴履き替えし停車場山口笑骨

  • 春泥や靴紐を締め直す朝山崎力

  • 春泥を小さき長靴飛び跳ねよ山里うしを

  • 陽に向かい春泥かきわけ小さきあお山下弥生

  • 春泥や友の無事知りひと跨ぎ山下義人

  • 静止無視春泥踏みて嬉々たる子山育ち

  • 春泥の豚売り終へて焼きトン定山田季聴

  • 春泥にはまって猫の朝帰り山田好々子

  • 春泥の小道懐かし亡父の背山田翔子

  • 春泥や下見ドライブ新任地やまだ童子

  • 春の泥寂寞の路さまよいて大和杜

  • 春泥を踏む足元や跳ねる土山本葉舟

  • 長靴の闊歩春泥の種苗園柚木みゆき

  • 春泥の底に隠してゐる事実宥光

  • シャンプーいやいやシロ春泥を逃走す雪井苑生

  • 春泥や気になる人の手を掴む柚子こしょう

  • 傘すぼめふと立ちどまる春泥にゆっくりしづこ

  • 春泥や跳ねあげし日々遥かなり柚木啓

  • 春泥を越えれば彼に告白だ夢一成

  • 春泥や紅白帽の列蛇行夢見昼顔

  • 春泥や蹴散らせ下腿三頭筋ユリノイロ

  • 靴底の柔かく跳ね春の泥緩木あんず

  • 春泥や仔やぎ産まれし牧場へ鷹子

  • 春泥に敢えて踏み込む俳士かな横井あらか

  • 白杖を導びく先に春の泥横田信一

  • 南向き大股で一歩春泥や横浜順風

  • グランドに立つ春泥のアスリート横山道男

  • 春泥を全力疾走ボール追う吉田びふう

  • 春泥をばっしゃんとばし犬かける吉成小骨

  • 初めての春泥踏むや三歳児吉藤愛里子

  • 春泥のドッジボールや母憂ふYoshimin空

  • 引き売りの老婆のリヤカー春の泥理佳おさらぎ

  • 春泥やチャペルの鐘のたなびいてリコピン

  • 裏路地の避けて通れぬ春の泥理真

  • 春泥のこびりつきたる車窓かな

  • 春泥へ吸い込まれたるホームランルージュ

  • 隊商の馬車どっしりや春の泥黎明

  • 雨上がりの匂い春泥に跳ねるわぎゃん

  • 春泥をくるりシベリアンハスキー渡辺香野

  • 春泥や輪島仮設に子らの声渡辺陽子

  • 鼻先を喜び勇み春泥へ和脩志

  • 春泥に砂蒔く球児初稽古古庄萬里

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


◆ひとことアドバイス


●兼題とは

  • 春と冬はきっと仲がいいんだねと広瀬鶏がら

  • 早春や原っぱを行く泥の靴ワカワカシ

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「春泥」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●季重なり

  • 春泥や一歩一歩とあたたかく梅泰然

  • 春泥に沈むや冬という過去は梅鶏

  • 春泥やスキー場では悲しいな小林弥生

  • 春泥の入試ゴム靴そっと出し駒茄子

  • 春泥のおおえる頃に虹映ゆる邨虚空

  • 春泥の靴に重たき冬のこゑ田浦釵釧金

  • 春泥や泥水あびた蕗の芽恵美笑

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「春泥」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●季語の本意

 春の季語「春泥」とは、春のぬかるみですが、雨だけでなく雪解け・凍解けによるぬかるみも指します。地理の季語ですから、基本的には野外の光景です。投句の中には、明らかに室内の景と取り合わせているものが多数あり、どこまで許容すべきか、少々悩ましい選となりました。
 例えば「春泥やこれより先は無菌室」の場合は、病院? 工場? 春泥をつけた靴を履いているけど、ここから先は無菌室なので履き替えねば……という句意かと推測し、許容しました。
 が、「エレベーター七十階は春泥へ」は、エレベーターで辿り着いた七十階が春泥へと続く? 七十階が屋上庭園? こちらは句意が明確に読み取れず、選外としました。
 兼題の季語の本意を、歳時記でしっかりと確認してから実作に入る。この習慣はしっかりと身に付けて欲しいところです。

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5月の兼題

「凉し」

過去の審査結果

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