夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
10月の審査結果発表
兼題「後の月」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
胸郭はさみしき籠や後の月
綾竹あんどれ
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「胸郭(きょうかく)」とは、胸椎・肋骨・胸骨から構成される籠状の骨格です。心臓や肺など重要な臓器を保護する胸郭ですが、それを「さみしき籠」という表現した詩語に惹かれます。
「後の月」とは、旧暦九月十三夜の月。満月の二夜前、少し欠けた月を愛でる心は、自身の胸中にある「さみし」を味わう心と触れ合い、響き合います。
八月十五夜を見て、九月十三夜を見ないのは「片見月」といって忌んだのも古人の美意識。季語「後の月」は、八月十五夜へと思いを馳せるニュアンスをも含みます。『源氏物語』の世界から現代まで連綿と繋がる「さみしき籠」の物語が、この一句に封じ込められているかのようにも思われ、心打たれた一句です。
夜といふ壺のうちがは後の月
広木登一
「夜といふ壺」の中で「後の月」を愛でている。この発想に、秋らしい寂寥感が漂います。月は、壺の曲線に添って少し歪んでいるようにも見えるのでしょうか。「壺のうちがは」を、漆黒の静寂が満たします。
掌の鍵の微かな歪み後の月
妹のりこ
掌の鍵にある微かな歪み。それは、頭上の「後の月」の歪み、胸中に去来する感情の歪み等をも想起させます。「鍵」は、モノでありつつ比喩的象徴にもなりうる一語。如何ようにも深読みができそうな一句です。
後の月生きてこんにやく毟りけり
加座みつほ
「生きて」という措辞は、亡くなったもう一人の人物を思わせます。共に眺めた二夜の月もあったのでしょうか。今は一人生きて、蒟蒻を毟っている。その日常的行為に、生き残る者の悲しみが凝っているかのようです。
後の月割れないように柔らかい
八田昌代
八月十五夜は凛々と張り詰めたような満月ですが、「後の月」は少し歪で少し柔らかく感じるというのです。「割れないように」という詩的理由は、案外「後の月」の本意を射ているようにも感じられ、共感を覚えました。
川だつただらだら坂を後の月
荻原湧
昔、ここは川であったと聞き伝えているのでしょう。「だらだら坂」の向こうから月が上ってきます。かつて川面に映ったであろう月を思いつつ愛でる「後の月」。ダ音の韻が、佳き俳諧味を醸しだしています。
後の月都庁に窓といふ鱗常幸龍BCAD
後の月鉄気の薫るバリケード白プロキオン
後の月擦過されゆく野と雨音北藤詩旦
産み終へて清らなすがほ後の月古賀
後の月ひかりは蝶を曳く磁力笹野夕
後の月牛の濡れ子を湯に洗ふ清水縞午
クサガメの子を弔いて後の月スペースレンジャー
後の月宿場は坂にへばりつくみやざき白水
山羊もゐる異国の列車十三夜宮部里美
後の月ウブドの鳥は絵につがひおきいふ
鱗粉のましろがかなし十三夜RUSTY=HISOKA
右側に後の月見ゆ救急車蒼空蒼子
ショー終えてアシカの仰ぐ後の月赤富士マニア
弦ひとつ切れたリュートや後の月明惟久里
ミシン踏む暗き両足後の月葦屋蛙城
一戸への長き坂道後の月阿曽遊有
アルバムは捨てたさ後の月きれい足立智美
後の月ホルモンをまだ噛んでゐる阿部八富利
後の月死は免罪符だと思う雨降りお月さん
何処より無伴奏チェロ後の月綾竹ろびん
城跡の闇残しけり後の月杏っ子
寡婦の窓の消灯早し後の月池田桐人
山に山のけもの息吐く十三夜イサク
銀河めく金継ぎの碗後の月石井一草
酒臭き息をしづかに後の月石上あまね
後の月牛舎の藁の沈む音市川りす
後の月回旋塔の影揺らぐ一秋子
後の月抜き差しならぬ先斗町いわきりかつじ
革命は昔日の夢後の月小川天鵲
おみくじの溢れる小枝後の月おこそとの
青白く石棺映す後の月小田毬藻
空爆を伝ふるラジオ後の月海峯企鵝
欠けてゐるわたくしその他後の月たけろー
後の月銀貨に死者の刻まれて樫の木
十三夜時計の裏にヤツがいる金子泰山
ささくれて見上ぐる空を後の月花星壱和
飽食の街尚渇く十三夜神長誉夫
どぶくせぇ街だ後の月きれい閑々鶏
人形に足らざる臓器後の月喜祝音
ダム底の村より上がる後の月Qさん
影法師そっと抜け出す後の月楠田草堂
後の月墳墓の俑のざらつける眩む凡
標本に微かな浮力後の月恵勇
後の月沖深くまで来たりけりげばげば
廃炉化の門灯ブルー後の月謙久
すりきれし畳ちくちく後の月剣橋こじ
十三夜パンドゥーラ抱く弾き語り小池令香
きれぎれのますかけせんや後の月恋瀬川三緒
取り壊す家の匂ひや後の月公木正
猫の背が脛に触れたり後の月柑たちばな
権利書のざらざらとして後の月幸田梓弓
明日を待つ展示まつくら後の月郡山の白圭
ポケットに五フラン硬貨後の月駒村タクト
ファミマ上空木星と後の月沢拓庵@いつき組カーリング部
ホスピスの鬱蒼として後の月山月
ただ眺む老いの片恋後の月じつみのかた
後の月跡取りのない商店街そうり
イーゼルに描きかけの絵や後の月大
後ろから「あ」と声がして後の月たいらんど風人
後の月わたし被害者だったんだ高尾里甫
後の月呪詛は羽虫のごと集る髙田祥聖
ビデオ判定待つコロシアム後の月たきるか
後の月城下を巡るみづ昏し玉家屋
後の月狭庭に水を張るごとく玉響雷子
後の月解体前のコンビニを千代之人
卒論の進捗…後の月仰ぐ彫刻刀
収骨はしないらうらう後の月津々うらら
後の月角の折れたる鬼瓦坪田恭一
黒留をたたみ一献後の月輝由里
屋根に落つ実の残響や後の月徳庵
後の月老いた獣医のサクソフォンとしなり
学校の最終施錠後の月苫野とまや
後の月婚家を我家とは呼べず中村すじこ
後の月娼婦ローラの死んだ森夏雲ブン太
爪切りて背徳少し後の月ネコ?
後の月円空仏めく人と会ふ野地垂木
朝空に酔ひを引きづり後の月埜水
古庭の新しき影後の月白庵
後の月据ゑて画中の街となるはせがわ水素
化野の手積みの小石十三夜葉月庵郁斗
後の月最後の客を見送りぬ花豆
里を粁に直して後の月をまた葉村直
後の月猫の体温抱へをり春あおい
また此処はテナント募集後の月半ズボンおじいさん
ペンライトは天を震わせ後の月ひでやん
抽斗の孝のオメガを後の月弘友於泥
後の月もろき光のにほふべし風慈音
十三夜SLIMの旅路どの辺り深蒸し茶
重そうな三脚が行く後の月河豚ふく子
後の月仰ぐたましひ濯ぎつつふじこ
後の月ふるえているふるえている冬のおこじょ
後の月声なきものへ独り言ほうちゃん
後の月部室に衣装調へり北欧小町
後の月父が標本めいてゐる百瀬一兎
後の月石碑に残る妓楼の名桃園ユキチ
転勤について行かうか後の月ももたもも
後の月東京はもう捨てたはず安田伝助
インク壺に蒼き宇宙よ後の月山内彩月
かしこまる箒の穂先十三夜山河穂香
納骨てふ別れふたたび後の月夢見昼顔
後の月インクラインを上る舟横山雑煮
後の月じんわり消えてゆく歯型よしぴこ
サラブォーンのレコードの傷後の月ららら句らら
後の月臓腑に孔の幾許かろまねす子
酔ひ醒めの耳孔の深し後の月亘航希
静夜思の頁に栞後の月えりべり
ニコチンを五臓に送る後の月齋藤方南
後の月老いの手掴む手も老いて舟端玉
二千発の砲弾赤し後の月むらのたんぽぽ
金継ぎの景色の中を十三夜あ・うん
定型の破婚の知らせ後の月EarlyBird
四方の空たひらかなりぬ後の月愛燦燦
落し物木に結わへられ後の月藍野絣
あれほどの甚雨からりと後の月あいむ李景
後の月若き日の歌流行りをり青井季節
相部屋の一夜の友よ後の月青井晴空
じりじりと伯父貴の竜頭十三夜青居舞
胎の子の右に傾ぐや後の月青木りんどう
部下帰し事務所を閉づや後の月蒼鳩薫
後の月政宗月へ攻め入らん青星ふみる
塾へやる娘の無口後の月青水桃々@いつき組俳句迷子の会
後の月寝相きれいな子のふたり赤尾双葉
写真浸し入水ごっこや後の月赤端独楽男
後の月詩人はまだ眠つてゐる赤馬福助
後の月親猫探す声消えるあかり
一合を付き合うて欲し十三夜赤尾実果
ベランダで見る後の月母校の上聰子
後の月獣となりし王のゐて秋白ネリネ
後の月遺骸の傍に子の玩具秋月あさひ
後の月白い舞い手の蹴る虚空彰乃泉
職人の手赫く堅く後の月秋野しら露
嚥下食母へ二さじ後の月あくび指南
月経の間遠になりぬ後の月あさいふみよ
塹壕浅く心焦るや後の月浅葱鴨葱
シンバルの出番は二回後の月朝霧さら
奢られに奢られ幾度後の月朝倉カグラ
突堤へ名残の月を聴きにゆく朝月沙都子
後の月釉薬の蘊蓄も愉し明後日めぐみ
後の月生家つぶすと兄の云ふ芦幸
出土器の足りぬひと欠け後の月あじさい卓
土肥ゆる鍬置き見上ぐ後の月飛鳥井薫
マイセンの一客欠けて後の月藍創千悠子
ワンカップ買う金も無し後の月アツシ
後の月にこ毛も白くなりにけり渥美こぶこ
病床の消灯の声後の月跡部榮喜
指先に血豆の張りや後の月あなうさぎ
後の月風の音が聞こえないよアニマルヘム猫
叔父さんは損ばかりする後の月あねもねワンオ
五十八歳まだ叱られて後の月あまぐり
十三夜結婚指輪外します雨戸ゆらら
天保の殿の盃後の月天橋立右彩
後の月龍を育ててゐる泪あまぶー
ドリーネに蔓延るいのち後の月あみま
金継ぎの金の蛇行や後の月雨乙女
煎じ薬の枕頭にあり後の月雨霧彦@木ノ芽
スタジオで独り自主練後の月雨李
後の月丘のメソニクス骨と化し在在空空
黄身に血の少し交じるや後の月アロイジオ
智ちゃんは七歳のまま後の月アンサトウ
シャッターの手書きの謝辞よ後の月安春
性別欄ふと筆止めて後の月飯沼深生
葬送の酔い醒めやらず後の月飯沼比呂倫
勇退の蹄鉄小さし後の月いかちゃん
龍雲に飲み込まれそな後の月イカロス
憂鬱の群れの渋谷や後の月いくたドロップ
後の月あの子は影を歩いてる池田悦子
後の月浸してビル街は徐脈池之端モルト
後の月陽明門は未完なり石垣ようせい
裏側ではきっと泣いてる後の月石川巴里
堤防に三角座り後の月石塚碧葉
前楽の幕間しづか後の月泉水あやめ
夫逝きし友と歩けば後の月いずみ節子
下宿屋の窓の小さきや十三夜磯野昭仁
怒りとはしづかにもゆる後の月板柿せっか
自転車で行くもらい湯や後の月伊丹春水
砂糖菓子割れてつめたき後の月一井かおり
後の月姉はきれいと言われ慣れ無花果邪無
風鐸の静かなる街後の月いつかある日
後の月菩薩の頬の丸き陰一久恵
百穴古墳じゅんじゅんゆるる後の月一斤染乃
ゆったりと満ちる潮の香後の月伊藤亜美子
疎まれて疎み返さず後の月伊藤映雪
あの頃の別れ話や後の月伊藤順女
文鎮の龍の爪立つ十三夜伊藤柚良
壊しては建てる東京十三夜糸川ラッコ
後の月写経を送る一周忌伊ナイトあさか
十三夜子に爆弾の降る地球井中ひよこ号
薪をくべ猛らす窯や後の月伊奈川富真乃
村を出て海と向き合ふ後の月いなほせどり
散髪の髪掃かれゆく後の月居並小
愛犬の骨壺小さし後の月井納蒼求
後の月ひばりの歌をオルゴール井原昇
解体の瓦礫猫寝る後の月今井みどり
改札出でゆるむ足取り十三夜いまいやすのり
門出れば閂閉まる十三夜井松慈悦
反故紙を機械に喰はせ十三夜伊予素数
三人中一人は味方後の月伊代ちゃんの娘2
母の手は少し冷たい後の月いわさちかこ
嘘つきも黙って歩く十三夜植木彩由
くちびるに金継ぎ触れて後の月うえともこ
後の月補陀落舟の朽ちたるか上本みのり
十三夜猫の欠伸はこわい顔うからうから
掌に織部のゆがみ後の月内田こと
晩年のプアゾンの香や後の月内本惠美子
後の月昭和のビルの枯れかかる空木眠兎
夕飯のうつわ離れへ後の月うつぎゆこ
明日閉じる入江のカフェや後の月靫草子
呑み足りぬ暖簾をくぐり後の月海口竿富
深爪の黒き濁点後の月海月のあさ
後の月てらてら肺に影ある吾海野青
頂きに腰掛けてゐる後の月梅尾幸雪
舟虫の蠢く影や後の月梅鶏
後の月元の名字にまだ慣れぬうめやえのきだけ
ペルソナの罅から吐息後の月粳ヤン
後の月父さんこの家解体です麗し
目の隈の黒ずむ重み後の月吽田のう
後の月産湯に硬き夫の腕詠頃
後の月痘痕の美しい女江口朔太郎
後の月廊下に一人父となる越前岬
後の月かそけき交信あるやうな絵十
母預けしばしの湯宿後の月榎本奈
後の月埃被った手風琴海老名吟
若かったと思えるまでに後の月遠藤千草
酌む兄はステージ4よ後の月遠藤一治
君逝くも留守と思ほゆ後の月近江菫花
後の月特殊清掃終へし部屋大岩摩利
後の月瞳の奥で無垢になる大越総
色町の独歩の友や後の月太田ばんない
後の月ざらり鍵置く退職者太田鵯
棺桶の祖父へ手毬を十三夜大津美
無声なる名残の月や展翅板大山なごみ
後の月雑巾裂ける程絞る大和田美信
新しき釜で飯炊く十三夜岡井稀音
別々の窓から眺む十三夜おかえさき
訪客に雨の香残り後の月おかげでさんぽ
後の月空群青に微熱する岡崎未知
後の月運河に浮かぶ木の数多可笑式
後の月父の書斎に眠る母おかだ卯月
捨つる物ばかりの部屋や後の月岡田雅喜
ファミレスの重き扉や後の月小川夏霖
濡れ髪の重き人魚や後の月小川野雪兎
五反歩に牧草ロール十三夜小川都
逝く人のあり後の月はまあるいオキザリス
明日もまた謝る仕事十三夜沖らくだ@QLD句会
千年の塔の影濃し十三夜奥田早苗
スペースマンの日当二ドル後の月小倉あんこ
ごんぎつね逃げのびたまえ後の月小﨑ひろ子
後の月母の遣いのベルツ水おだむべ
十三夜雲はつめたい大理石越智空子
妻の死を忘れて後の月の下音のあ子
しづかさや琴柱ととのひ十三夜おひい
後の月母に残った右乳房おんちゃん。
反省の涙はしづか後の月快晴ノセカイ
後の月爪が剥がれた仔が泣いた械冬弱虫
揺り椅子の酔ひの支点や後の月火炎幸彦
手の甲に刻む風紋後の月垣岡凡才
後の月まはる木馬の目の硝子化骨
反魂の拙き呪文後の月霞山旅
山を負ふ営みの灯や後の月華胥醒子
後の月職員室にコピー音風薫子
後の月人無き城の天守台片岡明
黒猫の眼と合う更地後の月加田紗智
後の月猫の骸に添寝せむ帷子砂舟
夜泣き毎ちぢむ乳房や十三夜花鳥風猫
縁側の右が空席後の月かつたろー。
バラシ後の野外劇場十三夜仮名鶫
しふしふと湯の沸く音や十三夜釜眞手打ち蕎麦
まほろばの甍を統べる後の月神島六男
後の月ほうやれほうと渡し舟紙谷杳子
砂浜の土俵そのまま後の月神谷米子
後の月ここに和菓子屋ありにけり亀子てん
本売つて本棚に穴後の月亀田荒太
影を置く夜の銀座や後の月亀田かつおぶし
後の月二次面接は影ばかりかめよかめ
握手会終へし手洗ふ後の月加良太知
後の月アンモナイトが目覚めさうかりそめのビギン
多摩川の曲がりたおやか後の月川越羽流
後の月柩に入れる懸想文河村静葩
龍笛の短音階や後の月川村ひろの
姉ほどの器量は無しや後の月神無月みと
後の月日銭はとうに無かりけり季々諧々
後の月通用口に鍵の音岸来夢
後の月キュンと獣の気配して北川茜月
ドライバー不足の国や後の月北村崇雄
父の脳A判定出る後の月ギックリ輪投げ
失った子宮の質量後の月狐雨
弓引きて闇に穴あけ後の月木寺仙游
後の月バブルリングのひゅるひゅるときなこもち
後の月鳥居の上に石を産む城内幸江
女身仏に蒼き翳りや後の月きのえのき
後の月一人で復習うフラの振りきべし
龍笛の和(ふくら)たっぷり後の月木ぼこやしき
後の月一人ラヴェルを聴き比ぶ木村かわせみ
後の月隣の部屋は伽藍堂木村となえーる
野良猫と終電待つや後の月木元紫瑛
後の月かかる社や素振り千京野秋水
大文字山に禿あり後の月京野さち
墨磨るに硯二寸や後の月杏乃みずな
抱へれば目を逸らす犬後の月清瀬朱磨
保護猫を五匹見送り後の月ギル
後の月観音裏の寂かなる菫久
まっすぐに生きれた後の月も美しいクウシンサイ
初恋の教師の訃報名残の月空想
後の月そらの屈葬かも知れぬ熊の谷のまさる@俳句迷子の会
運針の目の粗きこと後の月紅三季
後の月砕けてマリンスノーかな倉木はじめ
出荷終へ木犀色の後の月栗田すずさん
後の月膝りんりんと鳴りさうな久留里61
山峡をわたる遠吠え後の月愚老
後の月菌床ハウスよりバッハ薫夏
頤の下なる闇や後の月くんちんさま
混沌と遠く父の眼後の月桂子
昨日まで知らない人と後の月けーい〇
後の月能面の貌ぶら下げて健央介
シーソーの相手は不在後の月ケンG
後の月言葉は人の盾と矛紅紫あやめ
三県を跨ぐ山あり後の月宏楽
お代わりの珈琲後の月ふうわり古烏さや
後の月点字ブロック欠けており小笹いのり
後の月いま引き潮の由比ケ浜小嶋芦舟
てならひの楽譜は数字後の月小杉泰文
サバ缶のプルタブ硬し十三夜木染湧水
後の月猫は戦を語らない小だいふく
残業の珈琲甘し後の月来冬邦子
廃業の湯屋の煙突後の月後藤周平
後の月空中回廊遠回り後藤昼間
後の月あす入院の湯に漬かる後藤三梅
初めてのジャズの引力後の月粉山
めだか鉢昏し歪める後の月このみ杏仁
読了の見上ぐる窓や後の月小林昇
解体を待つ煙突や後の月小林のりこ
病院のにほひ懐かし後の月小藤たみよ
製図台に父の筆跡後の月駒野繭
道ばかり整ふ村や後の月小山晃
空席に恩師の名札後の月小山秀行
藍甕の青の呼吸や後の月GONZA
後の月赤き大地に親子象さいたま水夢
後の月窓辺で耽るヴェルレーヌ齋藤桃杏
後の月暗き炎の燻り小屋さおきち
契約の客を見送る後の月さ乙女龍チヨ
辰宿に嫉妬の鎖後の月酒井おかわり
四つ足の記憶もたげて後の月さかえ八八六
テロップは爆撃と拉致後の月坂野ひでこ
投了の礼のきっぱり後の月坂まきか
マナティーの半球睡眠後の月さくさく作物
後の月ひかりほどけて詩となりぬ桜鯛みわ
人形の帯の緩みや後の月桜月夜
野外劇の所作板はずす後の月桜姫5
後の月明日は引っ越す四畳半さくら悠日
後の月首里城の正殿の骨さざなみ葉
愛犬の看取りの納屋や後の月佐藤恒治
老犬の鼻が手に触れ後の月佐藤しのぶ
父に聞く母の生い立ち後の月佐藤志祐
後の月たかだか手術延びてゐる佐藤儒艮
夜の中へバイク切り込む後の月さとうナッツ
江の島は地層の孤独後の月佐藤レアレア
後の月溶け残つてゐるバスソルト里すみか
オルガンは風の慟哭後の月錆田水遊
入院の噂は誤報後の月さぶり
巡廻の明かりは昏し後の月彷徨ういろは
後の月ゆたかにたたむ肩ロースさるぼぼ@チーム天地夢遥
しくしくとちぢむ大脳後の月沢井如伽
後の月裏善光寺遠からじ沢胡桃
夕鶴のごと脱稿す後の月澤田郁子
後の月池に幽けき魚の水脈三月兎
旧暦と言ふ脈拍に後の月三休
後の月迎えの車並ぶ塾三水低オサム
姥月や腓がへりがまだ痛い塩原香子
がら空きのモータープール後の月歯科衛生子
宿題の刺し子はななめ十三夜志きの香凛
退院の夫の手温し後の月篠雪
すこしかけたるはしあはせ後の月渋谷晶
後の月アイヌ口伝の神の歌清水縞午
この黄身は細胞ひとつ十三夜島田あんず
緑児に静謐柔き後の月清水三雲
住職の黄泉を仰ぐや後の月清水容子
浄土にも風は吹くらん後の月志村狂愚
強飯の湯気を供えて後の月霜月詩扇
町内に独り居多し後の月霜月ふう
捨て犬の餌はポッキー後の月下丼月光
聖典の糸のほつれや後の月釋北城
龍の尾の船に揺られて後の月じゃすみん
捨て台詞の残る助手席後の月沙那夏
酌むこともなき友ふたり後の月柊二
火葬待つ従兄にくせ毛後の月樹海ソース
後の月雑魚のこけらを落とす義母種種番外
後の月都市の滅びる理由あり寿松
バタ薄く削るナイフや後の月シュリ
後の月錆びた単車は不整脈正念亭若知古
ものの音すこし退き後の月しろくも
後の月指の欠けたる猿の呱呱白よだか
キリンゆれアフリカの目を後の月新城典午
泣く為のキース・ジャレット後の月真藤乙華散
ともちやんは双子だつたの後の月水きんくⅡ
逆打ちの善根宿や後の月すがりとおる
くろぐろと相輪たつや後の月杉浦あきけん
後の月汽笛は今宵やはらかき杉田梅香
燃え残る土壁ざらら後の月涼風亜湖
嬰児の向き癖柔く後の月鈴木秋紫
二の腕の乳の残り香のちの月鈴木由紀子
後の月膵臓を病む兄の息鈴白菜実
後の月シンク拭き上げ終わる家事清白真冬
からだから出でたる棘と後の月主藤充子
楼蘭に埋もれし泉後の月砂山恵子
後の月タグに知らない子の名前巣守たまご
母住まぬ家の火灯し十三夜諏訪次郎
俺少しメランコリーか後の月せいしゅう
後の月記憶の隅は空けておく瀬戸ティーダ
後の月別れた妻は子を孕む世良日守
金継ぎのざらりニミリや後の月千@いつき組広ブロ俳句部
如意輪の扁平足や後の月草夕感じ
独逸より帰路にくぐりぬ後の月外鴨南菊
しずかなる海の呼吸や後の月そぼろ
恐竜の恋の行方や後の月そまり
後の月煌々終電のキハ40平良嘉列乙
真円はどこか怖いの後の月高木音弥
後の月どの月も良い酔っ払いたか&ひろ
名画座のシートに九人後の月たかはし千百
詰将棋とは迷路なり十三夜高橋寅次
後の月望遠鏡の嘴の怖し高橋なつ
後の月旗交はらぬ万国旗たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
廃校の庭に蓮口後の月高山佳風
杉玉は交換後の月白し滝上珠加
十三夜少女上段蹴りを決む滝川橋
ゑのこ草じりり十三夜の余熱卓鐘
吊り革に誰その温みや後の月多喰身・デラックス
御世嗣は双子の弟後の月たけぐち遊子
カタカナの新語の死骸後の月武田豹悟
はろばろと響むヴィオロン後の月竹田むべ
後の月生駒の山を電波技師多事
ほどく糸くるくる円み十三夜たすく
後の月なほ現役の東京タワー多々良海月
後の月母の肌着を干す上に立花かおる
後の月沖の小島へ帆が走るだっく
手の平にハルシオン割る後の月立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
湖を誉め地酒を誉めて後の月谷町百合乃
榛の木を妖怪にせり後の月谷本真理子
改葬の手続きすみて後の月玉井令子
紙じゃない本眩しくて後の月玉木たまね
後の月から折り返す終電車たまのねこ
十三夜を裂く鵬翼は何処へ玉響海月
もやい船凭れる海や後の月田村ヒロミ
後の月温湯に洗ふ古真珠丹波らる
根扱がれて土に微熱よ後の月千夏乃ありあり
後の月アンモナイトの渓谷に竹庵
首垂るるパワーショベルや後の月ちゃあき
草だけの水槽写る後の月千夜美笑夢
猫の目やゆらめく池を後の月月夜田しー太
能面の裏に鬼をる後の月辻野花
闇という光の死骸後の月土屋郷里
後の月ヒエログリフの鳥剥がる綱川羽音
後の月古地図に船と波の意匠ツナ好
手芸部に新星来たる後の月翼つばさ
帰寮する娘降ろして後の月ツユマメ@広ブロ俳句部
後の月綺麗なままで死ぬ話丁鼻トゥエルブ
後の月夜行列車の固き床哲庵
片隅に二億の目玉後の月徹光よし季
繭茹でる湯気の白さや後の月天雅
後の月二時のトラックターミナル電柱
群青の肺の痛みや後の月でんでん琴女
推敲を一字見直す後の月天童光宏
ユーカラの息は静謐後の月天陽ゆう
四十路の子の結納済ます後の月苳
遺言書キットの付録後の月遠峰熊野
みづうみの底の遠さよ後の月とかき星
鬼の愚痴聞きたる地蔵後の月ときめき人
後の月水挿しの根は大地恋ふ常磐はぜ
割れ茶碗重ぬる音や後の月戸口のふつこ
修繕の鉄の足場や後の月どこにでもいる田中
金継ぎの伊万里に肴後の月杼けいこ
後の月死者の輪郭浮き上がり十津川ポロ
会つてほしい人は男か後の月戸部紅屑
転職の荷物まとめて後の月冨川友香理
孀とて不自由はなし後の月富野香衣
決戦のスコアボードや後の月登盛満
難波江の都ぞ遥か後の月とんぼ
チューハイの缶を足蹴に後の月内藤羊皐
猫となら饒舌な人後の月中十七波
後の月長老獅子を舞ひ納む中里凜
法事には集まる家族後の月中島走吟
熱ひかぬ子にニモ抱かせ後の月中嶋奈緒子
コンパスの円の擦れや後の月永田千春
ぐい呑みに名残の月の未練かな中原柊ニ
背に伝たふ赤子の寝息後の月仲操
後の月戦禍の街も照らすのか中村あつこ
雑踏はやさしき波よ後の月中山月波
ムース食ぷるぷる後の月どろり新蕎麦句会・凪太
後の月あす閉店のバーの灯よ夏草はむ
後の月抜けて乳歯の母乳色夏湖乃
甲冑の蓬髪に射す後の月夏埜さゆり女
皓(しろ)かりき名残の月も焼骨も夏雨ちや
右肺の拠り所なし後の月ななかまど
みずのごと障子は後の月の影七森わらび
廃線の危機キハのうえ後の月浪速の蟹造
後の月伯母の田の米噛み締めてにいやのる
狼になってしまおか後の月にえ茉莉花
東京に峡谷多し後の月西川由野
梳く髪のうしろのしょうめん後の月にしぐちたける
教ふとはなんとむつかし後の月西郡うり
鍵穴を天に埋めたし後の月西田月旦
幾年の俑の睡りや後の月螺原トモ
後の月ゆらり電源オフひとり二城ひかる
後の月大きや独り居は楽し新田ダミアナ
後の月あれはいつかの忘れ貝にゃん
後の月まだ遊びたき子象かな庭野環石
佳きみづを湛へて遠き後の月暖井むゆき
こうもりの恋の噛みあと後の月沼野大統領
後の月欠けの余白に四分音符ねがみともみ
後の月カブの荷台に米一斗猫ふぐ
失いし指でなぞりぬ後の月猫またぎ早弓
後の月可も不可もなく隅もなく猫柳鈴音
脊柱が緩む柔和な後の月根々雅水
ビルビルにそれぞれの丈後の月ノセミコ
干からびゆく手に温度あり後の月野々かおり
鍵穴も鍵も小さし後の月野ばら
後の月まだ終戦を知らぬ墓登りびと
後の月アフリカ象の繋がれて海苔和
石灰に伏せる畑や後の月羽織茶屋
棕櫚の葉の翳りて遠く後の月白雨
銅鐸にシカの文様後の月はぐれ杤餅
十三夜すずしき錫のスキットル長谷機械児
後の月酔ふに足りたる二合半畑中幸利
後の月仰げばあふる水鏡畑美穂
思い出は差し引き重ね後の月花弘
夫でない人と眺むる後の月花咲明日香
後の月フィルムカメラを譲り受く花咲めだ香
後の月この捨てられぬ貝殻と英ルナ
姥月や母の二の腕美しき花水木
後の月もう戻らない捨て台詞花和音
家売れて帰路の車窓に後の月浜けい
置かれたる歩道の花よ後の月はむこ
摩天楼へつづく坂みち後の月林省造
後の月舌さき辿る抜歯あと原水仙
ゆびきりの針を飲もうか後の月原田民久
十三夜宿の廊下に山の冷え巴里乃嬬
コーヒーの残渣に湯気や後の月播磨陽子
未だ余命あるやも知れぬ後の月春爺
金継ぎの跡をなぞるや後の月haru_sumomo
解の出ぬ数式放り後の月晴田そわか
後の月放り投げたる金の斧春野ぷりん
歯ブラシに最後を絞る十三夜葉るみ
隠岐国は端山ぽつぽつ後の月春海のたり
金継ぎや雲間を照らす後の月はれまふよう
落ち切った砂時計見る後の月パンドラみかん
ラフテーのぷるるとひかる後の月万里の森
水鉢の音残してや後の月匹田小春花
版画彫る鋭き音や後の月比企野朋詠
後の月からだほのかに透き通る樋口滑瓢
国盗りの夢見た城か後の月樋口ひろみ
後の月ぽつてり熟るる果実かな久野しろ
電池切れせし戯具息吹く十三夜美竹花蘭
体温計小さくさへづる十三夜比々き
道の駅の仮眠トラック後の月ヒマラヤ杉
シロフォンのマレット後の月ぽろろヒマラヤで平謝り48
叡電の終点までを十三夜姫川ひすい
鍋磨く手は無心ふと後の月日吉とみ菜
後の月見るためだけの羽織物ぴょんぴょん侍
子を見舞ふ病舎の窓に後の月平井由里子
赤き尿便器に凪ぎて十三夜平本魚水
来し方の万華鏡めく後の月浩子赤城おろし
亡き妻の帰宅待つ父十三夜廣重
薪組みて焔はぐくめ後の月広ブロ&新蕎麦@摂田屋酵道
不意打ちの「余命は三月」後の月ひろ夢
古書店の跡地狭くて後の月フージー
「青い影」裏窓にもれて十三夜風泉
後の月恋になりかけたる句友深町明
ハンガーに点滴吊るし後の月福田みやき
後の月嘘ひとつなき木々の影福ネコ
死者Nと話す父居る後の月福良ちどり
病床の無音のテレビ後の月ふくろう悠々
狐の嫁入りののちの後の月藤井かすみそう
手習いの筆に影あり後の月藤井眞おん
最終便の躱す尾灯や十三夜藤咲大地
怪獣を育てる我と後の月藤永桂月
後の月異国みやげの涙壺藤原涼
踏み台にされていたのだ後の月伏見レッサーレッサー
人はみな光影ある後の月藤本だいふく
後の月顎で知らすは何用か船橋こまこ
次女はタフ少しへしゃげた後の月冬島直
ほろ酔ひの朗らかなるや後の月冬野とも
後の月きれいけもののこゑきれい古瀬まさあき
本堂の伽藍にしづく後の月豊後のすもも
ポストには穴倉二つ後の月碧西里
後の月無心でバイク切り替えるヘッドホン
明日からは抗癌治療後の月べびぽん
糸杉に精霊やどる後の月鳳凰美蓮
仄青き炎の匙や後の月峰晶
引退の花束重し後の月星鴉乃雪
県庁舎爆破の予告後の月星田羽沖
夜の街の真珠の艶や後の月星月彩也華
臍の緒の剥がれ無臭に後の月星詩乃すぴか
後の月ほったらかしの投資かな星野はいかい
弾く人の不在のピアノ後の月ほしの有紀
転居先ポストに託す後の月星善之
後の月満ちよ東京カテドラル細川鮪目
後の月パーキンソンの父を抱き堀卓
後の月最後の記念切手貼る堀江むすぶ
降りそそぎドビュッシーめく後の月前田冬水
荷解きのココア窓越しの後の月牧茉侖
恐竜の歩幅の記憶後の月真喜王
深爪を風のかすめて後の月まこ@いつき組広ブロ俳句部
爪を剥ぐ麻酔は二か所後の月増山銀桜
終電の席ほのぬくし十三夜町田勢
後の月ひと匙分の蜜を吸う松井くろ
浴びるほど仰ぎ続けり後の月松井貴代
改札に待ち人ありて十三夜松坂コウ
後の月散歩と言ひてポストまで松平武史
後の月人形にふる清め塩松本裕子
女名月自由な席を勧められまめばと
漆黒の水瓶の淵後の月まやみこ恭
夫の云う低山これか後の月瑪麗
後の月銀の粉降る裏の畑毬雨水佳
後の月立ったままなる白麒麟まりい@木ノ芽
後の月火を喰らひだす登窯まんぷく
後の月柔く歪むる真珠玉三浦海栗
痩せ馬の水汲みにけり後の月澪つくし
尖塔をわづかに削る後の月三日月なな子
継母の爪を切る音後の月三上栞
宥めても寝てくれぬ母後の月三茶F
十三夜柿泥棒になった姉岬ぷるうと
レコードの針飛びざらり後の月三崎扁舟
ボクサーの鼻の歪みや後の月水越千里
あと幾度つづく検査か十三夜水須ぽっぽ
後の月そうか最初は零なのか道端ハコベ
後の月玻璃の目で見るぬいぐるみ巳智みちる
山寺に響くジャズ音十三夜みちむらまりな
アダージョで始むビオロン十三夜満生あをね
風紋を流るる影よ後の月みづちみわ
ルテインのグミ柔らかし後の月満る
具を足してぬくめし汁や後の月みつれしづく
後の月ヒトを鑑賞するカメラ南方日午
十三夜ふくるる夢の陰ざらり看做しみず
メモ書きの病名深し後の月みなみはな
かえらない妻籠の風や後の月宮井そら
ひくことの美しきを知るや後の月みやかわけい子
後の月玻璃の花瓶の底に水宮武濱女
すずかけの葉を踏む音や後の月美山つぐみ
其駒の聴こえくるよな後の月宮村寿摩子
後の月弥勒菩薩の細き指みらんだぶぅ
のちづれの小指ちさしや二夜の月ミンコフスキー
終の棲家は生家であるよ後の月睦月くらげ
後の月ガザの犠牲者七千人村上の百合女
湿りたる宝物殿を後の月紫小寿々
象のゐぬ動物園を後の月村瀬ふみや
還暦の妻うつくしや後の月めでかや
変声期の部員もいるや後の月茂木りん
生きてたら喧嘩ばかりね後の月望月とおん
改札へ群衆流る後の月望月ゆう
王中座せし円卓を後の月元野おぺら
チェロの唄ふるわすほどに後の月本村なつみ
後の月マリオネットはうつ伏せにもふもふ
陶狸やや空を見上げて後の月森佳月
旧姓で呼び合ふ集ひ後の月森日美香
公園は銀のみづ底後の月森毬子
隅櫓の漆喰白し後の月もりたきみ
桐箪笥半分空に後の月森田祥子
奈利の穴這い出て後の月は銀森太郎
老犬の眼の濁り後の月森中ことり
追伸の意味はかりかね後の月杜乃しずか
金継ぎの盃の謂れや十三夜杜まお実
久方の煙草にむせる後の月もりやま博士
大安寺の石塚温し後の月八重葉
快速を逃しだるんと後の月山羊座の千賀子
老いた師の抱エ扇や後の月痩女
後の月一人ぐらしに窓二つ八ヶ岳
玄関に吾の影濃ゆし後の月簗瀬美嘉
後の月君の遺作のデモテープ簗瀬玲子
後の月修正液の白が変矢橋
後の月校内選考の電話八幡風花
再雇用決定通知書後の月山尾政弘
しんなりと濡れる黒髪十三夜山川腎茶
繋ぐ手に触るる指輪よ後の月山口笑骨
手品師は鳩なでてをり後の月山口一青
墨色の海静かなり後の月山口香子
後の月女を河原に残したり山口愛
後の月姉は二度目の恋をして山崎かよ
後の月ひとでなくなってしまいたい山崎のら
後の月鼠の走る歌舞伎町やまさきゆみ
後の月みな浄らかな老婦となり山田啓子
からからの噴水後の月の後光山田蚯蚓
後の月海底のごとき駐車場大和杜
帝劇の夢醒めきらぬ後の月やまな未
行く船の窓の数多や後の月山野麓
後の月バーから漏れる「イエスタディ」山村楓
後の月天使の棺とは軽し山本先生
乳呑子の唇柔し後の月山本たか祥
薄墨の滲みの隈や後の月山本八
朝鮮の故宮静かに後の月ヤン子
墨汁に筆を浸して後の月唯果
後の月すらごつばかり言うてから結壱隆月
天国へあけつぱなしの後の月遊羽女
後の月耿耿と弾く「とぅばらーま」有野安津
十三夜子のリコーダー吹いてみる雪子
後の月古ぶ手帖の癖字かな柚子こしょう
臨月の臍の浅さや後の月ゆすらご
生涯に子を持たずして後の月宙美
扉閉じ後の月だけおいてくる湯屋ゆうや
徘徊の温き父の手後の月ユリノイロ
逝く人の口半開き後の月緩木あんず
余命一年琵琶湖には後の月横田信一
疎むとも疎らとも読み後の月横浜J子
鉄錆の匂うがごとき後の月吉田蝸牛
ドヤ街を痩せ犬過ぎる十三夜吉武茂る
パレットを10段積みて後の月吉野川
ジャズバーにモンクのピアノ後の月楽和音
手捻りの古備前清し後の月楽花生
他の人と愛づるや二夜の月ふふらん丸
井月に酒の情けや後の月リーガル海苔助
あれは吾の寄進瓦や後の月理佳おさらぎ
後の月押入れに在るルイ・ヴィトン里茉ちゃか
夭折の姫を詠む詩十三夜柳絮
薄味の麺すすり逝く後の月涼えつろう
後の月追伸のごと風の出でルージュ
後の月木目のひかり踏むかかとルーミイ
決めかぬる明日の義眼を後の月烈稚詠
母を刺す言霊くらき後の月煉獄佐保子
右胸の痕なぞる母後の月若和志歩
裁判の控訴コメント後の月和光
割算の余りのごとく後の月渡邉わかな
瞬きで伝える父を後の月笑笑うさぎ
後の月ホームの端の喫煙所さとう昌石
下巻には見知らぬしをり後の月さむしん
不夜城のコンビナートを後の月清水祥月
両の手に子の手バス待つ十三夜清水明美
キャンパーの細き薪積む後の月蓼科嘉
ふるさとに残りし墓や後の月田村モトエ
風呂に湯を張るまで暫し後の月田村利平
日御碕灯台白し十三夜ふくじん
振り返る猫の影濃く後の月福弓
弟に先に逝かれる十三夜パッキンマン
弟も先に逝きたり後の月松岡重子
吾の言葉どこか欠けてる後の月あおのめ
冷凍のケーキ食べごろ十三夜月岡方円
多摩川の少し寒そう後の月大竹八重子
二十五の息子の涙十三夜どゞこ
またほどき進まぬ編み図よ後の月敬子
後の月迷子の母のシルエット淺井翠
後の月永年勤続の小宴朝雲列
後の月塞翁が馬ということでアシツノカラ
後の月「だよね」と夫の空返事あたなごっち
馬頭琴風に乗り聴く後の月伊泉不洋
誤解生む言の葉あまた後の月伊予吟会宵嵐
後の月幼馴染と結ばれしイワンモ
十三夜同僚減ってゆくばかり上野眞理
魔も人にしばし戻るや後の月遅狐歩
十三夜記憶手放す母の居ておぼろ月
袖のボタン取れかけてをり十三夜案山子@いつき組広ブロ俳句部
溜息に揺るがぬ池や後の月かしくらゆう
一人暮らしの蒼混ざる後の月鹿嶌純子
後の月久しく逢わぬ友がをり加藤水玉
一打差で予選落ちせり後の月亀田稇
地球蹴りシーソー弾む後の月鴨の里
目隠しのかごめかごめや後の月刈屋まさを
後の月醤油濃き地に帰りたる狩谷わぐう
JAFの来てジャッキアップや後の月翡翠工房
色褪せし願書捨てなむ後の月川辺世界遺産の居候
「しあはせ?」と問ふ目の不穏十三夜閑酉
後の月またねまたねと白の嘘喜多柚月
夫眠りさみしき身体十三夜紀友梨
人間もまろくなるべし後の月倉岡富士子
二次会の余韻をぬぐう後の月空流峰山
後の月新調の靴馴染めずに源氏物語
再会も老いもまた良し後の月郷りん
女名月美しきはおよそ欠けてをり剛海
柱傷残る背の丈後の月越乃光
耳寄する水琴窟や後の月埼玉の巫女
我のこと案ずる人あり十三夜紗羅ささら
二胡に酔う蘇州の吾と後の月三尺玉子
逆縁といふ縁あり後の月塩沢桂子
エンディングノートを捲る後の月塩の司厨長
後の月片方見つかるイヤリング昭和かぐや
後の月受くる芸妓の項かなジン・ケンジ
父のこと家族会議や後の月杉柳才
医者が先いかんとってよ後の月鈴野冬遊
二番手に向きたる我や後の月ただ地蔵
二軒目の誘いもなくて後の月田畑整
夫婦とは同居人だと後の月椿律
後の月お笑い番組ひとり見る月見里ふく
マンモスの滅びし理由後の月トウ甘藻
軍やまぬとつくに無残後の月峠南門
非行少年のぼくは知らない後の月東野律
同窓会凪いだ琵琶湖に後の月鳥元優子
肩書は副が似合ふ吾後の月名計宗幸
異国語のお遍路さんや後の月花はな
ゑむ妣(はは)の紬を肌に後の月英凡水
後の月男は泣いてもいいんだよぱぷりかまめ
白髪抜く鏡に映る後の月ぶるーふぉっくす
後の月虐殺の彼の国も照らすのか古川しあん
手にひたと上燗の椀後の月堀邦翔
巡り来る余生の幅よ後の月本間美知子
後の月五百羅漢図蘇り松尾祇敲
後の月人づてに聞く恩師の死松田慶一
後の月誰も知らない世界地図松本直樹
またひとり漫画家の逝く十三夜澪那本気子
足の麻痺だけで済んだぜ後の月帝菜
後の月いまは人魚の抱き枕三隅涙
この譜系ワタシがゴール後の月ミテイナリコ
後の月日向子漫画の江戸歩く源早苗
至らぬを悟る老年後の月みやま千樹
前衛の音のばらけや後の月妙
十代に交じり手習い後の月三輪白米
ニッポンの上は平和か後の月もりさわ
ペンキ文字「祭」書き終え後の月もろ智行
木星を泣き黒子とし後の月横縞
諍いの後物言わず後の月与志朗
後の月数独のます埋らない四葉の苦労婆
「とこやさんしっぱいしたの」後の月よみ、ちとせ
後の月母の着物が似合う歳麗詩
後の月祖母九十の箸使い渡辺香野
後の月なほ爆弾を落としけり渡辺桃蓮
臍を噛む子の就活や後の月あいあい亭みけ子
収まらぬ服を入れ替え後の月相沢薫
千鳥足ふと明るくて後の月あいのびふう
後の月小論文の書き出し「わ」葵かほる
意気投合新橋飲み屋後の月青田奈央
片頬を照らして浮かぶ後の月青花潜
窓越しのドビュッシー聴く後の月あお山まみ子
五枚目の原稿用紙後の月赤尾てるぐ
花魁の三枚下駄や後の月愛柑
後の月虎年妻と黒猫と昭谷
後の月不惑を拒む迷子犬空地ヶ有
まだ会社も少し待って後の月秋星子
徒歩三分ほろ酔い五分後の月秋星
後の月照らす道行く二人は黙アクエリアスの水
セロ弾きのゴーシュも観たり後の月あさぬま雅王
封手を記す暈かぶる後の月淺野紫桜
後の月やつと素直になつた妻あさのとびら
妹の電話の愚痴や後の月麻場育子
鉄人の拳の先に後の月朝日雫
気合い入れ過ぎし忘れて後の月亜紗舞那
後の月あすはレディース検診日あじさいパスタ
ソロキャンプラジオも消して後の月あすなろの邦
そろそろか父になる日と後の月愛宕平九郎
電線を白鼻芯ゆく後の月あたしは斜楽
コンビニのチューブ生姜や後の月新子熊耳
跨線橋後の月行き山手線at花結い
比ぶれば悔ひも過ぎりし後の月天晴鈍ぞ孤
憧れしふじたせんせぇ後の月渥美謝蕗牛
後の月あなたと味わう幾代餅Abigail
後の月郵便で黒豆届く天川滴翠
老姉妹互いに肩貸し後の月数多未完
後の月鞄の下のコッペパンあまどかに
レコードや語りつくせぬ後の月天鳥そら
後の月帰したくないかぐや姫甘利麻紀子
後の月えごを肴に一人酒アマリリスと夢
身を焦がすときは終わりね後の月文子
後の月プテラノドンも飛んだ宙(そら)荒一葉
ロザリオと緩和病棟後の月あらあらかしこ
名残の月や底無しの真面目女子あらい
千年を越える恋とは後の月あらかわすすむ
母負ひて背の温もり後の月荒木ゆうな
遠慮なき遺品に珊瑚後の月蛙里
後の月初めて詣づ善光寺有本としを
遺体に添ふ車窓に翳む後の月淡湖千優
帳破り一本しめて後の月阿波オードリー
芸事はずっと踊り場後の月飯田淳子
窓の灯や本読む人か後の月飯田むつみ
後の月夕げ片付け座りおり池内ねこばあば
後の月百鬼夜行も異国から池田華族
祝杯にこぼるる笑みや後の月池田炭
後の月夫の元へと祖母逝かん伊澤遥佳
ふるさとの変わる景色や後の月いしあや
歴史地区運河に揺れる後の月石岡女依
角の公園ジャズコンの十三夜石垣エリザ
案じたる将来テラス後の月石川明世
爺婆の小さな影や後の月石川明
和歌を詠む人の涙や後の月石崎京子
後の月にんまり笑う夫婦仲石島拓哉
後の月夜泣きの吾子とドライブす石田ひつじ雲
後の月ようやく消えし汗疹かな石堂多聞
後の月式部を読みて香を焚く石の上にもケロリン
後の月レグルス蒼き涙落つ石原しょう
母の忌や墓いっぱいに後の月石原花野
後の月酒温めているところ石村香代子
いつの間に八十路を過ぎた後の月石本美津
追突の動けぬ闇や後の月泉晶子
雲隠れ付いておいでよ後の月泉恵風
稜線を重げに離る後の月和泉攷
後の月ラジオが告げる今夜雨遺跡納期
後の月小さいままの悪い腫瘍いたまき芯
雲間より差し伸ぶ御手か後の月市川卯月
窓開けてピアノ聴かせん後の月いちご一会
約束のあらずもがなと十三夜樹魔瑠
スマホ閉じれば空も液晶十三夜五つ星
後の月影ひとつとすわかれ道伊藤薫
生き切つたと母は晴ればれ後の月伊藤恵美
一人行き一人帰るや後の月伊藤節子
後の月を見るより今の君と居る伊藤テト
後の月進化は争ふためでなく伊藤なおじい
足利やけふも明るき後の月伊藤正規
強がりも結局ひとり後の月伊藤れいこ
プラネタリウム母の鼾と後の月伊藤小熊猫
出来不出来馳せる思いは後の月伊那寛太
老犬と半歩遅れの後の月稲葉雀子
寝てからもしばらく歌ふ後の月稲畑とりこ
露天湯に疲れ忘れし後の月井上幸子
やる気なく寝ころぶ猫や後の月井上鈴野
中途覚醒午前様だね後の月猪子石ニンニン
タンデムでふたりキャンプや後の月今乃武椪
つつしまぬ口の寒さや後の月今村ひとみ
後の月氷にあふるるウヰスキーいりこのにゃらつめ
迷走の果ての安けき後の月岩木順
後の月高く星座を従えり岩佐勝弘
二十五弦琴爪踊る十三夜岩清水彩香
テラスよりカフェラテの来る後の月磐田小
キャミソール肩の艶めき後の月ヴィノクロ
父母の命日近し後の月植田かず子
青天の予兆残すや後の月上野徹
長すぎる返信メール後の月上原淳子
姫沙羅の小枝すかして後の月上原まり
タンカーも漁船も旨寝後の月植村弘
後夜祭はね講堂に後の月うさぎさん
後の月見ゆるファミレス一人呑み兎野紫
十三夜まだ手放せぬ松葉杖宇佐美好子
後の月上賀茂の香守ほのか宇田の月兎
残業のコンビニごはん後の月うちだまみ
ICUの友に見せたや後の月内海圭泉
後の月笛膜の破れおりけり宇野翔月
後の月曾祖母の手の細き皺卯之町空
泣いてゐる子にも見せたき後の月海野優
扮装のままお見送り十三夜うみのすな
銭湯の老若乳房後の月梅朶こいぬ
後の月今期ドラマの批評会梅田三五
後の月ひとり足りない記念写真梅野めい
姥月の夜の途中を引き返す浦野紗知
ユルリ島消え逝く馬と後の月江川月丸
先客は野良猫親子後の月S・葉子
グレナディンすっと海の端後の月蝦夷野ごうがしゃ
吾の影のおぼろげなるや後の月蝦夷やなぎ
なぞなぞの答えは明日十三夜越冬こあら@QLD句会
名残の月と英国行きの便を待つ笑姫天臼
コンサート友と別れて後の月えみばば
風穴のラッパの音符後の月絵夢衷子
マフラーの音高鳴りし後の月遠藤倫
なぜ我が後かと睨む後の月遠藤玲奈
後の月会ひたき人は会へぬ人円美々
後の月や鍵屋に女主(おんなあるじ)をり旺上林加
末っ子の嫁入り前夜十三夜おおい芙南
十五夜は見ずとも美し十三夜大久保加州
ほろ苦き酒賜りし後の月大越マーガレット
遥か来た富士の高嶺の後の月大阪駿馬
宿坊の読経の声や後の月大澤眞
我が想い変わり果てたり後の月大島一声
後の月スマホの指の止まりけり大嶋宏治
桶鳴らし隣家は湯浴み後の月大塚恵美子
欠けている自分に重ねて後の月大野純子
後の月指折り数え嫁ぐ日の大野喬
三人がそれぞれ自立栗名月大野美波
独り寝のテレビ消せばや後の月大原妃
なびく髪誰か触れるや後の月大原雪
陽は沈み夜空に輝く後の月大村明
後の月一緒に見てる人の居て大本千恵子
ファミレスの下り階段後の月大谷一鶴
スクワット腹筋腕立て後の月大家港一
人間にうまれて迷ふ後の月大山小袖
雨上がり空に皓皓と後の月岡眞弓
生き恥を曝して今日の後の月岡井風紋
後の月つめたき夢のひとりぼち魚返みりん
後の月首痛くして見上げゆく岡崎佐紅
貴方との追いかけっこや後の月岡田瑛琳
マウンドに投打を誓う後の月岡田恵美子
かさついた頬にふれたは後の月おがたみか
軒下で佇む猫に後の月岡塚敬芳
後の月君に贈ったアメジスト男鹿中熊兎
後の月はるか洋上フルムーン岡本
振り向けば後の月ある別れかな岡山小鞠
あと少しで完成後の月なれ丘るみこ
明日返す免許証撫でて後の月小川さゆみ
厨よりいくたび仰ぐ後の月小川しめじ
居残りの美術室照らす後の月奥寺窈子
後の月大空駆けてウサギ見る奥原邦敏
告げやうか告げさせやうか十三夜小澤俊彦
見なあかん雲に隠れし後の月お品まり
後の月寝息静かな夜行バス小島やよひ
まん中は気のつく吾子や後の月小田ビオラ
十三夜酒は二合と決めており尾田みのる子
淡墨の達磨は青し後の月落句言
後の月空の糠床今日も混ぜおでめ
しなやかな夜空彩る後の月お寺なでしこ
デコトラのネオン鎮まる十三夜音羽凜
名残花一輪添えて後の月小野ぼけろうじん
風呂上がりのぞく小窓の後の月沢瀉
恋心しづめたまへや後の月おんあいす
後の月固い踵を叩きおり海堂一花
空車無し傘買い歩く後の月甲斐ももみ
終電を逃し一人と後の月かえるゑる
人さらう笛吹童子後の月カオス
叢雲へ本音をかくす後の月加賀くちこ
後の月そっと浮かべるすまし汁影夢者
帰れない握るエプロン後の月笠谷タカコ
引き潮の川瀬の鷺よ後の月風早杏
薬増え通院帰りの後の月梶浦和子
厄介な心映すや後の月梶浦正子
涙ぐみ見る月貴方の後の月梶紀子
後の月供え物はみ早ねむるかじまとしこ
後の月叔母は見ずして逝きにけり和恵
母の手記めくれず5年後の月風かおる
後の月役職定年を理解す片岡六子
足るを知り会える嬉しさ後の月勝瀬啓衛門
売られ行く牛の残り香後の月ひだまりえりか
爆弾が降る後の月なぞなんだ桂子涼子
添いとげる覚悟の揺らぎ後の月桂葉子
君去りてひとりぼつちさ後の月かなえの
ポンペイのモザイク動く後の月叶田屋
臨月の女ひとりの後の月かぬまっこ@木ノ芽
澄みきって吾子感嘆す後の月金子あや女
無粋なるライトアップや後の月兼子さとみ
この俺が化粧水とか後の月かねつき走流
夜明け前山に傾く後の月カバ先生
街角に空の栗かと後の月亀井汀風
言い出せぬ言葉は胸に後の月亀山逸子
千キロも離れて恋し後の月かもめ
老犬が大きくみえる後の月花紋
後の月見上ぐる人の喉白く加裕子
船べりに肘付き眺む後の月カラハ
泥パック使い切りたり後の月かりかり久助
ふるさとの家は更地に後の月川鍋暢子
遮断機の灯りを過ぎし後の月川端芙弥
コロナ後のカラオケ五曲後の月川村湖雪
台湾の菓子遅配され後の月カワムラ一重
露天風呂すくいて眺む後の月川村昌子
背負う子の寝息の温み後の月邯鄲
遊び疲れ急ぐ家路や後の月樺久美
後の月覚悟を決めて「ご飯行こ」看板のピン
受話器置きチャリキ飛ばした後の月岸壁の龍崎爺
後の月君の髪撫でしベンチかな木口まり子
後の月小さき父の背縁側に如月ゆう
惜別の盃置けば後の月酒暮
後の月父の手術の知らせあり季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
陵の鈍色の影後の月喜多丘一路
姿見の奥には後の月ぽろり北里有李
寄り道をせむとほほ笑む後の月北乃大地
欲しいパン半額になる後の月北野都留
両親の祥月命日後の月北の星
溜息に応ふ隣人後の月貴田雄介
オフ会解散駅舎の後の月着流きるお
しりとりよ後の月キス好き君が木野まち
地は乾き不揃いの豆後の月木村かほり
父母の終の棲家や後の月木村修芳
イマジンの想ひ届かぬ十三夜木村隆夫
亡き妻の手料理真似て後の月木村弩凡
後の月見ることもなく母は逝く木村波平
後の月課題の無声映画観るQ&A
定年を半年にして後の月久えむ茜咲
宝物に鐘の音響く後の月鳩礼
散髪に寄り帰ります後の月清鱒
あてもなくただ歩き回る後の月霧土人
割れ壺に在る寂として後の月金魚
チャルメラをつっかけで追う後の月銀長だぬき
全摘す豊かな乳房よ後の月銀髪作務衣
過去未来忘れ今見よ後の月近未来
君といる余命いくばく後の月くぅ
ポリープや生検良性後の月空郷阿房人
片隅の小さな宿や後の月草道久幸
犬吠えて急ぐ夜道に後の月鯨之
散る恋に下りの窓の後の月くずもち鹿之助
そう言ってもう少しいる後の月工藤雨読
夢でしか逢えぬ人々後の月國吉敦子
酔いて追うラインの川面の十三夜窪田睡鯨
加湿器の音のただよい後の月久保田凡
詫びる気のなくて詫び状後の月くま鶉
余情残るさらば「昴」よ後の月熊谷温古
高鳴りにひらく返信後の月雲城詞葵
後の月東大卒の杜氏の手蜘蛛野澄香
後の月挙式終わる横浜の海ぐりぐら京子
後の月亡き犬の声うしろからクリスマスローズ
後の月ネオンサインの一字消え栗の坊楚材
風呂上り寝酒はロック後の月来ヶ谷雪
後の月寡婦なる友の薄き肩紅さやか
ヨガ帰りブレスで近づく後の月黒瀬三保緑
飲み会はのびのびとなり後の月黒田良@しろい
欠け具合猫の背のよう後の月黒猫さとみ
救急口出れば後の月おぼろ桑田栞
後の月西病棟の術前夜奎星
竹藪の細道明かし後の月家古谷硯翠
プロポーズ買えぬ指輪と後の月月下檸檬
後の月今年まんまる七年後月昭
観覧車ひとり見上げる後の月元喜@木ノ芽
大男我が前にあり後の月紫雲英
打ち寄せる波と遊ぶや後の月恒産恒心
後の月斜め見上げてスクワット康寿
後の月むこのコロナでオンライン幸内悦夫
墨色の硬き鉱物後の月こきん
盃を満たし仰ぎし後の月ココヨシ
千畳敷カールで見やる後の月越乃杏
虚子の句碑下五を照らす後の月小薗紀彦
気がつけば息とめてをり後の月小園夢子
看板の赤退色す後の月虎堂吟雅
未完の美我気付くとき後の月後藤光秀
伏す我に手鏡映す後の月後藤方丈
後の月ころりのど飴どこいった古都鈴
泣いた日に振り返り見る後の月小林弥生
後の月終わりが近い梅田駅小原実穂
後の月眺めて良しの愛読書こま爺
後の月照らすもの皆影長し小湊八雲
後の月淋しくないと独り言つこむぎ
本当はアニソンが好き後の月小森六月
紙コップ引っ越し前夜後の月五葉松子
後の月猫の目のよう光ってるコロンのママ
残世とて寂しからぬや後の月権田童よしこ
後の月敗戦処理のマウンドへ今藤明
後の月ぼやり後半ロスタイムコンフィ
後の月後悔だけの恋の数西條晶夫
十三夜をんな二人で酒飲んで彩汀
後の月冷たく光る樹々の影さいとうすすむ
民宿の地酒を愛でる後の月齋藤鉄模写
余命知り二夜の月の満ち満ちて酒井癒香
振り出しに戻る婚活後の月酒井春棋
滑落す五感やなごむ後の月坂上一秀
後の月指輪かざして母しのぶ榮秋代
雲の中でつま喪へり十三夜榊昭広
鍛冶町や銀色くすむ後の月坂口いちお
傷の血の染みや悔やみし後の月坂島魁文
木に刺る蛙の寂や後の月坂田貞雄
後の月連れ添う影の小さくなり坂田雪華
琴を弾く末摘花や後の月さかたちえこ
後の月レッスン曲を思いきり坂本千代子
映画みる公民館の後の月相良まさと
後の月いつかの花も下を向く咲美マキ
咲き乱れ箒やさしく後の月さくら亜紀女
後の月夫には言えぬ事ふたつ櫻井こむぎ
寝たきりの義父の窓から後の月櫻井弘子
手作りの栗入りパンや後の月佐倉英華
後の月らくがんほろり食みてをり桜月あい
十三夜里の面影慕うなり桜華姫
待ち人を誘いしめよ後の月佐々木佳芳
後の月視力なくして足るを知る笹靖子
後の月夜勤への道立ち止まりさざんか
後の月雨にもたれて灯り暮れるさち子
刈り残し野の花愛し後の月砂月みれい
山かげに笛の音聞こゆ後の月さっち
だれやめの今宵のあては後の月薩摩じったくい
眠たげに隊商進む後の月佐藤俊
腹八分目の後光や後の月佐藤浩章
一人旅車窓に霞む後の月佐藤佳子
終活の進まぬ家に後の月里こごみ
後の月明日と昨日のための風呂里山子
暴走のバイク去り行く後の月さやじゅん
待ちいたる白き光よ後の月紗藍愛
おとんに湿布おかんに湿布十三夜澤田紫
後の月引っ付き虫を何処へでもさわだ佳芳
夕刊が遂に休刊後の月三角山子
後の月席にぽつんと雨後の傘珊瑚霧
一人湯の水面に笑う後の月しかの光爺
後の月水面を風の滑りをり四季彩
後の月脚を摩りし冷たき手四季春茶子
ナン作る男二人の後の月紫檀豆蔵
母逝きて流るる川に後の月七五三五七五
背伸びして街に一礼後の月実本礼
終バスの赤い行先後の月信濃のあっくん
大阪にとんぼ返りよ後の月柴桜子
十三夜脳に電流流しけりしぼりはf22
また点かぬセンサーライト後の月縞子勾苑
後の月海と露天湯つらなって島田ユミ子
網掛けの手袋を置き後の月洒洒落落
あのママは二号さんらし後の月十月小萩
姥月や家賃五万の箸の先朱胡江
永らへよ恵み与ふる後の月珠桜女絢未来
後の月窓辺に伏せし文庫本じゅんこ
電線の波間に浮かぶ後の月順之介@QLD句会
枕辺の水差しの影後の月じょいふるとしちゃん
追分の一里手前も後の月庄司芳彦
後の月静に微笑むケーキの夜ショートケーキ
後の月痩せていぬかと供え盛り白井佐登志
終日を待ち惚け食ふ後の月白井百合子
帰り道願い呟く十三夜白河夜船
先月は一緒に見たのに後の月白土景子
残るペアグラスで呷る後の月四郎高綱
来年も見る約束の後の月深仲夏
空っぽの瞳に浮かぶ後の月しんなが新月
ヘリ飛びてシェルター越しの後の月新濃健
入院の蓋付きコップ後の月深幽
ベンチにて温もり合うて後の月酔軒
後の月無口な犬にしゃべる猫瑞々
外洋へ銀一条の後の月瑞陽庵
孫帰る居間に風船後の月末田隆司
後の月しばし甍で休まれよ末広野暢一
足止めて指をさす君後の月杉浦真子
猫の背に君の残り香後の月杉岡ライカ
後の月看取りまである老人ホーム杉沢藍
二の腕さすりつつ後の月で呑む鈴木暮戯
玻璃越しに見るさわやかな後の月鈴木政子
逢いたくて想ってみても後の月鈴子
またひとつ産み落とされた後の月鈴野蒼爽
この後は並んで見れぬ後の月鈴りんりん
『また来るね』母の手置きし後の月素敵な晃くん
ふるさとや友と一献十三夜数哩
廃校の窓や壊れた後の月寸草
終の地や高層ビルに後の月静江
終の地と決めて縁側後の月晴好雨独
漢あり早や旅立ちて後の月青児
この夜を丸ごといただく後の月瀬紀
後の月棚田の迷路浮かせをりseki@いつき組広ブロ俳句部
抽選終わりし祭りへ後の月海星葛
肩甲骨開いて更ける後の月全美
東京は世知辛い街後の月早春SOSHUN
命日の手酌の猪口や後の月惣兵衛
住み変わる我が家の井戸へ後の月そうま純香
父に感謝伝う命日や後の月そしじみえこ
喘鳴を吸い込みはじめ後の月染野まさこ
後の月食細る子へ菜設く宙まあみん
保護猫の二日目の腹後の月空豆魚
売れ残るものにぽぽちゃん後の月ぞんぬ
窓際へ歩くよ母と後の月駄詩
後の月コヨーテはなぜ吠えてゐるたーとるQ
征く人と蓬莱橋に後の月大康
畳帆の帆船照らす後の月大ちはる
転職の候補地に海後の月高井大督
試験曳き終えし団長後の月高岡春幸
カフェラテの砂糖ざらつく後の月だがし菓子
失意時君に逢いたい後の月高橋基人
夜空にははかなく見える後の月高橋紀代子
小言いう母に小言を後の月高橋ひろみこ
大正浪漫の駅舎の時計後の月高橋ままマリン
メロンパン買ひて家路や十三夜高橋光加
満ち足りぬからこそあはれ後の月高原徒然想
進め先へ滲む車窓に後の月田上コウ
瞼より消えぬ残像後の月高見正樹
新築の窓の広さに後の月たかゆき
祝宴やあまりに遠く後の月焚火もくめ
明日手術駅弁広げ後の月卓女
後の月主なき家のシルエット多胡蘆秋
暮れかかる杉木立より後の月祐紀杏里
たましひの薄らぐ国や後の月多数野麻仁男
あかあかと後の月見て夜待てず橘路地
後の月もどかしいかな君の背は田鶴子
脚元に毛布畳んで後の月龍義
また出会う膝に影さす後の月たていし隆松
ポケットに浜辺のボタン後の月立石神流
合コンはあゝ数あはせ後の月立部笑子
後の月小瓶二本よ独り酒立山枯楓
見上げれば呼ばれたような後の月田中明美
憧憬の老舗にふたり後の月田中勲
後の月『深夜特急』読み終えて田中紺青
後の月未知なる道へ一歩ずつ田中ようちゃん
赤ちゃんの帽子のかたち後の月たなばたともこ
ぽつねんと病室の窓後の月たなべ早梅
ガザの地に変わらぬ色か後の月谷相
後の月一人で観るにまだ慣れず谷口あき子
後の月共に見るのは今日限り谷口美奈子
たがやしし土の匂ふや後の月たむらせつこ
縄のれん下ろし寂しき後の月ダメ夫
誰もいない別荘後の月優しダンサーU-KI
サ高住を継母の栖後の月チームニシキゴイ太刀盗人
群青のきわ立つ後の月の縁ちくりん
イスラエルの熊虫が蹂躙後の月智同美月
同し歯のおんなし痛み後の月千歳みち乃
後の月湯上り足袋は青と赤千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
通夜帰りマンション群に後の月千葉睦女
後の月また縮まりし吾の影ちょうさん
十三夜身体労り頬緩む司蓮風
故郷が眼鏡の奥に後の月塚本隆二
後の月祖母の持ち物筝一面月石幸
ちょっぴりの恋の思い出後の月槻島雫
後の月きのふは友の死を知りぬ月城龍二
少しだけ生きるのつらい後の月つきのひと
薄らいでないが無視する後の月月夜案山子
ガラス絵の神門おとづる後の月つくも果音
晁衡の心中いかに後の月辻瑛炎
後の月業務査定の書類書く辻ホナ
渓水の里に流るや後の月辻美佐夫
独り居の湯ぶね枕に後の月辻栄春
敷石の仄かに浮かび後の月辻内美枝子
いいひとね…言葉を濁す後の月辻本四季鳥
幾年か「お~い」と呼ばる後の月つついぐれちゃん
終電から見え隠れする後の月津幡GEE
立ち退きの長屋さよなら後の月坪山紘士
くらべるな俺は俺だよ後の月鶴富士
初めての君の故郷十三夜T.愛ちゃん
後の月逆転負けの帰り道デイジーキャンディー
後の月もの悲しさが横たわり手嶋錦流
五十五よ後の月夜をまちわびて天通子
一両の列車を降りて後の月てつねこ
栗名月継ぐものの無き篭を編む寺尾当卯
あなた(夫)にはいつも悪口後の月テレシア
後の月母校跡地の住宅街土井あくび
姥月にロマの女の長き髪どいつ薔芭
頑張っているよと妣に後の月瞳子
メモ書きは祝いのことば後の月藤白月
後の月小さき草履仕舞ひけり東森あけば
マヌカンの首元揺れる後の月時小町
頁繰る指先乾く十三夜とき坊
少年は斜に立ちおり後の月独星
八時間煮込むカレーや後の月Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
欠けてこそSDG’S後の月瑠璃あさがおT
後の月見ながら家路靴が鳴る土手かぼちゃん
片方の残るピアスや後の月となりの天然水
後の月よそ行きのスプリングホックとなりの天然石
ベランダの夕食のこと後の月戸根由紀
友の家をおいとま告げて後の月斗三木童
おんぶしてぇ背中の母に後の月富田涯現(富田松夫)
後の月左の頬が疼く夜半豊岡重翁
後の月単独ライブまで三日鳥田政宗
もう君は家に着く頃後の月豚々舎休庵
瓦礫にも均しく照らす後の月内藤清瑤
自在鉤鈍く光るや後の月内藤由子
車窓からとぎれとぎれに後の月なかかよ
軽トラのパンクはわづか後の月なか鹿の子
後の月父が遺した供え皿中澤孝雄
店さがす祇園路地裏後の月中嶋京子
待てど来ぬ人を恨みて後の月中島圭子
十三夜「賢治と星を見る」といふ中嶋敏子
父の通夜瞼に浮かぶ後の月中嶋緑庵
隠れん坊雲の陰には後の月中谷中
後の月仰げば遠く救急車仲間英与
後の月大室古墳と木星と中村こゆき
残り香に思い沈めて十三夜なかむら凧人
途中下車見知らぬ街の後の月中村雪之丞
空き腹に閉店の知らせ後の月永谷部流
父逝きてはや三度目の後の月中山由
寄せ書きと写真とボール後の月凪ゆみこ
後の月夫は電卓叩きけり那須のお漬物
結願を癒す露天湯後の月夏目坦
ケーブルカー斜度の意外や後の月七瀬ゆきこ
後の月ベンチタイムのメロンパン菜々乃あや
十三夜新チームでも補欠らし⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
仮装して集う渋谷の後の月名前のあるネコ
姥月や人情噺聴き終へて奈良素数
後の月心にしんと落ちてくる南全星びぼ
後の月これが最後と丸団子西尾至雲
「きぼう」見し東の空に後の月西尾照常
心にも少し偏り後の月西村小市
ひたひたと雲のひかるや後の月二重格子
闇破り頂上の空後の月二和田躬江
煙突の高き銭湯後の月布村柚子
宴会の大皿洗ふ十三夜沼宮内かほる
最終的に今が仕合わせ後の月沼沢さとみ
後の月黒子のやうな木星よ猫辻みいにゃん
未完なる母のメールや後の月ノアノア
ヴィーナスと逆の傾き後の月野口雅也
人見知りするようになり後の月乃立喰烟
後れ毛をいじくる風め後の月野点さわ
駅弁の蛸つまみ上げ後の月野中苦泉
サヨナラと吾や手振りたる後の月野中泰風
後の月フェリー海上青白くのの俱楽部
後の月何処も同じか写メ送る野原一草
ほろ酔いの夫を誘ひて後の月野原蛍草
塾がえり弛し吾子の背後の月ノヴ
山宿に喜寿の集うや後の月則本久江
クレームの電話対応後の月白山一花
打掛は金地に百花後の月橋爪利志美
ごみ出しに一枚羽織る後の月橋野虎空
後の月水琴窟の音にゆらぎ波止浜てる
灰に余熱カツ屋の場所に後の月橋本有太津
戯れに妻と腕組む後の月馬笑
過ぐる日を闇間に措いて後の月蓮見玲
寂しさにふと襲はるる後の月蜂鳥子
震度5の夜であろうとも後の月葉月けゐ
後の月熱気のたぎる野球場はっしー
喧嘩して一人眺むる後の月初野文子
後の月明かし犬との話など花岡淑子
後の月愁ひ持つ影ふくらみて花南天あん
モンブラン供えて今どきの後の月はらののい
ベランダの隅に空き缶後の月はのん
お供えは何にしましょう十三夜羽馬愚朗
籠絡し蔑む心に後の月林ほうき
ミサイルが飛び交う空に後の月原善枝
縁側で祖母の遺影と後の月原島ちび助
後の月稲架を照らすひかりかな原野乃衣
さくら耳の猫と眺る後の月ぱらん
後の月歩く二人の影一つharu.k
生家とて住み替はりたり後の月はるるん1号
白金の箔より迦具夜後の月HNKAGA
後の月京の町家の長暖簾ピアニシモ
母見舞う老いた笑顔よ後の月ひーちゃんw
英国人の創りし灯台後の月東田一鮎
古の池に揺らめく後の月東の山
後の月山の終バス客二人東原桜空
客送りつい懐手後の月東山たかこ
指間(ユビマ)から転がるクスリ後の月ひぐちいちおう(一応)
今後増えぬ彼の絵の数後の月火車キッチンカー
後の月君と別れて三度目のピコリス
畦道に影引き摺りて後の月菱田芋天
ごみ屋敷柔らに照らす後の月ひすい風香
欠けている故に球と見後の月英行
そゝくさと熱き湯に入る後の月一石劣
独り居の眩しいほどに後の月ひと粒の種
澱みなき妻の言い訳後の月ひなた和佳
いつだって遅れた実感後の月ひな扶美子
後の月最後の恋の逢瀬の日向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
群青と橙まざる後の月ひまわりと碧い月
後の月君のチケット握りしめひめのつばき
家事終えて空を見上げて後の月ひめりんご
名残の月亡き友のメールは消さず平井千恵子
プロジェクト終えて終電後の月平岡梅
手術後に片目で仰ぐ後の月平岡花泉
後の月楊枝を刺して肴とす平野純平
素うどんにとろろ昆布後の月平林政子
波しずか見守るごとき後の月平林通正
後の月ネクタイ緩め向う駅平松一
君が乗る機影斬り裂く後の月比良山
後の月どうせあいつは見ちゃいない昼寝
乗り継の悪しき駅での後の月広島立葵
残業のコーヒーぬるし後の月広瀬康
旅先の仕事終はらぬ後の月廣田惣太郎
亡き猫の坐りし窓辺後の月琵琶京子
同窓会これで最後の後の月琵琶湖のおばさん
得られない水面に映る後の月FUFU
草叢の読めぬ句碑なり後の月風民
まろやかな豆煮てゐたり豆名月福井桔梗
ものぐさの床より仰ぐ後の月福川敏機
それでも働くしかない後の月福前彩芽
保育所の申請済みて後の月武幻琵離吾
下山して思はぬ空後の月藤川鴎叫
摂政も関白も得て後の月藤白真語
今は無き天守あたりに後の月布施無門
どちらかと言えば性格後の月二見歌蓮
コンビニのでっかい箱車後の月風友
カメラセット君のくしゃみや後の月古澤久良
真円も旅行も間近後の月古庄萬里
膝さすり仕舞う鮎竿後の月古道具
見下ろす海かすかに光る後の月古谷芳明
川音が聞こえてくるような十三夜望月
お供物を揺らす子らの手後の月房総とらママ
廃校の戻りし窓に後の月ほこ
後の月厚雲覆い薄明かり星勲
露天風呂の湯気ととけゆく後の月星雅綺羅璃
ぽつねんと水車の里や後の月星影りこ
後の月旧姓知りて別の顔ほしぞらアルデバラン
後の月ピンクリボンのお宿の湯星乃ぽっち
行き先を母には告げず後の月細川小春
岩蔭に寄り添うカラス後の月牡丹ゆり
羽音だけ残して飛び去る後の月ぽて巻
後の月百鬼夜行でよく見えず堀籠美雪
種子撒かぬ畑の上にも後の月堀隼人
母の手を小さく引いて後の月本郷てい
後の月ビル街巡るラーメン屋ポンタロウ
割箸で豆だけつまむ後の月本間滋之
娘よりめでたき知らせ後の月凡狸子
隠れ家の肩越しに見る後の月正男が四季
OSO18は哀しいヒグマ後の月正岡若ん輔
仮装して嘲笑うかな後の月雅蔵
後の月お変わりなくと二十年眞さ野
後の月次はいつって言えなくて町屋の日々輝
後の月あと幾度か一人酒松井酔呆
心まで透きとほりゆく後の月松浦姫りんご
老後にはまだもう少し後の月松岡玲子
海老船が波にまかせて後の月松尾美郷
後の月背にして息子帰省する松尾老圃…
銀翼は西へ東へ後の月松風花純
十三のみたらしだんご十三夜松高法彦
後の月あなたはどこにどうしてる松田早苗
新しきシャンプー後の月の色まっちゃこ良々
メールより手紙を記す後の月まつとしきかわ
後の月人恋ふこともありて今松永好子
後の月食べる力の衰えて松野蘭
あれやこれなかったような後の月松本俊彦
後の月友をかさねて涙かな松本牧子
後の月後悔先には出来ぬものまほろば菊池
スタメンに外れ自主練後の月真宮マミ
海なぎて棚田に昇る後の月真理庵
進路面談結論はまだ十三夜まるにの子
愛猫の骨壺抱いて後の月丸山隆子
日帰りの熊野詣でや後の月美衣珠
後の月コートも着ずに歩く君ミィニャン
後の月お供えをして待ちており三浦ゆりこ
旅立ちのお守りがわり後の月みかりん65号
生まれくる孫も卯年か後の月MR.KIKYO
さざ波の浜に人影後の月水谷未佳
四角張る首都にどでんと後の月三田忠彦
路上枕のあいりん名残の月美月舞桜
子育ても途上が楽しや後の月光月野うさぎ
デイ帰りまた一人部屋後の月ミツの会
通夜終えて卒塔婆の上に後の月皆川徳翁
世の中は和平かなわぬ後の月ミナガワトモヒロ
後の月一人酒くむ窓辺かな湊かずゆき
後の月喪中葉書の宛名書き見屋桜花
個室の窓の足場の隙間後の月宮川令
レコードは不燃ごみらし後の月宮坂暢介
決戦を待つ球場や後の月宮村土々
後の月見たか見たかと高笑い宮本モンヌ
不完全な君の完全後の月夢雨似夜
テカポ湖の君と逆さの後の月麦野光@いつき組広ブロ俳句部
ソマリアの母よ後の月の受話器麦のパパ
ストゼロを掲げ献杯後の月無月秋扇
素振りするバットの先に後の月村居菊
目のくぼみ鏡にうつる後の月紫
消えぬのは名残の月とタスク表村先ときの介
夫逝きて三月が過ぎし後の月村のあんず
後の月かへり支度の紙芝居暝想華
後の月盃にうつして愛でにけり恵のママ
道連れにのちの月あり父送る目黒智子
後の月再び見ゆる只見線目黒千代惠
後の月浴びて高まるその気配メルカリ族
後の月踵に触れる湯の帰りメレンゲたこ焼き
タワービル増える面積後の月毛利尚人
風に乗る夜間飛行や後の月モコ
気遣いが裏目になりて後の月望月朔
丁度良し道長が観た後の月望月未知魚
後の月苦難困難有難しモッツァレラえのくし
空爆も後の月さへ停むれなく本山喜喜
後ろ髪引かれ淋しき後の月樅山楓
後の月動物園の夜の顔momo
後の月手足冷たし雲白し桃香
バックミラー燃え尽きそうな十三夜モリコリゴリ
水槽の魚に見せたや後の月森の水車
後の月生まれし吾子を思うほど森茉那
往ぬ人の酒盃も並べ後の月諸岡萌黄
いつもより身近に見ゆる後の月焼津昌彦庵
白き鼻筋に降りたる後の月矢入えいど
旅終えの居酒屋を出て後の月八木実
繋ぐ手に力を込める後の月矢車草
帰り道白き背中や後の月矢澤瞳杏
後の月もうすぐ傘寿だつたのに野州てんまり
中天に玲瓏として十三夜安田蝸牛
裏切れず嘘さえつけぬ後の月安元進太郎
麻酔醒めブラインド越しに後の月柳井るい
後の月安否のライン戦場地やのかよこ
澄みわたる夜空をかざる後の月山内泉
鈍色の空茄子紺へ後の月山川たゆ
タワークレーン捕まえてゐる後の月山口絢子
山里の池の歪や後の月山口雀昭
後の月戦火の町へ続く空山口たまみ
後の月安静の床時流れ山崎鈴子
後の月無人の長椅子に正対す山崎力
後の月十四番目の月を聴く山里うしを
肩にある手の温もりや後の月山育ち
一閃の手裏剣浴びせ後の月山田季聴
後の月入所書類を提出すやまだ童子
ガレットをはんぶんこしよ後の月山田はち
また来てと背に母の声後の月山田はつみ
後の月仰ぎて友の笑顔かな山田文妙
ため息と受験勉強後の月山の花子
ナトリウムランプを抜けて後の月山本薩埵
後の月空を老母の運針よやまもと葉美
解体の終はりし空地後の月宥光
江戸紫に灯る鉄の木の上後の月雪兎
細長き影はのりしろ後の月雪音
水面の微かな揺らぎ後の月柚木啓
御簾越しに彼の人探す後の月夢一成
ねぇ見てるつぶやいてみる後の月陽子
黒猫の瞳のぞくや後の月陽光樹
解熱剤這い出して飲む十三夜陽介山
漱石の意訳に火照る後の月羊似妃
後の月カレンダーはあと一枚夜香
ふたつ前バス停降りる後の月横須賀うらが
後の月木星一つ寄り添うて横山くみこ
後の月別れ言葉に振り返る吉岡幸一
買い求む帽子の柄や後の月よしぎわへい
後の月山に恵みの無き日暮れよしだばあば
つまづきし石段の上後の月吉田春代
未完成伸びしろ有りや後の月吉藤愛里子
姓変はり共に見上ぐる後の月Yoshimin空
今しばし今年の妻と十三夜余田酒梨
あの方もきっと見ている後の月リコピン
もうろくやまだらに見えて後の月流流
八月の君の言葉よ後の月良俗倭人
先よりも来し方思う後の月瑠璃あさがおT
ウォーキングの夫婦粛々後の月蓮花麻耶
後の月熟読玩味老いの日々連雀
彼方と此方仰げば同じ後の月わいんたろう
十三夜帰る人皆優し気にわかなけん
婚約指輪地面に落ちて後の月若林かな
後の月見えますか私の笑顔若宮直美
筋トレの見上げる窓は後の月わきのっぽ
出て行きし彼女の部屋へ後の月海神瑠珂
探査機の影さがしおり後の月わたなべすずしろ
黙り込む君の背後の後の月わたなべいびぃ
茶舞台の上に転がる十三夜渡邉花
後の月君に貰つたクリム尽く渡邉久晃
杖ついてぐつと背伸ばす後の月渡辺陽子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
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●俳号のお願い二つ
①俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。
②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。
●俳句の正しい表記とは?
- 一年の ボーナストラック 後の月ギザギザ仮面
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
- 晩秋の但馬の海に人なくてほうすい
- 朝方の見守り墓月夜かな近藤文江
- 外の喧騒テーブルに残る牛乳の月?橋由樹絵
- 最終の晩酌黒豆ゆっくりと松田祐子
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「後の月」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●季重なり
- 秋の夜の思い出ほろり名残月十八番屋さつき
- 後の月に恨み有りしか秋の雷こま
- 散りのこる紅葉の浮くや後の月甫舟
- 後の月囲む炭火に箸と手と小山田之介
- 後の月寂しく描く芒かな宇宙空間の栗まんじゅう
- 後の月ささやき唄う野辺の紫苑樺山ひろみ
- 後の月一人栗剥く四畳半野瀬博興
- 栗拾う吾子の歓声後の月梅林我流
- 後の月人待ち顔の栗と豆神酒猫
- 後の月そっとかんでる十三夜はるる
最後の句は、擬人化なんだろうか? 入力ミスなのか?
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「後の月」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●入力ミス・文字化け
- 遠距離の恋にため息後ろの月中島葉月
- 後の月うそぢやと言へば?になる海瀬安紀子
入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。
●読みを迷った句
- ジャッカルを次も覚える後の月青峰桔梗丘
「ジャッカル」は、どの意味に読めばいいのだろう?
- 異国後の混じる町家を後の月さち今宵
「異国語」の入力ミスにようにも思うが?
- 巻貝のごと巻く後の月の柄タマゴもたっぷりハムサンド
月の模様の布なのか? 月の模様を比喩しているのか?
●文法的な問題点
- 経唱へ帰るらし列後の月阿々八十六
おそらく「帰るらし」は、「列」にかかる連体形として使っているのでしょうが、推定の助動詞「らし」は、終止形でしか使いません。「らし」の連体形(や已然形)は、係り結びになる場合のみ。とするとこの句は、「らし」で一度意味が切れていることになってしまいますが。果たして?
- 後の月口笛吹ひてひとり道いその松茸
「吹く」は、カ行四段活用なので、「て」に接続する時は、「吹きて」となります。
音便を発生させる場合については、YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』シリーズ「音便」を参照して下さい。
お待たせしました!10月「後の月」の結果発表でございます。今月も夏井先生のアドバイスは必読です。同じ「後の月(=十三夜)」を眺めるいろいろな人生や情景が目に浮かぶような作品がたくさん寄せられました。投句収めの12月「河豚」も奮ってご応募ください!少し早いですが、今年もたくさんご応募いただきありがとうございました。