夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
12月の審査結果発表
兼題「河豚」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
河豚ぎゅいと鳴く貧民に余生なし
桃園ユキチ
季語「河豚」は、種類によって随分とイメージが変わります。専門店で饗されるトラフグは高価で高級な食材。かたや、ハリセンボンの類いは、河豚提灯として吊るされるユーモラスな姿が印象的。ハコフグあたりになると、釣りを邪魔する外道という認識もあり、各々の傍題によって本意そのものが大きく変わります。
掲出句の巧みは、それらを包括して「貧民に余生なし」と言い切ったところです。食うところも少ない、食えもしない河豚は、釣り上げられて「ぎゅい」と鳴くばかり。釣り上げた人間の方も、また外道かと放り捨てます。「貧民」の我らには「余生」などという優雅な言葉はない。死ぬまで、生きることに必死であるよ。そんな切実な感慨が、「ぎゅい」と鳴く河豚に託された一句です。
河豚捨てゝまた同じ河豚釣りにけり
古賀
小さな河豚たちは、あのおちょぼ口で餌だけをつついてしまう邪魔者です。「同じ河豚」をまた釣ってしまうのは、堤防釣りアルアル。下五の詠嘆「けり」には、釣り人の嘆息が入っているかのよう。
きゅると鳴き海へ蹴らるる膨れ河豚
蛙里
これも、外道の河豚を釣り上げてしまった場面。「きゅる」というオノマトペ、思わず蹴ってしまう釣り人の行動にも真実味があります。下五「膨れ河豚」という着地が、映像的なリアリティとなって。
歌舞伎観て河豚嗜みてよき日かな
藤原涼
こちらは豪勢な河豚。ちょっとお洒落をして、歌舞伎を楽しみ、帰りには「河豚」を食べる。中七「嗜みて」という言葉の選択が、下五「よき日かな」という詠嘆と響きあいます。羨ましき、佳き日です。
裸婦のごと河豚の白子の炙らるる
玉響雷子
「河豚の白子」の比喩としては意表を衝く一句。上五「裸婦」から入っていく意外性は勿論、あの質感は確かに裸婦の皮膚感かもと納得させられます。下五「炙らるる」の後の余白、いかにも酒が進みそうで。
河豚食うて太閤の御歳越えし哉
杉岡ライカ
「太閤」まで上りつめた豊臣秀吉は、六十二歳で死去。「御歳」を「おんとし」「おとし」どちらに読んでも字余りにはなりますが、河豚という贅沢を甘受する感慨に、同年代としてしみじみと共感致します。
河豚喰ひに繰り出す雨の浪花かなRUSTY=HISOKA
こきざみに尾びれ拳のごとく河豚千夏乃ありあり
大仰に肝見せつけて河豚捌く山月
河豚食ふや世の音少しづつ止まり大和田美信
小箱河豚ポンプの泡に漂わん花鳥風猫
箱河豚の真に箱なる真正面川越羽流
古伊万里はとうに売ったか河豚の来る坂まきか
入れ食ひのあはれ草河豚地獄かな比々き
河豚刺しや此より此方が我の分青井季節
ふぐ刺や喉を真珠の艶まろぶ青居舞
浮遊せる河豚はパ行の貌をして青木りんどう
三日後に地球滅びる夜の河豚蒼空蒼子
また小河豚返して父子の釣り終はる青田奈央
前職はオペラ歌手てふ河豚の店青水桃々@いつき組俳句迷子の会
河豚喰つて徒党を契る夢を見む赤尾てるぐ
河豚、お笑い、君、毒まで美味いもの赤馬福助
仮帰宅あばら骨なき河豚の汁あかり
接待の酒注ぐつぐつぐ河豚づくし秋野しら露
姥捨山月例会は河豚尽くし秋星子
必死とは滑稽なれや河豚膨る朝雲列
転勤の打診どうりで河豚の店朝霧さら
河豚煮るやぽつりと告げる入院日朝月沙都子
皿に載る河豚の切り身を割り算しあさぬま雅王
トラックの生簀を河豚の泳ぎおり朝日雫
同期らにゆるぶ胸襟河豚の宿あじさい卓
てつちりや大阪弁に中りしか阿曽遊有
砕いても通わぬこころ河豚に毒藍創千悠子
ふぐを引く刃に鏡面のまたたきよ足立智美
河豚膨る自衛の核という空虚あたなごっち
河豚の身を手繰りて歪む伊万里の絵アツシ
ぼんくらのやうなつらしてやがるふぐat花結い
透け透けの世辞を肴に河豚つつく諧真無子
河豚食わせ根はいい人の話する阿部八富利
奥歯から河豚の余韻や電車待つあまぐり
やり場なき心破裂しさうな河豚あまぶー
捕はれて河豚きりきりと日を噛めり綾竹あんどれ
ぺらぺらに二次元にされ喰われふぐ在在空空
金杯は当たらず河豚に当たるなどあみま
河豚刺しに透ける絵皿の寿老人雨霧彦@木ノ芽
河豚茶漬海峡凪ぎて貨物船石塚彩楓
辞表出し馴染みの店で河豚喰らう石の上にもケロリン
潮騒の風の岬やふぐの宿さいたま水夢
捨て河豚のなほ動きをる鰭と口アロイジオ
河豚食うて腹に据えたる隠し事アンサトウ
河豚の鍋囲み各々妻を恋ふ飯沼深生
説教の長かりしあと河豚喰らふ杏っ子
古伊万里の透けぬ河豚刺し箸重し飯村祐知子
河豚膨るパ行の口を忙しなくいかちゃん
虎河豚や捌かれてなお動きをり郁松松ちゃん
河豚刺を敷詰め家元が来ない池内ときこ
有馬記念あたらぬあたる河豚を食ぶ池之端モルト
河豚摘む箸の隙間の同期生池ノ村路
甘し甘し性格悪さうだつた河豚イサク
止めたつてやさぐれが好き河豚旨い伊沢華純
日本酒が先か河豚刺しのが先か石川巴里
銀輪の旅や男鹿路のふぐと汁石塚碧葉
河豚食ったあの水槽の河豚食った石本美津
俎板の河豚はキュインと泣きにけり泉晶子
生命の値段世界の値段河豚を喰ふ磯野昭仁
河豚食うてふぐりの位置の定まりぬ石上あまね
河豚喰うて山の漢のよく笑いいその松茸
河豚の身や青磁の青を吸うがごと一井かおり
虎河豚やあの目の姉に近づくな無花果邪無
河豚食いに花街の先へ二人組樹魔瑠
河豚喰うかフェラーリ買うかどうするか伊都
ご贔屓の役者の噂ふぐと汁伊藤亜美子
ときどきは我儘を言へふぐを食へ伊藤映雪
あちら鶴こちらは牡丹皿の河豚伊藤恵美
永らへて永らへて河豚たべてゐる伊藤順女
たいして旨くねぇのに河豚は薄い伊藤テト
契約の取れて一課の河豚の鍋伊藤なおじい
河豚泳ぐ夢透けている皿のなか糸川ラッコ
河豚刺やほんまこの子はよう喋る稲畑とりこ
河豚の皿うまし布袋の腹のとこ居並小
きかん子に育ててしまひ河豚の皮犬山裕之
河豚の子や性善説の小さき球井納蒼求
河豚運ぶ傷つけぬまま生きたまま井原昇
河豚刺や酒は一合あれば好しいまいやすのり
芳一の耳のそれから河豚の鍋妹のりこ
周坊の海の男の河豚さばき岩佐りこ
河豚提灯ネオンの浪の浮き沈み岩清水彩香
ふぐの眼の窪めるほどにふくらみぬ磐田小
缶蹴りが嫌いだったの河豚提灯植木彩由
河豚鍋や耳のかたちを褒めらるる上原淳子
大阪出張一人てっちりの夜宇田の月兎
河豚釣りて抛る工場群の海内田こと
河豚食んで一筋縄でいかぬ人内本惠美子
河豚ちりををんなに貢ぐ神楽坂空木眠兎
泣いてゐたキヲクふくのみは花びら海野青
還暦やひと息に剥ぐ河豚の皮うみのすな
誘わるる河豚とは知らぬ宴端座梅里和代
河豚刺しをガッと無言のまま父は梅鶏
清らかな指頭に窪む河豚の腹梅野めい
謎多き女の怒り河豚の鳴き粳としこ
良きことの何もなかりて喰うや河豚麗し
河豚の宿矢鱈酒呑む嫁がいる江口朔太郎
虎河豚や訛り飛び交ふ釜山市場蝦夷やなぎ
河豚喰って斜に構えて二合瓶越冬こあら@QLD句会
大絵皿波立つ河豚の薄造り絵夢衷子
親方の帰りを河豚と待つてゐたえりいも
青き皿なし何に盛るべしや河豚遠藤玲奈
づぼらやの思ひ出譚や河豚の宿近江菫花
残業や河豚の〆には間に合うかおおい芙南
河豚食うて来たと手相を見せにけり大岩摩利
ふぐの花あらかた散りてわが前に大澤眞
子の釣りし河豚は膨れてぐふと鳴き大塚恵美子
河豚刺の皿ごと届く繁忙期岡井稀音
河豚食ふや心許すは二人まで可笑式
神業の包丁さばき河豚の花岡田恵美子
皮ざらり悪相の河豚放したり岡田ひろ子
思ひきり河豚を食ひたる齢かな岡田雅喜
はったりの通じぬ客や河豚提灯男鹿中熊兎
河豚喰ふや夫の真白き無精髭岡山小鞠
空洞になるまで河豚の膨らめるおきいふ
河豚捌かれまつすぐになつてゐる荻原湧
「未必の故意」に成るか成らぬか河豚の肝小倉あんこ
デモの声聞きつつ河豚の鍋つつく小島やよひ
ふぐ食べてまるき心のまま眠る遅狐歩
静電気溜めては居ぬか河豚の皿おだむべ
皿ほめて板前ほめてからの河豚越智空子
河豚の捌かるるはだか電球の夜おでめ
諍いを終へ河豚刺しの透きとほる音羽凜
河豚鍋や軋む廊下を十五代おひい
河豚提灯照らす生け簀に河豚泳ぐ諧真無子
河豚食うてゆつくり下る喉仏海峯企鵝
入社三十年転勤の河豚刺し甲斐ももか
河豚食うて百年前のかほしたる化骨
一病を囲ふ静寂や河豚白し加座みつほ
河豚食うて今日は終電よく揺るる樫の木
河豚刺や話の接ぎ穂探したり片岡明
河豚捌くBGMはジョン・レノンかつたろー。
ふぐ刺しをこの世にのこすやうに盛る桂もふもふ
河豚喰らう鎮守の森の静けさよひだまりえりか
河豚鍋や白衣のままの研修生金子泰山
大皿に河豚大砲のやうな呵呵かねつき走流
あれこれと代役終へて河豚を食ふ花星壱和
てつちりや神棚に置く宝くじ釜眞手打ち蕎麦
フグヲ食フヨカラヌコトヲ考ヘル亀田荒太
しんみりとうすきひとひらふぐのはな亀田かつおぶし
防災の無線遠くにひとり河豚かもめ
河豚食べて金持ちごっこ終わりけり花紋
吉良の地は仇の如く河豚喰ふ狩谷わぐう
虎河豚や迷路のごとき料理店川崎ルル
花柄のバケツ下道の河豚ぷかり翡翠工房
初心者の竿だけ河豚のよく来たる川端芙弥
刃を立ててゴリっと河豚に身を乗せん川辺世界遺産の居候
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大トリは志らくの「らくだ」河豚を喰ふ閑酉
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真っ直ぐな河豚の怒りは真珠色岸来夢
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北欧の陽気な皿を光る河豚久えむ茜咲
餃子屋の事件と河豚を肴とす京野さち
鉤素には河豚の痕跡見えぬ河豚清鱒
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身ぐるみを剥がさる河豚の面構え紅三季
捕らわれてしまっちゃ膨れるわな河豚よ倉岡富士子
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夕刻の空膨らみて河豚の白くんちんさま
人間は戦がぬ葦ぞ河豚笑ふ恵勇
夜は緩む河豚の毒には鍵ありて月下檸檬
河豚透くやあゝ出世など捨てちやろかげばげば
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河豚刺しや行く手を阻む箸のあり健央介
河豚食うて矢作俊彦ひらきたる剣橋こじ
余命より一年過ぎて河豚喰らふ公木正
河豚刺しを真ん中にして睨み合ふ恒産恒心
愛人や河豚の白子を一口で紅紫あやめ
河豚鍋や船の汽笛で締めとなり宏楽
虎河豚を捌く急所を一撃すごーくん
鰭落し河豚のおとぼけ口へと刃郡山の白圭
河豚喰うて認証されぬパスワード小笹いのり
決闘を伝へる島や河豚料理小嶋芦舟
金箔を貼りつむるごと河豚造り小杉泰文
河豚の座へ部屋を綺麗にして出掛く木染湧水
河豚喰って死んでもええやん知らんけど虎堂吟雅
寄席囃子風に切れぎれ河豚の鍋後藤周平
友去りて残る河豚鰭如何せん粉山
下戸二人ちびりちびりと河豚の皮このみ杏仁
遠方より一人遅れの河豚汁小林昇
頸断つや下がる虎河豚の口角小林脱太郎
河豚鍋の湯の白濁や銀婚式駒野繭
はじめての河豚七輪にむちと反る駒村タクト
この勝負もろたで今宵ふぐが待つ小山晃
河豚ちりや箸はこれからあと二膳五葉松子
ゲートルの巻き方河豚の捌き方GONZA
河豚食うて幸せさうなふりをする彩汀
河豚食うて初出張の銀座の灯齋藤桃杏
これたぶん河豚だと思ふざっぱ汁さおきち
虎河豚のやんぬるかなと捌かるる酒井春棋
美味なるも箸に儚きてつさかなさかい癒香
河豚さしや花の都はもう正午さかえ八八六
教職を去ることを聞く河豚を釣る坂野ひでこ
羽二重の如き河豚刺しかみしめて坂本千代子
うたかたをこぼして河豚の硬くなるさくさく作物
ふぐ刺しを絡め流線描く箸佐々木佳芳
河豚煮るやオペラの主役射止めたりさざなみ葉
河豚の鰭焦げむばかりに返さるるさち今宵
河豚鍋や身寄り協議の墓仕舞佐藤恒治
河豚食ふや幸せさうにこぼす愚痴佐藤茂之
まな板の河豚ことごとく虚ろなり佐藤志祐
揚がり来て怒りの河豚の軋めく歯佐藤儒艮
河豚喰うて余人の生前贈与聞くさとう昌石
河豚群れて夜の生簀は帯電す佐藤レアレア
河豚白し妻子を置いて転職す里こごみ
死にたさの鈍りて友と食らふ河豚さとマル
河豚食うて人に優しくなれる夜紗羅ささら
河豚を食う最上階の夜景かな紗藍愛
虎河豚の値踏み力士を見るやうにさるぼぼ@チーム天地夢遥
私を嫌ふ私が嫌ひ河豚つつく沢井如伽
恋文をいつ破ろうか針千本沢胡桃
河豚喰らひ厄落としした気で日の出さわだ佳芳
捌かるる河豚へ滂沱のみづざんざん三月兎
迂闊かな河豚を捌けば指へ傷珊瑚霧
湯気纏ふ河豚のほろんと箸の上三尺玉子
たのんますと金の所望や河豚の席三水低オサム
河豚鍋のお礼代筆社長秘書紫檀豆蔵
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堤防に臭いを放つ河豚の山下野海
知らずして道を外るる河豚乾く洒洒落落
月のよな箱河豚福は手に余るじゃすみん
河豚刺しの薄さしみじみ一人酒沙那夏
河豚刺しをさらはれさらされる伊万里十月小萩
河豚吐き出すみづにいのちといふ臭み樹海ソース
食えぬ女で結構河豚は自腹シュリ
俎板にぬぷと河豚てふゆたかな弧常幸龍BCAD
半径の三乗に河豚膨れたり不知飛鳥
紙鍋の襞の光や河豚を待つ白玉みぞれ
臨月の嫁はふはふと河豚を食ふ白猫のあくび
河豚毒は人魚ミイラの旨味らし白プロキオン
ちらほらと美濃派の混じる卓へ河豚白よだか
ひとひらに透かす光明義母へ河豚神宮寺るい
河豚鍋や知盛担ぐ大碇ジン・ケンジ
月孕む波際の河豚ざらりふむ新城典午
干河豚はあぶられ美しき格子柄杉本果ら
生け船の河豚群青の星睨み涼風亜湖
河豚のはらわたはちきれる夜が来る鈴木隆史
河豚の眼や玻璃の向うの誘導灯鈴木由紀子
歯軋りの河豚や水槽煌々と鈴白菜実
仰向けの河豚の腹裂き詰める味噌清白真冬
あぶく銭通天閣の河豚喰らふ鈴野蒼爽
終活をおえたと叔父が河豚を食ふ鈴野冬遊
舌打ちは外道の河豚を又釣りて青児
小上がりで河豚海鳴りは遠くよりせいしゅう
いっぱいの寂しさ熟れた河豚の腹瀬紀
板前のきつと生真面目河豚薄しせとみのこ
慰謝料を話し終えたる河豚の鍋惣兵衛
ふぐ提灯星くづあまた食べたとふそうま純香
阿弥陀仏おるかおらぬかふぐと汁草夕感じ
河豚の顔回りてめくる市場かなそしじみえこ
河豚の座やぎゃんやかましか後席外鴨南菊
河豚刺しの一皿どこにもない影空豆魚
ハレの日やいま爆ぜさうな河豚に刃をぞんぬ
河豚の毒エドヴァルドムンクの色彩たーとるQ
河豚刺しに透ける意図商談開始高上ちやこ
河豚の骨喉に留まる一日かな高岡春幸
河豚透けてゐる原発動いてゐる高尾里甫
上司よくしゃべるぺらっぺらの河豚髙田祥聖
河豚食うや上司の酒の減り具合高橋ひろみこ
俎上なる憂世の河豚は膨らみぬ高橋ままマリン
ぎぎと鳴くぜんまい仕掛けめく小河豚たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
虎河豚な鳴きそ奥歯の軋む夜滝上珠加
ふくをくふぽつぺんぽぴんふくをくふ滝川橋
河豚コースご予約ミステリ愛好会たきるか
河豚食うて酔うてミナミのネオン街竹田むべ
河豚鍋の誰かが言つてゐた話たけろー
CTを終へ河豚さしの透き通る多数野麻仁男
河豚の腸どうしたか皆知らぬと言ふ多々良海月
虎河豚や毒が美味しい漫談家だっく
河豚鍋や神社の灯遠く見て立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
河豚刺しの皿の絵を観る余裕かな龍義
河豚が吐く水・毒・弱音・血反吐・今日立石神流
河豚ちゃうちん坂田利夫に似て真顔立部笑子
河豚鍋やはるか遠くの救急車谷相
河豚食ぶや何と忙しき手も口も谷町百合乃
膨れ河豚水に戻せばすうと痩せ谷本真理子
置き去りの河豚や防波堤は長し田畑整
棄てられし轢死箱河豚外道なる玉家屋
膨らみて掌に乗せ易き河豚となる玉木たまね
慰謝料を河豚刺しにしてかっ喰らうたまのねこ
河豚刺や帝沈みし波の泡田村ヒロミ
あれこれと尾鰭が付くや河豚の味田村利平
河豚釣れて勝手分からぬ者ばかり丹波らる
逃げ切るや膨らむ河豚の右カーブ千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
吾の選りし水槽の河豚掬はるるちゃあき
河豚刺の螺旋一口目が怖い彫刻刀
河豚提灯「は行」苦手なフランス人つくも果音
幾千の河豚を煮たるか黒き鍋辻瑛炎
河豚鍋や窓に収まる御影堂辻野花
帰帆せり怒れる河豚を両の手につちや郷里
此岸には河豚を食ふまでをりました津々うらら
河豚提灯百味箪笥を明るうす綱川羽音
瞼とは祈りのとばり河豚ゆらぐツナ好
海吸つて吐き出し河豚が鳴門生む坪田恭一
網底を藻掻くまだ毒なき子河豚坪山紘士
河豚づくし親父はうんと言つたきり丁鼻トゥエルブ
空には一等星吾は河豚を食ふ哲庵
河豚炙り飛切燗の夜這いかな哲山(山田哲也)
取組後の力士の如き河豚の息でんでん琴女
皿ばかり褒め河豚さしのうすっぺら天陽ゆう女性
河豚鍋や嫌いな上司一人あり土井あくび
河豚食ふと出掛け八年過ぎにけりとき坊
今生の別れの如く河豚を噛むときめき人
箱河豚の一辺光る浅瀬かな常磐はぜ
河豚でも行こう約束の先は空徳庵
河豚刺しや正座の痺れおさへつつ戸口のふつこ
ふぐねぎを揃えて巻けば河豚に透けどこにでもいる田中
味の輪郭なる藻塩河豚をくふとしなり
河豚食べた夜はしんみり手紙書く土手かぼちゃん
てつさでも喰はしてみつかあと二票戸部紅屑
虎河豚の人間を競る面構え苫野とまや
河豚刺の醤油買ひけり浜の風斗三木童
河豚食うて背の冷たきを埋め合わす登盛満
口中を転がし河豚の息を吐く富山の露玉
河豚の肝食わせるとか云ふ地下の店豚々舎休庵
板長の包丁や河豚鳴くを聞くとんぼ
悪口の止まぬ女やふぐと汁内藤羊皐
河豚喰ふや角の丸みの下足札内藤由子
河豚の身に留まる海の昏さかななかかよ
水槽の河豚に見らるる濁世かな中岡秀次
河豚の鰭酒にどすんと酔ひてをり中島走吟
虎河豚のぎぎと哭きゐる糶の鐘中原柊ニ
学校に来ないあいつと釣った河豚中村すじこ
怖いのは今のその口河豚喰らう中山由
死にたくて河豚をたらふく盛りにけり梨山碧
河豚鍋の出汁の極めの溶き玉子那須のお漬物
握る手のじっとり河豚の袋糶夏草はむ
掴まれて河豚は寄り目となりにけり夏椿咲く
河豚鍋の湯気やさしくてつい本音七瀬ゆきこ
ふぐ刺しは吉祥天の透け衣七森わらび
おほらかな国の旅人食らふ河豚菜々乃あや
ぎゆこと啼く河豚かなしみの海を吸ふナノコタス
河豚鍋や芝居を回す汚れ役名計宗幸
五合の水吐いて河豚絶命す奈良素数
河豚刺や絵皿の色を見て値踏み西尾至雲
おのが死をはにかむやうに河豚死せり西川由野
貴方とは河豚を食ふには日の浅し西爽子
河豚宿や偉人の色紙そりかえる西田月旦
河豚でないかたちになってなお動く二重格子
昇進や芯よりさらふ河豚の花にゃん
言祝ぎの箸の摘みゆくふくの華仁和田永
河豚ギウと泣くから針を外せない沼沢さとみ
兜町生きて虎河豚ふてぶてし沼野大統領
姉だけにばれてる秘密河豚御膳野地垂木
芯ありて噛み切れぬ吾のエゴとふぐノセミコ
箱河豚のミイラ真っ白がらんどう野点さわ
釣り上げりゃ河豚は鳴くやら膨るやら野原蛍草
河豚捌く海の怒りに触れぬやうはごろも856
輪島の朝河豚の糠漬けの焦げ目橋爪利志美
ドクッと不整脈の喉落つる河豚橋本有太津
さては君恋の話か河豚日和蓮井理久
河豚の歯が天下国家を論じさう長谷川水素
ふぐ刺しの皿柿右衛門のパチモン長谷機械児
河豚喰らい女房をほぼ忘れけり長谷島弘安
料理人神事のごとく捌く河豚葉月庵郁斗
海に降る雨は甘いか河豚旨し八田昌代
夜は河豚音便変化おこす卓花はな
ふぐ刺しに透けて見えそうな睦言花彼岸
免許得し社長の河豚を箸先にはなぶさあきら
ふぐ鍋や男の疵を数えつつ花豆
河豚食うて拙き吾の箸使ひ花水木
末席に死神の居り河豚の夜花見鳥
河豚の歯の噛み合わぬまま捌かるる花和音
引き潮の浜干からびた河豚を踏むはむこ
脳天の刃に河豚は眼を恍惚と葉村直
ふぐ食うて母の呼び名の変わりけりぱぷりかまめ
しみじみと鰭酒の火の菫色林省造
河豚刺のひとひら月の記憶とも巴里乃嬬
河豚の毒捨てバイブルの美しき晴田そわか
河豚鍋や今年の漢字は?と聞かれ春野ぷりん
満開の一片崩す河豚の刺し春海のたり
河豚喰うてアルバムめくる独夜かな春山菊
虎河豚を揚げる音のみ岩の宿半ズボンおじいさん
河豚旨し辞令は重し河豚旨し万里の森
河豚刺しは薄し別れ話は重しピアニシモ
伊予灘を見つめし河豚の目がきれい東原桜空
トロ箱へ虎河豚ごろり鰭ぱたぱた樋口滑瓢
朝市の河豚刺し日に透けて翠菱田芋天
おもしろきかほしてふくを釣りにけりひでやん
河豚刺しをひょいと摘みて白寿かな陽
河豚食らふ親も子も皆公務員ひなた和佳
不機嫌をのみこむ苦さ河豚ぷくりヒマラヤ杉
ぶつ切りの河豚ふつふつと濁りけり姫川ひすい
擦り切れた畳の店の河豚の鍋日吉とみ菜
星々の怒りを吸ひて河豚膨る平岡梅
河豚の華崩す初めの箸は父平松一
口中に河豚の泡ある逢瀬かな平本魚水
河豚食ひにゆく職安が混んでゐて広木登一
ひらひらとふぐが伊万里を離れけり浩子赤城おろし
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箸の追う河豚の刺身の一周り広島立葵
河豚食えるようになったかこわっぱが広瀬康
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水槽の河豚や診察待ちの吾ひろ夢
水槽の河豚の目動くシャッター街琵琶京子
異国語の止み運ばるる真河豚かな風慈音
故郷のちつぽけな河豚しか知らず深町明
友の通夜誘い合わせて河豚を喰う深蒸し茶
河豚ちりや武勇伝は程々に福前彩芽
宝くじ全部外れた河豚を食うふくじん
ふぐちりの湯気の内だけの平穏福ネコ
河豚鍋が煮えてうんちく受け流すふくろう悠々
河豚硬し人間がまだ出来てゐず藤白真語
弟と河豚食べたのは父の通夜藤永桂月
水槽の河豚を呼出す手の厚きふじよし
不在票品名活魚河豚とあり舟端玉
河豚噛んで部長の駄洒落聞き返すふみづき茶子
針千本別れの文を開けやうか風友
恋人と呼べぬ男と河豚食らふ冬野とも
河豚鰭の隙間より見ゆ刃と手と背古川しあん
一切れの記憶に河豚を語る語るふるてい
河豚鍋や窓を開ければ闇深し平馬
ボルシェヴィキボルシェヴィキボルシェ河豚喰お碧西里
釣り針はそのまま競りの河豚光るペトロア
平らかに空気を支配河豚の皿暮戯
箱河豚のぱたぱたゼンマイ切れさうな黒子
河豚刺に余震の距離のくらべ合いほこ
河豚の身の光るや刃先ためらわず星鴉乃雪
草河豚をぽちょんと返す海夕日ほしぞらアルデバラン
河豚さしや君もづうづうしくなつた星月彩也華
厨房の床磨き上げ河豚に刃を星詩乃すぴか
河豚食ふや隣の人の手のタトゥーほしの有紀
古伊万里に河豚の上澄み並べけり細川鮪目
乗り込むや小脇の保冷箱に河豚ポップアップ
河豚刺や国家に奪われる命堀卓
欠航の知らせ河豚鍋囲む昼堀江むすぶ
出張の報告になき河豚の宴堀邦翔
針外す「ブ」と鳴く河豚の下顎よ眞さ野
虎河豚をヤクザと一緒に見ている魔星蟲ダークネスライザーI世
身のうちに毒を溜めんと河豚喰らふ松岡玲子
一線を越えた貌して河豚を喰う松岡拓司
河豚喰むや子に遺す物なかりけり松永好子
いい年だったかと二人河豚つつくまほろば菊池
二位の尼眠らるる海河豚の宿まめばと
朝まだきごろり虎河豚競りを待つまやみこ恭
旅ひとり北限のふぐ詣かな瑪麗
正面は間抜け面だと河豚が言う丸山隆子
花びら集めるごとく河豚刺し食ふ美衣珠
ぐちゃぐちゃの糸、鈎、河豚を拾う浜三浦海栗
河豚刺しの弾力抜歯後の疼き三日月なな子
ふぐ刺しや天使の羽を撫でるごと帝菜
河豚鍋や先の見えてる間柄三上栞
しかくともまるともみえて河豚の貌岬ぷるうと
食うほどに声もふくらむ河豚づくし三崎扁舟
河豚食むや秘書室長の片靨(かたえくぼ)水須ぽっぽ
ふぐ刺しの歯ごたえの良き薄さかな三田忠彦
河豚の夜は皆ようしゃべるようしゃべるみづちみわ
親指の食ひ込む河豚の白き腹みつれしづく
河豚刺しの身は透き通るまつりごとミナガワトモヒロ
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容赦なく河豚の歯切りに丸い稚魚アマリリスと夢
スカGで迎えの兄と食べた河豚網野れいこ
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河豚ならで己の毒で死んだ夜雨降りお月さん
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ふぐ鍋やわらってる爺わらってる綾竹ろびん
河豚を喰ふ筋金入りの楽天家荒一葉
医師の叔父解剖のごと河豚さばくあらあらかしこ
虎河豚や客は俺らにだけ薄情あらい
河豚の膳犬も喰わない喧嘩終えあらかわすすむ
堤防釣り外道の河豚のふくれ面荒木響
ハレの団欒蘭の絵皿のふぐ刺しよ荒木ゆうな
河豚に似た上司の死因河豚の毒あらせもんじ
通販の河豚食む老いのひとり酒有本としを
ふくの華刺一枚の乱れなし淡湖千優
河豚豊漁白波光る親子船安春
次集う日も囲みたし河豚の鍋飯田淳子
店先のふくれっ面の河豚哀れ飯田むつみ
ふく刺しをさらに美味しく鰭を焼く飯沼比呂倫
河豚食ひて少し不安になりにけりいくたドロップ
薄情な世を恨みつつ河豚を食ふ生野薫
いけすの河豚はペットです?先に言え!池田華族女性
波止場釣り膨らむ膨らむ河豚の腹池田炭
河豚食うて声裏がへるボーナス日池田桐人
河豚の味知らぬアラフォー窓磨く伊澤遥佳
美味なれど釣餌(つりえ)どろぼう河豚の口石岡女依
河豚薄し皿の紋様有田焼石垣ようせい
毒を持つ言わんばかりの河豚の歯牙石垣ようせい
河豚鍋や夜の博多に食い笑う石川明
旧友と還暦の旅河豚五切れ石田ひつじ雲
河豚鍋を囲む漁師達太き首石堂多聞
秘境なり河豚提灯腹の中石原しょう
河豚鍋や美人女将の里訛り石原花野
河豚刺や大輪の花咲きみだれ泉恵風
諍ひを暫し休めてふぐと汁和泉攷
河豚無敵といえど共喰いに屈す伊泉不洋
河豚鍋や舌焦がす吾を笑う君遺跡納期
ちよぼぐちの見合ひ相手やふぐの鰭板柿せっか
秀吉の禁じた河豚をいざ食す市川卯月
久々の同窓会河豚と初恋と市川りす
古伊万里の緑鮮やか河豚盛らるいちご一会
河豚コース翌朝の鼻腔の余韻一久恵
河豚ちりの雑炊のころ打ちとける一秋子
河豚食うやひとり座りしカウンター一愼
ふぐ刺しやうっとり見入る孔雀盛り伊藤薫
河豚食いて歌舞伎役者の死のよぎる伊藤節子
来ぬ人や河豚の生簀に救われし伊藤正規
恐る恐る河豚の唐揚げ口に入れ伊藤美由紀
じよつぱりの内より出でぬ針千本伊藤柚良
母上京フィアンセと食べた河豚の味伊藤れいこ
伊藤公の夢河豚のテトラドトキシン伊藤小熊猫
河豚の牙こころに刺さるうしろ指伊ナイトあさか
釣り糸をまたもや河豚は食いちぎる伊那寛太
暖かき息弾ませる鍋の河豚稲城蒼海
取り寄せの河豚女房の知らんぷりいなだはまち
ありがたく囲む河豚鍋声の数稲葉雀士
薄くうすく透きとおる皿河豚刺身井上幸子
君つぶれ持て余してる恋と河豚井上鈴野
河豚喰うて漢(おとこ)ふたりの露天風呂猪子石ニンニン
花びらの如き河豚刺し蒼き皿今井みどり
思春期のふくれつ面や河豚汁井松慈悦
河豚刺しや古伊万里愛でて舌鼓今乃武椪
ぐつぐつと鍋の煮立つや河豚は福今林快波
虚仮張りて上がりたる河豚竿先に今村ひとみ
誘う言葉探しあぐねてふぐの宿いわさちかこ
ずるむけにされて虎河豚なほ猛る岩田勇
探偵が終盤気づく河豚の肝イワンモ
まだ命惜しいと父は河豚喰らう植田かず子
マイセンの皿に河豚刺し敷きつめるうえともこ
河豚の味これ見よがしを言ひにけり上野徹
赤目ふぐ義母の残したゴミ屋敷上野眞理
濃墨のふぐちょうちんのふく福や上原まり
冴え渡る出刃と毒舌ふぐと汁上本みのり
待った無し河豚のコースとシャッター音兎野紫
船長は高速で河豚捌きけり宇佐美好子
あの河豚は胴に鎧をつけてゐるうた歌妙
水槽の箱河豚キラリ子はニコリうちだまみ
景気良く若く無知だった日の河豚靫草子
硫黄かに怖き河豚の目吾子の言う宇野翔月
人だらけ黒門市に河豚を選る卯之町空
河豚鍋や狭き海峡向かいの灯海口竿富
腹一杯喰ひて飽かせぬ河豚づくし海野優
河豚鍋や猫舌の亡父思ひ出し梅尾幸雪
河豚食うて忘れて食うて傘寿かな浦野紗知
ほの苦し河豚のひれ酒二十歳の香江川月丸
ふぐ刺しや箸の先さへウルウルと絵十
皿に咲け河豚を捌く手軽やかに榎本奈
清貧や河豚には縁のない暮らし海老原順子
寛解の後に喰む河豚それもあり笑姫天臼
河豚刺しで家族そろった祝い膳えみくれ
推古仏と河豚を例へし魯山人朶美子
ぐうぐうと鳴く河豚逃がす釣日和えりべり
猫が見るもらい手のない釣果の河豚縁穐律
釣り人に外道と放られ鳴くや河豚遠藤千草
吾は死して何も残せず河豚提灯遠藤一治
河豚食ふや夢膨らむはもう一度遠藤倫
古希過ぎて初物旨し河豚刺身円美々
親戚の中母だけが河豚喰はぬ旺上林加
初めての釣果は小さき小さき河豚大越マーガレット
美味しさと危うさ一重河豚の毒大島一声
海帰す小さき河豚の膨れけり大嶋宏治
河豚刺身ぐるりと描く大皿に大島すみ子
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午後の河豚釣り上げられて浜へ落つ大津美
たらたらとまたたらたらと河豚の鍋大野美波
河豚刺身何年ぶりぞもれる笑み大原妃
来ぬ君の河豚で腹張り缶チューハイ大原雪
吾子挑む生け簀の河豚にあっぷっぷ大谷一鶴
ひとひらのふぐ乗す舌の艶めかし岡井風紋
人間にも毒はあるよと河豚食らふおかえさき
お座敷に足なげ出して河豚の宿魚返みりん
列島は一万年の河豚通か岡崎未知
ふぐの絵の暖簾の誘い河豚の店おかだ卯月
手の中の河豚はぼてぼて脹らんで岡田瑛琳
にごってもにごらなくても河豚うれしおがたみか
河豚食わんと高速おりる壇之浦オカメインコ
河豚鍋や湯気の向こうはふたりきり岡本
喰われるな赤ちゃん河豚よ毒を吐け丘るみこ
ふぐ横め夕のデパ地下みぎひだり岡れいこ
銀婚の夫はふぐかわ吾はてっさ小川さゆみ
放たれし河豚や浮かばれぬ我が恋小川しめじ
河豚の歯や子に生えそろふ永久歯小川都
天皇の逸話思えり河豚の味沖らくだ@QLD句会
生簀住む歯切りの河豚の膨れ面おこそとの
河豚の腹パン!と割ったり幼き日お品まり
船宿の船長河豚を捌きけり小田毬藻
再会の振袖燥ぐ河豚の鰭落句言
顔揃う笑顔味なり河豚鍋や小野ぼけろうじん
河豚捌き迷うはてっさかてっちりか十八番屋さつき
河豚ふうと何を冷ましているのやらおぼろ月
捌かれて尚も出せぬ手鍋の河豚おんちゃん。
沖へ行く河豚鋭さで勝負する械冬弱虫
釣り竿の先の小さき河豚の意地海堂一花
河豚鍋に蒸して熟され二人きりかえるゑる
ふく刺しを束で持ってく十二歳案山子@いつき組広ブロ俳句部
目の玉も福もまんまる河豚提灯垣岡凡才
河豚の旬食べず終いの出張や影夢者
古希になる河豚刺ぐいとすくひたり笠谷タカコ
起死回生長崎河豚の初値つく風早杏
コリコリとこれが所謂河豚ならむ梶浦和子
河豚の鍋どれがそやつか箸迷ふ梶浦正子
河豚汁や妻の名捨てて清し夜かしくらゆう
河豚鍋の帰りはどこへ肩くんで鹿嶌純子
ちさき河豚見る見るうちに膨らめりかじまとしこ
刃にちぢむ一枚ごとに河豚の魂華胥醒子
ふぐ刺しの透ける薄さよシェフの腕和恵
同伴出勤河豚と蘊蓄を喰う風薫子
河豚鍋や友の子自慢孫自慢加田紗智
河豚鍋を食えぬ孫の膨れっ面河童
河豚を喰む今日という日は二度となし桂葉子
大河豚を釣るも捌けぬ海放つ加藤水玉
iPhoneを放り投げたし河豚喰ふ叶田屋
密やかに交わす合意や河豚の肝仮名鶫
河豚鍋は一応父が食べてから金固歩見
河豚盛りや青絵の唐子浮かび出るカバ先生
河豚や河豚好きで膨れてるんじゃない花蜜伊ゆ女性
命がけ言うほどうまいか河豚つつく紙谷杳子
金ちらとアイコンタクト競り場河豚神谷米子
大阪で激安美味なふぐ料理亀田稇
忙しさは置いて今夜は河豚の鍋亀山逸子
うやうやしき河豚真空パック脱ぐ河上摩子
ふぐ提灯鈍行乗り継ぐ旅情かなカワムラ一重
ふぐ鍋や先輩のひと言きらり川村昌子
愛嬌に隠せし毒や河豚の皿神無月みと
はずむ話河豚注文の待つあいだ樺久美
午前4時河豚やエカエカ袋競り岸壁の龍崎爺
つい釣られぷわっとふくれるクサフグや木口まり子
一直線河豚の如何に青い海ギザギザ仮面
ふくふくとふぐ鍋ふふむ磁器婚式如月ゆう
「河豚」と知り白きてっさに迷う箸岸本元世
こわごわと食べる中華の河豚料理酒暮
魚網よりぼとりぼとりと丸き河豚季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
人事の顔ふと浮かぶ群れの河豚よ喜多柚月
河豚捌く皮引く指の滑らかに北川茜月
人が吐く毒よりはまし河豚の毒北野都留
江戸の町どどと動かす河豚の毒貴田雄介
この馬券河豚へと換える来い6番!ギックリ輪投げ
河豚鍋を食らふ力士とタニマチときなこもち
潮風に河豚の笑顔の転がりぬきのえのき
砂地に目ありクサフグのかくれんぼ木村かほり
祖父自慢春帆楼で食べし河豚木村修芳
河豚の毒凌ぐ博文候の欲木村となえーる
貝塚に河豚の骨ありわれも食ふ木村弩凡
黒門や呼び込み強し河豚ホタテ木村波平
見合い席皿模様透く河豚かなし木元紫瑛
透きとほる河豚のはらわた朝の風Q&A
透きとほるふぐ刺の花魯山人Qさん
ふぐ料理円卓なれど序列あり鳩礼
捌かれて河豚は眼を剥き口を開け京野秋水
初めての接待初めての河豚よくぅ
毒に酔う河豚の眉間を押してなおクウシンサイ
噛みしめる年に一度の河豚料理草道久幸
入れ食いに鳥猫喰わぬままに河豚鯨之
河豚ちりや酌を忘れた親不孝楠田草堂
毒を吐きまな板の河豚腹くくるくずもち鹿之助
ガラス越し河豚のまあるい目が怖いくつのした子
嘘透ける男と二人河豚の客熊谷温古
ぷかぷかと網から放つ河豚二匹クリスマスローズ
弧を描く箸取り逃がす河豚刺二枚空流峰山
荒ぶ風釣果待つ猫河豚ばかり黒猫さとみ
青年の初河豚絵ごと掬い桑田栞
浅草寺河豚鍋囲む角の店慶唯
俎板の河豚の目ギラリ殺意有無家古谷硯翠
嫁ぎ行く河豚鍋囲んで時忘れ月昭
海峡に魚影ふるへて河豚を追ふ謙久
ふぐ漁の豊後水道澪白しケンG
初デート河豚の痺れがゆめの中源氏物語
利を生まぬ小さき河豚の捨てられつ恋瀬川三緒
月のごとき大皿河豚刺し映えて郷りん
河豚鍋や冷凍庫空き心空き剛海
河豚の皮剥がされ見せる白い肌康寿
虎河豚や再積算の辺地債幸田梓弓
腹黒き吾に沁み入る河豚白し古烏さや
河豚鍋を怨み喰いたる孤食かなこきん
河豚捌く手元てっさの鮮やかにココヨシ
河豚拝む久方ぶりの饗宴や越乃杏
河豚刺しを前に講釈四半時越乃光
釣り針を噛みしめている小さき河豚小園夢子
河豚の歯やニッパーのごと尖りたる来冬邦子
父と釣り食べれぬ小河豚逃がす役後藤光秀
神の技河豚の毒抜き薄造り後藤真昼
威勢よき声もろともに河豚揚がる後藤三梅
朝の磯水ヨーヨーのごと子河豚一匹小林のりこ
ああ河豚よその水槽じゃ狭かろう小林弥生
河豚鍋やよくしゃべる人黙る人小原実穂
河豚食べて死にかけたのにまた食べたい小藤たみよ
にらめっこ間抜けたふぐに負け続け小湊八雲
これだよね他にない味白き河豚こむぎ
人寄せの主役今夜は鍋の河豚小山秀行
河豚の日と日記に付ける坊主かな今藤明
肉削げばウグイスとなる河豚の骨西條晶夫
河豚提灯ここは裏街通の店埼玉の巫女
暗き海静かに深く河豚の居るさいとうすすむ
河豚刺を追加で頼む躊躇せず齋藤方南
割当ては反故にされたる河豚刺よさ乙女龍チヨ
生簀河豚目が合い変える盛り合わせ坂上一秀
ふぐ鍋にみな同時箸がでる榮秋代
河豚刺や豪商風の顔となる坂口いちお
一人旅彼の河豚食ふのか浸り問ひ坂島魁文
河豚刺身器の模様透て見え坂田貞雄
やがて座も河豚雑炊の頃となり坂田雪華
水槽で河豚十匹メニュー見るさかたちえこ
河豚初のおもてなし席箸つけず相良まさと
ちょぼ口の河豚飼いたいとせがむ亜子咲まこ
親方と河豚で一献湯守人櫻井こむぎ
銘々にピンクのお皿河豚とやら櫻井紫乃
真珠婚若狭湾へと河豚食べに櫻井弘子
政治屋の保身の嘘や河豚の毒佐倉英華
旅日記通天閣と河豚の鍋桜月あい
あどけなき暗殺者となりたる河豚桜月夜
河豚鍋を友と囲んで毒を吐く桜猫ろん
鶴盛りの河豚に歓声迷い箸桜華姫
又も河豚釣り場に放る膨れ腹桜姫5
河豚刺しの絵皿とも撮る誕生日桜姫5
ふぐ刺しや生簀の河豚の哀しき眼さくら悠日
どの顔も河豚はお初の同級会笹靖子
河豚やいざ宝石食し夜の陣近未来
河豚鍋を奢ってくれた人何処さざんか
ふぐ刺しに色絵のゆがみ箸の先砂月みれい
いつまでも慣れぬ方言河豚の鍋さっち
河豚刺しを頬張り過ぎて噛み切れず摩じったくい
糸の先プウとふくらみ睨む河豚佐藤公
河豚刺しの切り身が透けて海鼠釉佐藤俊
河豚食うは初恋のころ想ふことさとうナッツ
ハート型河豚刺しやピンク萩焼佐藤浩章
河豚が待つ道頓堀に鉄砲あり佐藤佳子
分け終えて遺産は定か河豚は未知はくあん
河豚なんて美味しくないと父は言い里山子
雲透けて最後の食事ふぐと決むさむしん
初めての河豚は唐揚げ湯田温泉さやじゅん
フェイクパール輝く手首河豚尽くし澤田紫
河豚揚げつ郷里の母の歳数ふ澤田郁子
膨れても詮なき事ぞ生簀の河豚三角山子
河豚刺やとかく若さの無鉄砲塩沢桂子
河豚鰭の酒は芳し下戸なれど塩原香子
仲買いの声も昂ぶる河豚の舞いしかの光爺
箸透ける河豚刺しすくい君と酒四季彩
河豚茶漬けメルシーボークー華やいでじきばのミヨシ
河豚刺しや老眼鏡のよく見える実本礼
透き通る皿に身震ひ河豚の刺し芝歩愛美
これまでの運を信じて河豚の刺しぼりはf22
怖がりの高層ビルで食う河豚や縞子勾苑
海鳴りや俎上の河豚の目の涙島田順子
草河豚や子の釣糸に暴れ鳴く島田ユミ子
河豚の宿出づればネオン法善寺清水容子
食リポを終え去る女優残る河豚下丼月光
そそぎ込む恵みや湾の若狭河豚釋北城
記者と聞く男と神楽河豚と汁朱胡江
河豚の刺三枚分の牡丹摘む柊二
祝い膳ふぐ三昧の夕餉かな柊瞳子
ふぐ鍋や一本締めも温かき秋芳
河豚提灯禁酒二か月夫の塊珠桜女絢未来
空に出てふてり鳴く河豚針ちぎる種種番外
膨らみて渦を転がる小さき河豚順之介@QLD句会
草河豚や鰭の斜めに突き上げてじょいふるとしちゃん
河豚の口きっと前世は鳥だった正念亭若知古
キラキラと皿の海から河豚およぐ昭和かぐや
河豚たちは歌留多に描きたい愛らしさショートケーキ
煌々と河豚の目悲し提灯となり白井佐登志
古希迎え知らぬまま逝く河豚の味白井百合子
しなる竿釣られし河豚の眼の虚しろくも
ふぐ膨れ夜に浮かぶか馬関の瀬しんなが新月
河豚鍋を平らげる吾れ余命過ぐ新濃健
河豚食ひて今年もすっと終わりけり森牧亭遊好
河豚刺をさらふ一箸磁器の藍深幽
ふぐ免許取得高三河豚捌く水きんくⅡ
美味しんぼ食うや臼杵の河豚の肝酔軒
河豚提灯ぶら下がっても怒ってる瑞々
膨らんで河豚の前歯も腹も白水蜜桃
めでたきやふぐで万福たべてよし杉浦あきけん
河豚刺しの透ける未来や友と飲む杉浦真子
河豚刺の透け細やかや青磁皿杉沢藍
命より河豚の美味さに痺れてる杉柳才
河豚捌く刃先鋭し親睦会鈴子
バブル期よ大宴会の金河豚よ主藤充子
よろしくと一筆書いて河豚を食む砂山恵子
河豚刺やしばし迷ひの最初箸諏訪次郎
晴れやかや息子振る舞ふ河豚料理晴好雨独
沈船や箱河豚の鰭はプロペラ清仁
ビラに釘付け河豚刺し始めました星夢光風
待ち合わす河豚割烹の石畳瀬央ありさ
手品師の手付きで河豚の袋競りseki@いつき組広ブロ俳句部
小さくて丸く優しい河豚釣れて瀬戸ティーダ
みせかけの自爆装置や河豚あはれ世良日守
鰭を焼き皮を湯引きし独り河豚千@いつき組広ブロ俳句部
河豚ばかり釣った父との回転寿司全美
河豚刺や土産話のまた一つそうり
鰭二つ酒に溺れて鰒の夜曽我真理子
相席の河豚鍋ここは下関染野まさこ
還暦に孫子と食べる河豚料理宙まあみん
足早に河豚持ち帰る日本橋駄詩
遠慮がちに三枚菊盛のてっさ大
その身には毒秘めてこそ旨し河豚大ちはる
河豚刺しの大皿や子らあらたまり平たか子
出勤のときの部長のような河豚平良嘉列乙
人の世に物申したき河豚の面たいらんど風人
河豚食ひて瞬きもできない刹那高井大督
とんぼりの生簀の河豚の悟り顔高木音弥
河豚届く納車期限はあと五分だがし菓子
夢にまで見き河豚鍋の熱光線高瀬小唄
煌めきて一年締める河豚食らうたか&ひろ
赤い皿六枚分の河豚一貫高辺知子
年イチの河豚鍋囲む平穏や高嶺遠
河豚の顔可愛いのはねふくれっ面高橋紀代子
仲見世の小さき水槽底に河豚たかはし千百
河豚刺しや有田の花の透けて見ゆ高原徒然想
旅の宿箸ふるわせて河豚つつく田上コウ
草河豚の捨てられし岸釣日和高見正樹
箱河豚や味噌満つ福満つ哀の満つ高山佳風
にらめっこ湯温上げるやふぐちょうちん卓女
河豚といふ精一杯の命かな卓鐘
吾子ピタリ生け簀の河豚と睨めっこたけ馬広
古伊万里の河豚はなびらのやうにはぐたけぐち遊子
はじめからみな機嫌よく河豚を食ぶタケザワサトシ
薄っぺらふぐの刺身と長州と武田豹悟
唐紋様うす碧く透き河豚の華多事
役者色河豚胸びれは見得を切るたすく
河豚食ふや唐揚げ旨し一献す祐紀杏里
身繕ひバッチリ今夜ふぐ喰ひに多田知代子
ふぐ刺しを乞う手拍子が子守歌ただ地蔵
なべ底の河豚掴み取り笑う吾子立花かおる
いらっしゃい河豚屋女将のエビス顔田鶴子
賤し喰いてっさ何枚掬いけりたていし隆松
大皿の河豚刺し映える曇天日立山枯楓
河豚鍋はとらふぐ今もその通り田中勲
仲間らと囲む河豚鍋下宿飯田中ようちゃん
久々の宴がひらき河豚となりたなばたともこ
河豚求め浅草デート遠き日よ谷口美奈子
マイノリティ達の毒味で河豚三昧田野収一
乾杯は河豚の鰭酒慰労会玉井令子
河豚落とす真剣勝負の袋かな玉川緑風
河豚刺しを初めて食べし五歳の子たむらせつこ
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大皿の河豚を食ふこと躊躇はず月城龍二
はづむふぐ競り場の指と指熱し月待小石
河豚泳ぐ湯呑みの中を鰭見せてツキミサキ
身を守る河豚の毒より人の欲月見里ふく
河豚の毒確かめるごと河豚を噛む月夜田しー太
酒の香に酔えども河豚の身は白く月夜案山子
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河豚刺や薄さ命の妙技なり辻栄春
にらめっこする気どこかに河豚ゆらり辻内美枝子
縄暖簾潜りてまづは「かっとっぽ」対馬清波
ふぐ刺しや左右にくるり夫婦箸つついぐれちゃん
アニバーサリー並んで座る時価の河豚津幡GEE
ふくさしの透明なりし魔物かな鶴富士
社会人2年目初の河豚鍋よデイジーキャンディー
河豚づくしちよつと気取って盛り上がり手嶋錦流
河豚は福何が不足かその顔は徹光宗光
海は凪また河豚の腹白してつねこ
河豚くうて今更ながら父母想う寺凡
ふくれつ面の河豚の不平を聞いてやる寺尾当卯
小気味よき板場の下駄の音河豚刺し来輝由里
河豚喰らふ友に病気を告げし夜天雅
独り身やスーパーの河豚噛み締める電柱
女ほどに骨まで愛されて河豚天童光宏
老漁夫の包丁さばき河豚料る土井杏子
ふくらみて河豚の威嚇の愛らしくどいつ薔芭
河豚とやら泳ぐ図鑑に触れてみる苳
神の針おひだれ甘く焼くる河豚トウ甘藻
飛行機に乗ること河豚を食べることとかき星
河豚鳴けど鳴けどいずれは腹の中時まる
遺書書きて服たたみ終へ河豚食らふDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
道頓堀仕事納めの河豚白子杼けいこ
明かされぬ誓い河豚には歯が立たぬとなりの天然水
調味料絡まぬ河豚素材の味となりの天然石
始まりは乗船島のふぐ料理戸根由紀
産卵の河豚や命懸けの岩場冨川友香理
河豚の口おちょぼの中に鋭い歯冨川きよこ
この度は敵か味方か河豚喰らふ富野香衣
食べもせぬ河豚の刺身にはしゃぐ吾子友@雪割豆
関門の最後の一夜河豚料理とよ
鰭の香に河豚も食べたき赤提灯豊岡重翁
河豚の毒捌く板前淋漓たり鳥田政宗
河豚並び笑顔も並ぶ銀婚式内藤清瑤
待合や河豚の刺身の乾き哉中十七波
曼荼羅を語る和尚と河豚刺しや美衣珠
晩酌の小さき干物も河豚は河豚なか鹿の子
天窓に白きもの舞ふふぐと汁中里凜
河豚の身をさばくシェフの手華麗なり中澤孝雄
河豚捌く命と命つなげんと中島葉月
河豚刺の残り一枚譲り合ふ中島圭子
うつむきて河豚を鳴かせる女かな中嶋奈緒子
にらめっこまたも勝利は河豚の手に中嶋緑庵
身の大き虎河豚に染む赤いさし永田千春
同窓会銀座で河豚の鍋だって仲間英与
河豚通と言ひし漢の鍋奉行仲操
草河豚を毬に怒らせ放り込むなかむら凧人
白き皿大人が箸で河豚すくう七五三五三
河豚一貫二百円也いいかしら夏雲ブン太
河豚鍋や銘酒の味の飲み比べ夏目坦
河豚鍋は性善説の人ばかり七夫
河豚の店非日常の一欠片ななかまど
握るゆび河豚の初競り南風泊浪速の蟹造
「河豚にせむ」うたげの幹事ひとりごつなびい
息ひとつ吸って手を出す河豚刺身名前のあるネコ
潮だまり小さきふぐの鰭震え縄田ゆみこ
正装の初心者入る河豚の店にいやのる
鮮やかに伊万里が透ける河豚の波にえ茉莉花
河豚鍋や後悔多き過ぎし時西尾照常
「今日は河豚」夜まで唱え今日は河豚西田武
皿までも喰らう覚悟や河豚旨し西村小市
大皿の河豚箸で攫い食うミスター二十八
懸賞で当たった河豚を食卓へ二城ひかる
物価高嘆きつゝ河豚喰うて居る新田ダミアナ
卵巣の溜まりたる毒鰒の恋庭野環石
水槽の選びし河豚やふてぶてし布村柚子
河豚刺の美しき模様を崩す人沼宮内かほる
小さい手パタパタ河豚も回転すねがみともみ
初河豚やいつの頃だか手指折り猫辻みいにゃん
河豚刺しの貧乏臭き薄さかな猫ふぐ
蘊蓄を暫し拝聴河豚の鍋猫またぎ早弓
河豚ほろりふわっほろほろ唐揚げや猫柳鈴音
恰も赤絵ごと浚ふふぐの箸野口雅也
山口で福を求めてふぐ提灯野崎文明
河豚叩く破裂見るほど覚悟なく野中苦泉
河豚見て鍋と毒の字や浮かびけり野中泰風
河豚食す何万人の犠牲ある野々かおり
手水鉢河豚ヒレ勢いざんぶりとのの倶楽部
ぐひと鳴き威嚇の河豚のかほあはれ野ばら
初捌きこわごわ口に河豚刺しを野原一草
青海波の河豚の波波動き出す則本久江
湯上がりに河豚をつつきし君が唇(くち)徘徊狂人
小潮満ち河豚の甘さの広がりて白雨
ぷくぷくと鳴く河豚よまな板の上白山一花
食いたくば出世してみろ睨む河豚橋野虎空
河豚料亭水琴窟の音も弾む波止浜てる
河豚料理喰ふをためらふ薄造り蓮見玲
一斗缶夜にさざめく河豚の毒畑美穂
河豚提灯なに思ひゐむ荒るる海蜂鳥子
卯の年は河豚で始まり河豚で終ふパッキンマン
河豚食べる明日は友の通夜なのにはっしー
一人酒河豚提灯とにらめっこ初野文子
我が腹は威嚇になるか河豚に聞く花岡紘一
賞翫の河豚の菊盛り惑い箸花岡淑子
虎河豚の鰭は琥珀の酒とろり花弘
河豚提灯火点し頃は生き返る花咲明日香
水槽に重なる河豚の大と小花咲めだ香
雑炊にふくの欠片のあるハッピー花南天あん
河岸の河豚沖を眺むる瞳や潤ふ英凡水
河豚食わぬ妻の抱きたる猫の顔はのん
河豚の口ただ茫然と開いたまま浜けい
出会いたて続かぬ会話と河豚料理林めぐみ
海峡の関所や市場は河豚日和原水仙
河豚といえば自分で釣った八センチ原善枝
ふぐちりの〆はうどんか雑炊か原島ちび助
ホスピスの河豚鍋集う笑いあり原田民久
河豚刺しや皿の絵柄も味わえり原野乃衣
河豚の身の透けて華やぐ絵皿かな春あおい
河豚刺しを箸で掬えし小気味よさ春爺
舞妓ひとさし舞ふ河豚も華のごとharu_sumomo
水族館の一向に膨らまぬ河豚ハルノ花柊
ふんと聞く夫の集まり河豚料理葉るみ
几帳面なり箱河豚の横並びはれまふよう
吾は三十路で吾子四歳で河豚食初パンドラみかん
鍋島の尺皿の柄透けし河豚HNKAGA
初デート口説き文句の河豚の鍋ひーちゃんw
三回忌従兄弟振る舞う河豚料理東田一鮎
水槽の河豚は無愛想割烹店東の山
河豚刺しや亭主の自慢古伊万里よ東山たかこ
天仰ぎ寝座に戻りし鉤の河豚匹田小春花
肴とて河豚の干物を買ひ足しぬ比企野朋詠
大水槽毒もつ河豚のふくぶくしひぐちいちおう(一応)
河豚にしよう鶴の一声教頭様火車キッチンカー
磯の河豚敵に抗ふ腹白しひすい風香
虎河豚の宿にグヲグヲ夫鼾く美竹花蘭
河豚喰つて鐘が百八つ鳴りにけり一石劣
このひとと死ぬる覚悟で河豚の鍋ひと粒の種
言ひたきを溜めて生簀の河豚も吾も日向こるり
吹く風に乾いた河豚がコロコロとひまわりと碧い月
河豚提灯今日もお客とにらめっこひめのつばき
河豚の鍋誰も笑顔になりにけりひめりんご
ふぐ刺しや咲く白菊のごとくあり平井千恵子
青い目の嫁の披露や河豚の膳平井由里子
元カレの妻が馳走す河豚料理平岡花泉
験担ぎ玄界灘の河豚を喰ふ平林政子
河豚刺しの透く大皿の模様かな比良山
河豚料理回転寿司で換算す平山仄海
掛軸や箸置きまでも河豚の宿フージー
噛み浸むや箸震るる手の河豚の胆風泉
河豚鍋やしめの雑炊抜きんでてFUFU
同窓が今年も集う河豚の島風民
てつさ旨し河豚に逝く人有りければ福井桔梗
中皿に六分盛りたる河豚の刺し福川敏機
河豚身欠き転移浸潤せず寛解福田みやき
燐寸でぽっ河豚のひれ酒とろとろり河豚ふく子
河豚はえ縄船待つ朝鮮飴をほおばる子ウィステリア
赤きぬりばしのやはらかきふぐ刺し藤井かすみそう
河豚刺や箸のためらふ皿の花藤井眞おん
河豚鍋とピリケン並ぶ通天閣藤丘ひな子
これだけは容赦なき母河豚料理藤川雅子
花のごとふぐを白寿の祝膳ふじこ
ポン酢つけ舐める箸先いざ河豚へ伏見レッサーレッサー
青い空の平和な日本河豚食べる藤本だいふく
河豚透けて円卓の吾を素通りす二見歌蓮
河豚や河豚借銭取りに差し出そか船橋こまこ
河豚牡丹壊さないでよ箸伸ばす古澤久良
求愛のミステリーサークル河豚の作古庄萬里
ふぐ刺しをゾロリとすくう孫の箸古道具
白花に大皿写る河豚刺身古谷芳明
結果は要観察五十年の河豚豊後の李子
歌舞伎町ホストに河豚を奢る姫べびぽん
古伊万里に広がる河豚や艶やかに鳳凰美蓮
ふぐ鍋を囲みし戦争ふと想う望月
河豚の毒年経て糠の寄り添ひぬ房総とらママ
ふぐ肝は豆腐の如し臼杵かな星善之
奢られし日々よりうまき一人河豚凡々
我太身目を合わさずに河豚提灯本間美知子
不遇耐え河豚の腹見て福となす本間滋之
河豚刺しをゆるり追わせる土佐の酒凡狸子
何事もなきを確かめ箸河豚へ前田冬水
河豚透きて大輪の花となりけり牧茉侖
河豚喰ひて酒を喰らひて今日もまた雅蔵
草河豚の天色目玉砂の上増山銀桜
河豚喰らひ悪女めく夜の毒を吐く町田勢
河豚鍋の交差する箸ぬくぬくと町屋の日々輝
禍福とも湯気に包みて河豚の鍋松井酔呆
福々し河豚提灯平和かな松井貴代
釣り上げてふくを得たりと老二人松浦姫りんご
百河豚の所縁の宿のふぐと汁松尾祇敲
虎河豚に箸も付けずに大悪酒松尾老圃…
古伊万里の華やかさ食ふ河豚を食ふ松風花純
河豚刺しやぐるり一箸すくい上げ松坂コウ
河豚よりも睡魔がまさる朝かな松沢ふじ
接待の糸目を付けず河豚づくし松平武史
河豚を食べ始めて愚痴の止まりたる松田慶一
不器用な河豚はあばらを諦めてまっちゃこ良々
恐れては先へ進まず河豚料理まつとしきかわ
河豚食す明日は休みあさっても松本俊彦
料亭前初河豚に孫にらめっこ松本直樹
河豚捌く河豚の愛嬌河豚の毒松本裕子
同期らと河豚を勤続十年目真宮マミ
この浦の最後の漁師ふぐの刺し毬雨水佳
てっさ盛る藍の大皿絞り染め真理庵
河豚刺しを透かし眺めて口に入れまりい@木ノ芽
小さき河豚干す漁師町風わたるまるにの子
河豚喰ひや生き存へて河の郷三池のり子
絵のようにぷっと膨れた河豚見たり三浦ゆりこ
てつさ皿花弁がさと掬ひけり神酒猫
河豚刺しや祭り上げてる人がいる三茶F
河豚十貫次は河豚鍋しめ河豚汁水越千里
大皿にいっちょ残しの河豚刺身MR.KIKYO
外は白鍋はしゅんしゅん河豚食す水谷未佳
若狭河豚久谷の朱透けいきいきと巳智みちる
河豚コース終はる頃みな河豚の貌満生あをね
膨らみて怒れる河豚よ可愛し哀し光月野うさぎ
大将の眼光河豚のぎりぎりへ満る
無害だが食えない奴とつつく河豚ミテイナリコ
初体験恐る恐るや河豚料理湊かずゆき
舌に吸い付くごと河豚の刺身かな源早苗
過呼吸やはくはくあえぐ河豚の口美村羽奏
姪の披露宴ふぐ刺しを噛み締め見屋桜花
わぁきれい子の手をたたく河豚の刺身みやかわけい子
河豚の腹滑る甲板青海波宮川令
釣り船で河豚を釣ったと胸張る子深山柚仁
悪びとも河豚喰らう今日は天赦日宮村寿摩子
河豚雑炊あと何回の福あるや宮村土々
河豚の身に毒は回らぬ不思議かな三輪白米
節くれの手でさばく河豚孔雀盛りむねあかどり
鶴となり皿の絵透かし河豚は舞う村上の百合女
南風泊賑やか河豚の仏頂面紫小寿々
口閉じぬ愚行みつめる河豚提灯村先ときの介
鍋沸きぬ藍の文様透けて河豚むらのたんぽぽ
河豚競りや「どうか、ええか」のしゃがれ声暝想華
大皿にかくも薄きな河豚の鶴恵のママ
配送の青年の声暮れの河豚目黒智子
吸い殻で釣れる河豚の子釣る子供めでかや
河豚鍋を頂く順序歳の順モコ
その口に突っ込みたくてふぐの毒望月朔
膨らみてこの世の悪に河豚挑むmomo
黒門の河豚に外人尻込みす森佳月
釣られ河豚毒醸すかに門歯閉づ森毬子
デパ地下の喧騒河豚の福袋もりたきみ
役満の崩れ去る「ロン」河豚の毒森太郎
初めての河豚づくし隣は上司森中ことり
物価高河豚は横目で見て過ぎる森の水車
口寄せて枡に落ちたる河豚の酒森茉那
ぐい呑みの香り香ばし河豚の酒森みるく
河豚の毒抜かれて検査済之証諸岡萌黄
吹き荒ぶ外を尻目に河豚の鍋八木実
はり千本腹膨らませ薮睨み矢車草
初めてのふぐ刺し出会う初出張矢澤瞳杏
怯える眼のみを残して河豚潜砂野州てんまり
河豚刺しの大皿上司出張中安田伝助
人の罪さはき難儀は桶の河豚安元進太郎
既婚者の君とつつく河豚鍋の味痩女
大皿の絵柄の透けるふぐ刺しや柳井るい
クレーム昇華水槽の河豚まんまる簗瀬美嘉
水槽の値段付いている河豚悲しやのかよこ
熱熱の河豚の唐揚げ三回忌八幡風花
湯気の立つ河豚鍋つつく笑顔なり山内泉
山宿で快気祝いと河豚を食い山内文野
河豚刺しを丸呑みにして女子うたげ山河穂香
河豚鍋や奉行もおらずコップ酒山川かおる
朝市の板に満載河豚のヒレ山川たゆ
酒の肴河豚も野球も虎の勝ち山口
北国で河豚競りニュース味知らず山口笑骨
華燭の典スポットは河豚捌く友山口絢子
河豚刺しの美しき環を崩し食ぶ山口一青
ぷちゅぷちゅと泡立て怒る河豚可愛い山口雀昭
子らはふぐをありがたがらぬ鍋の中山口愛
河豚食ひて夜の街へと色男山崎かよ
ふぐ鍋や夕餉に急ぐ脈はやし山崎鈴子
皿の絵見事透けて見える河豚見事山育ち
河豚刺しや絵皿を透かす深き味山田季聴
目の前の河豚鍋かっ込み明日は明日山田啓子
大皿の河豚刺しに笑み丸くなり山田翔子
河豚刺しや赤い帽子を被りつつやまだ童子
河豚鍋を囲む子大人になりにけり山田はつみ
恨まずに生きていきたい河豚を削ぐ山田蚯蚓
ふぐ料理食べたくもありたくもなし山田文妙
還暦やここまでくれば河豚三昧大和杜
河豚刺しのお皿が一つカラになる山野花子
河豚の鰭張り付け干すや法善寺山本八
関門海峡を越えし河豚は福になる雪兎
河豚刺身神妙になり妻として雪子
ふぐ飯で締めてお開き別れけり柚木みゆき
皮はもう無し河豚刺透けるだけゆすらご
河豚刺しの透ける皿絵の青き山柚木啓
自慢はねウチのふるさと河豚の町夢一成
河豚刺や掬い取るなり皿の海夢散人(光散人)
河豚食んで怒り納める肚の内緩木あんず
親潮や釣る爲だけに釣らる河豚陽花天
河豚刺しのひとひら惜しむ色絵皿陽光樹
箱河豚のまん丸なるや地曳き網よかひよい
施設の母「河豚行きたい」と幾年か夜香
河豚刺しや伊万里の皿に魅入る朱横須賀うらが
四万円の河豚水すらないガザ横田信一
平らげて呻るてっさの絵柄かな横浜J子
皿の柄透けて鮮やか河豚の刺し横山道男
この湖に河豚泳ぐとて驚きぬよしぎわへい
接待の河豚の想ひ出半世紀吉崎寛
河豚まろき写真の父と飲む酒や吉田蝸牛
河豚喰へば呉須鮮やかに出にけり吉武茂る
河豚刺しの薄さ戸惑う箸のあり吉田春代
河豚ちりや鍋の底まで堪能す吉富孝則
板長の情移るなり河豚の顔吉藤愛里子
フクと云ふ河豚を喰らへば倍美味しYoshimin空
渦潮の生け簀虎河豚三年目四葉の苦労婆
毒舌の毒に中りし河豚の鍋余田酒梨
河豚突く仄とプワゾン箸の落つらん丸
河豚なるぞ鍋はひそかに三人で六星菴
パンパンの腹息絶え絶えの河豚リコピン
初孫や酒酌み交わす花のふぐ鈴玲
河豚の鍋声が膨らむワンルーム麗詩
河豚刺身透ける灯りの薄さかな連雀
河豚刺に飛びつく猫を押し戻しわかなけん
これが河豚の味かと笑まふ余命三月若和志歩
河豚食べて毒消しに呑む酒の量若林鄙げし
隣家より差し入れのあり河豚刺しよ若宮直美
大皿に河豚刺しの花つややかにわきのっぽ
裏金の毒のタラフク肥ゆる河豚和光
わが合格祝いて叔父は河豚奢り海神瑠珂
河豚の子の一丁前に膨れおりわたなべすずしろ
食わねども暫し眼の合う河豚丸しわたなべいびぃ
潮の香と店提灯の夜河豚の町渡邉久晃
いつもの座顔赤らめて河豚に酔ひ渡辺陽子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
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●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。
●兼題無し
- 年の瀬に部屋も心も大掃除平吉
本サイトでは、「兼題」として季語を出題しています。次回の兼題を確認して、再挑戦して下さい。
●河豚と海豚を勘違い?
- 禪くさき句の作者也海豚汁河上輝久
- いるかには人の魂宿るのか日向大海
兼題「河豚」と「海豚」を勘違いしたのかもしれません。河の豚と書けば「河豚(ふぐ)」、海の豚と書けば「海豚(いるか)」です。ちなみに、「海豚」も季語。季節はいつなのか、歳時記を調べてみましょう。
●残念ながら季節が違います
- 心して沖へ沖へと菜種河豚千葉信子
「河豚」という言葉は入っていますが、「菜種河豚」は季節が違います。これもまた歳時記で調べてみましょう。歳時記から新しい知識を仕入れることができますよ。
●季語というには微妙
- 河豚むすめふくれる頬に毒は無したじりまなぷ
- 激怒して部長は河豚のような顔べべべけべべべ
- 河豚のよな頬ふくらましそっぽ向き樅山楓
- 絵手紙の河豚ぷっくりとおちょぼ口金子あや女
- 絵手紙の河豚微笑まし友傘寿多胡蘆秋
- 河豚と言うあだ名の教師その後知らず今井淑子
- 好物は河豚と書く見合いの釣書小川野雪兎
- ふた閉める間もなきタッパ河豚せんべい小山田之介
- 河豚免許取る免停のひと月目火炎幸彦
- 通勤路ふぐ料亭の出汁香る亀子てん
- 貝塚に見つけし河豚と人の骨坂本雪桃
これらの句における「河豚」は、比喩や見立てであったり、絵や文字の「河豚」であったり。季語というには、微妙な使い方です。
ふぐ暖簾分け出で星座へ散会すさくら亜紀女
「ふぐ鍋」の幟をかわしコンビニへ静江
せめてもの「ふぐの炊き込みご飯の素」石垣エリザ
通学路ふぐ屋の前で立ち止まり 松野蘭
「暖簾」や「幟」、「ふぐ味の調味料」「ふぐ屋の前」は、季語というには微妙。他にも、季語の力が発揮されない使い方の句、多数ありました。
●季語の表記
敢えて片仮名にしているのだとは思いますが、その意図が明確に読み取りにくい句もありました。
水槽のフグ正装の客をとる伊予吟会 宵嵐
ハコフグやぶっきらぼうに針外すうめやえのきだけ
トラフグの群れみちのくへ来る不思議 峠南門
敢えて片仮名にする意図がある場合は別ですが、季語は漢字・平仮名で書くのが定石。
釣ってみりゃ四角いフグでおったまげいちばほうすい
食べました味もわからずフグさしをコロンのママ
フグ食べて懐寒く無常かなたいたい
渦潮に三年鍛えたフグ来たり中村こゆき
顔と顔透けるトラフグ一掬いはるるん1号
ホシフグは弱毒らしい味見良しピコリス
まあるくまあるくフク来る地球青し美月舞桜
薄衣をふたひらづつのフグの味 安池のんの
「ヒレ酒」も「鰭酒」と書くのが妥当でしょう。
通ぶったふぐヒレ酒のさめる夜半熟かさぶた
お行きなせヒレ酒女将ふぐ料理ミツの会
●季重なり
河豚鍋を独り占めする冬の夜霧土人
熱燗やコップの底の河豚の鰭中村あつこ
ふぐなべや紅道しるべ花すすき松尾美郷
年の瀬に河豚鍋囲み喜寿近し皆川徳翁
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「山茶花」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●表記
はて河豚と 福と読む土地 想い笑むしげ3
ふぐ刺しや 透けて聳える 富士の山田中恭司
父の河豚 末っ子だけは 膝で待つ緋色
河豚の顔 泥酔してる 旦那かな紫
かわのブタ 河豚と読めたら 味を知る村田真
大晦日 河豚鍋まずは あなたから本橋理音
一行に五七五の間を空けないのが俳句の基本的な表記です。まずは、ここから覚えて下さい。
●文字化け
- 河豚かこむノンアル女子会?そめ稲葉こいち
- 河豚の継ぐ父の?や下関徹光よし季
ネット俳壇における文字化けは不可抗力。ただ、投句を繰り返しているうちに、文字化けしそうな文字を予測することはできるようになります。
●今回は、句意が掴みにくいものや、季語が季語としての力を発揮できてない句がかなりありました。
投句する前に、客観的に自分の句をもう一度確認する習慣をつけましょう。そのためにも、〆切日ギリギリに句作するのではなく、早めに作っておいて、少し時間を置き、冷静な目で自句を吟味することをおススメします。
大変お待たせしました!12月「河豚」の結果発表でございます。
【河豚=超高級魚】のイメージ一択だった私は「外道の魚」として冷遇されたり鳴き声を上げたりする、河豚の別の顔をみなさまの句のおかげで(恥ずかしながら)知ることができました。子供のころお父様と毎日のように伝馬船を漕いで鯛釣りに行かれていたという海育ちの夏井先生。釣り人の心境にもさすがにお詳しいですね。
ぜひアドバイスを参考に復習なさってみてください。2月の兼題「霞」へのご応募もお待ちしております。