夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
8月の審査結果発表
兼題「立秋」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
水槽へ立秋のみづ惜しみなく
斉藤立夏
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夏井いつき先生より
一読、生き物や水草を育てるアクアリウムを思いましたが、勿論他の様々な水槽を思い描いてもよいのです。水槽は定期的に(アクアリウムは一週間に一度ぐらい)水を替えますが、前回水を替えた時と、何か違うと気づいたのです。この間までの暑さに緩んだ水ではなく、あきらかに秋立つ頃の水だと感じとっているのです。
上五の助詞「へ」は方向を示します。水槽へ注がれるのは「立秋のみづ」。硝子のひかり、注がれる水のひかり、それらが立秋のひかりとなって水槽を満たしていきます。下五「惜しみなく」は、立秋の水の透明な美しさだけでなく、水槽に育つ小さな生き物や緑の水草たちへの、惜しみない慈しみの心でもあるかのようです。
引籠もる邦に秋立つもんじやろか
あさのとびら
「邦」は、国を意味します。「引籠もる邦」とは、コロナ禍の国の現状を指していると読みました。「秋立つもんじやろか」という呟きには、この先どうなっていくのかという嘆息と諦めが臭います。
立秋は第2ケルンのあたりから
あみま
長野県白馬村八方池を目指す途上にある第2ケルン。山荘から第1ケルンを目指し歩き出し、嗚呼、秋だなあと感じたのが「第2ケルンあたりから」。風も雲も高山植物も、いかにも秋の山歩きです。
やはらかに病む立秋の蝶番
アロイジオ
「やはらかに病む」が「立秋の蝶番」にかかると分かったとたん、我が耳はささやかな金属音を聞きとめました。濁った金属音ではなく、澄んだそれを思わせるのが、「立秋」という季語の力でしょう。
立秋を猫の墓標としたりけり
稲畑とりこ
どこそこに猫を埋め墓標を立てたという話ではなく、「立秋」が来る度に愛猫が死んだのはこの頃だったと思い出しているのです。立秋そのものを「墓標」とする心の置き方に、愛惜が滲みます。
立秋や盆地は虫籠めき静か
木染湧水
中八が惜しくはありますが、映像のない時候の季語「立秋」の静けさを巧く表現。「立秋や」と詠嘆した後の「盆地は虫籠めき」という比喩が秀逸。大きな景でありながら繊細な感覚の作品です。
立秋の日記「思ふ」で終はりけり石井一草
立秋ののどゆるらかや朝の白湯板柿せっか
ダンゴムシ掃く立秋の風かるしもりさわ
立秋の半旗はためくこと止めずふるてい
立秋のみづはうつ癒したるみづ藤雪陽
立秋は我鬼の河童図めく肢体錆田水遊
風の香や立秋の端にゐるらしき愛燦燦
立秋や段ボールてふ文机あいだほ
銭湯の秤ひんやり秋に入る藍野絣
今朝の秋心臓形の葉の戦ぎあいむ李景
今朝の秋車椅子は堅いと父葵かほる
立秋や尾根のなだらかなる琴柱葵新吾
高空に雲引く機影今朝の秋青井晴空
立秋の豆腐すとんとあやめけり青海也緒
立秋や滄浪に影落とす鳥青田奈央
立秋の飯ふく音の軽やかに蒼鳩薫
立秋の岸信介の忌なりけり赤松諦現
立秋やゼロ戦の模型をめでる赤馬福助
秋立ちぬ金のししゆうの小さきA明惟久里
探し当つる中古レコード秋立ちぬ明田句仁子
針穴写真機にゆるりと立秋あきののかなた
立秋の地蔵が急に寂しそうあさきまほろ
立秋は甘しネオンの淡き青朝倉カグラ
後朝の指の怠さよ今朝の秋朝月沙都子
立秋や前立腺がんステージ4あしたはあした
よく滑る双子卵や今朝の秋あずお玲子
立秋の浜眩し足のたじろぐ麻生恵澄
立秋や鬢付け匂ふ停留所足立智美
立秋のラジオ体操井の頭網野れいこ
立秋や夜勤のベルの鎮まりぬ雨霧彦@木ノ芽
立秋や点滴越しに富士の山雨李
立秋のエミューの首のよく撓ふ綾竹あんどれ
立秋や花無き朝の壺白しあゆち汐美
立秋やゲートボールはまだ休みあらかわすすむ
立秋へ遅れじと雲、雲、雲新多
日のさせば水そらへ帰る今朝のあきあらら
立秋や父に供える缶ビール蛙里
立秋の渡り廊下の灯りかなありあり
立秋や赤玉土を購ひぬ有本俊雄
立秋やオリンピアンの二頭筋アンサトウ
秋立つや煙漏れ出づホルモン屋安春
子ライオンのような子とじゃれている立秋飯田淳子
立秋やカゴにシナモンぽいと足し飯村祐知子
立秋や蝋のパスタの匂はぬこといかちゃん
立秋やクラーク像を風渡るイカロス
立秋の江ノ島ミミズ腫れの思ひ出粋庵仁空
秋立つや猫の寝床の昨日今日池之端昇雲
立秋です現場からは以上です池之端モルト
秋立ちて象がとてつもなく臭いイサク
立秋の背骨を立てり鎮魂歌いさな歌鈴
秋に入るお山の空気を飲み込んで唯沢遥
立秋の雲あかあかと海は凪石井茶爺
歳だからそう言いかけて立秋石井秀一
西窓の安アパートにも立秋石垣エリザ
立秋や配達員のちからこぶ石川巴里
鉄柵の凝るペンキよ秋来たる石垣
立秋やスポーツジムを解約すいしきひさき
立秋や楽譜のカバー取替へる石崎京子
立秋や波音に置く旅鞄石塚彩楓
立秋の磁針シナプス繋ぎけり石原由女
送られぬまま立秋のデモテープ石上あまね
風聞けばこれが立秋かと思ういちご一会
立秋や遠く愛宕は雲の中いつかある日
立秋の窓辺や過去にゐる母と斎乃雪
なぞなぞのそれも正解秋立ちぬ一斤染乃
「立秋?」と二度口にして接種場へ一秋子
立秋の褪せし畳を拭き上げる伊藤順女
墨すりて筆とる指に秋立てり伊藤節子
立秋や弟のたよりは野のひかり伊藤治美
立秋や地殻は少し動きをり伊藤れいこ
立秋の風神ふうと星を吹く糸川ラッコ
立秋や仏花に深き色増えて井中ひよこ号
包丁を研ぐや秋立つ音をなし伊奈川富真乃
立秋や手話と奏でる応援歌稲葉雀子
立秋や金糸雀色のごはん粒いぬくん八歳
蒼蒼と立秋の星散りぼへり井納蒼求
立秋や父は四文字名信士の座ゐのかたゆきを
立秋の津軽じよんがら風渡るいまいやすのり
地獄絵図見て立秋の寺静か今井淑子
レッジャーノチーズむずむず秋立ちぬ伊予吟会宵嵐
学食の出涸らし薬缶秋立ちぬ五郎八
水槽を鰭ひくひくと今朝の秋色葉二穂
秋立つや雲の往来見て飽かず岩城順
立秋や愛想笑いをたしかめる磐田小
立秋や人間ドックの穴の中岩橋春海
立秋や指輪を置いて席を立つういろ丑
立秋やチェロが連れくるアヴェマリア植田かず子
立秋の雨の重さの眠りかな上原淳子
立秋やアルパカの毛の汚れたる宇佐美好子
立秋や石目硝子の窓きらら内田こと
立秋や靴底にまだ街の熱空木眠兎
立秋や青きうなじの得度の子うつぎゆこ
立秋の水を呷りて大工立つ靫草子
テレビ欄のインク濃すぎて秋来るうどまじゅ
立秋や給食パンの耳硬し海口竿富
美容師の鋏の丸み秋は来ぬ海野碧
秋立つや歌の無い日も襟正すうめがさそう
りゅうりゅうと過ぎゆく雲や今日の秋梅木若葉
唐突に振れるモビール秋立つ日梅里和代
立秋の風やエースへトス高く梅野めい
今朝の秋しゅるりとほどきたる手繦浦野紗知
点滴のぽつんと落ちて秋来る麗し
立秋や胎芽の脈を目撃す詠頃
立秋を過ぎては絹の眠り欲し絵十
立秋や海王丸の沖をゆく江藤薫
六日目の自宅待機や秋に入る江藤すをん
ソの音で聴く立秋の庭の隅戎居多佳子
バッハ弾くパイプオルガン今朝の秋朶美子
立秋や太き手書きの「荘売ります」M・李子
今朝の秋父のニコンのレンズ拭く大泉まる丸
立秋や父の小箱に十五の吾おおい芙美子
立秋やひとつ遅れて笑ふ母大紀直家
スフインクスのやうな犬なり今日の秋大倉千古
立秋に留まりたがる舌下錠大黒とむとむ
立秋の朝や鏡に沈む指大小田忍
立秋や男料理を受講せむ大谷如水
立秋の夕風とゐる書斎かな大庭慈温
立秋や浜に残りし尻の跡大橋勇司
立秋や言葉を少しづつ畳む大和田美信
立秋やことん朽ちゆく爪愛し魚返みりん
立秋や大宜都比売の足音が岡崎俊子
立秋や色うつしあふ海と空可笑式
やんばるに世界遺産や今朝の秋岡田明子
今朝の秋番の鳩の会話聞く岡田彩花
青空は水溜りにも今朝の秋緒方朋子
立秋や風の育む傷野菜岡田雅喜
立秋や湯呑みは白き備前焼 岡山小鞠
立秋や夜明けの色へリトマス紙小川さゆみ
まだ死ねぬ立秋の海はぎらぎら小川天鵲
立秋の琥珀の中に目覚めけり小川野棕櫚
警察官立つ立秋の角の家おきいふ
隣人の駄弁佳境へ今朝の秋おぐら徳
トンネルの貫通立秋の陽射しおこそとの
立秋の電飾もしかして孤独オサカナクッション
カレンダーの海よそよそし立秋におざきさちよ
二本目の乳歯が2mm今朝の秋お寿司
立秋や仰げばマスクずれもしておだむべ
やや薄き墨立秋の文字細く小田慶喜
咳込みて軋む肋骨や今朝の秋音のあ子
立秋や開けっぱなしの講義室音羽凜
立秋や夜会初日の音合わせ沢瀉みやこ
背鰭には風飄々と秋の立つ海音寺ジョー
墳頂の埴輪の影へ秋立ちぬかいぐりかいぐり
立秋や洗濯かごに陽のさやか海瀬安紀子
立秋やリズム正しき鳩の声海鮮丼
立秋や肋七本折れしまま灰頭徨鴉
立秋やペットボトルは蓋固く海峯企鵝
秋立つや白とも言えぬ雲の端火炎幸彦
白磁器の影うつすらと秋に入るカオス
錆びついたサドルに白し今朝の秋加賀くちこ
立秋の郊墟遥かに雲流る案山子@いつき組広ブロ俳句部
金泉とろり立秋を遊びをり影山らてん
立秋の雨読み掛けの文庫本かこ
立秋の葉越しの風は螺旋形風花美絵
立秋や音叉に震ふ頭蓋骨樫の木
立秋と書く便箋の白きこと鹿嶌純子
早朝の鉄棒ひやり秋立ちぬ柏原淑子
立秋やルチア・ポップの声白き加世堂魯幸
立秋や銀髪揺らしアコーディオン加田紗智
氷嚢越しの空青く今朝の秋花鳥風猫
立秋や介護ロボット試用中かつたろー。
花つける木とは知らざり秋立ちぬ克巳@夜のサングラス
足音の少し乾きて秋に入る花伝
樟にジャングルジムに秋立ちぬ門未知子
立秋や紙もかすかに軽かろかかなえの
立秋のポスター風にぬらぬらと河南朴野
立秋や海の写真を額装すかねつき走流
立秋や空は暦をわきまへづ釜眞手打ち蕎麦
野の色の風立秋の胸元へ竈炊き
立秋と言われて風の軽くなり神or愛
今朝の秋クラウチングで駆け出せり神長誉夫
立秋や麒麟はまつ毛上向きに神谷米子
秋立つや背骨に杭を打ち込まん白鳥古丹
立秋や髪を撫づれば生ぬるきかむろ坂喜奈子
立秋や廊下の奥の鳩時計亀田荒太
立秋やキオスクに置く経済誌亀山酔田
胃薬の箱軽くなり今朝の秋加裕子
立秋や核磁気共鳴前シジマ加良太知
秋立つやさくまドロップの粉白し狩谷わぐう
立秋の風を十趾で掴みたり果禄
立秋やオートミールの粥甘く川越羽流
秋に入る圧着はがきぺりりりり川村湖雪
絵本繰る小さき指先秋立ちぬ河村静葩
ヤクルトレディの自転車立秋をゆく閑々鶏
立秋や手鏡越しの下駄の音KII
立秋の風へバンジージャンプなり喜祝音
立秋のベンチ隻脚の白鳩キートスばんじょうし
立秋や高き空より風におう菊川寝ん猫
キャラメルの無くなる舌や今朝の秋菊池洋勝
寂しくなる仕事も何も立秋木子結雲
立秋の空色少し白混ぜて季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
立秋や卓に折り紙のとりどり北川颯
立秋や200km/hまであるメーター北野きのこ
立秋や炭火おこして肉炙る北の貴子
鉢ひとつ空け立秋の土となる北藤詩旦
アラートが鳴る逼塞の今朝の秋きた実実花
立秋のLINE十年目の辞職北村崇雄
おしゃべりは生きる力や秋立ちぬ北村礼子
立秋や金平糖の角丸しきなこもち
立秋や口におさまる犬の舌城内幸江
起き抜けの白湯のしづやか秋立ちぬきのかずお
立秋の廊下台車の影生まる木ぼこやしき
立秋や今日は焼かずに水餃子木村となえーる
立秋や談志が逝きてはや十年Qさん
立秋や絵はがき選ぶ文手箱鳩礼
立秋や旅の代わりに図書館へ紀友梨
立秋の義足の聖火走者かな清島久門
立秋の海を掴みにゆく鉤爪ギル
曲尺手を二度曲がり秋来る菫久
立秋や一寸反りたる風呂の蓋銀長だぬき
文字は骨片ゆすれば本に鳴る立秋ぐ
立秋やガラスの破片わづか反る久我恒子
立秋の影あくびの如長し楠美翠
立秋やしらじら安芸の原爆碑ぐずみ
使用済おむつに今朝の秋の熱ぐでたまご
万歩計探し出したる今朝の秋國吉敦子
秋立つかリュートの弦の生温し窪田睡鯨
沃懸地の水瓶閑か秋に入るくま鶉
立秋や文庫に仕舞ふ星の砂倉岡富士子
立秋といふ羊膜に月しづか倉木はじめ
立秋の川辺ホルンの音かすか倉田碧
秋立つやにゅうと傾くアドバルーン栗の坊楚材
立秋やホタルガラスの青深しくるみ今日子
立秋や二号埠頭に異国船久留里61
立秋やちさき蕾の白さ増す景清華
立秋やシンバルは音を引き剥がすけーい〇
立秋のカフス釦に解れかなげばげば
円に円算額解いて秋に入る紫雲英
立秋をばしばし鰐の歩き方遣豪使
歓声を遠く病棟秋に入るケンG
立秋のおひさまのこと風に聞け研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
立秋や波頭めく筆記体剣橋こじ
乾きたるサキソホンの音今日の秋剛海
のら猫のふぐりくっきりと立秋公木正
立秋や図書館の壁なお白し柑たちばな
鋏の音しきり立秋の果樹園幸田柝の音
立秋や白い輪残る哺乳瓶幸内悦夫
立秋の象はしづかに座つてゐる古賀
立秋に開放弦の響きあり五月ふみ
藍色の丹沢山塊秋に入る小嶋芦舟
立秋や風の生まれし国を問ふ小舟千里
立秋や半音下ぐるこひのうた小杉泰文
立秋の花屋の彩を買ひにけりコスモス
すり減りしミュールのかかと秋に入る小手鞠しおり
土踏まずキュッとへこませ秋に入る後藤麻衣子
立秋の夜や指先の荒れかすか古都鈴
立秋に静座して読む「中村哲」こむぎ
立秋や新たな義歯の型を取る小山晃
立秋の牛の尻尾の良く回るGONZA
立秋のサイドボードに射す光り今藤明
立秋や亡き師の庭は羽後全土今野淳風
立秋や喫煙者の狭き箱西條晶夫
シワシワの手に立秋の光住む西條恭子
立秋やパタパタ動く象の耳さいたま水夢
さっぱりとあの子は血を捨て立秋齋藤むつは
立秋や親骨二本おれた傘早乙女龍千代
原爆・立秋そして原爆さかたちえこ
立秋のジェンガへ猫のビンタかなさくさく作物
仏壇の隅々清し秋立ちぬさくやこのはな
野良猫とバス待つベンチ今朝の秋さくら悠日
立秋や薦められたるイヤーカフ迫久鯨
立秋や栞残れるニーチェの著雑魚寝
秋立つや婆猫の鼻すべらかに砂舟
馬の眼のしづかに濡れて今朝の秋紗千子
立秋や斜なるおきあがりこぼしさとう菓子
秋立つや妻の残したドライヤー佐藤恒治
秋立つやあずきいろ濃き万古焼佐藤志祐
立秋の眉にいつぽん白髪抜く佐藤儒艮
立秋の風がはじめてゆらすもの佐藤綉綉
立秋や芥川賞拾い読み佐藤佳子
立秋の促音はティッシュ抜く音さとけん
肌濯ぐ水の清しき今朝の秋真井とうか
なぞなぞひとつ書く立秋の葉書さむしん
みなみのうお座指す立秋のマストさるぼぼ@チーム天地夢遥
薄れゆく貝のきらめき秋に入る澤田紫
立秋や茶室に軸のくずし文字三休
立秋のまだ探しをりくじら雲紫瑛
今朝の秋岩塩を挽くミルの音塩沢桂子
風に香をかすかに孕み秋来る塩原香子
立秋や午後のチャイムが近くなりしげとし
立秋や予約列車の名は銀河茂る
立秋や十七万の立退料獅子蕩児
雲梯の握り軽々秋に入る品川笙女
雲はいま白き船団秋立ちぬ渋谷晶
立秋や細胞ひとつずつ新た島田あんず
今朝の秋また旧姓を名乗りけり嶋村らぴ
からからと立秋の抜け殻の白清水祥月
秋立つや水は薬缶へはきはきと清水三雲
立秋に腰掛け傷ついた夜を看る十一月菜名
合格判定はDまだ立秋下丼月光
傘を買ふローテンブルグ秋たちぬ芍薬
立秋や呟くようにボサノバがジャスピン
白樺の樹皮を文とし秋立ちぬじゃすみん
立秋や玻璃の器は静まりて沙那夏
立秋や畳紙ひらく六畳間砂楽梨
立秋やアンリルソーの森青くしゅういずみ
立秋やおくやみ欄の元上司寿松
立秋やガラスの中を行く魚シュリ
立秋や経は水面を縫ふやうに常幸龍BCAD
ハイライトけぶる立秋低き空正念亭若知古
立秋の中折れ帽行く鎌倉四郎高綱
秋立つや√だらけの自由帳白プロキオン
我が痣は母と立秋から継ぎぬ白よだか
足袋よれてをり立秋の屋根仕事新右衛門
立秋や校舎からAのざわめき新城典午(まこも改め)
尾根越へて縦走の先秋立てり新濃健
パスの脚光る校庭今朝の秋新花水木
林立のマストのしづか秋に入るしんぷる
立秋やめくる頁のさらさらと森牧亭遊好
立秋や輪郭確とビル立てり深幽
立秋の風くすくすと浅葱色水蜜桃
これといった色こそないが立秋だすいよう
立秋の島風リアカー幅の道すがりとおる
立秋や指の辿りし農事暦杉尾芭蕉
立秋や薬缶のあばた乾きゆく鈴木由紀子
立秋に白きビショップ前進す鈴木麗門
秋立つや葉書の白の滑らかにすずさん
積ん読の本の埃や今朝の秋清白真冬
ドゥカティの風立秋の峠道鈴ノ樹
立秋や騎馬警官の背筋立つ鈴野蒼爽
秋立つや旧道沿いの旧ポスト主藤充子
立秋の剃刀を研ぐ床屋かなスナップえんどう
立秋や化石の螺旋眠たさうすりいぴい
老犬が朝の雲嗅ぐ立秋や静江
立秋やピアノ弾く指生き生きと晴好雨独
立秋やエンドロールのチャップリンせいしゅう
秋立つや楡の大樹にかくれ鬼瀬尾白果
夕刊の見出しゴシック今朝の秋世良日守
立秋や棚より取りし「海潮音」仙台駄菓子
立秋や髪を切るには早すぎる惣兵衛
立秋やピクルスの味深くなるそうま純香
立秋や「卍」の並ぶ古都の地図そうり
立秋や過客の子猫居座りぬソフィ
掌に風の珠乗る今朝の秋そまり
立秋や右向け右のチンアナゴ染井つぐみ
立秋の常夜灯やや本調子空野兎
接種会場はこちら立秋の警備員空豆魚
秋立つや初版手に取る古書の市泰山
立秋や飛び石越えて県境橙と紫
立秋の砂利を遊べる手の白さ平良嘉列乙
通勤路梳毛糸かをる今朝の秋高石たく
ゴッホめき乾く立秋の水垢高尾里甫
立秋の恋 笑点の視聴率高田祥聖
立秋の昼静かなり茶漬け喰う高嶺遠
立秋を太ももだけが気づいてる鷹之朋輩
立秋や烏が騒ぐ朝ぼらけ高橋基人
答へ見る間違ひ探し秋に入る高橋寅次
上げ潮に波立つ河口秋立ちぬ髙見正樹
メンタルクリニックのドアは桃色今朝の秋田川彩
ぐい呑みの居場所定めて今朝の秋滝川橋
立秋の風に前髪下ろしけり卓女
置き竿の鈴のひと鳴り今朝の秋卓鐘
立秋と言ふ名の白濁色まじる竹一
立秋や棚田をあはき雲の影竹口ゆうこ
亡骸ひとつ立秋の水の底武田歩
立秋やカゴに赤本てふ大志竹八郎
立秋を練乳浸しサニーパン多事
秋に入るほぐる離るる雲のふちたすく
立秋や家電壊るる合図あり黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
葉脈をたどる陽斜め秋來る唯飛唯游
立秋や風は湖心を遊びたる多々良海月
山たたく風わさわさと秋たてりダック
立秋や伊吹の尾根の茜雲たていし隆松
夫の髪切る立秋の風の中蓼科嘉
立秋の石ならべあり塀の上田中木江
立秋や埴輪はいつも微笑んで田中洋子
立秋や雑草は真面目に伸びて谷相
歯科内科外科と通へる今朝の秋谷町百合乃
立秋やしっぽ食み出る猫つぐら谷本真理子
立秋や腥き無精卵を溶く玉木たまね
立秋や北海道といふ固体玉庭マサアキ
絵具溶く水やや硬し今朝の秋玉響雷子
立秋や砥石の上をすべる水田村利平
立秋の喧嘩してゐるやうな手話たろりずむ
透析はまだ先らしい今日の秋ちっちのきも
立秋や透かす展翅の三角紙千歳みち乃
立秋の海辺に真珠色の骨ちゃうりん
立秋の川や土嚢のまさらなるツカビッチ
立秋の湖へ漕ぎ出すカヌーかな月影の桃
立秋の夜の匂いは少し焦げつきのひと
仏壇の花の傷みや秋立ちぬ辻宝樹
立秋や便利を少し手放そか辻内美枝子
立秋や旧仮名遣い蔵の町辻野花
立秋や海女のくるぶし白々と対馬清波
立秋や月の熟れはじむるサイロツナ好
立秋や鞄をひらく調律師露草うづら
立秋やカーテン越しの雨の音露口全速
立秋や鼻腔に抜ける赤ワインツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
立秋や背中押す風早くゆけツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部
ハリボテの豚笑む立秋の肉屋鶴小なみ
立秋や法面補修のめど立たずT-京條
受話器から立秋の音声ガイドテツコ
白球の置かれしベンチ秋立つ日鉄猫
立秋や念入りに揉むふくらはぎてまり
立秋や管制塔の揺るぎ無し電柱
立秋の足踏みミシンがたカタタでんでん琴女
秋来ぬと目にさや当ての艶笑譚天童光宏
棘刺さり慚愧刺さりて秋に入る蚕丸
消印の風紋めいて秋に入る天陽ゆう
立秋の転居祝いの鋭利な葉トウ甘藻
見慣れない制服ひとり秋に入る東京子
立秋や蕎麦打ち棒は庭の樫東京堕天使
五線譜に風の調べを秋立ちぬ桃和
立秋や白球弾む席無人遠江勘八
立秋の風や転害門より出づ遠峰熊野
立秋や星のひかりは火のひかりとかき星
秋来るや瓦礫となりし百貨店とき坊
立秋や独り座禅の大木魚ときめき人
雪国の舗装の錆や秋来る独星
「シ」の音のまっすぐ進む今日の秋どくだみ茶
立秋やオール干さるる向こう岸毒林檎
立秋や金糸一筋混ざる風どこにでもいる田中
ほとぶる羽根ペン立秋のオートマタとしなり
廣島と記す絵葉書秋立ちぬ戸部紅屑
立秋の鏡はクリア髭白しトポル
立秋や表札文字の鱗立つトマト使いめりるりら
露天湯を揺する一陣秋立ちぬ斗三木童
立秋や火傷しそうなすべり台とみことみ
クレヨンの青使ひきり今朝の秋富野香衣
立秋や片翼のごとハープ啼く富山の露玉
秋立ちぬドレンホースの水の跡とんぶりっこ
秋立ちて知育玩具の良く喋る内藤羊皐
立秋の夜具の裏色星の色直
立秋のサマルカンドの青き空中島圭子
真っ直ぐにゆけ立秋のフリスビー中西歌子
立秋を糸鋸切の往復す新蕎麦句会・凪太
立秋や高架下にも風新た夏雲ブン太
立秋の耳たぶに冷むやけどかな夏湖乃
立秋の羽根はグラニュー糖の色夏野あゆね
立秋の風絵日記にどう描くか夏目坦
雨は弱い立秋の猫は眠い夏雨ちや
立秋やふつと餌やる水中花七瀬ゆきこ
立秋や母の着物を裁つ決意七森わらび
立秋や伊吹の山はみぢろがず浪速の蟹造
立秋やミルククラウン形よき名計宗幸
肩甲骨はがす体操秋に入る名前のあるネコ
立秋や群れを離るる小さき雲なみ夢めも
糠床の琺瑯白し今朝の秋奈良素数
立秋やインクを青に変えてみる西尾至雲
水切のりりりあたりが立秋で西川由野
立秋や中古カメラを落札す西田月旦
立秋やリハビリ室の笑ひ声西原みどり
立秋や何とか郡の空広き尼島里志
はっきりと風が見えたよ立秋西村小市
立秋や大台ケ原ダウンヒル二上松風
立秋のビシソワーズのよそよそしにゃん
立秋や妻のギプスの硬き白仁和田永
風道の猫の路地裏秋に入る二和田美枝子
立秋や倉庫に二枚葉の骸鵺駿明
来賓のリボン立秋は名ばかり暖井むゆき
立秋にまだ貝の耳飾りして沼沢さとみ
立秋や甍の銀の深まれりねぎみそ
秋立つや急に挨拶しない甥猫詠たま
立秋の空しづかなる影送りノアノア
陽光の黄色にひるむ立秋よ野井みこ
立秋やイタンキ浜に拾うもの野地垂木
立秋や干魚の塩を洗ひ食ふ埜水
立秋やしゅると出てくる受診票野ばら
ひそやかなフランス語のような立秋登りびと
立秋や鯨に会いに岬へと白雨
葉脈のみず立秋の陽に透けて白水
隻腕の旗手の笑顔や今日の秋パクパクポンタ
減薬のみづののどごし今朝の秋はぐれ杤餅
立秋や海水のまだやはらかきはごろも856
秋立つや食後のくすり五種七錠馬笑
野に迸る石猴の経秋来る長谷川水素
秋立ちて点滴を聴く無菌室長谷島弘安
立秋や長寿動物表彰式畑田ほずみ
立秋とおもえぬ旗の吠えることパッキンマン
立秋の空は今にも壊れそうはっしー
おほらかな雲ゆく立秋の真青はなあかり
立秋や古き文庫本の匂ひ花咲明日香
寝違いの首じわざわと秋立ちぬ花野
立秋や枝垂れる犬の舌へ風はなぶさあきら
秋立つや煮物だくだく柔くなれ花結い
立秋の色に煮詰まりゆく果実はのん
立秋や喧嘩してまた喧嘩して馬場勇至
立秋や孫読んでゐる電話帳ぱぷりかまめ
熱々のベーコンエッグ秋立ちぬ浜けい
立秋とはボーイソプラノ澄める空林里美
立秋の村移動図書館来たぞ原田民久
立秋や失くした指輪跡白し原野乃衣
立秋の終電車発ち波の音巴里乃嬬
立秋やピリカピリカの譜読み終ふ播磨陽子
立秋や学生バンドの解散ハルノ花柊
「立秋」の言葉乾涸び粉となりHNKAGA
塩飴のおだやかに溶け秋立ちぬはんばぁぐ
立秋や接種順待つ椅子硬し東原桜空
立秋や写経する背に余り風東山たかこ
戒名はいらぬとしるす立秋樋口秋水
立秋の手のひらに切る絹豆腐樋口滑瓢
立秋に撮るMRI涼し菱田芋天
立秋や砂場ひかひか濡れてゐる秀田狢
清らなる立秋の音讃岐石ひでやん
流木や曙光やはらかなる立秋日向こるり
立秋やカレンダーには塾の文字ひなた和佳
立秋や疲れのたまる部屋拭ふひな芙美子
立秋の夜やチャンダンを焚く露店緋乃捨楽
てぬぐひのランチョンマット今朝の秋比々き
立秋や辛いカレーに水をのむヒマラヤで平謝り
立秋やバスの車掌の笛長し妃可
立秋やグラスのお茶の翡翠色姫川ひすい
秋立つや練習後のスニーカー日向大海
立秋の食卓「平和宣言」の記事日吉とみ菜
お試しのローション返品する立秋平岡花泉
立秋や犀の尿(いばり)の噴き出づる平本魚水
書きかけの休学届秋立ちぬ比良山
立秋の風やつややかなる擬宝珠広木登一
片翼を彫る立秋の朝日利し広瀬康
靴下の相方探す今朝の秋広ブロ俳句部カナダ支部@千鳥城
玉音は文語なりけり秋立ちぬ風慈音
立秋や片田舎にも立志伝深町明
外苑にピストルの音秋立ちぬ深蒸し茶
立秋は口内炎の二個三個深夜のり子
立秋やかさぶた剥ぐる膝頭福川敏機
立秋や後ろも見てるカメレオンふくじん
立秋や杉玉はつか薄緑福田みやき
牛の声風にちぎれて今朝の秋福ネコ
立秋や老いの二人の納豆飯福山文子
眉墨の山は鋭角秋に入る福良ちどり
立秋の水面ぬらりとカモノハシ藤色葉菜
都市ガスの火の色青し今朝の秋藤倉密子
立秋の空へごつんと鬼瓦ふじこ
立秋や鉄に静電気のけはひ藤咲大地
立秋やきのふはずつとついてくる藤田康子
立秋やのど仏よろこぶスウプ藤田ゆきまち
立秋の遠山一歩前に出る藤の湯
食器皆ダンボールへと今朝の秋藤林京水
秋立つや花後の綿毛は風待ちて風友
コルセット解くししむら秋立ちぬ冬のおこじょ
バイオリンボウの一斉秋立ちぬ古田秀
立秋や串打つ五尾を整へりペトロア
立秋や雨嗅ぐほどにかうばしき紅ズワイガニ海老美
立秋や二上山の皇子の墓茫々
戦争時の記事をのせつつ立秋星雅綺羅璃
立秋と知る朝刊の匂ひかな星詩乃すぴか
立秋や通気孔よりメトロの風星善之
立秋やロクロ線は九谷なる赤ポップアップ
立秋は北へ行くほど正直だ堀卓
立秋の腰痛は一対の重み堀江弘子
鍵吊るせば鈴のかすかに秋立ちぬほろろ。
ビッグイシューを掲げる媼秋立ちぬ梵
立秋や墨絵の筆の毛繕ひ梵多
立秋の厨水道水滔々梵庸子
足裏に触るる畳や今朝の秋前田冬水
立秋のスワンの速し花やしき曲がりしっぽ
立秋や母の遺言開封す牧野敏信
立秋や第六話より復讐すまこ@いつき組広ブロ俳句部
大足のシューズ漂白する立秋まこちふる
立秋や風の粘度が落ちてゆく眞さ野
秋立ちて転がる石の一つ欠け松井酔呆
立秋や牛の耳標を揺らす牧松本裕子
西窓の風のラ音の立秋や松山のとまと
立秋の日差しかわして銀の翅まやみこ恭
立秋や引き波に鳴く小石達真理庵
立秋や黒潮流るる龍の国まりい@
立秋のまえにうしろにある出口まんぷく
立秋や広島も長崎も雨みい
立秋の死神の手にとまる鳥三浦にゃじろう
立秋やカレーの後のみづきりり帝菜
立秋や駅に残るは夜の風みたせつよ
立秋や白湯ひとくちの深呼吸みちむらまりな
立秋ややぎの乳房草にぬれ光子
立秋やネーポンの出る叔母の家みづちみわ
青空が水晶通り抜け立秋満る
五十円高き豆腐や秋立ちぬみつれしづく
立秋を透きとほるシウマイの襞南方日午
立秋の日に揺れ合へる国旗かなみなと
立秋やバターナイフの波打つ刃港のパン屋
立秋やみづは傾斜に従ひて水面叩
立秋の薄き翅ある朝の庭みやかわけい子
ラジオ体操吾のすみずみへ立秋を宮坂暢介
立秋や犬の律儀を耳に見しみやざき白水
立秋ややや取り戻す吾のかたち宮武濱女
かるかるとHB砥ぎ立秋宮部里美
立秋や海鳥描く風の道夢雨似夜
刃あて立秋ですと言ふ床屋椋本望生
立秋や鉄塔わたる朝の風無弦奏
立秋や触れたら溶ける乳歯の根睦月くらげ
うたた寝の日暮れ短し秋に入るむねあかどり
立秋やちらちら光る貝釦村上牛蒡
立秋の空の名前をさがしをり村瀬っち
立秋の風がショパンの頁繰るむらのたんぽぽ
立秋の雲風に散り母還る目黒千代恵
殻割れば立秋の黄身盛り上がる目に若葉
立秋やウクレレコードF難度モコ
立秋やみづいろ褪せしユニホーム望月朔
立秋や波動残してグライダー杜まお実
仰ぐ児のおとがい白し今朝の秋森毬子
立秋やインクあらたに硝子ペン百理有
立秋や心が折れる折り紙買う森田祥子
廃校に催し一つ秋立てり森永青葉
洗いたてのカーテン立秋の光森中ことり
立秋や膀胱鏡の壁きれい森の水車
人型の影絵立秋の街をゆくもろ智行
立秋やすじ雲金に染まる朝焼津昌彦庵
立秋や絵本ばかりの古本屋山羊座の千賀子
立秋やRの音の呪文めく矢口知
立秋や紙あをあをと刃物めく夜行
立秋や風の余りを手繰り寄せ奴
立秋や磨いた窓の空が空柳川耀一郎
立秋やきつねうどんに揚げ二枚矢橋
立秋や夜に埋もるる朱鳥の碑八幡風花
やはらかきものを探して秋立ちぬヤヒロ
立秋や折り皺ゆるぶ畳紙(たとうがみ)山内彩月
立秋や綻び縫うて日が暮れる山口雀昭
立秋の革靴眩し紐育ヤマコー
立秋の雨や竹林ざわめける山崎のら
立秋や喪服の人の後ろ髪山﨑瑠美
今日の秋サイフォンの音ぽくぽくと山科美穂
禅僧の空まで掃きて今朝の秋山田蹴人
立秋や風を嗅ぐ猫鼻高く大和屋としより
立秋やもう仔犬ではない瞳やまな未
立秋はそよと立ちぬや猫の髭山野麓
秋立ちて肺魚の棲家洗ひだす山本莞爾
うつぶして立秋の夜を摩耗せり山本先生
血圧計のぷしうと抜けて秋立てり柚木みゆき
師の文字のはらひやはらか秋来る宥光
自転車を漕ぎだすやうに秋に入る雪音
立秋の独語おずおず愛の歌ゆすらご
幼子の臀部真っ白な立秋宵猫
秋立つや実験室の窓ひらき陽花天
今朝の秋ぴたりラヂオの周波数羊似妃
立秋のバナナシェイクへ陽をすこし横縞
鉄骨足場は消え去つて立秋吉川拓真
木がみんな大きくなったけさの秋吉田結希
立秋や不確かなもの買いに行くよしみち
立秋の絞りきらるるを待つ絵の具吉行直人
聞き流す妻のぼやきや今朝の秋余田酒梨
立秋や葡萄酒色の水薬ラーラ
立秋やパイ生地四十八層目雷紋
秋来ぬと投下地点の〇真つ赤RUSTY=HISOKA
立秋の夜のにほひは雲の裾楽花生
土踏まず立秋の砂やはらかに梨音
はしはしと市場の漢秋立てり柳絮
立秋を膨らませゆくホルンかなLilas
如己堂の話に泣く子秋立てりるんやみ
今日の秋会うたことなき従兄弟半蓮花麻耶
立秋や足指広げ風つかむ紫雲英田
立秋や上がり框の立ち話連雀
立秋の熱る渋谷を天気雨若井柳児
立秋の赤き声する山家かな若宮直美
立秋や路地裏の予定無き風和光
立秋や神木に水通る音渡邉一輝
立秋やライン整ふ甲子園渡辺陽子
立秋と言はれて迷ふ青果店笑笑うさぎ
ゆたかなる風立秋の大河口えんかず
立秋や壁に灯火の影一つ大津美
ガタボコに剥け立秋の茹で玉子小川都
立秋の固茹たまご青めいて清永ゆうこ
秋立つや猫のワクチン予約せる小だいふく
立秋のバランスボールに身を委ぬ後藤三梅
立秋やことさら白き波がしら咲弥あさ奏
立秋の角のとれゆくバターかな嶋田奈緒
今朝の秋葡萄パンには溶かしバタ立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
クルーズの立ち寄る港秋来たるどいつ薔芭
秋立つと聴き秋立つと思える日侘介
立秋や後ろ姿に迷いなき渡邉わかな
立秋や父が捜しし広島野酔軒
立秋や小人来たりて踊りをり酔進
立秋や柿も若手も熟足りぬなやな
立秋や姥捨山へピクニック涅槃girl
立秋や赤く悲しき通天閣樋口ひろみ
立秋の真白き雲や黒い雨ひすい風香
立秋の猫キンチョウの香をまとう平井麦春
りっしゅうと半紙に見舞う仮名の筆風泉
秋に入るゾンビめく左眼コワイ星乃ぽっち
立秋や人と抱き合う夢を見る盆暮れ正ガッツ
立秋や差出人のない手紙まつとしきかわ
秋立つや書架に秘めたる懸想文真冬峰
立秋や通し稽古の体育館豆福樹々子
立秋やパーしか出さぬ子に負けて都乃あざみ
立秋の雨だれ弾む三拍子森山博士
瘡蓋のはがるるを待つ立秋や山口香子
立秋や嫁いでしまふ泣いてた子山端直子
立秋の天使のはしご長くなり夜香
婆ちゃんともう逢えなくなった立秋まりおR
立秋や恐竜の尾はピンク色光峯霏々
立秋に母校敗退のサイレンANGEL
秋立てり絵手紙の花あえかなりあ・うん
哀愁を奏でる音色立秋の鐘あいあい亭みけ子
池に映る立秋の雲眺め居り愛華沙羅
食事後ホットコーヒー秋に入る間むつみ
立秋の甲子園の空は紺碧あおいなつはやて
立秋のタンクトップに暮れ残り青木一歳
立秋に甘し川崎水道水蒼空蒼子
立秋や誇りて触れる古稀ピアス大竹八重子
水晶を立秋の空敷き詰めてあおのめ
立秋の軋む裏窓におやすみ青矢真紘
立秋や「ひとつ命」の何ぞ淋し蒼來応來
立秋の夜風に釣られお散歩へ紅紫李依
立秋分巻取る想ひ出オーニングacari
長袖のシャツ待ち侘びし立秋よ秋
立秋のガーリックの香妻実家昭谷
立秋や父母との旅路子三人秋代
母送りはや二度目の秋に入る秋吉孝治
立秋が連れてくる風ミントの香天空海まりん
雲並みを山並みより分け立秋後芥川春骨
立秋や向田邦子読み返すあくび指南
赤子また寝返る秋の来たるらしあさいふみよ
立秋や手汗は接種券に染み朝雲列
立秋や火葬の煙見上げをり浅香
立秋に貴方を参る20年麻の実薫
立秋や運動場が広くなり麻場育子
立秋や猛る病の日を数え明日良い天気
立秋やめがねを拭いて空仰ぐあそぼ葉
立秋を高く跳ねるか3七桂あたなごっち
立秋や路傍のジジと鳴く骸新子熊耳
立秋に真白なスーツ母どこへakkotas
秋たつや鼻緒の赤の色焼けり渥美こぶこ
立秋や明日を予報し西染めし跡部榮喜
立秋の音がきこえる橙に亜琵
昼休みもりざるもりの立秋や阿部香織
青菜切る腕の熱りや今朝の秋sakuraa.
立秋や先頭走る耕運機アポロ
秋立つや鳥が切り取る空のあお雨霧
立秋やガラスペンで御礼の手紙あまぐり
立秋は声ばかりとなる地球数多未完
立秋や路面電車の音高し雨戸ゆらら
秋立ちぬ勤め仕舞いの夕餉膳天野天笑
立秋や渡る幼虫刻み足アマリリスと夢
立秋の先を鳴いては死んだふりあやたか
立秋やパンツのゴムと小使いさんあやや
立秋や宿題はまだ溜めておくあゆか
入りてなお雲照らす陽よ秋立ちぬありいかな
青天へ聞き耳たてる今朝の秋有本仁政
立秋の石水切りて対岸へ鮑バター焼き
立秋やあられ香ばし昼茶漬杏樹萌香
立秋のバイトもトマト袋詰め飯村ヤーキン
立秋や肩の力を抜いてみよ生野薫
在りし日の父の書斎や今朝の秋郁松松ちゃん
立秋や病室の友の白き指いくみっ句
立秋や共にがんばろ鉢の花池愛子
立秋の気配受けたしせまき庭池内ねこバアバ
検温の宿題気づく今朝の秋池田華族
立秋や老舗和菓子に舌鼓石岡女依
秋立つや松の緑の盛り上がり石下文子
立秋やまだタオルを手放せぬ石田恵翠
朝方にケット引き出す立秋か石の上にもケロリン
うそやろと立秋の陽にこよみ聞く石橋千佳子
立秋に幼子椛のシール貼り石原直子
立秋や何処か遠くへ連れ出して伊集院十走
立秋や折り目ないまま宿題帳和泉明月子
宴果て名のみの立秋耐える日々泉子
立秋のポストその口まだ熱し泉千尋
立秋の風二の腕を撫でる夕遺跡納期
立秋や紙風船の軽きこと磯野昭仁
立秋やシュークリームに保冷剤いたまきし
読み耽り立秋の夜の更けにけり一井蝸牛
唱歌する祖母おもふとき秋来る市川りす
立秋やいざなう風とランニング樹十後
立秋や襟元少し閉じる朝一本槍満滋
花がら摘む帽子目深に今朝の秋伊藤亜美子
千切れ雲端から掴む秋立つ日伊藤柚良
立秋やアレジオン買う日曜日稲垣由貴
立秋や老舗休業まる文字で稲葉こいち
立秋の夜道で弾む声と足稲葉木嬰
立秋や午後五時雲絹の如く伊縫音々
秋立つや黄ばみし絵本開きおりイマスノリコ
テーブルに日の長くさし今朝の秋井松慈悦
通勤時ピアノ流れる今朝の秋今西ピーター知巳
投げ入れし葉書を憂う立秋日今村ひとみ
立秋の朝星夜星の室外機妹のりこ
らしきもの出番なきまま秋立ちぬ入江幸子
脈踊る初秋の夜の肝試し鯆谷真哉
ビールかけ真似叱られた秋立つ日いろをふくむや
立秋や友を見守る心電図岩崎達也
立秋や襟立て歩く夜勤明けいわつよ8
朝夕の風に息つく立秋かなvivi
立秋やホントに部活やめちゃうの上野眞理
立秋や志野の小皿に萩の餅上原まり
立秋の点滴パック反射光うからうから
平日の湖畔の蹄音秋に入るうさぎさん
立秋や祖母の琴柱のなほ白しうさぎまんじゅう
立秋や見事みづみづしき果実うた歌妙
立秋や明日から第九リハーサル宇田建
立秋や日本一周プラカード内田英樹
立秋や力尽くして毀れ紅内本惠美子
立秋や箸の手止まる金メダルうっちーまみ
立秋やグルグル星座早見盤宇野翔月
立秋の地球微かにひと呼吸ウミ月ウミ日生まれ
立秋に激しくまわる室外機海野洋
立秋やテトラポットに腰掛けて海葡萄
立秋は裏庭の陰映し出す梅ジャム
立秋は昔は涼しかったらし浦文乃
立秋のトレモロの風二の腕を江川月丸
立秋の残る蕾をいとほしむs葉子
立秋の抜け殻多し散歩道江田綾子
立秋や越後路染まる黄金色越後縮緬
立秋やおくるみ抱え退院す榎本はなちゃちゃ
立つ秋やネスプレッソの機械音笑姫天臼
コロナ禍の立秋では家族愛えみばば
秋立つや買いおくままの単行本江見めいこ
立秋や講読停止連絡すえりいも
秋立つやゆつくり回る観覧車円美々
立秋もごろごろ眠い猫と吾子えんどうしん
立秋の風今年は早く来たね遠藤愁霞
立秋の気は石仏の肩に降り遠藤百合
立秋の朝刊の密なる見出し遠藤玲奈
立秋やネクタイ締めてプレゼンす追師うさぎ
サイレンの哭く甲子園秋立ちぬおいらくの鯉
立秋やテンプレートの文直す近江菫花
元気かと筆の挨拶立秋大江戸小紋
予定なく皿洗う夜半立秋よ大江風鈴
懸命に鳴いて立秋の朝散る大阪駿馬
立秋や風の通らぬ我が身なり大嶋メデ
洗濯物取り込む指に立秋大槻税悦
靴の底溶ける地面にも立秋大野静香
庭の木にさす影愛し秋立ちぬ大野喬
立秋やよみおえるからまっていて大野美波
立秋や雲を仰ぎて人恋し大原妃
立秋や通いし道に増える影大原雪
スカーフをハサミで切り裂く秋立つ日大道真波
立秋やイヤイヤ期も本格化大神阿修羅
水中に石段ひたり秋立ちぬ大村真仙
立秋や変わる空にバトンなし大本千恵子
立秋の半袖口にタトゥー見え大森大
立秋や熱き砂巻くつむじ風大山きょうこ
立秋や溶ける筋肉引き戻し大山小袖
立秋や恩師の墓前応援歌岡れいこ
飛び石をぽんぽんぽんと秋立ちぬ岡井風紋
立秋や老舗の暖簾はためきし岡﨑宙夏
立秋を感じず部屋でオリンピック岡田砂智子
終戦もオリンピックも見た立秋岡田ぴか
ひきよせた肌掛け半身の立秋かなおがたみか
立秋や若衆精進笛太鼓岡塚敬芳
立秋や夕べに仰ぐ雲のさまオカメインコ
香り立つ煎茶の湯気や今朝の秋奥田早苗
暇なき日々に立秋告げる風奥寺窈子
立秋や華やぐ墓地に風わたる奥の昼行燈
もう立秋楽しきことの無きままに小倉藍朱
緊急事態宣言の街秋に入る小倉あんこ
立秋や裾の上げ下げ深夜2時小栗福祥
立秋のそのタオルケット俺のだよおさむらいちゃん
立秋や点滴の跡痛々し小澤ほのか
きょうは立秋テレビの声に励まされお品まり
首筋に昨日と違う風立秋尾関みちこ
立秋や氷あふれる冷凍庫小田孝子
立秋やまだスクラムを組むコロナ小田和子
立秋や転がるやうに下る坂小田龍聖
はあと息吐いて立秋書く硝子小田虎賢
立秋ぞ「求人」「求人」急かるる眼乙華散
立秋や古民家のドアベル鳴るおでめ
立秋や手作り団子いと美味しお寺なでしこ
立秋と聞きてエアコン止めし夕鬼平哀歌真改
天色に一刷毛の雲秋立つやおひい
立秋や置いてけぼりのシーグラスおぼろ月
立秋や祖母の精出す畑仕事おんちゃん。
立秋や庭の楽団転調すおんちゃんとみち
庭先にアコギ弾く子の秋に入る諧真無子
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マスクしてコロナ退治の立秋加島
朝の庭立秋の風さやさやと和
立秋や手にとる土の生温さ花純広場
立秋に生まれし息子早や五十粕谷聰子
立秋や使われぬまま江戸切子カズン
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立秋や君の忘れし蛍光ペン仮名鶫
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立秋の朝にシナモンロール焼き唐草もみじ
なに狙ふ鳶舞ふ空秋立ちぬカラハ
白雲のちぎれる気配秋立てり河原つばめ
立秋や骨董染みた中華店江南和波
立秋や目標ひとつ増やされて川村記陽子
立秋やS(エス)の字に風渡り来るカワムラ一重
立秋の風の匂ひや山の朝川村昌子
立秋やマスクが歩くハイキング閑蛙
立秋や古Tシャツにハサミ入れ看板のピン
光芒や空見霽るかす今朝の秋紀杏里
単衣縫う暦の立秋睨みつつ如月霞
御巣鷹よ立秋に燈る祈りの灯岸本元世
立秋や風の軽さに身も軽く酒暮
立秋の恋や雨上がりのユニバ北大路京介
立秋やまだ戸惑ひの中にゐる北村修
われ立秋しゃきっと前を見て進め木野まち
立秋やオリンピックの爪の跡木原洋子
立秋の波静かなり釣り父子きべし
絵日記のネタ見つからぬ今日立秋公栄はきみえ
立秋や待ち望むは良いたより木村かおり
秋に入るショパンコンクールの余韻木村かわせみ
秋立ちぬ遠く大山浜絣木村修芳
立秋や何事もなく空みあげ木村波平
押入れのスーツ取り出す今朝の秋Q&A
立秋の風こわもての葉落ち木葉
立秋や草との戦い峠越え教来石
立秋にソール・ライターの街角季凛
立秋やドリンク剤飲む頬に風くぅ
秋立つや2000ピースに挑戦す空龍
立秋や首位争いは三つ巴葛谷猫日和
秋立つにまだまだ熱きボブディラン楠田草堂
立秋、理科の太陽の傾きを知る朽木春加
立秋や手繋ぎ歩く石畳國吉隆仁
イケメンとおだてる母よ立秋よ倉木葉いわう
朝夕の耳に肌にと触る立秋空流峰山
立秋の屋上夫の干すシーツ紅さやか
立秋や東と北の窓を開け黒沢まる
立秋や自宅観戦中休み黒田良
沓脱の下駄の片割れ秋立ちぬくろべぇ
立秋や手間も嬉しい日向燗桑田栞
歳老はば秋立つ杣も閑として桑原和博
風に乗るマフラーの音今朝の秋くんちんさま
立秋やクリームブリュレを掬う午後恵享怜
立秋や懐深く紅深く鯨野
立秋や長袖はおる犬散歩ケセラ幸子
立秋や玄関に虫かごみっつ元喜@木ノ芽
ボーイスカウト秋立つ午下に張るテントゲンさ~ん・は~い
立秋の過ぎての長雨空憂う研さん
立秋や新刊の香に誘われて源氏物語
弟は父になりけり秋の立つ兼珍
立秋の部室に礼して引退す鍵盤ポロネーズ
キャンバスの余白のままに今日の秋小池令香
立秋の旅ぞ黙々ほっけ食むこいぬ
立秋にレースのスカート軽いこと弘
立秋や母川回帰の魚跳ねるごうがしゃ
立秋や白き課題に気が焦る紅紫あやめ
立秋や幼児巧みに一輪車幸水
立秋や陥没しさうな山の陰紅茶一杯
雨よ人も家も流し立秋かな木積
立秋の朝や頸に風かすか神戸めぐみ
秋立つや水琴窟の音楽会宏楽
秋立つや何を追い討つ破雲雨か幸織奈
立秋の鼻ほくほくとバイキング五月闇
立秋や今日の電話に今日の声古賀未樹
立秋や値札付きっぱワンピースこけぽて丸
長男の声変わりせし今朝の秋小笹いのり
線香の煙そよがず今朝の秋孤舟
立秋のカフェ深煎りのカプチーノ来冬邦子
窓開けて笑うしかない立秋よことこと
立秋の夕暮れ天窓に雀遊ぶ小鳥沢やすこ
迫り来る遠くのコロナ秋に入るこのはなさくやひめ
立秋の君待つ図書館旧校舎さんとうせい
立秋やインコ毛繕ひ余念無し小林のりこ
立秋の空なお碧く初出勤小松甘夏
立秋は黄色まだ早いオレンジ小山祐治
立秋や水色の風耳もとに齋藤杏子
カーテンを開けてひと息立秋か齋藤メガネ衛門
立秋の文字記念日に挟まれて宰夏海
ちいさなるものの亡びや今朝の秋榊昭広
来る秋の香飛ばし鳩が軒歩く坂島魁文@回文俳句
立秋や独り食リポ実施中坂まきか
立秋や墓参の母と語り来ぬ坂本千代子
立秋の続く生垣合唱す相良まさと
立秋や猫の小道に猫はなしさきまき
眩しげに立秋川面に差しかかるさくら亜紀女
立秋に生き尽くしたと義母の言う櫻井弘子
立秋やセレブが集ふドッグラン桜姫5
立秋や人を想わぬ人の貌さこ
立秋や妻の十八番のパクチー粥笹かま
秋立ちぬ叶わぬ想ひ頬伝ふ佐々木和代
立秋や買ったオカリナそっと吹く佐々木邦綱
かざす手にひんやり風よ立秋かな佐々木幸江
伸びしつつ欠伸がくしゃみに今朝の秋ささきなお
立秋や眠れぬ夜は休肝日紗々
立秋を待ちぞろぞろと先祖たち幸子
立秋日2回目ワクチン接種済さっち
立秋のテニスコートを抜ける風佐藤あん
立秋の風をまとひて直走る佐藤俊
秋立つ日に暖房費憂う年金者佐藤しらべ
立秋の空に飛び上がる竹とんぼ里海太郎
立秋で切ってノートを新調す佐藤美追
今朝の秋何に振ろうかトリュフ塩佐藤里枝子
真つ先にショーウィンドウの秋立てり里すみか
立秋やゾンビ映画が怖くない里山子
立秋は哀歌歌う空模様さなぎ
立秋や四十九日の経澄みてサバナ光風
今日の秋草食む山羊の遠目かなさぶり
立秋や聖火に集まる虫の影皿檸檬
病室のシーツ交換今朝の秋澤田郁子
立秋やコンビニサンドのタマゴ増量沢拓庵
立秋や自由研究やり直し澤野敏樹
防球ネット手繰り立秋の夜を迎う澤村DAZZA
立秋のクラスに一つ席が空くさんとうせい
立秋や路面電車のポーの高し紫檀豆蔵
立秋の風にめくるるアルバム君想う篠木博恵
立秋の注意喚起の声昇華篠崎彰
立秋の雲や実家の味噌汁を東雲
水槽のヒト立秋に息つぎす篠原雨子
立秋や草履鼻緒も緩みをり篠雪
立秋や坊主頭が躍動す柴桜子
立秋や手元に残る接種券芝野麦茶
今朝の秋よき祝い清きあの酒渋谷武士
立秋や赤子のこゑのよく響きしぼりはf22
つま先ひやり気配かすかな立秋の朝島じい子
立秋やこそりともせず雪流る清水容子
立秋とはや立秋と言い聞かす清水縞午
立秋や持ち手の大きマグカップ洒落神戸
立秋や縁先に猫毛繕い秀耕
立秋の走者やSet!無観客柊二
立秋や被爆の臭い薄れゆく秀道
立秋に流るる雲疾し静来よ獣羅
立秋や濃きも淡きも伸びし影春雪
立秋や会えぬのではと母の言ふじょいふるとしちゃん
立秋に若き日の恥持て余すしょうない千穂
海面の風ヒヤリ立秋の夕べ湘南じじ
立秋や校舎の裏に猫二匹庄野酢飯
立秋や天使の君に逢いたい空ショートケーキ
立秋の響きは涼し陽は暑しじょん爺
立秋に最終バスに忘れもの白井佐登志
立秋に土手の草花摘みにけり白井百合子
秋立つやそっと静かに寄り添って白沢修
名ばかりの立秋に怒る父母白とり貝
立秋やピアノコンクール閉会新開ちえ
葉を貯める玄関の隅秋来たる 水牛庵乱紛
立秋やワクチン2回目やっと終え菅原敏子
立秋のやさしき風よ妣をよぶ杉浦あきけん
鼻先に立秋の風ビルを行く杉浦真子
立秋や長き草根が折れぬよに杉本果ら
アルバムを見るや立秋セピア色杉柳才
立秋や予告は遂に最終話鈴吉
立秋過ぎて気づいた あれは恋鈴木パンダ
立秋やじょうろ八分目つち香る素敵な晃くん
秋刀魚缶ギッギィ一音立て今朝の秋青児
立秋やカーテン白く風孕み勢田清
立秋に火薬のにおひ薫る空星夢光風
窓いっぱい立秋迎え入れ二度寝瀬央ありさ
立秋や駅のポスター山の色関とし江
立秋の日が傾いてイヌ起きる細流草馬
久方の彼から手紙秋来る瀬戸ティーダ
横たわる足裏微熱めく立秋背馬
立秋の風の音とや朝すがし千波佳山
立秋やなるべく犬の側で寝る曽我真理子
立秋にタスク満載の自然界そしじみえこ
立秋やうねった髪の大人しさ染野まさこ
立秋やワクチン二度目青い空空
登り坂立秋の空ひとやすみ空豆門奈
立秋や居座るコロナ去る五輪曽呂そろ
秋立ちぬ豆腐の丸い御御御付けぞんぬ
言わないで今日は立秋椅子に汗駄詩
立秋や千のガラスで博物館帝釈鴫
閉めきった窓を開けてみる立秋たいやきは腹から食べるにゃんこかな
祭典の余韻抱きしめ立秋かな髙上ちやこ
秋立つや乾いた音のキーボード高橋淳子
秋立つや死と思ふ虫ふいに飛び髙橋なつ
立秋を説かれ続けし日暮れ時高橋裕樹
立秋や早く目覚めし空の青高橋ひろみこ
立秋や色えんぴつのハガキ来る高橋光加
秋に入る除湿器の腹みたされぬ高林学
立秋や筑波の霧を行くばかり高山佳己
立秋の鉢に溢るるモツ煮かな多喰身・デラックス
立秋の夜からまどを閉めてねるたけうちおうすけ
立秋や薄き手首と足首と竹内一二
立秋や隣の家の車なくたけろー
立秋や月曜朝の植木市多胡蘆秋
立秋や話題なき日々テレビ見る多田ふみ
秋立ちぬ波来てびりと刺されけりただ地蔵
見えねども風の離合や今朝の秋立葵
話終わりて我は立秋に発つ橘乎夏
すべきことすべてし終えて今朝の秋立野音思
猫の尾の立秋の風と戯れり辰野史会
秋立ちて深煎コーヒー大福と立山枯楓
まだ立秋なのにちぢこまる在来線立山はな子
立秋の静かなバニラバニラバス田中勲
立秋や航跡残し船の行く田中勝之
立秋やスケッチの誘い絵の具出す谷口あきこ
駅前の肉屋閉店秋来たる田畑整
新車買い気分一新秋に入る玉井令子
立秋に方言と知る水雪駄タマゴもたっぷりハムサンド
立秋や日陰の中はまた眠るたまのねこ
陽が落ちて揺れるカーテン立秋を聞く田村佳数
立秋や日課となりし朝の畑たむらせつこ
これぞ立秋を求めてカメラマン田村モトエ
笹ずれに風の訪れ秋立ちぬダメ夫
立秋やダンスの基礎に立ち返るダンサーU-KI
手のひらの顎カクンと秋に入る丹波らる
立秋の字面目からの涼はムリ茅ケ崎のりこ
ティーポット玻璃から陶器今朝の秋千葉睦女
立秋や笑うしかない雨しとど千風もふ
立秋の香をミルに混ぜて珈琲衷子
立秋やくぐれば昭和藍暖簾中トロ
立秋やショーウィンドウの内と外澄心静慮
立秋や二次発酵の指の跡長楽健司
立秋や見上げれば鳶輪を描いて辻巣雀
立秋やピアスのランナーラストラン辻ひさ子
石垣にもたれてスマホ立秋か辻陽気姫
立秋や老犬の逝く空白む津田涼子
立秋に通る団地の静けさや土屋紅蠍
練り切りに色添えられて秋来る綱川羽音
主役なき夜空あふぎて秋に入る椿こちょすけ
散り際をいけて立秋風の吹く津幡GEE
立秋やお香へ込める食用花弦巻英理華
立秋や進路希望書まだ白しデイジーキャンディー
立秋や佇む軒であんこぱん哲庵
立秋の都庁の空は六機かな哲山(山田哲也)
靴下の穴すり抜けし今朝の秋doいつもcoいつも
秋立つやコロと吾のかげ八頭身苳
立秋や土のつつしみ踏むはだし遠山有馬
魂冷えて湯気ある夕げ立秋徳庵
立秋やくたくたのシャツ干して空Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
立秋やまつげにあたる陽が黄色徳田ヨーコ
「解除後に」エアハグの影秋立ちぬ杼けいこ
金の粉振り撒き立秋やって来る十音
立秋や介護ベッドのなくなりて戸根由紀
卒検のハンドル握り秋立ちぬ飛ばぬ鳥
立秋や一振り多く胡椒振る冨川友香理
はけ雲よ父の眉毛か今朝の秋冨川精子
立秋や草刈り磨く墓場あり戸村友美
身に纏う立秋の風朝散歩友@雪割豆
立秋や調律の一音響くTomo@雪ん子
脳幹へコーヒーの香よ秋立てり登盛満
秋来る新メンバーは一二歳鳥田政宗
立秋やチーズケーキを切り分ける内藤未来仁
秋に入る子規さん佇み何描くや内藤由子
パン囓るテンが厨に今朝の秋中十七波
立秋や暮れればさめる海の風中岡秀次
秋立つや生物園に園児の声中里蛙星
夕暮れにバイク転がし今日の秋中島葉月
立秋や藁の香りとあかね雲中嶋京子
母を詠みし句を棺へと秋立つ日中島走吟
立秋や翳の移ろひ驚きぬ中嶋敏子
別棟の空咳続く秋立ちぬ中瀬すみっこ
立秋をビュンビュン叩く雨粒が中中
立秋に降り注ぐかなペルセウスながのりりー
立秋の風に倒伏する野原中鉢矢的
秋立つや二の腕分かつ肌の色仲操
立秋の響きにほっと朝のカフェ中村こゆき
立秋の川に蜆の匂いありなかむら凧人
立秋や公園集う子もまばら中村まさあき
立秋や湯張り当番最初ぼく凪ゆみこ
立秋の海に煌めくハゼの稚魚那須のお漬物
常温の水をごくりと今朝の秋夏草はむ
立秋やテニスコートの空きを待ち七朝まるよ
秋立て土竜の道の続きをり⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
秋に入る何処へも行けぬ蟄居かななんじゃもんじゃ
立秋の久方の雨感謝かな新美妙子
立秋のコーヒー久々にホットにいやのる
立秋の夕べに回る回覧板薫子(におこ)
経過診る検査し安堵立秋二階堂恵
立秋や季刊号出す遅れなく西原さらさ
ひつじ雲むらさきがかり秋に入る西村棗
すぐ着れぬ厚手の服を買う立秋西山秋
冷やされたクリームに立秋の指二重格子
前カゴの吾子と会話す今朝の秋庭熊彩和音
水晶の腕輪をなでて立秋かなねがみともみ
立秋や薄絹のごと流る雲根々雅水
立秋や味覚検査は午後一時のど飴
立秋にグランド駆ける球児かな野中泰風
立秋の8月6日に間に合わず野々香織
立秋やオリンピックに季節忘れ野の花ののか
秋立つ日老舗旅館の廃業す野原蛍草
心地よく目覚めて立秋夕餉覧る延杜
積ん読の旅行記多し立秋かな則本久江
線香にじいちゃんの立秋を聞く羽織茶屋
今朝の秋どれに振ろうかトリュフ塩白庵
聖火とアスリートの祓ふ立秋や橋本恵久子
立秋や記憶を出づるポンポン船長谷川小春
立秋や影踏みの子ら通り過ぐ畑詩音
立秋や孫去にてただ広き部屋畑中真土
秋立つや紅の色をば深くして葉月けゐ
マネキンは今日立秋と気づきおり八田昌代
一筋の飛行機雲立秋の空服部たんぽぽ
立秋や宿題の山減らぬまま初野文子
立秋を感じる一歩目散歩道花岡幸嗣
立秋や田んぼに雀集合す花岡紘一
立秋を一緒に帰る光る羽花岡浩美
碧き波寄せては還し秋きたる花弘
立秋と聞いて二度見の温度計花子.Y
ゆりかごカバー作りて待ちし立秋の頃花咲みさき
立秋の其々にのみその影は羽沖
立秋や周り見渡し腹が鳴る馬場結子
立秋の猫のびておりとけておりはまのはの
立秋や一日2便の滑走路浜友輔
立秋やポッケに少し白き砂林たまさか
秋立つや抱える湯飲み温きこと林田りこ
立秋の刈られし草の香堤道原宣子
立秋の朝マラソンは六時から原善枝
秋来るも水難救助多発中原島ちび助
立秋の風音気力復活す原宣子
今朝秋に猫の背撫でて遊ぶ風針子のネコ
風吹いて松かさコロリ秋立ちぬharu.k
立秋の残り二枚のはがきかな葉るみ
立秋の校舎に響く管楽器はれまふよう
朝目覚め山々染まる立秋だばんしょう
立秋よ二の腕に虫の毒性万里の森
立秋や残り僅かの紫蘇ジュースひーたん@いつき組広ブロ俳句部
立秋の夕に吹く風いつの間にひーちゃんw
立秋や孫が時々やって来る東の山
立秋やおみくじ結ぶ天満宮光源爺
今朝の秋雨戸を繰りて吸う息に微規
立秋や日脚いよいよソファーまでひぐちいちおう(一応)
半袖と別れを惜しむ立秋だ美泉
立秋の老馬の散歩乙女背に美竹花蘭
立秋や黄昏泣きの腱鞘炎ひなたか小春
空高く警笛ひびく立秋かな日向の熊
立秋やさとう多めのたまごやきひなた娘
コーヒー豆挽く香に目覚め今朝の秋氷室茉胡
立秋や病室から季節知るひめりんご
やりかけの通信教育もう立秋ひよこねいさん
パンディング止まらぬ犬の立秋や飛来英
立秋や涸れゆくダムへ雨募る平井由里子
葉のゆれてつつましやかに秋ぞ立つ比良田トルコ石
立秋や栞はさみし文庫本平林晶子
立秋や空の香りもマスク越し平松一
立秋や母への感謝代筆す平本文
立秋の料理たちまち思いつき昼寝
風のいろ少しかわりて立秋廣重
図書館への道なにか違う立秋ひろ夢
立秋やブレークスルー古希あ然琵琶京子
立秋の未明緑青燃えはじむ深川佳子
立秋の雨ガレージで死ぬ虫よ福井三水低
秋に入る湖面をわたり来る風もふくじろう
立秋やコロナ接種の空きみっけ福弓
飼犬の三回忌する今朝の秋ふくろう悠々
立秋や素麺鉢に手を伸ばす藤井京子
立秋の夜ベランダで歯を磨く藤井聖月
立秋や探し探して頬に風藤丘ひな子
立秋の海よ今宵はあいみょんを藤里玲咲
立秋やゆっくり声が遠ざかる藤田祥
通学路行けば近道秋来たる藤乃雪
立秋や白無垢の日の陽の匂ひ藤原涼
立秋やヘリコプターに見下ろされ藤丸子
日めくりは立秋友に見舞状藤原訓子
立秋やコートに残す靴の跡豚ごりら
立秋や流れる時間アッシュブルー双葉@あさ葉会
空缶の風に吹かれて立秋や船橋こまこ
立秋やサンドイッチの具は玉子文月さな女
立秋の朝鳥が経つ凪の湖ぶるーふぉっくす
立秋の宿入る前に泥落とす古川シアン
碧空にすじ雲ひとつ立秋か古澤久良
立秋も出掛け渋るや陽の強さ古下翠照
立秋の川逆風をゆく音す古瀬まさあき
立秋や一灯式信号機立つ粉末食用色素
立秋や夜中にパンク更に雨ヘッドホン
夢追ひて二度寝うれしや今朝の秋ベニヤサン
ペットロス抱えた姪の来る立秋べびぽん
立秋やフェリー乗り場の風渡る星月さやか
立秋を越さぬと決めし友の頬干しのいも子
立秋や夕明りの水銀灯細川大河
秋立つやまた始めたる中国語細川治子
詩人の魂湧けるや立秋の峰堀隼人
ビル建てる現場にも秋立ちにけり堀邦翔
立秋の香港の宵猫の声香港ひこぞう
立秋や三者面談まとまらず凡々
立秋や五感開いてウォーキング本間美知子
立秋や空は濃き色七分袖ほんみえみねこ
立秋の雨の重さや身のかるさ凡狸子
立秋来今年も黄色の募金箱ma_tant.
初参加吟行楽し立秋や茉叶
立秋や珈琲豆を買いに行く槙由梨子
立秋や熱沙まだ吹くビルの谷眞熊
立秋や会話それだけ老夫婦まこと(羽生誠)
立秋や遠き白より蒼遠し雅蔵
立秋に釣竿しなる滝の音のみ増まっこ
ふわふわの天ぷら食うて秋に入る松井くろ
立秋の花穂揺らすや余り風松尾義弘
立秋や脛に冷たきデニム穿く松平武史
立秋や出勤前のビッグベン松高網代
立秋に浸透力の下がる肌抹茶子
立秋や熱い緑茶のうまい夜松野蘭
立秋やコーヒーカップ一つ買うマツムラ
立秋や朝の散歩の遠回り松村貞夫
温暖化張り付くTシャツ立秋よ松本寿泉
立秋の遠くに見える山並みや松本牧子
立秋は時速と時速足して割るまどん
シャツを干す立秋の音揚々と真宮マミ
立秋を飲み込んでゐる今朝の雲マヤミコキョウ
立秋や少し薄めにアールグレイ眞理子
コロナ禍で溜まるストレス立秋へ○エツねも
立秋やあと半分で読了す丸山隆子
画面越し母の見舞い早や立秋三浦ローズ
立秋のブルーの空に細き雲三浦ユリコ
立秋や他家の夕げのトントンと澪つくし
マスク焼け籠り届かぬ立秋の声みかん氷
立秋や賞味期限の非常食三茶F
声で読む旧仮名標今日の秋三島瀬波
今朝の秋日の色薄き黄金色三須多敏
立秋や句を糧に生き百余年ミズノああくすぶちゃん
ペダルこぎ徒労に耐え追う立秋水乃江辰
立秋のかほり届ける一葉や巳智みちる
秋来る炊き立て食らうランニング美月舞桜
立秋や影の長さの目にさやかミッキーオ
立秋の雲三瓶より離れけりみっちー@TG
立秋にバトンタッチの声遠し緑風音女
立秋やショパンの楽譜返してよ水無月葉子
立秋やもの寂しさもいま少し湊かずゆき
立秋やビキニ着れずにまた終わる皆見元喜
立秋や夫のそびらの寡黙なりみなみはな
立秋や机の上にクロス敷く三保鶴
新作の赤いルージュに秋立ちぬみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
母体から出でし心地や今朝の秋宮井そら
立秋や五時の散歩は日の出前見屋桜花
我部屋で足元なぜるはや立秋宮階愛子
立秋や犬の散歩を遠まわりみやがわともこ
立秋や息子の防護服あをしみやこわすれ
立秋や残る命の楽しかれ宮原みかん
立秋や庭に撒く砂利水槽の雅乃珠晃
秋立てば朝のジョギング伸びる距離美山つぐみ
入り日なる立秋の風凪にのり宮村寿摩子
立秋や水面微かに波立ちぬ宮村土々
今朝の秋沈黙深め老夫婦妙
立秋や昨日の敵は今日の敵ミラベル
立秋や母の歩幅は三センチみわ吉
秋立つや麦茶にたらす養命酒むうさく
空の青さに寂しさ募る立秋かな夢民庵世々
立秋に聞こう聖子の「風立ちぬ」六浦筆の介
ひとり寝の朝や汝の名の秋に入る無恙庵閑酉
立秋や散歩の母の背の丸み紫けい
立秋のにほひ立つ風黄金いろ紫小寿々
立秋やあと一品にお酢のもの村松登音
夜風入る隙間に細き秋来る暝想華
立秋や始発電車が遅延しためんまたけの子
立秋やそろそろシロップ飲み切らむ望月ゆう
立秋やココアの甘さ微妙なり本山喜喜
死神が漂うごとき今朝の秋momo
立秋の朝の紅茶の色の濃し桃香
吾を嫌う術後の枕今朝の秋百瀬はな
立秋の校庭広し我一人もも先生
立秋の駒音かすか寺の庭ももたもも
立秋や逢いに行きたき伎芸天森佳月
ほおばる子溢れる笑みの立秋よもり葵
立秋や厨に小豆炊く香満つもりたきみ
立秋や火の鳥柄の帯締める森田愛美
雲流れ暦見ずとも立秋を知る森ひのき
暦に立秋うごめく腹の虫森山遊鳥
プレゼンで噛み倒して立秋か杜若友哉@はなばた俳句会
立秋や初めてかける老眼鏡諸岡萌黄
立秋の暮れは夜まで三千歩八重葉
立秋や新暦かしらと空見上ぐ痩女
立秋や原爆ドーム凪の川柳井るい
陽射し射す鉢枯れの花気立秋山内なおみ
立秋やピクトグラムの流行りだす山川腎茶
立秋や駅ひとつ向こうまで歩く山口絢子
立秋や水底に透く玻璃破片山口一青
足元に白き小花や今朝の秋山口たまみ
立秋や称名響き集う子等山崎鈴子
朝採りの野菜どっしり立秋よ山育ち
ホーム入居その日がやってくる立秋山田啓子
立秋や妻の流行は麹漬けやまだ童子
立秋の郵便受けの固さかな山月恍
立秋の風頬なでる手を合わせ山野花子
立秋を端居の風に感じけり山薔薇
オレンジの電球色の夜は立秋山村楓
朝ぼらけ立秋の風頬なでる山本康
立秋や糠床まぜる割烹着山吉白米
立秋や話は尽きてあらぬ方結壱隆月
立秋やじゃんけんぽんはチョキ気分宙美
カーテンのまだらに褪せて秋に入る夢見昼顔
秋立つや図書のPOPのリスペクト欲句歩
自転車を磨く立秋の風横田信一
トング手にカチカチカチカチ待つ立秋横浜J子
立秋や五輪閉幕がれき残吉哉郎
秋来たかどんなんかなまだなんかな余じい詐
立秋や風がかすかに柔らかくよしぎわへい
立秋や束ねて縛る蔵書本吉田びふう
挨拶の言葉替わりて早立秋吉田まゆみ
立秋や句帳に俳句甲子園吉野川
はやぶさの座席予約し取り消し立秋吉野川あらた
立秋や校旗はためく甲子園吉藤愛里子
家狭し休みあける待つ立秋Y・りこ
秋立つ日半分喰われし蝉の羽根龍華
立秋の白壁の道砂埃稜風
食欲がエベレスト級今朝の秋凛
立秋や朝一瞬の窓の風麗詩
立秋や日がな一日回顧録蓮風
立秋や帆布のバッグで旅に出るわかなけん
立秋や黄金の風が匂いけり若林千影
置き配の名前で仰ぐ立秋や俳優人
若き日の日焼けがしみに今朝の秋鷲野の菊
ロケ隊のコロッケ求めをり立秋渡野しえん太
勇み吾子行く立秋の登校日海神瑠珂
立秋や小さき綿毛の飛び交いてわたなべすずしろ
立秋や足先の爪色も剥げわたなべいびぃ
炊ぐ香の僅かに違う立秋かな渡辺香野
立秋や何処まで続くギリシャ文字渡邉竹庵
立秋やベル・エポックの街灯り渡邉桃蓮
立秋の夜風優しさに気づく牛尾KG
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●投句者の皆さんへ
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名前、似たような俳号での投句が増え、投句者双方の混乱も起こっています。
共に学び楽しむための俳句欄を維持していくため、〈俳号に姓をつける〉あるいは〈差別化できる俳号を工夫する〉ことを、ささやかな約束事としてご協力願います。
●俳句の正しい表記とは?
- 立秋を 問うた罪深き 空ムシかご道明さくら
- 秋は好き でも立秋は 未だでいい亀レオン
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
○テレビの俳句番組では、三行書きにする場合が多いのですが、あれはテレビの画面が四角なので、そのような書き方をしているだけです。重ねていいますが「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが正しい書き方です。
●一句一季語から練習
- 立秋も鹿鳴く声は遠きにて亜紗舞那
- 立秋や焼きつく空に蝉の声大島一声
- 温暖化立秋の日に猛暑日か大島一声
- ひと風吹き寂しさ冷たさ立秋かな柿野宮
- 立秋や入院闘病過ぎし夏亀田稇
- カレンダーに立秋の空し熱帯夜桑田さなえ
- 立秋や蟻日陰を行く墓参り里羽豊後
- うろこ雲初秋の先の道知らせまつさと
- 立秋にひぐらし探して耳立てる彗未
- 鬼ヤンマ今年も忘れずと立秋の朝高橋紀代子
- 腹見せし蝉掃き廃る立秋よツナちゃん
- 立秋や向日葵の背のたくましき橋爪利志美
- 秋立つや今年も母とおがら焚く華樹
- 立秋や夕暮れの風稲の緑ぼくのはね
- 立秋の蝉や抗議す早朝ラン飛鳥井薫
- 立秋の蝉をしづかに諭す風野口雅也
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
- 立秋にジージツクヅクナカナカや孤独士
- カナカナからチンチロリンへ立秋向日葵@いつき組広ブロ俳句部
○わざとやってるかもしれないが、ちょっとやりすぎ。特に二句目は、俳号も含めて季語だらけ。笑ってしまったよ~苦笑。
●兼題とは
- 雲入道涼風に吹かれて横並びあづまま
- 父思い茹でるとうきび盆の夜うさぎぱんだ
- 深呼吸高原は秋の香満ち満つ樺久美
- 背に夕日宮去る神輿秋の風さぬきのにゃんこ
- 西瓜下げ花火を吟味老夫婦ハーベス外岡
- お浄土の秋風にのりあの人は往き林誠子
- 「自宅療養」とふ一蓮托生秋の空平井千恵子
- 任せたぞ蝉からおけらへバトンパスピンク式部
- 野遊びの友と道草遅日かなふく
- 付添や秋分の日の一眠りよしざね弓
○今回の兼題は「立秋」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
- 立春をすぎても宿題やらぬ子よ山崎ひろか
○これは入力ミスだろうか。「りっしゅう」と「りっしゅん」うーむ、残念。
- 風鈴や存外広い古本屋齋藤俊幸
- 風鈴の鳴りて焼き肉匂い来る田本雅子
○「風鈴」は前回の兼題。投句〆切に間に合わなかったか!
●季語深耕
- あきれ顔アナウンサーは立秋という藤咲かおる
- この肌が立秋はまだや言うてる田面類
- 立秋といえどまだその気になれず赤子沢赤子
○今年の「立秋」は、八月七日(土)でした。暦の上では、この日が秋のはじまりとされます。実際の生活感覚とは違う、と感じる人も多いかとは思いますが、暦の上での立秋を俳人たちは感じとります。空のひかり、海の色、風の匂いのささやかな変化をキャッチする体になっていくように思います。
- 盲導犬ハーネス外す初秋かな珠桜女絢未来
- 初秋や選手宣誓高らかに松田文女
- 茶香炉のとぼいて円居秋の口花岡淑子
○ページ数の少ない季寄せなどでは、「立秋」と「初秋」「秋の口」などを同じ項目でまとめているケースがあるのかもしれませんが、基本的には別の季語だと考えるべきです。
「初秋」は、秋の初めの頃のこと。「立秋」は、二十四節気の一つ。兼題となっている季語の本意を確認して、句作に入りましょう。
●類句例
- 立秋の雲や流れの軽くなりひぐちいちおう(一応)
- 立秋や流れる雲の早きこと櫻井弘子
- エコバッグ腕に張り付く立秋や藤咲かおる
- エコバッグ腕に張り付く立秋か阿部香織
○立秋の雲が早いという句はあるだろうな、と予測していましたが、「エコバック」でここまで同じ句がでてくるとは!
お待たせしました!8月の兼題「立秋」の結果発表でございます。
SNSで「俳句生活」を検索してみると、9月の兼題「蟷螂」は結構苦戦されている方が多いみたいですね。締め切りは本日の24時までですので、最良の一句、お待ちしております!(編集部より)