夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
10月の審査結果発表
兼題「新米」
今年収穫したコメで、炊くと艶と香りがあり美味である。
豊年を祝って祭で炊かれるのは今年米である。
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
新米や川端の鯉の豊かなり
歌鈴
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夏井いつき先生より
我が愛媛県にも、西条の名水「うちぬき」という自噴水があり飲料・野菜等を洗う等に利用されていますが、琵琶湖畔辺りでは「川端(かばた)」と呼びます。家庭で使うために湧き水を引いてある場所です。
「新米」を「川端」の水で炊きます。自噴水を溜めているのが壺池。やっぱりこの水で炊かないと美味しくない、自慢の水です。壺池の水は、端池(はたいけ)へと流れていきます。端池には鯉や鮒が飼われています。美味しい新米をいただいた後、茶碗や皿を洗った時に落ちるご飯粒や野菜屑などを、彼らがきれいに食べてくれる。自然と共存する仕組みは、そこに生きる「鯉」たちを豊かに育てます。水の美しさ、「新米」の美味しさが豊かな一句となりました。
新米の腹にありてもひかるごと
野良古
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「新米」を食べる特別な気分を、米粒を描写することで表現する句は沢山ありますが、「腹」に落ちてからも「ひかる」ようだよ、という感じ方に素朴な共感を抱きます。「も」の一字の効果も巧い。
新米や土鍋の竜のごと唄ふ
播磨陽子
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「土鍋」で炊く「新米」は格別です。火を吐く「竜」のように噴いているさまを「~ごと唄ふ」と表現。「新米」が炊けるのを待つ喜びの唄でもあります。「土鍋の」は「土鍋は」でもよかったかも。
新米や火のある暮らしない暮らし
あつちやん
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かつての「火のある暮らし」から、現代の電化住宅という名の「火のない暮らし」へ。時代は移り変わるけれど、「新米」をいただく喜びは変わりません。「新米や」という詠嘆への感慨しみじみ。
新米や白の清しき日章旗
中原久遠
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「新米や」で切れているので「白の清しき」は「日章旗」にかかりますが、どちらも清々しい白であるよという詠嘆として読みたい作品。平成最後の「新米」を食べているという思いもあるのでしょう。
新米や古漬けが喜んでいる
小市
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「新米や」の強調から、いきなり「古漬け」がでてくる可笑しさ。古漬の少々癖のある味は、新鮮な「新米」と一緒に食べるとまた格別。「古漬けが喜んでいる」は作者の心と風貌を表現して愉快です。
父からの新米最後かもしれぬ可笑式
新米や寿ぎ色に炊きあがる可笑式
今年米川は蛇行をくり返し彩楓(さいふう)
新米やかつて代官立ち寄り所彩楓(さいふう)
あらたふと日出づる国の今年米播磨陽子
妻の手の濡るゝ新米すきとほる播磨陽子
新米を清め神楽の紙ふぶきみやこわすれ
新米や星を磨いている汽笛みやこわすれ
新米や川はここから信濃川すりいぴい
新米のなんと眩しき日本かなすりいぴい
リストラされても新米は旨いな或人
新米や落成式の一本締め或人
日本の白詰めこみて今年米玉木たまね
新米をマンガ盛りしてくれる宿玉木たまね
新米や太一の幟高々と斎乃雪
新米や金の名入りの夫婦箸斎乃雪
思春期の黙へ新米炊き上がる一斤染乃
でんと響ませ新米の袋立つ一斤染乃
新米や棚田の先は能登の海夏甫
奥能登の饗に祀るや今年米夏甫
北のをとこはしづかに優し今年米久我恒子
新米やアジアに風と興亡と久我恒子
米櫃に枡清々し今年米山内彩月
椅子一つ余れる卓や新米薫る山内彩月
新米三合炊くだけの貰い水七瀬ゆきこ
新米の文字が美味しい米袋七瀬ゆきこ
新米を担ぐ僧帽筋隆起松山帖句
鯖折りの如く抱ふる今年米松山帖句
新米の行儀よろしく肥にけり松廣李子
小石など混じる今年も父の米松廣李子
日本海吸うて棚田の今年米痩女
新米に翁を謡う昼餉かな痩女
新米や鼻と腹には欲がゐる多事
曾孫より重き新米金釘字多事
巫女舞の鈴しゃんしゃんと新米かな大小田忍
新米や環濠集落の夕陽大小田忍
新米や靡くサーカス団の旗中西柚子
新米や汲む井戸水の空の色中西柚子
新米や軽トラ廻る分家筋天満の葉子
新米や宮沢賢治は日に四合天満の葉子
新米の香り満ちたる喪の夜内藤羊皐
星辰の匂ひをききぬ今年米内藤羊皐
トロフイーの長き脚もと新米積む白樺みかん
新米の青き手ざはり陸奥の風白樺みかん
新米のひかり一升犇けり比々き
てのひらに均すよろこび今年米比々き
新米の輝きを云い箸を持つ百合乃
新米や倭建の影すなり※倭建(日本武尊やまとたけるのみこと)百合乃
甘やかに新米を炊く忌日かな富山の露玉
新米の上がり框を塞ぎをる富山の露玉
濁音の混じる太鼓や今年米野地垂木
新米やここんちの子にしてください野地垂木
新米は賢く光る朝餉かな城内幸江
ひたひたの水に新米眠くなり城内幸江
霊山の水に新米浸しけり豊田すばる
トラクターへ一礼新米と御酒と豊田すばる
新米を魚津のひとと食しけりあつちやん
朝まだき柏手新米仕込み唄KISOBA・UFO.
貼られゆくシール金色今年米あいだほ
新米や研ぐ音弾け湯気強しあまぐり
新米や産土の石がぢと歯にあまぶー
軽トラの父の一服今年米うい
新米や母の手首の白きことうたけいこ
新米やフォークソングの歌い出しうどまじゅ
餞に新米にぎる朝まだきオカメインコ
新米のみどりがかりて透きとほるおくにち木実
新米や神は純白色が好きぐ
もち麦を売り出す町にして新米ぐずみ
新米や戦禍くぐりし南部釜クラウド坂の上
不出来なる奴でも我が子今年米サイコロピエロ七変化
新米や海に捧げて祈りの日さくやこのはな
新米よ俺も人間一回目さとけん
おごそかに枝の箸持て今年米じゃすみん
新米や肺すみずみへ陽をあててせり坊
新米や北方領土の右左そらなか
めのまえはくうこう新米のおにぎりちま(4さい)
新米や倭の国を見はるかすちゃうりん
新米の炊く香に満つる秋津島テツコ
神々の嶺の湧水今年米とかき星
新米来祖母闇米のことはなすときこ
船足の北前船ぞ今年米としなり
新米や三男坊は力持ちとしまる
新米を磨ぐ白濁の昼下がりなおこ
新米や土の優しき秋津洲にゃん
新米や臍の奥より底力のど飴
全快や上り框に今年米パッキンマン
火点し頃新米とぐや山姥ははむ
産土の新米を研ぐ水豊かふじこ
新米てふ言葉いただく朝餉かなふみゑ
新米はきらきら友の声つやつやほしの有紀
新米の光指折る母の余命ぼたんのむら
新米や神官の歩み静かにてみどり
新米や水に仕へし老い一日みなと
笑点を囲む団らん今年米みやこまる
新米やぷっくりふくらむ青い空むらさき(6さい)
日曜の晴れに新米届きけりももたもも
跳ねあがる父の癖字や今年米ようちゃん
新米やバンドネオンのにあう店れいこ
新米の香りほのかや雨上がる愛燦燦
婚礼の続く村なり今年米葦たかし
新米やロボットが寿司握る店伊予吟会宵嵐
新米や大の男がこまいこと羽沖
蒼天や猫車(ねこ)にずしりと今年米加藤哲
大阿蘇の噴煙高し今年米樫の木
新米の祖母新米を炊く夕餉かな菊原八重
日の匂ひ満つ新米を刈り取れば宮部里美
新米や二千年の内の一年京野さち
新米を炊く杜氏からの仕込水桑島幹
湧き水に味噌新米の山の昼薫子
新米の光にぎるやかろやかに古瀬まさあき
天空や大釜炊きの今年米光子
口笛の高き音で研ぐ今年米溝口トポル
風綯へば穂となり解けば新米に綱長井ハツオ
新米の一粒にある光かな根本葉音
新米や我が散骨は海にせよ砂舟
新米やくっきり見える朝の富士三浦ごまこ
新米を炊きて大和に太き湯気次郎の飼い主
尋ね人新米が待つすぐ帰れ若井柳児
新米や夫に手渡す瑠璃の箸小川めぐる
新米やスマホにのこす空の色上原淳子
新米に片がついたと手紙つけ上野眞理
新米の富士のやうなるむすびかな色葉二穂
錆びゆけるこの惑星の今年米森弘行
新米を抱えし離郷青天井森田まなみ
千代紙の亀の箸置き今年米真宮マミ
故郷と決めしこの地の新米よ真繍
新米や水の甘さも国自慢真壁正江
新米届く達者かと文字辿々しい水口無果
手に取ればわずかに緑今年米酔宇
新米が届く姻族の伝票雛まつり
病院の重湯新米かもしれぬ晴好雨独
父母のなくて新米届きけり清水容子
新米の袋抱くだに甘さうな西川由野
新米の俵が舞台神の舞西村圭
弁当の新米ほわと膨れたり青海也緒
新米や崩御に拠らぬ新天皇青萄
末の子の婚礼近し今年米村松登音
釈迦岳の頂き甘し今年米大久保響子
放射能の検査を通る新米や大槻税悦
新米や夜明けの池に羽音あり大弐の康夫
うんまいぞ我が新米にほれなおす卓女
ざくざくと研ぐ音たのし今年米中岡秀次
新米に掛けたる熨斗の蝶結び中山月波
でいだらぼう新米むすび欲しかろう宙のふう
新米や嬰児洗ふ如く磨ぐ辻が花
新米あり〼広告の裏は真っ白天野姫城
今年米天渇くまでうるほへり渡邉一輝
一釜を塩で握って今年米渡邉竹庵
貰ひ湯のあと新米に義父と酌む登りびと
新米の香とは弥生の世の風か土井探花
新米やイザナミの初乳の滴冬のおこじょ
信金の粗品ずしりと今年米奈良素数
新米を送る親なき実家かな楢山孝明
ねんごろに夫の研ぎたる今年米猫愛すクリーム
居住まいを正し新米磨ぎにけり比良山
指間よりあまたの光研ぐ新米姫ばあちゃん
新米やあの医者と看護師嫌い姫山りんご
福島の全袋検査今年米浜けい
故郷(さと)の駅新米ずしり山ずしり福ネコ
新米や祖母愛用の文化鍋文月さな女
新米の粥柔らかな稚児の口文女
二十五で逝きし男の香の新米北野きのこ
新米を磨ぎて耳より改まる抹茶金魚
新米や災禍の里の地鎮祭満る
新米を担ぐ全身梃子にして椋本望生
風呂みがき待つ新米の炊き上がり明惟久里
新米やファンファーレのごと輝けり明田句仁子
握る握る新米ともゑさんの通夜木村摩耶
新米や軽トラで行く娘の婚家門未知子
新米研ぐ釜に砂紋を書くやうに野ばら
新米や地酒で郷の神に捧ぐ野中泰風
新米や里をめぐりて阿蘇の水由づる
人間に口がある訳今年米鈴木(や)
新米のひかりを掬いとるやうに鈴木麗門
新米のぱらりこぼるるエアメール露砂
新米乗せ軽トラ同士敬礼す鷲尾さゆり
ヒマラヤの塩で握るや今年米朶美子
千石船吃水深し今年米眞
新米や舞を空へと捧ぐ巫女蓼科川奈
新米や東照宮の四人舞邯鄲
新米や少しはづれに魚道あり齊藤織女
新米のひかりや風だ大風だ秌本単于
新米のふつくら炊けてはぐれ雲ぬらりひょん
新米の香る農協倉庫かなひでやん
難民のニュースを見つつ新米とぐ亜美子
新米を詰めし袋のしゃんと立つ安田蝸牛
新米や新居契約捺印す安曇野多恵
局長に貰ふ新米みな五キロ花節湖
水神へ氏神へ施す今年米花南天
奉納は氏子五軒の今年米輝久
新米を届け来嫁の腰ゆたか紅さやか
学校田の新米子らの声ひかる佐藤儒艮
新米やまほらの国のかほり立ち藤田康子
賞金に新米俵商店街埜水
新米や土鍋六号湯気盛ん飯村祐知子
変わり映えない毎日と新米と惑星のかけら
黄金の国に生る新米かなあー無精
新米やモーツァルト流しスイッチオンAKI
新米のおむすび集う運動会Amie
土鍋にて艶競ひ合ふ新米よANGEL
新米の甘さが沁みるケンカのあとmika-na
ほお張る顔並ぶ新米の朝餉TACOCO
家の朝深呼吸する新米の香VIVI小本
新米や盃ほどを雀にもあいむ李景
病癒え新米喜ぶ夫ここにあきこ
新米や社会の匂い嗅ぐ青年あちょぱ
新米や手塩をかけた粒の艶あなは
新米や刈安色のタータン柄あん
おかずは要らぬ新米の塩むすびアンマンパン
自動車が新米脅すTPPいいむらすず
父からの新米に集う学生寮イカロス
御報謝のごとく新米配りけりいくちゃん
新米や八十八個のむすび出来いっちゃん
新米をつぶしお初の離乳食いのり
新米の粒のひかりも馳走なりいろをふくむや
ひとめぼれ新米欲しいはないちもんめいわきりかつ
新米といふ輝きにもてなされうさぎまんじゅう
新米の匂いと共に目覚めけりうっしー
新米を食む新妻の片えくぼおぐもぐ
新米を上手く研ぐにも要る優しさおざきさちよ
新米3キロ抱き上げ孫の重さ知るおっばあ
大伯母は年貢と呼ぶや今年米おとりや
椀の底キラリ新米逆立ちすおぼろ月
新米や秋田の友は管理人おんちゃん。
嚙みしめる故郷の便りと新米とお品
やわらかくやわらかくとぐ今年米カオス
新米と味噌汁で足る夕餉かなかつたろー。
米櫃の中すがすがし今年米かぬまっこ
新米に故郷の大地懐かしむかもめ
新米に明太子のせ愛国者かわいなおき
新米を送ってくれし姑なりかわせみ
新米やブザー流れる炊飯器きなこもち
新米や去年の新米老いさせてきみえ
新米や真白き妻の割烹着クジラ
実直の味叔父からの今年米くま鶉
新米に思い出されし顔と顔ぐりぐり
「米粒残すな」そんな妣への今年米くりでん
白川郷放水高し新米やくるみだんご
新米や移住せし子の三年目ケンG
新米は一つぶだって残しませんここな
新米や父が守りし田も畑こすみ
懐かし香ふるさと返礼の新米ゴンタ
荷を解けば故郷香る今年米さがの
新米のおにぎり供え願いごとさくら月夜
新米をとぐ指先も柔らかいさだとみゆみこ
新米と聞き満々と椀に盛るさとう菓子
新米や上下左右に爺の顎さとち
新米に母がおかわり!米寿祝いしおみー
待ってました郷の新米何にするしかめっ面
新米や動くもの皆寄ってくるしかもり
新米が売りにならない肉体美シロクジラ
今年米私は私塩むすびシンディロー婆
新米に鼻孔膨らむ朝の膳すずくら
新米やさう言はれればさうかもねすみ
新米のおかわり十杯ぼくの嫁たじま
太古まで遺伝子さわぐ新米かたすく
荒れた手の作るおにぎり今年米たんぽぽ
新米や舌にて躍るにぎりめしちかこ
新米を届けてくれし族なくちどり
蓋を開け噛んで気づいた白の新米ちやこ
新米を搗く音今朝はやや静かちょび
「富富富」とや新米の名にうふふふふツナちゃん
新米やいまだ分からぬ水加減てまり
生き抜いた今年米です夫に供すときこの母よしこ
新米を供えて迎ふ三回忌とっちん
帰り道石ころ蹴って新米よとみことみ
新米をいただく手の節太しなごやいろり
この赤飯新米ですよ先祖様なんじゃもんじゃ
重代の剥げ椀めでたし新米もにおこ
御仏器に新米ふわっと供えし手ねがみともみ
新米や子供はいつも新しきねぎみそ
新米をとぐ窓越しの空青しねこバアバ
新米の香かと振り向く我雑踏のっこ
「新米!」とさけぶ米屋の若旦那のりきち
新米も届けてくれた伯父も無くノリゾウ
新米や月謝になりし田舎塾の菊
新米はまあるい湯気も食しますパシフィッコ
籾殻は日向の匂い今年米はちべえ
未亡人の作る新米売りにけりハルノ花柊
母さんへ送る新米手紙添へひかるこ
新米を握る手を見上げるまなこひこぞう
甘やかや新米めく稚児の頬ひできの
新米を古参の茶碗に高く盛りビバノンノン
新米を供え遺影に愚痴ぽろりひふみ
新米を頬張る二人二十年ひろ夢
災害のあとの新米老母(はは)の笑みふうこ
爺様にまずは新米捧げをりふく
新米をとぐ母の手はリズミカルフランスア
新米を愛おしく研ぐ母の手がフリーズ
猛ダッシュ早く新米炊くためにヘッドホン
豊年を祝う新米の艶めきほのと
山積みの新米に寄り祖母を嗅ぐポンタ
背をただし湯気もほおばる新米かなまき
新米や初心者よりもうまい飯まさ
杓文字からちょっと摘まむや今年米まち眞知子
新米よ聞いて三割増しの味まどん
新米にぱらぱらと塩握り飯みかりん
新米の湯気に安堵の今年かなミセウ愛
新米もほおばる頬もまっつやつやみなお
おつかいは新米二キロ八分づきもつこ
新米や三百回も噛まれをりモッツァレラえのくし
新米と山の恵みで誕生日やったん
新米の炊ける匂ひに知る受胎ヤッチー
日の本のこれぞこの味今年米やまちゃん
新米のべちゃりと炊けた湯気を吸うユー・リンドー
八畳を満たす香炊飯器に新米ゆうほ
新米やNICU乳吸わすゆこ
新米を食ぶ来年の力とすゆすらご
今年米健やかにひとつ齢を積みゆづ
新米の話に弾む法話あとよりこ
新米のまだ湯気たてて塩むすびラーラ
新米が我が全細胞躍らせるるりまつり
炊きたての新米の湯気の向こうの写真の君れんし
新米の競い銘打つおもしろき亜紀女
噛みしめる平成最後の今年米愛宕平九郎
新米をまづ仏壇へ供へけり穐山やよい
新米や独り夕餉の誕生日伊藤順女
魚沼の新米来たり母の味伊藤節子
幾万キロの新米積や山居倉遺跡納期
新米を掴み落つるや砂時計井蛙
今年米太鼓とどろき投げ餅となる井上早苗
かなたの日真白き心新米の井上繁
新米の香り拡がる顔顔顔井村澄子
早稲の飯赤身のマグロ至福の夜一枝
転んだ日新米食べて笑ひあふ一杯
つやつやに炊けた新米塩むすび稲垣由貴
新米はただそれだけのうまさかな右茶
新米ようまし突撃のどぼとけ雨野日吉
新米の日の丸弁当贅沢品卯さきをん
田のアートコンドルやがて新米に影山治子
被災越え列島満たす新米や永井基美
新米や地産地消の文化祭永花
新米や膨らむリュック子らの列英男
新米の味を噛みしめ塩握り円
新米や歓声あがる真珠色縁恵
病む友にふふふてふ名の今年米塩沢桂子
新米を黙して食へり明日は晴れ塩谷人秀
新米やきらら小町にひとめぼれ岡村直子
荒天を凌ぎし新米粘り確と佳枝
嵐たえ新米かおる夫婦膳加代
新米届く滲む従弟や粒ひかる加藤俊子
新米の甘みよ我はこの国の人加裕子
新米を搗いて掬ひて温かし夏柿
新米をまずは供えたり夕餉どき河合久子
荷を解けば新米合掌湯気上がり河畔亭
今年米少雨おぎなう手振り水花屋
手をあわせ新米の香りを拝む花伝
新米や研ぐ音軽やか指踊る華
冨士山の冠雪ごとし今年米海口あめちゃん
九十四の姉より届く今年米海碧
新米だよとさりげなくなにげなく笠原理香
新米やお櫃に残す一膳分葛谷猫日和
カントリーへ運ぶ新米満つ自信蒲公英
でめん賃新米に替え母の笑顔茅ヶ崎典子
新米に気づく家族や朝の空柑斗梨舞礼
新米の香りに鼻が武者震い甘平
ひと粒もこぼさず櫃へ今年米閑話休題
お七夜の膳新米の白眩し岸本元世
新米やお菜すくなに香の物岩永静代
新米や噛みてしみじみ塩むすび岩品正子
洗わずに炊ける新米助かるわ岩野翠
新米炊く湯気の香あまくまた太る祈り桜
新米の茶がゆ熱々贅なる朝餉紀㤗
塩むすびだけで嬉しい今年米亀山逸子
新米を炊くひたひたの下の水菊池洋勝
新米や娘に送り神頼み吉崎寛
新米の白輝きて荷の届く吉成しょう子
コンバインエンジンうなる今年米吉田秀一
幸せと三たび言ひたり今年米吉良水里
今年米鈴舞の傍祖父納め橘美智世
新米や笑顔浮かべて塩むすび宮坂変哲
滝のごと櫃に新米流し込む居升典子
ふりかけは今日から止める新米だ金子歩美
アオザイの色した箸と新米と銀長だぬき
初孫の重みうれしや今年米空龍
新米や水を減らしておにぎらず恵翠
新米のおっぱんつまみつまみ鈴※おっぱん=仏壇に供える御飯敬子
新米のお握り貰う池の鯉畦布哲志
新米や竃で強火赤子泣く蛍子
新米の新米たらん塩むすび月夜同舟
新米の艶に負けたるダイエット原貴美子
新米や踊れ綾里大権現原口祐子
新米うまし伯母の息災聞く便り原善枝
新米や孫の額ににじむ汗原田
終活の昼は新米握り飯原田民久
琵琶湖畔黄金の波や今年米古史朗
新米や焼き明太子瓶に詰め古都鈴
新米のダイエットなど凌駕して戸根由紀
新米の味確かめる米屋人枯楓
新米を担ぐ店主の歯は二本湖雪
新米にとろろに納豆卵かけ後藤博文
新米の炊き立てにぎる具は要らぬ向井こうぼう
幼子の頬にひかりて新米よ弘
先学の句友下さる今年米江原茂実
新米や土の記憶の香り満つ江川月丸
新米の塩むすび食ひ母の空硬膜外
スクーターの新米急ぐ宅急便香子
新米や茶碗差し出す反抗期香織
袋を畳む新米の香も吐きぬ高橋なつ
新米や母の実家の休耕田高橋光枝
新米や荷札に太き母の文字高橋寅次
再雇用新米おにぎり携えて鴻毛
新米を頬張る我が家の新米が合馬博子
新米や竃に満つ天衣の香克巳
やっときた新米おいでまい30キロ黒川光博
新米の炊けるを待ちて卵割る今井淑子
平和とは旨き新米旨き塩佐藤千枝
吾子の歯の如き白さの今年米佐藤比古太
新米の湯気の向こうの父母は亡き佐伯こずえ
今年米雨風地震うっちゃりで佐保子
塩辛と新米光り唾を飲む才田克巳
日向嗅ぎ新米はぜに掛けし日よ坂巻がみ青まきがみ
新米のまずひと匙を老犬に榊昭広
新米にとろーりと黄身まったりと咲楽
思春期の娘悩ます新米の芳作田尚子
キッチンへ引き摺って行く今年米桜姫5
新米やおこげのとこはジャンケンね三茶
ままごとも「シンマイです」とよそう孫山口トシ子
新米や靴下脱いで胡坐らかく山口正百
キラキラと新米光る朝げかな山崎ひろみ
新米や香香一つで馳走なり山川恵美子
新米や作れぬ無念被曝の地山川芳明
作り手が持参したる笑みと新米山田啓子
コンバイン音も軽やか今年米山本康子
新米が減らないのよと遺影(はは)に愚痴一つ史
子らが新米を扱きて埃に光差す市山利也
出荷終え新米の里満ち足りて志貴子
新米の香り立つ湯気深呼吸志村紫香
新米のおこげ香らす色具合紫雲英
新米と思わず笑みの馴染客慈悦
新米やAIに問う水加減汐湯
新米のおにぎり届け長寿願う鹿嶌純子
新米や熨斗に流麗をんな文字七草
スマフォ置き新米結びに夢中なり篠崎幸惠
新米と聞けばなおさら腹が減る柴紫
ペダル踏むかごに新米風抜ける紗桜
新米のおにぎり旨し徒競走酒井重治
新米の俵に倦む老いの父宗本智之
千枚田最後の新米過疎の邑修芳
竃炊き新米立ちて光りよる秋月なおと
新米を装ふうつわの掌秋水
新米のおにぎり光る文化祭秋代
新米の発送遅れでもう来まい重仁
老いたるも新米にぶく輝けり出井早智子
新米はこの夜十日の月のごと春耕
水つかり新米食えぬ今年かな春風
新米を担ぐ俵に薄明光順和
新米に減量宣言撤回す初野文子
食堂の幟に新米幸来たる渚
弁当は郷の新米ペダル漕ぐ宵猫
叔父刈りし新米二俵届きたり小鞠
新米や証明写真の出来わるく小熊猫
新米と貼紙ひとつ定食屋小山晃
新米を研ぐ手も水と煌めけり小池玲子
黄金の沃野のドローン今年米小嶋芦舟
クリックして新米を買う独りの夜小南子
新米やスーツケースにタグひとつ小漣世
独立し新米買ったとライン来る小澤啓子
新米や義母に尋ねん水加減松ちゃん
新米や国民学校の昼休み松浦麗久
新米と言いて供える母の笑み松永裕歩
新米の炊きたてふくら握り飯松田文子
りん鳴らす新米ですよお義父さん松野菜々花
食卓にプリズムのごと新米や上田明子
新米や烏賊の塩辛探す爺城ヶ崎由岐子
病む夫にとびきりだよと新米を植田かず子
待合に新米語る故郷訛り森都
新米のまずはこれ哉塩むすび深雪
心持ち多くよそへり今年米深幽
新米のおにぎり頬にお弁当真紀子
関係もわからず届く今年米真野悠
祝言の朝新米十升ちらし寿司真優航千の母
新米を供えし母の笑顔かな真理庵
新米の香今三乗チョコ二乗神谷米子
新米や味噌汁しんこのみの菜神本多貴子
新米や海辺の街へとつづく道水夢
筆まめな母の小包新米だ水野祥子
泣きながら新米かっこむ四畳半酔進
新米を子の如く抱き友来たる雛鍔
透明なきらめきや新米と吾子杉山
新米や一箸ごとの甘さかな杉本時子
少なめに水積もり忘れず新米ごはん菅原千秋
新米の香立つ茶室の一文字瀬尾ありさ
押麦を足して新米炊きし日も星野茜
新米といちいちうるせえ古米じじい晴田空
母惚けり新米はかまどで炊けと生駒しのぶ
新米と聞いた途端に粒が立ち聖月
新米に作り手を記す誇らしく西原さらさ
初めての鎌新米を刈る吾子ら西坂恭子
新米を盛られて喜ぶ飯茶碗西村優美子
新米のほほに光るや粒二つ西尾至史
古稀すぎて終い田んぼや今年米青い月
早稲の飯人それぞれの笑顔かな青児
新米や出荷の喜悦食む愉悦青柳ふみ子
新米の炊けるをただ糠漬と待つ石垣エリザ
新米や禿頭ペシと叩く癖赤橋渡
新米の目にも眩しいにぎり飯千川小舟
鄙の宿新米の香に塩ぱらり千鶴
神棚の光透たる今年米川杉美智子
赤に白新米入荷のぼり立つ川村昌子
新米の炊けて老犬起きる昼川端孝子
新米は夫に食わすな我が家訓川畑彩
新米と軽トラでいく丹波路を泉
新米のひとつぶづつをいとほしむ浅井和子
撫肩の人に新米食べさせる曽我真理子
新米のほわあと吹いて炊きあがる倉形さらさ
水加減の蘊蓄言われる新米倉澤慶子
新米を研ぎたる音のうれしさよ惣兵衛
新米をかき込む反抗期の子ら早山
新米の刈入れ終ふや夜気深し早川博子
新米のつやよ曇りなき眼鏡よ走流
新米の白がわたしを追いつめる増田典子
新米を貰ふついでの説法や多々良海月
新米のふっくら炊けて塩むすび多田ふみ
新米や籾を焼く香もかぐわしい駄詩
新米を水加減して今日終い大蚊里伊織
新米や土鍋の湯気に陽の香り大久保雅
母刀自の仏前供ふ今年米大山小袖(俳号)
新米を研ぐ指先の弾みかな大山裕美
感謝です新米食べれる日本人大本千恵子
新米が口いっぱいに生きている大野美波
新米の水量計る老眼鏡沢田朱里
新米を祝うは一人異国の地谷川秋子
新米の塩だけ振ったにぎりめし知音
新米やごはんを菜にごはん食べ知足
新米やほおばる笑顔育ち盛り池愛子
結婚式新米俵吾子のおもさ池上敬子
新米を赤児のように抱き帰る池田功
新米やあつといふ間の十年忌竹口ゆうこ
炊飯器音替え香を変え炊く新米中間幸代
イクラ乗る新米ご飯ひとめぼれ中間康博
新米が僕の明日のエネルギー中山清充
匂ひ立つ今宵の夕餉新米なり中村純代
祭禮の鼻腔くすぐる新米香中谷典敬
待ち人や又新米を担いで来中島圭子
新米の母新米で粥を炊く中嶋純子
新米のゆよゆよ香り鼻の中衷子
新米や米百俵の国自慢長岡ルリ子
骨折癒えて三ヶ月新米握る直
震災のことには触れず今年米直木葉子
新米や爺も担ぎし半俵槌田一成
「まやかし」と香らぬ新米思春期の娘点呼
新妻が新米背負ってやってきた田川さくら
拝啓新米の候顔が見たいな田川彩
顔で嗅ぐ茶碗あふるる今年米田川有利子
新米や代々伝わる水加減田村伊都
新米ぞ研ぎ汁ふるまう庭の木々田村朋子
トンネルの遥か先より新米来田村利平
宿坊の仏賜いし新米食む田中延杜
時期ゆえに持て囃される新米よ田中玄華
新米の湯気の香避けて悪阻の朝田中紅雲
新米乗せ東に向かう高速道田畑尚美
新米と思えば暫し待つ心田良穂
新米が粥になり笑む調理実習電線青
みずみずし杓文字の音ぞ今年米渡り鳥
手のひらの新米揺らす指太し渡辺音葉
新米を供へて父の卒寿祝ひ渡辺陽子
新米や食めば瞼に野良着の爺土屋雅修
新米を上がり框にどかと置く土屋虹魚
新米にぎり小学相撲の背中押し嶋村紀子
新米の湯気の向かふをこまちゆく嶋良二
艶香り弁当に詰め今年米桃雨
新米のきらめきあつて椀の中湯本康二
独り居に新米の香の溢れける藤井眞おん
新米や父なき郷の野良仕事藤原訓子
新米来る母のくせ字の送り状藤色葉菜
しんまいの炊きし新米お粥かな藤川哲三
新米の文字に匂いと旨みあり藤田真純
新米や色取り取りの箸並ぶ徳
悲しかった土曜日新米を炊く徳庵
新米も土砂に埋もれし古米食う惇壹
新米を研ぐ音こども食堂に奈良香里
着信は「元気かね!新米送る」内本惠美子
ひげ剃りの音と今年米の香と楠央
新米の炊き込み飯に祖母の顔楠田草堂
天からの恵み災害新米食む二宮陽子
炊きあげて乳の香ただよう今年米入江幸子
新米ぐらいゆっくり食べろ男ども猫路
新米を我が子のごとく抱きしめ波の音
新米をわっさわっさとつぐ仲居馬場崎智美
新米が古米古古米隅にやる馬場東風
新米よそう特急列車抜く速さで紫小寿々
神前に新米供え感謝する梅
初孫を祝ふ一粒新米で梅笠
父よりの新米よそう自慢げに梅納豆
新米の積まれし社行く新婦梅里和代
今年米こだわりありて竈炊き白いたんぽぽ
ひとつぶにこもるいのちや今年米白よだか
新米や子供食堂食べ盛り白雨
新米を供え農家の義父弔う白真
息子父祖父の鼻歌今年米白瀬いりこ
電球の下新米は輝けり白米
おかわりの声口々に今年米白木澤法子
新米や杓子の粒々美しき畑詩音
新米で乾杯かけっこ一等賞八重葉
復興や際立つ夜の今年米八弛
よそふ装ふ新米の御飯様八幡風花
新米は硫黄の匂い強かりき八木実
「新米入荷」おにぎり屋に幟立つ鳩礼
新米や握る手のひら躍りをり板垣美樹
夕餉しづか子らは新米よく噛みをり彼方ひらく
美味もあるや「新米のくせに」の中琵琶京子
新米盛る卵と醤油湯気の中美山
はや二年新米途絶え母は亡く美山つぐみ
新米の湯気腹帯に満ち渡る美人教師
銘柄にふるさと探す今年米美帆
新米の先づ香の届く仏間かな柊月子
妻のようブロッケン現れ今年米武樹
新米や夫婦の仲持つ水加減風泉
新米の湯気や解かれゆく秘密風来
シャッシャカシャーと水を切るもう新米福弓
水達が輪を成す中に今年米福良ちどり
一粒も流さず新米研ぎにけり文郁
いただきし新米亡夫(つま)に先ず供へ兵頭チズ
新米のほのぼの香る母の手に平田鳳香
新米や浪人中の身にあまり弁女
新米の袋を担ぎ祖母来る穂積のり子
新米と老犬抱え夕支度牧野敏信
新米や大きなむすひ母遠く本間美知子
新米をかえす杓文字に湯気の巻く本上聖子
新米の粒は弥勒か観音か凡鑽
新米にまみれ双子は一歳半麻衣
笑みがちに新米を喰う祖母がいる麻腐
友見舞う年越せぬ新米食らう未田翌檜
支援者に新米おくり離農せり岬
新米を噛み背の丸い母想ふ蜜華
仏壇の新米の湯気分かち合う湊かずゆき
新米の湯気もおかずの夕餉かな蓑田和明
新米のあえかな甘さ夫を思ふ妙子
網棚の口の緩みて新米降る夢見昼顔
妥協なきこの新米や透き通る明良稽古
今生や金継ぎに盛る今年米野ねずみ
新米やママとベビーの公園デビュー野ゆき
舌に歯に新米つるり甘(あま)旨し野胡のこ
新米や磨ぎ汁さっとさっと捨つ野紺菊
今年米グレードアップのおかず群野曾良
新米や古女房に古畳野木編
新米や穂を拾う祖父の背語る矢野茂樹
新米を研ぐ指先の軽さかな有瀬こうこ
新米シール付けて今年も定期便有馬裕子
新米の茶漬かつこむ漁師かな有本仁政
香り立つ空腹のはな新米の味柚香
「頑張れ」と握る新米勝負メシ湧津雅子
新米や機能ボタンの謎めいて葉るみ
新米の積みあがる蔵壁に傷葉月けゐ
新米の湯気にほころぶ顔と顔理佳
新米を炊く妻側に癖直す理学療法士
被災地の新米の湯気に合わす手里惠子
別嬪さん声出るほどの新米ぞ琉璃
ゆうパック母の便りと新米と亮介
”新米”と書いたゆうパックの重さ亮麻
新米や色黒の父コンバイン良藏
新米の匂い頂く朝げかな礼子
新米を担ぐくまモン撮影す鈴木あむ
新米の着き学友の恙なし鈴木淑葉
食卓に光り輝く新米色鈴木直光
新米を包む瀬戸内赤い船鈴木由紀子
新米を研ぐ手に映る夕べの灯連雀
新米を炊くや沸き立つ表情筋蝋梅とちる
新米や心祝いのひとり膳和代
新米の飯盒飯の焦げも佳し巫女
荷解きて菓子の下から今年米暝想華
新米や見て嗅いで噛みしめ味わえり櫻井弘子
新米や初孫の手の考に似て洒落神戸
ふくよかな新米の香や日の出でて淺野紫桜
新米や常よりお供え盛ってみる澪つくし
特Aの今年米なりいざ実食瀟白
新米や電話で届く徒歩5分祺埜箕來
新米や糠漬けの出来確認し芍薬
古の命を研ぐや今年米苳
兜エビ田んぼに還って新米に茉莉花
新米を頬張る口は笑みこぼし菫
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
- 新米と言われてそのように食ふ宮武桜子
俳句における仮名遣いには、現代仮名遣い(現仮名)・歴史的仮名遣い(旧仮名)があります。どちらを使うかは、作者が選べば良いのですが、一句の中に二つの仮名遣いが混在するのは問題があります。この句の場合は、「言われて」は現仮名、「食ふ」は旧仮名です。どちらかに統一しましょう。
- 新米と言はれてそのやうに食らふ (旧仮名)
- 新米と言われてそのように食らう (現仮名)
投句についてのお願い 俳号には姓を
- 重なって母の笑顔と新米とけいこ 59歳
- 谷戸谷にきしむ水車今年米けいこ 37歳
- 新米や遠く団欒ありし卓けい子 71歳
作者の名は「けいこ」とありますが、年齢がそれぞれ違います。たぶん別人の投句なのだと思いますが、これでは区別がつきません。
俳号は、その作品が自分のものであることを記すための大事な符号です。「けいこ」とのみでは、符号としての役目を果たしませんので、姓を記して下さい。あるいは、他の人とは重ならないに違いない俳号をつけましょう。また、同一人物らしい投句に、別々の俳号がついている場合もあります。投句の際は、複数の俳号を使うのはご遠慮下さい。
10月兼題『新米』はこれまでの最多、2,084句をいただきました。ありがとうございました。
11月『帰り花』にもたくさんの投稿をお待ちしております。
また、今回の一言アドバイスには投稿の際の注意事項をいただきましたので、投稿される方は必ず読んでください(編集部より)。