夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
9月の審査結果発表
兼題「子規忌」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
ぐぢやぐぢやの薬子規忌の輪ゴム跳ぶ
大和田美信
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夏井いつき先生より
子規=病気=薬と連想した句もかなりありました。それらの多くが暗い色調になっていたのに対し、下五着地の明るい裏切りがいいですね。病院でもらった沢山の薬。膨らんだ薬袋を束ね損なって輪ゴムが跳ぶ。いかにもリアルな一瞬です。上五「ぐちやぐちや」というオノマトペも、傍題「獺祭忌」の持つ「獺魚を祭る=色んなものがグチャグチャ置いてある」イメージとも響き合います。
子規は、不治の病を抱えつつも、実にエネルギッシュで、好奇心のかたまりのような人間でした。己の病床で、もしこの句のような光景に出会ったら、子規は「輪ゴム」で十句も二十句も作って楽しんだのではないかと、勝手な妄想も膨らみました。子規らしさが随所にみられる作品でした。
ほの甘き牛乳濁りゆく子規忌
大槻税悦
「濁りゆく」と描写した点が巧いですね。温めている牛乳を思いましたが、ココアを混ぜる、口中に含む、牛乳そのものが饐えていく等、季語「子規忌」が様々な濁りを思わせ、興味深い一句です。
船便の切手の匂う子規忌かな
小川さゆみ
「船便の切手」は海外からのものかと読みました。好奇心旺盛な子規ですから、仕事や留学で海外にいる友人たちから届く手紙は、代えがたい喜びでした。「匂う」の一語に子規の思いが滲みます。
子規の忌や糞を放るにも要る力
樫の木
中七「糞を放る=くそをひる」と読みました。それぐらい生々しく読んだ方が「子規の忌」にそぐうのではないかと。物を考えるにも書くにも食べるにも、全ての力を使いきって生きた子規の忌です。
いとうりを描く子規忌のガラスペン
播磨陽子
痛み止めを飲み草花を描くのが、子規のささやかな楽しみでした。「いとうり」「描く」等のキーワードを巧く使って、季語「子規忌」を表現。下五「ガラスペン」の着地が美しくもあり儚げでもあります。
ベッド柵に腕時計巻く子規忌かな
三重野とりとり
子規の病床がもしベッドであったなら、「ベッド柵」にメモ紙の束を括り付けたり、絵を貼ったりしたのではないかと想像します。現代人ならではの「腕時計」が「子規忌」の時を刻んでいきます。
吟行は青空を行く子規忌かな愛燦燦
横顔は無頼を隠す獺祭忌藍野絣
子規の忌を野分進路の円太るあいむ李景
擦り切れたボールの縫い目子規忌かな青井晴空
餌をやる鴕鳥に小突かれる子規忌青居 舞
雲に名前ある可笑しさよけふ子規忌蒼空蒼子
くりやよりちくわゆびわにして子規忌青に桃々
天空に底の在らずや獺祭忌蒼鳩薫
ワイパーの往復はやき獺祭忌赤松諦現
原稿用紙に『了』子規忌なる朝赤馬福助
糸瓜忌のひぐらし坂を走りぬけ明惟久里
子規忌いざヘチマの束子水責めに空地ヶ有
卵巣に影あり子規忌の曇りなき秋野しら露
ままごとのおやつとりどり獺祭忌アクエリアスの水
掌の雨甘やかな子規忌かなあさいふみよ
坊っちゃん列車弔笛のごと子規忌朝雲列
糸瓜忌やパンくず撒いてよぶ雀浅木ノヱ
玄関の電球切れし子規忌かな朝霧七海
窓を打つ雨の強かけふは子規忌明後日めぐみ
獺祭忌リハビリ室の頭数麻場育子
トロントの足湯とぷんと今日子規忌芦幸
餡パンの賞味期限や獺祭忌梓弓
天王山決めた子規忌のホームラン愛宕平九郎
伊予弁に馴染むや五年目の子規忌あたなごっち
鏡検の赤き菌体子規忌かな中はじめ
茶を喫んでまた臥す子規の忌の暮れるat花結い
地球儀に赤いしるしや獺祭忌あなうさぎ
糸瓜忌や脂に曇るペディナイフ天風月日
冠水瓶のくもり拭き取る子規忌かなあまぐり
子規の忌やのの字のタルト切り分ける雨戸ゆらら
あさがほの棚の裏側なる子規忌あまぶー
子規の忌や薬手帳に余白なし雨李
糸瓜忌や龍のかたちにのぼる雲綾竹あんどれ
不器用に鉛筆削る子規忌かな荒一葉
子規の忌やナースコールの点検日新多
子規の忌や風の来てからつぽの空ありあり
獺祭忌あたる気もする阿弥陀くじありいかな
横顔は前を見てゐる子規忌かな有本仁政
漲りて子規忌の味蕾一万個アロイジオ
じゃこ天の炙りし焦げ目獺祭忌安春
見合いすと文よこしたる子規忌かな安藤ツトム
百のパン生地子規忌の朝を膨らめるいかちゃん
本塁打いま神風の子規忌かな粋田化石
女子高生の太鼓轟く子規忌かないくたドロップ
球場にハモニカながるる子規忌かな池田華族
来世こそ妹欲しき獺祭忌池田桐人
城跡に風吹きわたる子規忌なり池田の炭
筆先は微か子規忌に涸れゆきぬ池之端モルト
外灯の際立つ子規忌夕げ前池ノ村路
子規の忌のへちまたゆめる風呂場かなイサク
文机をほの甘さうな子規忌の陽いさな歌鈴
子規の忌のビュッフェ平らげられている石井一草
子規の忌の通院バスや青き空石井茶爺
新しき手帳をおろす子規忌かな石川巴里
子規の忌やノボさんココア冷めますよ石塚彩楓
子規忌なり糸瓜タワシの痛かりし 石本美津
糸瓜忌の竜の水吐く社かな磯野昭仁
スローカーブへと握りを直す獺祭忌石上あまね
子規の忌の何も言わない諏訪の海いその松茸
ケチャップを炒め子規忌を匂はせる板柿せっか
昼の月いまだにそこに獺祭忌いたまきし
防護服廃棄する夜や明日子規忌市川りす
風に落つ木の葉は光子規忌かないつかある日
子規忌のドリアンあやまって落とすなら何処一斤染乃
草の原まりぽつねんと子規忌かな一秋子
子規の忌や墨する夕手紙書く伊藤節子
子規の忌や父の兵隊日記読む伊藤亜美子
仰向いて書いた書を見る子規忌かな伊藤節子
子規の忌や黄身たつぷりと光満つ糸川ラッコ
卓上に三菜並ぶ子規忌かな稲垣良一
子規の忌や資料に埋まりたる机伊奈川富真乃
子規の忌や雨に寄り道文具店稲葉雀子
検査着のたそかれいろの子規忌かな稲畑とりこ
空つぽの身体重たし子規忌かな伊縫音々
子規忌にて白ユニフォームは棚の中狗野れい
子規の忌や泰然と待つ隠し球犬山裕之
病床に句集積まれし子規忌かな井上幸子
父の忌の過ぎて子規忌の来たりけり井納蒼求
糸瓜忌の教室私だけいない井原冴
大空の青を吸ひたし子規忌来ぬ井原昇
子規の忌や草の匂の変化球いまいやすのり
子規の忌や産土神の急階段井松慈悦
行き先をバーコードに委ね子規忌伊予吟会宵嵐
ケトル鳴くペンをしおりの子規忌かな彩人色
子規の忌や入院リスト再読す五郎八
栗餡の団子あります獺祭忌色葉二穂
独りゐの皿に子規忌といふ余白磐田小
獺祭忌赤とんぼうの腹黯く植木彩由
ノボさんと空に呼びかけ子規忌かな上野眞理
烏にも悲しみのあり獺祭忌上原淳子
子規の忌や上野に残る野球場上原まり
一人居の鍋底浚ふ子規忌かなうからうから
曇天の子規忌スタバで卒論うさぎと
排水の逆流や糸瓜忌の朝うた歌妙
首の血管剥き出しの亀や子規忌宇田建
子規忌の夜一人写経の右はらい宇田の月兎
獺祭忌『ナリタイモノニモナレナイデ』空木眠兎
子規忌カナ蓄尿検査ススメラルうつぎゆこ
拭けばなほ凹む畳や子規忌なり靫草子
朝刊に雨粒ぽとり子規忌かな海口竿富
子規の忌の豆富に注ぐせう油の香海野あを
玻璃窓の曇り残さず子規忌かなうみのすな
子規の忌に合掌ほどく道後の湯梅尾幸雪
雲の間のマンボウ見っけけふ子規忌梅里和代
子規忌なり逆光に隠れる白球梅鶏
寄せ書きの白球古ぶ子規忌かな浦野紗知
嘲笑ふ清拭の鬚子規忌かな吽田のう
子規の忌や麹匂やか麦の味噌蝦夷野ごうがしゃ
鯛めしで締める子規忌の一人旅蝦夷やなぎ
越後路を抜けて晴々子規忌かな越後縮緬
ガラス戸を磨き上げたき吾の子規忌笑姫天臼
病弱で食いしん坊で獺祭忌朶美子
放射状に割れた手鏡獺祭忌M・李子
子規忌猫仏壇ばかり見て鳴けり絵夢衷子
庭下駄をかはるがはるや子規忌けふえりべり
三寸の地球儀の赤獺祭忌縁穐律
真っすぐに垂るるも力子規忌かな遠藤初惠
子規の忌や折り目正しき薬包紙近江菫花
飯粒の衿に干からぶ子規忌かな大岡世津子
子規の忌や朝のビュッフェの皿まみれ大黒とむとむ
獺祭忌河原の石をサイドスロー大越マーガレット
東大寺見ゆる旅籠の子規忌かな大谷如水
杖持って子規忌の空の句を詠まん大津美
しずかなる子規忌の畳間へ光大山和水
軸足を決めかねてゐる獺祭忌岡井風紋
手の届く言葉を並べ獺祭忌可笑式
リハビリの拳ほどけて子規忌かなおかだ卯月
丁寧に掬う白粥子規忌なり岡田雅喜
赤みさす微熱の頬や子規忌の夜オカメインコ
枕辺に丸眼鏡置く子規忌かな岡山小鞠
群青の子規忌の空の輝度高し小川野棕櫚
雲抜けて見下ろす骸獺祭忌小川野雪兎
糸瓜忌やくまどり筆に滲む赤小川都
糸瓜忌の畳や猫は日の匂ひおきいふ
スーパーに研屋来てゐる子規忌かなおぎたあきこ
子規の忌の夕餉に削る鰹節沖原イヲ
筆洗のみづ白藍に染む子規忌荻原湧
斑鳩の鐘の音とどけ子規の忌に奥寺窈子
介護ベッドを軋ませ兄の子規忌かな小倉あんこ
子規忌なり目に綾な赤縫う硬球おこそとの
除湿機の水嗅いでみる子規忌かな尾座鬼
心筋を灼くと言われし子規忌かなおさだ澄恵
子規の忌や耳鳴り左右より責め来おだむべ
魚並べ砥石シリシリ子規忌来し乙華散
不忍池へ快音獺祭忌音羽凜
松山の子規忌の猫のあくびかなオペラ座の俳人
レントゲン写真は静かだが子規忌海瀬安紀子
子規忌立つ詩へ残した吾の破片快晴ノセカイ
斑色一本の羽根落つ子規忌械冬弱虫
すくも焼く匂い嗅ぐ朝子規忌かな海堂一花
にっき飴舌に沁みたる子規忌なり灰頭徨鴉
糸瓜忌の鋏開いて置かれけり海峯企鵝
折り鶴を折りて広げて子規忌かなかえるL
置き据えし漢書の匂い獺祭忌火炎幸彦
子規忌の空晴れて野球は10対3カオス
子規の字の最後は駈けてゐる子規忌加座みつほ(風早みつほ改メ)
墨流すごとき空なり今日子規忌梶浦正子
豆球がぷつりと消へた子規忌なり花純
コピー紙の角まだ潰れ獺祭忌片岡六子
痛み止め効いて箸持つ子規忌かな加田紗智
氷嚢を替えて明けゆく子規忌かな片山蒼心
その獅子の金の鬣あゝ子規忌花鳥風猫
糸瓜忌や陽射し優しき保健室かつたろー。
事欠かぬ雅号俳号獺祭忌勝瀬啓衛門
獺祭忌畳の裏の青さかな桂葉子
墨汁の染み広ごりて子規忌かな花伝
薄闇の机に光るペン子規忌加藤麗未
羯諦羯諦子規忌の今朝も写しおりかなえの
焼き菓子の焦げ削りたる子規忌かな金田由香
子規の忌の島は嵐とラジオより仮名鶫
横顔のおとがひ闇き子規忌かなかぬまっこ@木ノ芽
子規忌夜のアロマランプの香の淡き金子真美
子規の忌や道灌山の月明かり釜眞手打ち蕎麦
心臓を掴む影あり子規忌かな亀田かつおぶし
子規忌の夜付け替える筆ペンの先亀の
手に持てる卵の温き獺祭忌亀山酔田
いとこから撫子もらふ子規忌かな加山シンゴ
子規の忌や相伴せむとココア練る加裕子
子規の忌や虚子の系図の大樹めく加良太知
吐くほど飲めば獺祭忌の終電狩谷わぐう
息止めて小筆を運ぶ子規忌かな川辺和香
処方箋に一包化印獺祭忌川村湖雪
外来の喧騒果てて子規忌かな河村静葩
糸瓜忌や気管は異形なる闇へ川村ひろの
糸瓜忌や百年着らるる服を縫ふ川村昌子
体操を終えて子規忌の深呼吸邯鄲
消印の波の濃淡獺祭忌喜祝音
糸瓜忌や敦盛蕎麦の値上げせるキートスばんじょうし
子規の忌や嵐の夜のボンカレー季々諧々
大空に筆遊びたる子規忌かな木口まり子
葬列もまたプラチナのごと子規忌の夜岸本元世
表紙選るお薬手帳獺祭忌岸来夢
墨ぶくみ良き筆を干す子規忌かな北藤詩旦
磨り減りしEnterキーや獺祭忌北村崇雄
今日子規忌上野の鐘のひときはに木寺仙游
糸瓜忌やX線の白と黒城内幸江
子規の忌や呼吸はいつもみづみづし木原トモ
デッサン画壁より落つる子規忌かな木原洋子
子規の忌や花柄の杖寄り添うてきべし
微熱して子規忌の雨の粒に棘木ぼこやしき
薄明に山肌溶かす子規忌かな休広忌
秒針に秒針の影獺祭忌清瀬朱磨
食卓の静かな凹みもう子規忌清鱒
子規の忌や柿食べそうな顔の猫 霧島ちかこ
子規の忌やカラメル落つる匙の崖ギル
子規の忌のドアノブに下ぐポカリかな銀紙
子規の忌や労研饅頭五つ食ひ菫久
子規忌にて降りたる駅の名は知らず銀長だぬき
子規の忌や小瓶に月の薄みどりぐ
子規の忌のサファリパークの大渋滞くぅ
子規忌なり正座の足に畳の目久我恒子
雨の止んで和室の暗きこと子規忌工藤雨読
糸瓜忌や日にも月にも手を合わせ國吉敦子
亡き祖父の家に写真を見る子規忌句保田凡
色刷りの朝刊薄き子規忌かなくま鶉
子規の忌や病に死なず瑠璃の空熊谷温古
兄の子が兄に似て来て子規忌かなクラウド坂の上
よこがほを見せて子規忌の月のぼる倉木はじめ
あんぱんの照りを子規忌の月とする眩む凡
子守唄流し子規忌のカップ麺栗田すずさん
子規忌なり句帳を下ろす朝清しくるみだんご
特急の切り離されて子規忌へと久留里61
雨戸閉めブラウニー聴く獺祭忌くんちんさま
天井の四隅は仄暗く子規忌桂子
柿色の雲よ子規忌の帰路はるか恵勇
打球飛球捕球送球嗚呼子規忌けーい〇
じくじくの子規忌の臍のごまを嗅ぐげばげば
子規の忌の仏飯どれも天こ盛り健央介
参道のごとホテル街ゆく子規忌謙久
選果機や子規忌の朝の試運転紫雲英
あんぱんは潰して食べる子規忌かな剣橋こじ
そそり立つパフェーを崩しゆく子規忌小池令香
のぼーるや子規忌のゆふの外野席こいぬ
ほつれゆく野球帽まだかぶり子規忌紅紫あやめ
座布団に夕日当たりて子規忌かな柑たちばな
パン買うて子規忌の根岸明かるかり幸田柝の音
子規の忌や風は詠み人知らずの詩古賀
子規の忌や手術着で食ふ玉子丼小笹いのり
子規の忌のアマゾンに買う柿羊羮コスモス
とんかつの衣粗挽き獺祭忌木染湧水
糸瓜忌や球数多き五回裏小だいふく
糸瓜忌や消える魔球の野球盤後藤周平
子規の忌や病後に課せるスクワット後藤三梅
居酒屋の木の香芳し獺祭忌来冬邦子
獺祭忌ピーラーのみのお手伝い粉山
奥の間へ子規忌の日射し移りけりこのみ杏仁
渋滞の山影重き子規忌かな虎八花乙
子規の忌やページ角折る入門書小林昇
葬儀屋の代打ヒットの子規忌かな小藤たみよ
暴食を我に許せる子規忌かなこま
子規の忌や開きし傘のきしと鳴く駒村タクト
水鏡や子規の忌の葉のほろほろと小緑ふぇい
二駅分史跡を歩く子規忌かな小山晃
ニューヨーク快晴子規忌に着く旅信GONZA
子規の忌やランナーの無き野球盤コンフィ
月にうさぎ旅の半ばの子規忌かなさいたま水夢
子規の忌のこはき寝癖を撫でつける彩汀
イギリスの喪に薔薇捧ぐ子規忌かな齋藤杏子64
スクロールの約款長し子規忌かなさ乙女龍千よ
双龍の子規忌の青空は遊び酒井おかわり
子規の忌や第一球は百哩さかえ八八六
レシートでパンパン子規の忌の財布さくさく作物
妹のこゑささくれてゐる子規忌かな迫久鯨
無精髭三日目で剃る子規忌かな雑魚寝
サバンナの獅子悠々と子規忌かなさざなみ葉
子規の忌やみづを掬せばいま詩に笹野夕
糸瓜忌や縁側で見る雲の色佐竹草流
図書室の本棚高し獺祭忌紗千子
子規の忌や五分前なる不在票さち今宵
糸瓜忌や道管流る水静か砂月みれい
子規忌なり牛乳瓶に差す小花さとう菓子
痩せ馬のよろけ立ちをり獺祭忌佐藤恒治
去痰剤飲み忘れたる子規忌かな佐藤志祐
雲は疾く流れ子規忌の仰臥かな佐藤儒艮
子規の忌やオムレツにバタたんと入れさとうナッツ
糸瓜忌や風は一瞬立ち止まる里山子
一畳の基地ぞ子規忌のネットカフェ真井とうか
曼荼羅の坐位に温もり子規忌かな錆田水遊
聞き書きの家系図五代獺祭忌さふぁい庵
墨ぽたと落ちてかがやく子規忌かなさむしん
天井へ折れて子規忌の陽のひかりさるぼぼ@チーム天地夢遥
亡き母の礼服を干す子規忌かな澤真澄
くだもので冷ます熱りや獺祭忌澤田紫
草活けて百二十年めの子規忌澤田郁子
「拓庵」を吾の住みかとし獺祭忌沢拓庵
山鳩の胸もりあがる子規忌かな山海和紀
焼きたてのパンに湯気たつ子規忌かな三月兎
錠剤の転がり立ちて子規忌の夜三休
子規の忌の小さき爪を切る道具三水低オサム
子規忌来て硝子窓より雲の湧く紫瑛
淹るるたび暫しカップを選る子規忌潮風の台所
茹でこぼす栗の芥や獺祭忌塩沢桂子
透明の揚羽とび交ふ子規忌かな塩原香子
糸瓜忌や鼻から肺を走る風潮見悠
辞書の隅パラパラ漫画描く子規忌四季春茶子
じゃこカツをはふはふ二枚子規忌かなじつみのかた
インキは緑子規忌と書いてみるしぶ亭
子規の忌や詩は風となり雲となり渋谷晶
子規の忌の豚カリカリに揚げておる渋谷背馬
かなしめば榛の木で啼く子規の忌よ島田あんず
はらわたを舐め一杯や獺祭忌嶋田奈緒
獺祭忌ガイドブックは燃えるゴミ嶋村らぴ
子規の忌や守るベースは五角形清水祥月
大和路へ雲のあつまる子規忌かな清水三雲
御下がりの柿の葉ずしや獺祭忌清水容子
二階には誰も居ぬ夜の子規忌かな志村狂愚
子規忌いま唐紅の鳥の喉じゃすみん
落雁のほろんと解けて子規忌かな朱胡江
右肺の上葉術後子規忌かな柊ニ
子規忌暮れ電球の明滅の余勢種種番外
血流の新たなる朝子規忌かなじょいふるとしちゃん
よこがほの裏はよこがほ獺祭忌常幸龍BCAD
あるもののままにうたへといふ子規忌正念亭若知古
子規の忌や雨につや増す黒御影白猫のあくび
ピンセット濡れて子規忌のみづの色白プロキオン
糸瓜忌や吾は来年に死ぬるやも白よだか
子規忌の陽隣人遺す自転車へ神宮寺るい
倫敦は衛兵の列子規忌かな新城典午
雨は降る子規忌も濡れる雨は降る森牧亭遊好
値のつかぬ献呈本や獺祭忌深幽
糸瓜忌やでこぼこ焦げの釜磨き瑞陽庵
最中の皮焼く暴風雨の子規忌水曜日生まれ
糸瓜忌やB4棟は隔離部屋杉田梅香
子規忌の白壁ボール跡の無数鈴木由紀子
糸瓜忌や通勤前にカロナール鈴子
子規の忌や軒裏の梁ほの明し鈴白菜実
ガード下子規忌の夜のスキットル鈴野蒼爽
夫か吾の錠剤拾ふ獺祭忌主藤充子
子規の忌の飯粒の色白きこと砂山恵子
うす青し子規忌の空とゆでたまごすりいぴい
きつぱりと天地分かるる子規忌かな諏訪次郎
子規の忌や天袋から母の筆静江
若き柿路上に砕け子規忌かな晴好雨独
子規忌とは赫き焔の碇星摂田屋酵道
ぎゆるぎゆると唸る子規忌のスライダー世良日守
子規の忌の清しく空を割るファウルせり坊
子規の忌や摩天楼より天気雨そうり
老猫の吐瀉物拭ふ獺祭忌素空
仰臥して血漿抜かれつつ子規忌外鴨南菊
細胞シートぴくと動いて獺祭忌そまり
目分量しよつぱい子規の忌のがめ煮染井つぐみ
子の机もらい絵を描く子規忌かな空
薬袋の皺柔らかし子規忌の夜空豆魚
我だけが子規忌と知つてゐる酒場ぞんぬ
トランシーバーに子規忌の雑音がたーとるQ
獺祭忌や二巻だけ無き書架の埃大
花札のカスこそよけれ獺祭忌帝釈鴫
天井をずっと見ている子規忌かな太平楽太郎
子規の忌や雄ライオンの弱き尻平良嘉列乙
ゼロカロリーコーラ子規忌の塾かばん高尾里甫
三叉路に迷ふ風あり獺祭忌高木音弥
ワイシャツの釦に罅や獺祭忌だがし菓子
子規の忌の腹を真水で満たしをり高田祥聖
子規忌の夜「墓 購入」と検索す高橋朝絵
子規の忌の吐いた苦虫み空色高橋寅次
糸瓜水採る義母居らずはや子規忌たかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
喘鳴止まぬまま明けていく子規忌高山夕灯
子規の忌や熟柿は工夫もて喰らへ滝川橋
松山も根岸も雨の子規忌かな多喰身・デラックス
我が身なる傷みも歓として子規忌武井かま猫
名を持たぬ猫を迎える子規忌かな竹内一二
英国へ子規忌へ二分の黙祷竹内菊香
子規の忌やまろきひかりは玻璃戸より竹口ゆうこ
年相応の脳のCT獺祭忌武田豹悟
積読より抜く一冊や子規忌更く竹田むべ
子規の忌や写真にうつらない右目たけろー
特養に鬼才あらわる子規忌かな黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
横顔と思ふ子規忌の落日を多々良海月
墨汁のかをり幽けき子規忌かな橘萌香
子規の忌や今気管支に足りぬ息立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
子規忌さて眺むる山のなほ蒼し辰野史会
裏返る下駄に乗る下駄獺祭忌立部笑子
煮て焼いてこねて伸ばして我が子規忌たなべまるこ
古本の書き込み見入る子規忌かな谷相
親友の猫の名付けを獺祭忌たま走哉
点滴の跡増えていく子規忌かなたまのねこ
絶筆の一句は斜に獺祭忌玉響雷子
寝転んで粥をすすりし子規忌かなたむらせつこ
子規の忌や耕運機の音重重し田村モトエ
ポケットに喉飴のほか無き子規忌田村利平
手遊びに紙粘土練る子規忌かなだんがらり
糸瓜忌やスプートニクの犬いづこ丹波らる
ホルモンのけぶたう燻る子規忌かなチームニシキゴイ 太刀盗人
貧血の数値ほどほど獺祭忌知恵さん
心房のせわしく嗤う子規忌かな竹庵
狭き空へ蔓の自由や子規忌来る千歳みち乃
戸障子に月影崩字の子規忌千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
子規の忌の鋭き雨の上がりけり彫刻刀
ごずごずと飯の炊けおる子規忌かな澄心静慮
白球を拭く手の黒き獺祭忌長楽健司
子規忌とか知らないピアスあけに行くチョコ沢ブラウニー
子規の忌の巻鍵鈍き振り子時計月石幸
水音の青を青いと知る子規忌つきのひと
子規の忌や鏡見ぬ間も人老いて辻野 花
子規の忌やホームベースの土掃ふ土谷海郷
子規の忌や礼拝堂に犬二匹津々うらら
草も木も空も紡ぐや獺祭忌綱川羽音
詩の贄として糸瓜忌の痰飲めりツナ好
教科書にヒゲ書き入れて子規忌とす津幡GEE
子規の忌の前置き長き手紙かな露草うづら
道後への宿賃入れて子規忌かなツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
精算機紙幣入らぬ子規忌かなデイジーキャンディー
礼状に友の筆跡子規忌かなてつねこ
膨らんで近づく宇宙子規忌にて手毬まりこ
良く食べる良き友のあり獺祭忌寺尾当卯
糸瓜忌や抜かれた牙を探す夜電柱
子規の忌や金具の欠けし文机でんでん琴女
ひかるまで磨く子規忌の窓ガラス天陽ゆう
空が高いのは子規忌を知ったから天六草太郎
子規の忌や国語教師の国訛り土井あくび
六畳のたたみ赤茶け子規忌かなどいつ薔芭
糸瓜忌や熱の日の母なほやさし苳
塔屋看板ごうっと飛んでった子規忌東野律
書架の棚ゆたかに撓む獺祭忌とかき星
からつぽのからだ子規忌のレントゲン常磐はぜ
子規の忌や露落ちて庭静かなり徳庵
ポスターの虎の目暗き子規忌かな戸口のふつこ
須磨に出で潮のにほひの子規忌かな戸部紅屑
旨そうな料理日記や獺祭忌とまや
ホームラン子規忌の空は大きうて斗三木童
子規の忌の電動ベッド七十度富野香衣
糸瓜忌や古書肆の庭の隠れ蓑登盛満
貴重品袋の小銭鳴る子規忌富山の露玉
ローマ字で打ちこむ俳句獺祭忌とよ
ラブホ街抜ける子規忌の真昼かな内藤羊皐
飲み干して子規忌の牛乳パック濯ぐ直
ペン胼胝や子規忌に写す虚子百句直美羽YC
パレットに絵の具を詰める子規忌かな中岡秀次
スマホから青き光の来て子規忌中島走吟
沖縄に糸瓜を食ぶる子規忌かな中嶋敏子
緩解音響く子規忌ののぼーる駅永田千春
煮崩れし子規忌のいとこ煮の蘇芳中山和代
谷根千をふらり子規忌の昼さがり夏草はむ
利き酒の会壱萬圓子規忌の夕夏雲ブン太
洋上に子規忌の朝を迎へたる夏椿咲く
番傘の糊を乾かす子規忌かな夏目十貫
子規忌の採血管 吾の血は黒い夏雨ちや
ポタアジュに遊ぶクルトン子規忌更く七瀬ゆきこ
落柿舎に万葉札見る子規忌かな七森わらび
クレープの垂れたクリーム舐め子規忌菜々乃あや
子規の忌や母は天気をよく当てる⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
父逝きて一合を炊く獺祭忌名計宗幸
文机の闕所端正なる子規忌西川由野
天井の木目啼きたる子規忌かな西田月旦
米ちょうど目盛に掬う子規忌かな二重格子
子規の忌のノートは白々と飢ゑてにゃん
貧しきもやりくり楽し獺祭忌二和田躬江
妹に背を抜かされし子規忌かな暖井むゆき
靴下の穴が広がる子規忌かな涅槃girl
子規の忌や顔に畳の跡深し濃厚エッグタルト
展翅めく三千の句や獺祭忌野口雅也
子規の忌や歯抜けの犬の水飲む音野地垂木
水門全開水煙天へ子規忌埜水
鳥小屋にひとり子規忌の入日かなノセミコ
ハンバーガーのピクルスぬるし子規忌の夜野点さわ
横のもの縦に眺めて子規忌かな野中苦泉
五線譜に音階七つ子規忌の夜野々かおり
整列のフィギュアに埃獺祭忌野ばら
子規の忌やたまさか夫の誕生日野原蛍草
ずんむりと猫ゐるや子規忌の句碑と登りびと
糸瓜忌やみづは死ぬとき発熱すはぐれ杤餅
順番の待てぬ雨だれ子規忌かなはごろも856
糸瓜忌の嵐の匂ひさへ素敵長谷川水素
ついたてにすずめ集まる子規忌かなはっしー
寄りかかる柱よそよそしき子規忌花南天あん
窓の玻璃磨き子規忌の筑波山はなぶさあきら
サイフォンに孕む光や獺祭忌ぱぷりかまめ
壮絶に時計の動く子規忌かな浜友輔
子規の忌の朱肉に粘りつく検印葉村直
子規の忌の電気ブランを一人来て林省造
子規の忌や十四五本のお線香ぱらん
消印は本郷雨のだつさい忌巴里乃嬬
子規の屋の七輪冷へてをる子規忌HNKAGA
子規の忌の太陽やはり白つぽいはんばぁぐ
服薬の効果出る頃子規忌頃ひーちゃんw
吟行の昼飲みに酔う子規忌かな樋口ひろみ
『IT』は四巻二千ページ子規忌菱田芋天
糸瓜忌やあふるる水の清きことひすい風香
骨密度上ぐる物買ふ子規忌かな美竹花蘭
十年の煎餅布団子規忌ぞなひでやん
痰きりはマンゴー味を買ふ子規忌日向こるり
バリカンの油購う子規忌かな緋乃捨楽
畳の傷はざりざりとして子規忌かなヒマラヤ杉
板書には「革新」の二字子規忌かな日吉とみ菜
子規の忌や母にもありし俳句歴平井由里子
高取の茶碗手に沿ふ子規忌かな平岡花泉
古本の香り鼻腔に子規忌かな平松一
英単語つづるペン胼胝獺祭忌平本魚水
神染むる草花写生獺祭忌比良山
あきらかに空気乾きて子規忌なり昼寝
糸瓜忌や講義終わりのカレー大広木登一
目が覚めて一杯のみづ子規忌かな万里の森
九回の裏の押し出し子規忌かな姫川ひすい
「今ならば遺影無料で」子規忌かな広島立葵
捩りきり絞る子規忌の歯磨き粉広瀬康
月の土地区画整理して子規忌弘友於泥
糸瓜忌や絹一反の広ごりつ風慈音
古書店の夜更けは灯り獺祭忌風泉
双眼に富士映り込む子規忌かな福川敏機
横向きて剃り跡確かむる子規忌ふくじん
外野手が青空背負う子規忌かな福ネコ
息深く臨書に挑む子規忌かな福弓
終活を急かす息子や獺祭忌ふくろう悠々
整体の巨体に踏まるる獺祭忌袋小路 綴乃
糸瓜忌のつがひでもらふ十姉妹藤色葉菜
酒を句に献づる夜や獺祭忌ふじこ
子規の忌や句帳はミルフィーユのやうに藤咲大地
風の音を小鳥と分ける子規忌かな藤永桂月
紫の句帳選びて子規忌かな藤原涼
大気圏抜けし子規忌の宇宙船藤雪陽
糸瓜忌や万年筆は修理中藤原素粒子
糸瓜忌や荒れ庭見やる肘枕 船橋こまこ
子規の忌のなかなか減らぬピルケース文月羽菜
糸瓜忌の水とは人を掌り冬のおこじょ
糸瓜忌や鏡の吾は非対称冬野とも
「子規忌か」と父の句帖の紺表紙古川しあん
データの羅列またキーを打つ子規忌ふる雲
巻頭の雨あたゝかく読む子規忌古瀬まさあき
子規の忌や脈打つ肥えた犬の腹ふるてい
小波や子規忌の鳶は腹見せて碧西里
子規忌かな鉛筆を噛む癖今もペトロア
子規句集父へ送りし子規忌かなべびぽん
獺祭忌子規忌糸瓜忌風が鳴る茫々
アカウント変えて子規忌の一人酒北欧小町
子規の忌や霧島山の雲かづくほこ
野球部の食らふ焼肉獺祭忌星月さやか
糸瓜忌に空調服を仕舞ひけり星野はいかい
子規の忌のグローブ丁寧にみがくほしの有紀
音とびの蓄音機やむ獺祭忌甫舟
MRIの奈落に居て子規忌堀卓
糸瓜忌の雲は三次元で出会う堀江むすぶ
糸瓜忌や右肺の影は消へ失せり堀邦翔
肺ふくらむしぼむ子規忌の雨匂ふほろろ。
句が載れば叔父の電話の鳴る子規忌梵庸子
えびフライひとり三尾や獺祭忌まこ@いつき組広ブロ俳句部
饅頭は雲の匂いとなり子規忌まこちふる
子規の忌に坊ちゃんの湯を泳ぎたる雅王
駄賃千円は子規忌の酒にとぶ正岡丹ん
子規忌かな午後五時過ぎの二割引き眞さ野
蔓引けば実の落ちてくる子規忌かな松川梅子
子規の忌や塗り重ねたる太郎の絵まつたいら西
新聞に父の句載りし子規忌かな松田慶一
プレーオフ訳語想像する子規忌待雪みほこ
糸瓜忌へ此の詩をひらく為の骨真冬峰
グローブの紐締め直す子規忌かな真宮マミ
天守から海島見ゆる子規忌かなmayu
片づける物無き部屋の子規忌かな瑪麗
枕辺にリモコンふたつ獺祭忌まるにの子
糸瓜忌や痰壺のある洗面所丸山隆子
燃え尽きてゐない子規忌の燐寸かなまんぷく
子規の忌の鏡の我の真正面三浦にゃじろう
隣人の咳苛烈なり子規忌の夜三輪白米
子規忌かな言葉は雲の穴より来帝菜
こんな日に底なしの青子規忌かな三上栞
糸瓜忌や子規描く花のまあ可憐三茶F
ふつかめのキーマカレーと子規忌かな岬ぷるうと
葡萄酒に虫のよせ来る獺祭忌三島瀬波
子規の忌のわが名小さき寄進札水須ぽっぽ
用なくも父母の声聞く子規忌かなMrふじやん。
糸瓜忌や母の手垢の覚え帳水谷豊海
車椅子磨く子規忌の朝風にみずな
子規の忌や言葉浮かべと墨を磨る三田忠彦
ほの暗きかがみ子規忌の無精髭みづちみわ
子規の忌の呆けた色の蛍光灯光峯霏々
白皿をすいすい洗ふ子規忌かな満る
こしあんの色へ子規忌の暮れゆけるみつれしづく
ヒンプンめくラブホの戸口獺祭忌南方日午
保護猫の鳴き声いびつ子規忌かな水上ルイボス茶
痰出して胸ひりひりと子規忌かな水無月葉子
トローチの舌に崩れる子規忌かな港のパン屋
子規の忌や赤ひげの居る養生所みなみはな
梧桐の幹折れてゐる子規忌かな美村羽奏
糸瓜忌や礎は空支えたる宮井そら
同じ名の考の病や子規忌くるみやかわけい子
さゝくれを喰めば血の味獺祭忌宮部里美
子規の忌やひょこひょこいたち迷う庭みやま千樹
黒雲の後ろ陽が差す子規忌かな美山つぐみ
私記めくり免許最後と記し子規忌妙
停電や手回しラジオ消す子規忌ミラベル
子規の忌やクロワッサンのバタの染みみらんだぶぅ
箸で突く最中茶漬けや子規忌ふとみわ吉
子規忌にや下戸大食のまぶり鮓ムーンさだこ
子規の忌や俄か作りの外来へ椋本望生
ぶら下がる蛍光灯の紐子規忌無弦奏
アル中の叔父来て子規忌言いにけり向原てつ
いくたびも感染者数見て子規忌睦月くらげ
餡パンの中空を喰ふ子規忌かな無恙庵閑酉
ベースボール子規忌を集ひ愉快なり紫小寿々
叱られて子規忌の広き空のした村瀬っち
訓練機去れり子規忌の海静かむらのたんぽぽ
たそかれの字のない句碑や獺祭忌暝想華
襟立てる風新しき子規忌かな目黒千代恵
白球の糸まだ赤き子規忌かな望月朔
硝子戸に色彩あまた明日子規忌本村なつみ
貘に尻向けられてゐる子規忌かな百瀬一兎
戦の文字尽きぬ子規忌の社会面百瀬はな
子規の忌のライトフライを手の中へ桃園ユキチ
子規の忌のくるくる回る河馬の耳ももたもも
アキレス腱糸瓜で洗ふ子規忌かな杜まお実
ジオラマの光不自然獺祭忌森毬子
餡の火をゆるめで止むる子規忌かな森海まのわ
ほくほくと絵筆の潰れゆく子規忌もりさわ
子規の忌や読み返したき父の文杜乃しずか
普段着で遺影撮りたり子規の忌に森の水車
刀根平核無富有も太る子規忌かな八重葉
検診車膏薬はがす子規忌かな山羊座の千賀子
ペヤングの湯切りせり子規忌の夕餉柳川耀一郎
子規の忌のポストに届くブーケット簗瀬玲子
坂多き東京に住み子規忌かなヤヒロ
陳くさきクレオソート舐める子規忌山河穂香
糸瓜忌や点滴液の減る速さ山川腎茶
ロボットが配膳をする獺祭忌山口絢子
痛み止めを数える夕べ獺祭忌山口一青
子規の忌やワゴンに並ぶ文庫本やまさきゆみ
うつ伏せに煙草吸ふ癖獺祭忌山田蹴人
糸瓜忌のじゃじゃ麺湯気の立つように山田蚯蚓
徒然なる子規忌を子規のごと闊歩山本先生
糸瓜忌や頬すり寄せし青畳山本たか祥
お重にはおはぎお行儀よく子規忌柚木みゆき
さらぴんのグローブ叩きたる子規忌ユ綺
すり減つた遺品の墨や獺祭忌雪音
透き通る硝子へ替えて子規忌かな湯屋ゆうや
雨音を抱いて眠る子規忌かな陽子
玻璃ごしの闇あたたかき子規忌かな陽光樹
陰膳に猫の寄り付く子規忌かな羊似妃
吸入薬かきりと鳴れる子規忌かな横縞
子規の忌や電気自動車走る街横山子守熊
カステラの木箱からっぽ獺祭忌横山雑煮
獺祭忌父のテレカは擦り切れて横山ひろこ
店奥に辛気の匂ひ子規忌かな吉武茂る
転失気の音かろらかや子規忌空よした山月
獺祭忌フラスコの中のミジンコ吉田びふう
子規の忌の仰臥延髄に硬球吉野川
瓶に受く糸瓜のなみだ獺祭忌余田酒梨
子規の忌の炭団坂から菊坂へラーラ
子規忌かな幼なじみの山はそこRUSTY=HISOKA
駝鳥とか虎や象とか獺祭忌楽花生
内野安打子規忌のヘッドスライディング梨音
路地猫が先達となる子規忌かな理佳
獺祭忌けだし物古る野球帽柳絮
横飛びのグラブ子規忌の大捕球蓮花麻耶
窓硝子全て磨いて子規忌かなわかなけん
改札の乾いた「ピッ」の子規忌かな和光
来し方に朱墨を入るる子規忌かなわたなべいびぃ
糸瓜忌のスプリンクラー惜しみなく渡辺桃蓮
馴染む石探して座る子規忌かな笑笑うさぎ
傾ぐ陽も朱赤に熟す子規忌かなANGEL
子規の忌やまだ結婚はせぬと言ふEarly Bird
獺祭忌百済観音笑みたたえ安威網代
吾が暦子規忌閑かに旗日とす間岳夫
子規の忌に乗る車椅子といふもの青井えのこ
並ぶれば我より背低き子規の忌や青井季
癒えるまで殻の中です獺祭忌蒼月子
水面に映る吾は逆立ち子規忌かな青田奈央
針刺して赤い血にじむ子規忌かなあおのめ
獺祭忌ひとふでがきのシルエットあかを実果
子規の忌の鼈の甲羅ペコポコり赤目作
酸性紙ガラス超しにある子規忌かなacari
あす検診マニキュア落とす獺祭忌あくび指南
芯の丸みうつくしそうか子規の忌か字土街海
糸瓜忌やぼくらはみんな未亡人あさのとびら
伊予人の子規さんと呼ぶ獺祭忌あじさい 卓
子規忌なり碧虚両氏も鬼籍であるアシツノカラ
雲融かす光降る夜の子規忌かな渥美謝蕗牛
子規の忌や海の向かうのショータイムあみま
無傷の時を思ふ敗荷子規忌かな荒井類
打者走者四球三振子規忌哉荒木豊
酌み交はす子の誕生日子規忌なる有本としを
空澄みて腹に風ゐれ子規忌知り在在空空
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「旨ぐね」ばかりの父逝く 子規忌前石垣エリザ
いくたびも道を尋ねて子規忌かな石崎京子
子規の忌や入相の鐘朱に染まり和泉攷
子規忌かな王冠抱く棺美し遺跡納期
子規の忌やコーヒー一杯苦味濃く今西知巳
糸瓜忌のへちまの束子働けり入江幸子
二人して水の石切り子規忌かな岩清水彩香
子規の忌や運ばれ来る粥の盆内田こと
子規の忌や日づけ変わらぬカレンダー梅木若葉
さり気なく今日は子規忌と告ぐ教師江川月丸
図書館の寝息輪唱子規忌の夜遠藤百合
嵐去り風去りがたき子規忌かな旺上林加
国葬反対のデモ雨の子規忌大岡秋
遅い午後曳航の影子規忌かな大越総
車椅子をたたむ練習子規忌かな大小田忍
後ろより母を見守る子規忌かな大塚恵美子
子規忌過ぎ雲のかたちの変わりけり大山きょうこ
芸人の掬ふ景色に詩や子規忌小椋チル
床にふしヘチマはタワシへと子規忌おでめ
まねて詠むたたみ一畳子規忌かな沢瀉
包帯をボートハウスで干す子規忌海音寺ジョー
子規の忌やほむらを吐きて詠む天地垣岡凡才
横顔にちびりちびりと糸瓜忌や鹿嶌純子
獺祭忌先生と呼ばぬ同好風早杏
子規忌なり痰のぬめりに生を知る川端芙弥
空の奥青を織り込む子規忌かな規田素乃子
自負心をトイレに流す子規忌かな北岳醍醐丸
古池の雲潜る亀子規忌かなくらしめいく
獺祭忌ランチは中華バイキング栗の坊楚材
胸像にマスク似合わぬ子規忌なり黒田良@白井
ボールへと胴ごと地へと獺祭忌齊藤巻繊
子規忌訪う年譜とっぷり野球沙汰さくら
脳みその重たげなるや子規忌とて桜姫5
鳥声を聞き分く父の子規忌かなさとマル
あばら骨十二本もありぬ子規忌山月
ああ子規忌遠い国では国葬か島じい子
右半身髑髏となれど詠め子規忌清水縞午
頬杖の子の落書し子規忌かな庄司 しづく
横顔は一筆書のごと子規忌しんび
一筆のその横顔は子規忌かな杉本果ら
横顔の眼差しわれに今日子規忌瀬紀
横顔はいいねと言われ獺祭忌泰山
來世を横顔確かと子規忌かな辻内美枝子
子規の忌に鉛筆削る肥後守せいしゅう
ひと粒を投げて満天子規忌かな千@いつき組広ブロ俳句部
半分の地球で生きる子規忌かな惣兵衛
その庭は野草のびやか子規忌かなたすく
球速の百二十年落ちぬ子規忌立石神流
本に入るごと布団入る子規忌かな玉木たまね
何となくきれい子規の忌のテレビ玉庭正章
二度目の死はない。よすがの子規忌かなちくりん
糸瓜忌や遅れて三尺玉の音月岡方円
子規の忌に一尺の穴猫埋める辻瑛美
子規忌またきな臭き世界ぞなもし天童光宏
子規に会うまでに何回子規忌かな土手かぼちゃん
子規の忌や寄席の帰りの羽二重団子とんぼ
果物のみづは命や獺祭忌沼宮内かほる
午後晴れて球場に人子規忌かな 白雨
キャッチャーマスク外し広がる空子規忌八田昌代
つれづれと雨垂れ数ふ子規忌かな晴田そわか
雨漏りの音を数えて子規忌かなDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
獺祭忌駝鳥は獅子の毛繕いヒマラヤで平謝り
とにかくも触りたがる句碑子規忌来藤川鴎叫
病室に爪を切る音子規忌かな藤川哲生
犠打の後勝負の四球子規忌かな凡句楽直
忽然と住家の消えし子規忌かな松井醉呆
歯科までも閉院通知子規忌かな真理庵
歳時記の栞はレシート子規忌かなみちむらまりな
「葬儀は終わりました。」子規忌いくたび美月舞桜
大の字の並ぶ子規忌を大飛球宮坂暢介
父見舞ふ教え子ら古希獺祭忌宮武濱女
ウィスキーの口約束す子規忌かな麦のパパ
獺祭忌本は売らねど鰻は食いたしやどかり
子規の忌や蝶ふんわりと振り返る山本裕之
天井の染みは雲へと獺祭忌遊羽女
嵐過ぎ空新しき獺祭忌床寝虫
子規忌には子の癇癪と向き合へりゆめの常盤
手鏡に見えぬ世尋ぬ子規忌かな夢見昼顔
シキキってなにシキキってなに子規忌横浜J子
オンライン落語を聴いて子規忌かな横溝麻志穂
待ち時間蟻を数えて子規忌かな吉岡幸一
五合目で俳句よみたる子規忌かな吉田蝸牛子
横顔の誰かと似てる獺祭忌吉田わさび
ぬるま湯は繊細な味獺祭忌吉行直人
風の名のあまたを知るや子規忌なるよみちとせ
鬼の足跡の穴へ夕日や子規忌四葉の苦労婆
塁埋まり子規忌の空に干乾びる亘航希
不摂生を検査結果に子規忌かなあ・うん
月見上げ一句を捻る子規忌かなあいあい亭みけ子
別れ告ぐ高座の笑顔子規忌かな相澤泉
美をとどめ心与ふる句よ子規忌逢來応來
子規の忌や硝子戸越しの空見つむ大竹八重子
結核もコロナも子規の忌の咳も赤尾ふたば
短歌よむ思い強まる子規忌かな赤子沢赤子
子規忌に底のない曇り空無風赤松鴨
糸瓜忌や兄の看護人なる律 赤間学
子規忌ゆえ少し高値の梨を買うあかめちゃん
指折りてさかむけ気づく今日子規忌あかり
獺祭の清酒愉しむ子規忌なり聰子
ホームラン9回裏の子規忌かな昭谷
妹の目に涙浮かばぬ子規忌かな空家ままごと
夫亡きてゆめに重なる子規忌かな秋代
春日山に柿こそ生るなれ子規忌秋吉和紀
放屁して迎える子規忌に虚空蔵芥川春骨
目の前の命を写す子規忌かな芥茶古美
二冊目の句帳選びし子規忌かな淺井翠
「冬の新作」目眩する夜は子規忌麻丘澪
車窓から須磨の海見し子規忌かな朝日雫
時変わり風雨厳しき子規忌候亜紗舞那
エンディングノート書き込む子規忌の夜あじさいパスタ
子規忌には草花探すアスファルト明日良い天気
子規忌いま在らばオオタニの名書かん飛鳥井薫
獺祭忌句集片手に吟醸酒あすなろの邦
横顔が見つめる令和獺祭忌麻生ツナ子
三限目体育サボる子規忌かな新子熊耳
呑兵衛がひやで献杯獺祭忌アツシ
子規忌には野球四番は一人だけ天晴鈍ぞ孤
糸瓜忌や漢字得意な父でした渥美こぶこ
我は倍無駄に生きての子規忌かな跡部榮喜
走者打者飛球訳せよ獺祭忌姉あね猫
子規の忌や君とくれえぷ食いにけりあねもねワンオ
糸瓜忌や捕手のあだ名はクリームパン阿部八富利
フウセンウオこんな魚かと言う子規忌天川滴翠
子規忌にてサナトリウムの父思う数多未完
子規忌にて詠まれ継がれる人となりあまどかに
赤い実の句碑に添えしか子規忌なりあまねくみぞれ
利き酒の「獺祭」に酔ふ子規忌かな天野幸子
教科書の横顔白し子規忌かな天宮華月
池の底鯉は動かぬ子規忌かなアマリリスと夢
子規の忌やベースボールの人足らず網野れいこ
子規忌には指折りてまた指折りて雨降りお月さん
子規の忌や義父の季寄せにチェックありあやや
南方は大風らしい子規忌かなあらかわすすむ
病む我に歳時記重し子規忌かなあらら
月並句ひたすら並べ子規忌なり蛙里
子規忌なり祖父の真似して五七五淡湖千樹
子規の忌や目深に被る野球帽アンサトウ
国葬の是非を問う日々子規の忌や杏っ子
混乱のニュースを雨が消し子規忌飯田淳子
健啖に小言の母よ子規忌なり飯村祐知子
子規忌の気散じ羽二重の餡団子粋庵仁空
瀬戸風に一句乗せたる子規忌かな郁爺
子規の忌や横顔だけは知つてゐる生野薫
絵手紙の糸瓜はみ出す子規忌なり郁松松ちゃん
彼の地でもKaKiと言ふらし子規忌なりいくみっ句
枯渇せり詩情に泣く子規忌かな池愛子
子規忌なり禿見て懐う落書きを石井彩音
子規の忌や海の向こうの二刀流石井秀一
午前二時歳時記めくる子規忌かないしいるぴなす
子規忌かな水兵リーベー僕の船石垣
大飛球ましろき空より落つ子規忌石川伸子
子規の忌や見上げる遺影の横顔石川初子
何も無い道を散歩の子規忌かないしきひさき
へちま水能書き並べ獺祭忌石塚碧葉
窓を開け隔離解除の子規忌かな石の上にもケロリン
6尺の病床いとし子規忌かな石原花野
還暦を過ぎて子規忌に辿りつき石間毅史
白球に思い出さるる子規忌かな石山日滔
おらが日々俳句俳句の子規忌かな泉恵風
子規忌とは何ぞとスマホ病床の我泉陽之助
足の裏撫でていく風子規忌かな和泉明月子
子曰くと子規の言霊子規忌かな伊泉不洋
子規忌や妻と今宵は季語しりとり市川隆一
子規の忌や我が鏡台にへちま水 いちご一会
石っころにも詩句求む子規忌かな 無花果邪無
おくすり手帳見返して過ぐ子規忌ゐてふ@QLD句会
羽二重の団子食らいて子規忌かな樹魔瑠
野球とはドームにあらずけふ子規忌五つ星
子規忌に思う長生きは幸せか井出奈津美
老木を照柿色に子規忌かな伊藤薫
少年は今大リーガー子規忌くる伊藤順女
「ホトトギス」子規の意味知る子規忌なり伊藤どらやき
茫々たる野原すすまん子規の忌に伊藤柚良
子規忌には飛球見せたや二刀流伊ナイトあさか
糸瓜忌や幼名呼ばふ母の声井中ひよこ号
夫誘いまっさら句帳子規忌朝稲葉 こいち
句友来て子規忌の紅茶濃く淹れぬ居並小
丼でカレー食う朝子規忌かな井上れんげ
三十五号惜しや翔平の子規忌ゐのかたゆきを
ひたすらに生きて祈りて子規忌かな今井みどり
子規忌とて未だ半袖の不惑なり今乃武椪
吾子負いて歌口遊む子規忌なり今村 ひとみ
背伸びして真似てひねって子規忌くる伊代ちゃんの娘2
一杯の水ありがたき子規忌かな岩木順
子規忌知りかじりはじめの俳句詠むいわさちかこ
再発の検診終えて子規忌かなういろ丑
最後まで頑張る決意子規忌かな植田かず子
子規忌記すページを開き母を想う上埜っち
実情を優先せよと子規忌かな上野徹
糸瓜忌や我の蔓にはつかない実宇佐美好子
子規忌にて水を備えて固く閉づ丑十八夜書ク
五七五チョーク走る子規忌かなうちだまみ
子規の忌やかねての紅い服を買う内本惠美子
YouTubeに「そ」を聞きにいく子規忌かな卯波まり
梵鐘に詠み止まるなり子規忌の夜宇野翔月
古本に父の時あり子規忌かな梅野めい
秀作な子の投句ある子規忌かな浦文乃
コルセット外せる明日は子規忌かな麗し
子規忌子規忌テニスはフェンスの内のこと詠頃
伊予人の永遠の誇りや獺祭忌S・葉子
あるがまま小鳥かたらふ子規忌かな榎風子
われ思う俳句の心子規忌からえみばば
丑三つの無人の庵の子規忌かな江見めいこ
子規忌とは知らぬアイドル始球式えりいも
人生に写友と句友子規忌かなえんかず
「柿食へば」子の口遊む子規忌かなえんちゃん
リモートの地球の句会子規忌かな遠藤一治
大谷のホームラン届けや子規忌遠藤玲奈
子規の忌や父の忌はまだ五十年円美々
糸瓜忌や卒寿の母の髪撫でるおおい芙美子
菓子皿の賑やかな実家獺祭忌大紀直家37
垂幕の句を誦しをり子規の忌に大久保加州
ギシギシと縁側の鳴る子規忌かなオオケマイマイ
夕煙鐘の音遠く子規忌かな大阪駿馬
朝飯の白き湯気立つ子規忌か大嶋宏治
晩酌のアテは干物の子規忌かな大野静香
ベースボール詩に秘めたり子規忌かな大野喬
パチンコに行く親の背に子規忌かな大野美波
命がけ今も生きてる子規忌かな大原妃
雨戸閉め子規忌かこつけ独り酒大原雪
子規忌にて句集めくりしレモネード大村朱希花
子規忌すみあとはよもやま通り雨大村真仙
子規忌なり俳句始めて三年目大本千恵子
子規庵の木戸閉ざされし子規忌かな大山小袖
褪せた祖父の俳句帳知る子規忌に岡由紀阿希
子規の忌に向ふアサイチの図書館おかげでさんぽ
朋輩に横顔語る子規忌かな岡崎 蹊
子規の忌や蘭咲きたるを気付きたり岡田明子
子規の忌や果実をたんとかぶりつけ岡田瑛琳
花咲きて散りぬるけふは子規忌かな岡田恵美子
子規忌の句ひとつ作りし病褥で岡田健作
病床で野球実況聴く子規忌岡田ぴか
空見上げ深呼吸した子規忌かなおがたみか
目耳脚フル回転の子規忌かな岡本
野ボールの謂われ偲べり子規忌かな岡本選魚
母の涙「痛いと言って」子規忌かな丘るみこ
河原では二死満塁の子規忌かな小川しめじ
獺祭忌胃痛の妻に作る粥小川天鵲
子規忌なり三津浜港に汽笛音オキザリス
旅すれば句碑見付けたき子規忌かな奥田早苗
百二十年後祝日なり子規忌小栗福祥
上達の祈り重たき子規忌かなおざきさちよ
本檀を望みつ偲ぶ子規忌かなお散歩じいじ
神保町そぞろ歩きし子規忌かなお品まり
子規忌なりあの服も赤この靴も尾頭朔江ヱゐチ
子規の忌に食意地の張つた己かな落句言
思い馳せ聞くや子規忌に鐘の音音のあ子
子規の忌や俳句初心の三十四音羽実朱夏
野球部の掛け声高く子規忌かな小野寺さくや
見上げても笑わぬ雲ぞ子規忌かな小野ぼけろうじん
雲ひとつ粛とあんぱん子規忌かなおひい
クリニックから顔上げ帰る子規忌帯壱
早朝の子規忌コードブルー連呼おぼろ月
早世のその実尊き子規忌かな沢瀉あけみ
繰る頁すべる指先子規忌かなおりざ
子規忌にて寝床で一句捻りけり櫂影斗
糸瓜忌に棚の修理をする夕べ風花美絵
突掛けの先を虫鳴く子規忌かな霞山旅
糸瓜忌やだらだら過ごす膝痛むかじまとしこ
カタコトのおしゃべり俳句にする子規忌風ヒカル
コロナに臥し見舞ふは猫か子規忌過ぐ片岡明
母俳句子は野球(のぼうる)の子規忌なり交久瀬小夜時雨
似合わない服を子規忌に新調す桂子涼子
子規忌にて登れば瀬戸内凪いだ海加藤雄三
子規の忌や木曽路の青い夜明け前金井登子
2秒の意思リツイートの子規忌かな叶田屋
暗記せしトイレに俳句子規忌かな金子あや女
エクセルによき句の浮くを待つ子規忌かねつき走流
校庭に野球少年子規忌かなカバ先生
泥雲の子規忌に集うエセ歌人カボチャの乳母車
草野球勝っても負けても獺祭忌紙ふうせん
猫ならば子規が好きなり子規忌なり神谷たくみ
鳥つつくこそばゆいよと柿子規忌神谷米子
床の軸ふくさたたみし子規忌かな亀井汀風
吾が猫も柿も団子も子規忌かな亀田荒太
今に来る国民皆句子規忌かな亀田稇
糸瓜忌やねぎ刻むにも五七五亀山逸子
閃いてため息ついて子規忌かなかめよかめ
もう3年庭見るだけの子規忌かなかもめ
子規忌の朝の薄青の枕かな花紋
子規忌なりデモの一番後ろの子カラスみず
あんぱんの臍に表情獺祭忌川越羽流
毎日をスマホに記す子規忌かな川村記陽子
モノクロの横顔子規忌の授業かなカワムラ一重
病床にて不滅の偉業子規忌思う樺久美
雨上がり傘は振るもの子規忌かな勘八
雨音がかき消す球音子規忌かな看板のピン
子規忌でも立ち眩みする空の色漢方十七錠
名湯の座敷一服子規忌かな紀杏里
子の咳の聞こえぬ夜よ子規の忌よ季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
子規の忌や野次に愛ある草野球北大路京介
ラジオネーム「落木」星を見る子規忌北川颯
ぽとんと落つる柿ひとつ子規忌かな北の星
午前二時子規忌の月は静かなり木下桃白
子規忌そっと供える黒ハンチング木村かおり
空見上げ孫と語らう子規忌かな木村かわせみ
子規忌かな今日は一人湯振鷺閣木村修芳
糸瓜忌や我も裾野を一歩ずつ木村となえーる
法隆寺長い白壁子規忌かな木村波平
腕出して予防接種や子規忌かなQさん
吾妹子と夜半まで句練る子規忌かなきゅうせき
子規忌にはつきなみなれど指を折る鳩礼
生かされて今日も目覚める子規忌かな京野秋水
子規の忌や齢重ねて知る己教来石
抱きしむる子規忌と遠く蒼き夜銀髪作務衣
フクロウの絵手紙描きて子規忌かな久木田紀子
空見上げ音読の日々子規忌前草山熊太郎
子規の忌や大谷見むと海渡る鯨尺
子の墓に菓子パン供ふ子規忌かな葛谷猫日和
根岸には竹の里人子規忌かな楠田草堂
灰色の影長じる子規忌なり楠美翠
獺祭忌国葬ふたつ連ねたるぐずみ
果実丸ごと丸かじり子規忌かなくずもち鹿之助
通勤のエアコン止む子規忌かなくせげ
鶏鳴の冴えわたりたる子規忌かな工藤遊子
野にボール転げてをかし子規忌かな國枝瞬山
幾重にも並べて見せて獺祭忌窪田睡鯨
コロナ禍を詠んで欲しいや子規忌かな球磨太郎
軒先にへちま探して子規忌過ぎkumipowa
撮影は横顔にして子規忌なり倉岡富士子
子規忌かな古びた座卓墨の香やぐりぐら京子
サウダージいま県外で詠む子規忌来ヶ谷雪
止められぬ咳に嘔吐く夜糸瓜忌空流峰山
アトピーの子の泣き叫ぶ子規忌かな紅さやか
さはさはと風吹き抜くる子規忌かな愚老
手探りで上掛け探す子規忌なり黒瀬三保緑
車窓から不二を眺める子規忌かな桑田栞
冴えざえと鐘の音夜半は子規忌かな桑原和博
「富有」「御所」偲び供養の子規忌かな鯨野
古書の山増えに任せし子規忌かな家古谷硯翠
夕暮に白球を追う子規忌かな元喜@木ノ芽
子規の忌や敬老祝ひのお赤飯小池浩美
縁側にへちまのびやか子規忌かな郷りん
天井の木目に龍や獺祭忌剛海
ばあさんがじいさん連れて子規忌かな幸久
よく食ふと言はれても食ふ子規忌かな香田ちり
子規忌や七時間超え初手術幸内悦夫
子規忌なり白そこひ捨て生き直す幸織奈
筆止めて子規忌知りたる昼下がり古賀粋漢
糸瓜忌や飛球の奥の蒼き空古烏さや
雉鳩の鳴き声真似て帰る子規忌こけぽて丸
孫子らに子規忌講じて悦に入りココヨシ
三渓園の投句のポスト子規忌かな小嶋芦舟
子規の忌や九回裏の打者走者小杉泰文
親指のクイック返句子規忌かな虎堂吟雅
抗らいし我が身重ねて子規忌哉後藤方丈
紙とペン座を正す朝子規忌かな小鳥乃鈴音
子規の忌とパン屋の前の行列と古都鈴
川沿いに赤き花燃ゆ子規忌かな小林のりこ
熱の子の氷枕を替ふ子規忌駒野繭
蒼穹に打球も高く子規忌かなこむぎ
子規さんや句会しましょう子規忌です五葉松子
ヨーヨーで犬のお散歩する子規忌今藤明
病み伏せば空が目に沁む子規忌かな今野淳風
子規忌の夕母に告げたき事ばかり西條晶夫
早世の子もあやかって供花子規忌西條恭子
言の葉の浮かびて沈む子規忌かなさいとうすすむ
痰からみ水飴舐めて子規忌かな齋藤鉄模写
ぐだぐだと相語らへば朝子規忌坂上一秀
長き記事虚しく死なむ子規忌かな坂島魁文
空翔る飛行機曇よ子規忌かなさかたちえこ
読みボラの絵本買い足す子規忌かな坂まきか
銘酒得て緩む笑顔の獺祭忌坂本千代子
ありし日の笑顔の父母の子規忌かな相良まさと
部屋満たす空気は清し子規忌かなさくやこのはな
子規忌とは風撓みたる糸瓜かなさくら亜紀女
珈琲の香り纏わる子規忌かな櫻井こむぎ
歯科医院のゴーヤ生る窓辺子規忌かな櫻井弘子
花屋過ぎ戻りて薔薇を求む子規忌桜鯛みわ
子規のこともっと知りたき子規忌かなさくら悠日
勝山の石垣微温し今日子規忌桜よし榮
子規忌など知らぬ私が今日も詠む笹おいけ
上野山子規の忌に訪う野球場さざんか
机には読みかけの本子規忌かな紗々
あえかなるヘチマランプや子規の忌来砂舟
初投句兼題子規忌超難問薩摩じったくい
この恋も熱量下がりて子規忌かな佐藤しのぶ
サインはヒットエンドラン子規忌かな佐藤俊
子規の忌や離れし友の便り待つ佐藤佳子
井戸跡の草ぐさ溢る子規忌かな佐藤レアレア
喜寿にして俳句始める獺祭忌佐渡の爺
久々の独碁に耽る子規忌かなさぶり
異国にて餡パン作る子規忌かな紗羅ささら
英国王追悼その前に子規忌澤野敏樹
日ハムの自力優勝消え子規忌三角山子
歳重ね湿布貼りたる子規忌かな斬九郎
城も呼ぶ白球空へ子規忌かなしかの光爺
二羽の鶏ついばみ遊ぶ子規忌なりじきばのミヨシ
薄皮の餡パンずしり子規忌かな紫檀豆蔵
いつの間に替わる祝日子規忌くる実本礼
子規忌見て思い浮かぶの九十九日東雲綾紗
子規忌雨レーダーの雲絶え間なく篠雪
餞の言葉探す今日は子規忌柴桜子
雨止みて薄日差し入る子規忌かな芝G
お茶を挽く父の横顔子規忌かな柴森爽
てのひらに血時は流るる子規忌かな縞子勾苑
糸瓜忌のブラックコーヒーなほ苦し嶋良二
寝間着干す袖に染みあり獺祭忌清水明美
子規忌の夜大暴投の始球式下丼月光
耳鳴りの日常となる子規忌かな芍薬
上野の野球少年の声子規忌かな沙那夏
子規庵へ行く道迷う子規忌かな写俳亭みの
枕もと月をながめる子規忌かなじゃむぱん泉
デジタルの全集軽し子規忌哉砂楽梨
名なし猫縁で寝ており子規忌かな秀耕
俳句帳遺品整理の子規忌かな朱康君
決済音に偲ぶるる子規忌かな珠桜女絢未来
論争を活力として子規忌かな寿松
図書館で涼み誤魔化す子規忌かな獣羅
語尾上がる子規忌異国の学生さんシュリ
躍動の大谷魅入る子規忌かな峻
女王に黙祷捧ぐ子規忌かなじゅん
古刹にて集ふる子規忌雨もよしじゅんこ
昆虫の翅をつまみて子規忌かな順之介@QLD句会
子規忌には涙が綺麗と笑顔かなショートケーキ
味噌汁の具がことばなり子規忌かな白井佐登志
松山城ぐるりと回る子規忌かな白井百合子
三世代でキャッチボールする子規忌四郎高綱
制服の干されたベランダ子規忌かな白とり貝
教科書の実朝二行子規忌来るジン・ケンジ
床ずれに苦しむ母に子規忌来る信州のあっくん
子規忌来る余生を託す脳内科新濃健
杯挙げて曲がる背父の子規忌かな新花水木
ベースボール投句入魂けふ子規忌酔軒
月並は吾の在るがまま子規忌かな水蜜桃
ビッグ・ベンの「鐘が鳴るなり」子規の忌に杉浦あきけん
子規忌なり女王の棺見送りて杉浦真子
籾殻の径に散らばる子規忌かな杉尾芭蕉
師が逝いて会えず点茶の子規忌なり杉山千鶴
子規の忌や自然に帰る樹木葬杉柳才
白きほととぎすの香子規忌にたゆとう涼風亜湖
ストライクアウトに沸き立つ子規忌の夜鈴木りく
子規忌くる敷島の四季の色彩鈴木暮戯
快晴の子規忌ふわり玉子焼鈴木もま
子規忌なりどこまで邪飛を追ひかけて 鈴木麗門
ふと止める雑草抜く手子規忌かな清白真冬
花も逝く土に名残の子規忌かな素敵な晃くん
獺祭を一気に干しし獺祭忌青児
軒端なる糸瓜の蔓も枯れ子規忌勢田清
本抱え子規忌参るや漱石と星夢光風
旬のものそろへ子規忌の調理台瀬尾白果
子規の忌や生粉打ち蕎麦を啜る音seki@いつき組広島ブロ俳句部
筆を執り子規忌想いてうた紡ぐ関根洋子
子規の忌に気象病なる腰痛む瀬戸ティーダ
『ホトトギス』読み襟を正す子規忌に瀬野広純
子規の忌の小さき俳人生まれけりそうま純香
子規忌の朝ふわっふわっの雲流るそしじみえこ
虫の声聞いてうとうと子規忌かな園蜩
糸瓜忌や眠る夫の鼻つまむ染野まさこ
雨の中ひとり佇む子規忌かな宙まあみん
うとうとと祖父に再び子規忌かな孫太
新聞に子規忌かの日の私もまた駄詩
我知るは暗き横顔子規忌かな大ちはる
山盛りのうり店頭に子規忌かな平たか子
罹患して独りリモコン並べる獺祭忌高石たく
句を詠む時間無し育休の子規忌高上ちやこ
子規忌けふ友の訃報にスマホ抱くたかこ姫
獺祭忌不治の病の君は今高橋基
吹き出しにごめんと入れて子規忌かな高橋芽澄
誰に聞く子規忌を知るに書をもとめ高橋紀代子
スケッチの頬骨の尖り子規忌かなたかはし薫風
糸瓜忌の今日味噌汁の具は豆腐高橋なつ
果物の剥く手を止めし子規忌かな高橋ひろみこ
鐘の音の遠く無聊や獺祭忌高橋ままマリン
有名な子規の横顔獺祭忌高橋光加
夫より長く生きし吾明日は子規忌田上コウ
子規忌かな佳作の欄に載る投句高見正樹
子規忌や吸入器かすか見え始む高山夕灯
キャッチャーフライ高く高く子規忌かな高山佳風
子規忌まで愛でたき白や烏瓜滝谷朗
横顔に憧れたるや子規忌来る卓女
句を愛でて横顔ゆかし今日子規忌多胡蘆秋
「もう子規忌」愛媛の友より来しメールただ地蔵
和暦五つ重ねて今日は獺祭忌唯飛唯游
キャンバスを伏せ置く生徒子規忌かな立川茜
残照に野の花染まり子規忌かな橘春容
古車両見て思い出す子規忌なり立花かおる
子規忌こそ友の手紙を読み返す橘美和
子規の忌やどこかで猫が鳴いているダック
カレンダー小さな印子規忌なり田鶴子
山寺の鐘聞きにけり獺祭忌たていし 隆松
獺祭忌暗闇の寝屋で手影絵楯縫十四二
巻を措く能わず更ける子規忌の夜田中勲
白球は子規忌の空へ上がりけり田中紺青
通い路は細道なりき子規忌かな田中洋子
敷金を払い忘れた子規忌かな谷卓生
さっぱりと晴れし子規忌に水やりす谷川夏彩
子規の忌や列島嵐が通り抜け谷口あきこ
子規忌なりさてと吟行散歩かな谷口美奈子
糸瓜忌や砂糖水さえ飲めぬ熱谷本真理子
再読は仰臥漫録吾の子規忌多歩右衛門
詠むことは生くることなり獺祭忌玉井令子
玄関の色を決意す子規忌かなタマゴもたっぷりハムサンド
書も良いがひらめきもくれ子規忌願智同美月
雨雲の月隠したる子規忌かなちゃあき
若き日の野球小僧に子規忌かな塚本隆二
子規忌なり教科書の句を暗誦すつきか
横顔の理由を検索子規忌の夜月見里ふく
沈み陽に母の影見た子規忌かな月夜案山子
子規の忌や地図では近し伊予国つくも果音
雲かかる月を見上げし子規忌かな辻ホナ
子規の忌や翔平の飛球直球つじうちみえこ
糸瓜忌のび放題の草の影対馬清波
衆人の視線や空へ子規忌かなつちのこ
日一日四季移ろう子規忌かな椿律
押入を引っかき回し子規忌かな露口全速
ホームラン黄色い声の子規忌かなツユマメ末っ子@10歳
年老いた母の夜着買う子規忌なり弦巻英理華
獺祭忌机の上の探し物寧陪禰
子規忌かな一陣の風吹きぬけて手嶋錦流
山を見て海と詠むなり子規忌かな哲庵
子規の忌の一膳の粥湯気白し哲山(山田哲也)
獺祭忌俯瞰諦観達観と徹光よし季
子規の忌や寝転んで見る草野球てまり
転職を決めコーヒーの子規忌かなてんてこ麻衣
なじみ集と筆ふくらみ子規忌らしトウ甘藻
句も歌も野球も死なぬ子規忌なり峠南門
療養日延びて迎ふる子規忌かな藤白月
今日もまだ不織布マスク子規忌かな道見りつこ
「野ぼーる」の歓声空へ子規忌かな遠峰熊野
泣き脅しついつい負ける子規忌かな時小町
旬のもの腹一杯に子規忌かなとき坊
オオタニサンの笑顔眩しき子規忌かな時まる
ブリキ缶詰めたるメンコ子規忌かなときめき人
ホームラン待ちて深酒獺祭忌どくだみ茶
この部屋に一輪挿しと居る子規忌どこにでもいる田中
子規の忌の草田男の墓ねこばかりとしなり
句めくりに今日の句探す子規忌かな杼けいこ
子規の忌や木をなぎ倒す強き風十津川ポロ
「ペンは剣より強し」と願う子規忌かな冨川 友香理
子規忌来るまだ青柿の我が身かな富田松夫
踏み出せる背中見つめし子規忌朝友@雪割豆
ばっちこい子規忌に千本ノックかな鳥田政宗
子規の忌に我が黒猫のうなだれて とわずがたり
句を詠みて初めて子規忌迎へけり豚々舎休庵
筆を折る日はまだ先に子規忌かなとんぶりっこ
黙祷の時刻を誰に問ふ子規忌なおじい
腰痛め寝ても覚めても子規忌かななかかよ
糸瓜忌やその横顔を万札に中十七波
白球の何処に消えし獺祭忌中里凜
子規忌月見とれて投句考えり中嶋 和久
金継の備前に香こ子規忌かな中島葉月
十七の言葉のパズル子規忌かな中嶋京子
キャッチャーでありし日もある子規忌かな中島圭子
子規の忌に糸瓜で洗いあやかれり中嶋緑庵
子規の忌や漱石が来て虚子も来た中嶋倫風
さておいて鯛は捕れたか獺祭忌中原柊ニ
平明と平凡の差が子規忌なり中平保志
子どもらと言葉繋げる今日子規忌中村こゆき
夫入院机整ふ子規忌かな中村あつこ
糸瓜忌や妻と行く市民映画会なかむら凧人
早朝のしょんべん横丁獺祭忌中山睦男
御陵をすうと出づ鷺子規忌かな中山由
古きよきめぐる毎日子規忌かな夏空なみ
子規忌の空ユニオンジャックの半旗かな夏野あおのり
古書店に雨おしえらる獺祭忌なつふじ
芭蕉句碑探す粕壁獺祭忌夏目坦
鳥のとぶ軌跡のアート子規の忌の七草木香
嵐過ぐ思えば昨日子規忌なり七国独楽男
「想い出してくれるなよ」と子規忌かな菜々の花畑
記念館けふは子規忌ぞいてこうわい浪速の蟹造
子規の忌に羽二重団子食べており名前のあるネコ
糸瓜忌や媼のベッド越しの空奈良素数
子規の忌に漱石デビュウ作を読む新美妙子
室温の果物ぬるし子規忌かなにいやのる
詠めばなほ功徳あるべし子規忌かな西尾翠峰
鐘の鳴る響き並べし獺祭忌西尾至雲
近況を知らぬ友ゐて子規忌かな西爽子
少数の句会忙し子規忌かな西谷寿
糸瓜水あふれ土ぬめぬめ子規忌西の京あんこ
子規忌なり少し歪みし小さき庭西村小市
飛鳥から子規忌感じてペダル踏む二上松風
参考書句帳編針獺祭忌新田 ダミアナ
糸瓜忌や固き梨状筋ストレッチ庭野環石
子規の忌日や茎をぱちりと躊躇なく沼沢さとみ
父の墓居住まい正し子規忌かなねがみともみ
子規忌なり唇湿す一雫塒小判
最後まで筆握りたし子規の忌に根々雅水
またひとつ花の名を知る子規忌かなノアノア
道後にて足延ばしたる子規忌かな野中泰風
湯冷ましのひとくち甘し子規忌かなのりこさん
子規の忌や検索音にコーヒー香則本久江
球音で外が気になる子規忌かなパーマン
「うちの子はサウスポーなの!?」子規忌来る灰谷素数
子規忌なり咳一つして誕生日白庵
ほのぼのと染まりて迎ふ子規忌かな白咒と蒸しエビ
友の居り今宵雑魚寝の子規忌かなはくたい
横臥して大空を見る子規忌かな橋爪利志美
子規忌知る今なら吾が治せたに波止浜てる
「がいじゃろう」子規の忌の果実タルトよ橋本恵久子
壁うらの糸瓜を手繰る獺祭忌橋本こはく
売り家になりぬ実家や子規忌かな橋本汐里
子規忌過ぎ熱き茶ほしい朝餉かな馬笑
ダイヤルを二本で廻す子規忌なり馬笑夫
子規の忌の朝は大盛りのつゆだく長谷機械児
ドップラーの波長をなぞる子規忌なり長谷島弘安
メモ帳に子規忌と書いて散策す初野文子
子規忌知り食べ頃を見る庭木の実花岡浩美
校庭に野球快音子規忌かな花岡淑子
残る手習の香叔父は逝く子規忌華樹
庭草の端から見上ぐ子規忌かな花弘
右脳へと満つる晩鐘子規忌かな花咲明日香
子規の忌に会いたさ見たさ旅支度華姫
子規忌きて柱に凭れ仄かなり英凡水
子規の忌やスマホにぎりて根岸の地花和音
子規の忌の心窩を鳴かすにぎり飯はのん
はらはらと野球観ている子規忌かな羽馬愚朗
水遣りて葉の潤ひて子規忌かな浜けい
いさかいの絶えて久しき子規忌かな早川令子
女王と別れの日とも子規忌かな林一子
発熱の診察は外子規の忌ぞ原水仙
律さんも偲んでみたい子規忌かな原善枝
子規の忌やキャベツどっさりメンチカツ原田民久
教え子の葉書が届く子規忌かな原野乃衣
老いの楽しみ子規忌は曇の上のことharu.k
丸い頭にたゆたう言葉子規忌はるなつきえ
吾も風もいのちと聞こゆ子規忌かな晴菜ひろ
子規の忌や父の遺稿の道しるべ春海のたり
白球に一喜一憂子規忌かな春幸
鶸色の子規忌草揺るる子規庵はれまふよう
黄肌に田さざ波をうけ子規忌なり榛名ピグモン
寝床から花壇眺める子規忌かなひーたん@いつき組広ブロ俳句部
子規の忌の雲ひとつない坂の上東の山
甘口のカレーを煮込む子規忌の夜東原桜空
病む身には子規忌一入嘆かるる東山たかこ
子規句集繙く月や子規忌なり比企野朋詠
咳に痰長き療養明け子規忌ひぐちいちおう(一応)
子規の忌の墓碑や月給四十圓樋口滑瓢
教科書の変わらぬ挿絵子規忌かなひなた和佳
青空の色の落ちつき子規忌かなひな扶美子
子規忌なり亡母想い出す不肖の娘ひのひろこ
獺祭忌机上にあるはスマホのみ向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
血の熱れ洗い清めて糸瓜忌や緋夢灯
子規忌には俳句を供え手を合わせひめりんご
やうやくに健康診断終ゆ子規忌平井千恵子
枝豆はむかふにこぼれ子規忌の夜平岡梅
荒天を恨みペン置く子規忌かな平野孤舟
子規の忌や姉の愛用美顔水平林眞砂
幾度もさよならを言ふ子規忌かな俳号:釋愚拙
風速15キロ本日は子規忌廣重
ああ子規忌ひとり言よと歌を詠み廣田惣太郎
投稿はスマホで入力する子規忌ひろ夢
倍生きて南無阿弥陀仏子規忌かな琵琶京子
月並みの千回過ごす子規忌かなフージー
嬰児の産声あげる子規忌かなFUFU
子規忌かな散らしに書画を書き尽くす深町明
嵐夜に喰わず雑魚寝の獺祭忌深蒸し茶
仏飯の奥へ湯気立つ子規忌かな福田みやき
哲学を捨てて文人子規忌かな福田律子
澱み避け誰かの唾を踏む子規忌福良ちどり
まかれし種の発芽まつ子規忌かな藤井かすみそう
坊ちゃんを一気読みする子規忌かな藤丘ひな子
色あせぬ歳時記も汚れり子規忌藤川雅子
子規の忌に見上げる坂の上の雲藤倉密子
吾輩も語り合いたき子規忌かな藤田順治
道後の湯わが家で浴むる子規忌かな藤田陽太
並べたる句の自薦中獺祭忌藤田康子
薄荷飴ばかり残りし獺祭忌藤田ゆきまち
朱字遺る祖父の字引きの子規忌かな藤れんぎょう
俳句齧り早五回目の子規忌かな藤原訓子
ボール咥え犬駆け回る子規忌かな布施無門
庭先に遊びくる風子規忌かな双葉@あさ葉会
食卓のガタガタ直す子規忌かな豚ごりら
色づいた山肌仰ぐ子規忌なる古澤久良
欲まみれ食べ物アート子規忌かなヘッドホン
寺町に鐘鳴り響く子規忌かな鳳凰美蓮
写生詠む教えを胸に子規忌かな芳明
山頭火松山にいきざす子規忌墨純
子規忌や置かれたままのバイオリン細川小春
夫留守猫四匹と子規忌かな細野めろん
古傷をなぞる指先の子規忌ポップアップ
再生を誓い投句す子規忌かな堀籠美雪
才槌の君を偲べる子規忌かな堀ノ内和夫
子規忌なり異国で一句ひねる夜香港ひこぞう
のぼさんを食べ放題へ子規忌かな凡々
松山は仄と湯の香子規忌かな本間美知子
いたずらに杯を重ねる子規忌かな凡狸子
リモートの父はイケてる子規忌かな舞白祖父登
子規の忌ぞ大吟醸のキレッキレ前田冬水
我と吾子の我儘赦す子規忌かな茉叶
古希過ぎて子規忌なる日を加えけり牧野敏信
くうて寝て目覚めしけふは獺祭忌雅蔵
アスファルト雨の匂いの蒸す子規忌まじかにゃんちょろう
来る子規忌青空臨み土手に立つまたあ
球児らを笑みて見送る子規忌かな町田勢
子規忌の頃天気図には台の文字松井研
布団から庭を眺むる子規忌かな松井醉呆
毒の朱花子規忌過ぎてもくるいざく松浦宣子
子規忌なりまだ行く道は定まらず松岡玲子
宅配の果実どっさり子規忌かな松尾祇敲
歳時記の糸瓜忌に知る三句かな松尾老圃
球音の続く子規忌の上野かな松平武史
子規の忌に澄むバグパイプの葬列抹茶子
我が痛み隠してしのぶ子規忌なり松野蘭
平静の顔であんぱん食う子規忌松本俊彦
内視鏡検査良好子規忌かな松本裕子
子規忌なりペンと向かいて夜は更けて松本牧子
半袖か着る服悩む子規忌の頃茉莉花
キレイにもそれぞれの意義子規忌なりまほろば菊池
子規の忌の外つ国の空重いまままめばと
あぜ道に一服の声子規忌かなまやみこ恭
子規忌来る二十世紀を飛び越してまりい@木ノ芽
真似をして仏頂面の子規忌かなマロ爺
野良犬にどこ吹く風と子規忌かな三浦金物店
ルームシェアする友欲しくなる子規忌澪那本気子
球あそびも短かりける子規忌かな三崎扁舟
ポイントで育毛剤を子規忌かなMR.KIKYO
紡ぐ意あれど手進まず子規忌かな水乃江辰
子規忌かな仮想通貨をポチる夜巳智みちる
子規の忌や糸瓜友にあげ申す光子
エコバック孤独を詰めて子規忌去り觀蝃儺鸝蠱
温泉に浸かりて想う子規忌かな湊かずゆき
鐘鳴りて桶に水汲む子規忌かな見屋桜花
目瞑れば庭の雪見ゆけふ子規忌みやざき白水
行く人の袖丈見やる子規忌かな宮原みかん
谷中から夕陽子規忌を思いけり雅乃珠晃
厄除けのかわらけ投ず子規忌なり宮村寿摩子
疫病の床に鐘の音子規忌かな宮村土々
戦況は遠くなりたり子規忌の夜未来に詩編む
噛み合わぬ母との会話唸る子規忌三輪白米
坪庭の空は宙へと子規忌かな夢雨似夜
米国の野球朗報獺祭忌霧想衿
松山の坂に立ちたる子規忌かなむねあかどり
子規忌には始発電車の音聞こゆむめも
母となりしわが娘の寝顔子規忌かな村上の百合女
仏とや筆からペンへ継ぐ子規忌村上柚子こしょう
子規忌有り月並みである有り難み村先ときの介
子規忌なり昨日も今日も降り止まず村のあんず
球場に句碑在り在りや子規の忌来村松登音
伏してみる鋸山に子規忌かなむろや
無名橋子規忌驚く天念寺むろや@いつき組ひろ俳句部
コーヒーの香り漂う子規忌かな恵のママ
死にたいと母の絶叫子規忌あり目黒智子
抱卵の親のくちばし獺祭忌メレンゲたこ焼き
窓枠の内は賑やか子規忌来ぬ毛利尚人
けだるさに寝返りひとつ子規忌かな茂木りん
子規忌来て喉触る息蜜果煮る木曜日
カーテンの映る窓際子規忌かなモコ
子規忌なり大福三つ食ひてみる望月ゆう
草野球延長戦の子規忌かなmomo
書を閉じて吾も端くれ獺祭忌桃香
窓越しの庭のさみしき子規忌かな森佳月
永遠と吾子の手繋ぎ子規忌かなもり葵
坊ちゃん列車の汽笛の響き子規忌かな森下薫
明かり紐の蓄光球見あぐ子規忌森田祥子
網棚に赤いグローブ子規忌かな森中ことり
眠れずにしらじらと子規忌の朝よ森山博士
プチ炎上通知切りつつ子規忌かな杜若 友哉@はなばた俳句会
子規忌かな燗の注文店主笑む諸岡萌黄
子規忌の野フィールドに二刀流もろ智行
朝の景なかしちさがす子規忌かな焼津昌彦庵
嗚呼子規忌天に届けよオータニよ八木実
ガラス戸のひび割れなぞる子規忌かな薬膳容子
常は見ぬ野球をながめ居る子規忌痩女
渡船から鳥居眺める子規忌かな柳井るい
病床のまだ生きたかった子規忌かなやのかよこ
積読の本を売らずに子規忌かな矢橋
エリザベス女王の葬儀なる子規忌八幡風花
子規の忌や野球放送延長す山内彩月
子規忌の夜網戸の風と薄布団山木戸兆舞
瀬戸内の朝日見納む子規忌かな山口香子
家ひとつ蔦に絡まれ子規の忌や山口雀昭
窓を開け花の水替え今日子規忌山口たまみ
糸瓜忌や立ちて座りて臥して過ぎ山崎かよ
青墨の友へ近況子規忌かなルージュ
老いてよりじつともの見る子規忌かな山下守
子規の忌やへちまぶらぶら亡母の庭山育ち
句碑尋ね学ぶ弟子あり子規忌かな山田季聴
糸瓜忌や蝋燭祈りを浄化せる山田啓子
百年越え栄し野球子規忌かなやまだ童子
今宵は子規忌歳時記は宝箱山田はち
音読で句の心見え子規忌かな山田文妙
子規の忌や食うて己を宥め賺す山田喜則
子を片手句帳片手に子規忌かなやまな未
親孝行言われ墓買う明日子規忌山野花子
子規忌修す老いて俳句のなお楽し山薔薇
夜雨にも緊急走行子規忌かな山彦一水
子規忌なり心は早くも伊予の国山本康
夕暮れにひとり佇み子規忌かな山本蓮子
下駄の音ひびかせて来る子規忌かな山吉白米
また自戒して子規の忌の迷い箸優木ごまヲ
あさつてのなーべーらーを買ふ子規忌有野安津
子規忌来て城みて月みて飯喰らふ宥光
獺祭忌女王と子規のダイアローグ雪ノ下青観
拙き句を笑わば笑へ子規忌かな柚木啓
子規の忌や取ってあげたし糸瓜水宙美
張り声で次々詠んで過ごす子規忌ゆるランナー
子規の忌やなみだこらへてにぃにだもん陽のばぁば
松山や今は流行りの子規忌なり夜香
新聞の一句に震う子規忌かな横田信一
子規忌から糸瓜に行きヘチマ知る吉哉郎
玉太りじっと眺める子規忌かなよしぎわへい
句を詠みて折る指先や獺祭忌好子
早や子規忌訓練の鐘鳴り響くよしだばあば
暴風雨令和四年の子規忌なり吉藤愛里子
子規忌知る「坂の上の雲」どこへY・りこ
思い馳す根岸のいほり子規忌かなよりこ
あやかりて閃けばこそ子規忌かな楽和音
外気浴胸広げ吸う空子規忌ラタタタム
子規の忌や三位争う巨人いてらりっく
子規忌なり裏しか見せぬ表顔リーガル海苔助
歳時記をめくるうれしさ獺祭忌リコピン
子規の忌や吊り橋抜けて松山へ良俗倭人
影細く実の無い蔓の子規忌かな麗詩
金之助なんだいノボさん子規忌かな連雀
子規忌くる棚田にひかる黄金色蓮風
つるつるの褥瘡痕や獺祭忌六地蔵と狛犬
白球の友と語らい子規忌かなわきのっぽ
前を向く写真見てゐる子規忌かな和多クレオメ
今日子規忌か黙祷昼のサイレンに海神瑠珂
大空を綿毛ふうわり子規忌かなわたなべすずしろ
試されて詠みし子規忌の夕の色渡辺香野
子規の忌や健診結果届きをり渡辺陽子
山鳥の声高らかに子規忌かな渡邉わかな
横顔の視線の先は嗚呼子規忌和の光子
甘やかにパン焼き上がる子規忌かな夏湖乃
子規の忌のアンパンの香のほの甘く緒方朋子
あんぱんのへそ押してみる子規忌かな紙谷杳子
糸瓜忌の粒あんパンにつける胡麻ゆすらご
あんパンの粒のひかめく子規忌かな千代之人
ヘチマコロンのポスター褪せて獺祭忌雨霧彦@木ノ芽
引退試合子規忌の空に雲一朶音館由佳
消灯の一間が遅し獺祭忌すいよう
糸瓜忌やローンテニスのライン引く那須のお漬物
教科書の落書きモヒカンの子規忌へなけん
子規忌に記す養生訓読了もりたきみ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増え、混乱が生じています。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。
②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 子規忌には 糸瓜炒めの 料理食べ戸田紀美子
- 松山の 母恵夢取り寄す 子規忌かな戸田静雄
- 子規忌なり 鬚髯蓄えし 横顔よ招き幸運
- 子規忌来 アラサーの我は アラフォーへ瀧山ゆう
- TV見て MVP争い 子規忌かな東海
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なり
- 子規忌あり仰ぎ見る空秋の色松尾美郷
- 秋風に想いときめく子規忌なりお寺なでしこ
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
●文字化け…
- 子規の忌や?啄ひかり風となる坐花酔月
うーむ……推測しにくい文字化け。
●兼題とは
- 耳の毛を秋風がゆらすこもれ日の庭小野鸞麗
- シャボン玉心の虹が透き通る松井響己
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は季語「子規忌」での募集でした。次回兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●前回の兼題
- 螽蟖住まふ無人の街宣車彼方ひらく
- 螽斯一般に泣こう荒れ野原パンダ
- 街は路肩に縁取られきりぎりす宮康平
前回の兼題です。投句〆切に遅れたか、残念。
●「子規」は入っているが「子規忌」ではない
- 病んだとて野球少年子規魂草道久幸
- 曼荼羅の恰も子規の句雨がうつ木村虎白
- 子規の空畳一畳ビルの街関谷佳肴
「子規」という言葉は入っていますが、「子規」だけでは季語になりません。「子規忌」=子規の亡くなった日、九月十九日。これが季語になります。
- 草叢に小便散るや子規なり中島隆
この句は、下五が「子規なり」と四音になってるので、「忌」の一字を入れ忘れたケースだとは思うのだが……残念。
●添削
- 下血あり子規忌に丸しツーアウト321ちいに
「下血があって、もう自分の身体は二死くらいな状態……」ということを書きたいのか? と推測しますが、内容が読み取りにくいのが難点。仮の添削となりますが……
- 【添削例】 子規の忌の下血人生ツーアウト
「子規の忌の下血/人生ツーアウト」斜め線の所に意味の切れ目があります。このように書けば、ひとまず意味は伝わります。
●季語深耕
今回の投句の中には、「子規忌の日」という措辞がけっこうありました。
- 子規忌の日サボテン次郎切ると決め池田悦子
- 子規忌の日その住まいをば訪ねけり大島一声
- 子規忌の日根岸の坂に日が沈む酒暮
- 葉を揺らす風と語らう子規忌の日四季彩
- 初守備は大差の予選子規忌の日釋北城
- 子規忌の日雨の根岸の子規の庵ダメ夫
- ティラミスを食べさせたいよ子規忌の日桃井ゆらら
ひょっとすると、「子規忌」を「子規忌という法要」と捉えていて、「子規忌の日」という書き方になっているのかもしれません。
「子規忌」とあれば、「~の日」は不要です。- 子規の日のまろき鉛筆肥後守きのえのき
「子規の日」という使い方もありました。
ひょっとすると、以下のワタクシの句が、誤解を生じさせているのか、と気にもなりました。- 子規の日をすぎて芒の日々ありぬ夏井いつき
この句は、「子規の日」という使い方。忌日をイメージさせつつ、主役たる季語「芒」を描いています。
「子規忌」の傍題に「糸瓜忌」があります。「へちまき」と四音で読みますが、投句の中には「いとうりき」5音だと勘違いしているらしき句もみられました。
さらに- 糸瓜の忌ガーゼが水をふくむ音足立智美
- 城壁に長き親石糸瓜の忌華胥醒子
- ぐだぐだのナーベランプシー糸瓜の忌ケンG
- 地球儀の縁取り青し糸瓜の忌宏楽
- 逝きし夫と月光踏んで糸瓜の忌谷町百合乃
- 糸瓜の忌飯待つ間水を呑む小山秀行
- 濾紙の谷筋へ澱糸瓜の忌千歳みち乃
- 朝の来て痰の一発糸瓜の忌あたしは斜楽
- 最期の眼澄みて澄みきり糸瓜の忌伊藤治美
- 実らずの棚を見上ぐる糸瓜の忌卯月紫乃
- 写実句を割って覗くや糸瓜の忌岡塚敬芳
- 野にボール投げて何処まで糸瓜の忌嶌りす
- あんパンは粒派かこし派か糸瓜の忌原島ちび助
これらの句の「糸瓜の忌」という使い方にささやかな違和感を持ちます。
「子規忌」を「子規の忌」とするのは、「子規が亡くなった日」という納得もあるのですが、「糸瓜忌」を「糸瓜の忌」とすると、「糸瓜が亡くなった日」? でいいのかなあ、と。
「糸瓜忌」が四音なので、「糸瓜の忌」と勝手に5音にしたのか? と勘ぐってしまいます。- 積読の音なく崩れ糸瓜の忌公木正
- 【添削例】 糸瓜忌や積ん読音もなく崩れ
- 横顔の耳小さきこと糸瓜の忌葉月けゐ
- 【添削例】 糸瓜忌や横顔の耳小さきこと
- 棚伝ふ雨の韻律糸瓜の忌唯果
- 【添削例】 糸瓜忌や棚伝ふ雨の韻律
語順を替えることで、十二分に成立します。「糸瓜忌」を十七音のどこにどう入れるか。その工夫を期待します。
- 六尺の宇宙は広し糸瓜の忌仲操
- 【添削例】 六尺の宇宙は広し獺祭忌
この句の場合は、子規の『病牀六尺』から「六尺」という言葉を引いてきたのだと思います。ならば、むしろ「獺祭=枕元にあれこれを並べているイメージ」のほうがよいのではないかと考えます。
傍題を使う場合は、その必然性についても一考してみましょう。
お待たせしました!9月の兼題「子規忌」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。「子規忌」「糸瓜忌」「獺祭忌」と、同じ意味でも異なる文字数・異なるニュアンスになる兼題・傍題でしたね。そこから何を選び、どう使うかに個性が色濃く出た回だったように思います。11月の兼題「冬凪」もふるってご応募ください(編集部より)。