夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
5月の審査結果発表
兼題「滝」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
縦走の三日目は晴れ瀧しぶき
望月ゆう
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夏井いつき先生より
「縦走」とは、尾根歩き。幾つかの頂上をたどって歩く登山形式です。事典には「最も一般的かつ基礎的な方法」とありましたが、尾根伝いにずっと整備された登山道があるわけではないでしょうから、それなりにハードな登山に違いありません。
この句は「縦走の三日目」、そして「三日目は晴れ」なのです。ということは、ここまでは雨。体力的にも厳しい二日間だったのでしょう。雨の野営から一夜が明けます。晴れ上がった空を見上げ、歩き出せば、少しずつ力が蘇ってくるようです。やがて見えてくる瀧。近づけば、涼やかな「瀧しぶき」。こんな瀧との出会いもまた、縦走の魅力。たった十七音で、広い景を描きつつ人物や時間経過までをも描く、鮮やかな作品です。
滝壺をくぐりしづかなみづとなる
稲畑とりこ
滝の上に現れてから滝壺に落ちるまで、水は怒涛の塊ですが、滝壺をくぐれば「しづかなみづ」となっているという発見。動詞「くぐり」の選択、下五「となる」と着地させた余韻も成功しました。
真青なる空キリストのやうな滝
広瀬康
真っ青な空を背景に一筋の滝。細細と痩せているのに、崇高な空気に包まれている。そんな滝を思いました。見たことはないのに、今、眼前にあるような心持にさせる。それがこの比喩の力です。
滝の裏より鈴の音の絶へ間なく
秋沙美洋
滝の裏から聞こえてくる鈴の音。滝裏が行者道となっているのでしょうか。「滝」という存在を描くための比喩でしょうか。下五「絶へ間なく」の余白は、虚実の音に耳を澄ます心地のようでもあり。
滝しぶきに濡れるまで寄る吾らかな
越智空子
誰がと言ったわけではないのに、滝しぶきがかかる辺りまで、みんな進んでいくのです。「滝しぶきに濡れる」とは、滝を己の体で実感すること。下五「吾らかな」にささやかな愉快も感じられます。
滝を見にジャワ語をしゃべり馬をひく
アシツノカラ
「ジャワ語」の一語で、一気にインドネシア辺りにワープ。どんな滝だとか、今日のお弁当のこととかおしゃべりしつつ、馬をひく。見に行く途中も「滝」という季語体験なのだなあと嬉しく拝読。
きつねあめあかるく滝をぬらしけりRUSTY=HISOKA
滝音に変はる水音ありにけり山田蹴人
ここまでを滝と覚える湿りかな錆田水遊
駐車位置まで滝音に濡れている火炎幸彦
滝の影黒き巌に黒く在り海峯企鵝
風に濡れつついつまでも滝の前にゃん
滝落ちる大空すこし傾けて愛燦燦
滝しぶきおそふ我が身は腐敗中藍野絣
十割の蕎麦湯の濃さや滝涼し青井晴空
滝の水指先ぎゆんと掴みけり青居舞
みづをとどめてゐるやうに落つる滝青空まる
滝轟々水音で水音を消し青田奈央
議題一三班に教えるか滝青に桃々
真鍮の釘のごときに滝の落つ蒼鳩薫
滝へ出て同行二人荷を降ろす蒼來応來
滝近し話すつもりのない話赤波江春奈
仙人の連れションのごと滝二層赤馬福助
滝巡り二瀑三瀑骨振動赤目作
嬉遊曲や四段の払沢の滝明惟久里
土曜日が滝のしぶきに濡れそぼる秋野茜
杉鬱蒼杉杉抜けて風と滝彰乃泉
耳で見る白杖のきみ滝聴きて秋乃さくら
滝の白我の白とは異なれど淺井翠
六合を真二つ滝やただ真直ぐ朝雲列
傷呑むや滝の明滅が眩しい朝倉カグラ
攀ぢ登る爪に力や滝飛沫朝月沙都子
滝詣でたれば肺までみづみづし明後日めぐみ
みづに沈み滝の尾はみづへと還る字土街海
五十度は滝と呼ばるる角度かなあさのとびら
正面に滝を望める札所かな麻場育子
神様に撫でらるるやう屋久の滝芦幸
易やすと猫跨ぎゆく作り滝あじさい卓
滝を見るふたり見ているミニクーパー梓弓
翼入る水切るごとく滝の奥あすなろの幸
背の龍に瀧を浴びせる女かなあたしは斜楽
夜は滝の音近くなるライムを二滴足立智美
滝あればヒクヒク探るささのかざ中はじめ@木ノ芽
幽谷の不意に開くるや滝迫るat花結い
作り滝裏の沢より引き落とす跡部榮喜
落つるなかに昇る水あり瀧の魂あなうさぎ
滝の涯て竜の飛沫を掬いたり阿部八富利
瀧の音鸚鵡は戻つてこないかも天風月日
首痛む空が水吐く那智の滝天川滴翠
岩肌に静脈のごと細き滝あまぐり
華厳滝躊躇いなしに落ちにけり数多未完
神と聞く那智御滝の轟きやあまねくみぞれ
瀧高し神の決めたること多しあまぶー
落ち口の巨岩砕けて今日の滝アマリリスと夢
滝砕け岩駆け上がる風となるあみま
滝といふ毀るるための渾身か綾竹あんどれ
水音を追いて山道この滝ぞあやや
生くること可も不可もなし滝涼し荒一葉
裏見滝ひかりとしぶきまみれかな新多
湛水のほつれるところ滝の音蛙里
曲線へはふられ滝の厚みかなありあり
掌を射抜くが如く滝無尽ありいかな
竜宮に通じるてふ吹割の滝有本俊雄
この滝はこの世の果てか初まりか在在空空
光芒とみづのとばりや滝の裏アロイジオ
「今なんて言ったの」滝の音が消すアンサトウ
滝壺や眠れる龍の長きひげ安春
爆音の加速の滝や命立つ杏っ子
滝の前戻れとあがく水もあり飯田淳子
隠れ滝もりの光を生みにけり飯村祐知子
そうか正しい道だったのだ 滝が冷たいいかちゃん
朝の滝昨夜の雨のまた轟粋田化石
滝の音の十六ビート刻みけりいくたドロップ
私いま滝の真中に立ちゐたり生野薫
流れ来て滝と呼ばれて水光る郁松松ちゃん
滝に来て滝にふくらむ副鼻腔池内ときこ
渓流と滝の境を指差しぬ池之端モルト
耳に滝落ち続けたる那智の夜イサク
千年をみづ新たなり滝轟くいさな歌鈴
落ちきつて滝は地へ根を張るやうに石井一草
がうがうと瀧へ生まるる無重力石井茶爺
滝の碧藤井五冠の長考いしいるぴなす
滝飛沫メガネの蔓のセロテープ石垣
滝いまは星をあつめて落とし居り石川聡
青空を背負投する滝のあり石崎京子
空よりも早く暮れゆく滝の音石塚彩楓
七面山の木霊となれり滝の音石原(花野)
断層を露出させたる滝白し石間毅史
瀧離れ別れ話の蒸返し和泉攷
瞬きのコンマ15を滝落ちる磯野昭仁
みづがみづ破りて瀧と集ひたる石上あまね
滝立ちぬ養老の森支へんと板柿せっか
夜の滝神の帷は青めけり市川りす
那智の滝身振り手振りでする会話いちご一会
滝の音たどりて淵の碧かないつかある日
滝眩し夏虫色の風生まる斎乃雪
神々の火花ゆたかに大瀑布一斤染乃
水郡線瞼で滝の轟ぬ一秋子
滝音が打ち消すあれやこれやそれ井出奈津美
行者そば2玉温め滝見茶屋伊藤亜美子
滝壺へこわごわ銅貨放りけり伊藤順女
興味ない滝を後ろに記念写真伊藤どらやき
滝の音耳から澄んでゆくからだ伊藤柚良
大滝の落ちて大地の息激し糸川ラッコ
滝の音一人寝返る野宿かな伊ナイトあさか
真昼間の天ぎらぎらと瀑布かな井中ひよこ号
滝おちて水くづれたる巌かな伊奈川富真乃
手話に聞く一行のあと滝の音いなだはまち
滝もまた巖の堅さに曲がりをり稲葉雀子
手の切りし滝のかるさを快晴へ居並小
滝しぶき轟音は喧騒を消し伊縫音々
裏見れば滝の子宮に包まれリ井納蒼求
抜け道を膝励まして滝壺へ猪俣保子
滝割りて滝より滝滝より滝井原冴
闇迫り滝音遠くなりにけり今井淑子
この細き滝が六根浄めんといまいち
碧空や岩を持ち上げ滝落つるイマスノリコ
滝の音や庵に続く竹林今西知巳
滝眩し聞き返すとき傾ぐ首妹のりこ
現金しか受けぬ市バスや滝の前伊予吟会宵嵐
一爆に打たれて白衣はりつけり入江幸子
有耶無耶を滝に投げ込みあっけらかん岩木順
ユニコーン滝駆け昇り飛沫落つ岩清水彩香
反転の滝や空へと果てもなく岩清水蒼天
また風の呑まれてゆくや滝の上磐田小
トンネルに瀑声響く四度の滝上田次郎
手の平にのせて撮りたる那智の滝上野眞理
終わりなきはぢまりもなき滝のみづ上原淳子
夜の滝しぶく誰かに触れたき手うからうから
滝落ちて水弾力を取り戻すうさぎまんじゅう
緩斜なる滝へ鋭角なる光内田こと
陽を浴びて堕ちし奈落へ那智の滝空木眠兎
なほ胸に滝は轟く2番線うつぎゆこ
百年を巡りまたこの滝を落つ靫草子
滝壺の白濁に秘す今日のこと卯夏野心
前の子の人工内耳向かう滝宇野翔月
滝からの風に獣の気配あり海口竿富
滝壷は古銭の錆へ透きとほる海野碧
滝の音巻き戻したい今日のこと海葡萄
崖出づる末広がりの滝の裾梅尾幸雪
滝裏の内緒話はどどどどど梅木若葉
滝滑る子を待つ子らの長い列梅鶏
滝はあの高さを落ちてきよらなり浦野紗知
虹のたつ瀑布の裏に道のあり麗し
大岩に滝の酩酊するところ詠頃
瀧は死に指弾く間に瀧生まれ蝦夷野ごうがしゃ
不動明王滝のしめりの千社札越前岬
滝涼し新しき児に名を与ふ越冬こあら@QLD句会
石段の蔓のわさわさ滝を見に絵十
太古より滝や天までつながれり江藤薫
背後にて怒涛の滝となりにけり榎風子
まず滝をみてからチェックインしましよ朶美子
滝壺を戻りふたたび森の音絵夢衷子
滝音の哀しと思ふ日のありぬえりべり
滝暮れて吠ゆる地球の現るるえんかず
滝一条地軸となりて統べてをり遠藤一治
高千穂の滝をくぐれる二三艘遠藤初惠
手術の痛み撫で続ける滝よ遠藤波留
落ちてなお空目指す滝荒ぶれり遠藤百合
いつ生まれし水や滝に出合いたる旺上林加
道中の和歌伝い来て大瀑布近江菫花
滝は落ち続けて滝の動かざるおおい芙美子
滝道や骨張っている祖母の腕大紀直家
潜り入る滝にもありて裏おもて大熊猫@四句八句
大滝の端の糸めくこれも滝大黒とむとむ
大滝の飛沫に濡るゝ己が影大谷如水
滝落ちて大いに湧き上がるを浴ぶ大塚恵美子
苔と木の青き香りを放つ滝大槻税悦
てのひらに滝のしぶきの匂ひたる大津美
真つ直ぐに生きるは難し滝見上ぐ大庭慈温
大滝や貧乏神と大喧嘩大道真波
滝の音が素顔の我を呼び起こす大村朱希花
滝の声上から下へ抗わず大本千恵子
水と水慰め合うて滝落つる大和田美信
蔓延る滝壺の群青に怯え岡由紀阿希
草深き翳りを洗ふ隠れ滝おかげでさんぽ
その滝にやや解れたるところあり可笑式
木漏れ日の先導先は夫婦滝岡田恵美子
指先に滝の一筋すきとほる緒方朋子
滝近しサンダル濡らし石を跳ぶ岡田ぴか
心から笑える日だね滝しぶき岡井風紋
戻り来ぬ水の青さや滝落つる岡田雅喜
一条の滝一途とは重荷なり岡山小鞠
夜の滝燃ゆる眼光の刹那を小川さゆみ
離婚届出し終えて来し滝の色小川天鵲
滝落ちる地球を軽くするために小川野棕櫚
断崖を一気になぞり落つる滝小川都
朝ぼらけ滝のにほひの車中泊おきいふ
するするとりぼんほどけるほどの滝オキザリス
滝しぶき落つる間際の軽さかな沖原イヲ
もうすぐと言われてからが遠い瀧沖らくだ@QLD句会
雨上がり全身で聞く滝の音小栗あきこ
静かなる結界のごと滝の裏おこそとの
声張ってガイドは滝の名を告げるおさだ澄恵
落ちるしかない生もあり滝に触る小沢史
滝見えず飛沫に冷ゆる耳奥よ尾頭朔江ヱゐチ
六尺の褌瀑布へと挑む小田虎賢
瀧音の耳に残りて夜のロビーおだむべ
虹を生む真っ正直をぐいと滝おでめ
滝に立つ男四人の足太し音のあ子
キジムナー遊んでおりぬ滝の上音羽凜
滝近し背中合わせにすれ違う小野寺さくや
青空や水躍り出て滝となるおひい
水源を違えて同じ滝壺へオペラ座の俳人
連写して滝の吐息も捉えけりおぼろ月
飛瀑浴び危うき脚で立つ地球諧真無子
鍋ヶ滝賽の河原の湿りかなかいぐりかいぐり
滝の前密談をする翁たち海瀬安紀子
鍋ヶ滝緑を包むみづの檻快晴ノセカイ
蒼白の滝夫の声すうと消す灰頭徨鴉
滝守りにならぬかと夜の滝云ふ加世堂魯幸
七滝の滝ごと異なる水の音カオス
地底より唸り吹きあぐ滝の音風花美絵
詠嘆を螺旋にもみ消して滝よ風早みつほ
白濁す滝はひかりを生むために樫の木
満身の叫びもろとも滝すべり華胥醒子
滝見上げ心の歪みただしけり柏原淑子
みづのかたちうたがひながら滝は落つ片岡六子
どどどどと子が聞いている滝の音交久瀬小夜時雨
滝音に我を預けるベンチかな加田紗智
濡れた岩濡れてない岩滝涼しかつたろー。
滝の声や果てぬ小角の螺の圧克巳@夜のサングラス
落ちる滝見続け我は浮揚せり桂子涼子
滝しぶき空が砕けて落ちてくる花伝
歩むうち滝を見しこと忘れけり加藤ゆめこ
タクシーの行きて滝音鳴り始む河南朴野
滝水の白から青へ落ち着きぬ金子あや女
バスガイド滝の名前をよどみなく兼子さとみ
せめぎ合ふ水と水いま滝となるかねつき走流
大塊と微塵を繰り返し飛瀑金朋かいと
連続といふ不連続瀧落ちる釜眞手打ち蕎麦
深爪や地の皮抉り滝咆ゆる神長誉夫
沸点に達したごとく滝生まる紙谷杳子
女坂小さき滝には小さき神亀田荒太
尋ね来た滝は程よき高さなり亀田稇
龍神は不在や滝の静かなる亀山逸子
千年は経つか滝壺ぞつと深し亀山酔田
羽衣は無色透明滝の音花紋
大瀑布初めてみづの香を知りぬ加良太知
滝の裏鏡の国へ通じたりかりかり久助
滝壺へみづの砕けてまたもどる川越羽流
滝近し硫黄鉱山跡地なり川端芙弥
滝の音手繰り寄せたる歩みかな河村静葩
鳥の目で称名滝を遠望すカワムラ一重
滝壺の煙り瑞々しき奈落川村ひろの
滝壺へ落ちた太陽の引力閑々鶏
全身の骨軋みたり滝の前喜祝音
滝涼し轟に身の探らるるキートスばんじょうし
くぐり滝結界に水溢れ落つ季々諧々
みづをみづ追い越しゆける大瀑布岸来夢
轟音や地球をまわす如き滝北大路京介
人と人掻き分け滝の音きれい北川颯
しばらくは雲のなかとも滝のうら北藤詩旦
天空を割って瀑布の柱かなきた実実花
過去全てぶち壊したり那智の滝木根川橋デイジー
空の碧緑を蹴つて滝落つる城内幸江
その先は光となりて滝落つるきのえのき
山頭火分け入りそうな山の滝木下桃白
寝袋に滝の轟音入り来るきべし
中継の一部始終が滝の音木ぼこやしき
濁りなき滝壺底はきっと空木村となえーる
深山に滝一閃青割れぬきゅうせき
振魂のくらま不動の滝を切る京野秋水
滝風や髪拭き合うて三姉妹清瀬朱磨
明王の視線交わる滝しぶき清永ゆうこ
やっほーにこだま返らず大き滝霧島ちかこ
雲をあぶれて滝をあぶれて吾の貌へギル
あら挽きのひかりを仰ぐ滝の裏銀紙
水の糸結んで解けて爆ぜて滝銀長だぬき
滝ほそく不眠を紡ぐ月の下ぐ
高き杉を透かし剣の如き滝楠田草堂
真つ直ぐに落つるを拒みしぶく瀧ぐずみ
森も静まる九十七メートルの滝朽木春加
滝として生じ潰える水のあり工藤雨読
滝落ちて音はあとよりつづきけり工藤悠久
湯上りの髪そのままに作り滝國吉敦子
滝壺の竜目醒めるや滝旺んくま鶉
滝となる前は無傷の水である倉木はじめ
フィリピンの言葉むんむん滝見茶屋栗田すずさん
轟く滝や捜索終える無線くるみだんご
滝を見て見てゐぬ水もありにけり久留里
熊野灘に精霊の滝夜空焼く黒田良
滝水や柱のごとく壁のごとし鯨野
滝音のふたたび川となる唸り恵勇
滝上を漂う滝の飛沫だったものけーい〇
滝落ちて森は鼓膜となりにけりげばげば
滝しぶき浴び一行とはぐれけり健央介
山神のこゑを束ねて瀑布落つ小池令香
指先に滝の端っこ触れにけり柑たちばな
滝落ちて苔のにほひの風生まる幸田柝の音
白い白い水の塊滝仰ぐこうやこう
品書きの少なさ自慢滝見茶屋宏楽
ざんざうの白馬おりたつやうに滝古賀
滝に滝そのまた滝の滝に滝古賀粋漢
夜半の滝月の光のシュレッダー古烏さや
透きとほるみづを束ねて滝白し小笹いのり
七つ目の滝の誘ひ伊豆深し小嶋芦舟
心拍の調ふまでの滝見かな小杉泰文
天上に日の斑散りばめ那智の滝コスモス
大袈裟な音して小さき作り滝木染湧水
踊子の宿の雨音滝の音後藤周平
神官の注連張る足や滝しぶき後藤三梅
白装束の僧の手印や瀧落つる来冬邦子
真っ二つ滝はみどりを切り裂いてこのねこのこ
大滝の前では人は皆無口小藤たみよ
石一つ置いて滝音調律すこま
滝口のこれから神となるところ小松原あんず
山彦の児等の育つよ滝の裏GONZA
どしゃ降りを足して滝音太りけり彩汀
夜あかりの滝一筋が森を裂く榊昭広
途切れたる流れの先に滝落ちる相良まさと
滝と滝ぶつかり滝と滝と滝さくさく作物
滝轟く正しき人の妻となる櫻井こむぎ
ぎざぎざの空の高さや大瀑布迫久鯨
滝しぶき微塵に分かつ光の矢雑魚寝
雨合羽重し見上げる大瀑布笹かま
言霊の凝りておちる那智の瀧砂舟
暗闇に呼吸合わせて滝になる里羽豊後
見上げたる滝の落ちくる喉の奥紗千子
どどどんと太き滝見る仁王立ちさとう菓子
踵からそろり鎖場滝の音佐藤儒艮
北国の滝の音戻る昼間かな里海太郎
掴まれてゐるのか心音を滝にさとけん
滝落ちる白はなんでも化けられる里山子
極北の瀑布や丘の赤き屋根錆鉄こじゃみ
滝の前二人の会話手話のごとさぶり
怒り哀しみ慈しみ降るは滝さむしん
五段滝滑る小鬼の眼は碧紗羅ささら
ふおんふおんと滝の飛沫の胞子めくさるぼぼ@チーム天地夢遥
滝といふ地球のひとり遊びかなさるぼぼ@チーム天地夢遥
滝音に倦む太宰のやうな別れかた澤田紫
滝けぶる奥に戦火の地平線山海和紀
滝壺の蒼みて雨の底にゐて三月兎
観音の衣ひろがる滝柱三休
千代経ても滝壺熱くならざりし三水低オサム
百トンの水沫押し出し滝の退く紫瑛
チェンソーの果てて滝音在りにけり塩沢桂子
墨汁の匂ひのやうな滝の風紫檀豆蔵
滝落ちて御隅櫓に雲一朶品川笙女
県境の滝まだ見えず音近く篠雪
滝迸る静かに見つめる猿柴桜子
滝落ちる紺碧の空水源にしぶ亭
大瀧の音と水とがずれてゐる渋谷晶
滝口に登れば水は鏡かなしぼりはf22
ひとすじの光背負って滝一本島じい子
いつさいの音をうばつて滝落つる島田あんず
「え、なんて」三回目なり大瀑布嶋田奈緒
滝落ちる己が滝と知らぬ間に嶋村らぴ
滝しぶき滝の鱗となりにけり清水祥月
往く道のなき滝壺を音に見る清水明美
仰ぎ見る滝轟にて無音かな清水縞午
瀧音や瀧を見ずしてくだり来ぬ志村狂愚
滝しぶく魁夷の翠を湧き上げて霜月詩扇
飛べさうと言ふ手を握る滝の上芍薬
滝の前まなこつむりて我の無くジャスピン
滝の心臓轟音となる雨のあとじゃすみん
上から下から滝を見る一日沙那夏
通るたび滝の水量確認すじゃむぱん泉
できたての水のにほひはかくや滝砂楽梨
滝壺は青の濃きほど孤独なり寿松
落ち止まぬ滝を残して帰る道シュリ
滝壺は知床の海風渡るじゅんこ
滝風や立看板の文字掠れ順之介@QLD句会
滝といふ壊れつづけてゐるかたち常幸龍BCAD
滝は見たるか知床の沈没を四郎高綱
滝の音や喜怒の判らぬ不動像白プロキオン
咆える滝空から落ちて砕けおり新城典午
きらきらと木霊の落ちる滝の水鈴野蒼爽
深碧の山まつぷたつ滝落つる主藤充子
重力のベクトル白し那智の滝静江
無機物のベルトコンベア滝流る星夢光風
滝上の滝になれない渦細し世良日守
滝一筋愚直に水を落としをり仙台駄菓子
海猛し絶壁を滝ひとすぢに千波佳山
真昼間の底へ行く径滝の径そうり
滝しぶき不揃ひな石段黒く素空
滝太し刻を率いて落ちにけり外鴨南菊
轟音の光の雪崩滝落つるソフィ
月光に応える滝の哀れかなそまり
滝しぶき白銅色の翅清ら染井つぐみ
滝の音みそらみそらと流れけり染野まさこ
浄蓮の滝やボレロの三拍子空豆魚
縦書きの國の空より滝轟々ぞんぬ
看板を立てるほどでもない滝ね平良嘉列乙
瀧散るや飛沫に星を從へて高尾里甫
逆鱗がある滝のあの岩んとこ高田祥聖
抗ふを許すまじとぞ滝の豪高庭銀雅
滝壺を二間離るるしづかかな高橋寅次
天地を繋ぐ瀑音夜の滝高橋ままマリン
畏み屈むれば滝の脚太し高原大知
滝の音水のあとから落ちにけり高山佳風
風やさし雲やさし捨鉢な滝を滝川橋
追ひつかぬほどのみづまたみづや滝多木紫蝶
山抉るカーブ滝しぶく三秒卓鐘
屋久島や滝は縄文の天より竹口ゆうこ
聴覚へ滝の長調けもの道武田悟
青むほど白を極めて大瀑布竹田むべ
滝落ちるパンフレットで見たとほりたけろー
山門を潜り溢るる滝間近多胡蘆秋
天と地の砂時計かな大瀑布多事
岩肌を足裏つかむ滝しぶきたすく
水尽きず尽きず落ちゆく滝に一人唯飛唯游
滝しぶき水へと還るとき青し多々良海月
滝の裏から覗く歪んだ巷立花かおる
碧色の水面に挿さる瀧一輪橘萌香
滝落つる水面も時に眠りたし辰野史会
滝の勢に喝と吠えたり行の人たていし隆松
次々とみづが瀑布となる刹那立部笑子
千年を待てども滝は尾を見せず田中木江
滾り立つ滝に阿吽の間合いかな谷町百合乃
滝見する「思ひ直せ」の文字の横玉木たまね
滝しぶき寝癖の先をなぞりけりタマゴもたっぷりハムサンド
滝激し山にもありや発情期たま走哉
空の色無くして滝といふ裸玉庭マサアキ
滝の下三日前からある帽子たまのねこ
滝の音に五体の穴の塞がるる玉響雷子
滝つぼに竜の痕跡みあたらず田村利平
滝の音ハリー彗星いま何処丹波らる
千仞の滝や荒ぶる神のこゑちゃあき
濁音の塊散らし大瀑布千代之人
ときは疾しただ生ききれと滝の鳴る澄心静慮
恋煩い今日は半音高き滝長楽健司
ハイヒール眺めてをりぬ滝見茶屋月石幸
滝壺へ虹を絶やさぬやうに滝月岡方円
祈るほど行衣の透ける滝の中月硝子
陽の罪は滝の全てを白とするつきのひと
少年に阿修羅の鋼神の滝辻野花
ふわふわと音羽の滝を掬いけりつちのこ
十度目の転勤決まる滝落つる津々うらら
不機嫌はうねる前髪滝しぶき綱川恋心
白亜紀の恐竜棲むか大瀑布綱川羽音
滝の裏来てまで見る石かこれはツナ好
躍り出て滝壺までの一直線津幡GEE
那智の滝逆鱗ひかりたるやうな露草うづら
また負けたいつもの滝に放る石ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
眼鏡拭く青い手拭い次郎滝ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部
滝に着き鎮痛剤を服用すデイジーキャンディー
滝しぶき磴の空よりくだけけり哲庵
しばらくは瀑布を飼つてゐる鼓膜テツコ
滝壺でみつけしドアを開けてみる手毬まりこ
断層が好きな男の滝見かな寺尾当卯
眼前の滝に姿勢を正しけり電柱
滝しぶき光まみれの鳥放つ天陽ゆう
地の果てを削るごと滝落ちにけり遠峰熊野
羽化のごと水は真白く滝を飛ぶとかき星
滝音に消されし言葉謎のままとき坊
落ちてすぐ水見失ふ滝の中常磐はぜ
滝の生む風のか細く強くありDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
登りきて天より落つる滝のあり毒林檎
名瀑とは女の口を閉づるもの戸部紅屑
溜息をつく隙もなき瀑布かなとまや
一塊の水の解けて一の滝富山の露玉
線になり点になり滝壺に落つとんぶりっこ
滝裏の石仏眼閉ざしたる内藤羊皐
億年の地層あらはに滝激し直
落ちて慌てているやうな滝飛沫なおじい
ことごとく粒と落ちゆく大瀑布中岡秀次
滝すべて光の色に濡れているなかかよ
滝の音の半音上がる茶屋の奥中島隆
万物の歪みて見ゆる夜滝かな中原柊ニ
滝の音サ行の響き重ねたり中平保志
草臥れたスーツとひとみ滝烈々永谷部流
滝落ちる川は一瞬名を変えて中村まさあき
早く名を付けて下さい滝が死ぬ新蕎麦句会・凪太
気を洗ふ滝に善男善女かななしむらなし
那智の滝うるわしこの世朽ちるまで夏草はむ
古滝や岩戸の奥に鬼の棲む夏湖乃
滝轟と胸の辺りを叩きおり夏椿咲く
船頭の訛り指さす白糸の滝夏目坦
滝裏におはすみづちの無聊かな夏雨ちや
子の目にはプテラノドンの滝しぶき七草木香
荷を下ろし湯気立つ背中滝しぶき七国独楽男
シンメトリー分く絶叫よ滝のG七瀬ゆきこ
滝の音♯に落ちて♭に⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
水はやはらかきもの白糸の瀧名前のあるネコ
連山の蛇口か滝のほとばしる西尾至雲
男滝がらがら水を束ねて引くばかり西川由野
滝裏に女三人見ず知らず西爽子
女滝かすかに鼓膜濡れゐたる西田月旦
音たてて龍を生みたり黒き滝西村小市
滝落ちて同じ形に崩れけり二重格子
水落ちて滝つぼ丸く水受くる二和田躬江
滝だうだう鳥の瞼は上へ閉づ仁和田永
吹き上げる滝風下る道険し庭野環石
滝割れて天地にさす真白かな暖井むゆき
滝見して滝のおわりを待ちにけり沼沢さとみ
磨かれた鏡の如し滝の朝根々雅水
滝を見る女の首に覗く龍涅槃girl
滝しぶきふわりと滝へ帰りけりノアノア
隊列を離れ行きけり滝飛沫濃厚エッグタルト
竜が息継ぐ逆光の滝しぶき野口雅也
滝の波紋消ゆる辺りを掬ふ水野地垂木
風やみて滝の流れの緩みしかノセミコ
滝の水汲む順番の最後尾野点さわ
滝ぞ滝水の崩落重なりて野中苦泉
父を呼ぶ弟と呼ぶ滝しぶき野々かおり
大滝や水の記憶を砕きつつ野ばら
滝の音白紙に描く鮮やかな色パーシモン
垂直の滝や明日は辞表出す灰谷素数
岩叩く滝の音ゆがむ時間軸白雨
龍鱗のひかり剥がれて滝しぶきはぐれ杤餅
白杖の向かへば滝は音の塔長谷川水素
滝のみづ三千億度目の奈落長谷機械児
故郷に人なしひとり滝を聞く長谷島弘安
滝風にしののめの水かおりけり畠山悊央
せり上がり水束となり滝となり葉月けゐ
上滝へいま渾身の四つん這いパッキンマン
女滝とは雨風のやさしきかたちはっしー
星雲を生み出している森の滝八田昌代
滝壺へ跳びこむ為に二歩退がる華樹
山神の密かに笑う滝の口花弘
豊かなる水の産声滝光る花咲明日香
大滝の紺は海原目指す色はなぶさあきら
一天の水面へ滝の昇りけり葉村直
龍はゐる吹割滝の奥深く原水仙
滝壺の碧ふかければ雲はるか巴里乃嬬
滝はこの星を永久機関とす播磨陽子
地を穿つ瀑布ぞ龍の昇天日晴田そわか
力こめ眼の先に滝一本はるなつきえ
洗顔し華厳の滝へ出直せり晴菜ひろ
土産屋の小さき座布団滝の音葉るみ
重力が食ひ込む肩へ滝壺へはれまふよう
無重力称名滝千百尺HNKAGA
ひんやりと小滝の波紋うつる影榛名ピグモン
滝落つやみづのかたちをくづれつつはんばぁぐ
神の子をみづ一粒に滝しぶき万里の森
市街戦怒り吐き出すごとき滝東原桜空
山中に滝の重音震えけりひぐちいちおう(一応)
序破急を繰り返しをり滝の水樋口滑瓢
昇りたる心地滝水落ちに落つ菱田芋天
滝音や行衣の紐のもどかしく美竹花蘭
千年を一尺二寸禿びる滝ひでやん
寝不足へ晴れ間の滝をぶつけたり日向こるり
右頬に溶ける黒飴滝清らひなた和佳
滝の裏8ミリビデオ観るやうな緋乃捨楽
滝つぼを出て水あをを取りもどす比々き
大雨に荒ぶる滝や神おわすヒマラヤ杉
滝落下のんきな空を引き連れて日吉とみ菜
滝風やひとり入る夜の露天風呂平井由里子
落下落下滝落下岩砕き苔滑る平岡花泉
北極星滝の錨を下ろしたり比良田トルコ石
杉古道大滝は光一条平野孤舟
滝激し天しづかなる魚の鼻平本魚水
水といふ軛を解かれ滝となる広木登一
滝どうどう堂ある地蔵なき地蔵弘友於泥
岩つかむ木の根隆々瀧しぶき福ネコ
滝きつとおどろいてとどろいてゐる藤色葉菜
時の渦へと崩落の滝太しふじこ
滝落ちて世の音遠き木霊音藤咲大地
滝折れて水まざまざとこはれけり藤白真語
やさしさを取り戻しけり滝の音藤田康子
滝の子やぱあんと弾けたる笑ふ藤田ゆきまち
滝落ちる重くてへこまない地球藤田流歌
吟ずるやうに梢うるほす滝しぶき藤雪陽
滝落ちて夜の静かなる土星かな藤原素粒子
崖っぷちでこらえきれずに落ちる滝布施無門
眼裏にひかりの余熱裏見滝冬のおこじょ
滝の底掴まんとして覗き込む冬野とも
樹に埋もれ新田跡や滝響く不洋
もうもうと月の白さの男滝かな古瀬まさあき
滝聞こえだす石段の境界線ふるてい
滝壺へ三歩を残し濡れそぼつ碧西里
滝の上に滝そのまた上に滝へなけん
石段を百段降りて滝涼しべびぽん
滝壷へ無限落下する虚空茫々
婚前の益荒男白く滾る滝北欧小町
滝しぶき襲ふ重力空に逃げ墨純
滝しぶき印ばかりの雨合羽北斗星
滝壺をゆく人なべて怒鳴りあひほこ
押し出して押し出され落つ滝の水星雅綺羅璃
滝落つる自決の水の水の玉星詩乃すぴか
滝の裏テレビカメラが佇つてゐる星野はいかい
天と地をむすぶ体幹称名滝星乃ぽっち
多摩ナンバー扉開けば大瀑布星善之
目を瞑る皮膚突き抜けよ滝の粒細野めろん
うつくしくこはれて水へかへる滝ほろろ。
男滝嗚呼だいだらぼうが米研いだ梵庸子
ずぶ濡れの絶叫砕く大瀑布前田冬水
月光に白糸の滝ほどけゆく真壁らん
滝落つる凝視の吾も落つるなりまがりしっぽ
滝壺に黄泉の入口引きかえす真喜王
目的地周辺ですと滝へつき正岡丹ん
滝の音滝を離れて整いぬ正岡恵似子
滝の子の水の速度で落ちにけり真下豆白熊
滝仰ぐ生徒らの列ふくらめり町田勢
どどどどど何を怒るか滝の声松井酔呆
太き根の鷲掴む岩滝しぶき松平武史
仙人の髭は百四丈の滝にまつとしきかわ
滝清し一升瓶の蝮の目松本裕子
滝の夜の耳鳴り止まぬ星たちよまどん
万華鏡に騙され合って滝の音真冬峰
ひとひとり行く道空けて大瀑布まめばと
山揺らし一気にそそぐ滝の前まやみこ恭
縄文の動物の骨滝の音まりい@木の芽
信長居館跡雨上がりの滝森まりあ
全身で受けとめている滝の音丸山隆子
滝壺のできかけの虹朝六時マロ爺
堕ちるとは天に帰す旅をとこ滝まんぷく
手に離婚届背に秋保大滝三浦金物店
滝の前忘れたきこと忘れたり三浦にゃじろう
滝の上黒い鳥落ちていく澪つくし
よそん家の廊下のやうな滝の裏帝菜
大滝や何時しか神となってをり三茶F
「飛び込め」と大口開けた滝の声巳智みちる
ほら貝の半額セール滝見茶屋みづちみわ
星たちの寄辺となりて朝の滝満る
滝の上のおと中のおと下のおとみつれしづく
大滝の匂ひや小さき滝のまへ南方日午
ドローンを吊り下げてゐる滝の空南風の記憶
吊り橋の豊かに揺れて滝の道みなみはな
滝真下消ゆる現る修験僧やかわけい子
滝落つる光溢るるところより宮武濱女
天近き山の真中を滝の白宮武濱女
湧き出る滝響きあい響きあい雅乃珠晃
目も耳も奪はれし瀧の轟き宮部里美
放たれてみづうたひけり滝の音みやま千樹
全身を揺すり抜け行く滝の音美山つぐみ
滝しぶき鳳凰苔の飛びさうな妙
ヤキアメゴアリマス滝見茶屋へ風三吉久雄
どの水も目指して落ちる滝の水未来に詩編む
滝の気を体ぢゅう浴び無垢になるみわ吉
滝しぶき油絵の具をうるほせり夢雨似夜
破裂せしまどろみ水はまた滝へ麦のパパ
滝仰ぐ背筋に龍を侍らせて椋本望生
ころげ落つる水の塊巨き滝無弦奏
奉納の演武しづかや滝の朝無恙庵閑酉
滝の音此処は山月記の佳境村上牛蒡
滝の声鳴き止むまではまだ帰らん紫小寿々
滝を見てみづ見え見上げみづを追ふ村瀬っち
御座すかな眉間眩しき那智の滝目黒千代恵
瀧音の近付いてくる山の道茂木りん
伊豆の地の美しや七滝巡る風モコ
滝落ちて地球の声が聞こえけり望月朔
この星の重力に負け滝落つる本村なつみ
饒舌な滝寡黙なる修行僧momo
滝だった水打ちのめす滝の水百瀬一兎
島の子と秘密の滝のうら表百瀬はな
笹の葉に切りし指の血女滝落つ桃園ユキチ
明王の顔のひかめく滝の虹ももたもも
黒髪をばさりと切りて滝を見む森日美香
滝風やこけし工房朝早し杜まお実
滝にゐて滝であること忘れけり森海まのわ
新しき飛行機雲や男滝森佳三
滝落ちる力に浮かび上ぐる風もりさわ
身のうちに生まれるひかり朝の滝森中ことり
絵葉書を選びて雨の滝見茶屋森山博士
タイ弛め我が放生の滝めざすもろ智行
大入道首伸ぶごとき那智の滝山羊座の千賀子
地軸のごと水揺らぎつつ滝一本矢口知
聞け滝よ今日だけ我の慟哭を柳川耀一郎
太陽に項垂れしどろどろの滝簗瀬玲子
滝壺や五臓六腑を定位置に矢橋
高千穂の滝むらさきに写りけり八幡風花
魂を幾重ひき込み滝がうがう山内彩月
荒滝の団々として縷々として山河穂香
滝しぶき此処なら言えることもあるやまさきゆみ
滝しぶき紙垂の折り目は胡粉色山田蚯蚓
滝落つる永久機関といふ仕組み山野麓
滝と成り損ねて青臭きひかり山本先生
海苔弁の海苔は多めに男滝唯果(ゆいか)
滝落ちる風も光ももろともに柚木みゆき
滝の音水の歓喜と覚ゆなり有野安津
今昔の地層直下に落つる滝宥光
主といふ蜘蛛の伝説滝柱雪井苑生
滝しぶき弾け無数のひかり爆ず雪音
麓まで滝の吐息に濡れているゆすらご
感嘆の声打ち消して吼える瀧宙美
大滝や己が声ごと消えにけり湯屋ゆうや
滝仰ぎ妻と分けあふスキットル陽花天
水一瞬滝と呼ばれて且つ水に羊似妃
濡れてゐるこの岩までを滝とする横縞
滝といふ思はせぶりに委ねけり横浜J子
瞑目や滝の波動の中にゐる吉武茂る
滝怖しはやく大人の背丈欲し吉行直人
上るほど橋は小さくなって滝吉野川
大滝や水の悲鳴の果もなく余田酒梨
人想ふ祈りにも似て滝の音ラーラ・K
邪気払う風に変わってゆく滝よ雷紋
龍の背やぞくりと光る夜の滝楽花生
杜子春の終の一声滝落つる理佳
滝立てり空に仏塔ある如く良俗倭人
潜る子のしぶきへ滝のしぶきかな蓮花麻耶
滝音の大きくなりて嗅ぐ峡紫雲英田
聴く滝をうちなる我の水とする煉獄佐保子
振り仰ぐ馴染みの滝は細りけりわたなべいびぃ
地層縫ふ九段の滝の水しぶき渡辺陽子
滝壺や泣けば済むこと二つ三つ和山しなもん
滝音と競うがごとく諷経かなあ・うん
滝見れば葉に滴るや水の種相澤泉
故郷の滝音に覚えの訛りあり間岳夫
この先に滝のあるべし犬尿る蒼空蒼子
人混みに結界張って滝想うあおのめ
逆らわず龍図に沿ひて滝しぶき赤尾実果
那智滝にたましひすはれ死ぬのかな赤尾双葉
音も消ゆ時見つけたる瀑布かな茜丼
養老の滝といへども葉の青さ茜むらさき
滝放ちダムに豪雨を迎えうつ秋野萱
水落ちる悩み、ストレス滝の中天空海まりん
たたーぎゃた滝なり響き嘘の声芥川春骨
靴の山登る蟻の背滝しぶき朝霧七海
滝ありし記憶たどりて森のなか亜紗舞那
滝見上ぐ子動かず「終わるまで見る」天野幸子
茜射す機織りのごと滝簾雨霧彦@木ノ芽
ゆるゆると流れる術を持たぬ滝雨降りお月さん
滝しぶき水の姿のらうたしや荒井類
宇宙の滝シュワルツシルトで弁当荒木豊
大河一瞬ためらひどつと落ち滝いくみっ句
湿原の温かな水あふれ滝池田悦子
滝に来ておしっこ漏らしそうな坊や池之端昇雲
もつれ果て滝は音をほどき海へ石川あ世楽
滝にひかれるは体内磁石ゆえ石の上にもケロリン
爆音の滝のゆくえも知らぬなり石本美津
滝に沿う岩の陰の胞子ほのか市川隆一
老人のふるさと自慢那智の滝遺跡納期
白糸の滝は恐らく紙芝居いその松茸
滝荒ぶやははだの腕組み来をるゐのかたゆきを
頭から流れに沿いぬ竜頭滝井松慈悦
薄物の下に筋肉打たせ滝五郎八
滝浴びて恋忘れ果てるものかは岩橋春海
滝壺に老犬ひとつ嚏かな植木彩由
国境のオフィス日常として滝宇佐美好子
山のせせらぎへ滝のはじける粒うた歌妙
警報と空爆やっと止んで滝宇田建
注連縄の結界飛び越え滝叫ぶ宇田の月兎
滝に来てまずは天辺見て帰る内本惠美子
つき破る瀑布や配管を砕く吽田のう
小さき滝大河に会える夢をみる江川月丸
介護果て己に返る滝見かなS葉子
まるで傷抗えぬ声どっと滝戎居多佳子
滝壷の深部に戦ぐ羞恥心M・李子
オヤジらと叫ぶNoWar滝飛沫えりいも
猿の三つ並びて滝の番をせり遠藤玲奈
滝吠えて虎の眼の見え隠れ大野喬
滝の水悪夢を砕き落ちにけり奥田早苗
紙コップでもてなす友と滝巡り奥寺窈子
滝へ落つ流れ葉刹那何か言ひ落句言
寺消える滝の伏せたる落人も帯壱
義母落ちて母落ち我も落ちる滝風早杏
半世紀瀧削ぎ落し昇華する桂葉子
おのおのにおなじき速さ滝落ちぬかなえの
龍がのぼるが如く滝おちにけり亀田かつおぶし
琵琶の音も瀧が飲みしか祖谷の里木村かわせみ
滝壺の主を探りて陽が落ちる木村波平
滝行に刺青一字命かなQさん
惑星の業火を洗ふ瀧あまたきゅうもん@木ノ芽
飛び込みの児の追ひ越せず滝のみづ杏乃みずな
滝壺の白の髑髏は魚の家久埜見永
底までも空を落とすか滝万丈窪田睡鯨
燃え立ちて夕日は滝を駆け昇るKUMANBATIGOROU
後ろから押されて滝の落ちつづく倉岡富士子
滝の音に滝の気配を探りたり眩む凡
弛まずに白き血のごと夜滝かなくんちんさま
滝の音誕まれる前の記憶かなケンG
滝になり滝でなくなり長良川剛海
ボンクラ仲間徹夜明け滝の前公木正
二手より二手二手にわかれ滝香田ちり
話しても悪口ばかり滝落ちる神戸めぐみ
坂下りて神おはす滝あらはるる小兎女
滝しぶき患う前の母の顔古都鈴
葉を留むは有刺鉄線滝の上粉山
雨だれのしづくに映る白き滝このみ杏仁
音すべて滝の音となりしまで虎八花乙
濁音のだ行で落ちる滝の音こひつじ@QLD句会
滝音に脳より涎垂れるやう小町瑞泉
涸びたる客窓に滝なかりけり小緑ふぇい
放射するたま撚りてまたほどく滝駒水一生
空を割り光を攫み咆える滝小山秀行
滝のうら罅入るみづの磨硝子五郎島金時
葉の雫滝となるまで迷い道西條晶夫
沈みゆく異郷のゆうひ滝襖さいたま水夢
岩肌を滑て雄叫び滝の口埼玉の巫女
白糸の滝音静か胎動か齋藤杏子
夫婦滝仮退院のワンピースさ乙女龍千よ
滝裏に地球を護る基地ありやさかえ八八六
ぼそぼそと進路打ち明け見あぐ滝坂まきか
心音のくぼみに微か滝行場さくやこのはな
干肉は力の化石滝落ちる塩
よそ行きの裾捲り上げ滝蹴るや四季春茶子
長袖の手におむすびや山の滝朱康君
滝の音赤子の寝息安らけしじょいふるとしちゃん
素っ裸転生先が滝の上晶石楠花
滝そばにからだ運びし杖に飛沫白井佐登志
滝行の白装束ひとつ二千円白とり貝
幾久しく滝が流れている平和白よだか
凡人が行者となりぬ大瀑布新濃健
完全に敗北感や滝飛沫しんぷる
神の滝水沫気となり昇りゆく深幽
寝返りの鼓膜に滝は菱形にすいよう
群青にもんどり打つや滝すべりすがりとおる
目に追へば黄泉へいざなふ瀑布かな杉尾芭蕉71
コンバース汚して滝に会う朝杉田梅香
神の滝とどろとどろと御簾白き杉本果ら
滝壺で笑ふ泣く「おすな押すなよ」鈴木由紀子
落雁を一口滝の音あらた鈴白菜実
釣書に免許ずらずら作り滝清白真冬
ダサさとは淋しき無罪滝飛沫鈴ノ樹
一滴の気迫連なる滝の快素敵な晃くん
滝ひとつ抱えてみたい君となら瀬紀
滝行や業を脱ぎ去り艶放つ惣兵衛
八ツ橋はいかにもである滝を飲むせり坊
大滝の空間に花虫わたしそしじみえこ
滝しぶき岩を緑に塗りにけり空野兎
幽世より出づる華厳の滝涼し泰山
谷風や山路に降らす滝飛沫高見正樹
天泣の滝へ落ちねばならぬかな竹内一二
滝の音しづかな羽化に子らの息ただ地蔵
清し空水ふくらみて滝落つる橘春容
引率は滝までとする再任用谷相
竜になる相談の鯉作り滝谷本真理子
主ねらい釣竿しなる滝の淵ちくりん
滝しぶき白てふ水の命かな千歳みち乃
歳月や滝のはじまり連連と千妙ひかる
神の注ぐボトルのやうに落つる滝千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
男滝真っ直ぐ「川」の字の三画目彫刻刀
レンズ越しワイングラスに滝を注ぐつきみさとふく
滝壺と知り突き進む犀の角つくも果音
拱手など決して許さぬ滝の行辻内美枝子
整備せしつまらぬ土地に激し滝露口全速
七本の釣針口に滝の主てまり
氷河急行ゆく名前無き滝滝滝てんてこ麻衣
めはり寿司うまし那智の滝純白でんでん琴女
十和田の湖に水送らせて落つる滝天童光宏
天からの課題か止まぬ大滝よ土井あくび
天晴れや真っ逆さまに滝落ちて苳
那智の滝詣で魔除けの赤たすきトウ甘藻
念仏を唱ふどくろへ滝の永東戎
一閃の瑠璃玻璃の刻那智の滝ときめき人
断崖の天井を突く滝の音徳庵
滝つぶてすこぶる痛いが快感徳山佳子
滝壺や「ん」の字を書くごと跳ねる水どこにでもいる田中
滝の音だけ残し世は無音かな冨川友香理
滝しぶき君の手招く彼方かな斗三木童
宇宙より落つる三千尺の滝富野香衣
上がらぬ子待つ三分の滝無音戸村友美
硬き岩をまろく変えたる滝落つる友@雪割豆
滝壺の主をめがけてうつ毛ばりとよ
石走る滝を守護とす淵の花鳥越暁
滝をボウボウの髪と思う永井貴志
こちらでも女滝の方が強いのか中鉢矢的
大滝は地球のおしっこ勢を増す仲操
肘付いてやっと収めた滝全貌なかむら凧人
滝仰ぎ虹の剣を手でつかむ夏雲ブン太
滝壺に細胞は組みかわりつつ七森わらび
シダの葉のどんどん湿りやがて滝菜々乃あや
天地の手違いありて大瀑布奈良素数
滝落ちる理としての裏側成瀬悠
人独り居ない街には滝潜む稗島塗小太郎
竜神の滝の裂け目や都落ち白庵
初めての滝に土砂降りだねと吾子白咒と蒸しエビ
どよめきも水火花に溶け滝走る橋詰彪
滝轟く陣痛のこごむ背骨に橋本こはく
滝落つる瞼閉じても落ちてゐる八九テン
女滝浴ぶ秘め事墓までの覚悟はのん
息きれぬ胎児の波動滝涼しぱぷりかまめ
轟の先に浄蓮の滝すらり浜けい
遡上する魚待ちいる滝の壁早川令子
滝しぶきはく息蒼に染まりけりひすい風香
目の前の一筋の滝我のものひな扶美子
横はアパート忽然と滝出現す昼寝
滝しぶき浴びて良きこと老い姉妹広島立葵
今生や夜滝のべつに闇へ入る風慈音
滝しぶき浴びて阿呆となる愉悦ふくじん
アミカの吸盤銃声知らぬ滝福田みやき
ビル風は微緑の硝子滝清し福良ちどり
山は青滝は鉄へと雲疾るふくろう悠々
滝音や三室に潜む陰陽師藤井眞魚
滝飛沫オトが聞こえず耳鳴りか藤谷雅功
滔々と正しさ吐き出す白滝や藤永桂月
渾身の好きをかき消す滝の音藤原諒
神滝の水那智黒の硯へと藤原訓子
爪切りて滝にも寿命のあるものと船橋こまこ
滝しぶきビリヤードのやうな浄化甫舟
テニス部もとうとう一人見上ぐ滝まじかにゃんちょろう
飛瀑たつ瑞垣廻るか下り龍松岡林檎
滝を背に家族写真の笑顔無し松川梅子
滝音や地球の臍に流れ込み抹茶子
竜になる夢少年の滝修行澪那本気子
黙す陶窯滝は響き渡りて三島瀬波
瀧の裏眠ってそうな宝箱mr.kikyo
分け入りて滝は菩薩の立ち姿水無月葉子
滝波動響きて落つる脳の刺美村羽奏
ここは何処と連れに問うた滝の裏夢民庵世々
縁深き耳の奥にや滝のあるムーンさだこ
滝落ちて瑠璃満つ星となりにけり森毬子
称名滝おとにまぎれて「寂しいよ」痩女
真珠婚森駆け抜けて滝は白山口たまみ
夫婦滝水恋ふものは水の中遊羽女
地の裂けて呻きつつ瀧呑み込めりゆうま
箕面の滝菓子盗りし猿今はいぬ夜香
白滝ややがて辺りの色集めよし季
のたうって一つの海へ夫婦滝吉田郁
己れの嘘は知らぬふりして女滝葦たかし
をのこへの登竜門ぞ深き滝よした山月
下駄の音百メートルの滝轟音吉田びふう
滝うなり白竜のごと岩を這う吉藤愛里子
ずぶ濡れやボート迫力の滝壺へ四葉の苦労婆
生死阿吽滝神の阿滝佛の吽リーガル海苔助
滝になる夢を見ながら電車ゆく里穂
乳ぜる子の手のさき滝は柔柔と龍桔花
滝冷えやむかしのをんなとは知らず柳絮
浮かび出る少女の骸滝激しるんやみ
滝音と共鳴したる血潮かな烈稚詠
滝の中青の精霊水脈を曳き蓮香(山端直子)
滝壺に肌の透けたる浄衣かな若林鄙げし
滝の音カツ丼大盛の気分和光
打たれんと泳げり海へ落つ瀧へ海神瑠珂
ひすい色にゆるびもてゆく滝の刻渡辺桃蓮
マイナスを音叉で溶かし滝で混ぜ321ちいに
水煙轟々と哭く滝雄々しANGEL
滝しぶき巌の凹凸に陰EarlyBird
滝の息みそぎなのか清らかにあいあい亭みけ子58
裏見滝連なり落ちる水礫愛華沙羅
青空と風と少女と乙女滝大竹八重子
どこにいけぬ山肌滝しぶき赤松鴨
滝の音が南無阿弥陀仏に聞こえし4時あかめちゃん
離れ宿胸のときめき滝の風acari
音がする藪漕ぎの先滝に会うあかり
那智の滝見学コース少し降り聰子
滝の音聴き心身を浄化して昭谷
手を取りて吹割の滝をそろそろと空き家ままごと
滝しずく顔にかかつた涙ふきあきゆず
父と母滝を前にてばんざーい秋代
幼子の産毛を揺らす滝飛沫秋吉和紀
裏見の滝みづの音さえも薄らぐや秋吉孝治
細くとも滝の白糸逞しく芥茶古美
祖母と吾子抜きつ抜かれつ滝の道あさいふみよ
幼子はすぐ滝へ往く親も行く朝方静流
滝風に吹かれ悩みの小さきかな淺野紫桜
滝しぶき親に隠れて防ぐ吾子淺野俊也
滝落つる淵や緑翠碧飛鳥井薫
滝壺の硬貨ひかりて覗き込む梓れい
滝は邪を払い吾は吾を受け入れる麻生ツナ子
滝の音と香や水滴のフラクタルあたなごっち
イオンの香ちょー解ります滝近し新子熊耳
膝笑ふ木段避け避け滝見茶屋渥美こぶこ
新しい水槽の滝小えび住むあねもねワンオ
納骨を終えて一服滝見茶屋雨戸ゆらら
全身を駆け巡るかな滝の音雨李
猿に遇いかもしかに遇い山の滝あらかわすすむ
滝涼し前髪おさえ細目の子あらせもんじ
一筋の水や光りて滝となるあらら
外つ国の娘ら賑々し滝の前阿波オードリー
水煙る音はすれども滝見えぬアン糖尿猪句
滝のグォウオオオ落つ水玉ギラっと眩し粋庵仁空
滝壺の沸き立つ白や底に青郁爺
我先と並びて落ちる滝威容池内ねこバアバ
滝壺にGパン並びにわか修行池田華族
のぞき見る滝のあるらし遠き国いけだひさえ
枝分けて分け見る滝の一直線池ノ村路
秘境にて猿の守りし男滝かな石岡女依
滝壺にアイデンティティー投げて渦石垣エリザ
滝撮れば写るかしれぬ人の霊石川明世
滝しぶき何があっても生きていく石川巴里
大滝や頭痛の吾に容赦なくいしきひさき
公園の滝坐す吾子や地蔵心伊敷代左美
作り滝花運ばれて時を視る石原直子
果ていづこ憩えや滝に今暫し石山日滔
浅間山岩より出でし糸の滝泉恵風
初デート沈黙のなか滝の音磯むつみ
親離れ子離れを経て滝仰ぐいたまきし
滝見れば死こそ心に思ひけむ伊丹八兵衛
滝壺に捨てたきものの二つ三つ五つ星
祖母空に馳せる郷土しぶく滝伊藤知徳
滝落つるただひたすらにひたすらに伊藤節子
白き滝越えて緑の奥すゝむ伊藤治美
滝見つめ人生の意味あるやなしや伊藤れいこ
華厳滝戦死の兄へ吾は百寿稲葉こいち
がしやがしやと滝に溢るる銀の匙犬山裕之
滝涼し座敷に料理はこばれし井上幸子
滝の音歓声近く手を引かれ伊吹はたき
響きあり滝まつすぐにシンメトリーいまいやすのり
雨強し河が落ち行く滝の壺今林快波
花の名を求めつ分け入り仰ぐ瀧今村ひとみ
滝道を下る告白できぬまま岩佐キョンピ
滝正面天然の美の口を衝く岩田勇
ストレスを吐けば吸い込む滝の音いわつよ8
滝の音ひらけた視界虹に会えvivi
縄はりていよいよかしこし那智の滝植田かず子
滝壺やタコウィンナーのごとき花上田健五
落石のガレ場下りて滝壺へ上原まり
泥だらけ父の革靴滝の音うさぎと
濡れ靴や滝に打たれて屋上へ丑十八夜書
修学旅行お弁当は瀑布とうちだまみ
落口のアングルそのまま滝壺へうめがさそう
断末魔の祈りオホーツクの瀧梅里和代
暗緑を裂きたる滝の白さかな梅野めい
山の中食事処の滝清し浦文乃
滝音に耳を澄ませば母の声越後縮緬
滝の愛いもの子はしゃぐ滝すべり江藤真治
滝のみち袋の中の犬五匹縁穐律
海に向く滝見の人ら帰らざる遠藤千草
白糸のこよりのやうに滝おつる円美々
滝行を終へて比丘尼となりし人淡海かこ
滝の流れに背を向けている私たち大石聡美
清冽さ流れゆく今無垢の滝大江戸小紋
無名滝や一期一会の一人旅大江鈴
差しのばす右手のカメラ滝の音大小田忍
滝の音聞こえて歩み速くなり大阪駿馬
夕映えに白きしぶきや奥入瀬の滝 大島一声
嬌声も飲み尽くされる滝の音大野静香
神竜が棲むという滝ごうごうと大野美波
森の奥伝説の滝胸響く大原妃
制服の集合写真たきの音岡れいこ
ナイアガラ大地つんざき滝ほえる岡崎俊子
滝の上今は限りの目の赤し岡崎佐紅
天の水山に下るや滝となり岡田明子
どうどうと拡がる波動那智の滝おかだ卯月
滝見上げ光に包まる素足立ちおがたみか
滝音へひるまず進む森深しオカメインコ
浄蓮の滝迫りきて閑かなり岡本
滝は神御告げ如く悟るなり丘るみこ
滝音に君への二文字紛れさす小川野雪兎
滝壺を覗きて絶えず落ちる水奥の昼行燈
金太郎の産湯の滝に茜射す小倉あんこ
糸の滝岩肌撫でて流れたりおぐら徳
滝見上げ雑念が消え時止まる小栗福祥
庭園の橋に滝飛沫か雨粒か涙尾座鬼
滝しぶきシャンパンの如母戻るおざきさちよ
滝の音を肴に酒を酌み交わしお品まり
銃声と誤認無き世の滝の音小田和子
運命に逆らひ滝を登る日々小田龍聖
滝の音留めふるさとダムの底小田慶喜
滝しぶきあらまいやねといまむかし沢瀉
苔の上震える脚で渡る滝小山田之介
どしゃぶりの雨をかき消す滝の音怪犬
滝枯れて白糸掬う諸手かな櫂英人
運命の人ぢやないかも滝見茶屋海音寺ジョー
膝さらす遊戯懐かし滝登り械冬弱虫
滝の前写真の吾だけ時流れ海堂一花
小さき手でかき集めるか滝飛沫かえるL
滝とほく松韻絶えず静かなり案山子@いつき組広ブロ俳句部
権行の滝浴び白布揺らさんか梶浦和子
あれもこれも無かったことに滝の音鹿嶌純子
滝へ一歩我に帰りて一呼吸鹿嶌純子
轟音と歌声ひびく滝のまへかじまとしこ
滝の音や不眠の夜の枕元花純
天城越え疼く靴づれ滝見茶屋花鳥風猫
さばさばと裏見の滝や世を透かし勝瀬啓衛門
階段をのぼるが如き滝九十九加藤雄三
友は今他人となりぬ滝修行加藤麗未
滝行者食いしばる歯は震えたり金井登子
滝しぶき焼肉のシミ馴染む袖金田由香
ひとの三分の二は水滝しぶき仮名鶫
目の前を轟く白き湯滝かなかぬまっこ@木ノ芽
夕風に舞う滝飛沫右頬に金子真美
滝壺や持参のお茶を一気飲みカバ先生
滝の音我が体内を濯ぎをりカフェオレ草
吹き上がる滝の伸縮含む光神谷米子
滝の瀬の木船に乗りて立つ日かな亀井汀風
ライン滝創造神話を覗かんや亀の
君去るや訳も分からず滝の裏かもめ
裏見滝プリズム越しの山景色加裕子
渓声と鴉鳴く聲滝落つるカラハ
滝ありて岩を枕に写生かなガリガリ
ポンとでる愚痴吸い取られみそぎ滝狩谷わぐう
滝行で隣のあの娘輝いて翡翠
辿り着き枯れし滝みる夫婦かな川村記陽子
垂直の流るる滝に神宿る川村昌子
足元滑り裏見の滝のものさびし樺久美
押し花のネタ摘んでみる滝涼し看板のピン
滝壺に心の迷い吐き捨てる漢方十七錠
立ち尽くすカムイワッカの湯の滝よ紀杏里
手を合わせ一心不乱滝修行菊川寝ん猫
小次郎の熱も冷やすや一乗滝岸本元世
千住伯描きし滝の水しぶき酒暮
この細き滝にも神のいるやうな季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
挑戦か撤退か問う滝の行北岳醍醐丸
赤帽の並び地蔵や華厳滝北村崇雄
近寄れば滝の轟音壁となり北村修
滝の道音さえ聞けぬハブの島吉川楽座
瀧音に心の壁の罅割れる木寺仙游
ちろちろとか細く落ちる男滝きなこもち
呼ぶ声の呑み込まれけり滝の下木原洋子
滝巡り音と霊気の交響詩木村修芳
八ヶ岳草木の湿り滝近しキヨ
父の背で眺めた滝や華厳滝桐野鈴子
姿より一足先の滝の音菫久
ひとり手を合はす老婆や夫婦滝くぅ
約束は儚く独り夫婦滝空龍
滝しぶき小さなことは忘れなさい草山熊太郎
山登り木の間隠れに名無し滝葛谷猫日和
雲のせて滝ふくらみて落ちにけり熊谷温古
滝柱心掴まれ止まる時球磨太郎
膨らみて落つ躊躇なき滝の水熊本与志朗
滝の音世界の惨状掻き消してぐりぐら京子
銀嶺をすべて剥ぎ取り落つる滝栗の坊楚材
音聞こえ飛沫かかれど滝遠し空流峰山
滝しぶき浴びて寡黙な子の笑顔紅さやか
現から逃げて裏見の滝の音桑田栞
一人旅問答挑むも滝は滝桑田さなえ
滝頭紺碧に映ゆ茶屋桟敷桑原和博
滑滝を飛び越えてゆく稚魚の群れ溪岳
滝落ちてしぶき七色あらわるる景清華
滝の裏子ら待つ巣へとまっしぐら月昭
層雲峡数を数えて滝の旅紫雲英
滝流る一人立ちせよ末娘源氏物語
岩を打つ白きみづいろ滝の色こいぬ
重力に逆らわぬ滝定理かな紅紫あやめ
ファインダに空入れかねて那智の滝紅茶一杯
山登り疲れを飛ばす滝の風こうへし
滝壺に翡翠のまなこ龍の神幸織奈
滝迫る山路の先天の友古賀ちん
滝壺のしぶきと波紋煌めきとコケコッコー
ウォークラリーのチェックポイント滝の音こけぽて丸
山歩く滝を渡りてなお登るココヨシ
マーメイドドレスのやうに滝一条小だいふく
こみ上げる嗚咽かき消す滝の音小手鞠しおり
きぬの滝柱状節理おほひけり小殿原あきえ
帯たらす如く真白き女滝かな木幡忠文
三段の名もなき子滝通りけり小林昇
滝の下轟きそして閑かなり小林のりこ
哲学の道の入り口滝ひとつ小松甘夏
朝の滝しぶきは金色脚軽しこむぎ
滝の音(ね)で聞こえぬと君頬染めて狐村
滝しぶき吾の心の穴埋める小山晃
華厳の滝明智平より眺む五葉松子
滝音は臍帯音に似て激し今野淳風
夢千々にこわれて滝のしぶきかな西條恭子
静けさや滝に抱かれて眠る吾子再生
滝の音や足取り速し山登り斉藤巻繊
音のなき世界に響く奥山の滝さいとうすすむ
宇宙へと我も飛び立つ滝しぶき齋藤智惠子
ナイアガラ人込み抜けて滝涼し齋藤鉄模写
滝涼し水しぶきごと深呼吸宰夏海
滝口に肝も冷やすや沢下り坂上一秀
白滝の貴婦人しぶき退き足らじ坂島魁文
滝の音のうるさ過ぎたる静寂かな坐花酔月
静けさや滝幽玄の響きあり坂田貞雄
靴並べリュック並べて滝を前さかたちえこ
悲話をもつ滝の轟音ひたすらに 坂本千代子
神々し滝を拝みて旅終わるさきまき
滝を見にゆくひとたちの後ろから咲元無有
喝采の後に拝がむ那智の滝咲弥あさ奏
滝群青す地の侵攻許さじさくら亜紀女
木漏れ日の中水霧立つ魚止めの滝櫻井弘子
あぶなっかし裏見の滝に濡れそぼつ桜姫5
隧道の小さき出口や大瀑布さくら悠日
滝見茶屋画帳に御座す母の背な桜よし榮
滝を背に飛び込む子らの声響く笹おいけ
赤錆の柵蜻蛉の滝青し紗々
滝しぶきその勇姿に写真一枚幸子.S
前に柵しぶき掛かりて轟音の滝佐藤しのぶ
滝見茶屋叱咤激励我恩師佐藤恒治
わあと開く口に黒飴那智の滝佐藤志祐
木漏れ日や笛の調べに滝謡う佐藤俊
雑念も水と一緒に流れ落つ佐藤直
滝修行しぶきに阿弥陀垣間見る佐藤佳子
山深し音を頼りに滝の前佐渡の爺
白濁を成す滝われもまた残骸さとマル
滝音や五年は長き山下る里羽豊後
白刃を濡らす五宝の滝しぶき真井とうか
滝座って涼しい広い愛してるさなぎ
滝浴びて脳の中まで洗いたしさわだ佳芳
ジャンボ御神籤「凶」浄めてよ那智の滝澤野敏樹
滝の音苦行を積まぬ我を責めさんとうせい
滝しぶき右往左往に揃ふ顔三泊みなと
歩合わせて滝見に向かう二人連れ三保緑
奥山に滝の音を聞く迷い道紫雲
二の腕の細きをさする滝見かな潮風の台所
滝落ちて憂き事すべて流れゆけ塩原香子
修行など出来そうもない滝の口四季彩
滝よりも吾子はザリガニ探しけりしげとし
滝暮れて駝鳥が一羽くるりんぱじつみのかた
岩肌の叫びか響く滝の音実本礼
滝の落つ我が身に水の刺さりけり信田龍之介
次々と飛び込む流水滝しぶき芝G
雲間から飛瀑落つ落つ一キロ下柴田朱々
滝の音一軒宿の終夜柴森爽
滝涼し借金0へ王手せん縞子勾苑
滝壺の底は群青なほましぬ嶋良二
一山に響き合ふなり雌雄滝清水容子
トレランの疲労ぶっとぶ瀑布かな朱胡江
登り来て裏見の滝や目に馳走秀耕
山ガール吹かるる女滝ケルン組む柊ニ
ベートーヴェンの音圧如き滝下丼月光
ベートーヴェン踊る音符や滝しぶき珠桜女絢未来
霧散なり激しき落差に消ゆる滝獣羅
空中はスローモーション滝飛沫じゅん
魚飄々出世せずとも滝登る正念亭若知古
滝にだけ呼びたい名前を澄んだ声ショートケーキ
滝音に最期の力笑み遺す白井百合子
秘そけきは滝の裏にて待ち合わせ白河夜船
滝越しに見る筑波嶺の淵君と白い追憶
毎秒平均3t放つ滝白猫のあくび
いつまでも無言の夫婦滝の音新開ちえ
声雄々し鳶職人や垢離の滝神宮寺るい
岩肌を穿つが如く滝飛沫森牧亭遊好
瀧音や街の憂愁ほどきけり水月一睡
華厳滝試してみたき滝発電酔軒
滝への道前に後ろに率る魑魅酔芙蓉
始りは龍の涙か琵琶の瀧水蜜桃
ただ胸には納めきれず滝君へ菅原千秋
鐘のなる音羽の滝や京の女杉浦あきけん
朝まだき滝に打たれる行者あり杉浦真子
知床のカシュニの滝は落つるだけ 杉柳才
瀑布にて妻に呟くありがとう鈴木暮戯
遡上する白き滝や轟轟と鈴木もま
七色のふと見えふと消え滝しぶき晴好雨独
神宿る瀧音涼し那智の杜青児
柔らかき音色奏でる滝三筋せいしゅう
俄雨水嵩増えし滝の音勢田清
抱く吾子の滝指す指のふっくらと瀬央ありさ
父の背のむこういっぱい大瀑布瀬尾白果
しぶき上げ轟く滝の勇ましき関根洋子
一切を無かったことに滝の音瀬戸ティーダ
予備校生のつかの間の滝の音瀬野広純
滝に来てコーヒー淹れる手際よし背馬
豪華船の遠見の滝や海に落つそうま純香
子らの声こだます滝の昼下がり宙まあみん
滝道はるか喫茶店のメニュー見る駄詩
水は冷やり集う子らへ降る瀑布ダーダー
滝風やしぶきに濡れつつ自撮りす大
滝壺へ雲間のひかり一直線太閤検地郎
滝壺に両眼藤村操の忌帝釈鴫
杖たよりとどろく滝や歩を速め平たか子
「ショーシャンクの空に」のごと子滝浴びる高石たく
轟音の滝静まる心の波高上ちやこ
投げ捨つる昨日のわたし那智の滝高木音弥
バイパスのカーブ刹那の滝見かなだがし菓子
岩削る湧き立つ血汐男滝たか祥
どどとうと闇に飲まれゆく瀑布よ高嶺遠
神聖な山奥の滝水しぶき高橋基人
あの音はああ滝だ滝だ着いたよね高橋紀代子
暗がりを抜け澄んでゐる滝が待つ高橋なつ
滝の音迫り来たりて地震のごと高橋ひろみこ
深山にて滝のみぞ知る吾の唄や田上コウ
滝を背に吾子抱きしまま尻餅すたかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
大瀑布悩み小さきと進みたる卓女
ピノキオの鼻そぎおとす滝見かな黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
滝浴びて歓声あげる童かな多田ふみ
半生を一度シャッフル男滝ダック
その滝の厳かなるに背筋伸び田鶴子
龍となる罪を隠さぬ母の滝立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
喧騒の無音となりぬ庭の滝蓼科嘉
高い空おにぎりの香と瀧音と立山枯楓
マップでは2ミリに幅に落ちる滝田中勲
堕ちゆくか前進なのか滝の途は田中邦恵
天動説かくやナイアガラの滝田中紺青
倒木の根越しの滝の音清か田中詩扇
滝音やはやる気持ちを足にのせ田中洋子
抗うなこれが人生滝の音たなばたともこ
滝見にてゴゴゴと響く静けさよたなべまるこ
滝の中瞑想一人また一人谷卓生
甘ちゃんです打たれなくても滝は滝谷川コロ助
気圧されて大滝前に声もなし谷口あきこ
瀧音に一瞬消える悩み事谷口美奈子
滝落ちる土地の訛りと違う人田畑整
目は滝に耳はガイドに傾けり玉井令子
滝落ちて会話途切れしふたりかなたむらせつこ
杣憩う滝の冷気に包まれて田村モトエ
滝しぶき船にかかるやナイアガラダメ夫
滝壺に跳ぶ子ら岩に張り付きてちっちのきも
滝しぶき癒せよ浄めよ我が胸を智同美月
水滴はレンズにかかり滝見茶屋千葉睦女
惹かれれば呑まれてしまう滝の君頂風
滝しぶき隠れぬ色となりにけり蝶楽
大いなる滝が風呼ぶ熊野道つきか
シェアしよう地球ハウスの滝の間を草豆
滝しぶき奥の墓参の褒美なり辻ホナ
滝落つや今此処にある過去未来土屋ひこぼし
深呼吸しんと静まる滝の音椿律
白糸の見上げる滝や車寄せ弦巻英理華
めつむれば轟音だけの滝浄土哲山
轟々と滝のテッペン雲湧けりてつねこ
熊笹の途切れる先に滝の音どいつ薔芭
滝の裏時には雛の揺りかごに峠なんじゃもんじゃ
苗名滝緑の間に間に滝の音藤拓
山を裂く水の力よ大瀑布どくだみ茶
とめどなく溢る悔恨洗う滝徳野克通
「霧の乙女号」滝へ舵切るナイアガラとしなり
トンネル抜け袋田の滝は真上杼けいこ
那智の滝仙人落つる流れかな十津川ポロ
大滝のくねる岩肌黒光り戸根由紀
般若心経のみこまれゆく滝の色冨川精子
滝浴に脳内粒子電離せり登盛満
鳥肌と水滴と滝しぶきかな鳥田政宗
堰堤や滝口水明翡翠さす鳥元優子
滝壺よりまた落ちてゆく水の旅とんぼ
悲憤慷慨華厳の滝へ流す内藤未来仁
落ちてよりたゆたふ細波滝の水内藤由子
イグアスの滝は入口インカへの中十七波
祈りとはおそるる心滝しぶき中里凜
滝の音に胎児の記憶母娘旅長澤直美
瀑布へと進む小舟は葉のごとく中島葉月
三年後災害の跡滝つぼにも中嶋京子
石走る滝激つかな谷風に中島圭子
滝壺に飛行機雲の影一つ中島走吟
賑わいも静けさも消し滝しぶき中嶋敏子
身口意の三業洗う滝しぶき中嶋緑庵
バーベキューは彼方アシリベツの滝中西歌子
不都合は滝に流してまわれ右中村こゆき
目の前の滝やまっすぐ滝壺へ凪ゆみこ
滝の音や山の嶺にある稲荷堂名草
深緑へ滝の飛沫の騒ぐ音那須のお漬物
我が恋は滝の裏に潜みけり夏空なみ
木々の隙より降るや降る滝の音菜々の花畑
100均の合羽ありがた華厳滝浪速の蟹造
滝壺へ流れは色を生みにけり名計宗幸
道それて滝の音聞く昼日中新美妙子
滝の群れ忍者の修行見つめけりにいやのる
滝しぶき希望を胸に迷い捨て西谷寿
吉野からトンネル超えて蜻蛉の滝二上松風
二十四時間戦ふ音よ滝どどど新田ダミアナ
ゴゴゴゴッドッ心の滝を俯瞰するねがみともみ
滝に向け正拳突きや吾が修行野中泰風
滝しぶき受ける苔のもりもりとののr
滝の水滑り落ちたり弾けたり野原蛍草
ひと際にコーヒー美味し滝の白のり太葉根
口開けて立ちたし細き滝の下典典
幼なじみのつつがなし滝の音則本久江
轟ける滝の国越え五十セントはくたい
眼前の滝や君と水けむり橋爪利志美
滝の裏しぶきも音も別世界波止浜てる
神秘かな裏見の滝の水飛沫一まどか
滝の音昨夜の雨の荒しき橋本恵久子
遊歩道頬に飛沫か滝近し馬笑
滝落ちてままならぬまま私す畑詩音
山峡の名もなき滝と釣り人と蜂鳥子
風吹きて水音聞こえ滝探す服部たんぽぽ
音頼り道分け入れば滝高し初野文子
ドライブ中滝の音に振り返る花岡浩美
滝凉し緑釉の壺人集む花岡淑子
滝の音に速度速めしトレイルラン花咲みさき
天上の水尽きなむか瀑布どぅどぅ花南天あん
未練山ほど矢研の滝に投げてきた花和音
滝壺の主のおはす祠かな羽馬愚朗
滝崩れ激しく岩を打ちつけり馬場勇至
遡行する黒部源流滝滝滝浜友輔
チェンソーの止みて滝の音はすがしはむこ
人づてに今は枯れたと故郷の滝アクエリアスの水
滝落ちて岩肌みづの模様なり林山千港
山道をたどり現る滝に虹原善枝
遊歩道ゴールに待つや大瀑布原島ちび助
山頂へ水の荷揚に滝の音原田民久
地下足袋と草鞋で臨む小さき滝ぱらん
水びたし公園の滝で子供らはしゃぐharu.k
たかみより飛ぶ滝の水潔く小林陽子
滝願い幸あらんこと人生のばんしょう
始まりは一滴なのか滝の音ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
滝になり嫌な思い出水けむりひーちゃんw
滝おつる皆が眠りにつく頃も東の山
ありし日の父の打たれし滝探す東山たかこ
滝壺の音も静けさ深き山光源爺
石段のリズムのごとし滝の音美泉
飛ぶ鳥のただまっすぐに滝へ堕つヒマラヤで平謝り
分け入て滝に二人の紫雲かな向日葵@いつき組広ブロ俳句部
滝壺や相続協議揉めに揉め氷室茉胡
信越をまたぐ轟音滝しぶき姫川ひすい
告白の言葉打ち消す滝の音ひめりんご
浄蓮の滝へと一気に崖下る平井千恵子
滝の音喜怒哀楽の声のする平林眞砂
鱗舞い遡上仕舞いや魚止めの滝平松一
沢登る比良の八ツ淵滝巻いて比良山
滝しぶき時の向こうに笑う君蛭本喜久枝
滝の音心配事もかき消してひろ夢
滝落ちぬ高ぶる心抱きしめぬ琵琶京子
直角に下る水面やし吹く滝風泉
源流は汝の涙瀧となれ深川佳子
滝しぶき浴びればふわり無重力深蒸し茶
滝をみて風流人の影写すふくじろう
「すべるよ」と手を引き向かう初の滝福山聡練35
親鳥は滝に飛び込み餌運ぶ福弓
ゆっくりと細く長くの滝静か藤井かすみそう
滝行に行く友だちの逞しさ藤井智栄子
烏帽子より下り下って那智の滝藤丘ひな子
行き過ぎて置き去りにせし滝の花藤川雅子
滝落ちて神を感ずるやまとびと藤倉密子
純白や土々呂の滝のごうごうと藤れんぎょう
溢れ出る滝のパワーに立ちすくむ布野悠乃
リード張り犬の呑む呑むたらちねの滝文月さな女
滝壺にわたる七色くぐる舟風友
滝落つる水砂利の間に消ゑゆけりふりっち
音消ゆる落下する間の滝を見ん古川シアン
森深くめざす導は滝の音古澤久良
滝打たれ懺悔次なるステージへヘッドホン
滝つぼの大向う返すしぶきよベニヤサン
滝壺の奥の奥には宇宙かな鳳凰美蓮
滝の音耳をダンボに足運ぶほうすい
滝を背に少女らの笑みセピア色ぼくのはね
トンネルを出でて俄に滝の音星月さやか
幾筋も分かれたる滝暮れゆきて細川小春
八百万そしてカムイに出遭う滝堀卓
滝探しバッテリーを満タンに 堀川彗直
滝見茶屋猿が団子を奪いけりダンサーU-KI
削る水削らるる岩変はる滝堀隼人
寄り添うて指折りつ行く赤目滝堀邦翔
七色のひんやりの幸滝見茶屋梵多
瀧見えて日帰り登山折り返す凡々
奥吉野渓谷闇に滝飛沫本間美知子
滝落ちて仁淀ブルーの底の青凡狸子
袋田の天に漂う滝しぶきマーヒー
上向いて突き進めよと滝の声まあるいあんこ
轟音に外すマスクや那智の滝前田敏彦
蕎麦啜る音が消え去る滝見茶屋茉叶
滝道や空より続く水の旅まこ@いつき組広ブロ俳句部
宙に舞い誰か飛び踏む那智の滝眞熊
ジオラマで病床飾る作り滝雅蔵
噂よぶ砂漠の風や滝しぶき眞さ野
まぼろしの滝しぶき上げ富士下る増田蓮華
無と化して淡々流る夫婦滝またあ
白糸の素麺懐かし滝の音松井研
野仏と見紛う滝壺風化石松浦宣子
滝つぼに恨みつらみも投げ落とす松岡玲子
滝壺や水面煌めくエメラルド松尾祇敲
手をとりて昔遊びし滝の音松尾美郷
急坂を流れるごとき滝である松野蘭
那智浄蓮カシューの滝の背並びまつもとをさむ
滝を見て帰る我が子に安堵する松本俊彦
緑なす山肌なでて滝白く松本牧子
流れ落ち遡り得ぬ滝と時待雪みほこ
白糸の向こうは凉し滝のれん茉莉花
靴ひもを結び直して滝ランへ真宮マミ
滝の糸紡ぎ織りなす白絹布真理庵
写真より眼に焼き付けた華厳の滝○エツねも
滝の位置エネルギー測定不可まるにの子
青空の底に秘めごと夫婦滝みい
かずら橋渡し先に滝の音みーちゃんママ
滝壺や母のミシンの踏みし音三上栞
撮影をまた頼まれて那智の滝三崎扁舟
億年も岩を削りし滝落つるMR.KIKYO
別世界そぉっと手を出す滝の裏Mrふじやん。
登り道木立に響く滝の音水谷豊海
滝にオカン揺れる水面に声反射水乃江辰
滝這うやサラウンド付きスクリーンみちむらまりな
滝見物集いし友の今いずこMITSUE桜井
滝しぶき黒き濡れ石朝陽うけ美月舞桜
千丈の滝を仰ぎて己知る皆川徳翁
山を裂き濁流激し雨後の滝湊かずゆき
黒黒とぐたり玉こん滝見茶屋港のパン屋
爆音がこだまする轟の滝湊弘
御詠歌の声を呑み込む滝の音南收
しばらくは滝のしぶきを心にもみなみはな
無常かもしれぬが滝は笑いけりミモリ
黎明や蒼く妖しき滝の音宮井そら
滝見上げ暫しぽかんと迂闊にも見屋桜花
悠久をゆらぐはごろも夫婦滝宮坂暢介
放たれて無数の道を滝壺に宮本モンヌ
締切の次の締切滝しぶきミラベル
音なくて巨水落ち行く瀑布口霧想衿
我ならば滝に重力発見す睦月くらげ
大滝や放物線をくぐる吾子むねあかどり
登り来て滝音聞こゆ疾る足村のあんず
飛沫散る滝エタノールの気化熱むらのたんぽぽ
知床や見しやあの日もこの滝を村の百合女
蒼天に現る滝やケキョの声村松登音
静寂の山呼び戻す滝の音名扇初江
夕風に賛美歌のごと滝の音暝想華
滝音の近づくほどに君の黙毛利尚人
風もなく古木古木や滝の音本山喜喜
石段の坂曲がり見返りの滝桃井ゆらら
一筋の水のたわむれ滝静か桃香
二人旅おんぼろ宿の小さき滝桃花@いつき組俳句迷子の会
水細き滝に打たれる修行僧森佳月
夜の滝らんたんが見せる吾子の笑顔もり葵
登り来て川の始まり小さき滝もりたきみ
滝静か背の子の静か砂利の道森田祥子
悠久も刹那の如く滝は落つ杜乃しずか
海原へ過去を押し出す滝しぶき森の水車
テレワークBGMは滝の音森谷拓之
滝風は別れ「せせらぎ街道」に杜若友哉@はなばた俳句会
滝の道解き放たれし水は行く諸岡萌黄
滝の風そっとなでゆく昼さがり焼津昌彦庵
滝目指す巌当たりて消えにけり八木実
戦争の記事めくる名勝の滝柳井るい
龍神の声聞きたくて滝の前ヤヒロ
吊橋は空へ続くか滝しぶき山音
知床の滝の音続く涙かな山川いづみ
滝の音をリユツクへ詰めて家路かな山川腎茶
箕面山猿と園児で見上ぐ滝山木戸兆舞
苔ひかる巨木の先や箕面滝山口絢子
結納やホテルの庭の滝光る山口一青
白き滝淵の緑に静まれり山口香子
木漏れ日を潜りて爽気滝の音山口雀昭
奥入瀬にしたたる滝や響き合う山崎鈴子
小さき滝むかし我等の秘密基地山育ち
滝の音おべんと近し駆け足に山田企鵝
滝打たる心身ひたすら透明に山田啓子
降り注ぐ雫を顔に銀の滝やまだ童子
滝宿す神秘の気迫眼前に山田文妙
樹々みどり溶岩滑る旭滝山薔薇
苦きこと流したる袋田の滝山彦一水
滝音に浸れば音無き音の中山本蓮子
滝の前インスタ用になりにけり雪ノ下青観
滝壺に青白き足見たようなユキノユ綺
滝落つる真白き水の無尽蔵柚木啓
滝の水園児の肩へ容赦なく弓原トーヤ
滝壷やこの世とあの世の境目はゆめの常盤
滝音や君の声消ゆ心消ゆゆりのゆき
水滴の飛躍讃ふる滝の音陽光樹
千人の聲消す瀑布孤高なり陽の婆
滝の上また滝ありて青き空横田信一
復興のホテルの出窓滝しぶき横溝麻志穂
白滝や母の白髪と白き手と横山子守熊
滝壺や着水までの二秒間横山雑煮
悩み来て滝ごうごうと我に喝吉哉郎
告白を聞き返される滝しぶき吉岡幸一
口笛は消ゆ滝音と心音と吉川拓真
たどり着きわずかに聞こゆ滝しずくよしぎわへい
裏山に滝を作りて雨去りぬ吉田ばあば
どしゃ降りの還暦旅行滝見茶屋よみちとせ
大瀑布詰めこむ知識ナイアガラらうる
山奥に見つけし滝の細きことらりっく
そば打ちの手を休ませて滝しぶき梨音
千尋の滝をよすがに命名す流流
ザック揺るぐ滝道出るや水煙麗詩
滝行者無音の音に包まるる連雀
何もかも押し流すごと滝落ちるわかなけん
滝しぶき今日を限りの逢瀬かな若林千影
山歩き楽しみさがし滝の音わきのっぽ
おにぎりの海苔の香りと滝の香とわたなべすずしろ
悩みなど無くしたように滝の風渡辺香野
大声は何時しか黙に滝の音渡邉わかな
岩壁を一直線に滝の性笑笑うさぎ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
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●俳号には苗字を!
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて姓をつけていただけると混乱を多少回避することができます。皆で気持ちよく楽しむための、小さな配慮。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 婿たちと コテージ傍の 白滝へ三橋玲子
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題無し
- 散歩道さつきの蜜つく指友の声松宮央苗
○今回の兼題は「滝」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
●前回の兼題
- 油画の筆跡朧めきあわきブルー糺ノ森柊
- ドライアイスを眺めて庭は朧かな鵺之疾秋
- 朧とや吾の影は今幾つある干しのいも子
- オルゴール巻けば朧や森の風こちふる
- 家族つて何人だつけ朧の夜まつたいら西
- 神さんも溜息つくか鐘朧円豆蚕丸
○「朧」は前回の兼題です。〆切に間に合わなかったか……残念。
●季重なり
- 滝しぶき汗飛ばしけり虹かかる浅草加奈男
- 滝流る夫を待つ日々藤の房飯田守
- 夏近しお空の滝で龍になる池田甫
- 滝すずし霧果てしなく空に消ゆかめよかめ
- 夏草の山を分け入り目指す滝草道久幸
- 暑き日に跳ねるオアシス滝しぶき那須の民
- 滝しぶきもうすぐ消えるせみの声ねう
- 樟青葉白き滝壺碧き宙蓮風
- 滝の茶屋はところてん帰りは肉それいゆ
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「蝉」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●季節が違う
- 滝涸れて端に日晒し投光器謙久
- 滝凍ててオンザロックや青春記山本康
○「滝涸る」「滝凍つ」は、それぞれ冬の季語です。
●「滝」は夏の季語なので……
- 煌めきが音符となりて夏の滝鈴音
○敢えて「夏の」と書く必要はないのです。
●滝を詠んではいるが「滝」がない
- この星に心あるのか華厳落つ有本仁政
- 流れ落ち頭上に舞うは虹の花大塚輝久
- 初春や変わらぬ幼児ナイアガラ炯眼
- ナイアガラ亜米利加加奈駝水煙はるる
○兼題「滝」とあれば、滝という季語が入っている必要があります。テーマという断り書きがない限りは、「滝」を詠み込まなくてはいけません。
●「滝」が入ってはいるが季語の「滝」ではない?
- 青白き滝の画見入る午前二時大原雪
- 開店のパチンコホール滝の音大谷一鶴
- 裸足走り汲んでは流す砂の滝八重葉
- KAT-TUN地元公演魂の滝やまだかずよ
○絵に描かれたもの、音だけのものは、季語「滝」とは言い難く。「砂」を「滝」と比喩する、「魂」を滝と比喩する。これらは、季語「滝」とは違います。
●温泉の滝湯は違う気が……
- 肩に打つ温水シャワー滝しぶき道見りつこ
- 肩打たす少し熱めの滝湯かな海老 あまびゑ
○温水シャワー、温泉? などを「滝」と比喩するのも、季語「滝」ではないね。
●「作り滝」の一種……なら有り?
- 水を替えスイッチポンで水槽に滝山野花子
○いやはや、全否定はできませんが、自然の滝を詠もうよ~(苦笑)。
●季語を比喩として使う……
- とめどなく流れる涙滝のよういつか香ほる
- 期待受け田に浸む水の滝のごと上川くるみ
- サウナ室滝のように汗流るカメレオン
- 男なら滝の如くに強くあれ喜多吃音
- 山肌に藤の花房滝の如蕎仙
- 熱き風呂滝のようにと溢れけり銀将
- 涙腺大瀑布ふいに吾子が「パパ」来ヶ谷雪
- あれこれと気ばかり焦り滝の汗とままり
- 滝のごと流れ落ちたるその先はY・りこ
○これらの句は、季語「滝」ではなく、「滝のようだ」という比喩の意味に使われています。どの句も、兼題のルールをクリアしていません。
●文字化け?
- もんじや屋の解体ぐわん滝どむ?笹野夕
- 待合せは滝の上でと?せす鈴木麗門
○文字化けは、ネット俳壇の宿命。涙を飲むしかないが……残念。
●滝か? 神楽か?
- 吐き出すや龍虎の残像滝神楽岡塚敬芳
○面白い句材です。ただ、迷ってしまうのは下五。「滝神楽」だと、地理の季語としての「滝」ではなく、人事の季語としての「神楽」になるのかも……と、読者は迷います。どっちだろう。
●滝か? 襖絵か?
- 座して見る寺院の襖絵滝涼し鳩礼
○この語順だと、絵の滝か、本物の滝か、微妙です。
【添削例】 座して観る襖絵寺の滝涼し
「座して観る襖絵/寺の滝涼し」 斜め線のところに意味の切れ目がきますので、誤読は防げます。
●意味を掴みかねて……
- 突然の滝流れ出す更年期太田鵯
○ひょっとして、この「滝」は、汗を比喩しているのでしょうか。
- 滝みつけ孫らと身延春くやえみばば
○「歩く」の誤入力かな? 「舂く(うすづく)」「蠢く(うごめく)」の誤入力かな?
- どこまでながれていくかなたきつばきおさむらいちゃ
○「滝椿」なら違う季語だが……
- 滝ひとつ埋み残して山深しみやざき白水
○「埋み残して」がやはり気になり……
- 滝壺に地軸まっすぐペンダントメレンゲたこ焼き
- 地下鉄を捨てゆく滝のゆらぎかな澤田郁子
- 解雇されこれから描く瀑布滝裕子
○微妙に意図が掴みにくいため、どうアドバイスすればよいか悩みます。再度、何を表現したかったのか、自問自答してみましょう。推敲の糸口が掴めるかもしれませんよ。
●偉大な先行句あり
- 岩の上水ふくらみて滝となる大村真仙
- 滝は次々と水押されて落ちる高橋
○よき観察です。本来ならば、秀作として褒めたいところなのですが、実はこんな偉大な先行句があるのです。
- 滝の上に水現れて落ちにけり後藤夜半
偉大な先行句を見つけた時は、自分の句をきれいさっぱり諦めるしかありません。そして、こう自分を褒めるのです。「後藤夜半に少しだけ近づけたな」と。そして、新しい句に挑む。それが俳人の正しい姿勢です。
お待たせしました!5月の兼題「滝」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」、必見です。ここで一つ、みなさまへアナウンスです。毎月、「天」「地」に入選された方に「入選のお知らせメール」をお送りし、賞典の宛名、送付先をおたずねしておりますが、ご返信いただけていない方が数人いらっしゃいます。お心あたりのある方は、お手数ですが toukou@cataloghouse.co.jp までご連絡いただければ幸いです(編集部より)。※この件以外のご質問はお問い合わせフォームへご連絡ください。