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『NHK俳句』『プレバト』でおなじみ夏井いつき先生の「俳句生活 よ句もわる句も」

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。
『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

今月の兼題はこちら

8月の審査結果発表

兼題「残暑」

8月兼題『残暑』の投句数は2,046句いただきました。回を重ねるごとに投句数が増えています。たくさんの方が俳句を楽しまれていることに、編集部一同とてもうれしく思います。
9月の兼題は秋を代表する味覚の『秋刀魚』です。入選を目指してぜひチャレンジしてください(編集部より)。

「天」と「地」の入賞者には、夏井いつき先生イラストつきのクリアファイルをお送りいたします。

入選作品

天
父母会は残暑の臭う体育館

葉るみ

夏井いつき先生より

 秋の季語「残暑」と夏の季語「暑し」の違いは言うまでもなく「残」の一字。残念の残、残業の残、残尿感の残は、後に残り気分を損なう「残」です。それを色濃く感じたのがこの一句です。最近は保護者会というそうですが、通称「父母会」と解してよいでしょう。「残暑」の頃に「体育館」で開かれるPTAの会合。「残暑」は初秋の季語ですから八月初旬~九月初旬の頃。この会は定期のものではなく、夏休み中に起こった事故や事件についての臨時総会ではないかと読みました。「体育館」に集まった何百人の父母たち。人いきれは蒸し蒸しと「残暑」を臭わせます。紛糾必至の会は、今始まろうとしている。「臭う」の一語のリアリティにざわめく迫力があります。

地
残暑の諍いはペンギンのせい

石山俊道

「残暑の」と性格付けされると「諍い」が益々鬱陶しく感じられます。そもそものきっかけが「ペンギン」だったか、「ペンギン」のせいにしているだけなのか。「残」の一字が益々暑い「諍い」です。

秋暑し象の隣りに象がゐる

登りびと

「残暑」の傍題が「秋暑し」。映像を持っていない時候の季語に「象の隣りに象がゐる」という只これだけの映像を取り合わせる発想が実にユニーク。皺だらけの「象」と「象」のインパクトに脱帽です。

赤茶けたシャーレの中の残暑かな

塩谷人秀

何かの実験なのでしょう。じっと見つめる「シャーレ」の中には何か「赤茶けた」モノが張り付いているのでしょう。「シャーレの中」にも「残暑」を感じ取ることができるのが俳人のアンテナです。

潜る子を残る暑さへ引き上ぐる

青海也緒

「へ」の解釈を迷ったのですが、「残る暑さ」の中に立つ作者が、水中に潜っている子を掴み上げる瞬間だと読みました。「潜る子」は小さな我が子でしょうか。水飛沫が残暑を濡らすかのようです。

然り我が初老残暑のサザンオールスターズ

羽沖

「然り」は、その通りであるの意。そうだよ、「我が初老」の「残暑」は今年も「サザンオールスターズ」と共にあるよ。サザンを愛してきた同年代として「初老」「残暑」の二語が胸に響く一句です。