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『NHK俳句』『プレバト』でおなじみ夏井いつき先生の「俳句生活 よ句もわる句も」

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。
『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

今月の兼題はこちら

4月の審査結果発表

兼題「薫風」

初夏に吹く柔らかで快い風。風薫(かぜかお)るとも言う。※傍題でも可

4月10日より投稿募集をスタートしました『俳句生活』。
初回にもかかわらず1,319句もの投稿をいただきました。なんと、通販生活の投稿コーナー史上、最多投稿数です。あらためて俳句人気の高さを思い知らされました。
それでは、夏井いつき先生の審査結果を発表いたします。
投稿いただいた方も、そうでない方も、先生の評価と一緒に作品をご覧ください(編集部より)。

「天」と「地」の入賞者には、夏井いつき先生イラストつきのクリアファイルをお送りいたします。

入選作品

※「兼題が入っていない」「短歌である」等、
 以上に該当する投稿句につきましては入選外となります。

天
樫の木は無口な木です風薫る

凡鑽

夏井いつき先生より

 一読ハッとしました。「樫の木」の実はどんぐり。身近な木なのに「樫の木は無口な木」だと感じることがなかったので、ハッとしたのだと思います。「樫の木」について改めて調べてみると、堅くて耐湿性があるので船や農具の柄などに使われ、樹皮は染料になり、果実からはデンプンもとれるのだそうです。「樫の木」は地味な木だけど静かに私たちの生活を支えてきたのだなと思うと、「樫の木の無口な木です」という詩語がしみじみと心に広がってきます。
 「風薫る」は天文の季語ですが、そこには若葉や青葉の光景も感じられます。常緑樹で一年中表情を変えない印象のある「樫の木」も、いま薫りはじめた風を喜んでいるに違いない、という一句です。

地
隕石に黒き凸凹風薫る

三重野とりとり

手にした「隕石」にある「黒き凸凹」。宇宙空間から落ちてきたその石も、今は美しい地球の薫風の中にあります。「隕石」の黒と季語「風薫る」の緑の印象が、鮮やかな対比となっています。

樹木葬てふ遺言や風薫る

くっちゃん

自分自身の思いでしょうか、父母の「遺言」でしょうか。「樹木葬」という言葉への憧れ、樹木の命と一体となっていく心の安らぎ。それらの感情を「風薫る」という季語が優しく包み込みます。

薫風の抜ける百年続く家

こぼれ花

「百年続く家」は、家柄という意味ではなく、家屋と読みました。古い大黒柱、黒光りした大きな梁、風の通る土間や廊下。そこここを「薫風」が吹き抜けていきます。「百年」という数詞の力もまた。

口開けて河馬の信頼風薫る

越智空子

「河馬」の「口」に頭を突っ込んで見せる飼育員さん。大きな歯ブラシで「河馬」の歯磨きに挑戦する子たち。「信頼」という堅い言葉が詩の言葉となれば、季語「風薫る」は益々清々しい味わい。

待たされても薫風が話しかけてくる

登るひと

俳句を始めると人生に退屈という言葉がなくなります。「待たされても」腹が立たなくなります。なぜって「薫風が話しかけてくる」のですもの。俳句が生活の一部となってきた人の実感の言葉。