夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
12月の審査結果発表
兼題「雪催い」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
雪催ひ雲は産卵期のにほひ
古賀
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夏井いつき先生より
「雪催ひ」とは、雪雲が厚く垂れこめ、雪が降ってきそうな空模様を表す季語です。そんな空を覆っていく「雲」の様子を「産卵期のにほひ」と比喩しました。その詩的嗅覚の表現には、強いオリジナリティと鋭いリアリティがあります。
「産卵期」とは文字通り、生き物が卵を産む時期。「産卵期」という言葉は、生の営みの勢いや生臭さをもイメージさせます。
雪催ひの空は暗さを増し、ぐんぐんと雪雲を厚くしていきます。やがて、魚たちが水中に産卵していくように、雲たちは雪という小さな卵を噴き出すように、産み出していくのでしょう。その寸前の凛凛たる「雪催ひ」の冷たさは、まさに「産卵期のにほひ」として、読者である私たちの鼻腔を刺すのです。
雪もよひ鳥は孤を啼く飢ゑを啼く
岡一夏
「雪もよひ」の空の下、鳥たちは「孤」であることを啼き、「飢ゑ」を啼くのだというのです。そんな鳥の声は、今にも雪を降らせそうな暗澹たる空へと吸われていきます。「~を啼く~を啼く」という調べが、読み手の心を切々と打ちます。
みづの香の澄みゆく花屋雪催ひ
川越羽流
花の香りに満ちたお花屋さんには、「みづの香」もしています。その匂いが、今「澄みゆく」と感じたのは、空気の質が急変したからでしょうか。店先の空を見上げると「雪催ひ」の雲が押し寄せ、「みづの香」は更に凛烈と冷えていきます。
測鉛の捕へる底ひ雪催
内藤羊皐
「測鉛」とは、海の深さを測る鉛製の錘。船上から海底へ下ろすと、錘が「底ひ」に着いた瞬間、綱が弛みます。その手応えを感じつつ、見上げる空には「雪催」の雲がどっと押し寄せています。海風は増々冷たく、船を揺らせているのでしょう。
なきがほのやうな紙くず雪催
平本魚水
「なきがほ」から始める語順が巧みです。人物の表情かと思えば、それはクシャクシャにした「紙くず」なのだという。紙屑を丸めた人物の表情も、心情も、「雪催」の空も、「なきがほ」のように思えてくるのが、この句の味わいです。
海色の鴉の目玉雪催い
横山雑煮
「海色」とは鴉の瞬膜なのでしょう。瞬膜に覆われた「鴉の目玉」は、まるで白目を剥いているかのように異様な感じがします。冬の海の色のように陰惨な印象すら受けます。折しも「雪催い」の空は青白く、雪雲は黒く広がっています。
喉へふる龍角散や雪催ひ樫の木
雪催つぼみのやうに畳む羽恵勇
雪催ひ部下の弔辞に父あたらしみつれしづく
雪催い非の打ち所なきグレー男鹿中熊兎
神職の祭り雪駄や雪催EarlyBird
雪催い戦線膠着のニュース相生三楽
蝋燭の光かそけき雪催愛燦燦
肩ポンと訃報聞かされ雪催い藍野絣
雪催い猫は抱かれてくれぬもの逢來応來
雪暗を煙草五本目JAFはまだ青井えのこ
カラオケは中島みゆき雪催青井季節
嘔吐する妻にいのちや雪催蒼井憧憬
地下鉄に出口あちこち雪催い蒼空蒼子
信号の過剰なるあを雪催い青田奈央
雪催い書痴にやさしき照度にて青砥展典
柔らかに声くぐもりて雪催いあおのめ
雪催い山行きバスに土産さげ青松紫雲英
見飽きたる妻の頬杖雪催赤尾てるぐ
雪催い郵便受けの半開き赤尾双葉
電球のぼんやり湯舟雪催あが野みなも
青鷺の眼の金泥雪催い赤富士マニア
雪催い匙に寂しさ一掬い赤目作
シャッターの軋んで下りる雪催いあかり
雪暗の待合一位樫泰然愛柑(あかん)いつき組note俳句部
ボタン付け途中のでんわ雪催明惟久里
アヌビスの目もほの揺らぐ雪催い秋桜みりや
雪催い北の帰郷へ列車待つ昭谷
雪催ひ信徒の叩く槌の音空地ヶ有
雪催い鳩にパンきれ投げるまね秋星子
雪催い煙草踏み消しハローワーク昭廣凡字
雪催い蔵の灯りに浮かぶ縄空き家ままごと
競艇の時計見る眼や雪催い秋山らいさく
雪催いロートレックの描く浮世芥茶古美
冷凍肉あさから煮込む雪催いあくび指南
しづけさの芯の音ゆたか雪もよひ浅乃み雪
雪催ひなづきへ火の粉あびせかけあさふろ
錆色のピエロのなみだ雪催ひ芦幸
舫ひ船軋み出したる雪催あじさい卓
雪催いひとりぼっちの人といるアシツノカラ
白湯注ぐ白磁に罅や雪催葦屋蛙城
豆乳を入れたら弱火雪催いあすなろの邦
雪催傘をひらけば骨折れて藍創千悠子
托鉢の踵を返す雪催いあたしは斜楽
象の鼻丸む東京雪もよひ足立智美
雪催い偽卵抱く園のペンギンあたなごっち
眉尻がしっくりひけん雪催いat花結い
雑木は空き家を侵す雪催いあねもねワンヲ
霊山も比叡の山も雪催い我孫子もふもふ
雪催い人みな貌を失くしたり我孫婆
雲垂れてこその故郷雪催い阿部八富利
雪もよひ黒犬と突堤にゐる天風月日
雪催い封切り前の映画かな天鳥そら
留守録の小さき声や雪催いアマリリスと夢
はちみつに濁る紅茶よ雪もよひ綾竹あんどれ
血管を探す針先雪催綾竹ろびん
雪催吃音症の妻とゐて荒一葉
紙垂の色疲れ始めて雪催いあらかわすすむ
雪催い動かぬ脚をつかみ上げ蛙里
鏨もて錆うつ漁夫や雪もよひ有村自懐
雪催ひシャッター街のラーメン屋有本としを
大橋に半円ありて雪催在在空空
雪催ひ墨絵の掛る考の部屋淡湖千優
裸婦像の空恋ふ眼雪もよひアンサトウ
認知症検査の残夜雪催い安春
雪催い音薄く散る寺の鐘杏っ子
雪催い堪忍袋を切る自由井若宙
きときとと発つ銀翼よ雪催い飯塚煮込
読経なき火葬の煙雪催飯沼深生
軟膏のチューブはかたし雪もよひ飯村祐知子
雪催Yの壊れしキーボード家守らびすけ
海鳴りは山這ひ来たり雪催ひ猪狩鳳保
老犬の幽けき寝息雪催い粋庵仁空
なゐの果て水害の果て雪催ひ生野薫
湯屋の煙上りしぶるや雪催池田桐人
足跡ハ下ノ畑ヘ雪催池之端モルト
ガス燈は昼を灯さぬ雪催イサク
淡墨のにじみ濃尾の雪催い伊沢華純
生活音せぬ住宅街雪催ひ石垣エリザ
眼帯の中のひひらき雪催石塚碧葉
墨の香の少し濃くなる雪催い石塚彩楓
真夜中の風のトレモロ雪催い石堂多分
道に落つ点滅の赤雪催い石原しょう
雪催いテレビの映し出す故郷石原由女
尾長とて美しき声欲し雪催石村香代子
倒されて樹々の疲れや雪催ひ石村まい
噛み合わぬ会話補聴器雪催い泉晶子
角折れし離婚届や雪催ふ和泉あやめ
条幅の墨の滲みや雪催いずみ令香
雪もよひアルファロメオにこすり傷石上あまね
スタジオはラテンのリズム雪催いいそのサリー
雪催ひすんとも言はぬ泡立て器板柿せっか
雪催ばっか気にして桜の木いたまき芯
雪もよい不在はあとからやってくる市川卯月
雪催い瓦礫の街に沈みゆく市川りす
雪催ひ暗渠へむかふみづ速し無花果邪無
雪催ひアスファルトにも地平線いちすぺ
雪催い呪文のやうな処方薬一ノ瀬なつめ
雪催雲の底なる漁師町いつかある日
雪催ひ鳥葬の髑髏の眼窩一久恵
雪催い稜線空に滲み出す一秋子
雪もよひ指輪となりし犬の骨伊藤映雪
早口の詐欺めく電話雪催い伊藤亜美子
雪催なにやら盗み逃ぐる猿伊藤恵美
部屋に満つ湿布の匂ひ雪催伊藤貝
裏路地の歌う軽トラ雪催い伊藤薫
古書店の奥の灯や雪催い伊藤順女
電柱を跨いで通う雪催い伊藤節子
火葬場の高き煙突雪催伊藤なおじい
黒板に自習と書いて雪催い伊藤小熊猫
眠いかも雪もよひかも暮れゆきて糸川ラッコ
プレハブの校舎軋むや雪催いいとへん製作所
干し魚しゃぶりほぐして雪催い伊ナイトあさか
路地の奥に規制線揺れ雪催井中ひよこ号
船底の錆ふる足場雪催いイナホセドリ
雪催い受け身を受ける畳床居並小
雪催果てはムーミン谷だらう井納蒼求
からすの餌となりうごかぬゆきもよひ猪子石ニンニン
雪催い耳に残れるヴィヴァルディー井原昇
遠き目の母の手握る雪催いいまいみどり
二階より玩具のピアノ雪もよひいまいやすのり
雪催コペイカ銀貨あとわずか伊予吟会宵嵐
雪雲や抜歯の綿を噛みしめる伊代ちゃんの娘2
雪催い山は木霊を眠らせて岩木順
特養の眠りの中の雪催いいわさちかこ
ぶな林のすずろに啼くや雪催岩清水彩香
雪もよい役員決めの保護者会岩瀬きわ
鼻筋の白きばん馬や雪催いうえともこ
生前の師からの手紙雪催い上野眞理
吐く息に歪む街の灯雪催上原淳子
持ち物へ喪服を加ゆ雪催うすい木蓮
溜息はこんな色かも雪催ひうた歌妙
雪催い穴掘り止めぬ砂場の吾子宇田の月兎
二人掛けシートにひとり雪催内田こと
カーボン紙色の澱みや雪催空木眠兎
雪催い中吊りの詩を伴いて靫草子
雪催い無声映画のような街卯之町空
雪催い雨戸ぐががと逆らひて海月のあさ
母にしか閉めれぬサッシ雪催海野青
夕暮れの瞽女一列や雪催梅里和代
雪催い風蕭々と雲低し梅泰然
悪声を放つ鳥二羽雪催ひ梅朶こいぬ
着ぐるみのジッパーの音雪催梅田三五
登記簿の見知らぬ山や雪催いうめやえのきだけ
日勝の絶筆の馬よ雪催い江川月丸
雪催い吾の足音の響く尾根江口朔太郎
雪もよい見えない場所にあるこころ蝦夷野ごうがしゃ
予約迄彷徨ふ街や雪催ひ越冬こあら@QLD句会
雪催ひ採血室の混み合ひて絵十
知らぬ間の隣人転居雪催い江戸きり子
灰色の水面静もる雪催い榎本咲
雪催い黒一色の戦争画えらいぞ、はるかちゃん!
雪催ひ風に退く鳰の波近江菫花
昇任の打診雪催いの車窓おおい芙南
青銅の女のけぞる雪催大岩摩利
魔女めける隣人の歌雪催ひ大久保加州
賽の目は三と出し岐路雪催大越マーガレット
湯煙りの立ち上りけり雪催ひ大嶋宏治
雪催いメタセコイアの泥む赤大嶋めで
淋しさを木馬に重ね雪催太田怒忘
ひとり言増して独居の雪催大塚恵美子
生きている二本足なり雪催い大富孝子
裏長屋昭和のまんま雪催大野喬
雪催い老いの厨に湯湧く音大矢香津
雪催い空家に溜まる風のあり大和田美信
亡き人とかけ違うまま雪催い岡崎未知
疼痛のやうな思ひ出雪催可笑式
腸に良き赤き薬や雪催岡田雅喜
戦争が終わらない国雪催い岡村恵子
雪催ひ龍の飛び出す天井絵岡山小鞠
実家来て待つ心には雪催い丘るみこ
雪催い天押し上げし子らの声小川紅子
シッパーの錆びた鞄や雪催い小川さゆみ
行間の母の孤独や雪催ひ小川しめじ
殺意呼ぶほどの歯痛や雪もよい小川天鵲
亡き妹の匂ひ残りぬ雪催小川野雪兎
喪心へ急ぐな心雪催小川都雪
雪催いまだらに錆びる鉄のくぎオキザリス
忌避されし鳩の低音雪催い沖庭乃剛也
殺し屋の鼻唄のよな雪催荻原湧
雪催い手帳の余白広がりぬ奥寺窈子
隔離部屋の小さき窓や雪催い小倉あんこ
雪催い家取り壊すショベルカーおこそとの
雲の底手が届きそう雪催ひ小田毬藻
延着の移動スーパー雪催いおだむべ
病棟にパン焼く香雪催越智空子
生きて死ぬひとり見送り雪催い御成山
こねる手にかたき陶土や雪もよひおひい
一通の辞表の重さ雪催ぉ村椅子
オクターブ上がる耳鳴り雪催おんちゃん。
自転車の軋み止まらず雪催海音寺ジョー
雪催い昨夜の酒を買いに行く海堂一花
つんざいた声は無邪気だ雪催い械冬弱虫
封筒に糊付けの波雪催い海峯企鵝
雪催にぎり仏に千の顔香依蒼
削ぎあとの粗きバターや雪催い火炎幸彦
雪催い明日へ急かす風の音影夢者
亡き父の錆び鉋研ぐ雪催い笠谷風信子
姿見に猫背のおんな雪催いかしくらゆう
雪催い車中で過ごす一昼夜かじまとしこ
仮名手本はねて南座雪催い華胥醒子
雪催ひ巻寿司の端つまみ食ふ梶原菫
白む眼の老犬憂ふ雪催ひ風遊び為参
雪催いブルーシートの町閑か風薫子
雪催色濃く淹れるダージリン加田紗智
パネトーネ焼けたか山は雪催い帷子砂舟
愛犬の通院準備雪催いかつたろー。
折り紙の小さき折り目や雪催いひだまりえりか
入院を決めた数値や雪催い桂葉子
雪催い獣ねむる魚ねむる加藤水玉
雪催ひ係船の縄ささくれてかときち
如来像金箔微かに雪催い叶田屋
雪催朝鳴き遅き烏骨鶏金子泰山
雪もよい土人形に朱色刷く金田庭園
ご飯にシチューかけるかけない雪催かねつき走流
雪催尖りし波を征く鴎釜眞手打ち蕎麦
雪催河馬のハナコは召されたか神島六男
雪催さんびやくろくじゆうごれんきゆう神谷たくみ
雪催いキューピーならぶ骨董屋紙谷杳子
雪催いイヤホン越しの生返事亀子てん
雪催い龍雲つどう日本海亀田かつおぶし
まとまらぬ思いじくじく雪催い亀山逸子
雪催い耳あてごしの「また来いや」かもね
しゃがみ込む人はまぼろし雪催いかもめ
雪催い「匂いがするね」と誰か言ふ加裕子
分岐器のレールの炎雪催い刈屋まさを
引き出しの増えた薬袋雪催い河上摩子
針山に戻すまち針雪催ひ翡翠工房
南座にまねきだけ観る雪催邯鄲
食糧は焼跡のなか雪催干天の慈雨
イーストの膨らみ重き雪催神無月みと
弾痕やバンクシーの猫雪催い岸壁の龍崎爺
雪催一幹いよいよ黒ぞ濃き閑酉
風見鶏嘴向けば雪催いkey
仕立屋に灯の入りけり雪催い喜祝音
雪催い筆圧の濃いラブレター季川詩音
「目的地雪催いです」機長告げ菊池克己
雪催い友が乗りしは黄泉の舟季紫子
鈍色の胃痛しくしく雪催い岸来夢
何処からか舟唄聞こえ雪催い酒暮
鑑識の帰った庭や雪催季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
雪催ひ鞄の隅に四合瓶喜多丘一路
ゆきもよひ有馬記念の馬柱北村崇雄
列車いまひかりの箱や雪催い北村環
雪催い借りた工具を腰につけ城内幸江
雪催ひ人を溜め込む駅構内木ぼこやしき
灰色が雪催いから感染す気まぐれ亭いるか
出雲路や母の見舞いは雪催い木村かわせみ
安宿の酒に金箔雪催い木村信哉
アルプスの槍の尖るや雪催木村隆夫
錆びかけの閂の音雪催い木村となえーる
雪催い写真の母に薬置く木元紫瑛
テーブルに広ぐる古地図雪催Q&A
米櫃の底の見えたる雪催久えむ茜咲
陣痛の息の切なし雪催いQさん
採血の跡蒼蒼と雪催きゅうもんde木の芽
雪催い改札出れば右左鳩礼
朝刊を開く音なき雪催ひ京野秋水
黒猫の目のま緑や雪催杏乃みずな
雪催ひ今朝のケトルのしやがれたる霧賀内蔵
一列の冲見る鴎雪催い霧澄渡
いづこにもりんかくはなくゆきもよひギル
教会へ懺悔の女や雪催ひ菫久
三日後の異動の辞令雪催いくぅ
緞帳てふきれいな未練雪催い句々奈
境内に獣のけはい雪催いくさ
左手の爪磨き終え雪催いくすみ輝く
右耳を幾何に預けて雪催ひくずもち鹿之助
雪催い空のてつぺんから孤独國本秀山
公園の動かぬ時計雪催い國吉敦子
芝居はね女形の脛や雪催熊谷温古
雪催ひ母の手足のほの白き紅三季
死体遺棄のような涙雪催曇ゆら
雪催まなうらを発つ巨船は緋眩む凡
街は雪催ならば故郷はもう空流峰山
雪催ひ平家物語は佳境久留里61
魚さばく出刃の曇りや雪催愚老
頸動脈エコーに雪催いのカゲ黒田良@しろい
雪催い模試D判定の自習室桑田しほり
支えなき人形立ちて雪催いくんちんさま
出張の靴擦れの足雪催い家古谷硯翠
雪催ひ波濤のやうな労働歌げばげば
ハイビームに浮かぶ雪催いの嘘が欅谷風来
雪催い空き家の門扉風に鳴く健央介
採血の静脈たたく雪催ひ謙久
ちりちりとアイロン進み雪催紫雲英
湖の向かうに生家雪催ケント
金箔きららほのかに酔ひて雪もよひ剣橋こじ
筋肉の強張る音や雪催い恋瀬川三緒
ナイフめく東京タワー雪催剛海
交換のちり紙粗悪雪催い公木正
朽ちた道躓くような雪催紅紫あやめ
雪催い恋は関所を越ゆる頃幸田梓弓
雪催ピアノの上の借りし本こうだ知沙
雪催い君なき朝は続きたり郷りん
豆腐屋のぬるき豆乳雪催いこきん
雪催いグランド重く喘ぐ息ココヨシ
鈍色のホームはまばら雪催い小園夢子
鉛筆を削れば木の香雪催い木染湧水
雪もよひ愛犬の墓見つからずコダマヒデキ
雪催ひ面会を終へ上る坂虎堂吟雅
病窓は雪催ひ筆ペンの写経後藤三梅
カーテンは洗えず仕舞い雪催い古都鈴
出前機の速し俄の雪催い粉山
満員のバスは素通り雪もよひこのみ杏仁
開門待つ人の匂ひや雪催小林昇
別れ花埋もれ逝きて雪催い小林澄精
雪催い赤く錆び付く実家の門小林のりこ
鳥一羽海まで黒き雪催木挽町豆奴
神様の思案覗くや雪催ごま爺
雪催い楔のやうな便所の灯五味海秀魚
ぶら下がる雲梯の空ゆきもよひ小山晃
研ぎ汁の白さの痛し雪催い小山秀行
雪催い煙草のむ父ガレージへ碁練者
雪催い呆けた母を捨てに行くGONZA
迷い猫探しています雪催い今藤明
雪催い仕事をやめぬマセレーターこんのゆうき
雪催歩み出したるブロンズ像さいたま水夢
詩集繰る指の渇きよ雪催ひ齋藤桃杏
ソノシート彼の日の夢が雪催い坂口いちお
雪催い草の錆びたる選果場坂野ひでこ
雪催い幟ばかりの献血車坂まきか
雪催い日光連山待ち構え坂本千代子
ちぎり投ぐパン屑に鳩雪催ひ坂本雪桃
雪催い無人駅舎の伝言板櫻井こむぎ
はは居らぬ三面鏡や雪もよひ桜鯛みわ
使わないアプリばつかり雪催いさくら悠日
雪催いマスト天衝く海王丸雑魚寝
雪催いかこちがほなる猫と猫笹桐陽介
忘れもの乗せたバス行く雪催い笹靖子
投函のしばらくしんと雪催いさち今宵
雪もよひ賠償金の知らせかな佐藤かりんこ
峠だと言われ四日目雪催い佐藤茂之
雪催い今朝は患者がゐたベット佐藤志祐
雪催ひ誘導棒の粒立ちぬさとう昌石
雪もよひケーブルカーは谷の湯へ佐藤浩章
雪催い心電計の波の揺れ佐藤まり子
道化師のつけ鼻ざらり雪もよひ佐藤ゆま
彼の世は春ですかこちらは雪催い佐藤佳子
雪雲は蜜の匂ひや古都そぞろ佐藤レアレア
雪なんてどうせ降らない雪催ひ錆田水遊
古書街に探す切絵図雪催いさぶり
映らない風呂の鏡や雪催い彷徨ういろは
午後よりはアンダンテなり雪催さむしん
雑踏にカーネル紛れ雪催い小夜ひと月
熱の出る前の空洞雪催い紗藍愛
雪もよひ刃先に魚の鰓弾きさるぼぼ17
影生まぬ昼の街灯雪もよひ沢井如伽
本日は空爆の無く雪催沢拓庵◎いつき組カーリング部
銀紙の王冠眩し雪催ひ沢田恵子
紙ストローくにゃり雪催のスタバ澤田紫
雪催ひ風は燐寸を擦る匂ひ三月兎
何処より昭和の歌や雪催ひ塩沢桂子
雪催い飲み忘れたるピル一錠志きの香凛
論文に論文積むや雪催い四條たんし
船を待つふるさと訛り雪催じつみのかた
雪催い臨月直前の破水芝歩愛美
かあさんの紅のにほひや雪もよひ渋谷晶
子の爪のやわらかに切れ雪催い島田あんず
湯上がりの母の背を拭く雪催ひ島田ユミ子
雪催バリウムは腑を濡らしゆく清水縞午
初めての腹部のエコー雪催清水祥月
雪催ひ打ち倒されし像あまた清水三雲
雪もよい土神眠る谷地に入る霜川このみ
雪催い昨日来たがねお母さん霜月シナ
うがひする蛇口の曇り雪もよひじゃすみん
音楽室の不協和音や雪催い沙那夏
雪催い反り立つデパ地下の海老天紫藪@藻の霊
蔵の開く鈍き音して雪催い柊瞳子
神事めくマイムマイムや雪催シュリ
雪催ひ手に文鳥の七匁順之介@QLD句会
AIに「はい」と答へて雪催ひじょいふるとしちゃん
雪催剣は祭具として眠る常幸龍BCAD
やはらかきヴヱールのしとりゆきもよひ正念亭若知古
カスハラのマニュアルぺらり雪催白沢ポピー
送信を躊躇ふ指や雪催ひ不知飛鳥
土臭きゴボ天齧る雪催い四郎高綱
雪催ひ小便臭き袋小路白猫のあくび
雪催ひ編集後記の余白かな白プロキオン
雪催い時おぼろげに長居せりしわしわ
歯石無き昼の吐息や雪催白よだか
雪催ふ横溝正史疎開宅ジン・ケンジ
鉄錆びし豊予要塞雪催い新濃健
追悼の友の帽章雪催い杉岡ライカ
雪催い覗く雌蕊の赤々と涼風亜湖
雪催い並びし埴輪はほの紅く鈴木秋紫
拍手せず議案通過ぞ雪催い涼希美月
みぞおちの奥ことことと雪催ひ鈴木由紀子
雪催ひ羽釜の余韻ある厨鈴白菜実
祈るよに根菜煮ゆる雪催い清白真冬
塹壕を囲む塹壕雪催いすずなき
土壌医の爪の土くれ雪催ひ鈴野蒼爽
雪催ねむねむさんの北の森鈴野冬遊
炙り絵を炙るかをりや雪催主藤充子
雪曇主室に正座崩す刀自須磨ひろみ
ハチミツの蓋固き朝雪催い静江
柿田川光琳模様雪催い青児
雪催い越後平野に瞽女の三味せいしゅう
階に動悸しずめる雪催い青邑
過去形の時間を抱き雪催い瀬紀
放牧の牛を囲うや雪もよひsekiいつき組広ブロ俳句部
六文に色つけ納む雪もよひせり坊
雪催い鳥居の錆の膨らみぬ素因数分解
寛解と言われぬ帰路や雪催い惣兵衛
数えたる残りの薬雪催いそうま純香
雪催いピアスひとつの落ちにけり草夕感じ
雪催い鳥は影置き音を置きそまり
吽像の拳にほこり雪催い空豆魚
雪もよい地酒舐めつつ吊るし切り邨虚空
抜きし歯の我が温もりや雪催ぞんぬ
売れ残ったポテトと帰る雪催たーとるQ
AIに書かせるメール雪催大
助手席にきのうの缶や雪催ひ平良嘉列乙
雪催いブルーハワイの字幕消す平たか子
又かとも未だかとも言ふ雪催ひたいらんど風人
手触りに選ぶぐい呑み雪催高木音弥
雪空や祖父の器は売り果てつ鷹取碧村
ランナーの背筋締まる雪催い高嶺遠
雪催いハチ公像の鼻つんと高橋寅次
雑巾になるタオル選る雪催高橋ひろみこ
付け替える半衿真白雪催高橋マママリン
雪催い保湿ティッシュの仄甘したかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
歯軋りの痛みのこるや雪催い高山佳風
雪暗や詩人悼める再放送滝上珠加
ひたと来て雪気の暗れの動かざる滝川橋
花豆のみづを孕めば雪もよひたけぐち遊子
雪催ひ煉瓦でふさぐ登り窯竹田むべ
もやもやと歯が抜けません雪催たけろー
ポケットの母の掌吾の掌雪催多事
羽ばたける腹蒼白し雪催い太之方もり子
雪催ひ市電の上を新幹線多数野麻仁男
雪催い土の臭いの上がりけりただ地蔵
いざたまへ婆と語らむ雪催ひ多田知代子
鍋敷きに鍋の余熱や雪催多々良海月
容疑者は我と同じ名雪催だっく
産近き馬の湯気立つ雪催い立田鯊夢いつき組広ブロ俳句部
猫縮む東照宮や雪催立石神流
起き抜けの敬語が嫌い雪催田中勲
クレーンの黙礼しあふ雪催ひ田中牡牛
痩せ腕に鉄瓶重し雪催い谷斜六
雪催い革命前夜のスミノフ田上南郷
雪催送迎バスに一人きり玉野文
土間ふさぐ漬物樽や雪催い玉響雷子
ベンチの凝視雪催ひの蹴球田村ヒロミ
薪割りの手のマメ固し雪催田村利平
翼竜の濃青へ消えて雪催い丹波らる
大輪の蕊潤へる雪催千夏乃ありあり
雪催い艦隊抜ける龍飛崎竹庵
拭きあげし家の静けさ雪催い千葉右白
雪催ひあくびに疼く口角炎彫刻刀
雪催ごぼ天追加のかけうどんちょうさん
発電用風車林立雪催千和にの
お袋にそっとさよなら雪催い塚本隆二
雪催い面接官の無表情月見里ふく
イベントのトイレ休憩雪催い月夜田しー太
窯出しの青磁の熱や雪催いつくばよはく
しづまりて人となるまへ雪もよひつくも果音
たれそかれ呼ばれた気がした雪催い辻瑛炎
雪催いさやぎ治める小川かな辻栄春
鳥払う空砲雪気の滑走路つちや郷里
目薬ののろまな苦み雪催ひ津々うらら
反故紙にへのへのもへじ雪催い綱川羽音
ジョン撃たれ四十四年や雪催い椿泰文
雪催ラヂオは演歌ふるはせて坪田恭壱
甘やかに深爪膿みぬ雪催爪太郎
段畑の上に墓あり雪催いツユマメ・広ブロ俳句部
雪催い踏切は音むき出して鶴小なみ
食事せぬゾウの花子や雪催い哲庵
雪催い「能登で被災」とあるカルテ徹光よし季
友声を失うとの文雪催い輝由里
鳴くことを辞めた鶏雪催電柱
魚の身と腸ぶつ切れば雪催天童光宏
雪催い素手にて拭う涙かな天王谷一
雪もよひ土間につうんと燐寸の香天陽ゆう
雪催い獣動かぬ峠道トウ甘藻
討入りの刀は無銘雪もよひ冬野志奈
マキロンの匂ひ雪催ひの匂ひとかき星
雪催い百年ダムの木曽清しときめき人
雪もよひ小さき地蔵に小さき屋根常磐はぜ
雪催いキリリと空気絞まる音徳庵
常よりも婦長しづかな雪もよひDr.でぶ
切りのなき五徳ゴシゴシ雪催いどくだみ茶
雪催い付喪神住む古き下駄どこにでもいる田中
ゆきもよひ柱時計のをと低しどすこい早川
寝たきりの母の転院雪催い杼けいこ
抜ききって震えるジェンガ雪催となりの天然水
ぬひぐるみ寝かせる捨て場雪催ひ戸部紅屑
0類の書棚の埃雪催苫野とまや
雪催そろそろ米は着くころか冨川ニコ
瓦礫にも歴史あるらむ雪催富野香衣
尖塔の十字架にごる雪催登盛満
雪催い何で別れたんだろう友@雪割豆
スリッパに前の校名雪催富山の露玉
雪催い一杯だけの顔なじみとよ
ラケットのラバーの乾き雪催い鳥田政宗
真っ黒な夢から覚めて雪催い豚々舎休庵
雪催ひ新幹線の無表情中岡秀次
天麩羅に音がなくなり雪催いなかかよ
雪催ひとり遊びの散らし書き中里凜
雪催いリハビリ機器はオフのまま永田千春
解体は瓦屋根から雪催中十七波
雪もよひ鶏は愛なき卵産む中原柊ニ
雪催い恐々と喰む仮差し歯仲操
雪催い昔ばなしの余生かな中村あつこ
砂を蹴る山の向こうは雪催い中村こゆき
雪催ひ選んだわけぢやない孤独中村想吉
ささくれを千切りて痛し雪催いなかむら凧人
雪催い雲の重さに肩すぼめ流れ星
解体後更地に母と雪催い凪ゆみこ
盗聴器寝言を拾う雪催い梨山碧
事切れしスマホポッケに雪催夏風かをる
雪もよい待合室に聴くバッハ夏草はむ
集会所スリッパ薄し雪催ひなっこ
雪もよひの街ふかき森のやうに夏雨ちや
雪もよひ偶蹄目は目をとぢて七瀬ゆきこ
雪催マジックインキめくにほひ7パパいつき組広ブロ俳句部
救急のいつも灯のある雪催名計宗幸
雪催い環趾すずろに熱りたるなびい
死後事務の終つてしまひ雪催奈良素数
足の爪一つだけ死ぬ雪催い成松聡美
雪催い干されたままのスニーカー南全星びぼ
雪催い空遠くから鳥の来て西尾至雲
浅草のホテルに一人雪催い西尾照常
雪催ひ鯨の腹の下に居て西川由野
雪催い派出所窓に鉄格子西田月旦
スコップの天地返しや雪催西野和香
雪催い排除ベンチに座る人西村小市
雪催い河川敷とは塗り残し二重格子
雪催いスープの具材選る朝二十八
団欒は結界となり雪催い二城ひかる
雪もよひ雲は微光を奪ひあひにゃん
雪催い板を踏み下げ長洲風呂入道まりこ
犬紐の先穏やかに雪催仁和田永
また痩せたと母の真顔や雪催い庭野環石
雪催榾は炎を飼ひならす暖井むゆき
東より山鳴りとどく雪催い布村柚子
雪催い湯気立ち上がる牛の餌沼宮内かほる
雪催ひ人魚の已むる鰓こきふ沼野大統領
こだまする杵振るう音雪催いねがみともみ
外来の呼び出し響く雪催い猫塚れおん
押印の少し傾く雪催い猫ふぐ
雪暗や窪地に陰る集会所猫またぎ早弓
雪催い貨物列車の音固し根々雅水
風景の色を省略雪催ひ野口雅也
雪もよひ馬ら揃ひて此方向く乃咲カヌレ
雪催さわさわ擦る手の武骨野地垂木
片づけは過去の捨て場か雪もよい野瀬博興
雪催い五右衛門風呂に薪追加ののクラブ
父に要精検の印雪催い野の小花
まだ速く弾けぬフレーズ雪催野ばら
六度目の夫の入院雪もよい野原蛍草
待ち人はきっと来ぬはず雪催い野山めぐ
雪催い三条橋の修業僧則本久江
雪催い遠吠え底を這うごとしのんぬもんぬめぐ
雪催ひ崩れし侭に見附島徘徊狂人
喧騒の街に耳鳴り雪催白庵
殺人鬼逮捕のニュース雪催白山一花
観覧車の何か言いたげ雪催いはごろも856
先見えぬ病室静か雪催い波止浜てる
雪催い口下手同士そばにいて蓮井理久
雪催ひ分厚き雲のささ濁り羽住博之
雪催い涙するとき目は魚卵長谷川水素
雪催い手加減知らぬ自動ドア長谷島弘安
ぼくだけがいつもるすばんゆきもよい葉月庵郁斗
雪催い文字の生まれる点と線八田昌代
ポケットに隠す拳骨雪催花咲春
毒出しの薬ざらつく雪催花南天あん
鳳凰の翼めく屋根雪催花はな
錆濡れた自転車の山雪催い花彼岸
国会は過半数割れ雪催はなぶさあきら
ほの暗き瀬戸もよろしや雪催花水木
雪催影なき人とすれ違ふ花見鳥
カンタンニナケルヲトコヤ雪催ひ花和音
お百度の膝の重みや雪催いはままこみかん
雪催い重機が壊す古医院はむこ
口紅の中の螺旋よ雪催葉村直
雪催うソウル尹錫悦の乱原島ちび助
水墨の天の橋立ゆきもよひ原水仙
神様の大きな溜息雪催い原田くろなつ
煉瓦塀へ鬱の落書き雪催い原田民久
雪催ひ柱に蘞き刀傷巴里乃嬬
疲れたる眼鏡の重さ雪催い春あおい
東京タワー佇みて雪催いharu_sumomo
野良来なくなつて八日目雪催ひ晴田そわか
雪催ひ君と走つて帰らうか春菜理央
返信を指がためらふ雪催ひはるの風花
好物は魚の目玉雪催春野ぷりん
雪催ひ娼家の灯りほの朱く春海のたり
庭歪む玻璃戸古りたる雪催はれまふよう
雪催い輪島測候所の気球HNKAGA
信濃路を雪催う時空は鳴く万里の森
午後からは経営会議雪もよひピアニシモ
雪催ひ天井の梁煤けをりピーターパン症候群
生き急ぐ猛禽の声雪催い東田一鮎
自転車がぎぃこぎぃこと雪催い東の山
雪催い人生初の顛末書東原桜空
ささくれをつつく痛みや雪催いひかりき
軍用機北へと三機雪催樋口滑瓢
雪催い怠ける風車一基あり樋口ひろみ
飛行機の低く飛ぶ町雪催ピコリス
指先の幽かな湿り雪催い菱田芋天
雪催い政治談義をタブーとしひすい風香
橡のかなしき色や雪催ひヒッチ俳句
廃船の「丸」の錆びたり雪催ひでやん
父の字の「貴女」は我ぞ雪もよひ比々き
設営の日雇い終えて雪催いヒマラヤで平謝り
銀紙を噛み締めたごと雪催い日吉とみ菜
雪催い主らおはす金色堂平井千恵子
セスナ来る気配の低く雪催ひ平野芍薬
賽銭の電子決済雪催ひ比良山
サキソホン聴こえるやうな雪催ひ平山仄海
逝くひとと知らでたはぶれ雪催微呂
新人のゐるタイヤ館雪催浩子赤城おろし
離職の決意雪催いの九州廣重
読書灯つと引き寄せる雪催い広島あーやあーや
雪催い落とし主待つ護符袋広野光
みちのくの遺跡けざやぎ雪催ひ風慈音
君が代を共に歌いし雪催福前彩芽
雪催い煉瓦倉庫の黒き染みふくじん
雪催い閉鎖学級の教卓福間薄緑
毒魚裂く夫の青筋雪催い福弓
漆黒の翼風切る雪催ひふじこ
麻縄のやうやう重し雪催ひ藤咲大地
ひとり手を叩けばみな叩く雪気藤里玲咲
ひと匙をくちびるに母雪催藤澤迪夫(みちを)
雪催い左の母乳出なくなり藤永桂月
いつまでも苗字のままで雪催い藤中渚
雪催酒を忍ばす旅鞄藤原涼
ざらざらとグミすっぱくて雪もよい藤原素粒子
日和山海に歌ひて雪催ひ二見歌蓮
雪催い酒粕煮込むまろき背船橋こまこ
スワンボート湖岸に干され雪催ふにふにヤンマー
雪催い君の背中の映る窓ふみづきちゃこ
お開きの牛飲鯨飲雪催風友
雪催いニュースの嘘を反芻す古川しあん
けものらの耳尖り立つ雪催古瀬まさあき
健診の項目長し雪催碧西里
サドルやや高し雪催いのパリをペトロア
施設への住所変更雪催いべびぽん
雪もよひ鈴の音赤く尾を引ける黒子
安土より親し佐和山雪催い星田羽沖
師匠より緋色の帛紗雪催星月彩也華
雪もよふ空は孤独を圧縮す星詩乃すぴか
家庭てふ優しきおもり雪もよひほしの有紀
Xのアカウント消す雪催ほしのり
おほかみの小さき標本ゆきもよひ細川鮪目
横綱の訃報届きぬ雪催い細葉海蘭
低き山より迎へ出づ雪催ひポップアップ
雪催い戒厳令の夜半のデモ堀卓
雪催い改札口に宿の人堀隼人
鉄瓶に秘蔵の久保田雪催堀邦翔
かさぶたが少し剥がれる雪催い凡狸子
言い訳のぽつりぽつりや雪もよひ舞矢愛
青臭き日記燃やせり雪催前田冬水
下弦なるクレセント錠雪催ひ槇原九月
河川敷家なき家の雪催い牧茉侖
恐竜の生まれる兆し雪もよいまこと七夕
枯れるほどわーっと叫ぶ雪催い雅蔵
漢方薬湯に溶く朝や雪催い増山銀桜
炊き出しの色濃き湯気や雪催い町田勢
アパートに声と灯戻る雪催い松井酔呆
独り身の防災訓練雪催い松尾祇敲
雪催ひ背後より鳴る赤色灯松坂コウ
雪催い昼から灘の生一本松平武史
貼り紙に「店主変わる」と雪催い松野蘭
雪催い座り煙草の倉庫裏松本こっこ
返却のマネキンやつれ雪催黛素らん
雪催ひ轍導く日暮かな瑪麗
雪もよひディーゼル匂ふ駅のカフェ毬雨水佳
犬の仔の腹の丸さや雪催ひまるごとハテナ
放棄地の草の骸や雪催まるにの子
雪催い愛しいものの去るけはい丸山美樹
雪催い客なきメリーゴーランド美衣珠
いま富士の見えぬ鉄橋雪催ひ三浦海栗
人狼と気付かれぬまま雪催い澪那本気子
詫び状を書く墨うすく雪催三日月なな子
雪催ささくれ一つ程の鬱三上栞
雪催い薬膳粥を選びをり三茶F
雪もよい墨絵へふらしゆく砂子岬ぷるうと
ノーサイドのボールは高し雪催三崎扁舟
空気圧視るや彼の地は雪催水上康男
雪催ですよと眠るひとに言ふ水須ぽっぽ
雪催ひ出町柳の鰊蕎麦水巻リカ
白無垢は仮縫いのまま雪催い三隅涙
一人ゐて吉良邸跡や雪もよひ三田忠彦
雪催い伽藍洞乗せ夜行バス巳智みちる
雪催い山場のロケを待つ騎兵美津うつわ
砂型を奔る真鍮雪催ひ満生あをね
職長の外るる銀歯雪催いみづちみわ
この先は心臓破り雪催い満る
予報士の声弾みけり雪催い緑区のへこ
雪催ひ祖母に唄ひし「ふるさと」よみなづき光緒
雪曇ヘパーデン指の疼きけりみなみはな
道の駅に戦車止まりぬ雪催い源早苗
抱きしめて人間となり雪催ひ嶺乃森夜亜舎
雪催い象のような欠伸の父美村羽奏
雪催い露天の猿の瞼色三群梛乃
あの人はユダかもしれぬ雪催い宮井そら
極東へ速報雪催いの朝宮坂暢介
ゆきもよひ大観音の肩凝りぬ宮下ぼしゅん
ご実家への車窓しだいに雪催宮武濱女
雪催ひワンタンの皮角張ってみやま千樹
何台も登る火葬場雪催い宮本モンヌ
漬物の蓋の匂へる雪催妙
絞り出すメレンゲは薔薇ゆきもよひみらんだぶぅ
閉院の瓦礫へユンボ雪催い麦野光・いつき組広ブロ俳句部
地面からひしひし雪催の朝無弦奏
雪催い久しき文の美筆愛ず霧想衿
未来視を持てさうなほど雪催ひ睦月くらげ
雨ざらしの空の鳥籠雪催いむねあかどり
雪催ひバファリン探す明日上京紫小寿々
雪催いのガラス窓また鍋焦がす暝想華
林道はダム湖へ雪暗を独り茗乃壱
ユーカラの調べゆらゆら雪催茂木りん
常連の顔一つなく雪催ひ望月ゆう
表札はふたつ雪催の似合ふ本村なつみ
雪催残り少ない常備薬momo
つなぐ手の銀の冷たし雪催いもも
鳥籠の鍵のかんたん雪催ひ百瀬一兎
外レジの助つ人に立つ雪催百瀬はな
見えぬもの担ぐ猫背や雪催い桃園ユキチ
雪催い薬浴中のコリドラス森上はな
雪催あつたかさうな鼻炎薬もりさわ
鉄筋にあざ生生し雪催森太郎
鈍行の窓の指あと雪もよひ森ともよ
老猫の腹水たぷり雪催い森中ことり
雪催ひインクの滲む藁半紙森日美香
車椅子乗せて雪気のハイエース杜まお実
雪催い「き」の指文字を憶えたり森毬子
雪催い紫煙も吐き出し介護に戻る森宮野原
カレー屋の上にフィリパブ雪催い森萌有
淡白なロールシャッハや雪催い弥栄弐庫
背勢の法帖めくる雪催野州てんまり
バティックの生地裁つ朝や雪催八幡風花
雪催い亡きじいさんの釘の跡山尾政弘
居座りし猫のほとぼり雪催山河穂香
雪催いドクターヘリの響きかな山口香子
鈍色が好きと呟く雪催い山崎力
点滴のひかりのきよら雪催いやまさきゆみ
さよならの輪郭薄れ雪催い大和杜
雪催ひ生徒のこゑの余所余所しやまもと葉美
鉄檻に詰まりし狗や雪催山本美奈友
卒論の注釈迷ふ雪催柚木みゆき
職安で粘る検索雪催い有野安津
雪催叔父の訛りの強くなり雪子
シャウカステンに照らさるる顔雪催い柚子こしょう
雪催い開く気配なき手術室宙美
図書館の鬱金の灯火雪催夢見昼顔
雪催ひ下顎呼吸の間遠なり湯屋ゆうや
居間に満つ嬰の匂ひや雪催ひユリノイロ
車椅子用の近道雪催ひ陽光樹
黒鍵が硬い雪催いのカノン羊似妃
あの馬鹿が来るまで待とう雪催い横井あらか
雪催い鬼に追われる子らの声吉田蝸牛
円周率「3」のあはれや雪催い吉谷地由子
雪催ひ空すこしづつ低くなり吉田春代
雪催い迂回路探す地図の指吉藤愛里子
ガレ展へ夫と二人や雪催いYoshimin空
地に眠る龍は子連れや雪催余田酒梨
雪催い背に降りかかる光の重荷来華
雪催い送電塔の連なりぬ楽和音
「シアワセデスカ」雪催の街にRUSTY=HISOKA
常備薬空っぽ今朝は雪催い楽花生
雪催ひ中待合のソファの傷らん丸
雪もよひ刑場跡に六地蔵理佳おさらぎ
どんつきの手前は風呂屋雪催ひ柳絮
雪催い空の気配に鳥の声輪月
今朝は雪催いパソコンはフリーズルージュ
詩の降るほのかなかほり雪催いreion
遊び場に母が手招く雪催い麗詩
学寮の机の薄さ雪催黎明
雪催い実家に歯ブラシ立てたままろまねす子
雪催貧乏と云はれたやうな若林くくな
雪催い誰も帰らぬ競馬場海神瑠珂
雪催い水の匂いは上に有りわたなべいびぃ
雪催い龍馬像懐へ手を渡辺香野
讃美歌の集ふ蝋燭雪催い渡邉花
雪催い始発電車の顔なじみ渡邉わかな
世界史の果ては戦地の雪催亘航希
鍵穴に微かな歪み雪催笑笑うさぎ
熟れきらぬ夜顔の実よ雪催いあいむ李景
帝劇の見ゆる公園雪催朶美子
花買うて肉買うて街雪催ひ彩汀
雪催い金色の眼の猫を抱き野の菫
後編の頁厚しや雪催いリコピン
雪催ふ和紙になる日や楮蒸すあ.うん
背も顔も変はる友の子雪催いあきちゃんはようせい
雪催い風車回って音は無し飯田淳子
未熟児のマッチ棒の手雪催い池田悦子
ケバブ待つ公園に雪催いかな一慎
川柳と俳句の違い雪催い五ツ葉@藻の霊
自由なる野良猫の砦に雪催い花鳥風猫
雪催い針を通すに陽を探すごーくん
雪催い刃の意志が階へ榊昭広
雪催ひきらり入れ歯となりにけり佐藤恒治
渋滞中交通事故や雪催い星夢光風
打ち解けし頃が別れ時雪催いだんがらり
雪催長子出産ちぶさ張り花岡淑子
漉き桁の揺る音のひびき雪催ひ匹田小春花
マンションの理事長選ぶ雪催い相沢薫
雪催いまんまるすずめ肩並べ青い空かかる虹
雪催いつも一緒と言つたのに青居舞
小説に栞を挟み雪催い青星ふみる
猫耳の帽子でダンス雪催いあかねペン銀
夕暮れて夜汽車の明かり雪催赤恥山子
雪催い童らの手紙を懐にacari
今朝の雨東京で雪催いかな聰子
欠礼状を認めてゐる雪催い秋月あさひ
夫の遺骨抱くバス車窓雪もよいアクエリアスの水
雪もよい突然の黒雲追う芥川春骨
雪催い去年の思ひ出それはそれ浅井翠
雪催い物数減りぬ吾子迎う朝雲列
五時を告げ回る時計や雪催い明後日めぐみ
能登半島一年後の雪催いあさぬま雅王
雨男なる名返上雪催あさのとびら
雪催いバイパス脇のドライブイン朝日雫
雪催い待つ故郷の原風景亜紗舞那
「もう嫌」と何度言ったか雪催いあさみあさり
まだつかぬラインの既読雪催い明日葉
雪催い夜明け待ちかねホットワックス明日に翔ぶ会
噴水の伸びるアーチや雪催い愛宕平九郎
雪催い添え木に笠に庭仕事アツシ
ベビーカーのポケットへ靴ゆきもよい渥美こぶこ
雪催いあの子のスキップが見えてあまどかに
高速を降りる車列や雪催い雨戸ゆらら
引越しの積み下ろし雪催いかな天海楓
ため息はカラフル雪催いの街あみま
おもちゃ屋にストライキの子雪催い雨乙女
雪催い入学願書締め切り日雨霧彦(木ノ芽)
雪催い母の電話のか細くて雨森茂喜
ウォーキング四国山脈雪催い雨降りお月さん
雪催いベンチで啜る汁粉缶雨李
雪催句集の印税で生きたいあらい
雪催い漬物つける手は赤くあらいゆう
雪催い久しき街の異邦人荒木響
雪催い灯油買う列後ろ見えず飯塚うらら
雪催い薬缶の湯気の濃かりけり郁松松ちゃん
雪催いzoo所属せぬ鳥の糞池田華族
窓越しに近づく鳩や雪催い伊澤遥佳
透かし見る庭木の梢雪催い石井久次
仮住まい高き物干し雪催い石岡女依
快速の止まらぬ駅や雪催い石田ひつじ雲
母の杖花柄選ぶ雪催い石の上にもケロリン
白湯うまし一人の夜や雪催い石原花野
古里は知る人もなく雪催い石本美津
富士山や今朝もどんより雪催い泉恵風
積読の書籍の高さ雪催和泉攷
雪催い猫のひと跳び窓の影泉諒
四十五度下向き歩く雪催い一井かおり
立ち話端折って帰宅雪催いいちご一会
窓のぞき雪催いなる授業中イデ・シャオ・ロン
月は今眠つてゐます雪催伊都
色褪せし塀の候補者雪催い伊東海芋
諏訪の町四社巡りや雪催い伊藤ゆめ安
あいまいな回転扉雪もよひ伊藤柚良
鉛色たなびく靄は雪催い伊那寛太
おそろしくあかるし雪催ふ宵は稲畑とりこ
九階の窓から昼の雪催い下丼月光
雪催い横断歩道の白を踏む井上鈴野
雪催メタセコイアの点灯式井上れんげ
雪催い鯨も空を見上げるやいまいさちこ
雪催いパドック見遣り空仰ぐ今乃武椪
雪催い前髪重き峠かな今村きき
友の家遺影微笑む雪催い岩佐りこ
雪催い早めの湯屋の道すがらイワンモ
雪催いお地蔵様の赤衣ウィステリア
雪催い愉しむことの痛みかな植田かず子
電話機の呼び出し音や雪催い上野徹心
つづら折り眼下の海も雪催上原まり
雪催し二人で食べた酒饅頭うさぎのシュンコ
土管のみ残る公園雪催い兎野紫
雪催う難しかった鶴亀算内本惠美子
降る前にも一度会おう雪催いうつぎゆこ
既読表示は三日前雪催い宇野翔月
一斉に猟船帰る雪催い海口竿富
雪催い溢るる露天の湯の行方梅鶏
雪催ひ宅配待つ間何もせず梅野めい
鳥影の過る夕暮れ雪催い浦城亮祐
効けよ効け点滴落ちて雪催い麗し
朝焼けのイオウ温泉雪催江口YUKO
雪催ひ昏く波打つ雲の底蝦夷やなぎ
雪催い寄り道せずに風呂にする越中之助
雪催い悪魔の温度と声と色榎美紗
忌明けの旅湯宿の窓は雪催い榎本奈
雪催いポトフ作れば皆そろうえみくれ
狛犬の角のまるみよ雪もよひえりべり
犬の鼻かちりと黒し雪催い遠藤佐和子
雪催いメタセコイアの一枝落つ遠藤玲奈
古傷の一瞬しびれ雪催円美々
ピザ会の暖を取りつつ雪催大江戸小紋
雪催い冷めたコーヒー一気に飲む大久保一水
雪催い色なくす街あしばやに大越総
雪催い鳴声せわし木立かな大阪駿馬
前照灯点けてバス来る雪催い大澤眞
雪催い一人晩酌酔い潰れ大島一声
吾と夫はまた探し物雪催い大竹八重子
ぬいぐるみ窓辺に置かれ雪催い大津美
道後旅娘感謝の雪催い大原妃
雪催いブランコ押す手じんじんと大原雪
雪催い休校メールを書く校長大家港一
雪もよひ母は朝から饂飩てふ岡井稀音
雪もよい生家は遠くなりにけりおかえさき
お百度の父子と行き交ふ雪催ひおかげでさんぽ
雪催ひ八海山の身に染みる岡崎佐紅
雪催い孫とふたりのキムチ鍋岡田いっかん
パーティーの飾りてかてか雪催い岡田瑛琳
雪催い野辺の地蔵に傘かぶせ岡田恵美子
雪催ひ犬は雪の香わかるのか岡田きなこ
アイロンに愛の重さや雪もよひ岡田ひろ子
思い切り吸い込む冷たさ雪催いおがたみか
湯帰りの野良猫見えぬ雪催いオカメインコ
雪催い絵葉書のまま大樋焼岡本
下校時の喧騒過ぎし雪催い沖乃しろくも
サイレンの続けて過ぎる雪催い沖らくだ@QLD句会
来客の用意整ひ雪催ひお品
教職を手放す話雪催い小田ビオラ
こそあどの通じる仲や雪催い尾田みのる子
ドリップの廻し湯気の香雪催い小田原のお漬物
雪催い覚悟と不安の北転勤小野ぼけろうじん
鬱々と想いに耽る雪催い十八番屋さつき
雪催ひ抗ふ思ひ雲の上おんあいす
駆ける日も肩寄せ合うも雪催い貝柱とほ
膨羽の鳩自動ドア越し雪催い甲斐ももか
雪催い記憶のかけら探す旅加賀くちこ
雪催アスファルト果て沈む森案山子<いつき組広ブロ俳句部
再診の窓からみゆる雪催い梶浦和子
雪催い小走りの真っ赤なヒール鹿嶌純子
『特売日』はためき重し雪催い風かおる
雪催い信号の赤眼にまぶし片岡明
触る肩に電車よ来るな雪催い片岡一月
眼帯の外れ見る空雪催い片岡みみ
病室で頁進まず雪催い蝸牛
雪催尋ねる人もなき道を桂子涼子
ライバルへ賛辞は数多雪もよひ桂佐ん吉
リハビリの窓越しに見る雪催い金子陽
雪催い身伸ばし仰ぐ内露天かべ障子
雪催い灯油わずかのアラーム音花星壱和
雪催い今晩の雪白だろか神谷米子
雪催いマルシェへ急ぐ日曜日亀岡恵夢
雪催い漁終えし船帰りけり亀くみ
六甲や弟逝きぬ雪催い亀田みのる
山襞の古刹点へと雪催い亀山酔田
スマホから里の訛りや雪催い鴨の里
雪催ひあの子元気でいるかしら川崎ルル
あの人が逃げて隠れて雪催い翡翠時雨
我句作妻読書中雪催河孝
お揃いの正ちゃん帽出す雪催い川辺世界遺産の居候
雪催い探して歩く鍾馗さん川村湖雪
雪催い祖母の手握り待つ子かな河村静葩
雪催い頬に血管きみの息カワムラ一重
雪催いはぐれ烏の掠れ声川本林鐘
マクドとて笑み咲き誇れぬ雪催いがんも三世
行く雲や軌道迷うて雪催い木口まり子
雪催い一人待つ始発駅如月ゆう
いざ国立へキックオフ雪催い岸本元世
掘り起こす錆色の土雪催い北川茜月
雪催い陰口言わなくなった祖母北柴潤
ベランダで猫と眺める雪催い北乃大地
雪催い耽美期待し露天風呂北美三風
しゅんしゅんと湯の沸く厨雪催きべし
雪催いポンプの電池温めて君塚美蕉
雪催い屋形の舟に灯り点く木村修芳
井戸水や湯気立ちあげて雪催い木村波平
雪催い湯けむり越しの雲ながる清鱒
深煎りの珈琲煎れる雪催い近未来
雪催ふ朝日の照らす歩道橋久我家萬蔵
雪催い塗るワックスに力入る鯨之
忙しなき外掃除すみ雪催いくちなしの香
雪もよい今頃君は汽車の中くつのした子
お洒落れ染めだけしてきたの雪催い倉岡富士子
雪催い珈琲ミルを挽き続けぐりぐら京子
雪催ひお皿置けない左腕栗田すずさん
おうちカフェ訪ねる人なし雪催い黒瀬三保緑
雪催い富士も沈める重き曇黒猫さとみ
「お前もか」みんなそわそわ雪催黒山万牛
化粧する里山が待つ雪催い桑垣若葉
帽子手に耳まで深く雪催い慶唯
ホームズに似し人のいて雪催い月下檸檬
黄昏れて逃れの街や雪催ケンG
雪催い休暇願いにすぐ判子河国老末廣
六甲の雲見ゆる母雪催柑たちばな
反り橋に筵敷きけり雪催宏楽
トロリーバスさよなら運転雪催い古烏さや
はやぶさは白河越えて雪催いココ
雪催い高野霊園しんとして越乃杏
雪催い埠頭の小さき赤い靴小嶋芦舟
大見得を切るや黒雲雪催い小杉泰文
ひそとして訃の回覧や雪催い古知野朝子
首筋を押して目を閉じ雪催い小手川とし
西大門の軍服二十歳の雪催いこてぬぐい
卒論の期日にシール雪催い後藤周平
雪催ひ南国生徒の待つ劇よ後藤真昼
雪催い影無き道を急ぎけり来冬邦子
汽笛なる故郷恋し雪催い小鳥リコ
空見上げ故郷を想う雪催い小林弥生
雪催ひ厨で洗ふ食器拭きこひつじ@QLD俳句会
雪催い母炊く小豆ほのかな香駒形さかつ
雪催烏ことさら黒く見え小南子
雪催い溶けゆく孤独窓の夕こむぎ
雪催い十分遅れのバス重し小望月あうる
寄り添い駅へ片手おむすび雪催いコヤマユウジ
雪催い猫を抱きしめ転げてるコロンのママ
雪催い沖ゆく鈍色漁り船連雀
雪催親爺は家で鼻メガネ西條晶夫
雪催い列車待つこと三時間齋藤鉄模写
処方箋を手に20m雪催いさ乙女龍チヨ
いくたびも恋は蒸発雪催い酒井春棋
政局を思へば憂ふ雪催ひさかい癒香
空の清雪気解け消ゆ良き野良ぞ坂島魁文
片方の夫の靴下雪催いさかたちえこ
雪催い嫁いだ先の空低し坂の上向山
ぬり絵する助言の孫雪催い相良まさと
畑仕事手のひら返す雪催い咲美まき
老木の枝縫うあたり雪催いさくら亜紀女
犬山城見上げる露天風呂雪催い櫻井弘子
雪催い食い尽くしたる豆腐チゲ桜華姫
飼猫のすぐ戻りくる雪催い桜姫5
幾たびか窓を開けたる雪催佐々木佳芳
時待てばこころ晴れるか雪催いさざれいし
雨よりも雪待つこころ雪催い砂月みれい
雪催い三毛を師匠に丸くなり薩摩じったくい
雪催い缶珈琲を握りしめ佐藤公
小坊主の朝の勤行雪催ひ佐藤俊
雪催い自己啓発の本閉ぢぬさとうナッツ
死に場所を探す猫にも雪催い里こごみ
雪催クレーム処理はわたしまで里山子
院内の空さがす子ら雪催い沢山葵
雪催いフーテン雪駄で襟を立て三角山子
雪催い見るのも嫌な日本地図斬九郎
BSのノイズに怒鳴る雪催い珊瑚霧
古傷に巻くサポーター雪催い塩風しーたん
雪催い葛湯ふきつつ空見仰ぐ塩原香子
雪催い童駆け抜け奴立つしかの光爺
藍染の藍華やかや雪もよひ四季彩
雪催いプードル坂を闊歩せりじきばのミヨシ
雪催いくじら岩だと聞かされて柿司十六
雪催い血圧計は電池切れ信濃のあっくん
雪催い寝物語のマッチ売り篠崎彰
危篤の報尾灯憎し雪催い忍之一字
越後出の師匠無口に雪催い篠雪
この岬なまはげ出さう雪催しぼりはf22
客人の枕取り遣る雪催い縞子勾苑
作品を壊す手止まる雪催い島じい子
孤独とふやさしき進路雪催い島田雪灯
雪催い歌の止まらぬ留守居の児清水ぽっぽ
合戦の夢現なり雪催い清水容子
掘りかけの土色褪めて雪催い霜月詩扇
チェーホフの観劇帰路や雪催ひ霜月ふう
手仕事のメガネを拭ける雪催い下村修
置き配の夕づく頃の雪催い釋北城
旧友の輪に君がいたとか雪催い朱胡江
雪催いダンプの泥に跳ねる泥秋雪
提出期限いつだったっけ雪催樹海ソース
雪催い炭火の肉汁澄みてゆく種種番外
雪催金しゃち鈍く光りをりじゅんこ
山肌を隠して穂高雪催い正見
雪催い遠吠えのごと侵襲の朝白井佐登志
四人部屋病室しずか雪催い白石美月
仏壇に線香三本雪もよい白井百合子
雪催ひワイパー2本そっと立て深仲夏
茜空は雪雲のサンドウィッチ西瓜頭
雪催血圧計がごねている末広野暢一
雪催い待機児童の通知ありすがのあき
写経会の墨の香や雪催いすがりとおる
夜更けまで友と語るや雪催い杉浦あきけん
はるばるの山湯にひたる雪催杉尾芭蕉
叡山に賢治の歌碑や雪もよひ杉本果ら
雪催いペダル踏み込み朝市へ鈴木季良恵
日本海車窓はいつも雪催い鈴木里羅久
丸坊主白衣(びゃくえ)待つ樹(じゅ)や雪催い素敵な晃くん
雪催ひ鳥と言ふ名の喫茶店砂山恵子
雪催い足早にわたる踏切晴好雨独
雪催い最後尾札遙かなり清仁
雪催い路上ギターの母の歌瀬央ありさ
雪催ひ桶満つる酒あたたけし摂田屋酵道
雪催い静かに待つ始発列車瀬野広純
ジャズ喫茶しんしんしんと雪催千・いつき組広ブロ俳句部
御祝にお呼ばれの日は雪催い泉幸
雪催い約束の時間は過ぎて早春
雪催いエプロンの紐キュッと締めそしじみえこ
雪催い木より見下ろす樹懶(ナマケモノ)外鴨南菊
雪催い二回で終るけんけんぱそぼろ
僻地への辞令下りたり雪催い染井亀野
雪催い電車に君は乗ってるかsora
初めての北の大地の雪催い駄詩
馬跳ねて風温まる雪催いダイダラボッチ
崖上の白衣観音雪催い大ちはる
雪催ふ予期せぬ異動通知かな高岡春雪
爪先の麻痺すバス停雪催高辺知子
暗い海うねりが知らせ雪催い高橋紀代子
音もなく自転車去りし雪催高橋光加
後手番の父の長考雪催い高原としなり
北陸は路が水吹く雪催い田上コウ
雪催強めに叩くキーボード鷹見沢幸
出棺を見送る喪服雪催い高見正樹
雪催い時間通りに来ぬバスよ滝澤和恵
雪催い凶の御籤を持ち帰るたきるか
屋上のひとりの時間雪催タケザワサトシ
変化球ばかりの小僧雪催い武田豹悟
雪催いサバンナの雄園に吼ゆ多胡蘆秋
雪催い音無き色の支度かなたすく
雪催い寄席前満ちる団体客祐紀杏里
雪催いノーマルタイヤ一休みただの山登家
雪催い娘のぬくもりもおんぶする立花かおる
面談を待つ窓の外雪催い伊達紫檀
恙なく四戸の村も雪催田中美蟲角
撫牛の背や鳥騒ぐ雪催ひ田中みどり
幼な子がわくわく見上げ雪催いたなばたともこ
廃校の記念樹一本雪催い谷相
机上の陽にわかに陰り雪催い谷口あき子
雪催い検査は遠い病院へ谷本真理子
爪研ぎの猫叱り付け雪催い田畑せーたん
御神籤はきつく結ばれ雪催い田畑整
雪催い大き伸びして猫車玉家屋
雪催い人来ぬ墓のひび割れや玉響海月
耳覆ふ指にさかむけ雪催い鱈瑞々
世の中の正邪を質す雪催いチームニシキゴイ太刀盗人
首都競ふ熱き走者や雪催いちくりん
雪催い逝く彼の煙たなびく智同美月
雪催空半分の高さなり千鳥城/いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
雪催い豪州からの子の手紙千葉睦女
祖父の筆なる表札や雪催ひちやあき
雪催いコーヒーの香の扉押す千夜美笑夢
雪催い一つ啼きたる明烏千代之人
雪催い赤酒を注ぐ居間の朝つーじい
おしゃべりのいつまで続く雪催い月城龍二
雪催洗濯は止め赤ワイン月の莵
雪催い屋台ラーメン湯気の白ツキミサキ
旅先の出会いと反し雪催い月夜案山子
雪催い遠方よりの友迎う辻ほな
雪催いモカの苦みの朝かな辻美佐夫
道の辺の蒸気機関車雪催い辻本四季鳥
うどん屋の開店を待つ雪催いつついぐれちゃん
坂道や卒検落とす雪催い津幡GEE
立ち喰い蕎麦屋の行列雪催い鶴富士
風が吹き何時の間にやら雪催い手嶋錦流
画面越し霞むふるさと雪催い電気石
銭湯へ行くも良きかな雪催いてん子
野球部の声地を這うて雪催い土井あくび
雪催い街路灯れば白すぎて苳
壮年の新郎新婦雪もよひ遠峰熊野
噤む兄面会の外は雪催戸口のふっこ
夜も更けて引越し荷ほどき雪催いとこやまよもこ
雪催待機重機に夜の雨戸根由紀
末の娘の紅き口紅雪催ひとはち李音
雪催い優しさ巡る眩暈かな富永武司
ジムやめて今日は帰ろか雪催い戸村友美
秘湯へと走る山道雪催い豊岡重翁
学校に行けず神社の雪催なか鹿の子
雪催い遠くに見える山に山中澤孝雄
雪催南海高野線急げ中島走吟
雪催い能登の人々如何せん中嶋緑庵
雪催い紅い羽織でお出掛けす中藤雅子
河川敷ユンボぽつんと雪催い仲間英与
持久走うつむく生徒雪催い中村明日香
夕餉の香メニュー当てっこ雪催い中村雪之丞
雪催いわが胸中は炎たれ中山清充
ケーキありて急ぐ家路や雪催中山由
雪催い短き昼に襟立てて七五三五三
日曜の洋裁教室雪催い夏雲ブン太
駐車場「空」の字光る雪催い夏目りる
雪催い京にまねきの高々とななかまど
友の家お暇乞いや雪催い生天目テツ子
雪催い小鍋のチャイの印度の香奈良岡歩
等圧線は密に沖より雪催ひナンカラ牛眠
雪催い地図を広げてぽつねんとにいやのる
もう行くよ俊太郎逝く雪催いにえ茉莉花
雪催いあしたはざりざり歩いてく布川ユウリ
轟音や彼方に探す雪催い沼沢さとみ
ガタガタと雨戸の音や雪催猫辻みいにゃん
バス酔いの同窓会や雪催い野井みこ
渡し舟船足疾きに雪催い農鳥岳夫
雪催いぐつぐつと湯気立つお鍋野中泰風
白き窓小さき手映す雪催い野々光子
雪催いカリヨンの音天仰ぐ野原一草
残る葉や黒き街路樹雪催い白雨
雪催いバーゲンの靴履き下ろし橋爪利志美
道険し瓦礫の山に雪催い橋野こくう
雪催い電子に埋もる人の声橋本有太津
首都高のトンネル数多雪催い橋本こはく
雪催いの恵比寿五年ぶりの再会馬笑
わが子問ふ工場のけぶり雪催ひ蓮田初老
妹の生まれ日のごと雪催い蓮見玲
病床でヒトゴト外は雪催い長谷川麻子
生足の眩しき朝の雪催ひ畑中幸利
雪催い読み調べても雲の中ぐるんぱ
ポストまで小走り今朝は雪催葉月けゐ
高熱の父の背さする雪催初野文子
雪催い嫁して幾年慣れぬまま八方おこじょ
雪催い曇りガラスにココアの香花笠きく
おさなごの揃ふるくつや雪催い英凡水
雪催い子らの第九は高らかに花豆
帰る子を無口にさせる雪催い羽馬愚朗
天を向くレンズも涙雪催いはまち
不遇さも続かぬものと雪催葉森木霊
雪催いまず読み方を調べたり原善枝
急ぎ足が遅くなったな雪催い針子のねこ
雪催い子犬は玄関動かないharu.k
企画書もよれよれになる雪催い春爺
雪催いウタマロ擦る体操着葉るみ
雪催い慈しむ手の捌く手の半熟かさぶた
雪催い明日1番でゲレンデへひーちゃんw
雪催いひらひらの影可惜夜にHikaru
呼ぶ声を宙が吸い込む雪催い髭撫子
雪催い吾子のエッジを研ぐ今年一石劣
雪催いふらっと紅茶専門店ひと粒の種
雪催い旅の足湯の間の縁日向こるり
雪催いキャリーケースにHEAVYタグひなた和佳
心情は既に粉雪雪もよいひな芙美子
優しさの憂いのすき間雪催いひまわりと碧い月
タクシーに流るる「雪國」雪催い平井由里子
窓のないビル壁が呼ぶ雪催い平岡梅
雪催い痛みこらえる歯科帰り平田美濃
窓拭きの指痺れたり雪催い平松一
散歩して雪催ひの空の下平本文
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雪催い肺腑締めつけたるニュース広島じょーかーず
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オブラートめくってみれば雪催弘友於泥
安き米探しあぐねて雪もよひ広ブロ俳句部三日余子
雪催い暴走族がやかましいひろ夢
雪催いおもての気配ふと消えて琵琶京子
雪催い肉じゃが少し甘口にフージー
探鳥の枝先揺れて雪催い深蒸し茶
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グループライン退会どきや雪催い福田みやき
草高き休耕田は雪催い福ネコ
藍染の手覆いを洗う雪催いふくのふく
雪催いおねしょしたこと言おうかなふくろう悠々
結果待ちの廊下はしづか雪催い藤井かすみそう
古文書をそっとめくりて雪催い藤丘ひな子
山寺へ駆けるボクサー雪催藤白真語
雪催い端唄一節口ずさみFUFU
雪催い白湯を飲みつつ引きこもり藤本だいふく
雪催い屋台のおやじ一本つけ藤原訓子
ことことと小豆を煮るや雪催いフタバ凛
友送る友の弔辞や雪催い舟端玉
雪催い文庫本を読み切れずぶるーふぉっくす
浮き草が姿消す池雪催い古澤久良
じんとする街角ピアノ雪催い古庄萬里
雪催い電飾覆う御堂筋古谷芳明
しんしんと無人のリフト雪催い豊後の李子
玄関に鉢植えの庭雪催い鳳凰美蓮
マラソンのまだ折り返し雪催い峰晶
雪催いはようおかえり追う声す房総とらママ
雪催い兄の話の始めからほうちゃん
川を越えスカイツリーの雪催い暮戯
携帯の電池の叫び雪催ほこ
一つ二つ山越えれば雪催い星雅綺羅璃
雪もよひ鍵穴さへも縮こまるほしぞらアルデバラン
この空は貴方と私雪催い堀籠美雪
雪催い右手の痺れ吐息吐く本気のめんそ
カップルにイルミネーションと雪催い本間美知子
羊らのそろひ見上ぐや雪催牧場の朝
雪催い老いと共存したたかに町家の日々輝
バス停にひとりぽつんと雪催い松井貴代
雪催いタクシー呼んで医者通い松井英雄
雪催い里の景色の薄墨絵松浦宣子
雪催い保線工事の作業中松浦姫りんご
今日はもうい寝て過ごさむ雪催松岡玲子
襟立てて一つ身震い雪催い松尾老圃
傾きて耐へて堪へて雪催ひ松沢ふじ
雪催い枯れ木とならぬ祖父の指松田寛生
病床の重たき布団雪催いまっちゃこ良々
雲の間に現れるもの雪催いまつとしきかわ
恐るべき研師の五感雪催い松橋春水
雪催いつなぐ吾子の手ぷっくりと松本牧子
雪催い遠方の友門で待つまやみこ恭
雪催い温泉宿の傘借りるまりい木ノ芽
くっきりと常念見えて雪催丸山佳子
首かしげ黙るインコや雪催い帝菜
雪催い小さくなりし母の手やみかりん65号
薄紅の頬愛おしく雪催いみかん成人
一跨ぎ但馬丹後を雪催い神酒猫
雪催い離陸遅延のターミナルMR.KIKYO
二日酔い並ぶバス停雪催いみづたま
雪催い今日も貴方の声を待つ水タマリ
雪催い心弾むは子らより我か光月野うさぎ
雪催い背中丸めて翁行く湊かずゆき
雪催い鳥の行き先目で追いて見屋桜花
雪催い亡母の着物の小座布団みやかわけい子
雪催いりんごほっぺがにらめっこ宮城海月
次々と火の手比叡に雪催みやざき白水
雪催い空に吠えつく黒き犬美山つぐみ
雪催いふるならふれよ別れ道深山柚仁
雪催いみな足早の交差点宮村寿摩子
つと雪催ゆく末は二燭光椋本望生
雪催いドローンに広き空があり夢奘
3日目の赤葡萄酒や雪催い村上の百合女
幻聴は南無阿弥陀仏雪催い恵のママ
お絵かきの空はまっさお雪催いメディックス千里
雪催ひ異国砲火のビルボード森きやつか
幼子の泣き顔似たる雪催い森重聲
襟立てて見上げる妻や雪催い森嶋ししく
遠ざかる若草山や雪催いもりたきみ
初めての義実家帰省雪催い森野恵
パレットにかたまる絵の具雪催い森葉豆
空もまた水面にうつす雪催い森茉那
雪催い先回りして君を待つもりやま博士
赤い実に鳥姿なく雪催い諸岡萌黄
故郷へ急ぐ車列や雪催いモロチンスキー
ロンドンの便り途絶えて雪催いもろ智行
杣人の眉間の険し雪催い山羊座の千賀子
雪催い兼六園の植木職八木実
雪催いホットコーヒー400円厄災さん
雪催い板チョコ硬し家路かな矢澤かなえ
目が覚めて零時の時報雪催い矢澤瞳杏
カーナビは着いたと言うが雪催い安田伝助
仰ぐ師や儚き日々に雪催い安元進太郎
雪催い初めのうちはきれいごと痩女
誰ぞこの雪催いにサンダル八手薫
祈りたる少女の頬よ雪催山内彩月
雪催い月参りの僧延着す山内文野
安定はせぬ政局や雪催ひ山川腎茶
牛すじと蒟蒻卵雪催い山川たゆ
子の声の四方響けり雪催い山口絢子
位牌堂陰気なるぞよ雪催い山口雀昭
雪催い畳んだ傘で見得を切り山口笑骨
鍋底の汁に味噌足し雪催い山口愛
二人でも歩いて行ける雪催い山里うしを
雪催い入歯の時期の迫りくる山下義人
雪もよい電柱ずっと並びおり山育ち
棘枝の獲物干からび雪催い山田季聴
雪催い束の間浸る夢想かな山田啓子
雪催ストップ高の株価かな山田好々子
黙々とゆく道遠し雪催い山田翔子
入場の列三時間雪催やまだ童子
雪催い淡すぎる陽にも背を向けり山田はつみ
茶をすすり古傷さする雪催いやまもとのり。
階段に息つく杖や雪催い山本八角
長靴で雪催いの下駆ける子ら山本葉舟
筒型のポストじんわり雪催い山姥和
雪催エアロバイクに唸る祖父ゆすらご
室温の設定上げるや雪催い柚木啓
うらめしや能登に拡がる雪催い夢一成
雪催い空白がある日記帳横田信一
雪催きっと発泡スチロール横浜J子
露天風呂つまさき歩く雪催い横浜順風
一本の長き眉毛や雪催横山道男
雪催い半袖の児は淡淡とよしぎわへい
故郷に人の気配なく雪催い吉田びふう
雪催い既読のままに一週間吉成小骨
どんよりと空が涙目雪催いyopin
くすり指に紅のほんのり雪催いよみちとせ
雪催い次は嵐かメルヘンかリーガル海苔助
雪もよひ待ち人の来ぬ昼下がり理真
雪催キッチンカーも早仕舞い凛
雪催い一歩踏み出す新任地わかなけん
雪催など無き街で生きてゆく渡邉久晃
雪催い膝カックンとフラミンゴ渡部克三度
東京タワーぼやけ始むや雪催い渡辺陽子
上目にて眺むる空や雪催い和脩志
雪催い神在餅に手を合はす一駄歩
雪催い覚悟を決めて空睨む鹿茜
帰り道向かう彼方の雪催い蘆舟
親と子で表情変わる雪催い喜楽胤
雪催い山頂あきらめ鍋囲む高上ちやこ
雪催い今夜は皆で鍋囲み真理庵
雪催い白銀すべる楽しさよ司蓮風
雪催い落語を聴いて気分上げひめりんご
雪催い恩師の言葉蘇り福川敏機
雪催雪下ろし出すどの町も藤本仁士
雪催い明日の天気が気になりぬ三浦ユリコ
年取るとトイレの近し雪催い森佳月
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
◆俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
◆ひとことアドバイス
●俳句の正しい表記とは?
雪催い 狸も急ぐ 家路かなケビンコス
雪催い 夢見る子らは スノーマン鍵盤タロウ
ノーメイク ベビーカー押す 雪催い松門君佳
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
鍋囲み 「裏金」「予算」を 肴(あて)にしてちょく
冬催し隠れ絶景車待機山田一予
夢催い阿寒のマリモ湖の底へえのき絵巻
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「雪催い」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●季語として?
雪催しコンクリ表面は濡れずわかわかし
雪纏君帰らぬと告げられて赤尾実果
季語「雪催い」とは、今にも雪が降りそうな昏い空の様子です。「雪催し」「雪纏」という使い方が気になります。
●季重なり
早寝する明けに除雪の雪催いえのき筆丸
囲む鍋仮設のこたつ雪催い小見澤おみそ
白湯気と柚子と見上げる雪催い河嶋結鶴
犬を抱き夜長散歩の雪催 わきのっぽ
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。
まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「雪催い」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●季語の表記について
今回の兼題「雪催い」ですが、本サイトが底本としている講談社版『新日本大歳時記』は送り仮名の「い」がついていますが、角川版『新版角川俳句大歳時記』には送り仮名のない「雪催」となっています。
俳句では「夕焼け」の「け」を略すなどの独特の表記がありますが、歳時記によって表記のブレもあることを承知しておきましょう。
表記も表現のうちに入りますので、作者ご自身が意図をもって選択することを心がけましょう。
●今回の選外
「雪催い」なのに、実際に雪が降っている句、降っているとしか読めない句も相当数ありました。季語の本意を歳時記で確認してから句作に入るのは、基本的なルーティンです。
更に、詩の欠片はあるのですが、句意が判然としない句も、泣く泣く選外としました。自分にだけ意味が分かる句になっていないか、客観的に判断するためには、しばし時間を置いてから見直してみるのも、一つのやり方。〆切ぎりぎりの作句ではなく、ゆとりを持って取り組んでみましょう。
お待たせしました! 12月の兼題「雪催い」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。ここ数年は「雪が降る」と聞いたとき、まっさきに通勤の心配をしている自分に気づきました。大人になったなあという感じがします……。2月の兼題「春泥」もふるってご応募ください。(編集部より)