夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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12月の兼題

「雪催い」

9月の審査結果発表

兼題「水澄む」

お待たせしました!9月「水澄む」の結果発表でございます。今月も夏井先生のアドバイスは必読です。11月に入っても晩夏~初秋のような気候を行ったり来たりする日々ですが、俳句の世界なら季語ひとつですっきりと秋めくのが良いですね。11月「山茶花」も奮ってご応募ください!
また、来月の「後の月」結果発表につきましてお知らせです。次回の結果発表は12月10日(日)公開を予定しておりましたが、選者の夏井先生のスケジュールを鑑みまして、公開日を12月12日(火)に延長することにいたしました。結果を楽しみにされている皆様にはお待たせして申し訳ございませんが、ご理解のほどお願いいたします。

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
水澄むといふ絶え間なきみづの孵化

眩む凡

夏井いつき先生より

「水澄む」は地理の季語。元々は「秋の水」の傍題だったものが、独立した季語として使われ始めたようです。湖・川・沼・池など淡水を指すと私は理解していましたが、「海水は含まない」と明記している歳時記には(今のところ)出会えませんでした。
 が、秋の澄んだ大気が水に及び、透明度をうっとりと覗き込むかのような感覚のこの季語を、私のイメージ通りに表現してくれた句に出会うことができました。
 季語「水澄む」とは、絶え間なく水が孵化していくことだという詩的断定。秋の泉の底から湧いてくる美しい水のかたまりのような孵化もあれば、秋澄むという季節の孵化が地表の全ての水に及んでいくかのようなダイナミックなシーンとも読めます。季語「水澄む」の一物仕立てとしても秀逸。愛唱句がまた一つふえました。  

地
ムックリの震へは森へ水澄めり

青木りんどう

「ムックリ」は、口琴とも呼ばれるアイヌ民族の伝統楽器。糸を震わせて音を出しますが、その震えが「森へ」と広がり、さらに北の大地の水を澄みわたらせていくのです。繊細にして悠々たる作品です。

おもてうら水澄むなかを揉まるる菜

郡山の白圭

 野菜等を洗う水場の水も澄んでゆく秋。水中カメラで、洗われる「菜」を捉えたかのような映像です。「おもてうら」から始まり、「~なかを揉まるる」と描写し、最後に「菜」がでてくる構成も実に巧い作品です。

鳥の死を水澄むといふ供養かな

常幸龍BCAD

 水辺に水を飲みに来ていた鳥という具体的な死でしょうか。いや、様々な「鳥の死」を悼まんとして秋の水は澄んでいくのだよ、と読み解いてもいいですね。「供養かな」という率直な措辞に心打たれました。

白鯉のまなぶたあをし水澄みぬ

夏埜さゆり女

 水が澄めば、水中に住む生き物たちの様子も鮮やかに見えてきます。今回鯉を詠んだ句も沢山ありましたが、中七「まなぶたあをし」という描写が秀逸。下五「水澄みぬ」という着地にも安定感があります。

倒木は鳥たちの橋水澄めり

おかげでさんぽ

森の水場に集まってきた鳥たち。「倒木」をちょんちょんと渡る姿を見事に映像化しました。「鳥たちの橋」が詩語として生きていることで、下五の季語「水澄めり」がより鮮やかに立ち上がってきます。

人
  • 山彦はいつも正直水澄めりアンサトウ

  • 水澄めり耳は自動詞だと思ふ七瀬ゆきこ

  • 水澄むやひかりにゆらぐ鹿の骨にゃん

  • 希臘語をひかりと思ふ水澄めばRUSTY=HISOKA

  • 酒袋干して百枚水澄める清水縞午

  • 水澄むや烏骨鶏巣に初卵阿々八十六

  • 水澄めり古代の瓦ごろごろとEarlyBird

  • 水澄むや土偶は眼みひらきぬ愛燦燦

  • 水澄んで影黒々と浮くいのち藍田夜

  • 水澄むや要石まで長い列藍野絣

  • 下ろしたての燐寸擦るとき水澄めりあいむ李景

  • 水澄むや別れは潔くと知る逢來応來

  • 水澄みて鳥滑らかに飛び立てり青居舞

  • 水澄むや糊をきかせて子の法被蒼空蒼子

  • 水澄むや爆風受けし太田川大竹八重子

  • 水澄むやぴんと張らるる糸電話青田奈央

  • 水澄みて光抱くもの飛び回るあおのめ

  • 水澄みて湖底の戦さ見たりけり蒼鳩薫

  • 木の葉舟いそぐ浅瀬の水澄めり青花潜

  • 水澄むや隔離四日の夜の扉青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • マンドリンの細き音色や水澄めりあお山まみ子

  • 水澄むやバイク過ぎ行く三途川赤尾てるぐ

  • 水澄むや米研ぐ指の節の皺赤富士マニア

  • 青空を盗み撮りして水澄める赤馬福助

  • 水澄みて膝の古傷疼きをり赤目作

  • 新宅の朝の仏飯水澄めりacari

  • 鉱石の断面に宇宙水澄むあかり

  • 水澄みて雲のそのまま落ちてゐる赤尾実果

  • 校庭へタイムカプセル水澄めり明惟久里

  • 仮名書きて硯を洗ふ水澄めり聰子

  • 水澄むや底の硬貨に光あり昭谷

  • 繰り言は初耳のふり水澄めり空地ヶ有

  • 水澄むや岸辺の岩に樹の化石秋月

  • 水澄むやランプに照らさるる埃秋野しら露

  • 水澄むやガラスフィルムに気泡なし朝霧七海

  • 水澄むやトリチウム量異常なしあさぬま雅王

  • 鹿笛を吹けば水澄む蝦夷の牧あさのとびら

  • 水澄むやあいつの為についた嘘芦幸

  • 水澄むや戸毎に掛かる石の橋あじさい卓

  • 水澄むや石のいのちの笑ひあふ葦屋蛙城

  • 水澄むや水占ひの満る文字阿曽遊有

  • 水澄むや女王横向く金銀貨藍創千悠子

  • 水澄むや鮒にいつ飽きればよいかあたなごっち

  • ノモンハンの鉄塊の錆び水澄めり新子熊耳

  • 柏手をあつめ水澄む諏訪の朝アツシ

  • 水澄みしその時裏が見えました天晴鈍ぞ孤

  • 一陣の風に魂水澄めり渥美こぶこ

  • 水澄むや水切り石は七度跳ね渥美謝蕗牛

  • 足止めし下山途中の水澄む場跡部榮喜

  • 水澄みてゴリラの瞳にある孤独あなうさぎ

  • 水澄むや二百日だけ住んだ街アニマル可秘跳

  • 水澄み群青へ溶ける悲しみかあねもねワンオ

  • 水澄むや櫂を掲げて舟跳ねる阿部八富利

  • 水澄むや埋没林の焦げた幹雨戸ゆらら

  • 水澄むや八リットルの塩作り天橋立右彩

  • 水澄みて恋にも飽きてしまひけりあまぶー

  • 水澄むや婚姻色の赤の群れあみま

  • 水澄むや手延べ硝子にゆらぐ月綾竹あんどれ

  • 水澄むや写経の筆の真直ぐなり綾竹ろびん

  • 水澄みてふる里近くなりにけり荒一葉

  • 声明の聴こゆる里は水澄めりあらあらかしこ

  • 水澄める浜田雅功負傷の地あらい

  • 水澄むや月にはもっと澄んだ水あらかわすすむ

  • カカ.ムラド命の水の澄みにけり荒木ゆうな

  • 掬ふ掌の八丘ゆたか水澄めり新多

  • 水澄むやコツンと小石見透かさる蛙里

  • 水澄んで澄んで澄んで蒼き地球在在空空

  • 水澄むやホ短調チェロコンツェルトアロイジオ

  • 水澄むや喉なめらかに漢方薬淡湖千優

  • 子らも跳ね第十堰の水澄めり阿波オードリー

  • 水澄むや雲の大きさ測る人安春

  • 八方に水澄む風や人いこふ杏っ子

  • 水澄みて畳まれた店誰か訪う飯田淳子

  • 水澄みて隠せぬものもうつくしき飯沼深生

  • 水澄んで鍋の取っ手に手の馴染みイエティ伊藤

  • のこのこと辿る故郷水澄めり粋田化石

  • 痛みの記憶閉じて朝水の澄む池田悦子

  • 水澄みて逃げたボールがビオトープ池田華族

  • 神池に悲喜の銭貨や水澄めり池田桐人

  • 水澄むや琵琶の螺鈿の胡粉色池之端モルト

  • 水澄むや枝垂れ木抜ける鳥の声池丿村路

  • 水澄みぬ楽しき夜に朝が来てイサク

  • 水澄むや月光の尾の触れるたびいさな歌鈴

  • 水澄んで人真つ新に生れけり石井一草

  • 水澄むや観音様は聞き上手石川明

  • 水澄むや吾の涙まだ澄みきらず石崎京子

  • 水澄むや琵琶湖の中に立つ鳥居石田ひつじ雲

  • 水澄むや泥土もらるる氾濫地石塚碧葉

  • 母のために作る朝食水澄めり石塚彩楓

  • 水澄て一年ぶりの告解室石の上にもケロリン

  • 水澄むや夕べの愚痴を一つ投げ石原しょう

  • 水澄むや白き雲のみ写しをり石原花野

  • 水澄むや奉納太鼓の面しずか泉水あやめ

  • 間に合ひしメロスの動悸水澄めり和泉攷

  • 水澄むや切りし豆腐の角きりり遺跡納期

  • 根圧の水どくどくと澄めるかな磯野昭仁

  • 着ぐるみの後の紫煙に水澄めり石上あまね

  • 水澄むや仏のこぼすアルミ銭板柿せっか

  • 水澄めりピエロの白き涙ほどいたまき芯

  • 水澄むや太く凛々しく描く眉一井かおり

  • 水澄みてその正しさを毀したい市川卯月

  • 草原の駿馬の蹄水澄むや市川りす

  • 国宝の天守を写し水澄めるいちご一会

  • 水澄むや我が羊水の透明度無花果邪無

  • 水澄んで吾夾雑物となりぬ樹魔瑠

  • 養鯉の水澄みて月白のしぶき一久恵

  • 水澄みてフロントガラスに空映す一秋子

  • 水澄むや今朝は日のさす道選び五つ星

  • 水澄みて新しき靴紐通す一歩千金

  • 水澄むやテニスボールのかろき音伊藤亜美子

  • 水澄むや水には水の息遣ひ伊藤映雪

  • 手作りの昆虫ホテル水澄めり伊藤恵美

  • カルデラに数万年の水澄めり伊藤順女

  • 悪気無いサプライズ水澄む伊藤テト

  • 泥沼の百年を経て水澄めり伊藤なおじい

  • ほの蒼き吾子の虹彩水澄めり伊藤柚良

  • 鈴の音のして朝の水澄めり伊藤小熊猫

  • 楽しくて哀しくて老母(はは)水澄めり糸川ラッコ

  • 水澄むや触るれば揺るる愁ひ顔井中ひよこ号

  • 層をなす土の記憶や水澄めり伊奈川富真乃

  • 水澄むや那須の木道空に入る稲葉雀子

  • みちのくに神のゐどころ水澄めり稲畑とりこ

  • 水澄むや弥生糞尿展示室いなほせどり

  • 水澄みて光にひたるヌシの鰓居並小

  • 水澄むや譜面をなぞり唄ふ母犬山裕之

  • 水澄めば赤く死にいく魚かな井上右彩

  • 本堂は檜の香り水澄めり井上れんげ

  • 水澄める桶の豆腐の真白かな井納蒼求

  • 水澄むや喉にかかりし棘を抜く今井みどり

  • 倒木を跨ぎ山河の水澄めりいまいやすのり

  • 山葵田の石を洗って水澄めり井松慈悦

  • 水澄みて墨汁一滴天邪鬼今林義和

  • にほの海航跡浅く水澄めりミントティー

  • 水澄めり線対称の鳳凰堂妹のりこ

  • 水澄むや此処に盛土の城を建つ伊予吟会宵嵐

  • 水澄むや黒曜石なる神馬の目伊予素数

  • 水澄めリ魚は月を見上げたる伊代ちゃんの娘

  • 水澄みて沼に龍棲むごときかな岩佐勝弘

  • 水澄みて今朝の一歩のやや広しいわさちかこ

  • 弟と昔話や水澄めりいわしみず彩香

  • 蘇る戦国の街水澄める岩田勇

  • 水澄みて空とり戻す遺跡かな磐田小

  • 水澄むや柩に櫛と小町紅植木彩由

  • 水澄むや待つという事動かずに植田かず子

  • ひとつづつ星の名忘れ水澄めりうえともこ

  • 水澄むや池と溶け合ふ月の影上野徹

  • 水澄みてもう疲れない疲れない上野眞理

  • 水澄むやとぎれとぎれのハーモニカ上原淳子

  • 水澄みて一条や射す水底に上原まり

  • さざ波はくびなが竜か水澄めり上本みのり

  • 水澄むや知覧の空の縹色うからうから

  • 水澄めりスワンの目指す逆さ富士うさぎさん

  • 水澄むや水車は迷いなく赤し宇佐美好子

  • 水澄むやカヌー河流にしたがひて内田こと

  • 水澄むや白樺のかげ湖底までうつぎゆこ

  • 水澄みて白杖に添ふ声小さし靫草子

  • みちのくの琥珀の森に水澄めり卯之町空

  • 水澄むや富士の真中へ舟辷る海野青

  • 水澄むや楷書で記す受験票うみのすな

  • 川底の影は雲なり水澄めり梅朶こいぬ

  • 水澄みて底に確かな吾の跡梅鶏

  • 水澄みて古地図と照らし合はす街浦野紗知

  • 水澄める我が腹底の一角獣粳ヤン

  • 水澄むやヒュッテの親父逝きしとか麗し

  • 水澄むや献体となる無骨な手吽田のう

  • 水澄む日石の記憶と触れ合う日江川月丸

  • 水澄むや光の全て粒立ちて蝦夷やなぎ

  • 水澄むや一村締めて十九人越冬こあら@QLD句会

  • 水澄むや火口を天の酒器として海老名吟

  • 水澄める明日はギブスを外せる日笑姫天臼

  • 熱発のおもたい身体水澄めり縁穐律

  • 水澄むや手指浸せば穢しさう遠藤一治

  • 水澄むや唇の端の傷拭ふ遠藤玲奈

  • 水澄むや掬んで沈む感情線旺上林加

  • 水澄むやきれいな最期迎える日淡海なおあき

  • 水澄むや法面削るショベルカー近江菫花

  • 出鱈目な昭和のありて水澄めりおおい芙南

  • 水たまりの水澄みていま出棺す大岩摩利

  • 羊羹の底に花豆水澄めり大黒とむとむ

  • 水澄むや糺の杜は息あらたおおごしマーガレット

  • 水澄むや吾子の土産の加賀棒茶大塚恵美子

  • 垂直に水草の息水澄めり大谷一鶴

  • 水澄みてツリーチャイムの光り合ふ大山なごみ

  • 水澄みて森はひとりにとめどなく大和田美信

  • 水澄むや名乗らぬままに語り合ふ岡井稀音

  • 竜宮へ繋がる道の水澄めりおかえさき

  • 水澄むや羽衣のごと妻の影可笑式

  • 老木に鼓動の確か水澄めりおかだ卯月

  • 黎明のボーイソプラノ水澄めり岡田瑛琳

  • 水澄むや粟島までの月の道岡田雅喜

  • 水澄むや艇庫の夜明け五分前小川さゆみ

  • 森の香を肺いっぱいに水澄めり小川しめじ

  • 水澄めばひとにおもねる吾が映る小川天鵲

  • 水澄むや馬の瞳の只中に小川野棕櫚

  • 水澄むや太閤はんの大茶会小川野雪兎

  • 水澄むや今日で「いい人」やめてやる小川天鵲

  • 翳る陽の昏さのままに水澄めり小川都

  • 水澄むやすぱつと切れし尾根と谷おきいふ

  • 水澄むや御影の石に触れる指オキザリス

  • 水澄むや魚に追いつく魚のかげ沖原イヲ

  • 水澄んで龍は今年も沈んでる小栗福祥

  • 水澄みて兄から届く米重し小島やよひ

  • 水澄むや谷底の岩日に痴れるおだむべ

  • 水澄みて黒曜石のささめきぬ音羽凜

  • 水澄むや母のきものを手にとほすおひい

  • 退屈の無き毎日や水は澄むおぼろ月

  • 水澄みて駒音高く成りにけり沢瀉みやこ

  • 文字太き退職願水澄めりかいぐりかいぐり

  • 貌さがし水澄む淵を覗き込む海瀬安紀子

  • 水澄むや踵潰れたままの道快晴ノセカイ

  • 生き残れそう一人ごちれば水澄む械冬弱虫

  • 水澄みて草木は真の青となる海堂一花

  • 水の香を子に聞かれたり水澄みて海峯企鵝

  • 水澄みて途方に暮れる魚もありかえるゑる

  • 水澄むや夕陽に濡れる老いの顔火炎幸彦

  • 白壁に蔵人のうた水澄めり案山子@いつき組広ブロ俳句部

  • モリコーネゆつたりと水澄みにけり化骨

  • 父の言すとんと落ちて水澄めり風花まゆみ

  • 水澄むや橋脚の影深まりて風花美絵

  • 水澄む夜臍の記憶は生臭し加座みつほ

  • 甥っ子のピアスない耳水が澄むかしくらゆう

  • 水澄みて翅はひかりを震はせて樫の木

  • 水澄むや折りあげる白のワイシャツ鹿嶌純子

  • 水澄みて気盈つ龍笛の一聲華胥醒子

  • 高き空閉じ込めてまた水澄めり風薫子

  • 水澄みて幟微かに中古車店片岡六子

  • 水澄みて学級園の高き畝加田紗智

  • 水澄むや薪割り斧の枯れた音かつたろー。

  • 水澄むやひとへ伝へぬ志望校仮名鶫

  • 水澄んでせせらぎの音定まれり釜眞手打ち蕎麦

  • 水澄みて防人の妻歌詠みぬ神島六男

  • 水澄みて誰も奪えぬ舟の影神長誉夫

  • 水澄めりデイサービスに友百人神谷たくみ

  • 水澄むや布まっさらにアイロンす紙谷杳子

  • 水澄むや月の裏側見る毬藻亀子てん

  • 水澄みて寂しき道を君や説く亀田荒太

  • 水澄みてパグの昼寝のフガフガと亀山逸子

  • 水澄むや京都に残る舟の道亀山酔田

  • 水澄むや無音の中の音拾う鴨の里

  • 水澄んで魚きりりとしてをりぬ花紋

  • 合唱の上りし空よ水澄めり加裕子

  • 水死てふ不思議なことば水澄めり加良太知

  • 水澄みて鉄道の音かろきかなかりかり久助

  • 水澄みて菓子の秤の竿狂ふ刈屋まさを

  • 水澄みて「ありがとう」とは澄む言葉川越羽流

  • 通販のまりもポチりて水澄めり翡翠工房

  • 謹慎の子を訪ふ途の水澄めり川鍋暢子

  • 水澄むや下校の音は進化中川端芙弥

  • 水澄むや川藻に光棲み泳ぐ川辺世界遺産の居候

  • 算盤の玉模す絵馬や水澄めり川村湖雪

  • 浸す手の老いユラユラと水澄めり河村静葩

  • 水澄んで岩波文庫のカバー取るカワムラ一重

  • 水澄むや心に白き砂利二三川村ひろの

  • 洗礼の白き衣や水澄めり閑々鶏

  • 風籟を呑み込む底の水澄めり神無月みと

  • 水澄むや背筋正しき弓の朝閑酉

  • 水澄むや体温の無き貝釦喜祝音

  • 水澄んで歯の健やかな遺骨かなキートスばんじょうし

  • 多摩川を行けばタワマン水澄めり器官

  • 水澄むやマンボウ飼育更新中季々諧々

  • 水澄むや天正の墓石野面積み岸本元世

  • 水澄むや高きラの音の周波数岸来夢

  • 鯉死んで無表情なる水澄めり北里有李

  • 水澄むや鉛筆ぜんぶ削りたて北野きのこ

  • 人類は暮か水おのづから澄む北藤詩旦

  • 左官屋に依頼の電話水澄めりギックリ輪投げ

  • 水澄むや手水舎のこぼるるひかりきなこもち

  • あの世ともこの世ともなく水澄めり城内幸江

  • 星図鑑水澄むほどにひとりなりきのえのき

  • 水澄みて遠く聖歌のフォルテシモ木下桃白

  • 水澄むや亀の甲羅に等高線木ぼこやしき

  • 水澄む波紋あり魚の吐息か木村かおり

  • 人住まぬ惑星となり水澄めり木村隆夫

  • 水澄めり歩荷の背負ふガスボンベ木元紫瑛

  • 水澄める朝やデッキに飲むワインQ&A

  • 水澄める井伏鱒二の生家かなQさん

  • 水澄むや郡上の藍の袖しぼる鳩礼

  • 水澄みて岩に瀬音の分れけり京野秋水

  • 水澄むや根岸へ届く岩絵具杏乃みずな

  • 水澄みて円空仏の笑まひかな清瀬朱磨

  • 澄める水飲ませ河童の解呪かなギル

  • 干からびし蝶の重さを水は澄み銀紙

  • 水澄むや下ノ畑二賢治居リ菫久

  • 堕ろしても変わらず水澄むイタイイタイクウシンサイ

  • 二足歩行四足歩行水澄めり久我恒子

  • 澄む水や屋久杉潜り湧き出でり鯨之

  • 水澄むや石から石へ川渡る國吉敦子

  • 水澄みて底の足跡けもの道窪田睡鯨

  • 水澄めばオールの軌跡そろいけり久保田凡

  • 白龍を底に眠らせ水澄めりくま鶉

  • 人類はいつか化石に水澄めり熊の谷のまさる@俳句迷子の会

  • 船頭の緩きハングル水澄めり紅三季

  • 0歳児0人の村水は澄む蜘蛛野澄香

  • 鬼の吹き下ろす風あり水は澄む曇ゆら

  • 水澄むや踵に生まるる小さき羽クラウド坂の上

  • どの影も拒み水澄む教護院倉木はじめ

  • 水澄むやテラス席から黒部ダムぐりぐら京子

  • 水澄むをフルートの銀のびやかに栗田すずさん

  • 水澄むやナビは示さぬ空の距離久留里

  • 龍神の瞼とじれば水澄めり愚老

  • 水澄むや何を収めし掌黒瀬三保緑

  • 読了の胸に置く手や水澄めりくんちんさま

  • 水澄むや夫と下見の散骨葬桂子

  • 水澄みて砂はひかりに磨かるる恵勇

  • 水澄むや洗いそびれし毒りんご月下檸檬

  • 鉄橋をくぐる鉄橋水澄めりげばげば

  • 水澄みて生き死になんぞラララララ欅谷風来

  • 水澄むや一つ増えたる手術痕健央介

  • 三年の服薬了へて水澄みぬ剣橋こじ

  • 水澄みて墓を潤す鳥のこゑ小池令香

  • 水澄むや鷺の死神めく歩速剛海

  • 水澄むやきれいなものの浮力生む紅紫あやめ

  • 水澄むや良き母はよき妻でなく幸田梓弓

  • 川底は地球の素肌水澄めりごーくん

  • 手押しポンプきゆこきゆこ水の澄む重さ古賀

  • 水澄みて角すべらかな石の過去古烏さや

  • 水澄みて墨磨る所作の膝ただすココヨシ

  • 蝋染めの大柄小柄水澄めり越乃光

  • 水澄むや乗鞍岳の観測所小嶋芦舟

  • 水澄みて池にひかりの無限大木染湧水

  • 正装の河童の親子水澄めり小だいふく

  • 水澄むや次で性別わかりそうこてぬぐい

  • 水澄むや音楽室のアルペジオ来冬邦子

  • 水澄みて映すや雲に銀の翼後藤周平

  • ドビュッシーの不協和音や水澄めり後藤三梅

  • 硝子ペンさらさらくるり水澄めり古都鈴

  • 水澄むや硯の丘に墨を磨りこのみ杏仁

  • 水澄むや死体を燃やす香は甘し駒野繭

  • 水澄むや眠りの芯に神木を駒水一生

  • 人と鳥集める池や水澄めり五葉松子

  • 山よりも雲低き国水澄めりGONZA

  • 水澄むや俺に飼われている小山コンフィ

  • 水澄むや空から響く手風琴さいたま水夢

  • 水澄めば河童が釣れるかもしれぬ埼玉の巫女

  • 神獣鏡発掘の丘水澄めり彩汀

  • 水澄むや柱の跡も無き古宮齋藤方南

  • 水澄むや吾が映るには清すぎてさおきち

  • 銭なげる水澄む橋の美しき老い酒井おかわり

  • 水澄むや錆た魚のふらふらと坂上一秀

  • そりゃ犬も肉落とすやろ水澄めりさかえ八八六

  • 水澄みし廃寺に拾う長柄杓榊昭広

  • 澄む水のひかり一杓汲む侘茶坐花酔月

  • 水澄みてピアフの歌の沁みる夜坂田雪華

  • 水澄むやあの麓郷まであと五キロ坂まきか

  • 消火器の無傷の赤や水澄めりさくさく作物

  • 水澄みて走り井に砂踊りけり咲まこ

  • 水澄むや三病棟の窓煌々櫻井紫乃

  • 澄む水にひたす神籤や旅は吉桜鯛みわ

  • 水澄むや射手の少女の白襷桜月あい

  • 笑みとほきデルタの像や水澄めり迫久鯨

  • 水澄めり川淵膨る遠心力雑魚寝

  • 水澄むや「月の光」のアルペジオさざなみ葉

  • 水澄みて神の子住みてゐるやうな佐藤志祐

  • 水澄むや阿賀川やがて阿賀野川佐藤儒艮

  • 水澄むや糠星と居る停留所さとう昌石

  • 秘要と啼く河童のとほく水澄めりさとうゆうき

  • 水澄みて浜に梵語の響きけり佐藤レアレア

  • シリンジにひとくち分の水澄んで真井とうか

  • 水澄むやたましひ色の磨崖仏錆田水遊

  • 約束をしたかに郷の水澄めりさぶり

  • 億千の色を映してなほ水澄めり彷徨ういろは

  • 水澄めり最期の耳へ灌ぐ声さむしん

  • 墓石の補修見積り水澄めりさやじゅん

  • 水澄みてクラリネットに満つる憂ひ紗羅ささら

  • 水澄むや賢者の海は月の裏さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 水平に開く腹びれ水澄めリ沢井如伽

  • 水澄みてわたくしという不純物澤田紫

  • カルデラに湛ふる孤高水澄めり澤田郁子

  • 水底より望む水澄みたる天沢拓庵@いつき組カーリング部

  • 柿田川は僅か一キロ水澄めり澤野敏樹

  • 水澄むや長き髭もつ雲龍図山海和紀

  • 水澄むや子烏丸の刃文美し三月兎

  • 水澄むやポートレートの目の潤み珊瑚霧

  • 草舟を風にはなちて水澄めり潮風の台所

  • 水澄みて細胞の律調へり歯科衛生子

  • 水澄むやこども食堂笑うとるじきばのミヨシ

  • 水澄みて水面の父の影やさし四季春茶子

  • ぷぷぷぷぷ泡ぽぽぽぽぽ水澄みぬ四條たんし

  • 菜園の小さき看板水澄めり紫檀豆蔵

  • 水澄むや獣あたった柵の端実本礼

  • 細筆で描く眼や水澄みぬしぼりはf

  • 水澄むや皮膚の渇きの鱗めく島田あんず

  • 水澄むや祈りの石を積み上げる嶋田奈緒

  • 水澄むや繁殖し続ける光嶋村らぴ

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佳作
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  • 水澄むやハノン流るる散歩路淺井翠

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  • 水澄むや備後表の十万石seki@いつき組広ブロ俳句部

  • 米研いで仕込みの蔵の水澄みて一穂

  • 水澄みて冷凍枝豆の気泡全美

  • 水澄むや白杖の音古寺の森惣兵衛

  • 家族旅忍者屋敷の水澄みてそしじみえこ

  • 面影を辿りし雨や水澄めり外鴨南菊

  • 水澄むや早産の子に祖父の笑み宙まあみん

  • 水澄むや我がわだかまり解けてゆくそれでもボクはやるマゲドン

  • 水澄みてパジャマのズボン父の夕べ駄詩

  • 水澄むや隠せぬ心とぐろ巻き

  • 水澄むや鳥餌攫ひ波紋消へ大康

  • 水澄むや小石の多き遊歩道太閤検地郎

  • 水澄みて背伸びの先や青い空平たか子

  • 水澄みて色とりどりの嘘あらわたいらんど風人

  • 水澄むやシャーッと漕いで風となる高井大督

  • 過ぎ去りし大禍の痕も水澄めり高岡春幸

  • 水澄むや兄の引っ越し先は千葉だがし菓子

  • 水澄むや堅焼きせんべい噛りけり髙橋鰈舟

  • 水澄むは風さえも今と通り過ぎ高橋紀代子

  • 水澄めり水の光は草に吾に高橋なつ

  • 水澄むや信濃の国の道の駅高橋ひろみこ

  • 水澄むや日帰り旅はひとり旅高橋光加

  • 川岸に消えし獣や水澄めり高見正樹

  • 水澄みてファインダーのカシオペア卓女

  • 通潤橋畑の生命の水や澄むたけぐち遊子

  • ひと泣きの後の細胞水の澄む武田豹悟

  • 水澄むやほっちゃれ睨む空の先武部敞子

  • 水澄むや運命に身をまかせましよたけろー

  • 水澄むや新管馴らすフォルテ息多胡蘆秋

  • 水澄みて魚の動きいとをかし祐紀杏里

  • 水澄むや子供心は何処へやら糺ノ森柊

  • 水澄むや子の声の溶けた場所から立川茜

  • 水澄む日タンスの奥のナフタリン田鶴子

  • 水澄んでコンと何かの鳴きにけり立部笑子

  • 水澄んで椀底映るお麩の影田中実千代

  • 水澄むや博士名づけしスエコザサ田中ようちゃん

  • 木の葉舟浮かべ水澄む吾が思ひたなばたともこ

  • 水澄むや老舗そば屋の長き列たなべ早梅

  • 水澄めり杉の木立が一気飲み谷卓生

  • 水澄むや待合室の午後速し谷相

  • 水澄むや水脈引く鳥の軽やかに谷口あきこ

  • 水澄むと友の便りの小川かな谷口美奈子

  • 水澄めり水守る宮や花手水谷町百合乃

  • 水澄むや白内障が治るごと谷本真理子

  • 水澄むや鉄橋映す大井川玉井令子

  • 水澄むや好きな姿の水描くタマゴもたっぷりハムサンド

  • 水澄むや鱗煌めき石滑り玉響海月

  • 城址の赤鯉ゆるり水澄めりたむらせつこ

  • 水澄みて水面に遊ぶ雲と鱒ダメ夫

  • 水澄めりダムに沈んだ村朽ちぬちくりん

  • 水澄む日この世の暗きはそのままに智同美月

  • 水澄むや草ばうばうの河川敷ちゃあき

  • 塾帰り水澄む川に横手投げ司蓮風

  • 水澄んでわが影薄く揺れにけり月城龍二

  • わだかまりほどく水澄む川清く月待小石

  • 水澄むや命を毛皮にくるみおり辻ホナ

  • 水澄むや小さき児の手は紅色に辻美佐夫

  • 水澄むや華々しきは遠い過去辻内美枝子

  • 水澄むや故郷の情味の深さ知る対馬清波

  • 水澄むや魚菜の串に「ぐー」の音つついぐれちゃん

  • 水澄んで口パクパクと池の鯉椿叶@木の芽

  • 水澄むや島から島へ小豆島椿律

  • 水澄むや何もないけどバースデー津幡GEE

  • 水澄むや川底に緩流の影坪山紘士

  • 水澄んで合唱コンの高音よデイジーキャンディー

  • 手水鉢水澄む中に満月を手嶋錦流

  • 嫁ぐ日の父の涙や水澄めり哲庵

  • 紙縒り落として田沢湖の水澄めり哲山(山田哲也)

  • 水澄むや尾瀬に友に逢えし頃徹光宗光

  • 水澄みて見えし社会やめんどくさ徹光よし季

  • 水澄むや今年も送る線香をてつねこ

  • 水澄むや遡上するもの下るもの寺尾当卯

  • 水澄みて観光客のまばらなり輝陽

  • 二つ目の堰ナイアガラ水澄めり

  • 大岩に寝そべるこども水澄めり藤白月

  • 水澄むや湖底に沈む街いくつとき坊

  • 水澄みて智恵子の空は遥かなり時まる

  • 水澄みて白と云ふ色示しけりDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部

  • 謝れた明くる日川は水澄めり杼けいこ

  • 水澄んでお手前しんと蹲と戸根由紀

  • 水澄むや川岸近き地蔵尊とよ

  • 水澄めり汲み置きもして淹れる珈琲豊岡重翁

  • 父と手を水澄む川に円描く中澤孝雄

  • 水澄めり釣糸揺らす魚影かな中島葉月

  • 水澄むや水面凝視す白き鷺中嶋敏子

  • 水澄みて陽光揺らぐ伊佐地川中嶋緑庵

  • 水澄むやのぞく瞳に恋をして中谷幸弘

  • コンタクトレンズに水の澄みにけり中平保志

  • 水澄むや水面に私の笑い顔中村こゆき

  • 渡り行く弘誓の船の水澄めりなかむら凧人

  • 賢治描く青白赤や水澄めり凪ゆみこ

  • 水澄んでトライアスロン十キロへ那須のお漬物

  • 水澄むや鯉の膚のハート型ななかまど

  • 水澄みて淵にドラゴン見えにけり⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • 水澄むや安曇野の橋よどむ我浪速の蟹造

  • 水澄んで心は八ヶ岳へ向き南全星びぼ

  • 水澄みて馴染みの池の深さ知るにいやのる

  • 水澄んでもう忘れよと手を洗うにえ茉莉花

  • 水澄むや唐草の藍なめらかに螺原トモ

  • 水澄むや雲を背負いて鯉の群れ二和田躬江

  • 水澄めり足に絡むは茜色ねがみともみ

  • 水澄むや旅の始めは熱海から猫辻みいにゃん

  • 水澄むや今朝も魚の跳ねる音野井みこ

  • よもすがら水澄む井戸の大星図野口雅也

  • 水澄みて四万十川に青や増す野中泰風

  • 兄が逝く水澄む天で酒と歌 のの俱楽部

  • 鏡池のなほ水澄むや蕎麦の里則本久江

  • 水澄む湾処信号は赤と赤羽織茶屋

  • 水澄むや沈水葉の色めきて白雨

  • 水澄むや五箇山は幸てんこ盛り橋爪利志美

  • 難手術水澄む畔ほっと帰路波止浜てる

  • ようやくに消えた哀しみ水澄めり蓮見玲

  • 水澄みて氾濫の川静かなり長谷島弘安

  • 水澄むや妻は白髪を茶に染めて葉月けゐ

  • 水澄むや出汁香りたる朝の卓初野文子

  • 水澄むや袱紗捌きの凛として花岡淑子

  • 水澄むと私の中の水も澄む花咲明日香

  • サンダルの小さき舟々水澄めり花咲めだ香

  • 水澄むや君と巡りし鳰の海花水木

  • 水澄みて「あの日」の父の横に坐すぱぷりかまめ

  • 水澄みて石段見ゆるダムの底早川令子

  • 水澄むや昨日の私蘇る林田リコ

  • 骨折れて惑う母にも水澄めり林ほうき

  • 水澄むや古希を迎えて断捨離す原善枝

  • 水澄むや湖面の富士の白きほど原島ちび助

  • チャレンジに早期退職水澄めり原田民久

  • 魚きて水澄む川の橋渡し春風

  • 水澄みて泣かぬと決めた泣きたい夜パンドラみかん

  • 水澄むや渓(たに)へと続くけものみちピアニシモ

  • 時を経て水澄む心静かなりひーちゃんw

  • 水澄むや櫓の音静か遠くまで東の山

  • 映し身の面隠しめく水澄めり匹田小春花

  • 水澄みて心の底を見透かさる比企野朋詠

  • 退院の朝のせせらぎ水澄みてひぐちいちおう(一応)

  • 水澄みて白球の先ボンネット火車キッチンカー

  • 石蹴りて雨後に水澄む用水路翡翠詩憶

  • 水澄みてインターホンのニューレンズひすい風香

  • 水澄んで光の銀河川底に英行

  • 水澄むや川の街盛岡が好きひと粒の種

  • 吸ひ寄せて立ち止まらせて水澄めりひな扶美子

  • 水澄みて苦き野菜の天日干し妃可

  • 水澄むや麹ほのかにブラウニー姫川ひすい

  • 水澄みし水の石切り音冴えしひめのつばき

  • 水澄める霊峰富士の沢激つ平井千恵子

  • 水澄むや罪ある心詐りて平岡花泉

  • 水澄むや噂話は聞き流す平林政子

  • 水澄むや川面に映る雲光り平松一

  • 水澄むや群れる魚のへの字口昼寝

  • 水澄めりダム湖に立ちて魚影待つ浩子赤城おろし

  • 水澄むや老婆は赤子へ還ってく廣重

  • 水澄むやマツダのマーク鮮やかに広島立葵

  • 京アニの作画のやうに水澄めり広瀬康

  • 水澄んでブータン国のひるけかな廣田惣太郎

  • 水澄むや新ウィッグでお洒落してひろ夢

  • 水澄みて砂金探しに日が暮れてFUFU

  • 生きてゆくため働けば水澄めり深谷健

  • ふるさとの恩師の訃報水澄めり福川敏機

  • 水澄みてひらひらと手を濯ぎをり福前彩芽

  • 水澄みて読経の鈴のしみじみと福弓

  • 水澄みてインカの文字は語りだす福良ちどり

  • 川底の錆びたチャリ鍵水澄めり武幻琵離吾

  • 水澄みて笹舟二つみぎひだり藤井かすみそう

  • 水澄むや磯の小蟹の泡跳ねる藤井眞おん

  • 水澄むや木を焼く匂い渡り来る藤丘ひな子

  • 水澄むにひとりぽつちの魚人ゐる藤川雅子

  • 水澄むや矯正展の知らせ来る伏見レッサーレッサー

  • 水澄みてカメ石飛んではしゃぐ子ら藤本だいふく

  • 郡上八幡まちを流るる水澄みて藤原訓子

  • 水澄みぬおかっぱ頭のダンスの夜ふたついけ

  • 水澄みて今日は出勤最後の日二見歌蓮

  • 土塊に揉まれて消えて水澄みぬ船橋こまこ

  • 水澄むや君のLINEを絶ちにけり風友

  • 外来種を退治して水澄む池古澤久良

  • 水澄めり玉石光る洲浜かな古谷芳明

  • 水澄むや他人(ひと)それぞれが美しく平馬

  • 水澄むに映る貴方は濁り水ヘッドホン

  • 水澄むや別れの理由なんだっけべびぽん

  • みず澄みて石の手水鉢松ぼっくり鳳凰美蓮

  • 山峡を流れる水も澄みて見え望月

  • 水澄むや底住む魚の目は清か房総とらママ

  • 水澄みし湖底の魚影踊りけり星勲

  • レマン湖のSLがゆく水澄みて星影りこ

  • 水の澄む川に珍客外来魚細江隆一

  • 水澄めば深呼吸さえ写しけり牡丹ゆり

  • 水澄むや寺の仔猫はまだ他人堀江むすぶ

  • 水澄めばお洒落をしてる深海魚堀隼人

  • 水澄めり太古滴る伊尾木洞凡狸子

  • 水澄みて水底揺蕩ふ鯉の影前田龍志

  • 水澄むやコラムを書き写す祖父槇英里

  • 水澄みてお遍路さんの白眩し真喜王

  • こ、こ、これが運命の人水澄める正岡若ん輔

  • 水澄むも我の悪魔が蠢きて雅蔵

  • 水澄む子穢れが愛と知らなくて町屋の日々輝

  • バンジーの叫びの底に水の澄む松井酔呆

  • 水澄むや肥ゆる鯉担の薄明かり松井くろ

  • 水澄むや「みぞの鏡」の奥深く松浦貴子

  • 水澄んでハヤは速やか橋の下松尾老圃

  • 水澄みて木々の競いて化粧する松沢ふじ

  • 水澄むや廃寺に鯉生きてあり松田慶一

  • 水澄むやゆたかに流る黒部川松永好子

  • 水澄むや四万十川の底の苔松原隆雄

  • 水澄んで孫に教える田の魚松本俊彦

  • 風が撫づ水澄む汀の水筒松本裕子

  • 水澄むや空を映してゆれる藻よ松本牧子

  • 水澄めリ仕事出来るはありがたしまほろば菊池

  • 水澄んで水の輪探すビオトープ真宮マミ

  • 水澄むや沈殿を待つ嫌なこと丸山隆子

  • 水澄みて棚田に響く神楽笛美衣珠

  • 水澄みて川底の岩流線型三日月なな子

  • 水澄むや一パーセントの君の純三上栞

  • 水澄んでじっと動かぬ魚かなみかん成人

  • ああ波紋水澄む川に落ちた君三粂ニ乙

  • 水澄むやブルーアワーの紅一途美乎梛

  • 水澄むや歩き疲れし君静か三島瀬波

  • メヅサのみ眠る柩や水澄めり水鏡新

  • 青き澄む水魚住まぬ酸の水水越千里

  • 水澄みて素面で告げる本音かなMR.KIKYO

  • 裏歩き雷滝の水澄めり水谷未佳

  • 松明が消えて水澄む膝小僧三隅涙

  • 水澄めり肉球跳ねる午後6時御園みる

  • 煌めきつ木漏れ日踊る水澄みて光月野うさぎ

  • 水澄むも還暦来るも逡巡しミツの会

  • 水澄むや笑えば済むと思うなよミテイナリコ

  • 手の跡残す乙女の像や水澄めり南方日午

  • 水澄みて米とぐ妻の指白し湊かずゆき

  • 水澄むや湖面にうつる水車小屋源早苗

  • 水澄むや動画の孫をあやす祖母みのり甘子

  • 水澄むや戦禍の川も此の川も宮川令

  • 天の青巨木の緑水澄むや美山つぐみ

  • テスト前吾子の横顔水澄めり三輪白米

  • 水澄みて友禅流し眺めをりみわ吉

  • 川の水澄みて雲間を泳ぐ鯉夢雨似夜

  • 荒れ増さる故山の奥に水澄めり麦野光

  • 水澄むを描こうとする児童の眼麦野光@いつき組広ブロ俳句部

  • キャンバスの色は埋めれぬ水澄めりむねあかどり

  • 水澄むや紅をひきたる宵の池村先ときの介

  • 水澄むや慌てて顔を手で隠し村のあんず

  • 湯の町を流るる川や水澄む恵のママ

  • 水澄むや澄という書をまっすぐにす目黒智子

  • 古き友十五の顔や水すみて目黒千代惠

  • 澄む水の白雲抜ける白き鯉毛利尚人

  • 嫌なこと嫌と云えた日水澄めりモコ

  • 斯々然々の三段論法水澄めりもふもふ

  • 水澄むや少女はにかみ笑み結ぶ樅山楓

  • 水澄むや祖母に教わる井戸のコツ桃花

  • 水澄むや処理水放出30年桃香

  • 教え子の便り届きて水澄めり百瀬つきか

  • 地中からの音聴く人や水澄めり森佳月

  • ビオトープ空き家のごとく水澄めりもりさわ

  • 畦道を帰る子の影水澄めり森茂子

  • 水澄むや土嚢の並ぶ仏具店もりたきみ

  • 額ぶちの形に壁褪せ水の澄む森太郎

  • 水澄みて手漕ぎボートの堀めぐりもりやま博士

  • 水澄むや魚の棲家見つけたり諸岡萌黄

  • 水澄むや白紙答案出し街へもろ智行

  • 水澄みて志太の浦へと流れゆく焼津昌彦庵

  • 水澄みて爪先に銀鱗のささめき矢入えいど

  • 水澄みて白鳳の塔越に見ゆ八重葉

  • 道東の水の澄みたる手洗い場八木実

  • 水澄むや浄水場に鳥の声矢澤瞳杏

  • 水澄むや水占は水物か屋敷旺甫

  • 美濃焼の皿の欠片や水澄める野州てんまり

  • 水の澄むつくばい万象のゆらぎ安元進太郎

  • 里山や流れ遙かに水澄めり山内泉

  • 靴底の天井の空水が澄む山内悠生

  • 水澄むやつーつーくるり笹の船山尾政弘

  • 澄める水笹茶もてなす山ガイド山口笑骨

  • 水澄みて口開く鯉に口開ける山口絢子

  • 水澄むやカラスの声も近くなり山口香子

  • 水澄みて産声も澄む午前二時山口たまみ

  • 荒れ果つれば水澄むのごと澄めよこの血山口愛

  • 水澄むやゆるゆる進む渡し舟山崎かよ

  • 水澄みて飛び石駆ける孫兄妹山崎力

  • 皿洗う水さえ澄めりさわさらり山崎のら

  • 水澄むやペツトボトルは強炭酸山里うしを

  • 山降りて澄む沢水に顔洗ふやまだ童子

  • 水澄むやニューシューズ履き走り出す山田はつみ

  • 俄か雨青く水澄む水溜まり山田文妙

  • 面接の帰り水澄む風渡る山野花子

  • 水澄みて川底の石あらわにす山薔薇

  • 亀の井の浮かぶ経木水澄めり山本八

  • 水澄むや天地を結ぶ線へ息やまもと葉美

  • 水澄むや地球は青の奇跡なり山吉白米

  • 水澄むや視力2.0の朝ヤン子

  • 澄む水を走るトロツコ列車かな唯果

  • 老僧の笑み緩やかに水澄めり遊羽女

  • 水澄みて水底の石笑ひけり有野安津

  • 水澄むや忍野八海風の声宥光

  • 水澄む湖畔静淵にうつる逆さ富士雪兎

  • あこがれのボーイソプラノ水澄めり雪子

  • 水澄むや朽木の苔のふかみどり雪音

  • 臨月のママの寝息や水澄めりゆすらご

  • 水澄みてどこまでも浪速に続きたり柚木啓

  • 濡れ縁を乾かす風や水澄めり宙美

  • 水澄むや昭和世代の霞ヶ浦夢一成

  • 水澄むや六十分のウォーキング緩木あんず

  • 水澄みて視力治癒後のごと景色ゆるランナー

  • 一瞬の少女の惑ひ水澄めり宵猫

  • 水澄むや手水の柄杓伏せ一礼陽光樹

  • 水澄みて沢の音も澄む山路かな陽介山

  • 水澄て魚は空を泳ぐごと横山くみこ

  • 夜風浴び離婚初日の水澄むや吉岡幸一

  • 水澄みて澱み澱みを払いのけよしぎわへい

  • 水澄むや床上げの朝薄化粧吉田蝸牛

  • 水澄めり鯉を貫く光りの矢吉武茂る

  • 水澄みて胸のささくれ無事隠しよしだばあば

  • 水澄める前頭洞の世界までよしぴこ

  • 水澄むやヨシノボリ居りモツゴ居り吉藤愛里子

  • 水澄むや濁るこころの日常画吉満乃苗

  • 水澄むや父母は遠くになりにけりYoshimin空

  • 因果とは全て阿吽よ水澄めりリーガル海苔助

  • 山からの風の美味さよ水澄めりリコピン

  • 欄干に子らの自転車水澄めり利凡

  • 水澄むや和太鼓五帳響く里ルージュ

  • 水澄むや死ぬべきときは死ぬがよし連雀

  • 軽やかに飛騨古川の水澄めりわかなけん

  • 水澄めり返事は5秒の沈黙若和志歩

  • 澄む水の友と語らう通学路わきのっぽ

  • 水澄みて餃子のタレの酸っぱさよ和光

  • 一筋の雲の白さや水澄める渡邉花

  • どうぶつの観音の水澄むといふ渡辺桃蓮

  • 水澄みて藻の先長く映りけり渡邉花

  • 水澄みて父と歩かん夢の中渡辺ヤスコ

  • 水澄みてゆつたりと雲運河ゆく渡辺陽子

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。

※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。


●俳句の正しい表記とは?

  • 水澄むや 病む心捨て 鮎放つ山崎鈴子
  • 水澄や ロケットランチャー 迫撃砲ギザギザ仮面

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●兼題とは

  • まざまざと残暑が残る秋恋しかきなな
  • 夏蒲団うたた寝で感ずる親ごころのりまどきよてる
  • 見えて居る手の届くごと磯の雲丹富永翠柚

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「水澄む」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。

  • 電柱が鳴く蜩の居座る夜大槻正敏
  • 蜩やじわじわ尾根を落つなにかまつたいら西

 これは前回の兼題。〆切を確認して下さいね。


●季語の本意についての考え方

  • 心地良き水道水の水澄んで琥珀

 季語「秋の水」「春の水」は、水道水も含むという解説をしている歳時記もあるようですが、個人的な感覚として、「水澄む」は、湖・川・沼・池など淡水の光景として受け止めています。


●似てはいるのですが……

  • 豪雨後の小川の澄みて砂利と藻と蜂鳥子
  • 川澄みてばかな池葉っぱでまんまるだはるる

 この二句でしたら、無理に「川澄む」としなくても、兼題「水澄む」をそのまま使って表現することは可能。
 まずは兼題をそのまま使うところから、コツコツ練習していきましょう。

  • 秋水を献水し千羽鶴を折るきゅうもん@木の芽きゅうもん
  • 飛行機雲の混じる流れや秋の水夢見昼顔
  • 水の形は器のかたち秋澄めり中島圭子
  • 秋澄むや山並み青に青重ねぱらん

 歳時記によっては、同じ項目として扱っているのかもしれませんが、「水澄む」は、「秋の水」から分かれて独立した季語。その違いを考察してみるのも、勉強になります。
「秋澄む」は、むしろ空気、季節の澄み具合だと受けとめるべきでしょう。


●これは「雲海」の句?

  • 空の水澄みて雲海出で来たり南風草々

「雲海」も独立した季語です。この句の主役は「雲海」ではないかと。


●入力ミス・文字化け

  • 水棲みし兄の卒塔婆のすす父へナサケモノ
  • 水澄みて?の背中ありありと羽馬愚朗

 入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。
 文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。


●季重なり

  • 水澄むやメダカの鱗光るラメ秋の今日子
  • 秋の庭水澄む池に遊ぶ鯉お寺なでしこ
  • 水澄みて耳を澄ませば虫の声草道久幸
  • 水澄むやくるりとんぼもアイスダンス深仲夏
  • こけかじり水澄む流れ岩魚見る瀬羽田真一郎
  • 水澄て早刈りの田に鷺降り立つ立花かおる
  • 水澄むやとんぼの影が幾重にも月見ばーがー
  • 河骨や水澄むなる紙屋村東予稲村
  • 里山は落ち葉霜焼げて水澄む冨川きよこ
  • 生まれたる水澄みし川鮭のぼる野崎明
  • 夕涼み水澄む街に吹き抜けるぽて巻
  • 水澄みてメダカの軍団渦をかく隆香
  • 息をのむ遠足の子ら水澄めり新田ダミアナ
  • この石も露に濡れたか水澄む猫柳鈴音
  • 水澄て一枚羽織る昼寝かな榛名ピグモン
  • 朝焼けの水澄む湖面鏡池目黒のさんま洋幸

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「水澄む」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●季語が比喩に

  • 髄液や水澄むやうにながれをる煉獄佐保子

季語を比喩に使うと、季語としての鮮度は落ちます。


●秀句だと思いますが……

  • 多摩川のみづ黒々と澄みにけり朝月沙都子
  • 谷底の水くろぐろと澄みにけりいかちゃん
  • 水澄むや呼ばれて久しデクノボーケンG
  • 水澄むや風にも負けずデクノボー松高法彦
  • 水澄むや汚さぬやうに魚棲む杉柳才
  • 澄む水を魚汚さずに遊びけり霞山旅
  • 底石に食み跡残し水澄めり正男が四季
  • 瀬の石へ残る食み跡水澄めり三浦海栗

 それぞれできている句ですが、これだけ似ていると躊躇してしまいました。これもまた俳句という短詩系文学の宿命です。

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12月の兼題

「雪催い」

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