夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
9月の審査結果発表
兼題「水澄む」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
水澄むといふ絶え間なきみづの孵化
眩む凡
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夏井いつき先生より
「水澄む」は地理の季語。元々は「秋の水」の傍題だったものが、独立した季語として使われ始めたようです。湖・川・沼・池など淡水を指すと私は理解していましたが、「海水は含まない」と明記している歳時記には(今のところ)出会えませんでした。
が、秋の澄んだ大気が水に及び、透明度をうっとりと覗き込むかのような感覚のこの季語を、私のイメージ通りに表現してくれた句に出会うことができました。
季語「水澄む」とは、絶え間なく水が孵化していくことだという詩的断定。秋の泉の底から湧いてくる美しい水のかたまりのような孵化もあれば、秋澄むという季節の孵化が地表の全ての水に及んでいくかのようなダイナミックなシーンとも読めます。季語「水澄む」の一物仕立てとしても秀逸。愛唱句がまた一つふえました。
ムックリの震へは森へ水澄めり
青木りんどう
「ムックリ」は、口琴とも呼ばれるアイヌ民族の伝統楽器。糸を震わせて音を出しますが、その震えが「森へ」と広がり、さらに北の大地の水を澄みわたらせていくのです。繊細にして悠々たる作品です。
おもてうら水澄むなかを揉まるる菜
郡山の白圭
野菜等を洗う水場の水も澄んでゆく秋。水中カメラで、洗われる「菜」を捉えたかのような映像です。「おもてうら」から始まり、「~なかを揉まるる」と描写し、最後に「菜」がでてくる構成も実に巧い作品です。
鳥の死を水澄むといふ供養かな
常幸龍BCAD
水辺に水を飲みに来ていた鳥という具体的な死でしょうか。いや、様々な「鳥の死」を悼まんとして秋の水は澄んでいくのだよ、と読み解いてもいいですね。「供養かな」という率直な措辞に心打たれました。
白鯉のまなぶたあをし水澄みぬ
夏埜さゆり女
水が澄めば、水中に住む生き物たちの様子も鮮やかに見えてきます。今回鯉を詠んだ句も沢山ありましたが、中七「まなぶたあをし」という描写が秀逸。下五「水澄みぬ」という着地にも安定感があります。
倒木は鳥たちの橋水澄めり
おかげでさんぽ
森の水場に集まってきた鳥たち。「倒木」をちょんちょんと渡る姿を見事に映像化しました。「鳥たちの橋」が詩語として生きていることで、下五の季語「水澄めり」がより鮮やかに立ち上がってきます。
山彦はいつも正直水澄めりアンサトウ
水澄めり耳は自動詞だと思ふ七瀬ゆきこ
水澄むやひかりにゆらぐ鹿の骨にゃん
希臘語をひかりと思ふ水澄めばRUSTY=HISOKA
酒袋干して百枚水澄める清水縞午
水澄むや烏骨鶏巣に初卵阿々八十六
水澄めり古代の瓦ごろごろとEarlyBird
水澄むや土偶は眼みひらきぬ愛燦燦
水澄んで影黒々と浮くいのち藍田夜
水澄むや要石まで長い列藍野絣
下ろしたての燐寸擦るとき水澄めりあいむ李景
水澄むや別れは潔くと知る逢來応來
水澄みて鳥滑らかに飛び立てり青居舞
水澄むや糊をきかせて子の法被蒼空蒼子
水澄むや爆風受けし太田川大竹八重子
水澄むやぴんと張らるる糸電話青田奈央
水澄みて光抱くもの飛び回るあおのめ
水澄みて湖底の戦さ見たりけり蒼鳩薫
木の葉舟いそぐ浅瀬の水澄めり青花潜
水澄むや隔離四日の夜の扉青水桃々@いつき組俳句迷子の会
マンドリンの細き音色や水澄めりあお山まみ子
水澄むやバイク過ぎ行く三途川赤尾てるぐ
水澄むや米研ぐ指の節の皺赤富士マニア
青空を盗み撮りして水澄める赤馬福助
水澄みて膝の古傷疼きをり赤目作
新宅の朝の仏飯水澄めりacari
鉱石の断面に宇宙水澄むあかり
水澄みて雲のそのまま落ちてゐる赤尾実果
校庭へタイムカプセル水澄めり明惟久里
仮名書きて硯を洗ふ水澄めり聰子
水澄むや底の硬貨に光あり昭谷
繰り言は初耳のふり水澄めり空地ヶ有
水澄むや岸辺の岩に樹の化石秋月
水澄むやランプに照らさるる埃秋野しら露
水澄むやガラスフィルムに気泡なし朝霧七海
水澄むやトリチウム量異常なしあさぬま雅王
鹿笛を吹けば水澄む蝦夷の牧あさのとびら
水澄むやあいつの為についた嘘芦幸
水澄むや戸毎に掛かる石の橋あじさい卓
水澄むや石のいのちの笑ひあふ葦屋蛙城
水澄むや水占ひの満る文字阿曽遊有
水澄むや女王横向く金銀貨藍創千悠子
水澄むや鮒にいつ飽きればよいかあたなごっち
ノモンハンの鉄塊の錆び水澄めり新子熊耳
柏手をあつめ水澄む諏訪の朝アツシ
水澄みしその時裏が見えました天晴鈍ぞ孤
一陣の風に魂水澄めり渥美こぶこ
水澄むや水切り石は七度跳ね渥美謝蕗牛
足止めし下山途中の水澄む場跡部榮喜
水澄みてゴリラの瞳にある孤独あなうさぎ
水澄むや二百日だけ住んだ街アニマル可秘跳
水澄み群青へ溶ける悲しみかあねもねワンオ
水澄むや櫂を掲げて舟跳ねる阿部八富利
水澄むや埋没林の焦げた幹雨戸ゆらら
水澄むや八リットルの塩作り天橋立右彩
水澄みて恋にも飽きてしまひけりあまぶー
水澄むや婚姻色の赤の群れあみま
水澄むや手延べ硝子にゆらぐ月綾竹あんどれ
水澄むや写経の筆の真直ぐなり綾竹ろびん
水澄みてふる里近くなりにけり荒一葉
声明の聴こゆる里は水澄めりあらあらかしこ
水澄める浜田雅功負傷の地あらい
水澄むや月にはもっと澄んだ水あらかわすすむ
カカ.ムラド命の水の澄みにけり荒木ゆうな
掬ふ掌の八丘ゆたか水澄めり新多
水澄むやコツンと小石見透かさる蛙里
水澄んで澄んで澄んで蒼き地球在在空空
水澄むやホ短調チェロコンツェルトアロイジオ
水澄むや喉なめらかに漢方薬淡湖千優
子らも跳ね第十堰の水澄めり阿波オードリー
水澄むや雲の大きさ測る人安春
八方に水澄む風や人いこふ杏っ子
水澄みて畳まれた店誰か訪う飯田淳子
水澄みて隠せぬものもうつくしき飯沼深生
水澄んで鍋の取っ手に手の馴染みイエティ伊藤
のこのこと辿る故郷水澄めり粋田化石
痛みの記憶閉じて朝水の澄む池田悦子
水澄みて逃げたボールがビオトープ池田華族
神池に悲喜の銭貨や水澄めり池田桐人
水澄むや琵琶の螺鈿の胡粉色池之端モルト
水澄むや枝垂れ木抜ける鳥の声池丿村路
水澄みぬ楽しき夜に朝が来てイサク
水澄むや月光の尾の触れるたびいさな歌鈴
水澄んで人真つ新に生れけり石井一草
水澄むや観音様は聞き上手石川明
水澄むや吾の涙まだ澄みきらず石崎京子
水澄むや琵琶湖の中に立つ鳥居石田ひつじ雲
水澄むや泥土もらるる氾濫地石塚碧葉
母のために作る朝食水澄めり石塚彩楓
水澄て一年ぶりの告解室石の上にもケロリン
水澄むや夕べの愚痴を一つ投げ石原しょう
水澄むや白き雲のみ写しをり石原花野
水澄むや奉納太鼓の面しずか泉水あやめ
間に合ひしメロスの動悸水澄めり和泉攷
水澄むや切りし豆腐の角きりり遺跡納期
根圧の水どくどくと澄めるかな磯野昭仁
着ぐるみの後の紫煙に水澄めり石上あまね
水澄むや仏のこぼすアルミ銭板柿せっか
水澄めりピエロの白き涙ほどいたまき芯
水澄むや太く凛々しく描く眉一井かおり
水澄みてその正しさを毀したい市川卯月
草原の駿馬の蹄水澄むや市川りす
国宝の天守を写し水澄めるいちご一会
水澄むや我が羊水の透明度無花果邪無
水澄んで吾夾雑物となりぬ樹魔瑠
養鯉の水澄みて月白のしぶき一久恵
水澄みてフロントガラスに空映す一秋子
水澄むや今朝は日のさす道選び五つ星
水澄みて新しき靴紐通す一歩千金
水澄むやテニスボールのかろき音伊藤亜美子
水澄むや水には水の息遣ひ伊藤映雪
手作りの昆虫ホテル水澄めり伊藤恵美
カルデラに数万年の水澄めり伊藤順女
悪気無いサプライズ水澄む伊藤テト
泥沼の百年を経て水澄めり伊藤なおじい
ほの蒼き吾子の虹彩水澄めり伊藤柚良
鈴の音のして朝の水澄めり伊藤小熊猫
楽しくて哀しくて老母(はは)水澄めり糸川ラッコ
水澄むや触るれば揺るる愁ひ顔井中ひよこ号
層をなす土の記憶や水澄めり伊奈川富真乃
水澄むや那須の木道空に入る稲葉雀子
みちのくに神のゐどころ水澄めり稲畑とりこ
水澄むや弥生糞尿展示室いなほせどり
水澄みて光にひたるヌシの鰓居並小
水澄むや譜面をなぞり唄ふ母犬山裕之
水澄めば赤く死にいく魚かな井上右彩
本堂は檜の香り水澄めり井上れんげ
水澄める桶の豆腐の真白かな井納蒼求
水澄むや喉にかかりし棘を抜く今井みどり
倒木を跨ぎ山河の水澄めりいまいやすのり
山葵田の石を洗って水澄めり井松慈悦
水澄みて墨汁一滴天邪鬼今林義和
にほの海航跡浅く水澄めりミントティー
水澄めり線対称の鳳凰堂妹のりこ
水澄むや此処に盛土の城を建つ伊予吟会宵嵐
水澄むや黒曜石なる神馬の目伊予素数
水澄めリ魚は月を見上げたる伊代ちゃんの娘
水澄みて沼に龍棲むごときかな岩佐勝弘
水澄みて今朝の一歩のやや広しいわさちかこ
弟と昔話や水澄めりいわしみず彩香
蘇る戦国の街水澄める岩田勇
水澄みて空とり戻す遺跡かな磐田小
水澄むや柩に櫛と小町紅植木彩由
水澄むや待つという事動かずに植田かず子
ひとつづつ星の名忘れ水澄めりうえともこ
水澄むや池と溶け合ふ月の影上野徹
水澄みてもう疲れない疲れない上野眞理
水澄むやとぎれとぎれのハーモニカ上原淳子
水澄みて一条や射す水底に上原まり
さざ波はくびなが竜か水澄めり上本みのり
水澄むや知覧の空の縹色うからうから
水澄めりスワンの目指す逆さ富士うさぎさん
水澄むや水車は迷いなく赤し宇佐美好子
水澄むやカヌー河流にしたがひて内田こと
水澄むや白樺のかげ湖底までうつぎゆこ
水澄みて白杖に添ふ声小さし靫草子
みちのくの琥珀の森に水澄めり卯之町空
水澄むや富士の真中へ舟辷る海野青
水澄むや楷書で記す受験票うみのすな
川底の影は雲なり水澄めり梅朶こいぬ
水澄みて底に確かな吾の跡梅鶏
水澄みて古地図と照らし合はす街浦野紗知
水澄める我が腹底の一角獣粳ヤン
水澄むやヒュッテの親父逝きしとか麗し
水澄むや献体となる無骨な手吽田のう
水澄む日石の記憶と触れ合う日江川月丸
水澄むや光の全て粒立ちて蝦夷やなぎ
水澄むや一村締めて十九人越冬こあら@QLD句会
水澄むや火口を天の酒器として海老名吟
水澄める明日はギブスを外せる日笑姫天臼
熱発のおもたい身体水澄めり縁穐律
水澄むや手指浸せば穢しさう遠藤一治
水澄むや唇の端の傷拭ふ遠藤玲奈
水澄むや掬んで沈む感情線旺上林加
水澄むやきれいな最期迎える日淡海なおあき
水澄むや法面削るショベルカー近江菫花
出鱈目な昭和のありて水澄めりおおい芙南
水たまりの水澄みていま出棺す大岩摩利
羊羹の底に花豆水澄めり大黒とむとむ
水澄むや糺の杜は息あらたおおごしマーガレット
水澄むや吾子の土産の加賀棒茶大塚恵美子
垂直に水草の息水澄めり大谷一鶴
水澄みてツリーチャイムの光り合ふ大山なごみ
水澄みて森はひとりにとめどなく大和田美信
水澄むや名乗らぬままに語り合ふ岡井稀音
竜宮へ繋がる道の水澄めりおかえさき
水澄むや羽衣のごと妻の影可笑式
老木に鼓動の確か水澄めりおかだ卯月
黎明のボーイソプラノ水澄めり岡田瑛琳
水澄むや粟島までの月の道岡田雅喜
水澄むや艇庫の夜明け五分前小川さゆみ
森の香を肺いっぱいに水澄めり小川しめじ
水澄めばひとにおもねる吾が映る小川天鵲
水澄むや馬の瞳の只中に小川野棕櫚
水澄むや太閤はんの大茶会小川野雪兎
水澄むや今日で「いい人」やめてやる小川天鵲
翳る陽の昏さのままに水澄めり小川都
水澄むやすぱつと切れし尾根と谷おきいふ
水澄むや御影の石に触れる指オキザリス
水澄むや魚に追いつく魚のかげ沖原イヲ
水澄んで龍は今年も沈んでる小栗福祥
水澄みて兄から届く米重し小島やよひ
水澄むや谷底の岩日に痴れるおだむべ
水澄みて黒曜石のささめきぬ音羽凜
水澄むや母のきものを手にとほすおひい
退屈の無き毎日や水は澄むおぼろ月
水澄みて駒音高く成りにけり沢瀉みやこ
文字太き退職願水澄めりかいぐりかいぐり
貌さがし水澄む淵を覗き込む海瀬安紀子
水澄むや踵潰れたままの道快晴ノセカイ
生き残れそう一人ごちれば水澄む械冬弱虫
水澄みて草木は真の青となる海堂一花
水の香を子に聞かれたり水澄みて海峯企鵝
水澄みて途方に暮れる魚もありかえるゑる
水澄むや夕陽に濡れる老いの顔火炎幸彦
白壁に蔵人のうた水澄めり案山子@いつき組広ブロ俳句部
モリコーネゆつたりと水澄みにけり化骨
父の言すとんと落ちて水澄めり風花まゆみ
水澄むや橋脚の影深まりて風花美絵
水澄む夜臍の記憶は生臭し加座みつほ
甥っ子のピアスない耳水が澄むかしくらゆう
水澄みて翅はひかりを震はせて樫の木
水澄むや折りあげる白のワイシャツ鹿嶌純子
水澄みて気盈つ龍笛の一聲華胥醒子
高き空閉じ込めてまた水澄めり風薫子
水澄みて幟微かに中古車店片岡六子
水澄みて学級園の高き畝加田紗智
水澄むや薪割り斧の枯れた音かつたろー。
水澄むやひとへ伝へぬ志望校仮名鶫
水澄んでせせらぎの音定まれり釜眞手打ち蕎麦
水澄みて防人の妻歌詠みぬ神島六男
水澄みて誰も奪えぬ舟の影神長誉夫
水澄めりデイサービスに友百人神谷たくみ
水澄むや布まっさらにアイロンす紙谷杳子
水澄むや月の裏側見る毬藻亀子てん
水澄みて寂しき道を君や説く亀田荒太
水澄みてパグの昼寝のフガフガと亀山逸子
水澄むや京都に残る舟の道亀山酔田
水澄むや無音の中の音拾う鴨の里
水澄んで魚きりりとしてをりぬ花紋
合唱の上りし空よ水澄めり加裕子
水死てふ不思議なことば水澄めり加良太知
水澄みて鉄道の音かろきかなかりかり久助
水澄みて菓子の秤の竿狂ふ刈屋まさを
水澄みて「ありがとう」とは澄む言葉川越羽流
通販のまりもポチりて水澄めり翡翠工房
謹慎の子を訪ふ途の水澄めり川鍋暢子
水澄むや下校の音は進化中川端芙弥
水澄むや川藻に光棲み泳ぐ川辺世界遺産の居候
算盤の玉模す絵馬や水澄めり川村湖雪
浸す手の老いユラユラと水澄めり河村静葩
水澄んで岩波文庫のカバー取るカワムラ一重
水澄むや心に白き砂利二三川村ひろの
洗礼の白き衣や水澄めり閑々鶏
風籟を呑み込む底の水澄めり神無月みと
水澄むや背筋正しき弓の朝閑酉
水澄むや体温の無き貝釦喜祝音
水澄んで歯の健やかな遺骨かなキートスばんじょうし
多摩川を行けばタワマン水澄めり器官
水澄むやマンボウ飼育更新中季々諧々
水澄むや天正の墓石野面積み岸本元世
水澄むや高きラの音の周波数岸来夢
鯉死んで無表情なる水澄めり北里有李
水澄むや鉛筆ぜんぶ削りたて北野きのこ
人類は暮か水おのづから澄む北藤詩旦
左官屋に依頼の電話水澄めりギックリ輪投げ
水澄むや手水舎のこぼるるひかりきなこもち
あの世ともこの世ともなく水澄めり城内幸江
星図鑑水澄むほどにひとりなりきのえのき
水澄みて遠く聖歌のフォルテシモ木下桃白
水澄むや亀の甲羅に等高線木ぼこやしき
水澄む波紋あり魚の吐息か木村かおり
人住まぬ惑星となり水澄めり木村隆夫
水澄めり歩荷の背負ふガスボンベ木元紫瑛
水澄める朝やデッキに飲むワインQ&A
水澄める井伏鱒二の生家かなQさん
水澄むや郡上の藍の袖しぼる鳩礼
水澄みて岩に瀬音の分れけり京野秋水
水澄むや根岸へ届く岩絵具杏乃みずな
水澄みて円空仏の笑まひかな清瀬朱磨
澄める水飲ませ河童の解呪かなギル
干からびし蝶の重さを水は澄み銀紙
水澄むや下ノ畑二賢治居リ菫久
堕ろしても変わらず水澄むイタイイタイクウシンサイ
二足歩行四足歩行水澄めり久我恒子
澄む水や屋久杉潜り湧き出でり鯨之
水澄むや石から石へ川渡る國吉敦子
水澄みて底の足跡けもの道窪田睡鯨
水澄めばオールの軌跡そろいけり久保田凡
白龍を底に眠らせ水澄めりくま鶉
人類はいつか化石に水澄めり熊の谷のまさる@俳句迷子の会
船頭の緩きハングル水澄めり紅三季
0歳児0人の村水は澄む蜘蛛野澄香
鬼の吹き下ろす風あり水は澄む曇ゆら
水澄むや踵に生まるる小さき羽クラウド坂の上
どの影も拒み水澄む教護院倉木はじめ
水澄むやテラス席から黒部ダムぐりぐら京子
水澄むをフルートの銀のびやかに栗田すずさん
水澄むやナビは示さぬ空の距離久留里
龍神の瞼とじれば水澄めり愚老
水澄むや何を収めし掌黒瀬三保緑
読了の胸に置く手や水澄めりくんちんさま
水澄むや夫と下見の散骨葬桂子
水澄みて砂はひかりに磨かるる恵勇
水澄むや洗いそびれし毒りんご月下檸檬
鉄橋をくぐる鉄橋水澄めりげばげば
水澄みて生き死になんぞラララララ欅谷風来
水澄むや一つ増えたる手術痕健央介
三年の服薬了へて水澄みぬ剣橋こじ
水澄みて墓を潤す鳥のこゑ小池令香
水澄むや鷺の死神めく歩速剛海
水澄むやきれいなものの浮力生む紅紫あやめ
水澄むや良き母はよき妻でなく幸田梓弓
川底は地球の素肌水澄めりごーくん
手押しポンプきゆこきゆこ水の澄む重さ古賀
水澄みて角すべらかな石の過去古烏さや
水澄みて墨磨る所作の膝ただすココヨシ
蝋染めの大柄小柄水澄めり越乃光
水澄むや乗鞍岳の観測所小嶋芦舟
水澄みて池にひかりの無限大木染湧水
正装の河童の親子水澄めり小だいふく
水澄むや次で性別わかりそうこてぬぐい
水澄むや音楽室のアルペジオ来冬邦子
水澄みて映すや雲に銀の翼後藤周平
ドビュッシーの不協和音や水澄めり後藤三梅
硝子ペンさらさらくるり水澄めり古都鈴
水澄むや硯の丘に墨を磨りこのみ杏仁
水澄むや死体を燃やす香は甘し駒野繭
水澄むや眠りの芯に神木を駒水一生
人と鳥集める池や水澄めり五葉松子
山よりも雲低き国水澄めりGONZA
水澄むや俺に飼われている小山コンフィ
水澄むや空から響く手風琴さいたま水夢
水澄めば河童が釣れるかもしれぬ埼玉の巫女
神獣鏡発掘の丘水澄めり彩汀
水澄むや柱の跡も無き古宮齋藤方南
水澄むや吾が映るには清すぎてさおきち
銭なげる水澄む橋の美しき老い酒井おかわり
水澄むや錆た魚のふらふらと坂上一秀
そりゃ犬も肉落とすやろ水澄めりさかえ八八六
水澄みし廃寺に拾う長柄杓榊昭広
澄む水のひかり一杓汲む侘茶坐花酔月
水澄みてピアフの歌の沁みる夜坂田雪華
水澄むやあの麓郷まであと五キロ坂まきか
消火器の無傷の赤や水澄めりさくさく作物
水澄みて走り井に砂踊りけり咲まこ
水澄むや三病棟の窓煌々櫻井紫乃
澄む水にひたす神籤や旅は吉桜鯛みわ
水澄むや射手の少女の白襷桜月あい
笑みとほきデルタの像や水澄めり迫久鯨
水澄めり川淵膨る遠心力雑魚寝
水澄むや「月の光」のアルペジオさざなみ葉
水澄みて神の子住みてゐるやうな佐藤志祐
水澄むや阿賀川やがて阿賀野川佐藤儒艮
水澄むや糠星と居る停留所さとう昌石
秘要と啼く河童のとほく水澄めりさとうゆうき
水澄みて浜に梵語の響きけり佐藤レアレア
シリンジにひとくち分の水澄んで真井とうか
水澄むやたましひ色の磨崖仏錆田水遊
約束をしたかに郷の水澄めりさぶり
億千の色を映してなほ水澄めり彷徨ういろは
水澄めり最期の耳へ灌ぐ声さむしん
墓石の補修見積り水澄めりさやじゅん
水澄みてクラリネットに満つる憂ひ紗羅ささら
水澄むや賢者の海は月の裏さるぼぼ@チーム天地夢遥
水平に開く腹びれ水澄めリ沢井如伽
水澄みてわたくしという不純物澤田紫
カルデラに湛ふる孤高水澄めり澤田郁子
水底より望む水澄みたる天沢拓庵@いつき組カーリング部
柿田川は僅か一キロ水澄めり澤野敏樹
水澄むや長き髭もつ雲龍図山海和紀
水澄むや子烏丸の刃文美し三月兎
水澄むやポートレートの目の潤み珊瑚霧
草舟を風にはなちて水澄めり潮風の台所
水澄みて細胞の律調へり歯科衛生子
水澄むやこども食堂笑うとるじきばのミヨシ
水澄みて水面の父の影やさし四季春茶子
ぷぷぷぷぷ泡ぽぽぽぽぽ水澄みぬ四條たんし
菜園の小さき看板水澄めり紫檀豆蔵
水澄むや獣あたった柵の端実本礼
細筆で描く眼や水澄みぬしぼりはf
水澄むや皮膚の渇きの鱗めく島田あんず
水澄むや祈りの石を積み上げる嶋田奈緒
水澄むや繁殖し続ける光嶋村らぴ
黒々と写経の文字や水澄めり清水祥月
渡されしメットに香り水澄む夜清水三雲
駆ける前水澄む朝のストレッチ下丼月光
アルプスの山の水澄み銃磨く芍薬@独逸
水澄むやルビ美しきイソップ集じゃすみん
鳳凰を仰ぎ神苑水澄めり沙那夏
あれ程に暴れし川の水澄めり秀耕
澄みたる水に首都の鬱重そうに樹海ソース
水澄むや沈殿したる鬱の砂シュリ
水澄むや亀のくしゃみに振り返る四郎高綱
甌穴の底に玉石水澄めり白猫のあくび
水澄むや祖母のまあるい味噌にぎり広ブロ&新蕎麦@摂田屋酵道
澄む水を這うて稚貝ののつぺらぼう白プロキオン
水澄めば鎮魂白よだか
柏手に醒める龍神水澄めり神宮寺るい
暁の水澄みて竹竿の黙ジン・ケンジ
さがしもの来世に任せ水澄めり新城典午
水澄むや苔獰猛に色の濃し真藤乙華
水澄むやあと幾日の遠囃子深幽
水澄むや止肥を撒く盛大に瑞陽庵
曼荼羅の砂還る日の水澄めり水曜日生まれ
水澄むや水面に笑ふ道祖神杉浦あきけん
水澄めり風は地球の息吹かな杉本果ら
水澄みて苔の回廊深く深く鈴木秋紫
水澄む朝妻子に引退を告ぐ鈴木暮戯
水澄むや洗濯紐のけさかたし鈴木由紀子
ドラミングに目覚む十和田の水澄みて鈴白菜実
筆走る呼吸はひとつ水澄めり鈴野蒼爽
水澄むや年上の新人の眼鈴野冬遊
水澄めばこころの傷は詩の弦主藤充子
裏返る星座のかたち水澄んですりいぴい
水澄むや二か月ぶりの八千歩静江
水澄むや抱いて撫でます涙壺瀬紀
健診の日近づいて水の澄む瀬戸ティーダ
水澄むやB29の落ちた町せとみのこ
水澄みて富士に群青足しにけり世良日守
ざくざくな縫目の剥製みづの澄むせり坊
水澄むや終の棲家もいい天気海星葛
水澄むや茶筅に百の光入る千@いつき組広ブロ俳句部
対岸の洋館朽ちて水澄めりそうま純香
水澄むやイザナギの顔透けるほど草夕感じ
水澄むや十二時の陽の入射角そうり
水澄むや嘘は光を通すのかそまり
水澄むや十七歳の進路表染野まさこ
水澄むや小銭に混じるゼムクリップ空豆魚
もの屠る手に澄む水のくすぐつたぞんぬ
スクーターで突っ切る水澄める町をたーとるQ
水澄むや龍神さまは嫁募集大ちはる
ミジンコの心臓透くや水澄めり平良嘉列乙
水澄む湖面指輪をいつ渡すか高上ちやこ
水澄む水澄む池田澄子の詩がほしい高尾里甫
水澄むや木の葉の舟に裏表高木音弥
水澄みてはじめて見やる不動尊高瀬小唄
水澄むや心はかうやつて洗ふ 髙田祥聖
土石流水澄む明日へボランティアたか&ひろ
廢校をまぬかれにけり水の澄む鷹取碧村
透明になりたい日あり水澄む日高嶺遠
水澄むや廃寺廃社の故郷に高橋基人
水澄むやワインボトルにある凹み高橋寅次
水澄むや忘れてよいと遺影笑む田上コウ
水澄むや山のお墓にうつせ貝たかみたかみ
耳鳴りは星の報せよ水澄めり高山佳風
コロップ栓抜かば暗夜の水澄めり滝上珠加
太極拳ゆつたり揃ふ水澄む朝滝川橋
水澄むや合唱部員二人増えたきるか
水澄むや人のをらざる世を映し卓鐘
師より聴く師の師のことば水澄めり多喰身・デラックス
腰下ろす石のぬくみや水澄めり竹田むべ
砂利蒼く笑ふ湧水みづすみぬ多事
天守より水澄むさきを照らし置くたすく
水澄みて俳句手帳が遺されしただ地蔵
みづうみは星の鏡や水澄めり多々良海月
水澄むや42.195先の僕だっく
また明日と読める唇水澄めり立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
鉄帽に天ごと汲むや水澄めりたていし隆松
山賊の歌のしんがり水澄めり立石神流
川面にも風の道あり水澄めり蓼科嘉
水澄める阿蘇にぽつんとグライダー立山枯楓
水澄んで熱気球ほら吠えている田中勲
水澄むや天から見える魚の顔田中知宏
水澄むや鯉の尾鰭に伝われり田畑整
水澄めり小径を行けば大劇場玉家屋
少年は僕から俺へ水澄める玉木たまね
水澄んで喪服の裾は重くなるたまのねこ
水澄むや火より色生す吹き硝子玉響雷子
竜出づかさざ波の水澄める朝田村ヒロミ
水澄みて米研ぐ音のしゃきしゃきと田村モトエ
この星に住んでひと月水澄めり田村利平
水澄むや石斑魚の腸流れ行く丹波らる
水澄むや水底には嗤う髑髏チームニシキゴイ太刀盗人
水澄める壺よパクチー摘まみ上ぐ有泉安代
水澄めり鴨の河原を出町まで竹庵
水澄むやなんだか今日は鬱じゃない智泉由紀子
対岸の遥か水澄む国境線千歳みち乃
水澄むや初の心音百五十千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
水澄むや老舗酒蔵藍暖簾千葉睦女
水澄める音はベルリラの音と思ふ千代之人
一粒目を舐めるキャラメル水澄めり彫刻刀
コテージの朝のすっぴん水澄めりちょうさん
水澄みてねむる茶の木の深みどり月石幸
水澄みてAEON最もよく映る月岡方円
水澄みて小石ひとつで雲散らす月見里ふく
水澄むや神社の鯉は人面魚月夜田しー太
水澄みて流るる川の動かざるつちのこ
水澄んでやっと故郷と呼べる場所つちや海郷
朝の水澄みて一人の宿の飯津々うらら
水澄むやサナトリウムといふ窪み綱川羽音
鳥追へば空みづ追へばみづ澄めりツナ好
水澄みてホルンに映る髪柔し翼つばさ
橋脚に揺らめくひかり水澄めり坪田恭一
水澄むや渡し場の鐘ふたつ鳴る露草うづら
水澄めり自作の小さき鳥居在りツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
何人も入れぬ場所よ水澄めり鶴富士
朝まだき郷を水澄む守り子唄丁鼻トゥエルブ
水澄みて穂高のパノラマ立ち漕ぎす輝由里
水澄むやドニプロ川に眠る街天雅
換羽期の鶏の声水澄めり電柱
水澄みて動かぬ雲を飼ひ慣らすでんでん琴女
銅像となり立つ伍長水澄めり天童光宏
水澄むや波紋に小さきみづの芯天陽ゆう
吾子の目に映る吾の顔水澄めり土井あくび
南西に北斗七星水澄めるどいつ薔芭
拍動の薄き心臓水澄めり東京堕天使
磐梯を映して桧原水澄みぬ峠南門
水澄むは指紋ひとつも置けぬほど東野律
水澄んで父母の形見を仕舞ひけり遠峰熊野
水澄めば銅貨の錆びてゆく匂ひとかき星
水澄むや鏡は先に笑わない時小町
御嶽の溶岩碧し水澄めりときめき人
濁点の多き訛りや水澄めり常磐はぜ
水澄みて鳥自らに驚きぬ徳庵
水澄むや戰の多き國境どくだみ茶
水澄むや虚を射る如く豚の声戸口のふつこ
水澄むや歯ブラシ四つ交換すどこにでもいる田中
水澄みて呼鈴のある渡し舟としなり
リベットの等間隔や水澄めりとなりの天然水
ブナ柔き安比高原水澄めりとなりの天然石
やまびこの広ぐる湖の水澄めり苫野とまや
童の眼みたく水澄む村の川冨川友香理
家鳴する廚に水の澄みにけり斗三木童
水澄てトリチウムなど無かりせば富田涯現(富田松夫)
潔き文字の御朱印水澄めり登盛満
水澄んで今朝のわたしに似合う髪富山の露玉
水澄むや乙女の像のふっくらと内藤清瑤
綾取りの指の企み水澄める内藤羊皐
がり版のインクのにほひ水澄めり内藤由子
水澄んで主文後回しの判決なかかよ
愛の字を伝ふ水澄む墓じまひ中十七波
水澄むや金泥で書く痩金体中岡秀次
竹藪に音無き朝の水澄めりなか鹿の子
水澄むや富士をそびらに作陶展中里凜
水澄むや村は絶景にして過疎中島走吟
猫行くや用水澄める過疎の村仲間英与
手のひらに生まれる窪み水澄めり中村すじこ
水澄むや清拭の父しわ深し中村雪之丞
白々と花卉運ぶ朝水澄めり中山由
水澄むや日本の国境は水新蕎麦句会・凪太
けけら木や九頭竜棲まふ水澄めりなしむらなし
百年を醸す酒蔵水澄めり夏湖乃
足跡の化石発掘水澄めり夏椿咲く
水澄むといやし火の香が仄とせり夏雨ちや
水澄むや赤ん坊の挙力湧き七夫
水澄めり耳鳴りのよな寂しさと七森わらび
大声のガイド水澄む高野山菜々乃あや
水澄むや水切り石に神起きて名計宗幸
水澄める朝AIの読むニュース名前のあるネコ
水澄むやこの吊り橋は三人まで奈良素数
水澄むや女ばかりの野辺送り成田麦
水澄みて四分休止符の空にあり西尾至雲
水澄むや市史先達の歩の早し西川由野
山だつた石が仏に水が澄む西田月旦
水澄むや尾根の色濃き遊歩道二城ひかる
水澄むや星の神話を校正す仁和田永
水澄むや雄鹿の角の剥がれをり庭野環石
水澄むや四方は山の城下町布村柚子
水澄めりサーカス団ののぼり旗沼宮内かほる
水澄めり淵を真白き人の子ら沼沢さとみ
水澄みて悪書ばかりを好みけり猫ふぐ
前世は鳥か魚か水澄めり猫またぎ 早弓
青空に旗悠々と水澄むや根々雅水
カピパラに溢るる水の澄みにけり濃厚エッグタルト
水澄むやカヌーは宙を滑りだす野地垂木
婚約の調ふ知らせ水澄める埜水
澄む水の映す青こそ青なりきノセミコ
水澄むや活断層の一千年乃立喰烟
水澄める地球最後の日の薄暮野点さわ
水澄むや縁を占ふ護符浮かべ野中苦泉
水澄むや農夫のぢつと雲を読む登りびと
水澄めり次のないまま職を辞す海苔和
水澄みてタクトを天へ還す者白庵
水澄みて黒部源流へけだもの白山一花
水澄むや新規就農者にタトゥーはぐれ杤餅
水澄むや遠き太鼓に星震ふはごろも
金色の歯車研ぐや水澄めり橋本こはく
水澄みてギターの音色蒼くなり馬笑
掬ひ上げ鈴の吐き出す水澄めりはせがわ水素
水澄むや狂草の書の一息に長谷機械児
水澄むやピカドン落ちたあの街は葉月庵郁斗
水澄みて小石の心見え隠れ八田昌代
口笛は歩む相棒水澄り花咲春
まだ天の甘さの赤子水澄めり花南天あん
赤子だく比丘尼の足や水澄めり花はな
酒蔵の柏手二拍水澄めりはなぶさあきら
十年の恋を手放し水澄めり花和音
薄れゆく記憶水澄む日を父とはのん
淵の水澄みて光年の孤独はむこ
龍の尾にあづける柄杓水澄めり葉村直
水澄むやけふ鉄壁の剣岳林省造
湧き水の#なりけり水澄めり原水仙
万物の老いを水面に水澄めり巴里乃嬬
水澄むや名のいくつある日本海播磨陽子
水澄むや湖底に沈む鳥の声haru.k
水澄むや心臓ひとつ底へ落つ春あおい
吾子二才逝くあけぼのの水澄めり晴田そわか
水澄んで白杖積んでタンデムで晴菜ひろ
水澄むや金目銀目の猫を抱く春野ぷりん
火葬場の大窓五枚水澄めり葉るみ
水澄むや暗渠の上を砂の街はれまふよう
朝風呂の富士よ日和よ水澄めり半ズボンおじいさん
水澄むや室生犀星作校歌HNKAGA
水澄むや物は所定の位置におく万里の森
水澄むや雪彦山(せっぴこざん)に登る朝東原桜空
水澄みてなほ水揺らす砂金採り樋口滑瓢
とぢてゆくちひさき翅や水澄めり久野しろ
やまびこが山まるくして水は澄むひだまりえりか
金婚の可不可薄めて水澄めり美竹花蘭
金色の魚のをらざる水澄めるひでやん
水澄みて小舟画角に入れば良し一石劣
水澄むや太極拳の呼気吸気日向こるり
この嘘は突き通す嘘水澄めりひなた和佳
水澄んで老いの関節たまに啼く比々き
水澄めり刃のやうな魚の鰭ヒマラヤで平謝り
恍惚の沼にさえ水澄む朝来向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
命名書筆を執る朝水澄めり日吉とみ菜
水澄める湖に影おく榛名富士平井由里子
水澄むや水面に映る知らぬ貌平岡梅
戦隊の青の人すき水澄めり比良田トルコ石
水澄むや静脈瘤のふくれやう平本魚水
水澄むや米粒ほどの人類史広木登一
水澄みてかうべをたゝむ鵠の影広ブロ&新蕎麦@摂田屋酵道
水澄むや移住して早三年目フージー
水澄むや遺骨たづさへ乗船す風慈音
水澄むや魚きらきらと禁漁区深町明
水澄めり五秒遅れの飛行音深蒸し茶
水澄むやどうやら赤子できたらし福井桔梗
水澄むやよめい余命と変換す福田みやき
水澄めり砂金のやうな哀しみにふじこ
水澄むや裸身を濡らす姫の像藤咲大地
水澄みて石それぞれのおきどころ藤白真語
杉の木を横切る星や水澄めり藤永桂月
水澄むや若き牧師の切る十字藤原涼
水澄むやひとり孕みてひとり抱く舟端玉
水澄んで俺の覚悟はこんなもん冬のおこじょ
水澄むや吾がおもざしの祖母に似て冬野とも
柄杓より受けて溢れし水澄むや古川しあん
水澄むや墨汁の輪紋拾う筆古庄萬里
遠く雲割れて谷澄む水が澄む古瀬まさあき
水澄めば肺魚あかるき唄の口ふるてい
アイゼンを履き替え谷の水澄めり古道具
水澄むや地図から消えた過疎の村豊後のすもも
つなぐ手の影は一つに水澄めり碧西里
水澄むや貴船みくじの凶あはし北欧小町
星々の須臾の泊まりの水澄めり黒子
水澄むや音叉の谺天青しほこ
うつしよのひかりあつめてみずすめり星雅綺羅璃
水澄みてみずうみは風折り畳む星鴉乃雪
水澄むや四十九日の十日あとほしぞらアルデバラン
ほんものの水かなこんなにも澄んで星田羽沖
神殿の龍笛の音水澄めり星月彩也華
水澄んで心は浮力小さくて星詩乃すぴか
澄む水に映る重機の日曜日星野はいかい
水澄むや讃美歌はこころで歌ふほしの有紀
回廊に血天井あり水澄めり細川鮪目
水澄みて縄文の土器より溢れポップアップ
逆しまに影置く社水澄めり堀邦翔
深山の真言声明水澄めり凡々
水澄むや峰峰重ね青熊野本間美知子
長き恋しづかに閉ぢて水澄めり前田冬水
水澄むや子らの音読詩に羽まこ@いつき組広ブロ俳句部
橋上のバンザイ小さく水澄めり眞さ野
水澄めり神の化身の曲を聴く増山銀桜
憂きことの無き日の暮れや水澄めり町田勢
水澄める我は湖の子仰ぐ富士松尾祇敲
トロッコの終着地点水澄めり松風花純
水の澄む音ホスピスの部屋の音松野蘭
殿様の庭に大砲水澄めりまめばと
水澄みて絵葉書の街歩きをりまやみこ恭
水澄むや本堂までは五十段瑪麗
水澄みて子の名につけたしと思ふ毬雨水佳
水澄みて我が両膝の水濁る真理庵
水澄みて洞爺湖上に山の影まりい@木ノ芽
息止めて願書投函水澄めりまるにの子
水澄めば老の入口さへ愉快まんぷく
澄む水にひらひらひらと犬の舌みい
水澄むや死ぬならこんな風の日に三浦にゃじろう
魂は水澄む場所へ旅をする澪那本気子
水澄めば洗ひ地蔵に微熱かな帝菜
水澄める水底に見ゆ母の翳神酒猫
水澄めり演習林は釣り禁止三茶F
おはようは生きてる波形水澄めり岬ぷるうと
水澄むや墓石の脇の父の歌碑三崎扁舟
水澄みて芯の通りしゴムホース水須ぽっぽ
水底に水面の揺れて水澄めり三田忠彦
水澄むや龍の髭までつまびらか巳智みちる
水澄めり甲斐駒ケ嶽雲晴れりみちむらまりな
埋れ木の柾目板目や水澄めり満生あをね
水澄むや雲突き抜ける東京便美月舞桜
水澄むや笑うがごときコビトカバみづちみわ
水澄むやとろとろと寝るカメレオン光峯霏々
水澄めば馬の鬣そよぐ音満る
飲み下し飲み下し生く水は澄む看做しみず
水澄みて両手で掬ふ光かなみなみはな
硫黄山に噴気水澄む不動池美村羽奏
水澄みて盤は真白き棺なる宮井そら
野火止に水澄む古き用水路見屋桜花
水澄むや川底にあるひとつの死みやかわけい子
水澄むや洗礼拒む理由なしみやざき白水
水澄むや轍ときには交はりて宮武濱女
放埓な川の底にぞ水澄めり宮部里美
香木を聞く座の無言水澄めりみやま千樹
水澄みて川底に砂の吹くところ宮村寿摩子
水澄みて子が言い尽くす絶滅種妙
水澄むやこども110番の旗ミラベル
古びたる撞木の揺れや水澄めりみらんだぶぅ
水澄めば一語もて足る再会よみわ吉
水澄みて殊にとんがるスカイツリーミンコフスキー
水澄むや声に出したき山頭火麦のパパ
殺生石は九尾の狐水澄めり椋本望生
水澄むや鉱石ラジオからカノン無弦奏
吾は綺麗か水澄める古池に問ふ睦月くらげ
この音は真下暗渠の水澄まん村上の百合女
澄む水の破片両手を潜り落つ紫小寿々
水澄むや櫂の音色の漢詩めく村瀬ふみや
図書館は水澄む森の端のほうむらのたんぽぽ
水澄むや茶の香ほのかに平等院暝想華
筆談の兄妹郷の水澄めり茂木りん
水澄むや君が教えてくれた月望月朔
水澄むや空の蒼さに嫉妬して望月典郎
川の水澄みてにぎり飯の巨大望月ゆう
水澄むや水面のうらのうらを空元野おぺら
作務衣洗ふ水の一滴まで澄めり百瀬一兎
木曽川に神山の影水澄めり百瀬はな
水澄むや富士の裾野にちょんと我桃園ユキチ
水澄んで私にすきま作りたるももたもも
水澄むや鱗軋ませ龍来たる森毬子
水澄めり緑青色の淵に龍森佳三
澄海岬水澄みわたる澄みわたれ森日美香
水澄みて美空ひばりを熊よけに杜まお実
水澄むや今書上げの顛末書安田伝助
決裂の帰途に水澄む緑地あり痩女
どの蔵も店に変はりて水澄めり簗瀬玲子
水澄むや本丸址の小学校八幡風花
見舞ふ人見舞はれる人水澄めり山内彩月
水澄みて汀の皺やたゆたゆし山河穂香
水澄みて例の野良猫現れず山川腎茶
ご無沙汰の氏神様や水澄めり山川たゆ
道祖神にま白き団子水澄めり山口一青
水澄むや種はひかりの羽を持つやまさきゆみ
水澄みて吸い込まれんや女郎淵山育ち
水澄みし浚渫船の錆浮かべ山田季聴
おおあめのあとのおおぞら水澄めり山田啓子
身投げでもしそうな烏水澄めり山田蚯蚓
水澄むや地平の月の肌触り大和杜
水澄むや子の成長は螺旋状やまな未
水澄むは信仰に似て夜が又来山本先生
即興のピアノ連弾水澄めり山本美奈友
水澄めばバジルに新しき青さ柚木みゆき
うつくしき骸骨となり水澄めり雪井苑生
石灰華の湖水澄むや我を拒む柚子こしょう
水澄むやトランペットの遠き音湯屋ゆうや
葬式に帰るふるさと水澄めり陽花天
洞窟は太初の縹水澄めり羊似妃
水澄むや魚の見上げる青き空横田信一
ダムの水澄んで飯場の閉所式横山雑煮
水澄むやかくも大きなお揚げ売る吉野川
水澄むや血圧はいつも気紛れ四葉の苦労婆
水澄みて人身御供の碑に光余田酒梨
対岸のビルの輝き水澄めりよみ、ちとせ
水澄むや百年の樹皮乾きおり楽花生
水澄むや瓶(かめ)抱き並ぶ山姥もらん丸
行き左岸帰りは右岸水澄めり理佳おさらぎ
犬の背に手を置くほとり水澄めりルーミイ
水澄むや張りある読経修行中麗詩
水澄んでけだものの糞にほひけり烈稚詠
ファインダを赤きトロッコ水澄めり蓮花麻耶
水澄めり竜といふ名の人とゐる朗子
水澄むや出雲生まれの庄之助ろまねす子
水澄むや空も光の濁り無し海神瑠珂
主なきツリーハウスや水澄みてわたなべすずしろ
高千穂の残響長く水澄めりわたなべいびぃ
水澄みて硝子返信し続けて渡辺香野
水澄むや窪む砥石の面直し渡邉竹庵
水澄むや顔の溶けたるマリア像亘航希
水澄むや米一粒に七の神笑笑うさぎ
身体はましろきグラス水澄んで足立智美
水澄むや今日の私という暗示蝦夷野ごうがしゃ
水澄むや羊の耳といふハーブ千夏乃ありあり
水澄むや麓に残る開拓碑辻栄春
水澄むや黒き鱗は八重の銀トウ甘藻
水澄むや同心円の拡がりて西村小市
水澄むやひんやりと今生きている二重格子
水澄むやここは東京物語野ばら
水澄みて進むパントの竿深く菱田芋天
水澄むといへどほのかに青みけり布施無門
九頭竜を住まわす御池水澄めり冬島直
水澄むやこれ一本で生きてやるモンヌ 組宮本モンヌ
水澄むや橋脚長きアーチ橋山野麓
水澄むやチェレンコフ光仄青く横浜J子
水澄むやリトルミイまね髪結わくあくび指南
水澄むやハノン流るる散歩路淺井翠
水澄むや母の失敗談ふたつあさいふみよ
水澄むや土蔵は上下対称に朝雲列
水澄むやよく欠伸する嬰児らしあさきまほろ
水澄みてダリの時計も固まりぬ浅野黎峰
水澄めば汲む掌も潔く見ゆ麻場育子
水澄みて一寸法師ながれゆく朝日雫
水澄むや嘘を見抜いて嘘をつくあまぐり
水澄むや浮かぬ顔が歪んでいるあまどかに
坐禅堂に警策の音水澄めり有本としを
水澄めり五臓六腑に染みるほど生野薫
水澄むやあの世の境淵碧し伊泉不洋
水澄めり羽田の空の赤い鶴伊藤正規
水澄みて混じる白髪を写しけり岩永桃美
沈下橋姿露わに水澄めり海口竿富
水澄めり行進練習ざっざっざうめやえのきだけ
水澄めり覗く女の邪気写し円美々
槐多の尿する裸僧水澄めり荻原湧
水澄みぬ早き夕日は寂しかり小野ぼけろうじん
水澄むや融雪装置の点検加賀くちこ
軽トラに蛙道譲り水澄めり金子あや女
水澄むや閉経の日を迎へたりカフェオレ草
水澄むや徒党を組んでさくら猫かりそめのビギン
泥だんご磨きて光れ水澄めり川村昌子
水澄むや大鼓豊けき村社木口まり子
水澄むや部屋の清しき反抗期北村崇雄
水澄むや絹婚式の目玉焼喜多柚月
水澄めり瓢箪鯰逃げ出せり木寺仙游
水澄めり今日はいい事一つ有りきべし
水澄むや友も神経痛と聞く木村かわせみ
水澄むや供花の背筋すんと伸び木村となえーる
ミサイルの発射予告や水澄めりくぅ
水澄むや今週二人目の退院工藤雨読
水澄めり木洩れ日触る産卵床雲城詞葵
水澄むを車椅子のもっこすと倉岡富士子
水澄めりごみ大盛りの川掃除後藤昼間
水澄みて水漬く白球拾う午後粉山
婿と酒交わすしじまや水澄めり虎八花乙
水澄むや散歩がてらの神詣で小林昇
水は澄む海へくだつて帰らずに小林脱太郎
水澄みて荷を積むペダル二拍子で小林のりこ
水澄むや早口言葉言えそうな今藤明
水澄みてシャンソンら行の暴れる西條晶夫
水澄むや愚行権めく露天風呂酒井春棋
打ち明けて打ち明けられて水澄めり坂本千代子
ひと蹴りの水澄むいまも濁りけり相良まさと
水澄みて通りゃんせと月招くさくら亜紀女
水澄むや寂れた町のキャラクター里山子
水澄みて合わせ鏡に茂る森紗藍愛
水澄むやヘルプマークのつく鞄沢胡桃
水澄めり腹の真中のひとつ臍三休
園庭の穴穴穴に水澄めり山月
水澄むや真白き羽の主いずこ涼風亜湖
故郷の山映し水澄みにけり数哩
今朝「俺」と言ふ幼児や水澄めり晴好雨独
枯山水見えぬ水目に水澄む星夢光風
山の端を映して水の澄みにけり太平楽太郎
ダムカレー決壊させて水澄めり多数野麻仁男
水澄みて姑なりし日の初心つくも果音
水澄みて空に空と書いてみる辻瑛炎
水澄むや嫁ぐ娘は猫託す辻野花
水澄めり赤き魚の赤きこと辻本四季鳥
水澄むや音信絶ゆる土佐の友とはち李音
次の足洗ふ間すでに水澄めり戸部紅屑
水澄むや父へ供えしカップ酒友@雪割豆
水澄みて嘘の数だけあるひみつ豚々舎休庵
水澄むや今宵破瓜なる少女浴む中嶋奈緒子
水澄むや土汽車の線路跡に靴永田千春
水澄むや名残りの花の北の島中嶋京子
水澄める福井に生きてかたいけの中原柊ニ
水澄みて素足を攫ふ固さかな仲操
水澄むや余命宣告受けし友中村あつこ
水澄むや湖のいだくは金の斧夏草はむ
暇人のたまに来るダム水澄めり夏雲ブン太
水澄むや観光担ふたらい舟夏目坦
水澄むや老母の遺影撮影会二十八
水澄みて柵越え自死の誰か在り庭石とんちき
水澄むや異動辞令は新店舗ノアノア
水澄んで仕切り直して夫介護野原一草
つれあひは今朝は健やか水澄めり野原蛍草
臓物の腐れて浜の水澄めり橋本有太津
水澄むや掌のこる月明り畑美穂
水澄むや真白を告げる担当医パッキンマン
水澄むや塩のかたまりほぐす夫はっしー
ドアノブのシルバー痛し水澄みて花豆
秘密にも寿命のありて水澄めり花見鳥
水澄むや原生林ひとつ横たはりharu_sumomo
水澄めりうつむく顔を見られけりはるるん1号
みづ澄む夜は宝石箱に栞入れ東田一鮎
水澄むや土間で煮炊きの女衆陽
手のなかの水澄む川の生命達ひまわりと碧い月
水澄むや輩集いしセロ小屋に平野純平
筆下ろす墨池の水の澄みにけり比良山
水澄むや人待つ心湧き出でぬ琵琶京子
水澄むや空手着の子ら駆ける朝ふくじん
水澄みて山懐に観覧車福ネコ
「俺は死ぬ」威張る親父や水澄むふくろう悠々
水澄むや並べて詰めるたまごやき藤色葉菜
水澄むやわっぱ弁当空二つペトロア
雨溜やつと入日に水澄めり甫舟
水澄むや米寿の母に叱られて堀卓
恋人の態度は変わり水澄めり堀籠美雪
子を産みて娘は母となり水澄めリ牧茉侖
つがい鳥水澄むところ戯れり松井貴代
水澄むや森に轟くアマテュアジャズ松浦宣子
水澄みぬさかき色よくけぶる波松尾美郷
伸びて行く飛行機雲や水澄めり松平武史
水澄むや空をまるごと映しとりまつとしきかわ
水澄むや真っ白な雲に届きそう三浦ゆりこ
水澄むや明るき黒の天守閣澪つくし
入相の鐘の余韻や水澄めるみつれしづく
水澄むか地球に流す汚染水皆川知洋
水澄むや懺悔に向かふ山の道めでかや
水澄むや帰天のニュースへ手をあはす本山喜喜
水澄みて空の素顔を映しけりmomo
水澄むやATMは撤去さるモリコリゴリ
水澄みて廃業の六法全書森田祥子
水澄むや吾にもやってくる最期森中ことり
瞳(め)の奥の淋しさ映し水澄めり杜乃しずか
水澄むや孫のピアスのひとつ取れ森の水車
水澄みてバージンロードに父の咳森茉那
水澄むや黄泉を探すに適す朝杜若友哉@はなばた俳句会
水澄むや右の鼻からのむカメラ山羊座の千賀子
水澄むや還らぬ友のピースサイン簗瀬美嘉
水澄むやY軸深き地球かなユリノイロ
水澄みて一人キャンプのテント張る夜香
水澄むや畦道帰るリコーダー楽和音
水澄みて関の孫六破邪の相柳絮
水澄むや君の瞳の色を知る若林かな
水澄むや河童喜びそうなのに若宮直美
水澄むやご飯おかわり三杯目渡邉わかな
水澄みて高き雲さへ掬い取りANGEL
キャンプ場子等の声消へ水澄めりあ・うん
水澄む日卵を焼いた父長寿あいあい亭みけ子
水澄むやここの河童も移住せむ相沢薫
水澄みて鏡の如く底景色間岳夫
剣岳水澄みて辺りはしんとしてあいのびふう
水澄みて穂高の山々逆さまにアイビー
水澄むや泣き顔ゆれて笑ひをり青井季節
水澄むや湖を抱いた苔の森青井晴空
水澄むや清き魚住むこころ川青星ふみる
水澄みて吾子の目澄みて吾も澄む赤尾双葉
水澄むや心の姿映しけり赤子沢赤子
水澄みて瀬にも都のありやせむ赤端独楽男
旧友の歌声不変なり水澄む愛柑
友釣りの友と水澄む九頭龍へ敬子
水澄むやお礼参りの絵馬ずらり秋野茜
モネの池三歩下がりて水澄むや秋星
水澄むや明日の煩いふと忘れ空家ままごと
水澄みて堤に映る人の影秋代
水澄むや魚影すばやく整然とアクエリアスの水
水澄むやこの手が好きと言った彼朝霧さら
何描く水澄む川面輝くゆめ亜紗舞那
水澄むや川辺に朝の香り立つあじさいパスタ
山眺め手からこぼるる水澄めりあすなろの幸
水澄むや人には言へぬ願ひごと天風月日
水澄みし見通せるかな占い師天鳥そら
水澄むや心の記憶そのままでアマリリスと夢
水澄みや出る単は後3ページ網野れいこ
新色の紅ためす朝水澄めり雨乙女
水澄みて紙飛行機を手折る指雨霧彦@木ノ芽
水澄むや胃カメラを飲む身を案じ雨降りお月さん
水切りの波紋消えゆく水澄めり雨李
山下りて水澄む川に癒す足飯田むつみ
何方です水澄む頃やマスクとる飯沼比呂倫
水澄むや水よりのぞく命あり飯村祐知子
釣人の分け入る深渓水澄みし粋庵仁空
水澄みて光底までさしにけり郁松松ちゃん
水澄むや多くをくぐり抜けし今池内ねこばあば
鯉泳ぐ城跡の池水澄めり池田炭
水澄むや棚田へ続く散歩道いしいるぴなす
水澄みて瓢箪型の織部皿石岡女依
朝の水澄むバイク音に震ふ石垣エリザ
水澄む日師の励ましに応えたく石堂多聞
水澄むや藻の陰からの照り返し石村香代子
かの町も水澄む頃か孫出張石本美津
水澄むや放たん理科室のめだか石山知子
水澄むやドーナツの穴流れゆく和泉明月子
水澄むや化粧直しの水鏡泉恵風
登山人澄む水受けて空昂ぎいちばほうすい
水澄みて風鐸の影静かなりいつかある日
水澄むや肩まで伸びし吾子の丈一愼
水澄むや上昇気流鳶唄う伊藤薫
水澄むや湖水にうつる枝の影伊藤節子
水澄むや母の寝息に安堵して伊藤れいこ
水澄むや仁丹の花ボンベから伊ナイトあさか
腕まくり肘まで浸し水澄むや稲葉こいち
水澄みし人の気配に水動き井上幸子
水澄むや花瓶に銅貨いれる母井上鈴野
郡上八幡水洗い場の水は澄む猪子石ニンニン
水澄む星や絶滅危惧種リスト井原昇
水澄むやピアニッシモの冴えわたる今乃武椪
水澄むや故郷の山河凛として岩木順
水澄むや書けぬ留学報告書イワンモ
水澄む森深呼吸する朝の肺vivi
水澄むや珈琲の氷溶けをる上田ちゃーりー
水澄むや樹幹ながるる水の音植村弘
水澄みてプランクトンは森の息うた歌妙
水澄めり「今年も転移なし」染みる宇田の月兎
水澄む朝まったり歩む青い橋うちだまみ
水澄むやパーマネントの母恋し内本恵美子
水澄みて水琴の高き響きかな種月いつか
十字架に影の移ろふ水澄めり空木眠兎
一口の天ぷらも水澄む箕面宇野翔月
ミズトクサゆれて水澄むビオトープ海月のあさ
水澄むや答え呑み込むプロポーズ海野優
球磨川のゆつたりとして水澄めり梅尾幸雪
幾度めの慰霊登山か水澄めり梅里和代
水澄て鯉優雅にや岐阜の郷浦田学
水澄むや眼鏡の忘れあるベンチ詠頃
水澄むや雲突き破る槍の穂よ江口朔太郎
水澄むや梵鐘の音に花震えS・葉子
水澄めり足の折れたる誕生日絵十
富士守る水澄む忍野たおやかに榎本奈
水澄むや色んな葉っぱさらさらとえみばば
水澄みて制御不能な集光模様絵夢衷子
水澄むや別れの言葉探してるえりいも
澄む水に須臾のいのちを葬らんえりべり
水澄めりひとまず置こうそのことは遠藤千草
水澄むや底の石まで青と白遠藤倫
奥の奥水澄む先に何かある大江戸小紋
水澄むやフェリーの波形延々と大越総
役終へて横たふ運河水澄めり大澤眞
水澄みて池の魚も空を飛ぶ大島一声
水澄むや水底に手の届かざる大嶋宏治
水澄むや底にコインと鯉の影大谷如水
水澄むや羽根車よりひかり落つ大津美
水澄むや我の頬にそよぐ風大野純子
逆さ富士称えて五湖の水澄みて大野喬
水澄んで手紙の文字がにじんでく大野美波
水澄むや孫と石投げ仁淀川大原妃
水澄むや今年最後のラフティング大原雪
水澄むや雨止み光る湖月かな大本千恵子
水澄むや小魚数える二、三匹大家港一
水澄むや仏花に供へし焼き明礬大山小袖
水澄むや今日の処方は湿布のみ岡井風紋
水澄んで水琴窟の音軽く岡崎未知
水澄みて鯉の哀しきムラの見ゆ岡崎佐紅
草屋根より額にぽとり水の澄む岡田明子
水澄みて川面鏡に老いし我岡田恵美子
水澄めり小島の岩に集ふ子ら緒方朋子
泡たちて水澄む鉢に小さき影岡田ぴか
ボートこぎはしゃぐきみの手水澄む日おがたみか
眠れぬ夜重ねて水澄む朝迎えたり岡眞弓
水澄みて編んだ言の葉浮かべおりオカメインコ
水澄むやご先祖様にお知らせす岡本
フェルメールの青の光や水澄めり岡山小鞠
水脈の水澄む音や列をなす丘るみこ
水澄むや暮らした昭和さがす旅岡れいこ
水澄むや羅臼逆さにそびえたり小川夏霖
水澄むやかつてアキシマクジラの海沖らくだ@QLD句会
水澄むや池面に染むる弁天堂奥田早苗
水澄みて魚影揺らめくあしたかな奥寺窈子
水澄むやドガの踊り子真似てみる小倉あんこ
水澄みて渓流釣りの鉄仮面おこそとの
築百年池鯉一匹水澄むお品まり
水澄みて沼山を呑み空を呑み遅狐歩
バンジーで竦みし谷の水澄めり小田毬藻
水澄むや丸き石あり尼の寺尾田みのる子
澄む水の揺るる大木また伐らるる越智空子
水澄むや漆黒の目に知る赤子落句言
水澄むや筆圧優し旧姓のおでめ
ハリケーン去って水澄むハドソン川小野玲泉
水澄む川に映す我を追う雲よ十八番屋さつき
晩鐘や水澄む手水舎ゆらぎかな小山田之介
水澄みてゆるり踊るやひと木の葉おんあいす
水澄むや五百羅漢の深き影おんちゃん。
さみしくもあり湖の水澄みきってカオス
水澄みて引きし口紅浅くして垣岡凡才
水澄むや五段の滝の釜深く影夢者
水澄むや空へ針生の無線塔風早杏
水溜まり空を映して水澄まむ梶浦和子
白き船大漁旗に水澄まむ梶浦正子
水澄むや母の手を引き蓮見(はすみ)橋風かおる
水澄める池に小石を投げ入れぬ片岡明
塵部屋を一気に片すや水澄めり片桐洋
水澄むや妻との暮らし五十年帷子砂舟
水澄むや病の痛み知ればこそ花鳥風猫
カメラ上げ彼女の向こう水澄むか葛飾シトロン
水澄むや覗く老木池の中勝瀬啓衛門
水澄むや残り香通り過ぎし女桂子涼子
地の声に小さな震え水澄めり桂葉子
戦場の息子帰らぬ水澄むも加藤水玉
水澄むや夢まぼろしの美しくかぬまっこ@木ノ芽
水澄むや隠し通せぬこと一つ兼子さとみ
水澄むやおやつ分け合う登山口金子泰山
対岸にビール工場水澄めりかねつき走流
水澄んでわが顔映る手水鉢カバ先生
水澄むや一等賞の水彩画花星壱和
水澄むや虫食い青葉身を清め神谷米子
静けさや手水鉢なお水澄めり亀井汀風
水澄めりこつち向いてる魚の目亀田かつおぶし
水澄むや冷水摩擦半世紀亀田稇
水澄むや我が嫉妬心隠せねどかもめ
澄む水の嘯きしたる若い日々狩谷わぐう
水澄みて白帝城のなお高し邯鄲
水澄むや京友禅は恋のいろ菅野まこ
山道に澄みし水あふれごくごくと樺久美
水澄むや茶碗のひびを金継ぎす看板のピン
水澄むや水切り構え5秒間岸壁の龍崎爺
水澄むや暁鐘六つ嗚呼清し如月ゆう
水澄みて祖父は干支を描きはじむ季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
水澄むやふたりの愛は隠しをり喜多柚月
水澄むや瞳に映る我が姿北大路京介
澄む水に湖国の人のよりどころ喜多丘一路
水澄みて読経の声清々し北川茜月
水澄むをちらりと見たる帰り道帰宅部めんそ
水澄むやはるかかなたのガンダーラ北野都留
水澄むや少年の貌群れもせず貴田雄介
水澄むや鼓動ドッドッと弾く朝狐雨小次郎
水澄みて洗顔クリーム泡立ちぬ木下美樹枝
明日届く水澄む朱鷺の郷の米木原洋子
水澄むや忍野八海富士映す木村修芳
水澄むや底砂動き渇き知る木村波平
水澄むや阿賀と信濃は豊かなり久えむ茜咲
ロケハンの砂柔らかく水澄めり清鱒
水澄みて今回もまたはずれくじ霧土人
五円玉トポン手水鉢水澄む銀長だぬき
水澄むや雲は流れて果てしなく楠田草堂
水澄むや大往生の荼毘の煙くずもち鹿之助
神のいづみ銭をくわえて水澄みぬ熊谷温古
水澄みて三本脚の沈下橋クリスマスローズ
水澄むや些事の観えぬのそれもよし来ヶ谷雪
水澄むやいをらのにぶくなるころに空流峰山
手水舎の水澄みゐたり一人旅紅さやか
水澄みてビートルズの歌ビブラート黒田良@しろい
猫と我水澄む池に長い影黒猫さとみ
模試終えて岸辺に一人水澄みて桑田栞
水澄て岩陰に馳せルアー振る桑原和博
人型を水澄む水へ放ちけり薫夏
水澄むや遠くの富士も近づけり慶唯
水澄むや人と猪鹿狸けーい〇
水澄みて笹船の行く鯉の径家古谷硯翠
水澄みて小石ぽんぽん子ら遊ぶ月昭
水澄みて澄む青硝子ソウル駅謙久
水澄むや缶けりごっこ鬼の声源氏物語
水澄むやピロリ菌除去恙無し恋瀬川三緒
水澄むやおうむ返しの幼き子コウ
水澄むや耳の周りの血の巡り公木正
水澄むや水切り石が五回跳ね恒産恒心
水澄みて五時のチャイムの沈みゆく柑たちばな
水澄むや覗きて美人私なり康寿
水澄むやスマホチケットでユーミン幸内悦夫
川の藻のワルツになりて水澄めり宏楽
上水や西方より来水澄みてこきん
水澄むやこんこんと湧く白狐の湯小笹いのり
水澄みて高野の空はただ青く越乃杏
水澄むや空白埋めし七十路の小杉泰文
磨崖仏てらす川面や水澄める小園夢子
岩肌を流れて落ちて水澄みぬ虎堂吟雅
処理水を水澄む海に垂れ流し後藤田郁子
水澄みて川面の光目に刺さる後藤允孝
水澄むやお下がりのシャツ色が落つ小林共捺哉読
水澄むや貴船神社の水占い小林弥生
水澄むや指でなぞりし子規の句碑こひつじ@QLD句会
水澄むや鉄橋滑りゆく列車小藤たみよ
水澄むや絵本の釈迦に笑みこぼれこま爺
仏壇に供えたヘアピン水澄まずこまたれぶー
水澄むや大歩危峡を航跡波駒村タクト
水澄むや胎児心音トクトクとこむぎ
山の名の由来はルビー水澄めり小山晃
雑誌から抜け出した服水澄めり小山秀行
水すむや心洗いて前進むコロンのママ
弾け飛ぶ水澄む川面寂寞も権田童よしこ
水澄むや作句の理由なくしたりサイコロピエロ
水澄むや火山の裾にダリの館齋藤桃杏
水澄みて人も魚も深呼吸さいとうすすむ
水澄むや田んぼの夜の声を聞き齋藤鉄模写
石切りの走る水澄む長良川さ乙女龍チヨ
水澄みて川面に映える茜色酒井癒香
水澄むや三尺阿弥陀みつむ世は坂口いちお
長き艪の水澄み進み鈍きかな坂島魁文
尾瀬沼に人影疎ら水澄り坂田貞雄
水澄むや駅で送った友の顔さかたちえこ
水澄むやチェロの余韻と缶珈琲坂野ひでこ
水澄みて窓辺に白き花開くさきまき
隣家よりショパンの調べ水澄めリ櫻井こむぎ
水澄めり負けてたまるかひとり言櫻井光散人
水澄むやアマゴの魚影吉田川櫻井弘子
水澄みて用水路にも魚住みて佐倉英華
身の内の焔を消して水澄めり桜月夜
水澄むに病の母は口重し桜華姫
水澄むや濁っていたるウクライナ桜姫5
水澄むや湖の辺りで読む詩集さくら悠日
水澄みて不安対峙す今日一歩桜よし榮
いまいちど水澄む里に帰りたしさくらんぼ
草深き庭の蹲水澄まん佐々木佳芳
水澄めどキミとの斥力は依然笹靖子
静かなり水澄む川の釣り人やさざんか
水澄む向こうに転がる麦わら帽子幸子
水澄むや木桟橋の波の音砂月みれい
水澄みて土手の休憩長くなり薩摩じったくい
水澄むや立ち漕ぎ自転車角曲がる佐藤しのぶ
水澄めリ独り瞑想坐禅堂佐藤俊
金閣寺映ゆる鏡湖池水澄みぬ佐藤浩章
水澄むや鳥たちを待つ干潟かな佐藤佳子
水澄みて墨磨る音や写経の間里こごみ
諦めの境地に浸る水澄めりさわだ佳芳
水澄みて母への念い肚の底三角山子
水澄むや森ひめやかに交信す三尺玉子
水澄むや立ション終わる肩の揺れ三水低オサム
水澄むや樽にあふるる仕込み水塩沢桂子
水澄みて朝靄の森一人ゆくしかの光爺
水澄みて四国行脚の杖はずむ四季彩
リュック背負ふ子らの輪唱水澄めり志きの香凛
水澄めり出水の始末今もなほじつみのかた
水澄むや朝一便の時刻表信濃のあっくん
病抱く夫と水澄む河岸ゆく篠雪
水澄みてキャリーケース引き松山柴桜子
水澄むや既読の付かぬ告白文しぶ亭
うたかたと砂といのちと水澄めり渋谷晶
水澄んでろ過され記憶いきいきと島じい子
水澄みて手の刺され跡消えにけり縞子勾苑
水澄むや髪色変えて「ことりっぷ」島崎ゆうこ
水澄むや島原の乱の血の川は島田ユミ子
水澄みて校庭の声二階まで清水明美
不耕起の田畑に水澄みて魚清水冨美枝
高瀬川人うつくしく水澄めり清水容子
我もまた透きとおりたし水の澄み志村狂愚
支柱洗う散水ノズルの水澄みて霜月詩扇
御手洗の柄杓新し水澄める霜月ふう
白山の撮って撮られて水澄めり釋北城
水澄むや並べる鯉は揺らぐ風洒洒落落
水澄むや病める地球の処方箋写俳亭みの
墨を磨る居間の異次元水澄めり砂楽梨
水澄みて後ろめたさを抉られる十月小萩
水澄むや君の手中にある魚朱胡江
癒ゆるころ水澄むころや子抱き富士柊二
水澄むや罪なき魚に石を投ぐ秋星子
水澄むやせせらぎの音に赤子泣く秀道
水澄むや洗いに覚める藍の青秋芳
生き難さ私の個性水澄めり珠桜女絢未来
水澄みてやおらたじろぐ小さき海老種種番外
水澄むや母は尾鰭に化粧塩寿松
澄む水に映る黒き瞳あすは競じゅんこ
水澄むや姫の祈りし阿弥陀堂順之介@QLD句会
過呼吸の子の独白や水澄めりじょいふるとしちゃん
水澄むや隣家の娘嫁ぎ行く庄司芳彦
水澄んで光る百円手水鉢正念亭若知古
水澄むや神見守られベールダウン昭和かぐや
水澄むと絵巻の女人が出て来そうショートケーキ
水澄むも履歴書裂いた高層の庭白井佐登志
水澄むやうどんを餌にマブナ釣白井百合子
水澄みて月影深く覡よ白河夜船
しがみつく花托水澄む白洲お紙
水澄むや豆腐の影の水底へ白玉みぞれ
対岸の羽ばたく音に水澄みてしろくも
戦死は餓死の父の地の水澄めり新濃健
水澄みて解析画像度アップする森牧亭遊好
逍遥の哲学の道水澄めり酔軒
水澄むや川跳ぶ魚の乱れ打ち瑞々
水澄むや夜明けに月の眠る音水蜜桃
水澄むや火宅の父の墓建てんすがりとおる
水澄むや船上からの隅田川杉浦真子
水澄むや櫛引の雲が山頭火杉岡ライカ
澄む水に二十歳の頃を重ねたる杉尾芭蕉
水澄みて神社の池の縁占い杉沢藍
水澄むや流れる風はミント味杉田梅香
水澄むやはじめての恋だから跳ぶ鈴子
水澄みて訪れしもの再起へとすずしず
水澄むや水切りの石銀の如(ごと)素敵な晃くん
水澄みて伯剌西爾にまで届きさう巣守たまご
水澄むや七十路の雄叫びもあり諏訪次郎
水澄みて光琳模様柿田川青児
掌合わす惑星水澄めりせいしゅう
水澄むやじっと動かぬ池の鯉勢田清
水澄むや血抜きす豚の目は虚ろ青峰桔梗丘
水澄むや備後表の十万石seki@いつき組広ブロ俳句部
米研いで仕込みの蔵の水澄みて一穂
水澄みて冷凍枝豆の気泡全美
水澄むや白杖の音古寺の森惣兵衛
家族旅忍者屋敷の水澄みてそしじみえこ
面影を辿りし雨や水澄めり外鴨南菊
水澄むや早産の子に祖父の笑み宙まあみん
水澄むや我がわだかまり解けてゆくそれでもボクはやるマゲドン
水澄みてパジャマのズボン父の夕べ駄詩
水澄むや隠せぬ心とぐろ巻き大
水澄むや鳥餌攫ひ波紋消へ大康
水澄むや小石の多き遊歩道太閤検地郎
水澄みて背伸びの先や青い空平たか子
水澄みて色とりどりの嘘あらわたいらんど風人
水澄むやシャーッと漕いで風となる高井大督
過ぎ去りし大禍の痕も水澄めり高岡春幸
水澄むや兄の引っ越し先は千葉だがし菓子
水澄むや堅焼きせんべい噛りけり髙橋鰈舟
水澄むは風さえも今と通り過ぎ高橋紀代子
水澄めり水の光は草に吾に高橋なつ
水澄むや信濃の国の道の駅高橋ひろみこ
水澄むや日帰り旅はひとり旅高橋光加
川岸に消えし獣や水澄めり高見正樹
水澄みてファインダーのカシオペア卓女
通潤橋畑の生命の水や澄むたけぐち遊子
ひと泣きの後の細胞水の澄む武田豹悟
水澄むやほっちゃれ睨む空の先武部敞子
水澄むや運命に身をまかせましよたけろー
水澄むや新管馴らすフォルテ息多胡蘆秋
水澄みて魚の動きいとをかし祐紀杏里
水澄むや子供心は何処へやら糺ノ森柊
水澄むや子の声の溶けた場所から立川茜
水澄む日タンスの奥のナフタリン田鶴子
水澄んでコンと何かの鳴きにけり立部笑子
水澄んで椀底映るお麩の影田中実千代
水澄むや博士名づけしスエコザサ田中ようちゃん
木の葉舟浮かべ水澄む吾が思ひたなばたともこ
水澄むや老舗そば屋の長き列たなべ早梅
水澄めり杉の木立が一気飲み谷卓生
水澄むや待合室の午後速し谷相
水澄むや水脈引く鳥の軽やかに谷口あきこ
水澄むと友の便りの小川かな谷口美奈子
水澄めり水守る宮や花手水谷町百合乃
水澄むや白内障が治るごと谷本真理子
水澄むや鉄橋映す大井川玉井令子
水澄むや好きな姿の水描くタマゴもたっぷりハムサンド
水澄むや鱗煌めき石滑り玉響海月
城址の赤鯉ゆるり水澄めりたむらせつこ
水澄みて水面に遊ぶ雲と鱒ダメ夫
水澄めりダムに沈んだ村朽ちぬちくりん
水澄む日この世の暗きはそのままに智同美月
水澄むや草ばうばうの河川敷ちゃあき
塾帰り水澄む川に横手投げ司蓮風
水澄んでわが影薄く揺れにけり月城龍二
わだかまりほどく水澄む川清く月待小石
水澄むや命を毛皮にくるみおり辻ホナ
水澄むや小さき児の手は紅色に辻美佐夫
水澄むや華々しきは遠い過去辻内美枝子
水澄むや故郷の情味の深さ知る対馬清波
水澄むや魚菜の串に「ぐー」の音つついぐれちゃん
水澄んで口パクパクと池の鯉椿叶@木の芽
水澄むや島から島へ小豆島椿律
水澄むや何もないけどバースデー津幡GEE
水澄むや川底に緩流の影坪山紘士
水澄んで合唱コンの高音よデイジーキャンディー
手水鉢水澄む中に満月を手嶋錦流
嫁ぐ日の父の涙や水澄めり哲庵
紙縒り落として田沢湖の水澄めり哲山(山田哲也)
水澄むや尾瀬に友に逢えし頃徹光宗光
水澄みて見えし社会やめんどくさ徹光よし季
水澄むや今年も送る線香をてつねこ
水澄むや遡上するもの下るもの寺尾当卯
水澄みて観光客のまばらなり輝陽
二つ目の堰ナイアガラ水澄めり苳
大岩に寝そべるこども水澄めり藤白月
水澄むや湖底に沈む街いくつとき坊
水澄みて智恵子の空は遥かなり時まる
水澄みて白と云ふ色示しけりDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
謝れた明くる日川は水澄めり杼けいこ
水澄んでお手前しんと蹲と戸根由紀
水澄むや川岸近き地蔵尊とよ
水澄めり汲み置きもして淹れる珈琲豊岡重翁
父と手を水澄む川に円描く中澤孝雄
水澄めり釣糸揺らす魚影かな中島葉月
水澄むや水面凝視す白き鷺中嶋敏子
水澄みて陽光揺らぐ伊佐地川中嶋緑庵
水澄むやのぞく瞳に恋をして中谷幸弘
コンタクトレンズに水の澄みにけり中平保志
水澄むや水面に私の笑い顔中村こゆき
渡り行く弘誓の船の水澄めりなかむら凧人
賢治描く青白赤や水澄めり凪ゆみこ
水澄んでトライアスロン十キロへ那須のお漬物
水澄むや鯉の膚のハート型ななかまど
水澄みて淵にドラゴン見えにけり⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
水澄むや安曇野の橋よどむ我浪速の蟹造
水澄んで心は八ヶ岳へ向き南全星びぼ
水澄みて馴染みの池の深さ知るにいやのる
水澄んでもう忘れよと手を洗うにえ茉莉花
水澄むや唐草の藍なめらかに螺原トモ
水澄むや雲を背負いて鯉の群れ二和田躬江
水澄めり足に絡むは茜色ねがみともみ
水澄むや旅の始めは熱海から猫辻みいにゃん
水澄むや今朝も魚の跳ねる音野井みこ
よもすがら水澄む井戸の大星図野口雅也
水澄みて四万十川に青や増す野中泰風
兄が逝く水澄む天で酒と歌 のの俱楽部
鏡池のなほ水澄むや蕎麦の里則本久江
水澄む湾処信号は赤と赤羽織茶屋
水澄むや沈水葉の色めきて白雨
水澄むや五箇山は幸てんこ盛り橋爪利志美
難手術水澄む畔ほっと帰路波止浜てる
ようやくに消えた哀しみ水澄めり蓮見玲
水澄みて氾濫の川静かなり長谷島弘安
水澄むや妻は白髪を茶に染めて葉月けゐ
水澄むや出汁香りたる朝の卓初野文子
水澄むや袱紗捌きの凛として花岡淑子
水澄むと私の中の水も澄む花咲明日香
サンダルの小さき舟々水澄めり花咲めだ香
水澄むや君と巡りし鳰の海花水木
水澄みて「あの日」の父の横に坐すぱぷりかまめ
水澄みて石段見ゆるダムの底早川令子
水澄むや昨日の私蘇る林田リコ
骨折れて惑う母にも水澄めり林ほうき
水澄むや古希を迎えて断捨離す原善枝
水澄むや湖面の富士の白きほど原島ちび助
チャレンジに早期退職水澄めり原田民久
魚きて水澄む川の橋渡し春風
水澄みて泣かぬと決めた泣きたい夜パンドラみかん
水澄むや渓(たに)へと続くけものみちピアニシモ
時を経て水澄む心静かなりひーちゃんw
水澄むや櫓の音静か遠くまで東の山
映し身の面隠しめく水澄めり匹田小春花
水澄みて心の底を見透かさる比企野朋詠
退院の朝のせせらぎ水澄みてひぐちいちおう(一応)
水澄みて白球の先ボンネット火車キッチンカー
石蹴りて雨後に水澄む用水路翡翠詩憶
水澄みてインターホンのニューレンズひすい風香
水澄んで光の銀河川底に英行
水澄むや川の街盛岡が好きひと粒の種
吸ひ寄せて立ち止まらせて水澄めりひな扶美子
水澄みて苦き野菜の天日干し妃可
水澄むや麹ほのかにブラウニー姫川ひすい
水澄みし水の石切り音冴えしひめのつばき
水澄める霊峰富士の沢激つ平井千恵子
水澄むや罪ある心詐りて平岡花泉
水澄むや噂話は聞き流す平林政子
水澄むや川面に映る雲光り平松一
水澄むや群れる魚のへの字口昼寝
水澄めりダム湖に立ちて魚影待つ浩子赤城おろし
水澄むや老婆は赤子へ還ってく廣重
水澄むやマツダのマーク鮮やかに広島立葵
京アニの作画のやうに水澄めり広瀬康
水澄んでブータン国のひるけかな廣田惣太郎
水澄むや新ウィッグでお洒落してひろ夢
水澄みて砂金探しに日が暮れてFUFU
生きてゆくため働けば水澄めり深谷健
ふるさとの恩師の訃報水澄めり福川敏機
水澄みてひらひらと手を濯ぎをり福前彩芽
水澄みて読経の鈴のしみじみと福弓
水澄みてインカの文字は語りだす福良ちどり
川底の錆びたチャリ鍵水澄めり武幻琵離吾
水澄みて笹舟二つみぎひだり藤井かすみそう
水澄むや磯の小蟹の泡跳ねる藤井眞おん
水澄むや木を焼く匂い渡り来る藤丘ひな子
水澄むにひとりぽつちの魚人ゐる藤川雅子
水澄むや矯正展の知らせ来る伏見レッサーレッサー
水澄みてカメ石飛んではしゃぐ子ら藤本だいふく
郡上八幡まちを流るる水澄みて藤原訓子
水澄みぬおかっぱ頭のダンスの夜ふたついけ
水澄みて今日は出勤最後の日二見歌蓮
土塊に揉まれて消えて水澄みぬ船橋こまこ
水澄むや君のLINEを絶ちにけり風友
外来種を退治して水澄む池古澤久良
水澄めり玉石光る洲浜かな古谷芳明
水澄むや他人(ひと)それぞれが美しく平馬
水澄むに映る貴方は濁り水ヘッドホン
水澄むや別れの理由なんだっけべびぽん
みず澄みて石の手水鉢松ぼっくり鳳凰美蓮
山峡を流れる水も澄みて見え望月
水澄むや底住む魚の目は清か房総とらママ
水澄みし湖底の魚影踊りけり星勲
レマン湖のSLがゆく水澄みて星影りこ
水の澄む川に珍客外来魚細江隆一
水澄めば深呼吸さえ写しけり牡丹ゆり
水澄むや寺の仔猫はまだ他人堀江むすぶ
水澄めばお洒落をしてる深海魚堀隼人
水澄めり太古滴る伊尾木洞凡狸子
水澄みて水底揺蕩ふ鯉の影前田龍志
水澄むやコラムを書き写す祖父槇英里
水澄みてお遍路さんの白眩し真喜王
こ、こ、これが運命の人水澄める正岡若ん輔
水澄むも我の悪魔が蠢きて雅蔵
水澄む子穢れが愛と知らなくて町屋の日々輝
バンジーの叫びの底に水の澄む松井酔呆
水澄むや肥ゆる鯉担の薄明かり松井くろ
水澄むや「みぞの鏡」の奥深く松浦貴子
水澄んでハヤは速やか橋の下松尾老圃
水澄みて木々の競いて化粧する松沢ふじ
水澄むや廃寺に鯉生きてあり松田慶一
水澄むやゆたかに流る黒部川松永好子
水澄むや四万十川の底の苔松原隆雄
水澄んで孫に教える田の魚松本俊彦
風が撫づ水澄む汀の水筒松本裕子
水澄むや空を映してゆれる藻よ松本牧子
水澄めリ仕事出来るはありがたしまほろば菊池
水澄んで水の輪探すビオトープ真宮マミ
水澄むや沈殿を待つ嫌なこと丸山隆子
水澄みて棚田に響く神楽笛美衣珠
水澄みて川底の岩流線型三日月なな子
水澄むや一パーセントの君の純三上栞
水澄んでじっと動かぬ魚かなみかん成人
ああ波紋水澄む川に落ちた君三粂ニ乙
水澄むやブルーアワーの紅一途美乎梛
水澄むや歩き疲れし君静か三島瀬波
メヅサのみ眠る柩や水澄めり水鏡新
青き澄む水魚住まぬ酸の水水越千里
水澄みて素面で告げる本音かなMR.KIKYO
裏歩き雷滝の水澄めり水谷未佳
松明が消えて水澄む膝小僧三隅涙
水澄めり肉球跳ねる午後6時御園みる
煌めきつ木漏れ日踊る水澄みて光月野うさぎ
水澄むも還暦来るも逡巡しミツの会
水澄むや笑えば済むと思うなよミテイナリコ
手の跡残す乙女の像や水澄めり南方日午
水澄みて米とぐ妻の指白し湊かずゆき
水澄むや湖面にうつる水車小屋源早苗
水澄むや動画の孫をあやす祖母みのり甘子
水澄むや戦禍の川も此の川も宮川令
天の青巨木の緑水澄むや美山つぐみ
テスト前吾子の横顔水澄めり三輪白米
水澄みて友禅流し眺めをりみわ吉
川の水澄みて雲間を泳ぐ鯉夢雨似夜
荒れ増さる故山の奥に水澄めり麦野光
水澄むを描こうとする児童の眼麦野光@いつき組広ブロ俳句部
キャンバスの色は埋めれぬ水澄めりむねあかどり
水澄むや紅をひきたる宵の池村先ときの介
水澄むや慌てて顔を手で隠し村のあんず
湯の町を流るる川や水澄む恵のママ
水澄むや澄という書をまっすぐにす目黒智子
古き友十五の顔や水すみて目黒千代惠
澄む水の白雲抜ける白き鯉毛利尚人
嫌なこと嫌と云えた日水澄めりモコ
斯々然々の三段論法水澄めりもふもふ
水澄むや少女はにかみ笑み結ぶ樅山楓
水澄むや祖母に教わる井戸のコツ桃花
水澄むや処理水放出30年桃香
教え子の便り届きて水澄めり百瀬つきか
地中からの音聴く人や水澄めり森佳月
ビオトープ空き家のごとく水澄めりもりさわ
畦道を帰る子の影水澄めり森茂子
水澄むや土嚢の並ぶ仏具店もりたきみ
額ぶちの形に壁褪せ水の澄む森太郎
水澄みて手漕ぎボートの堀めぐりもりやま博士
水澄むや魚の棲家見つけたり諸岡萌黄
水澄むや白紙答案出し街へもろ智行
水澄みて志太の浦へと流れゆく焼津昌彦庵
水澄みて爪先に銀鱗のささめき矢入えいど
水澄みて白鳳の塔越に見ゆ八重葉
道東の水の澄みたる手洗い場八木実
水澄むや浄水場に鳥の声矢澤瞳杏
水澄むや水占は水物か屋敷旺甫
美濃焼の皿の欠片や水澄める野州てんまり
水の澄むつくばい万象のゆらぎ安元進太郎
里山や流れ遙かに水澄めり山内泉
靴底の天井の空水が澄む山内悠生
水澄むやつーつーくるり笹の船山尾政弘
澄める水笹茶もてなす山ガイド山口笑骨
水澄みて口開く鯉に口開ける山口絢子
水澄むやカラスの声も近くなり山口香子
水澄みて産声も澄む午前二時山口たまみ
荒れ果つれば水澄むのごと澄めよこの血山口愛
水澄むやゆるゆる進む渡し舟山崎かよ
水澄みて飛び石駆ける孫兄妹山崎力
皿洗う水さえ澄めりさわさらり山崎のら
水澄むやペツトボトルは強炭酸山里うしを
山降りて澄む沢水に顔洗ふやまだ童子
水澄むやニューシューズ履き走り出す山田はつみ
俄か雨青く水澄む水溜まり山田文妙
面接の帰り水澄む風渡る山野花子
水澄みて川底の石あらわにす山薔薇
亀の井の浮かぶ経木水澄めり山本八
水澄むや天地を結ぶ線へ息やまもと葉美
水澄むや地球は青の奇跡なり山吉白米
水澄むや視力2.0の朝ヤン子
澄む水を走るトロツコ列車かな唯果
老僧の笑み緩やかに水澄めり遊羽女
水澄みて水底の石笑ひけり有野安津
水澄むや忍野八海風の声宥光
水澄む湖畔静淵にうつる逆さ富士雪兎
あこがれのボーイソプラノ水澄めり雪子
水澄むや朽木の苔のふかみどり雪音
臨月のママの寝息や水澄めりゆすらご
水澄みてどこまでも浪速に続きたり柚木啓
濡れ縁を乾かす風や水澄めり宙美
水澄むや昭和世代の霞ヶ浦夢一成
水澄むや六十分のウォーキング緩木あんず
水澄みて視力治癒後のごと景色ゆるランナー
一瞬の少女の惑ひ水澄めり宵猫
水澄むや手水の柄杓伏せ一礼陽光樹
水澄みて沢の音も澄む山路かな陽介山
水澄て魚は空を泳ぐごと横山くみこ
夜風浴び離婚初日の水澄むや吉岡幸一
水澄みて澱み澱みを払いのけよしぎわへい
水澄むや床上げの朝薄化粧吉田蝸牛
水澄めり鯉を貫く光りの矢吉武茂る
水澄みて胸のささくれ無事隠しよしだばあば
水澄める前頭洞の世界までよしぴこ
水澄むやヨシノボリ居りモツゴ居り吉藤愛里子
水澄むや濁るこころの日常画吉満乃苗
水澄むや父母は遠くになりにけりYoshimin空
因果とは全て阿吽よ水澄めりリーガル海苔助
山からの風の美味さよ水澄めりリコピン
欄干に子らの自転車水澄めり利凡
水澄むや和太鼓五帳響く里ルージュ
水澄むや死ぬべきときは死ぬがよし連雀
軽やかに飛騨古川の水澄めりわかなけん
水澄めり返事は5秒の沈黙若和志歩
澄む水の友と語らう通学路わきのっぽ
水澄みて餃子のタレの酸っぱさよ和光
一筋の雲の白さや水澄める渡邉花
どうぶつの観音の水澄むといふ渡辺桃蓮
水澄みて藻の先長く映りけり渡邉花
水澄みて父と歩かん夢の中渡辺ヤスコ
水澄みてゆつたりと雲運河ゆく渡辺陽子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。
●俳句の正しい表記とは?
- 水澄むや 病む心捨て 鮎放つ山崎鈴子
- 水澄や ロケットランチャー 迫撃砲ギザギザ仮面
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
- まざまざと残暑が残る秋恋しかきなな
- 夏蒲団うたた寝で感ずる親ごころのりまどきよてる
- 見えて居る手の届くごと磯の雲丹富永翠柚
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「水澄む」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
- 電柱が鳴く蜩の居座る夜大槻正敏
- 蜩やじわじわ尾根を落つなにかまつたいら西
これは前回の兼題。〆切を確認して下さいね。
●季語の本意についての考え方
- 心地良き水道水の水澄んで琥珀
季語「秋の水」「春の水」は、水道水も含むという解説をしている歳時記もあるようですが、個人的な感覚として、「水澄む」は、湖・川・沼・池など淡水の光景として受け止めています。
●似てはいるのですが……
- 豪雨後の小川の澄みて砂利と藻と蜂鳥子
- 川澄みてばかな池葉っぱでまんまるだはるる
この二句でしたら、無理に「川澄む」としなくても、兼題「水澄む」をそのまま使って表現することは可能。
まずは兼題をそのまま使うところから、コツコツ練習していきましょう。- 秋水を献水し千羽鶴を折るきゅうもん@木の芽きゅうもん
- 飛行機雲の混じる流れや秋の水夢見昼顔
- 水の形は器のかたち秋澄めり中島圭子
- 秋澄むや山並み青に青重ねぱらん
歳時記によっては、同じ項目として扱っているのかもしれませんが、「水澄む」は、「秋の水」から分かれて独立した季語。その違いを考察してみるのも、勉強になります。
「秋澄む」は、むしろ空気、季節の澄み具合だと受けとめるべきでしょう。
●これは「雲海」の句?
- 空の水澄みて雲海出で来たり南風草々
「雲海」も独立した季語です。この句の主役は「雲海」ではないかと。
●入力ミス・文字化け
- 水棲みし兄の卒塔婆のすす父へナサケモノ
- 水澄みて?の背中ありありと羽馬愚朗
入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。
文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。
●季重なり
- 水澄むやメダカの鱗光るラメ秋の今日子
- 秋の庭水澄む池に遊ぶ鯉お寺なでしこ
- 水澄みて耳を澄ませば虫の声草道久幸
- 水澄むやくるりとんぼもアイスダンス深仲夏
- こけかじり水澄む流れ岩魚見る瀬羽田真一郎
- 水澄て早刈りの田に鷺降り立つ立花かおる
- 水澄むやとんぼの影が幾重にも月見ばーがー
- 河骨や水澄むなる紙屋村東予稲村
- 里山は落ち葉霜焼げて水澄む冨川きよこ
- 生まれたる水澄みし川鮭のぼる野崎明
- 夕涼み水澄む街に吹き抜けるぽて巻
- 水澄みてメダカの軍団渦をかく隆香
- 息をのむ遠足の子ら水澄めり新田ダミアナ
- この石も露に濡れたか水澄む猫柳鈴音
- 水澄て一枚羽織る昼寝かな榛名ピグモン
- 朝焼けの水澄む湖面鏡池目黒のさんま洋幸
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「水澄む」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●季語が比喩に
- 髄液や水澄むやうにながれをる煉獄佐保子
季語を比喩に使うと、季語としての鮮度は落ちます。
●秀句だと思いますが……
- 多摩川のみづ黒々と澄みにけり朝月沙都子
- 谷底の水くろぐろと澄みにけりいかちゃん
- 水澄むや呼ばれて久しデクノボーケンG
- 水澄むや風にも負けずデクノボー松高法彦
- 水澄むや汚さぬやうに魚棲む杉柳才
- 澄む水を魚汚さずに遊びけり霞山旅
- 底石に食み跡残し水澄めり正男が四季
- 瀬の石へ残る食み跡水澄めり三浦海栗
それぞれできている句ですが、これだけ似ていると躊躇してしまいました。これもまた俳句という短詩系文学の宿命です。
お待たせしました!9月「水澄む」の結果発表でございます。今月も夏井先生のアドバイスは必読です。11月に入っても晩夏~初秋のような気候を行ったり来たりする日々ですが、俳句の世界なら季語ひとつですっきりと秋めくのが良いですね。11月「山茶花」も奮ってご応募ください!
また、来月の「後の月」結果発表につきましてお知らせです。次回の結果発表は12月10日(日)公開を予定しておりましたが、選者の夏井先生のスケジュールを鑑みまして、公開日を12月12日(火)に延長することにいたしました。結果を楽しみにされている皆様にはお待たせして申し訳ございませんが、ご理解のほどお願いいたします。