夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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7月の兼題

「水着」

【お知らせ】「俳句生活」2月の審査結果発表(兼題「霞」)の公開日について

 いつも「俳句生活」へご投句いただきまして誠にありがとうございます。
 公開を延期しておりました「2月の審査結果発表(兼題「霞」)」につきまして、

4月30日(火)8:00

の公開が決定しましたのでお知らせいたします。

 改めまして、この度は「俳句生活」サイトを楽しみにご参加いただいている皆様、ならびに、関係者の皆さまにご迷惑をお掛けしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

2024年4月26日(金)
ウェブ通販生活編集部

【お詫び】「俳句生活」2月の審査結果発表(兼題「霞」)の延期について

 いつも「俳句生活」へご投句いただきまして誠にありがとうございます。
 4月10日(水)に公開を予定しておりました「2月の審査結果発表(兼題「霞」)」につきまして、公開を延期することとなりました。結果発表を楽しみにお待ちいただいている皆様には、深くお詫び申し上げます。

 4月4日(木)、編集部から夏井先生にお送りしている全投句のうち、ほぼ半数を夏井先生に送付できていなかったことが発覚いたしました。
 夏井先生からは、選句を終えられた完成原稿を頂戴していた段階だったのですが、事情をお話しする中で、未送付分も含めた全投句を対象に、改めて再審査と原稿の再執筆を進めていただくこととなりました。
 つきましては、夏井先生には、改めて一からの選句のためのスケジュール調整をお願いすることになり、現在ではまだ発表の公開日をお約束することができない状態で、大変申し訳ありません。
 2月の審査結果発表(兼題「霞」)の公開日時につきましては、後日改めてウェブサイト上にて告知いたしますので、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

 この度は、「俳句生活」サイトを楽しみにご参加いただいている皆様、ならびに、関係者の皆さまにご迷惑をお掛けしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

2024年4月9日(火)
ウェブ通販生活編集部

1月の審査結果発表

兼題「寒し」

 大変お待たせしました!1月「寒し」の結果発表でございます。今回もたくさんのご応募ありがとうございました。ありありと目に浮かぶような「寒い情景」が編集部に届きました。
 うっかり「寒し夜」や「寒し日に」などとしてしまったみなさま。形容詞として使う場合は「寒き」=連体形が文法的に正しい形です。また、「朝寒し」は、秋の季語「朝寒」の傍題になっているそうですよ。ぜひ夏井先生からの一言アドバイスを参考に復習して、さらなるステップアップを目指しましょう。2月の兼題「霞」へもご応募お待ちしております。

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
ほぼ捨てていくつか売つて寒き家

大岩摩利

 冬の時候の季語「寒し」は、体感だけでなく、心情を重ねて表現する場合もあります。今回、実家処分の場面を取り合わせる発想はそれなりにありましたが、掲出句には強い現場証明を感じました。
 どこにも「実家」とは書いていませんが、両親の居なくなった家を片付けているに違いないと読みました。感傷的な気持ちはあまりなく、面倒くさい処分を託されていることを苦々しく思っているのではないか。一句の構成として巧いのは、「捨てて」「売つて」と動作を重ねたことだけでなく、「ほぼ」「いくつか」というニュアンスを添えた点。この工夫が真実味となりました。下五「寒き家」は、何もなくなった空間的寒さであり、家や親に対する冷ややかな心情をも表しているのではないかと。(個人的経験が、強く入りすぎた鑑賞になってしまったかもしれません。苦笑。)

地
ガムを噛む口へ寒さを混ぜて噛む

芦幸

 ただガムを噛んでいるだけなのです。クチャクチャと噛むたびに冷たい空気も入ってきます。それを「口へ寒さを混ぜて噛む」と丁寧に描写することでリアリティが生まれました。助詞「へ」も確かな効果です。

配管の寒きオルガンめく庁舎

磐田小

 剝き出しに張り巡らされた配管。古い「庁舎」には確かにこういう所あるなという共感的既視感。まるでパイプオルガンのようだという率直な感知が、「寒きオルガンめく」という詩語となりました。床も壁も寒い庁舎です。

着ぐるみを零れてさみいさみいのこゑ

山本先生

 着ぐるみの中に、全身を入れているのです。そこから零れて聞こえてくるのが「さみいさみい」という呟き。兼題「寒し」の扱いとしては中々挑戦的な口語ですが、この「こゑ」に、季語の実感がみっしりとあります。

ごみ袋に折り鶴透けてゐる寒さ

伊藤映雪

 一羽の折り鶴かもしれませんが、ずしりと嵩のある千羽鶴を思いました。沢山の人の祈りを束ねたものではあるけれど、処分せざるを得ない日もくる。「透けてゐる」という状態が、心情的な寒さとして読み手の心に刺さります。

札付きの寒さむざむざ軒伝ふ

坂島魁文

 毎回、回文での投句。その努力を真っ直ぐ普通の句作に使えば巧くなるだろうにと思ってきましたが、この句は作品としても成立しています。「札付きの寒さ」という表現、「むざむざ」のオノマトペが詩を作り出しました。

人
  • 青空の寒しもう羽を欲らぬ青田奈央

  • 版画とは黒し青森とは寒しいかちゃん

  • 寒いね寒いねジンベイザメ死んだよ雨戸ゆらら

  • 寒さごと掬ってヘルメット被る藍創千悠子

  • 湯も汁も欠く地思へばふと寒し飛鳥井薫

  • 寒い夜は自分が生きていると思ういくたドロップ

  • 詩のしつぽするりと逃げてつた寒い横縞

  • 天金の聖書寒さがものたりぬRUSTY=HISOKA

  • 写経会の硯も寒し墨の海あ・うん

  • 直ぐなるも傾げるも電柱寒し相生三楽

  • 水平に旭光長き影寒し相沢薫

  • 磐座に女神まします寒からん愛燦燦

  • 波の音にごり寒さの匂い来たり間岳夫

  • 山寒し伽藍堂の駅に立つあいのびふう

  • 寒き日の温水プールに髪濡らすあいむ李景

  • 寒笛やトライ間際のノーサイド青井季節

  • 寒き夜は深縹色月が友蒼月子

  • 碧空の眼球に沁む寒さかな青井晴空

  • この寒さ空へびゅんびゅん素振りの子青居舞

  • 検査着の畳まれてある寒さかな蒼空蒼子

  • 山痩せて街に死す獣や寒し蒼鳩薫

  • 青く光る朝の便器の底寒し青花潜

  • 人形のひとみの寒し窓開けむ青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • 寒き夜の星瞬いて陣痛来赤坂みずか

  • 結婚はしないと告げる子よ寒し赤富士マニア

  • 遠ざかるスタバの灯り日々寒し赤馬福助

  • 海女小屋のトタン沛雨の音寒し赤目作

  • 寒き夜を歌ひて女学生ふたり愛柑

  • かくれんぼ鬼になりたき寒さかな明惟久里

  • 車椅子積む車掌包む寒暁空地ヶ有

  • 動くものみな湯気まとふ寒き朝秋野しら露

  • この風のなじむを待てり寒き道秋星子

  • 海寒し空寒し土地また寒し芥川春骨

  • 寒暁や採血前の白湯ごくりあくび指南

  • げんまんのからめた指のなぜ寒し淺井翠

  • 母ひとり実家に残る寒さかなあさいふみよ

  • シェルター寒し朽ちたおもちゃ抱きしむ朝雲列

  • 祖母の「寒かったでしょう」がもう聞けない朝霧さら

  • 独りぼちの上京マクドの夜寒し朝倉カグラ

  • ひとつ背を向けしこけしのゐて寒し朝月沙都子

  • 放課後の校舎四角き寒さかな明後日めぐみ

  • けふもまた「寒し」とかきてにつきとづあさぬま雅王

  • 4Hのえんぴつ尖つてゐる寒さ淺野紫桜

  • 是は寒しシュークリームのがらんどうあさのとびら

  • 億光年隔てて能登の星寒しあじさい卓

  • 傷口の風にめくれるとは寒し葦屋蛙城

  • 街歩く人みな黒しなほ寒しあたしは斜楽

  • これ以上伸びぬキリンの首寒し足立智美

  • 店仕舞い告げる最後の聲寒しアツシ

  • 引っ越しの箱、箱、箱の居間寒しat花結い

  • 寒暁やどんどん迫る警報音渥美こぶこ

  • 大空の寒さの底にみづ光るあなうさぎ

  • コイン返却自販機の音寒しあまぐり

  • 道端に眠る男の膝寒し天橋立右彩

  • 骨寒しいつも人ゐし家広しあまぶー

  • ため息はたましひ寒くなる兆し綾竹あんどれ

  • 丑満に家の鳴きたる寒さ哉綾竹ろびん

  • 体育館寒さ蹴り上ぐ空手の子あややD.C

  • 海寒し引く波音を被る貝蛙里

  • 座りこむ床寒し買いだめられし遺品ありいかな

  • 灯の寒しラーメン店の列続く有本としを

  • 赤紙を赤色とす寒き時代在在空空

  • 老犬啼くや真夜中の声寒し淡湖千優

  • 水底に空を吸い込む寒さかなアンサトウ

  • 灯台の鳶笛尖る寒さかな安春

  • 誰も来ぬ後ろは寒し赤城山杏っ子

  • 電気なし水なし家なし能登寒し飯沼比呂倫

  • 星見上ぐ渡り廊下の寒さかな生野薫

  • 負け越しのざんばら寒き総武線池之端モルト

  • まっすぐに坐れば寒し一草庵イサク

  • 外寒かつたよと亡き祖父の額撫づ石井一草

  • 客人の鼻の頭にある寒さ石垣ようせい@いつき組

  • 晩景寒し野良犬の遠吠え石川巴里

  • 背寒し呼び出しかかる通夜席石塚碧葉

  • 墨の香の清らに書屋の寒さかな石塚彩楓

  • 明けの鐘胸の奥刺す寒気かな石村香代子

  • 献本まで売尽してやいや寒き和泉攷

  • 結び目に指の通らぬ寒さかな磯野昭仁

  • 反故にせし燐寸二本の寒さかな石上あまね

  • 火男の火男となる寒さかないその松茸

  • 食卓に空席五つなり寒し板柿せっか

  • ささくれは鬼の名残の寒さかないたまき芯

  • 終わりなき寒さとなりし母忌日一井かおり

  • 月寒しどちらも嘘はついてない市川卯月

  • 生家片す音蛍光灯寒し市川りす

  • 切れかけたネオンの寒きホテル街無花果邪無

  • お燈明揺らぐ焔の寒夜かないつかある日

  • 舌下錠甘さ残して部屋寒し樹魔瑠

  • 医師の示す画像の灰色寒し一久恵

  • 倒木の痩せゆくを見る兄が寒い一斤染乃

  • 地下茶房しじま埋めたる我寒し一愼

  • 病棟に誰か爪切る音寒し伊藤亜美子

  • 飛ぶ鳥の悲鳴めきたる寒さかな伊藤恵美

  • 風寒し鉄の扉をすり抜けて伊藤順女

  • 寒さとは失踪届けの黒き枠伊藤柚良

  • 部下からの面談予約雨寒し伊藤小熊猫

  • 猫の腹つまむ寒夜の人心地糸川ラッコ

  • 番号で呼ばれ内診台寒し井中ひよこ号

  • 埴輪より吐き出さるるや寒き塊伊奈川富真乃

  • 寒冷や鶏小屋の長梯子いなほせどり

  • 電灯の九日切れたまま寒し居並小

  • 地産地消大書の寒き道の駅犬山裕之

  • グレゴオル・ザムザの部屋の窓寒し井上鈴野

  • 婦人科の待合寒し窓眩し井上れんげ

  • 部屋部屋の隅に寒さの溜まりけり井納蒼求

  • 能登寒し干さるる魚は艶めけり猪子石ニンニン

  • 熱帯魚じっと見ている寒さかな今林快波

  • 頬寒し悲しきときも笑う癖妹のりこ

  • 神域は撮影禁止なほ寒し伊予吟会宵嵐

  • 千体のくるぶし寒し観音像いわさちかこ

  • コーギーに躓きこける膝寒しイワンモ

  • 母泣かせラーメンすする夜寒しういろ丑

  • 注意報ごときと思ふ寒さかな植木彩由

  • 馬と来て水辺の朝の星寒しうえともこ

  • 休校の戸車寒し鉄の門上野徹

  • 指半分ずれてる指圧寒夜かな上野眞理

  • 寒き夜や拡大で見る求人誌上原淳子

  • すり傷にきれいな縞目寒き夕うからうから

  • 女を振り払わんとする文さむし宇佐美好子

  • 白濁の寒さ光さす眼球うた歌妙

  • 参観日和気あいあいの包囲寒し宇田の月兎

  • 日本橋寒しハイヒールは無敵内田こと

  • 寒夜かな壊れた壺の中の水空木眠兎

  • 中継の記者の滑舌悪し寒しうつぎゆこ

  • 家囲む鉢の造花の色寒し靫草子

  • 国際線管制塔の空寒し卯之町空

  • 楔打つ発掘現場寒き空海月のあさ

  • 寒夜未だ明けず奥歯のきりきりと海野青

  • 大幣の寒き頭上をひだりみぎうみのすな

  • 漫画描き止む夕暮れの寒き寮梅野めい

  • 寒き夜の轢かれ続けるレジ袋浦野紗知

  • 気がつけば老人になつてゐる寒さ浦野紗知

  • 夜の明けて一望できる寒さかな吽田のう

  • アルビノカラス二人でいても寒し江川月丸

  • ペン持てんくらい寒かったんだもん江口朔太郎

  • 太陽はこんなにつよいのに寒い蝦夷野ごうがしゃ

  • ハモニカのドレミファソラシ寒夜かな越冬こあら@QLD句会

  • 失恋の果てはすーすーして寒し海老原順子

  • 九割が白人の街寒夜かな朶美子

  • 耳たぶより痛さ広がる寒さかな遠藤千草

  • 峰々に陽の刃突き刺されり寒し旺上林加

  • 掬う手に湖国の寒さしんしんと近江菫花

  • 朝市や釣りの紙幣の顔寒しおおい芙南

  • 燭台を探し倦ねる寒さかな大越マーガレット

  • 用済みの電池は寒し吾も寒し大塚恵美子

  • 引き波は寒さを混ぜて戻りけり大和田美信

  • 寒き朝吸ふ息針となりにけり岡井稀音

  • 背に聞く繰りごと寒き家仕舞ひおかげでさんぽ

  • あるじなき部屋片付けてゐる寒さ可笑式

  • 窓少し開くメンソルの呼気寒し男鹿中熊兎

  • 夕寒し郵便受けに鍵ひとつ小川さゆみ

  • 寒暁や煮干加工の白き湯気小川天鵲

  • ウォーホルのモンロー寒し貴賓室小川野棕櫚

  • 壽の墨文字寒し仮位牌小川都

  • 貝殻寒しこの海に母還すおきいふ

  • 秒針の音なく動く寒さかなオキザリス

  • パンクした自転車見下ろして寒し沖らくだ@QLD句会59女性

  • 職安はジャコメッティの寒さかな荻原湧

  • 街道のうどん自販機真夜寒し小倉あんこ

  • 夫の頬ぬんめり寒し死化粧おだむべ

  • 万色を吸ひてピアノの艶寒し落句言

  • 雨寒し黒の瓦礫の蒸気霧おでめ

  • レトルトの空き箱積んでゐて寒し音羽凜

  • 「ただいま」の萎みゆく部屋ただ寒しおんちゃん。

  • 頸椎の痛みのひかぬ寒気かな海音寺ジョー

  • 墓仕舞い均した土の寒さかなかいぐりかいぐり

  • 金属の残り香寒し革財布械冬弱虫

  • 糠床の甕でんとする土間寒し風花まゆみ

  • 寒からずいいきる母の背寒し風早杏

  • 不真面目になれぬプリーツ門寒し加座みつほ

  • 笑っても食べても寒しワンルームかしくらゆう

  • 研場寒し指に刃物の吸ひ付きて樫の木

  • 連綿の故宮よ寒き総督府華胥醒子

  • 穴や寒し巻き爪のあったところ風薫子

  • 寒暁や高倉健のいたホーム花鳥風猫

  • 五人目が使うバスマットや寒しかつたろー。

  • 星空のことばとどむる寒さかな桂もふもふ

  • 名を呼べどただ波の音寒かろうひだまりえりか

  • 人形の胡粉も寒し奥座敷桂葉子

  • 止まり木に鶏並び寝る寒さかな金子泰山

  • また証明写真を撮りに行く寒さかねつき走流

  • 無人駅寒さの他に連れは無し神島六男

  • エスカレータ右がら空きの寒さかな神谷たくみ

  • 早暁の横顔寒し仮眠室紙谷杳子

  • 何もない枯野でもない寒さかな亀田荒太

  • 青空に伸びる給水塔寒し亀山逸子

  • 肩寒しふとんの端が懐かない亀山酔田

  • 通帳の磁気擦り切れていて寒し花紋

  • 誤入力三回続く寒さかな加裕子

  • 「寒いね」の後「寒いね」のなき寒さ加良太知

  • 古民家の硝子の寒き歪かな刈屋まさを

  • 舌の根の寒し浮かれた夢の跡枯木佳秋

  • 寒き朝融通利かぬマーガリン河上摩子

  • 人形の瞳動かぬ寒さかな川越羽流

  • 鼻先の一点のみの寒さかな翡翠工房

  • 国道を右往左往の缶寒し邯鄲

  • 加湿器のフィルタ―洗う寒夜かな看板のピン

  • トランジットの硝子扉の影寒し閑酉

  • 瞬きのたび新しき寒さかな喜祝音

  • 瓦礫とは呼べぬ寒さよなゐの跡季々諧々

  • すんすんと寒し眉がしらのしこり岸来夢

  • 通学路寒いと言った奴の負け季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 散髪の額へ寒さのきよらかな北里有李

  • 灯も水も寒さへ融けてゆく運河北野きのこ

  • 平常を白磁のカレー皿寒し北藤詩旦

  • 寒冷のみづや脈動のスパウト北村崇雄

  • 生きて遺産これっぽっち寒し貴田雄介

  • 盛り塩の少し凹みて寒き朝きなこもち

  • 岩風呂の固形石鹸空寒し城内幸江

  • 銃創の空寒し鳥羽ばたけりきのえのき

  • 夜は寒し新幹線緊急停車木下桃白

  • 朝刊の一束固き寒さかなきべし

  • 月曜の文具はしんとして寒し木ぼこやしき

  • 寒暁や笊に一つの赤玉子木村隆夫

  • 声援の余韻の寒きスタジアム木村となえーる

  • 老木は寒し被災の丘に居て木村弩凡

  • 寒暁やががんががんとシュレッダーQ&A

  • 路地裏に路地裏ありて又寒しQさん

  • 輪島塗の深紅粟立つ寒さかな杏乃みずな

  • お早うの寒し小さきエレベーター清瀬朱磨

  • いつまでも月にピントの合う寒さギル

  • 駅ピアノ寒さの響くがらんどう菫久

  • カタカナは寒しカ行とタ行など久我恒子

  • 建長寺鐘ごんと来る寒さかな鯨之

  • 槍岳の星振寒し聳り立つ楠田草堂

  • 深爪をなほ抉りくる寒さかなくずもち鹿之助

  • 炊き出しの行列体育館寒しくつのした子

  • 海鳴りの寒し余震のやまぬ夜久保田凡

  • 日晒しの牛のまなこに寒き海熊谷温古

  • 金継ぎの網目の杯や寒き夜九萬太郎

  • 寒し寒し死より明日が恐ろしい熊の谷のまさる@いつき組俳句迷子の会

  • 寒き夜や何にも触れぬ土踏まず蜘蛛野澄香

  • 寒くって妄想の恋してみたり倉岡富士子

  • 人形の頭蓋からから鳴り寒し倉木はじめ

  • 灯の寒しもう拭ふものなき部屋に眩む凡

  • ラーメンの容器の底の白寒し栗田すずさん

  • 今逝きし父の手のひらから寒し空流峰山

  • 掌の中に薬シートの角寒し久留里61

  • 車中にて臨終を知る寒さかな紅さやか

  • ころころと人間の死ぬ寒さかな愚老

  • サイレンの澱みて寒しなゐの夜恵勇

  • 抗うつ剤効かない寒い寒い寒いけーい〇

  • 浜鳥の鳴く声寒き海の色家古谷硯翠

  • 東京は寒しまたぞろ質流れげばげば

  • 我のほか誰も並ばぬ寒さかな健央介

  • 胃カメラへ手首をまわる鍵寒し謙久

  • 天皇のつけし地名の巨碑寒し剣橋こじ

  • きうきうと啼きて停車の駅寒し小池令香

  • 裏口は寒し合鍵空回り恋瀬川三緒

  • 肺満たす寒気をトランペットの音剛海

  • 加賀屋より海を見てゐる寒さかな幸田梓弓

  • 老人の迷子報じる声寒し宏楽

  • 筆寒し書きたきことは胸のうちごーくん

  • 大地震の月半分の寒さかな郡山の白圭

  • 鳩の訃として空ろなる羽根寒し古賀

  • 棚田日暮れて玄海の風寒し古烏さや

  • 老犬の濁る眼球底寒しこきん

  • 水道管の壁走りたる寒さかな小笹いのり

  • ボランティアの竹林作業谷戸寒し小嶋芦舟

  • 形なき心ほろほろ頬寒し小園夢子

  • 奥に人ゐるらし通り土間寒し木染湧水

  • 荒磯波光砕ける寒さかな来冬邦子

  • ドローン越しの寒暁静謐なる塹壕粉山

  • 玄海の雲垂れこむる寒さかなこのみ杏仁

  • つまらない言い合い寒き骨拾う虎八花乙

  • 電柱から電柱までは寒さしか小林脱太郎

  • 瀕死の父繋ぐモニターの音寒し小林のりこ

  • 一人より二人つきりの寒さかなこひつじ@QLD句会

  • 寒暁の電車少女の抱く和弓駒村タクト

  • 独り身の影も独りや肌寒し小湊八雲

  • 過去帳に童子と童女ゐて寒しGONZA

  • 近くまできて寒しと呟ける今藤明

  • 実験施設コンクリ色の猿寒しこんのゆうき

  • 書類山積み生徒会室寒しコンフィ

  • 海へ向く砲台跡や風寒しさいたま水夢

  • どこからも灯台見ゆる寒さかな彩汀

  • 幾千年隆起を続け海寒しさいとうすすむ

  • 傷む地へ押し寄せて来る寒気嗚呼齋藤桃杏

  • 寒さに喰われ月は少し欠けているさおきち

  • 伝えるは電柱番号寒し寒しさ乙女龍チヨ

  • 本堂の木魚のかほもまた寒し酒井春棋

  • 天をつく尖塔ミサの夜の寒しさかえ八八六

  • 暮れ泥む汽笛の寒き津軽かな坂口いちお

  • 寒き夜や長さの足りぬ栞紐坂野ひでこ

  • 乱反射寒しガラス戸ひびにひび坂まきか

  • 警察署寒し遺失物届受理坂本雪桃

  • 図工室寒しがしがし鳴る馬楝さくさく作物

  • ゆっくりと看板下ろす日の寒し咲まこ

  • 色の無い庭先に猫の糞寒し櫻井弘子

  • まだ売れぬ犬と目のあふ寒さかな桜鯛みわ

  • 寒きかな病巣の矢印画面青桜月あい

  • 寒夜つてみんなでいてもひとりぼちさくら悠日

  • 川の字の右肩寒し六畳間雑魚寝

  • 言い募るほどにこぶしの寒さかな笹靖子

  • 寒夜しずか覚えたての手話頻りさち今宵

  • 独り身の家計簿付くる寒さかな佐藤恒治

  • 寒き夜の喪主と遺影と三輪車佐藤茂之

  • 胴切りの街路樹寒し4号線佐藤儒艮

  • ファイル抜く書架の隙間の闇寒しさとう昌石

  • 真つ白な柔道着に畳寒し佐藤浩章

  • 起き抜けに寒しと独り言寒し佐藤佳子

  • 弔問の列真直ぐなる寒さかな佐藤レアレア

  • 街灯の点滅寒し老いた町里こごみ

  • 車椅子の祖母の手に寒いと子はさとマル

  • おとがいを打つや拳の音寒し錆田水遊

  • 引きこもる記憶青空が寒い彷徨ういろは

  • 黒鍵の白に混じらぬ寒さかなさむしん

  • 胸寒し寒色ばかりなる箪笥紗藍愛

  • 矢印のかたちに鳩の飛ぶ寒ささるぼぼ@チーム天地夢遥

  • さぶいさぶいさぶい唱ふる口寒し沢井如伽

  • 寒い寒いって言うから炎揺れるのよ澤田紫

  • 流産の子の産着ある寒さかな澤田郁子

  • 知らぬ街の寒しアオのコンビニばかし沢拓庵@いつき組カーリング部

  • 喪の明けてソファの凹みのなほ寒し三月兎

  • 図書館の棚の迷路に入り寒し三休

  • 怒りもて向かふ寒さの途方なく山月

  • 母の膝抱きて寒し星の駅三尺玉子

  • 児の歌ふ寒き瓦礫の街の中三水低オサム

  • 記念樹の枯れてなほ在る寒さかな塩沢桂子

  • 寺寒し柱の角の極まれり歯科衛生子

  • 足元寒し夕暮れを進路相談志きの香凛

  • からんころかんから寒し行き止まりじつみのかた

  • 湖の釣りびと無口なお寒し実本礼

  • 蒼き子を抱く母に降る星寒し篠原雨子

  • 犬の名で吾を呼ぶ夫よ外寒し篠雪

  • ドミノ倒しのような訃報や寒し柴桜子

  • 地底湖をひとり寒くはないか龍渋谷晶

  • 天窓は星の遊び場そら寒し島田あんず

  • 手術同意書寒きサインかすれて清水祥月

  • 人が泣くやうに擦れて椅子寒し清水縞午

  • 星屑を踏むごと寒き帰り道霜月詩扇

  • ぼろぼろのテディベア雨の音寒し芍薬@独逸

  • 鉄塔を降りきらぬ日の影寒し洒洒落落

  • 脚寒し文幾重にも伝書鳩じゃすみん

  • 美容院出て新たなる寒さかな沙那夏

  • 友と居て友に話せぬ寒さかな洒落神戸

  • 抜かぬまま術後の糸は背に寒し柊二

  • 青空に鳶啼く声の寒さかな柊瞳子

  • 寒しさむし喪列は夜の芯となる樹海ソース

  • 馬鹿寒し街が綺麗になりすぎて種種番外

  • LED寒し早番のバス停寿松

  • 沈殿する寒さ澱となる涙シュリ

  • 寒暁や生きる力をへそに込め順之介@QLD句会

  • 敦賀行ぞぞぞ乗り込む寒さかなじょいふるとしちゃん

  • 海さびし魚にまぶた無き寒さ常幸龍BCAD

  • 煌々と白灯の帰路かげ寒ししろくも

  • 舌打をする癖寒き会議室白猫のあくび

  • 仮位牌抱へて愚痴る寒さかな白プロキオン

  • 旭川寒し14歳の玻璃白よだか

  • 滑り台撤去の空所風寒しジン・ケンジ

  • ふるさとに太宰と圭子雲寒し新城典午

  • 月寒しため息の雲かけちゃったしんなが新月

  • 軍鶏の声朝日に裂くる寒さかなすがりとおる

  • 潮風の干物に刺さる寒さかな杉田梅香

  • 御幌のふるふ暁空なお寒し涼風亜湖

  • 保護者控室無言の寒さかな鈴木秋紫

  • 松の葉に寒さ切込む鋏の音鈴木由紀子

  • 朝を這ふビニル袋や街寒し鈴白菜実

  • 沈みこむ畳や何もかも寒し主藤充子

  • 明日にまた用を持ち込む寒さかな砂山恵子

  • 寒き野へ曳かれてひとつ引退馬すりいぴい

  • 「半額」の弁当軽し風寒し静江

  • 鏡中の歯磨きの吾ただ寒し晴好雨独

  • 言ったとか言わないだとか寒夜かな瀬央ありさ

  • 祖母の部屋眼鏡溢れている寒さ世良日守

  • 受験票今日が寒さの底のはず千@いつき組広ブロ俳句部

  • 陽だまりや寒きドイツの文を読むそうま純香

  • 夜寒し人の形の某か曽我真理子

  • 水蒸気枯れて怠惰な部屋寒し外鴨南菊

  • 川風のひゅるると寒し首ねっこそぼろ

  • 夜に聴く口笛寒し影寒しそまり

  • 街並みの輪郭燻む寒さかな染井つぐみ

  • 靴紐のゆるみの寒しるのあたり染野まさこ

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  • 藁を焼く匂ひの中の鷺寒し内藤清瑤

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  • 引継ぎの鍵を掛くれば夜寒し西尾照常

  • また五分時計の狂う寒き部屋三水低オサム

  • ポケットになにかの紙のある寒さ二重格子

  • 速報にペンだこ擦る寒き夜日吉とみ菜

  • 老健の母に見送らるる寒さ藤白真語

  • ただ寒し暮らしの名残り掻き集むまやみこ恭

佳作
  • おでこつけあきれたきみやさむし寒し青空豆千代

  • 母逝きて青空寒し道つづく大竹八重子

  • 上書きのされる悲劇や明日寒し赤尾実果

  • ゴールまへ馬券舞ひ散る寒さかな秋山らいさく

  • 寒い時はトランポリンでジャンプして雲の中入るアニマルヘム猫

  • 革ジャンの首もと寒き二十歳かな阿部八富利

  • ダイアモンド見厭きた富良野は寒し石の上にもケロリン

  • 病廊の数で人呼ぶ声寒し泉晶子

  • 記念日に背中合わせの夜寒し一歩千金

  • いやだから寒しと言うな季節だろ伊藤テト

  • 山遠く白に慰む寒さかないとへん製作所

  • 観音寺寒し住職の笑顔伊代ちゃんの娘2

  • 子を乗せて急坂下る寒さかなS・葉子

  • トイレ介助廊下寒し午前四時榎本奈

  • チェロの音すこし外るる寒さかなえりべり

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  • [閉店]の紙貼らるゝや街寒し大谷如水

  • 皆様に寄り添ふ政治聲寒し岡崎佐紅

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  • 声寒し軍歌混じれる童歌加田紗智

  • 水晶の耀う光ふと寒し桂子涼子

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  • どすこいと風と戯ぶる寒さかな川村昌子

  • AIの読み上げニュース寒き声神無月みと

  • 宅配の不在伝票寒き夜喜多丘一路

  • ブラームス脳裏に響く寒さかな北野都留

  • 参道の剥製見上ぐ雲寒し木元紫瑛

  • 唇の記憶は寒し紅を刷くケンG

  • 遠山のへの字の尖る寒さかなこま爺

  • モスキート音のつらぬく寒さかなさざなみ葉

  • 口喧嘩言ってしまった口寒しさざんか

  • 寒き朝諏訪の湖には恋路とやさぶり

  • あな寒し真白き神の那岐の山塩の司厨長

  • アシ寒しハセダにされてしもたんよじきばのミヨシ

  • 独り身の枕の凹みとは寒し四條たんし

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  • フイルムの焚き火寒しや路地裏の白井佐登志

  • 神社うら寒さ払いし千素振り四郎高綱

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  • 逃げても逃げても追ひかけてくる寒苦紫小寿々

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  • 警報の鳴り止まぬ日の寒さかなモコ

  • 傘をさす瓦礫の上に「寒かろ」と望月とおん

  • そばおきしおつとのおほねの寒しや本山喜喜

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  • バセドウ病癒えたよこんなにも寒いもりさわ

  • 賑わいを隔て寒々しき厨杜乃しずか

  • 居間寒し張り合ひのなき虫退治野州てんまり

  • 朝鏡梳く白髪の寒さかな安田伝助

  • 台所寒しと云へばなお旨し安元進太郎

  • 地神水神巡る池の端寒し山川たゆ

  • 海寒し釣針裾に絡みたり山口笑骨

  • 星滲む月なき空の寒さかな大和杜

  • ありがとうごめんの言えぬ家寒しユ綺

  • おかへりもいつてらつしやいも無し寒しらん丸

  • 迂回路は大回りなり寒き朝ゆすらご

  • 約束を違えた朝の寒さかな吉田蝸牛

  • 閨寒し初産の知らせはふたご六星菴

  • 病み上がり覗く鏡の寒さかな麗詩

  • 斧ぐんと一つの株となる寒さ烈稚詠

  • 死ぬための帰り支度や寒き夜朗子

  • 救急の過ぎ行く音の寒さかな渡邉花

  • 映像の暗闇に入る寒夜かなEarlyBird

  • 懐や徒然なれば宮寒し会田美嗣

  • 利他と利己おもてと裏の寒さかな藍野絣

  • 結界はタイムマシンぞ寒き月葵そら

  • 嘘ついて頬のこわばる寒さかなあおのめ

  • 夢破れしけた面して街寒し青星ふみる

  • やはらかに光放ちて星寒しあお山まみ子

  • 尿意とて寒さ勝りて寝るばかり赤尾双葉

  • 寒き日の口数四つ「どさ湯さ」acari

  • 未明の着信寒しフェイクメールあかり

  • 那覇寒し泡盛湯割りで乾杯しあがりえ

  • 寒い朝足音響く裁判所秋月あさひ

  • 寒き朝座る人なし駅ベンチ空き家ままごと

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  • 缶コーヒー握る手寒ししぶんぎ座はるるん1号

  • 寒暁や経を三巻読み上ぐる半ズボンおじいさん

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  • 寝汗拭く吾子は寒しと一震えパンドラみかん

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  • 滞納金払い愚息の寒さかな万里の森

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  • 裏切りを知る夜無情の雨寒しひーちゃんw

  • 赤き裾ひるがへす寒き日に綺麗東田一鮎

  • 海沿いを去り行く列車の音寒し東の山

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  • 激震の大地のさける能登寒し日置好美

  • 友送る通夜の読経やなほ寒しひぐちいちおう(一応)

  • 解錠し廊下の緑目に寒し火車キッチンカー

  • ペアお箸失ひし日の寒さかなひすい風香

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  • 羽寒し翔ぶ鳥の背に白き山ひと粒の種

  • 言の出ぬ能登の地震の寒寒し

  • 右隣手繰りてもなお空寒し向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • 変わりゆき人の心と笑み寒しひまわりと碧い月

  • 夫逝きし部屋の広さよ寒夜雨平井千恵子

  • ヘルペスのちくりと痛む寒夜かな平井由里子

  • 避難所や余震感じる床寒し平岡花泉

  • 耳すます夜廻り寒し機械室平野純平

  • 駄菓子屋の嬌声子等は寒き風平松一

  • 残月と共に帰宅す風寒し平山仄海

  • 十六の夜行寒し能登の海昼寝

  • 窓枠にうずくまる猫声寒し弘井夢士

  • あめのした寒しと思ふ今宵かな廣田惣太郎

  • 寒い朝ザッピングしてテレビ消す弘友於泥

  • 日溜りに猫奪はれて膝寒し広野光

  • ひとりで待つ朝体育館寒しひろ夢

  • 寒暁や邯鄲の夢覚ます声琵琶京子

  • ウ冠はねが掠れる寒さかなフージー

  • 一合の酒が助くる寒夜なりFUFU

  • とげ刺さる心の穴に風寒し福井桔梗

  • 放課後の面談寒し生徒の眼福川敏機

  • ごうごうと鳴る竹林の空寒し福ネコ

  • 肖像の掛かる欄間の間(ま)の寒し河豚ふく子

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  • 眠られず怯えて余震闇寒苦松尾祇敲

  • 富士の山寒し仰ぎて空になり松尾美郷

  • 風渡るホームは寒し終電車松尾老圃

  • 一人よりおそらく寒い無表情松坂コウ

  • 安曇野は西高東低晴れ寒し松沢ふじ

  • 天災も人災も寒い地球ゴマ松高法彦

  • 語らざる遺影の笑みや居間寒し松永好子

  • 半島は今日も寒しと思う朝松本俊彦

  • 暗闇に街灯寒し長き影松本牧子

  • たまご飯孤食の夕の寒さかな瑪麗

  • 故郷の親亡き家やいと寒し真理庵

  • 石切のお百度参り顔寒しまりい@木ノ芽

  • 見るだけで寒しと思うこの写真三浦ゆりこ

  • 寒けれど鼻歌でゆく待ち合わせ澪那本気子

  • 黒雲や富士をかくして風さむしみかりん65号

  • マニキュアの朱(あか)なほ寒し逢はぬ恋みかん成人

  • 竹灯籠明けぬ神戸はまだ寒し神酒猫

  • 日の出待ち宗谷岬の寒さ知る水間澱凡

  • 血流を測りし後の寒さかな三田忠彦

  • おりんの音寒し座布団一周忌美月舞桜

  • 古里の住まいは寒し独り居り光月野うさぎ

  • 雨寒し空腹かかへ検診日みづたま

  • 次々と友の訃報を手に寒しミツの会

  • 半島の海山寒し地震かなミナガワトモヒロ

  • 友逝くや帰路の列車の席寒し湊かずゆき

  • 検査値の「H」と「L」の寒さかなみなみはな

  • 「別れよう」って夜の公園寒し源早苗

  • 下灘のポツンと自撮り指寒しみのり甘子

  • 生きてゐた地殻歩測の誤差寒し三群梛乃

  • 落葉樹寒し隙間の先に富士見屋桜花

  • 朱墨の手本ぢつと見る寒さかな宮川令

  • 戸の前の固まる猫に外寒し都忘れの音

  • まだ寒し結露で曇る朝の窓深山柚仁

  • 独り立ちした子の部屋の寒さかな美山つぐみ

  • つらばかり寒きを覚ゆ露天風呂宮村土々

  • 寒暁や一号半の炊き上がるミラベル

  • 寒き日に二十歳の祝いチーフ折る三輪白米

  • ガーナチョコうまく割れない寒さかなミンコフスキー

  • 鏡窓にふるさとの空寒き朝夢雨似夜

  • 定形の訃報のメール文字寒しムーンさだこ

  • 受診日の雲の切れ間や空寒しむねあかどり

  • 振り向いた君のまつげが白寒し村上きょう

  • 早よ来てとメールの返事待つ寒夜村先ときの介

  • 薪の香や五右衛門風呂の夜寒しむらさきねこぶ

  • なお寒し微笑んでいる写真立て村のあんず

  • 寒暁の海沿い閑か始発バス暝想華

  • 街が消え灯りが寒し能登半島恵のママ

  • 大皿を洗ひて寒しUターン毛利尚人

  • 渡り廊下寒し生徒の声無くて望月朔

  • 熱き人せせら笑うや世も寒し樅山楓

  • 誰もいぬ終着駅の寒さかなmomo

  • 南天の寒き雫と葉音かなももくりかんきち

  • 鏡見て誰と問いたる妻寒し森佳月

  • 風寒しデイサービスを休みます森茂子

  • 両の手で妻頬寒し謝りて森嶋師子草入道

  • サ高住の入居案内文字寒しもりたきみ

  • 寒々とランドルトのわ溶けていく森太郎

  • 腕枕鼻息寒し静寂かな森の水車

  • 干すシャツの揺らめく湯気やいと寒し諸岡萌黄

  • 親友の喪中はがき寒さみつ焼津昌彦庵

  • 雨戸ガタッガッタガガタガタ底寒し八重葉

  • 曇る空ソーラーライト夜は寒し八木実

  • 青き星いくさ続けり寒さ増す矢澤かなえ

  • 高千穂峰日に映ゆる寒さかな簗瀬美嘉

  • 友住みし激震の町風寒し山内泉

  • 子を想う空の巣寒し鳥も吾も山内文野

  • フリースの間隙縫って寒き風山内悠生

  • 救援物資わずか避難所寒し山川腎茶

  • 身過ぎとて老いし子を訪う日は寒し山口愛

  • 見つめる目つめあと寒し心つぐ山崎鈴子

  • 教室は寒し共通テストの日山里うしを

  • 中道の猫の死骸の寒さかなやまな未

  • ふけし夜の呼びあう獣声寒し山育ち

  • すくむ足上擦る速報揺れ寒し山田季聴

  • 声寒し対価無き仕事頑張る山田啓子

  • 風寒し流るる雲の早さかな山田翔子

  • 寒き夜震度伝えるカーラジオ山田はち

  • またですか心身寒し待ちぼうけ山田はつみ

  • 起き抜けの洗面寒し青い空山田文妙

  • 夜泣きの子抱いてぽかぽか夢寒しやまな未

  • ダメですと正論吐けど靴寒し山野花子

  • 夕されば我が家寒し卒寿かな山辺道児

  • 早朝のひとり散歩や肺寒し山本たか祥

  • 寒き列を汝「ケセラセラ」とおにぎりやまもと葉美

  • あな寒し父の口癖ぽろり出るやまやま

  • 鳶色のソファ寒暁のホスピタル有野安津

  • 立ち読みもはたきも何処へ肩寒し雪子

  • 救急のサイレン寒し開かぬ窓柚子こしょう

  • 気配消すされど見つかる寒夜かなユリノイロ

  • どの店もシャッター閉じて街寒し緩木あんず

  • 配牌を眺む眼寒しみかん酒陽花天

  • 南国の人めかしゆく寒さかな陽光樹

  • リタイアの迫る痛みと寒さかな陽介山

  • 「寒いね」と笑って言える日々愛し夜香

  • 待ちぼうけ寒し言い訳の着信横須賀うらが

  • 能登地震虚報溢れてああ寒し横田信一

  • ぷるぷるのちわわ怯ゆる寒さかな横浜J子

  • 紅の橋暫し見つめる寒さかな横山道男

  • 四国寒し能登は如何許りぞやYoshimin空

  • 頭から着陸スリム月寒し与志朗

  • 避難所はただ広し家族は寒し余田酒梨

  • 口開けば寒し寒しの繰り返しよみ、ちとせ

  • 返信の「ハイ」の一言月寒し楽翠

  • 「行ってきます」三音高き寒さかな楽和音

  • 心変わりDNAも変わり寒しリーガル海苔助

  • トランプを習う日寒しプーアル茶流流

  • 担当者の頭の硬き寒さかなルーミイ

  • ドア閉まり寒さ閉じ込め発つ列車連雀

  • 土産話なければ実家の風寒しわかなけん

  • 流星探す選鉱場跡寒し若林かな

  • 集落や巡回バスの寒き屋根和光

  • ひたすらに寒し朗報いまだ来ず海神瑠珂

  • 鼻先で測る目覚めの寒さかなわたなべいびぃ

  • 錆びたガードレール撫でる指寒し綿鍋雪

  • 漁できぬ能登の港の寒さかな渡辺陽子

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
 皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。

※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。


●俳句の正しい表記とは?

  • 大寒に 寒いとコタツで 足伸ばすしげ
  • 仕事から 帰って寒し 俺の家ギザギザ仮面

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●兼題とは

  • この山もあの山も皆雪化粧小松聡太
  • しんしんと揺れながら燃ゆホトケノザ善哉
  • 厚くはる氷の村を踏み進むはるる

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。兼題は、テーマではないので、「寒し」という季語を詠み込む必要があるのです
 次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●「寒」は入っているが「寒し」とはちょっと違う季語

  • 縫合痕ぎゅいと攣れにし寒の夜泉水あやめ
  • 日の落ちる時間はゆるり余寒かな十八番屋さつき
  • 政治家の謝罪の言やうすら寒秀耕
  • 寒鴉昔庄屋の破れくらだるま
  • 春寒し枝の間にまに月白し哲山(山田哲也)
  • 二分で退散寒九の外気浴二十八
  • 新宿より青梅着の歩寒日和小林昇
  • 厳寒の会話個体と化して落ち猫またぎ早弓
  • 寒厳の最終バスの赤ランプ三上栞

●これは季語の「寒し」とは違うのでは

  • 物価高懐寒し民の我草堂Q幸
  • 先生のジョーク寒しと笑う子らTekko

●「朝寒し」

  • 朝寒し讃美歌うたふ手話の指アロイジオ
  • ローソクの火の静かなる朝寒しかつおぶし
  • 傷痕をこじ開けたがる朝寒しDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
  • 決戦の吾子送り出す朝寒し馬笑
  • 単線のポイント軋む朝寒し渡邉わかな
  • 髪上ぐる初実習の朝寒し笠谷タカコ
  • 刃こぼれの包丁を研ぐ朝寒し 百瀬はな
  • 朝寒し徹マン勝ちて珈琲の香 昭谷
  • 朝寒し柑橘系のコロン振り伊澤遥佳
  • 朝寒し黒い天守の佇まいいまにしともき
  • 爺の目に稲の残根朝寒し宇野翔月
  • 朝寒し俎板やけに賑やかに おぼろ月
  • 角の席主(ぬし)亡きカフェの朝寒し風かおる
  • 朝寒し独り寝慣れず又くの字 越乃光
  • 朝寒しとほぢの法事電車乗る砂月みれい
  • 朝寒し古き屋敷に二人ゐて 大ちはる
  • エアコンのリモコン探す朝寒し高原徒然想
  • 朝寒し点滅渋谷スクランブル玉川緑風
  • 大丈夫?孫に言われし朝寒し 浪速の蟹造
  • 富士山と北岳見える朝寒し ぱらん
  • 避難所の朝寒し能登は快晴晴菜ひろ
  • 階段の手すりは頼り朝寒しまつとしきかわ
  • 朝寒し車の下に丸い猫矢澤瞳杏
  • 稽古場の砂はりついて朝寒し 山本美奈友

「朝寒し」は、秋の季語「朝寒」の傍題になっているようです。


●文字化け

  • 寒はりつく揺れて?がれた半島に石垣エリザ
  • 「寒いね」と言う彼と飲むあったか?い来ヶ谷雪
  • 土間寒し赤子の声は♭?ふくろう悠々

 文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。


●季重なり

  • 隙間風にも耐える避難所寒し あねもねワンオ
  • 寒暁や茜空舞う大白鳥太田くにお
  • マラソンの朝見る景色は雪寒し岡眞弓
  • ひよどりの蜜舐める影寒さかな幸内悦夫
  • 白梅や高枝に寒くニ三輪 志村狂愚
  • 転院の担架にかかる雪寒し駄詩
  • 雪凍る白夜を渡る音寒し月の時間
  • 夕焼に避難思ひてなほ寒し戸根由紀
  • 冬寒し母とこっそりほくほくおでん中川せん
  • 寒し日に屋根から下ろせし雪被る野崎文明
  • 寒牡丹日和を言うて寒しかな藤川雅子
  • 元日能登地震津波天寒し星雅綺羅璃
  • 暖冬でもかわいくない値段いと寒しみー
  • 朝刊のバイク朧に闇寒し 雨霧彦@木ノ芽
  • どの鍵も合わぬ鍵穴冬寒し 藤本 仁士
  • ハタハタを片手に寒暁朝市よいちばほうすい
  • まご帰省あそびがなくていと寒しえみくれ
  • ニュース寒し元旦の夕餉揺れる慶子
  • あら寒し梅を見あげる盲導犬 秀道

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「蝉」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●「寒し」? 「寒き」?

「寒し」は形容詞の終止形です。以下の句は、句意から推測して、「寒き」と連体形にすべきではないかと、というものです。「寒し夜」「寒し朝」「寒し風」等

  • 震える手合わせて祈る寒し日よあいあい亭みけこ
  • 君送る晴し空港寒し朝朝日雫
  • 喜びを並べてみても寒し年石原しょう
  • 配達の音に目覚むる寒し朝石本美津
  • なゐふるに土の匂へる寒し夜伊藤節子
  • 寒し夜やをとこをんなに負けつづけ伊藤正規
  • 寒し日の輪切り線切り天日干し稲葉こいち
  • 遠来の友の言葉の寒し日よ今井みどり
  • 寒し世の老いの温もり夫婦椀大野喬
  • 被災地や寒しニュースがひろがりぬ大原妃
  • 寒し指弁当抱え早歩き大原雪
  • 寒し日の優しい笑顔にありがとうお寺なでしこ
  • 神仏どうぞ愛を寒し世に小野ぼけろうじん
  • ただいまと寒し座敷に時戻り小山田之介
  • 詠み人や寒し思考の床につく影夢者
  • 寒し夜や止まらぬ筆の音眠らず蝸牛
  • 寒し夜光合成した猫を吸う亀子てん
  • 耳当てで聞こえぬ振りも寒し故川辺世界遺産の居候
  • 並ぶ旗タイム飛び交う寒し坂岸壁の龍崎爺
  • 寒し窓孫さりてかまくらの跡木の貫雪
  • 野天から障子一枚寒し宿慶唯
  • あかぎれとハム一枚の寒し朝小林共捺哉読
  • 寒し日に野良猫一人倉庫来るコロンのママ
  • 寒し戸で肩の重さと耳の赤サイトウ北名津
  • 寒し朝耳に刃の当たるごと澤田恵子
  • ペダルこぐもも赤色に寒し朝
  • 廃業の二文字よぎる寒し夕縞子勾苑
  • 寒し朝綺麗な景色を絶景とショートケーキ
  • 寒し夜のライトアップで距離ちぢむすずしず
  • 寒し身を縮めて耐える寝床かな鈴音まな
  • 寒し日の本棚に射す薄陽かな全美
  • 寒し夜エコバック手に乳児背に高辺知子
  • 寒し夜屋台と見たり工事中たなばたともこ
  • 寒し朝繭の白さの雲生まれ辻野 花
  • 母の通夜添い寝の猫の寒しこと土手かぼちゃん
  • 流れ来る寒し吐息に句点うち中谷中
  • 祈るしか出来ぬ星空寒し夜流れ星
  • 寒し仏間やひび割れゆく落雁夏雨ちや
  • 手ワイパーキュッキュと拭けども寒し朝ねがみともみ
  • 能登に向け星の泪や寒し夜野中泰風
  • 寒し寺凛とした気が満ち渡りひめりんご
  • ため息やただいま叫ぶ寒し部屋福前彩芽
  • 寒し廊下よ三者懇談終へて藤井かすみそう
  • 避難所の足音止まる寒し夜古澤久良
  • 寒し日も歩けた歩数笑み温む鳳凰美蓮
  • 寒し夜まつろわぬようただ彷徨うぽて巻
  • 寒し夜花嫁はただ汽車に乗る堀籠美雪
  • 寒し能登がんばらず耐えて花咲かす村田玉うさぎ
  • 寒し日は祖母のぬくもり思い出す元村幸月
  • 寒し部屋人事異動の駆け引きや柳井るい
  • 髪とかしカウントダウン寒し廉山田 一予
  • 携帯画面震災の寒し地よ山本八
  • なにげなく間おかるる寒し席宥光
  • 寒し朝カラスの群れの騒ぐ声吉岡幸一
  • 寒し夜鍵落つ硬き音空へ吉藤愛里子
  • 寒し夜我正座して墨をする瑠璃あさがおT
  • 死ぬといふ寒し点滴の一滴煉獄佐保子

 文法は分からない、めんどくさい、という人もいるかとは思いますが、俳句において、間違いやすいケースを覚えていくだけでも、ある程度克服できます。
 まずは、「寒し」=終止形(言い切りの形)、「寒き」=連体形(名詞に接続する)、この違いを覚えておきましょう。


●他にも……

  • 寒しけれど心熱く強く歩む道一之木ろみ

「寒し」で切れているのかも? しれませんが……。

  • ビル揺れてじじばば達の寒し時間夢一成

こちらも切れているのか? それとも、「寒き時間」ということが書きたかった?

  • 内視鏡寒い地下道寝てる間に逢花菜子

「地下道」は、人体の喩え? なのでしょうか。

 他にも、句意が読み切れないものや、季語「寒し」ではない使い方などがありました。
 ご自分の句を一度寝かせて(少し時間をおいて)から、再度、客観的に眺めてみましょう。どこに問題があるのか、分析してみることは、正しい俳筋力を付けていくために、とても重要です。


●ルビについて

  • なぜ止まぬ戦も地震(ナイ)も地球(ホシ)寒しあらかわすすむ

「地震」を「ない」と読むことについては、ルビを振る必要はありません。読み手は、音数を考えて「じしん」と読むか、「ない」と読むか、考えてくれます。
 ただ「地球」を「ほし」と読ませるようなやり方(例「時代」=「とき」、「女」=「ひと」)は、オススメできません。音数が足りないから「地球」=「ほし」と読ませるのではなく、「地球」=「ちきゅう」という三音分が確保できるように、全体を見直してみる習慣をつけましょう。


●先行句

  • 会いたかろう帰りたかろう寒かろうはのん

気持ちをこのように畳みかけるのも、一つの表現。佳い句だと思います。ただ……
「痒からう寒からう人に会ひたかろう 子規」
このような句がすでにあるものですから、どうしても頂きにくくなります。先行句の有る無しを完璧に調べることは不可能ですから、このような折に、少しずつ覚えていけばよいと思います。

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