夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
7月の審査結果発表
兼題「河童忌」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
河童忌のルビンの壺に貌がない
とかき星
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夏井いつき先生より
「ルビンの壺」とは、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが、認知心理学の見地から考案した多義図形の一つ。特に有名なのが、このルビンの壺で、画面中央にある白地を認識すると白い壺に見え、画面両側の黒地を認識すると二人の人物が向かい合った横顔に見える図形です。通常この二つの絵柄は、同時には見えないのです。
この句の面妖さは、「ルビンの壺」の図形の「貌」がなくなっているという認識。読んだ瞬間、芥川龍之介著『河童』の世界を覗き込んでいるかのような心持ちになりました。白い壺から人物の横顔へ視線を切りかえようとしたのに、肝心の「貌がない」。その呟きは、再び河童の世界へ戻ろうとしたとたんに、精神の均衡が崩れいく、あの小説をたった17音で象徴しているようで、慄然としました。恐ろしくて哀しい作品です。
河童忌の何かを産んだやうな樹洞
倉木はじめ
「樹洞」は「じゅどう」ですが、音数的には「うろ」と読ませたいのかもしれません。ぽっかりと空いた洞は、「何かを産んだ」ような形。皓皓たる月夜に、河童の卵を産み落としたのかもしれない妖しい大木がそそり立ちます。
さざなみの爛るる河童忌の埠頭
アロイジオ
河童忌は七月二十四日。「さざなみの爛るる」という措辞から、赤潮や苦潮を想像しました。猛暑の河童忌の埠頭は、腐った波の臭いが押し寄せています。まるで、爛れた河童のような臭いかもしれないと思うと、ぞぞっとしました。
鼻尖より描き初む河童忌の素描
沢拓庵@いつき組カーリング部
「鼻尖より描き初む」で、一度意味が切れます。それが「河童忌の素描」だと分かったとたん、龍之介自身の顔が思い浮かび、さらに彼がなじみの名妓に贈ったというあの雌の河童の屏風の絵が重なってきました。さらりと巧い一句です。
河童忌のもう割れるもの無き家に
熊の谷のまさる
「河童忌」のこの家には、「もう割れるもの」がないというのです。強い地震で何もかも砕けてしまったのか、はたまた家庭内暴力の類いか。「無き家に」のあとの余白が、小説『河童』に描かれた河童の国が口を開いているかのようでもあります。
河童忌の月が黒くて狂へない
ノセミコ
龍之介が描いた河童の国は、人間の国の常識とは真反対の国。「河童忌の月」が「黒い」のは、河童の国の光景でしょうか、作者の心象風景でしょうか。狂いたくても「狂へない」と思っている時点で、実はすでに狂っているのかもしれません。
河童忌や蹠の火照り持て余しEarlyBird
河童忌や恒星の爆発はしづかharu_sumomo
芥川忌三男は髪毟る癖Q&A
我鬼忌来る月は赤くて傷だらけRUSTY=HISOKA
河童忌や教師の毒舌苔むさずあいのびふう
河童忌や気管の穴に当てる指あいむ李景
河童忌や言葉が出ない日の痛みあおのめ
ハンケチで作る仔兎龍之介忌アクエリアスの水
河童忌や投げた鉞己に当てあさぬま雅王
河童忌や紙コースター湿り反るあまぐり
河童忌の徘徊の足きれいにすあまぶー
河童忌や脳の躓く日射しありあらあらかしこ
奪衣婆のごと番台の笑む我鬼忌いかちゃん
河童忌や夜具をよこたふごみあくたイサク
木登りの手に河童忌の幹匂ふいたまきし
河童忌や父の蔵書の皮匂ういちご一会
河童忌や湖底の底の五百軒いなほせどり
河童忌や五円切手を連ねたりうからうから
河童忌や午前三時の避難指示うめやえのきだけ
河童忌や妊娠線のむず痒しおおい芙南
河童忌の空へ幹折れの新しおかげでさんぽ
河童忌と気づいた夜のむず痒さオカメインコ
河童忌のしたたかに打つ向かふ脛おきいふ
河童忌の猫背の影は思案中おぐら徳
河童忌やガラスペン吸う青洋墨おこそとの
河童忌やひりひり乾く鼻の先おだむべ
河童忌や無縁仏の撥く水おでめ
河童忌や我が臍の緒を燃やし切るおんちゃん。
河童忌の傘眠らせるやうに閉づかねつき走流
河童忌や道に迷って十王堂カバ先生
河童忌のさてもしふねき寝ぐせかなかりかり久助
河童忌や押花褪せる文学書キートスばんじょうし
河童忌や野鳩が低く鳴く夜明けきべし
河童忌や地球は休むに丁度いいギル
河童忌や濡れて瑠璃色なる眠剤ぐ
河童忌の病棟に雨滲みゆくけーい〇
河童忌の粥に消したる煙草かなげばげば
河童忌やいまだ東京鬱のままケンG
河童忌の雨ぷちと割る顎面皰こてぬぐい
河童忌や男の閉づる手風琴このみ杏仁
乾ききる芥川忌の馬糞かなコンフィ
河童忌や仕事中は死にたくならないサイコロピエロ
河童忌やノートに記す風の詩さいたま水夢
河童忌や草にまみれて仰ぐ空さいとうすすむ
屋根からの此岸のきれい河童忌よさおきち
紙飛行機きりもみ河童忌の空よさかえ八八六
送水管横切る河童忌の道路さくさく作物
河童忌の炊事当番米二合さとう昌石
河童忌や漢方薬も丸九年さぶり
肝油二個かみくだく朝我鬼忌かなさむしん
焼けば鬆の立ちて我鬼忌の人の骨さるぼぼ@チーム天地夢遥
河童忌のシャベルに掬う死の像しまのなまえ
河童忌の寂しさ朽ちぬ本読めばじゃすみん
河童忌や空に溺るる耳の内シュリ
樹上より見ゆる明日よ河童忌よじゅんこ
河童忌やへその釦のかけ違ひじょいふるとしちゃん
河童忌や母の言葉の棘・棘・棘ジン・ケンジ
芥川龍之介忌か飯まだかすがりとおる
解剖のかへる河童忌の鼓動すりいぴい
河童忌の天狗の鼻へ細雨かなそまり
さざめきや龍之介忌の中華街たーとるQ
我鬼忌のロザリオ乙女は断髪にだがし菓子
河童忌の雨のぬるぬる降りにけりだっく
河童忌の水清らかに堕ちていくたまのねこ
河童忌やペタペタしたる値札跡ちゃあき
カーテンに守られて河童忌を送るつちや海郷
河童忌や空より水のふる不思議ツナ好
河童忌の牛乳届く虚な日デイジーキャンディー
河童忌の水道管はこぼこぼとでんでん琴女
河童忌やもう聴こえない手風琴どくだみ茶
河童忌の空塗りたてのごと青しなしむらなし
河童忌やニコチン色の父の爪にゃん
肺白くひかる我鬼忌の診察室はぐれ杤餅
河童忌の笑ひの先づは貌割つてはせがわ水素
ぽきぽきと我鬼忌の骨を折る座棺パッキンマン
河童忌や廃病棟に鉄条網はのん
河童忌に落つる延滞督促状ぱぷりかまめ
赤門の古りて我鬼忌の通院日はれまふよう
河童忌や父の残した解熱剤ひでやん
河童忌は雨降り田端文士村ひと粒の種
河童忌や足裏に在る死にぼくろひなた和佳
河童忌や常磐緑のソノシートヒマラヤで平謝り
河童忌の押入れ教科書はざらりヒマラヤ杉
河童忌や寝るとき腕はどこに置くひろ夢
河童忌や覗いた淵に見えた雲ふくじん
天空のどこかが歪む我鬼忌かなふじこ
ぬめるみづこぼるる河童忌のじやぐちふるてい
河童忌を犬に引かれた酔っ払いべびぽん
河童忌やつられて覗く井戸の底ほしのあお
河童忌や朗読劇の立稽古まこ@いつき組広ブロ俳句部
引き直す神籤我鬼忌の弁財天まつたいら西
河童忌のエスカレーター屹立すまめばと
小石投ぐ河童忌の青い空みかん成人
河童忌と教えられたり不精髭みちむらまりな
たましいの暮るる河童忌爆ぜる膿みづちみわ
河童忌やドもレも出ないトイピアノミテイナリコ
河童忌の残り少なき常備薬みらんだぶぅ
河童忌や藍のインキと鉛の活字ミンコフスキー
河童忌の夜や敗戦のカツカレーむらのたんぽぽ
河童忌や赤門前の雨宿りモコ
河童忌や嘘を見過ごす腹づもりもふもふ
ヘッドホンとばされた河童忌の朝モリコリゴリ
賞味期限切れ河童忌の犬の餌もりさわ
河童忌や寒山拾得の破顔もりたきみ
河童忌の海を断り買う下巻モンヌ組宮本モンヌ
河童忌やSP盤のクラシックゆすらご
河童忌や夜を恐れて夜動くリーガル海苔助
河童忌の朝餉の粥を残したりルージュ
河童忌の電話で決める示談金ろまねす子
河童忌や食つて腹減る寮の飯阿部八富利
群青の夜の河童忌の雨しとど愛燦燦
河童忌や文字のたくさん目の乾く茜咲
河童忌や背中清しくうつ伏せ寝渥美こぶこ
河童忌やけふの煙草はざらつきぬ渥美謝蕗牛
河童忌や合せ鏡の肋骨葦屋蛙城
河童忌の戊夜をなにかが擦れ違ふ芦幸
夕闇と同化してゆく海我鬼忌綾波まこと
河童忌や徹夜の朝に買うパンツ安田伝助
本郷の森抜け河童忌の水面杏乃みずな
河童忌の歯車軋む頭痛かな伊藤れいこ
水甕の水騒ぎをる我鬼忌かな伊藤映雪
河童忌の己が影踏む蒼き吾伊藤柚良
時よどむ河童忌の書庫さす夕日伊奈川富真乃
河童忌に離る九つ目の職場伊予吟会宵嵐
河童忌や歯車きしむ時計台遺跡納期
河童忌の東京の空遠い空井原昇
河童忌や水より水の生まれ出で磯野昭仁
河童忌や夫の枕の髪太し一井かおり
河童忌や大きな脳をもて余す一久恵
河童忌や指切をして落ち着かす稲畑とりこ
河童忌の微熱外つ国三か月宇佐美好子
河童忌や排水口を塞ぐ苔宇田の月兎
河童忌や上海のネオンの乱れ宇野翔月
河童忌や刺青のごと背中の砂雨霧彦@木ノ芽
河童忌や古本包むグラシン紙雨李
河童忌や右軸偏位の心電図卯波まり
河童忌のビルは無口に映しあう浦野紗知
愚痴を聞くのは河童忌の電話番永田千春
河童忌の水飲めば鼻の奥が熱い詠頃
河童忌の人孔の蓋鮮やかに越智空子
河童忌や日捲りといふ計測器越冬こあら@QLD句会
河童忌や飛べない箒小屋の隅遠藤一治
河童忌や空ばかり見る犬を飼ひ遠藤千草
河童忌や胆嚢の石ざはざはざは遠峰熊野
河童忌やコオルタアルの臭ふ壁横山雑煮
河童忌にしませう海に流すなら横浜J子
河童忌やいつもの椅子の凹み癖岡井風紋
河童忌や歯車よくも磨き抜く岡崎佐紅
河童忌や貧しくなりて友増えて岡田瑛琳
寂しいと水に書きたる我鬼忌かな岡田雅喜
河童忌やこれは異界の水の匂ひ沖原イヲ
河童忌の檻の向うを象の尻荻原湧
焼岳の我鬼忌の煙やはらかし音羽凜
河童忌の雨はうつ病診断後下丼月光
河童忌や目蓋なめらかなる如来加座みつほ
河童忌や雲無き空へ還す糸加藤水玉
宿明けのタバコ河童忌の呑酸加良太知
河童忌やあぎとに古き傷ひとつ可笑式
河童忌やたまに嗅ぎたき古本屋夏雲ブン太
河童忌や本の淵をのぞきこむ夏空なみ
河童忌の長雨天井板に滲む夏湖乃
太陽を逃れて河童忌の古書肆夏草はむ
河童忌やピエタのやうに眠る祖父夏風かをる
河童忌や水底の嘘掬い上げ河村静葩
河童忌に兄の書棚を見舞うかな花弘
着衣泳習う河童忌のけふに花鳥風猫
河童忌や鮮やか過ぎる造り花花伝
太陽がくつきり河童忌の渇き花南天あん
河童忌や干されて仕舞う風呂の蓋花紋
好物のあまたに倦める我鬼忌かな華胥醒子
河童忌や栞褪せたる端五ミリ蝦夷やなぎ
河童忌や生者の声は掠れがち絵十
河童忌や足袋に付きたる檜皮色外鴨南菊
河童忌や傘がないでは済まされぬ楽花生
河童忌や夜の黒蜜に蟻溺れ樫の木
河童忌や子供に処方せぬ薬釜眞手打ち蕎麦
河童忌のミラーハウスの指紋かな刈屋まさを
竜頭巻くさうか河童忌だつたのか看做しみず
頑張ると言へぬ河童忌空青し緩木あんず
天金の聖書芥川忌の光閑々鶏
河童忌や鼻先濡らす昏き雨岩清水彩香
河童忌の指にハーモニカの震え喜祝音
河童忌や芋づる式に文庫本喜多丘一路
河童忌や東京は坂多き町亀山酔田
河童忌や心臓は蛾となるところ亀田かつおぶし
河童忌の六曜赤口鬼神くる吉田わさび
河童忌や爪うつくしく剥ぐ死病吉野川
河童忌の湿度表かりかり静か久留里61
河童忌やまなうらの碧まだ消えぬ宮井そら
河童忌のロト6を燃やしけり宮坂暢介
河童忌や御堂の奥の虫骸宮村寿摩子
繁殖の手はず整へたる我鬼忌宮武濱女
河童忌やをとこやもめの麦茶漬け宮部里美
河童忌のぼんやり甘き粉薬居並小
河童忌や黄昏時の笑う口橋本こはく
河童忌の膠の匂ひめく古書肆玉家屋
河童忌や産まぬ自由の無き故郷玉木たまね
河童忌が賞味期限や焼ちくわ銀紙
河童忌や薬にも同意書が要る駒野繭
河童忌やオンザロックの水くさき愚老
河童忌や七日病欠の秀才空地ヶ有
河童忌や引きずられたる裳にほつれ空豆魚
河童忌や蹴り込む石は闇の中熊谷温古
河童忌やコンパスの軸足ぶれて郡山の白圭
年輪や河童忌に咲く綺麗な死恵勇
河童忌の酸素吸入管長く桂子
あやかしの船が月曳く我鬼忌かな月石幸
我鬼忌なり濁りきつたる肺切らる剣橋こじ
河童忌のキニーネに夢醒めはじむ犬山裕之
飴色の卒論捨てそびれ我鬼忌謙久
蛇口よりみづ飛び降りる我鬼忌かな元野おぺら
河童忌や小鳥のように幸せと原善枝
河童忌や踏切のある朱雀門原田民久
河童忌やみづに研がるる詩の純度古賀
河童忌の刃渡り二十二の重さ古瀬まさあき
河童忌や洞歯に詰める正露丸虎堂吟雅
河童忌の夜に粘度の高き雨公木正
河童忌や中挽きにするアラビカ種幸田梓弓
河童忌よキトラのまろき金の河鼓広ブロ&新蕎麦@摂田屋酵道
河童忌の下敷きの傷蒼白し広瀬康
魚流れて河童忌の川腥し広木登一
河童忌の未明を潰す文庫本弘友於泥
河童忌や穂高ガレ場に水の跡江口朔太郎
河童忌の吾子の積み木のいびつさよ江川月丸
河童忌や母になる子と憂ふ子と紅三季
河童忌や睡眠薬を溶く胃酸紅紫あやめ
河童忌の草の名に悲話ありにけり高橋なつ
河童忌や反古の溢るる四畳半高橋ままマリン
河童忌や潤ひたるものに瞳高橋寅次
河童忌や靴入る石の痛きこと高瀬小唄
ぬたぬたと河童忌の投票用紙高尾里甫
昏き水噴く河童忌のマンホール黒子
河童忌や羅生門のごとき改札機黒田良@しろい
河童忌や錆しナイフの目刺色坐花酔月
河童忌や電話ボックス干涸らびて彩汀
河童忌や今日は野菜を売り切った細川小春
河童忌の授乳ぬるりと湿りをり菜々乃あや
河童忌や硯箱から祖母の髪坂まきか
河童忌や今宵は古書の客となる坂田雪華
河童忌のひかりゆがみし隅田川桜鯛みわ
河童忌や骨格模型の白き闇笹靖子
螺落つや河童忌の椅子ひどく傾ぐ錆田水遊
油膜浮く母へ降る雨の河童忌三隅涙
河童忌の金星朱く瞬けり三月兎
海のいろ見たき蟄居の河童忌よ三崎扁舟
河童忌の泥水・犬の舌・波紋三尺玉子
河童忌やブルジョワジーの手は汚れず三輪白米
河童忌や手包み冷ます煎じ薬山岡俊之
河童忌の水じはじはと蒸発す山海和紀
河童忌や預けたままのミドリガメ山口たまみ
河童忌はしおしおと引きこもりをり山口絢子
河童忌や海は失う海の色山崎のら
河童忌や手向けせんこのシケモクを山田はち
河童忌の貰い煙草の息太し山田蚯蚓
むず痒き河童忌の鼻つまみけり山内彩月
河童忌や余白埋まらぬ煙草の火山尾政弘
河童忌の食うて判然とせぬ肉山本先生
河童忌やポンポン山の一つ雨山本裕之
河童忌は沼のにほひや閉架書庫山野麓
河童忌やロック画面にインドサイ山羊座の千賀子
河童忌や聖書も闇を消せもせず珊瑚霧
河童忌の水錠剤を流し込む四季春茶子
眠剤にアルファベットや河童忌来志きの香凛
河童忌や尖った芯は折れやすく紙谷杳子
河童忌や焼け跡のきみの本棚紫雲英
うすもの着て鼻あらはるゝ我鬼忌かな紫小寿々
無灯火の銀輪雨の河童忌よ歯科衛生子
河童忌や四辻の闇につまずきぬ七森わらび
龍眼(ろんがん)を剥けば河童忌の透明七瀬ゆきこ
河童忌や飾る書棚は段ボール写俳亭みの
河童忌の風が出口をさがしおり紗羅ささら
吸い殻は龍之介忌の骸なり樹海ソース
河童忌の雨は青に近いらしい樹魔瑠
河童忌や徹夜の青き文学論秋星子
河童忌のからすの会話書きとゞめ秋白ネリネ
河童忌や病歴を問ふ面接官十月小萩
河童忌の埃のうへの羽虫かな渋谷晶
古書店が更地となりて河童忌来春あおい
河童忌や孑孑避けの十円貨春野ぷりん
河童忌や離職届の一身上順之介@QLD句会
河童忌の泡ぱちぱちと蓄音機緒方朋子
河童忌の荷揚げ場雑魚の乾いた眼小川天鵲
緯糸を渡し我鬼忌のやたら縞小川都
河童忌や架空の街の古本屋小殿原あきえ
河童忌や私が人である理由小藤たみよ
ラード溶けゆく河童忌の薄いカツ松井くろ
河童忌や吾を生みたる母に花松井酔呆
河童忌やマッチ擦り終へ空は空松風花純
河童忌や天をついたる花梨の実松本牧子
河童忌のしたたかな雨ページ繰る松本裕子
河童忌の水口深く仄暗い笑笑うさぎ
河童忌や英語辞典の巻煙草笑姫天臼
河童忌や墓標の如く塵の山上原淳子
河童忌の役に立たずの聖書かな上野徹
河童忌の夜は重さうに明けにけり城内幸江
海の絵が濁る我鬼忌のみづ足せば常幸龍BCAD
河童忌や幹はうちがはより朽ちる常磐はぜ
河童忌や透きとほりたる翅のいろ植村弘
河童忌や転べばまずは笑ひたまへ植木彩由
河童忌や行き先メモに文士村新濃健
河童忌を風門のツボ押されけり森海まのわ
河童忌や古書をひらけば父の文字森中ことり
河童忌や新潮文庫の蔓ぶだう森日美香
河童忌や背に長々と影を曳き神長誉夫
河童忌や薬袋破く力無し神島六男
河童忌や月光めけるグラシン紙仁和田永
河童忌や変体仮名は悲しき字諏訪次郎
河童忌や欠けたグラスは雨のいろ水上ルイボス茶
河童忌や凶器となり果てた言葉水蜜桃
河童忌や浜に転がる魚の死骸杉田梅香
河童忌の小銭が沈む手洗場世良日守
河童忌や透き通る果実酒の赤瀬戸ティーダ
病棟の貸し出し漫画読む我鬼忌星月彩也華
河童忌やガチャポンの牛ころげ落つ星野はいかい
河童忌やカナリアの影残る籠星鴉乃雪
河童忌や茶墨で死後の世界描く晴田そわか
河童忌や気に入らぬ石ポンと蹴り正男が四季
河童忌のぞわと湧き立つかいななり清水三雲
河童忌や角度の合はぬウォシュレット清水縞午
河童忌やリハビリ棟はガラス張り清瀬朱磨
河童忌の蛇口捻れば温き水清白真冬
芥川忌真夜を綴れるGペンよ西川由野
河童忌やこの小刀は切れすぎる西村小市
河童忌や極楽ならば欠伸せよ西田月旦
河童忌のイギリス便の読書灯青に桃々@いつき組俳句迷子の会
手のひらの河童忌のみづ飲みほせり青空まる
河童忌や足跡濡れて続きおり青鷹
河童忌に影焼べに来る阿呆ども青田奈央
河童忌やナイフで眼鏡のネジを締め石垣
河童忌の鎖線をはづれゆく鋏石上あまね
河童忌やペンだこのない白い指赤馬福助
河童忌や葉書一枚濡れている赤富士マニア
河童忌や鼻めがね売る露天商千@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や水量ゆたかなる厠千夏乃ありあり
我鬼忌なりバンホーテンの罐は空千歳みち乃
こびりつく耳鳴り河童忌の寝床千代之人
河童忌の斜陽つらぬくペンの尖川内佳代
河童忌や密夫の膝に喫む煙草泉水あやめ
虹色のたゆたふ河童忌の水路染井つぐみ
河童忌や十円はげの出来た猫染野まさこ
河童忌や卓に豪雨の大見出し前田冬水
河童忌や濁った川を二階より惣兵衛
河童忌や酒をあおりて「幸福論」草夕感じ
河童忌やかくれんぼの鬼は弱者蒼月子
河童忌や全天は雲の階段則本久江
河童忌や街は信号機の言ひ成り足立智美
河童忌や老眼鏡の蔓は赤村上の百合女
河童忌や錠剤の包装の虚多々良海月
河童忌や巡回図書の重き轍対馬清波
河童忌や白き瞳のネガフィルム大岩摩利
河童忌やあと五頁の返却日大久保加州
河童忌やジツプロツクの肉を揉む大黒とむとむ
脛ごと拭き上げる河童忌の痒み大山和水
河童忌やほこりの沈むキーボード大津美
河童忌や湯に浸かるわれ歪みけり大嶋宏治
河童忌や使用禁止の水飲み場大和田美信
モンブランに青いインクを足す我鬼忌滝川橋
河童忌や鶴の折り方忘れかけ谷相
丸善や河童忌の夜は黒洞々丹波らる
河童忌の宿酔ごぼりと覚めにけり暖井むゆき
河童忌の夕雨ほそし文士村池田桐人
河童忌や土手の便所のアフォリズム池之端モルト
河童忌の酔いかた毒の薄めかた蜘蛛野澄香
河童忌や午後がずるりと抜け落ちて竹庵
河童忌や俎板汚す魚の腸竹田むべ
シャツ脱がし難し我鬼忌の親水池竹八郎
河童忌の夜を味の無きラーメンと着流きるお
河童忌の暮れ残りたる草の丈中岡秀次
髭を剃る芥川忌の鏡かな中原柊ニ
河童忌や悪い事しか聞かぬ耳中村すじこ
河童忌や笹舟に乗せ言の葉を中村雪之丞
河童忌や食後をつくるための飯中島走吟
河童忌や論語素読を始めよか中嶋京子
河童忌や真っ赤な舌に黄のサプリ中嶋奈緒子
河童忌や塞ぎの虫を飼ひつづけ中里凜
河童忌や僧侶も乗るや八号車仲間英与
河童忌やただ耳鳴りを聞いている昼寝
河童忌の寝床月刊漫画ガロ丁鼻トゥエルブ
河童忌や「Q」使わないキーボード彫刻刀
河童忌のざくざく脳を刺すひかり朝月沙都子
河童忌や眠気は雲の延長線朝倉カグラ
河童忌や青空は果てなくて鬱朝霧さら
河童忌を閼伽桶提げて迷ひけり潮風の台所
河童忌や古玩に足らぬ聖母像町田勢
河童忌の部屋に何しに来たんだろ長谷機械児
河童忌や透析の針刺し生きる長谷島弘安
河童忌の夕日ぐづぐづ留まりぬ津々うらら
河童忌や干涸らびゐるに足止まる辻栄春
角曲がるとき河童忌の臭気来る辻野花
河童忌や青捨てるかに透ける天帝菜
芥川忌印度大陸逆三角帝釈鴫
河童忌や古書の傷みしグラシン紙庭野環石
河童忌やろくろの機嫌荒ぶりて哲庵
河童忌や吾は太陽に殺された天雅
座布団のほつれ河童忌のぶぶ漬け天風月日
河童忌や水琴窟の音いたい天陽ゆう
河童忌やパリで試乗のシトロエン田村利平
河童忌や妻から借りしたばこ銭田中知宏
河童忌や靴の底から滲みる水電柱
河童忌や数へる度に変はる数杜乃しずか
河童忌や死なない程を飲んで生き渡辺香野
歪みたる我鬼忌のペットボトル啼く渡辺桃蓮
河童忌や入船辺りにわか雨渡辺陽子
河童忌の湖の膿んでてあたたかい登りびと
河童忌や電子書籍を指で読む土井あくび
河童忌の湿気つてゐたりマッチ棒冬のおこじょ
河童忌の頭痛の底に黒き穴冬島直
河童忌や烏呼び合ふ集積場冬野とも
河童忌やいつそ卵のままでゐる島田あんず
幾度も幾度も幾度も皿洗う河童忌嶋村らぴ
河童忌の歯痛机上の薬包紙東京堕天使
河童忌や老婆の腕に皮膚余る桃園ユキチ
河童忌や眼鏡の前のわが睫毛湯屋ゆうや
河童忌や読みたい本はみな閉架湯湯婆
河童忌やほおづえついて未来とは藤井かすみそう
河童忌や湯薬透けしオブラート藤原涼
河童忌や炎に炙る針の先藤色葉菜
庭の木を伐りて河童忌迎えけり豚々舎休庵
指切りの指の熱持つ我鬼忌かな内藤羊皐
河童忌や癇癪持ちの妻の兄二十八
河童忌の骨仄暗き美術館二重格子
河童忌の木霊に尾ひれ生えている猫ふぐ
河童忌やライタア翳す走り書き巴里乃嬬
河童忌や擦り切れさうな栞紐播磨陽子
河童忌や知恵の輪一片磨く夜梅原もずく
河童忌の雨は墨汁「羅生門」白庵
傾眠し陰りゆく日の河童忌白井佐登志
河童忌や母と交わせし朝の酒白芙蓉
河童忌や砂漠の如き耳に水迫久鯨
三時から断水河童忌のカラン麦のパパ
河童忌や心は在らず眠る眠る半熟瘡蓋
空つぽの水筒河童忌の微熱板柿せっか
新宿を出れば河童忌喉渇く飯村祐知子
河童忌の偏桃体のきしむをと磐田小
河童忌や人の身体の穴だらけ彼方ひらく
河童忌の月に地球の影七分比々き
河童忌の水カピバラを打つてをり比良田トルコ石
河童忌や病衣へぢかに肋骨樋口滑瓢
河童忌や我の影踏む日暮れ道美山つぐみ
考える人となりけり今日我鬼忌美村羽奏
けふ我鬼忌文机撫づる蔵ざらへ美竹花蘭
河童忌のみづの屈折率昏し百瀬一兎
河童忌や仮に家族を辞めてみる浜けい
河童忌の洞窟声のよく響く富山の露玉
河童忌や都の空に米軍機布施無門
河童忌や河童の糞は酢の匂い武田豹悟
河童忌や古き燐寸を灯したる風慈音
柏手を打つ手ベトつく河童忌よ伏見レッサーレッサー
河童忌や雨と心拍合はぬまま福田みやき
胸押す押す河童忌のAEDはどこ福良ちどり
河童忌の時計はひとつ多く打つ平岡梅
河童忌や立ち眩みする空の青平松一
河童忌の素手に磨ける便器かな平本魚水
河童忌や子宮の海に父の歌平良嘉列乙
河童忌の池は泥鰌が咬むと云ふ碧西里
河童忌の段落としてひとつ啼く片岡六子
河童忌や雲に発する立ち話甫舟
河童忌や咽に甘みの漢方薬豊後のすもも
ぢりぢりと刺さって痛くて河童忌で望月朔
河童忌や己の見れぬ後頭部北欧小町
昼不安夜なお不安河童忌来北川茜月
河童忌や子供ぎらひに子の産まる北村崇雄
河童忌やよく翔べさうな肩甲骨北野きのこ
書けば病むのか病めば書くのか河童忌よ睦月くらげ
河童忌に揺れ睡らざる星座かな本村なつみ
河童忌の小鼻の脂臭いけり妹のりこ
河童忌や禁帯出の白き文字満生あをね
水10ケース河童忌の不在票岬ぷるうと
Gペンのインク蒼々我鬼忌かな夢雨似夜
河童忌よあれは元々漬物石無花果邪無
河童忌のぺろんと藪の青臭さ無弦奏
河童忌の持て余したる象の鼻名前のあるネコ
河童忌やQで始まる河童語は明惟久里
痩せ犬に熱き舌あり河童忌よ木元紫瑛
河童忌や彼奴の思ひ出放牧中木寺仙游
河童忌や散在ガ池は微睡みぬ目黒千代惠
河童忌や蹠で掴む川の底野ばら
あちらの穴から人観てる河童忌野原一草
河童忌や蓋失ひしインク瓶野州てんまり
河童忌や雨の巣鴨で少し呑む有本としを
河童忌の蝿おのづから乗る白紙有野安津
河童忌のあられふやけてゆく茶漬け柚木みゆき
瘡蓋を剥がしまた掻く河童忌や裕優
我鬼忌なり煙草と薬のむ食後羊似妃
河童忌の指に消毒液ぬるし葉村直
河童忌や麻酔醒め天井の白陽光樹
河童忌やアラモアナの夜あをく鳴く翼つばさ
口開ける河童忌の公衆便所螺原トモ
河童忌や怯ゆる犬の目は濁り落句言
河童忌や墓石の水すぐに消ゆ藍野絣
河童忌の絵筆洗へばドブの色里すみか
河童忌やジャングルジムは熱き檻立石神流
河童忌やホチキス留めの藁半紙立川茜
河童忌の口の渇きに蒼きみづ立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や深爪めくる旧字体流流
物捨てて我鬼忌の窓のあからさま林山千港
どの穴を覗かう河童忌の穂高鈴白菜実
少年の幻想河童忌の暮鈴木暮戯
河童忌や電子書籍の反射光鈴木由紀子
河童忌のてるてる坊主から異臭烈稚詠
河童忌や油の染みた駄菓子買い恋瀬川三緒
雲ひとつなくて不穏の空我鬼忌朗子
河童忌や電子タバコの水蒸気浪速の蟹造
河童忌や本の目方で付く値段和泉攷
河童忌の昇降機閉ぢまだ視線亘航希
河童忌や半分に割るレンドルミン朶美子
河童忌の聖書にくたくたの付箋眩む凡
河童忌を知らずに川のごみ拾う眞熊
雨音に黙すカナリヤ我鬼忌かな齋藤桃杏
河童忌や十字縛りの駅ノート簗瀬玲子
河童忌や七曜霞むピルケース翡翠工房
河童忌の肋骨(あばら)しくしく酒呷る芍薬@独逸
河童忌やメールで飛ばす処方箋菫久
河童忌の窓かと思ふ鏡かな髙田祥聖
河童忌や髪を切つたの知つてはる⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や遺影により添ふスナフキンacari
ペン先のやや掠れたる我鬼忌かなDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や夕富士仰ぎ供養とすFUFU
河童忌の嘘をついては伸びる鼻GONZA
河童忌やざわめかぬ不忍池HNKAGA
河童忌や蜘蛛殺してはなりませぬHNKAGAの妻
河童忌や河童の涙甘辛いmomo
河童忌やシャワーヘッドを睨む犬MR.KIKYO
河童忌や背表紙なぞる隙間風naoki
ドレスだと笑われてまう河童忌にQey
河童忌やうち捨てられし手塩皿Qさん
河童忌や庭の草ぐさ濡れそぼつS・葉子
河童忌や猫と師匠の四畳半seki@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や朝採れとれの野菜食むYoshimin空
浮き輪を膨らませただけの河童忌ZENMI
河童忌や薬おし出すPTPシートあ・うん
打ち付ける雨偲ばれる河童忌よあいあい亭みけ子
河童忌や真剣な目はガチャの前あかり
河童忌や草食むエミユー忙しなくあくび指南
河童忌や砂礫瓦礫の水の底あさいふみよ
河童忌の雲に寝ころぶ屋根の上あさのとびら
河童忌やパラパラパラと繰る漫画あじさい卓
芥川忌眠るようにして宵が来るアシツノカラ
河童忌に生まれし息子父親にあすか風涼子
河童忌や自分的には劇画の日あすなろの邦
河童忌や落ちし穴未だ見つからずあたしは斜楽
河童忌の破れしポイはポケットへあたなごっち
鼻緒擦れ河童忌の夜やせ我慢アツシ
河童忌の教授の影の河童めくあなうさぎ
河童忌や隣駅まで来てたのにアニマル可秘跳
河童忌やまだ幸せと思いたしあねもねワンオ
河童忌に出会いし犬の面影よあまどかに
河童忌や押し寄せる闇進めぬ吾アマリリスと夢
河童忌や訳知り顔のウェストン碑あみま
河童忌や研ぎ上げし鎌試し切りあやせゆうま
河童忌や帰ったらはよシャワー行きあらい
河童忌や牛乳いっきのぼせし湯あらかわすすむ
河童忌や彫りあげたりし自己の像ありいかな
雀斑と面皰の跡と河童忌とアンサトウ
河童忌や額の傷を隠す髪いくたドロップ
河童忌やシャッター街の古本屋いしいるぴなす
河童忌や狂うた世なりと風の声いずみ節子
河童忌や人妻好きになりましたいその松茸
河童忌や頬杖ついて図書の窓いつかある日
河童忌や「いのちの電話」知るテレビいなだはまち
河童忌や文学かぶれ未だつづくいまいやすのり
青白きものキリキリと河童忌の今日イマスノリコ
河童忌に勝訴ややっと臍返るいわきりかつじ
河童忌やかさ増す川に岸呑まれいわさちかこ
河童忌やラジオの電池買いに行くイワンモ
河童忌や熱さまシートを鼠径部にうえともこ
河童忌やゴロンと本棚見上げたりうさぎと
河童忌のワゴンに赤札のしるこうた歌妙
河童忌や放課後ふたり書く日誌うちだまみ
断面は楕円と楕円河童忌ようつぎゆこ
河童忌の待合室に軋む椅子うみのすな
河童忌や言いたい奴にゃ言わせとけえりいも
門に立つ虚無僧痩せつぽち我鬼忌えりべり
河童忌やすいみん薬を飲まぬ夜おかえさき
空見ては父にあいたし河童忌はおがたみか
河童忌やサイン色紙に小さきしみおかだ卯月
河童忌の水筒のふたきゅっと鳴くオキザリス
雲もなく果てなく青の我鬼忌かなおひい
河童忌や凛と座したる数式のおぼろ月
河童忌や誹謗する人耐える人かえるゑる
河童忌や茹でてしまった街の声かしくらゆう
河童忌や早死す早百年かじまとしこ
芥川忌鼻のおできが腫れにけりかつたろー。
河童忌やかつてない天災またかかぬまっこ
河童忌や夢の結末まだ見れぬかもめ
河童忌にグラブ返して転校すかりそめのビギン
河童忌よ沼のほとりの忍び声カワムラ一重
部下達の休み求む目河童忌よギックリ輪投げ
池ありて鬼棲むと聞けり河童忌きゅうもん@木の芽
河童忌の頭痛鎮痛剤五錠くぅ
空砲は響かず河童忌のよこへクウシンサイ
河童忌や主治医は笑みの絶えぬ人くずもち鹿之助
河童忌をぼんやり点る煙草の火くま鶉
河童忌や絵本の世界吾子夢中ぐりぐら京子
河童忌やタイムカプセル見つけたりコウ
墨の香を龍之介忌に纏ひたりごーくん
河童忌や頓服二錠雨曇りこきん
河童忌や宿題早くやらんとねココヨシ
河童忌の緑の蓋の調味料こま
河童忌に家族写真を整理するこむぎ
河童忌や畑真ん中一人立つコロンのママ
口輪した熊の玉乗り河童忌よさかたちえこ
河童忌や未読水底へ投句すさくらあきじょ
星屑の河童忌密か詩を模索さくら亜紀女
河童忌の夜小説の千頁さくら悠日
河童忌よ誰とも長く続かないさざなみ葉
世の川を渡りきれずの河童忌やさざんか
河童忌の屑消しゴムへ纏はれりさち今宵
河童忌や落選したという通知さやじゅん
海外の夢干からびて河童忌かさわだ佳芳
よみきかすえいご我鬼忌のジュニア司書さ乙女龍チヨ
河童忌や枯れた栞に旅話じーじじゃないおじいちゃん
河童忌に遠野旅して淵ほとりしかの光爺
河童忌よいなげやけんどピッとおうたじきばのミヨシ
河童忌や青かみどりかペンキ選るじつみのかた
河童忌に綺麗な文字に憧れてショートケーキ
河童忌や雲の来るさき君の町しろくも
河童忌や羅城門にて子とシーソーしん
河童忌や画仙紙広げ墨を磨るせいしゅう
河童忌や夢の河童に誘われてそうま純香
河童忌の夜空火星に水のあとそうり
河童忌の「河童の湯」を抜け里帰りそしじみえこ
河童忌や灰皿は雨雲のいろぞんぬ
河童忌や文豪揃いの時代生きたか&ひろ
河童忌や詩人は髪を長くしてたかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や良い思い出もなくはないたきるか
河童忌やたましひはIDには在らずたけぐち遊子
河童忌やたくさんの亀に餌をやるたけろー
河童忌の雨を押し上ぐ土煙たすく
歯車速く時や過ぐけふ我鬼忌ただ地蔵
河童忌や老婆のごとく薄笑いたなばたともこ
河童忌の朝や小鼻に若白髪タマゴもたっぷりハムサンド
河童忌や掛軸揺るる四畳半たむらせつこ
河童忌や白と黒とを混ぜ合わせダメ夫
河童忌や水子供養へプレーントゥチームニシキゴイ太刀盗人
河童忌や逃げるそぶりの猫かぶりちくりん
河童忌やブックカバーを新調しちょうさん
鱗粉まき散らす河童忌のオノマトペつくも果音
河童忌やシートベルトを後部席つちのこ
河童忌やふり返る窓赤の花つついぐれちゃん
河童忌や会社が身売りするってさツユマメ
河童忌や髄も干上がる放射熱ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
この空き地記憶辿れず河童忌にてつねこ
河童忌や升目はみ出す文字でしたトウ甘藻
河童忌や古本街の雨宿りときめき人
河童忌や都大路の人いきれとき坊
河童忌や詐欺師の抜いた尻子玉どこにでもいる田中
河童忌のひしとかがみて独り言としなり
河童忌や河童の友が欲しかったどてかぼちゃん
河童忌の三者面談待つ廊下となりの天然水
河童忌の夜市異界のごと見えてとなりの天然石
河童忌や水蛭子葦舟に流されとはち李音
河童忌やAIの描く水彩画とよ
洗濯物干して寝転がる河童忌とんぶりっこ
河童忌やにらいかないはきつと在るとんぼ
河童忌の鏡に髪を整えるなかかよ
河童忌よ飛び込み岩に五人の子なか鹿の子
妹の去りし日手酌河童忌にななお
河童忌や貸して返らぬ文庫本にいやのる
河童忌や夜店で飲んだひやし飴にえ茉莉花
河童忌や匂いの消えた草栞ねがみともみ
河童忌や遺品の古書を読み解きぬノアノア
河童忌や行こう行くまい羅生門のの倶楽部
河童忌に往く信号のすべて青はくたい
河童忌や身体丸めて寝逃げするはごろも856
河童忌の文机の傷染むる色はなぶさあきら
河童忌や終業式は雨となりはむこ
河童忌やブルーブラックのペンの跡ぱらん
駐車代惜しむ駅路よ河童忌よパンドラみかん
河童忌のワインボトルの底の澱ピアニシモ
河童忌や活字に生きた最終章ピカール
河童忌やすがる糸来ぬ池の中ひぐちいちおう(一応)
河童忌や妻の予感の深き闇ひすい風香
高齢者避難指示発令河童忌ひだまりえりか
河童忌に親友の癌見つかりしひめりんご
河童忌やインターハイの夢をみるぴょんぴょん侍
河童忌にオセロの石は黒ばかりフージー
河童忌や陽キャのふりがうまくなるふくろう悠々
天井の染みみつけたり河童忌やふじのふ
河童忌や今日の浅漬けほろ苦くぶるーふぉっくす
河童忌やノウハウ本が山積みにふわり子
河童忌や自問自答をリフレインヘッドホン
古井戸に目を這わせては河童忌よほうすい
河童忌や文庫本の匂いほのかぼくのはね
河童忌や高千穂峰の五色雲ほこ
三人の子へ河童忌の牛乳寒ほしの有紀
ラッパ吹きあなたを悼む河童忌よぽて巻
河童忌やパソコンで読む羅生門まつとしきかわ
狛犬が阿吽と頷く河童忌やまほろば菊池
河童忌や恐竜展に付き添ひてまやみこ恭
河童忌に集まり来る鬼天狗まりい@木ノ芽
河童忌の風じんわりと頬を過ぐまるにの子
河童忌や天地をさがす万華鏡まんぷく
河童忌や遺品となりし父の古書みい
河童忌や今や地球は沸騰化ミツの会
河童忌やモノクロビデオの笑ふ貌みつれしづく
河童忌やこんがらがってる知恵の輪ミテイナリコ
龍之介忌どこか似ている若き父みなみはな
河童忌か目を背けたくなるニュースみのり甘子
卒論に選びし彼の我鬼忌かなみやかわけい子
河童忌の威張るチワワも12歳みわ吉
河童忌や宝見出だす古本屋むねあかどり
河童忌や自死ほのめかす父の声めでかや
河童忌のバンドエイドに緑汁モリマサ公
河童忌やスマホにめくる短編集もりやま博士
フルートの泡切れぬ糸と河童忌もろ智行
蓮池の幸福の度合い河童忌やのかよこ
河童忌や人影のない交差点やまさきゆみ
河童忌や卒論やっと五十枚やまだ童子
河童忌や皺無い手巾です今日もやまな未
河童忌やリスキリングで視力落ちゆるランナー
河童忌や帽子の裏に汗にじむよしぎわへい
河童忌やドクターヘリは初体験よしだばあば
河童忌や蔵甕のある古き家よぶこどり
河童忌や淵より聴こゆすすり泣きよみ、ちとせ
河童忌や九十二歳の退院日らりっく
河童忌やクリニックには嵌め殺し窓らん丸
河童忌や背表紙やけに色褪せてリコピン
河童忌や転べども照れ笑はずにルーミイ
河童忌や陽が落ちてなお光る雲わかなけん
寝苦しき夜よ河童忌のあしたわたなべすずしろ
河童忌やヒットチャートを説くラジオわたなべいびぃ
河童忌や一時停止したしないゐのかたゆきを
河童忌に陽と暦の自由研究亜紗舞那
河童忌やまた細くなるふくらはぎ愛柑
河童忌や成らぬ標の道に立つ逢來応來
河童忌の湯をなみなみと家族風呂綾竹あんどれ
赤黒き鼻の出来物我鬼忌かな安春
とぼとぼと倒木の道ゆく我鬼忌案山子@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や折り鶴に化け薬包紙伊ナイトあさか
河童忌や緻密に照らす時の闇伊泉不洋
河童忌や参考書の中の人伊代ちゃんの娘2
河童忌や湯張るたらいで顔拭う伊藤薫
河童忌に縁側でただ水を飲む伊藤トア
河童忌やこむら返りを耐へる夜伊藤なおじい
耳鳴りを愛おしむ夜の我鬼忌かな伊藤亜美子
河童忌の何やら臭ふ古屋敷伊藤恵美
河童忌や雨の恋しききのふけふ伊藤順女
河童忌やフルグライトのリンの碧伊藤正規
河童忌や病身の父痩せて伏す伊藤節子
河童忌や国は現世と交差して伊那寛太
河童忌や見知らぬ国のことば知る伊予素数
河童忌や紅蓮に灼ける日本地図井松慈悦
河童忌や紺碧の海吸い込まれ井上幸子
河童忌や空の栞の文庫本井上鈴野
河童忌やエスプレッソの香の本屋井納蒼求
河童忌や画と句の埋まる記念帖郁松松ちゃん
河童忌や父の死顔瑞々し一秋子
河童忌や青天の下飯を喰ふ一歩千金
河童忌や良く見えすぐる丸眼鏡稲垣良一
河童忌や匂ふ軒下チャリを曳く稲葉雀子
河童忌や沈黙のままウイスキー羽馬愚朗
河童忌や識字に勤む祖母の詩雨乙女
河童忌や馬鹿より阿呆と呼ばれたい雨戸ゆらら
河童忌や生まれて来たく無かったか雨降りお月さん
河童忌や雨降り止まず暴れ川卯之町空
河童忌や虚空にあそぶ子煩悩子供と木登りしてる龍之介のこと?英凡水
河童忌や今も懐かし栗おこわ越後縮緬
来たる子の薄掛洗う河童忌や越乃杏
河童忌に手汗の文庫待ち合わせ榎本奈
河童忌や繰り返し読む羅生門円美々
河童忌や息の出来ないほど熱い縁穐律
河童忌や古本屋の奥青い箱遠藤倫
河童忌や電子書籍に慣れぬ指塩の司厨長
河童忌や白き蓮の花供へむ塩原香子
熱中症アラート続く我鬼忌かな塩沢桂子
河童忌や心地落ち居るものは何奥田早苗
河童忌やお薬手帳二ページ目旺上林加
河童忌の地下鉄人の国に着く横縞
河童忌や自殺サイトのフォロー万横田信一
河童忌やいつしか雨の匂ひして岡山小鞠
河童忌や空淋しげな顔の本岡塚敬芳
河童忌にもっと読みたきあなたの著岡田ぴか
曼荼羅に魅入られし日は河童忌か岡田恵美子
河童忌や河童の国へおいでかと岡田明子
河童忌や今年は孫と水やりを岡本
古稀過ぎて河童忌と知る子の誕生日岡眞弓
河童忌に本手に熱にうなされる牡丹ゆり
河童忌や裁かざる国にも現乙華散
モノクロの役者の眼ギョロリ河童忌音のあ子
河童忌の夏目漱石邸ガイド化骨
河童忌の雨の読書の面皰かな仮名鶫
河童忌や頬杖をつく女ゐて加賀くちこ
河童忌や喉に張り付くオブラート加田紗智
河童忌の午後朗読の声低く加裕子
河童忌や再上映の羅生門夏目坦
河童忌や朗読の癖直さるる火炎幸彦
フェンス沿いにかけ並ぶ小手河童忌よ火車キッチンカー
河童忌や「生きる」と決めたはずの朝花はな
河童忌やガリガリ君の青当たり花見鳥
河童忌や田端の坂に息切れす花咲春
河童忌やネットで古書を二冊買ひ花咲めだ香
河童忌や生きる為に飲む頓服花咲明日香
文豪の集へる舘河童忌や花水木
河童忌の美しき背の坐禅かな花星壱和
河童忌やクレゾールの白衣今日も花豆
河童忌や阿呆相席自笑軒花和音
「かあさんをたのむ」の八文字龍之介忌蝦夷野ごうがしゃ
あの頃のページを開く我鬼忌かな雅蔵
河童忌に酔い潰れては虚ろな目械冬弱虫
河童忌や神保町に急な雨海口竿富
河童忌や今日も澄みたり長良川海神瑠珂
河童忌モルトの淵の丸氷海星葛
河童忌や熱波肺まで襲来す海堂一花
河童忌をとぷんと沈むしろい石海野青
河童忌や影法師との二人連れ海野優
河童忌を夜来の雨に思い出し皆川徳翁
河童忌や昭和の歪む純喫茶絵夢衷子
河童忌や淵余りにも青くして蛙里
河童忌や闇夜に走るサーチライト垣岡凡才
河童忌やアセチレンの灯夜またぐ笠谷タカコ
かの作も棚で鎮座す我鬼忌とて梶浦正子
河童忌と隣家のテレビ伝えけり葛飾シトロン
河童忌やカフェのコンセントは生命線叶田屋
河童忌や得体の知れず好奇心のみ樺久美
河童忌や眠り薬に酒を飲む柑たちばな
河童忌やチャプチャプ池の銃撃戦看板のピン
河童忌に月より還る飛行士あり間岳夫
河童忌や風呂の煙が目にしみる丸山隆子
河童忌や赤線引いた15の夜岸壁の龍崎爺
ギブスさらば右橈骨よ河童忌よ岸本元世
河童忌やなだらかながら坂の墓所岸来夢
河童忌の古書店巡りひもすがら岩田勇
河童忌や森の奥処でたたら踏む岩木順
蕁麻疹に薬飲み込む河童忌喜多柚月
生きている限りのにきび我鬼忌来る器官
河童忌やポスト・トゥルース跋扈せり季々諧々
河童忌や買うかお薬カレンダー季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
カパカパとガラケー開閉河童忌貴田雄介
死神は払えと己の河童忌よ輝久
河童忌や民話たどりし九千坊亀井汀風
河童忌や干上がる池のひび割れて亀山逸子
河童忌や友万太郎の追悼句亀田
河童忌や鼻は母似と言はれけり亀田荒太
河童忌やまだ帰らぬと犬の尻吉岡幸一
河童忌や転職の意を消せぬまま吉川拓真
河童忌やハンチバックの意味を問う吉田蝸牛
河童忌や青空駆ける雲の龍吉藤愛里子
体内時計の不確かや河童忌吉武茂る
河童忌よ生きるのは苦しかった丘るみこ
河童忌のたつぷり化学調味料久我恒子
河童忌の座布団に読む文学書久保田凡
河童忌や謎のドローン半透明橋本有太津
河童忌や酸っぱきトマトのみ豊作郷りん
河童忌や病める心の境界線玉井令子
河童忌や相も変わらぬ虚ろの世玉響海月
河童忌や我に中年太りの子玉響雷子
現し身の歯車軋む我鬼忌かな近江菫花
河童忌や早朝の川水碧し金子あや女
河童忌や吾子は仲良く糸電話銀将
河童忌や固定の堰に動く影銀長だぬき
冷たき川底足つかず河童忌銀髪作務衣
河童忌の湯船へわれを沈めをり駒村タクト
河童忌に8ミリの笑み思い出し空き家ままごと
河童忌や貧乏長屋のエロ雑誌空木眠兎
河童忌や外人の乗る人力車空野朔月
河童忌や超えてしまったその一線空流峰山
河童忌や無間地獄の草むしる窪田睡鯨
河童忌や出水の後の泥乾く熊本与志朗
デニム履き僧侶が走る河童忌よ栗子
河童忌や生家に並ぶ電話帳栗田すずさん
朝の池河童忌に咲く花一輪桑田栞
河童忌や酒とグラスと錠剤と恵のママ
河童忌や自転車焼けに化粧水慶唯
志す噺家のゐる我鬼忌かな桂もふもふ
河童忌やかの恋文のひととなり桂子涼子
河童忌や活字むさぼり水鏡桂葉子
河童忌や光りの為か虚無の闇鯨之
ぼんやりと曇天の街を行く我鬼忌月見里ふく
河童忌や父の遺品の丸眼鏡月城龍二
河童忌やブラウザのタブ開きすぎ月待小石
河童忌や薬の箱の裏面読む月夜田しー太
河童忌に逢うこともがな幾重廻世権田童よしこ
河童忌やブックカバーは破れかけ見屋桜花
河童忌や原稿くしやとはふてみる原水仙
トー横キッズ河童忌も愛探し原島ちび助
河童忌や禅智内供の鼻は赤源氏物語
河童忌の父子は「めいろ」の本選び源早苗
河童忌に封蝋ほどくインク壺古烏さや
河童忌に我執の哀しみ味わいき古舘流芳
物書きと物撮りの差や河童忌古澤久良
河童忌の眠剤や半錠に割り戸口のふつこ
河童忌や床屋に例の写真みたく戸部紅屑
河童忌や育毛剤の届きをり五葉松子
河童忌や朗読劇の声固し五郎八
朗読を聞くうち明くる河童忌の朝後藤昼間
河童忌やラジオ体操の声はるか後藤三梅
河童忌や泣くには空が青すぎる後藤周平
今朝もまた韻踏めずをり河童忌や後藤方丈
頬杖ついて何をか想ふ河童忌や光月野うさぎ
薄紅怪し河童忌のエビリファイ光峯霏々
河童忌や少女のままじゃ駄目ですか向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
河童忌や熱波吐きだす室外機幸内悦夫
河童忌や残り時間に何を読む広島立葵
河童忌や赤線引いた文庫本康寿
河童忌や大飛沫浴ぶ川下り恒産恒心
河童忌や父子の耳は相似形紅さやか
かっぱ語はQが母音か河童忌よ綱川羽音
河童忌や鼻にニキビの赤い腫れ荒一葉
河童忌やふたりは老いて指相撲荒井類
不条理に訪ふ平安を河童忌荒木ゆうな
河童忌やあべこべの世の真ん中で高井大督
河童忌や偉人の顔に落書きす高岡春幸
河童忌や風呂の残り湯生温し高橋ひろみこ
河童忌に漱石の本を集めたり高橋紀代子
河童忌や左に文庫右カレー高上ちやこ
河童忌や食細き子にヨーグルト高木音弥
自律神経みだれみだれて芥川忌剛海
部屋前にお粥置きたる河童忌や黒瀬三保緑
丘の上干上がる池見る河童忌黒猫さとみ
河童忌や鬼籍辿りて雨の降る今井みどり
河童忌や子の携えし自由帳今藤明
河童忌やレコードで聴くプッチーニ今乃武椪
旅先の神社の由来河童忌や根々雅水
河童忌や雨徒然に本開く佐々木佳芳
河童忌や旧仮名遣い落款印佐藤公
乗り切れるガッツがほしい河童忌かな佐藤しのぶ
英語流れゆく河童忌のカーラジオ佐藤レアレア
河童忌や夜行バスのり上高地佐藤佳子
河童忌や書肆の消え行く街の角佐藤恒治
ふと気が触れるかも知れぬ河童忌よ佐藤浩章
河童忌や子どもが嫌ふ風呂と犬佐藤志祐
紫煙輪に吐く河童忌をぼんやりと佐藤儒艮
河童忌や避難指示テロップ流れ佐藤俊
河童忌や昔話は子守唄沙那夏
河童忌や日暮れても風ぬるし砂月みれい
河童忌や夜中の蕎麦の伸び心地細江隆一
河童忌や鼻ピアス跡隠す妻細川鮪目
河童忌に叫喚の蝉落つる朝在在空空
河童忌やジョニ黒むかし憧れて坂口いちお
長き木が反りて日照りぞ我鬼忌かな坂島回文
河童忌や書棚の並びを変えてみる坂本千代子
河童忌や嘘吐き通すカレーパン坂野ひでこ
朝採りの野菜に塩す我鬼忌かな咲まこ
河童忌や嘘がまことになる世界埼玉の巫女
青帯に青の帯締め河童忌に桜よし榮
河童忌や自由の空気山嶺に桜月あい
河童忌やけばい水着の女たち桜姫5
河童忌や今年も悩む感想文薩摩じったくい
河童忌や明日は雨が降りそうな三浦ゆりこ
河童忌や師の座布団は紫煙の香三浦海栗
河童忌や新潮文庫読み始む三角山子
河童忌やこの晴天にらしいよね三上栞
河童忌や献杯はホータンの玉三茶F
河童忌の墓に供ふる煙草かな三田忠彦
河童忌や短き生に永き名よ三島瀬波
河童忌や角の捲れた短編集三日月なな子
水洗の勢い強し河童忌よ山育ち
河童忌や窮屈な靴脱ぎ捨てる山吉白米
泣きもせで河童忌のひと孤高なる山口愛
子の薬をかげで数える我鬼忌の夜山口一青
沢を行くカラビナの音河童忌や山口香子
天国の親父が詠むよ河童忌を山口雀昭
河童忌や鴉横目で吾を睨む山川たゆ
河童忌の古酒や熟成五十年山川腎茶
河童忌や文庫の埃払いけり山田はつみ
河童忌や未だ言えないことのあり山田企鵝
河童忌や濁世を棄てて水へ棲み山田季聴
河童忌や忘れし夢は感覚だけ山田啓子
古びたる本手に偲ぶ河童忌よ山内泉
河童忌や原稿隅にインク染む山本たか祥
河童忌や若き悩みは底知らず山本康
河童忌や高三部活引退す山野花子
河童忌や長き読書に机臥す司蓮風
ひたひたと満る湯が有る河童忌や四季彩
売り切れはコールドブリューのみ河童忌四郎高綱
戦場を帰す闇はなほ河童忌や市川りす
河童忌や帰りたいのはいずくの吾市川卯月
河童忌ノ群動息ミテ生ヲ得ル志村狂愚
河童忌へ切れ長の目の風とおる糸川ラッコ
河童忌の値引きのカツを半分こ紫檀豆蔵
河童忌にぴょこりぬりたて両生類字坊人造
河童忌の便通の良き朝かな寺尾当卯
河童忌や頭部CT異状なし時まる
河童忌や洗いざらしを身に着けて時小町
河童忌や虫歯の痛みしくしくと鹿嶌純子
河童忌や点鼻薬の味まじり実本礼
河童忌やリモコン五つ並ぶ床(とこ)篠雪
河童忌から九十六年父は一周忌柴桜子
河童忌の決まり手尋ね桟敷席縞子勾苑
河童忌の至急にあせる詐欺メール若宮直美
河童忌の雨音点滴のリズム若和志歩
河童忌や面会票を濡らす指主藤充子
山間の沼を覗きて河童忌を手嶋錦流
河童忌や碧し金魚の飴細工朱胡江
河童忌の泥拭ぐ河川水位計狩谷わぐう
河童忌や頓服紙で鶴を折る種種番外
河童忌や時に身任せ川流れ酒井癒香
河童忌や橋のたもとに一人ゐて酒井春棋
河童忌や朱雀大路に烏鳴く酒暮
河童忌や空の青さに耐えかねて寿松
河童忌や句作に悩む爺がおり秀耕
河童忌くる岸部にかけて泳ぎだす秋代
河童忌や腰の根付に木瓜紋秋芳
河童忌や宇治の佚文へ逍遥秋野しら露
河童忌やここに居たのか脛こすり舟端玉
河童忌や初めて買ひし文庫本十津川ポロ
キルロイに水洟見ゆる河童忌よ出目似鱚
河童忌の赤子泣き出す隣かな春海のたり
河童忌や故郷の本屋閉店す初野文子
河童忌や息合う3人のごみ回収諸岡萌黄
河童忌や女人厠で手を洗う勝瀬啓衛門
河童忌の水面をてらり浮く河童小だいふく
河童忌や二度寝も夢のつづきみる小園夢子
河童忌を悼もう「羅生門」読もう小笠原十三連鎖
河童忌も昭和平成令和過ぎ小栗福祥
河童忌や子宮内膜きれいです小笹いのり
三嶺(みうね)立ち俗世忘るる河童忌かな小山晃
河童忌や咽てくしゃみす粉薬小山秀行
河童忌や私は違う歯を磨く小山田之介
河童忌やゆらぐ吊り橋足止めて小杉泰文
インク果てすい殻の山我鬼忌かな小川さゆみ
池底へ釣り糸垂らす我鬼忌かな小川しめじ
河童忌やいのちの電話話し中小川野雪兎
河童忌や下駄飛ばし木に登る父小倉あんこ
河童忌や新聞丸め遠眼鏡小池令香
白紙に蟻すくい逃がす河童忌小田孝子
河童忌や釣り鐘竜頭世を憂い小田毬藻
河童忌や赤子のままの兄の墓小島やよひ
河童忌の神田古書街彷徨す小嶋芦舟
河童忌や我も登れぬ垂れし糸小湊八雲
河童忌や古き映画と温き母小野ぼけろうじん
河童忌や若かりし頬ふっくらと小林のりこ
河童忌やビブリオバトル予選負け小林共捺哉読
河童忌や曇りふき取る老眼鏡小林昇
河童忌や今日がその日と本を取り小林弥生
河童忌や涸れたみみずを見る五十庄司しづく
河童忌や声の切なき書庫の隅昭谷
ゆでためんのかたさほめられ澄江堂忌昭和かぐや
河童忌や窓へいざなふ蜘蛛の道松井貴代
殺生をせずに一日河童忌松浦貴子
河童忌やブックカバーの背を撫でて松岡重子
河童忌や仏間に母のぽつねんと松岡玲子
河童忌や『明治は遠く』藪の中松高法彦
河童忌や孤独着飾り街へ出る松田慶一
河童忌や死なぬ妖怪増えし世も松尾アガパンサス
河童忌や止まぬ雨無し長らえよ松尾祇敲
長生きも辛いものよと河童忌に松平武史
河童忌や今日も天気の話から松本俊彦
河童忌の再映靴を食うチャップリン沼野大統領
パワハラ講習二日目突入河童忌や上野眞理
寮生の父の繰り言河童忌や植田かず子
河童忌や伏し目がちなマリア像信濃のあっくん
河童忌や漆黒に青き我家あり新花水木
河童忌や等間隔の自習室新子熊耳
河童忌の歪みガラスに胸騒ぎ新城典午
河童忌やエンドロールを巻き戻し新多
河童忌やグラスのふちに小さき欠け新田ダミアナ
河童忌やねずみの狙うややの鼻森佳月
河童忌の字掘り遊びや椎の下森毬子
河童忌や穏やかに過ぐ緩和ケア森の水車
河童忌や推しの歌詞にも芥川森太郎
河童忌の午後遠くより寺の鐘森牧亭遊好
河童忌や日本列島まっかっか深蒸し茶
河童忌や日かげ日かげと練り歩く深仲夏
河童忌や口の尖つてゐる読書深町明
河童忌のひやりとまるい街路灯深野みなお
河童忌や塗り立てたばかりのベンチ真喜王
うつし世に連なる虚空芥川忌真冬峰
河童忌や採血後の青きあざ真理庵
河童忌や半券挟む日記帳神宮寺るい
猫カフェのアイコンタクト河童忌よ神谷米子
痩せ布団蹴って寝付けぬ河童忌や神無月みと
河童忌や夜半の羊は万余匹水越千里
河童忌に赤い糸だけなかりけり水鏡新
砂利を這ふ龍之介忌の膝小僧水須ぽっぽ
従姉妹の死誰に尋ねん河童忌や酔軒
河童忌や「運命」の鳴る喫茶店瑞陽庵
河童忌に水掻きのない指眺め数多未完
河童忌や豊昇龍は大関に杉浦あきけん
河童忌やかなりこの世は生きにくい杉浦真子
河童忌や吾子の目爛々と未明杉沢藍
河童忌や大関供へ墓参せり杉尾芭蕉
河童忌やふとまどろみに河童ゐて杉本果ら
河童忌や原稿用紙魚尾で折る杉柳才
河童忌やこけしの買える古本屋菅野まこ
頬杖を外す真夜中河童忌の瀬紀
河童忌や天才尖り矛盾読む勢田清
河童忌や一心不乱写す文字成瀬ぽんぽこ
河童忌や酒と薬の合わせ技成瀬桃うさぎ
河童忌や麗子像にも想い馳せ星影りこ
河童忌や壊れちまった歯車も星雅綺羅璃
河童忌の作州訛懐かしく星田羽沖
偲ぶれど減らない水に河童忌や星夢光風
痩せるとか河童忌を幾にはじめない正岡丹ん
河童忌の朝の鏡に低い鼻正念亭若知古
塩むすび親子に握る我鬼忌かな清水明美
河童忌や踏切の音呼んでゐる清水容子
河童忌や持て余すエアギター熱西爽子
河童忌や岸辺に雄を追う女西尾照常
モノクロで志村喬観る河童忌西條恭子
河童忌の往路も帰路もただひとり西條晶夫
鼻と鼻あたり河童忌の口づけ青井えのこ
河童忌や褪せし背表紙並びをり青井季節
河童忌や灰皿片す女子社員青居舞
河童忌や研ぎてナイフの試し切り青児
河童忌や墓での読経取り止める青峰桔梗丘
河童忌や「怪物だぁ~れだ」鏡みる静江
河童忌に「ぼんやり」とはと考察す石の上にもケロリン
河童忌の皿飛び出してゐる餃子石井一草
河童忌に眼鏡買いたる視力F石岡女依
河童忌や龍と天狗の山目指す石垣葉星
逆さまの世に眼を閉じて河童忌や石垣エリザ
河童忌の高校球児土まみれ石垣葉星
河童忌や一行何度も往復す石原しょう
河童忌や庭石たたく夜の雨石原花野
河童忌に本読み笑ひ泣きしたる石崎京子
河童忌やきっちり一錠降下剤石川明
河童忌に青年の自死思い馳せ石川明世
河童忌や合わせ鏡の顔たわむ石村香代子
河童忌や鉛筆削る肥後守石塚彩楓
河童忌や絶版本の新訳出石田ひつじ雲
河童忌の痛くない歯科医の注射赤尾てるぐ
怪物は誰も彼もの我鬼忌かな赤尾実果
河童忌や死にぞこなひの会社員赤尾双葉
全集の色あせたる背河童忌や跡部榮喜
河童忌のどちらへ行かう分れ道雪井苑生
河童忌や廻る色なき万華鏡雪音
コンカフェで慰めねだる我鬼忌かな千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
河童忌や古書店巡り三冊め千葉睦女
河童忌や泡のたちをる用水路川越羽流
河童忌の街娼の目の奥脆く川村ひろの
ポン・ヌフの花嫁や河童忌の朝川村湖雪
河童忌や難病の吾を書き続け川村昌子
河童忌や胎の人魚へ揺籃歌川代つ傘
河童忌や課題に疲れ文庫閉ず川端芙弥
第六夜吾の夢供養河童忌や川辺世界遺産の居候
ゲエテ読む河童は灰色河童忌泉晶子
河童忌や夜釣りの竿がしなる音浅井誠章
河童忌や梓川辺に風の声浅野玲峰
イロニーをぬめりにくるむ我鬼忌なり船橋こまこ
河童忌やドーナツの穴覗き見る全速
肌刺す陽いまだ狂暴河童忌や素敵な晃くん
河童忌の空泣きさうな泣きさうな倉岡富士子
河童忌や亡父の位牌に手を合わす早川令子
言うことがありすぎて言えぬ河童忌痩女
河童忌や警戒顔の朝の川相良まさと
現代も不安だらけと河童忌に草道久幸
河童忌や紙をまるめてとおめがね蒼空蒼子
河童忌や本屋の立てる白箒蒼鳩薫
河童忌や深爪のゆびページ繰る霜月ふう
河童忌や経口補水液何処霜月詩扇
河童忌やモリス柄着て句会行く増山銀桜
河童忌や病む夫と観る大リーグ村のあんず
河童忌の釣糸に魚つらなり村松登音
河童忌や文学フリマてふ深み村瀬っち
河童忌や天涯孤独を得る明日村先ときの介
河童忌や探すア行は壱の書架多胡蘆秋
河童忌や瓶の牛乳飲み干す夜太閤検地郎
河童忌や岩波文庫のハトロン紙太平楽太郎
河童忌やよく働いた父母祖父母駄。
ラジオ聴きパズル解く朝河童忌か駄詩
河童忌や人間だらけの地下鉄大
河童忌やサックスの音にぼんやりと大ちはる
河童忌や四十男の独り飯大越マーガレット
夕べの喧嘩癒えぬまま河童忌は優し大越総
河童忌や店主が眠る古本屋大家港一
河童忌の散歩コースは土手書店大原雪
うつろいの河童忌なりし朝またぎ大康
河童忌や怖い淵ありゴランボウ大阪駿馬
河童忌や6失点の勝ち投手大谷一鶴
河童忌や子らは河原に甲羅干大谷如水
河童忌や古書の匂いに囲まれて大竹八重子
河童忌やレコード針をそつと置き大塚恵美子
河童忌やどこまで青い今日の空大本千恵子
河童忌や期限の切れたボトル捨て大野喬
河童忌に広げる手帳明日の予定大野純子
言い訳はいくらでもある河童忌よ大野美波
河童忌に濡れてゆくのははて誰ぞ大澤眞
河童忌や郵便受けのガムテープ卓女
河童忌の三つの烏こゑ二つ沢井如伽
河童忌や一夫多妻をよしとせよ沢胡桃
河童忌や供える花は黒百合の沢瀉みやこ
河童忌や本棚隅で黄ばみおり谷口あきこ
河童忌や擦り減りてゆく賓頭盧像谷本真理子
河童忌のヨウム何度もバイバイと樽熊だん
河童忌や巡回図書を待つ親子淡湖千優
厭世の学生とライン河童忌夜智同美月
寝苦しや夢また夢の我鬼忌かな池愛子
河童忌や手のひらの小さき重さ池田悦子
ざざぶりの音に目覚めん河童忌や池田炭
河童忌の湿り気含み大全集中十七波
大正の改訳聖書河童忌に中山由
河童忌や生まれたき世に程遠く中村こゆき
河童忌と知らぬ子供ら読む絵本中村あつこ
河童忌やとかとんとんと皿の音中谷幸弘
河童忌に起こす前ぶれ偏頭痛中島葉月
河童忌やオールバックの理髪店中島圭子
河童忌や死の因求め読み重ね中嶋緑庵
河童忌や目刺に海の色を見て中嶋敏子
河童忌を知らぬ彼女と本屋行き中澤孝雄
河童忌や闇を詰め入り藪の中宙美
河童忌や摘みし一輪散る一輪猪子石にんにん
読書感想文の端の河童忌朝雲列
漬物ドッグ食いし河童忌の昼朝日雫
煩悩の糸は極太わが河童忌町屋の日々輝
河童忌や読み終えぬままの返却日津幡GEE
河童忌の夜に降るのは涙雨塚本隆二
河童忌や垂れ下がる糸見て迷う槻島雫
河童忌や選択するか避妊薬辻ホナ
河童忌やうす味啜る検診日辻栄春
風呂あがり白髪拾ふ我鬼忌かな辻美佐夫
河童忌や才能といふ名の凶器辻内美枝子
河童忌や児らの冒険森を抜け辻本四季鳥
父母逝きて頼りはあなた河童忌の祈椿律
河童忌の大学スマホが飯食う昼坪山紘士
家庭崩壊の幽霊我鬼忌なり鶴富士
河童忌や剣菱に酔う父の顔哲山(山田哲也)
河童忌や異なる常のすぐ隣徹光よし季
杜子春の酒奪い取り呑む河童忌天川滴翠
河童忌や何でそんなに生き急ぐ天童光宏
河童忌や学生の吾笑む上高地田上コウ
河童忌や泣き笑いする鬼の像田村ヒロミ
河童忌や部屋に飾りし花も枯れ田村モトエ
河童忌や旧姓戻る社員証田中みちよ
河童忌や白い猫すら黒と言い田中勲
河童忌や時間をかけて句点打つ田中紺青
河童忌の住宅ローン四十年田畑整
河童忌や祖父に捧ぐる文明堂斗三木童
タイトルは「地獄」我鬼忌に読む絵本杜まお実
河童忌や叔母の葬儀を見送りて渡邉花
河童忌や雨宿りする古本屋渡邉わかな
河童忌やひとつ屋根の下の憂鬱登盛満
河童忌や主人はヒッピー古本屋島田ユミ子
河童忌や「ペンキ塗りたて」剥がれさう嶋田奈緒
河童忌や特設コーナー入って右東の山
現国の冒頭「今日は河童忌よ。」東原桜空
河童忌や雨後の庭木の糸ひかり東山たかこ
河童忌や薄闇は影あきらめて東田一鮎
河童忌や浸水したとメールあり桃井ゆらら
河童忌や眠剤たよる夜の月桃香
河童忌や痩躯の背を陽に曝す藤井眞おん
河童忌や鼻のニキビは膿み始め藤永桂月
岬から東シナ海我鬼忌かな藤丘ひな子
河童忌や「河童」を読みて供養とす藤原訓子
河童忌よ「阿呆」な死に方しなくても藤咲大地
亡き友の話題に笑ふ我鬼忌かな藤白月
河童忌の水で浚へる茶碗かな藤白真語
河童忌や古紙に埋もれる古い本藤本だいふく
河童忌や梓に足を冷やしけり峠南門
河童忌の真っ暗空に火花散る徳庵
河童忌の螺旋階段暮れ残る苫野とまや
河童忌や温泉宿の大太鼓那須のお漬物
河童忌や箸でいただく機内食内田こと
河童忌や陽水の歌何処からか内藤由子
ノボールに始まる河童忌のTV内本恵美子
河童忌や積読崩し紫煙の夜凪ゆみこ
教科書の落書き消さす河童忌や南行
河童忌や思ひ出の品捨てる朝南全星びぼ
河童忌や水を求めて帰郷せり南風草々
河童忌や村の土橋で覗きみる楠田草堂
河童忌や生命線に見入る夫二和田躬江
河童忌のぼんやり揺れるやじろべい日吉とみ菜
河童忌や薄きを選ぶ課題図書日向こるり
河童忌や朽葉色の一日花如月ゆう
河童忌や初参迷いし同窓会猫辻みいにゃん
河童忌や寝苦しさだけの箱庭乃立喰烟
河童忌や蓮池の底は天国埜水
河童忌の頬杖の掌の熱さかな濃厚エッグタルト
河童忌や今なら我が子治し得る波止浜てる
河童忌や今年は九人クラス会馬笑
糸の先はさきイカ河童忌の池へ梅鶏
河童忌や深夜ラジオの朗読劇梅尾幸雪
河童忌や土にケンパの円数多梅野めい
湧く雲と見下ろす黒部河童忌よ梅里和代
河童忌や三度四度の都電下車梅朶こいぬ
河童忌やエピペン投与訓練す白プロキオン
愛という虚構の果実河童忌ぞ白よだか
河童忌や畦でのんびり煙草すふ白井百合子
河童忌や言葉は遺る若きまま白雨
河童忌や羅生門には石碑だけ白山一花
河童忌やお気に入りの栞はさむ白石美月
河童忌や古伊万里の大皿に罅白猫のあくび
河童忌や「君に届け」と祈る歌麦野光@いつき組広ブロ俳句部
河童忌の頬杖うつる文机畑美穂
河童忌のへのへのもへじ男前八田昌代
筑紫次郎荒ぶる河童忌の夜半八幡風花
河童忌や「鼻」と出会った中学期八木実
河童忌や衿足触るシャツのタグ鳩礼
刺し子裂く芥川忌の裁ち鋏半ズボンおじいさん
首並ぶ河童忌の雨の露天湯飯沼深生
河童忌や白磁の壺を抱き抱え飯沼比呂倫
河童忌や一ページ目の日記書く飯村ヤーキン
河童忌やスマホの中の羅生門飯田淳子
河童忌やおできの膿を搾る宵比企野朋詠
河童忌や本屋は北向き神保町樋口ひろみ
河童忌や人のみ老いて死ぬるとか琵琶京子
河童忌の朝の日輪仰ぎ見ゆ美衣珠
河童忌や親子分け合う回転寿司美月舞桜
河童忌やへそ天愛か服従か美乎梛
河童忌や朝採りのサンド・ウイツチ柊二
バス停に立つのも辛い我鬼忌暮れず菱田芋天
河童忌の軸の傾く茶室かな百瀬はな
河童忌てなんやったかなあ八十歳浜友輔
河童忌や草押し上げる雨がまた富田涯現(富田松夫)
河童忌や流行作家の孤独なペン冨川友香理
河童忌や書肆のあ列の文庫本布村柚子
河童忌や生々流転龍昇天武小川寿歩
河童忌やなまめかしげなコマーシャル武部敞子
古畳薄れ陽吸わす河童忌や風かおる
河童忌や母に習ひし玉結び風花まゆみ
河童忌や魚の骨が外せない風花美絵
河童忌や蓋を開ければブラックホール風泉
河童忌の五右衛門風呂の古蛇口風早杏
河童忌や我に才なく妻(さい)もなく風民
河童忌か勝手男に用は無し復讐の女神
河童忌に温泉卵飲み込めり服部美知子
河童忌やねこの遺影に朝ごはん福ネコ
河童忌や砂糖壺へと上る蟻福井桔梗
河童忌や栞についたケーキ種福弓
河童忌や読書ノートに『蜘蛛の糸』福川敏機
河童忌やセピア色の本探し出し平たか子
目つむる子の前髪揃へる河童忌平井千恵子
河童忌のつけ爪青し女優の手平井由里子
白蟻が湿ったステージ踏む我鬼忌平岡花泉
河童忌やまだ読んでない話かな平本文
河童忌や皿の水尚なみなみと平林政子
河童忌や表紙のとれし文庫本片岡明
河童忌や雨やみを待つ女学生片山蒼心
花器の水また減り注ぐ河童忌や峰晶
河童忌に星の雫にひとりなり朋友斎美香月
河童忌や如何なる想ひぞ今の世を蜂鳥子
河童忌や目刺の目にも湧く涙豊岡重翁
河童忌や数珠108に祈るのみ鳳凰美蓮
河童忌を湿原の雲ゆるゆると望月ゆう
河童忌の湖面に星の光かな北大路京介
眠れぬ食後河童忌のサンドイッチ北藤詩旦
河童忌や皆が静かな自習室北野都留
河童忌や紫煙は悪魔なるかをり北里有李
河童忌や黄ばんで読めぬ文庫本堀卓
河童忌や幽気漂ふ文士なり堀隼人
河童忌や祖母枕辺に痛み止め堀邦翔
河童忌にだんだん大人として立つ堀籠美雪
河童忌や蜘蛛糸掴む己が夢本間美知子
河童忌や味噌汁二杯注ぎにけり本郷てい
河童忌やしずめる緑糠の底凡狸子
河童忌や鉛筆書きの感想文凡々
河童忌や全集揃えし友も逝き麻場育子
干し野菜瓶に詰めたる我鬼忌かな万里の森
河童忌やヘアーセットが決まらない満る
伏せて出す障害手帳河童忌や巳智みちる
河童忌や店頭に積む復刻版湊かずゆき
河童忌や古書の埋もるる街灯り妙
河童忌に見えぬ花束飾り居り無月秋扇
我鬼忌の「河童」古書肆の奥の奥椋本望生
河童忌や包丁の刃は磨り減つて名計宗幸
河童忌の客に座布団裏返す明後日めぐみ
河童忌や時代の門によぎる人明日良い天気
河童忌や神社に登る欅あり毛利尚人
河童忌や小石差し出す小さな手網野れいこ
河童忌や升目ノートを溢れる字木ぼこやしき
木登る目孤独に光る河童忌や木原洋子
青空に惑いを放つ河童忌かな木口まり子
ディズニーのメドレー河童忌のホール木染湧水
河童忌や図書室に雨打ちつける木村かわせみ
河童忌や書架の扉の軋む音木村となえーる
河童忌や獺祭と言う酒を呑む木村修芳
河童忌や思わず握る羅生門木村波平
河童忌やカレーに入れた月桂樹木村隆夫
河童忌の水風船の音を聴く木野桂樹
河童忌や時刻音たつ家無風目黒智子
河童忌に愛鳥に問う吾は変か夜香
河童忌や「トロッコ」であなたに会った野原蛍草
河童忌や課題図書手に笑みの女児野口雅也
河童忌や子のやはらかき鼻の先野地垂木
河童忌や見え過ぎる眼をねむれかし野中苦泉
河童忌に表情暗きカッパ像野中泰風
河童忌の寝覚め暫く目を瞑る野点さわ
河童忌に文学少女もどる今矢車草
河童忌や生まれ来る子の名が決まる矢入えいど
河童忌や麻の背広と祖父の髭矢澤瞳杏
河童忌や思春期に鼻むずむずと薬膳容子
河童忌やヒシの実浮かぶ深緑柳春子
河童忌や寝る子の背中タオル入れ柳井るい
河童忌や夢には夢の時間軸柳絮
河童忌や内緒だけれど甘味好き唯果
河童忌や男同士の軽きハグ宥光
河童忌や汁粉碗欠け金継がふ柚子こしょう
河童忌や積ん読好きは親譲り祐紀杏里
河童忌や大正ロマンのアールデコ遊泉
河童忌の朝催味噌汁の湯気邑水
河童忌や同窓会は欠席に葉月けゐ
河童忌や喉へばりつくオブラート葉月庵郁斗
テロ地より無言の炎龍之介忌陽
河童忌や畳を跳ねる小さき蜘蛛来冬邦子
目に沁みるほど青空で河童忌で藍創千悠子
河童忌の下り列車や新任地理佳おさらぎ
幸せが何か分からぬ我鬼忌かな里山子
旧友に盃傾けて河童忌なり立花かおる
眠剤や忽ち雪のふる我鬼忌立部笑子
ロシアにも桃太郎ゐて我鬼忌かな留辺蘂子
河童忌やぐらぐら卵踊る朝涼風亜湖
河童忌や句集にはさむポンナイフ林省造
河童忌や出口の見えぬウクライナ鈴子
河童忌や違う世界をみたいだけ鈴木リク
河童忌や屁理屈ばかりの十七歳鈴木秋紫
河童忌の明日はどこかと木に登る鈴野蒼爽
河童忌の誘惑渦巻く川に来麗し
河童忌や雨が奏でるトタン屋根麗詩
河童忌や日々図書館へ通いつめ蓮見玲
河童忌や薬手にする不眠の夜連雀
河童忌の夜を薄めるウーロンハイ露草うづら
河童忌やゾロ目セールの弁当屋和光
河童忌や一巻欠けたる全集本侘介
河童忌や癖は高速ペン回し吽田のう
河童忌や軋む戸を開け古本屋國吉敦子
ふと逝きし者河童忌の光る雲帷子砂舟
河童忌や寛解は曖昧と同じ廣重
作家の話尽きるころに河童忌廣田惣太郎
河童忌や人を呑み込む馴れし川彷徨ういろは
河童忌の図書館ななめ読む太宰暝想華
十五錠飲めど眠れぬ河童忌よ杼けいこ
愛猫の余命知りたる河童忌や櫻井こむぎ
河童忌や雨漏りのする築35年櫻井弘子
河童忌のフェアのポップのギャル文字や淺井翠
ジッポの火貰ふ我鬼忌のシガレット澤田紫
河童忌や坂道多き文士村澤田郁子
河童忌や角とがりたる頭痛薬澪つくし
我鬼忌には地獄と繋ぐ糸電話澪那本気子
河童忌や空箱に残る一錠瑪麗
河童忌や車椅子乗る父抱う眞さ野
一本の糸をたどりて河童忌や齋藤鉄模写
河童忌や縁を頼りに生きてゆく齋藤方南
河童忌や恩師の孫は中学生粳ヤン
河童忌や祖母は髪結ひ花を買ひ糺ノ森柊
河童忌の夢また虚ろ覚めし日も翡翠詩憶
河童の世界を書き芥川忌になる聰子
河童忌や味覚戻らぬ感染症茉叶
河童忌や波紋ざわざわ治まらぬ邯鄲
河童忌やなぞる名簿の同期会釋北城
四文字の呟きとらふ河童忌の書肆靫草子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。
●俳句の正しい表記とは?
- 鏡見て、思わず鼻さわる、今日は河童忌AA 文小町
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
- 晩夏光戻らぬ辞書や叔父遺品山薔薇
- 夏の庭水玉ひかる蜘蛛の糸川辺のひまわり
- 向日葵と照る頬わたし背伸びかなはるか太郎
- 5回鳴き君と重なる蝉の声Nina
- 爽やかな季節巡れば恋模様真桜
- 突然の別れの言葉落花かな矢崎惠
- 河童読み返し水子思ふ夏SAtsuki'sSky
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「河童忌」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●入力ミス・文字化け
- 日も疎く水川童忌に撒いており芥川春骨
- 雄花?ぐ河童忌の人工受粉妃可
文字化けは、たぶん「捥ぐ」だと思いますが、入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。
●季重なり
- 河童忌やあの汁粉屋でかき氷相沢薫
- 名にし負はば暑さも愉快か河童忌とは文子
- 河童忌や強く壁蹴り平泳ぎ遠藤玲奈
- 河童忌に偲ぶ真夏の海風よお寺なでしこ
- 河童忌やプールに落ちる教師あり高山佳風
- 河童忌や鰻にのこる川のいろ谷町百合乃
- 河童忌や強く壁蹴り平泳ぎ遠藤玲奈
- 雷鳴に移ろい観取す河童忌や都靑
- 故人思い牡丹供える河童忌に二階堂
- 河童忌や早くも猛暑水を撒く原野乃衣
- 河童忌かどおりで暑い水入ろ森茉那
- 河童忌や日傘くるくる老婦人大和杜
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「河童忌」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●「河童」をネタにした? 季重なり
- 河童忌はきゅうりではなくうなぎ食う霧土人
- 河童忌や冷やしたきゅうり丸かじり谷口美奈子
- 河童忌に胡瓜冷やし味噌か塩かひーちゃんw
「河童」といえば「胡瓜」は、かなりの類想率でした。
●龍之介の作品を素材にした? 季重なり
- 干し竿に蜘蛛の糸揺る河童忌の朝今村 ひとみ
- 河童忌や我が人生も蜘蛛の糸大原妃
- 風呂釜の底小蜘蛛いっぴき河童忌よお品まり
- 河童忌や手水に光る青蛙桑田さなえ
- 河童忌や物干しスタンドの朝蜘蛛橋爪利志美
- 河童忌やプツンと切れた蜘蛛の糸平林晶子
- 河童忌や破れしままの蜘蛛の網松本文月
- 河童忌やユリを引っ張る蜘蛛の糸皆川知洋
芥川龍之介の作品を素材にしていることは分かるのですが、「蜘蛛」「青蛙」との季重なり、他にもかなりありました。
●河童の忌・我鬼の忌・餓鬼忌
「河童忌」が兼題の今回ですが、下五「河童の忌」と置くケースがかなりありました。このような指摘をすると、「どこどこの季寄せに『河童の忌』の例句ありました」とか、「ネットで検索したら『河童の忌』も載ってました」といったコメントが後日寄せられることは多々あります。
が、私としては「河童の忌」には違和感があります。どこかの川の河童が亡くなった日みたいで、どうもすっきりしません。しかも、下五を「河童の忌」としている句のほとんどが、音数調整ができなくて、やむなく使ったという印象なのです。
「我鬼忌」に対する「我鬼の忌」という使い方にも、似たような違和感を持ちました
例えば、- 灰皿へ水ひと垂らし河童の忌青井晴空
【添削例】 灰皿へ河童忌の水ひと垂らし
こんなふうに「河童忌」の位置を工夫すればすむことですし、- 我鬼の忌の薄墨乾きをる穂先滝上珠加
【添削例】 我鬼忌なり薄墨乾きをる穂先
こちらは、「我鬼忌なり」と言い切った方が、一句に背筋が通るような調べが獲得できます。他にも、「餓鬼忌」とした句や、「カッパ忌」とカタカナ書きした句もありました。
季語ですから、表記は気を付けたいですね。以下、作者ご自身で再度の推敲に挑んで下さい。これらの、あと一工夫に挑むか挑まないかで、俳筋力の付き方が違ってきますよ。
- 恋文はちと抒情的我鬼の忌よあなたを知りたい
- 物書きの成り損ないよ河童の忌麻生ツナ子
- 公園の小池干上がり河童の忌あややD.C
- 麻酔薬奥歯に残る河童の忌海峯企鵝
- 蜘蛛の巣に手で風おくる河童の忌有馬裕子
- 雌同士虫弔へば河童の忌肖草
- 掌を当てて迎ふるひとつ河童の忌杏っ子
- 又ひとつ星瞬いて河童の忌石本美津
- 子の部屋の古本匂う河童の忌五つ星
- 児童書の色分けシール河童の忌伊藤小熊猫
- 二日目のカレーはひとり河童の忌彩人色
- 早々の死それが是か非か河童の忌大島一声
- 河童の忌暗渠の横の何かの碑小崎ひろ子
- あごに手を鏡に戯れ河童の忌カオス
- 楽しみの句会に寝坊河童の忌香川雅子
- 皿ならぬ心乾きて河童の忌兼子さとみ
- 赤パンで赤パン買いに河童の忌金子泰山
- 脱衣場のタオルごわごわ河童の忌きなこもち
- 風そよぐ森のホテルの河童の忌京野秋水
- 浅間山噴いて死す村河童の忌栗の坊楚材
- 雑踏の夕陽に目覚む河童の忌くんちんさま
- 文送る友の面影河童の忌家古谷硯翠
- 思春期の骨の音する河童の忌健央介
- 河童の忌昇級という糸細くこま爺
- 救急車ひっ迫アラート河童の忌さっち
- 女まだまだ軽く見られし河童の忌佐藤綉綉
- ルーティンは空を見ること河童の忌さとうナッツ
- 眠るごと死ぬる人無し河童の忌山月
- パチンコの光さざめく河童の忌三水低オサム
- 王冠として跳ねる水河童の忌四條たんし
- 出来のいい兄の出ていく河童の忌秋雪
- 独り歩き噂の乱舞河童の忌珠桜女絢未来
- 水澄めば澄むほど青む河童の忌白玉みぞれ
- 掃除機に巻きつく糸や河童の忌砂山恵子
- 変色の紙の匂ひや河童の忌高嶺遠
- 教鞭はアルバムの中河童の忌高橋順子
- 群雲の多き星空河童の忌高見正樹
- 絶滅の理由はことば河童の忌卓鐘
- 流れ着く碧き浮き玉河童の忌多数野麻仁男
- 数多なるしの字の胡瓜河童の忌たなべ早梅
- 並ぶ子に横殴りの雨河童の忌友@雪割豆
- 糸垂れて地獄極楽河童の忌中平保志
- 紙皿の薬の数や河童の忌仲 操
- 森ぐわんぐわんと啼いて河童の忌なかむら凧人
- 精検の通知の厚み河童の忌ななかまど
- 天の糸に釣りあげられし河童の忌西尾至雲
- かさぶたを剥がす快感河童の忌西郡うり
- 逆立ちで泣くな怒るな河童の忌猫またぎ早弓
- 清流の石蠢きて河童の忌花岡淑子
- 眠れない昼間の失言河童の忌haru.k
- 脳天へ龍が火を噴く河童の忌晴菜ひろ
- 立看は撤去したらし河童の忌姫川ひすい
- 立読みの書籍に飽きし河童の忌藤川雅子
- 過去帳は俗名だらけ河童の忌まっちゃこ良々
- 今頃は二人酒かな河童の忌宮武桜子
- どか降りにいきかえるごと河童の忌霧想衿
- ババァなどと吾子に呼ばるる河童の忌ももたもも
- 焼けた顔腹は真白し河童の忌ヤン子
- 本めくる指をひと舐め河童の忌ユリノイロ
- 草の色残れる靴や河童の忌 良俗倭人
- 延べ棒の寄付は匿名河童の忌真宮マミ
- 濡れ足を廊下に残す河童の忌三木崇弘
お待たせしました! 7月の兼題「河童忌」の結果発表でございます。今回もたくさんのご応募ありがとうございました。夏井先生からのアドバイスは必見です。9月の兼題「水澄む 」もふるってご応募ください。(編集部より)