夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
11月の審査結果発表
兼題「冬の海」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
冬の海テトラポッドへ波の自死
小沢史
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夏井いつき先生より
荒い波を防ぐ消波ブロックの代名詞が、テトラポッド(という商標名のコンクリートブロック)。「冬の海」と「テトラポッド」は、光景としても取り合わせとしても定番中の定番ですが、この句の眼目は最後の五音にあるのです。
テトラポッドにぶち当たっては砕ける波の様子を、作者は「波の自死」だと捉えます。波とは、海自身が無尽蔵に内包する分身です。その波たちは、冬の暗い空の下、テトラポッドを目指して走り出し、ぶち当たり、吼え狂い、砕けます。次々に押し寄せる波たちの自死を、冬の海は薄目を開けて、遠くから見据えているのだと思うと、なんだか空恐ろしくなってきます。たった五音の詩語が、見慣れた光景に新しい意味を与える。それが、俳句という一行詩の力でもあるのです。
流れ着くものみな黒い冬の海
新蕎麦句会・凪太
漂流物のあれこれを具体的に描いた句も多かったのですが、逆に単純化し「みな黒い」と表現しています。砂色の浜と砂色の雲。白い波と黒い漂流物。無彩色の世界の中、冬の海は無表情に存在します。
富士壺に必死の眠り冬の海
霞山旅
岩などに固着して生きる富士壺を「必死の眠り」と表現。擬人化とはいえ、頂部の口めいた部分を固く閉じて岩にしがみつく様が、映像として見えます。過酷な冬の海に生きるための必死の眠りです。
冬の海こころに小石の入った日
海葡萄
小石が入ったのは靴だったんだけど、「こころ」に小石が入ったと感じた日。冬の海辺で一体何があったのか。何かがあったから冬の海を見に行ったのか。小さな小石から始まる小さなドラマです。
包丁のいろ冬海も母の眼も
倉木はじめ
似たものを探してみるのも発想法の一つ。「包丁のいろ」と「冬海」の相似性に、「母の眼も」と重ねることで、詩の世界が立体交差し始めます。母への複雑な心情も垣間見えて、深い作品です。
冬の海ぬめりて夜の滑走路
RUSTY=HISOKA
日本海の冬の海は荒くうねりますが、太平洋側は(沖波は高いのですが)案外凪いでいる日も多いのです。夜の滑走路から見える暗い冬の海を「ぬめりて」と表現。これも冬の海の一つの表情です。
軽すぎる国重すぎる冬の海青海也緒
冬の海少し走れば肺に来る蒼空蒼子
ふゆのうみやなぎばぼうちょうおちている青蜥蜴
冬の海平気な顔で嘘つくねあらせもんじ
埋むべきナイフはあらず冬の海石上あまね
冬の海7キロ先の憂鬱かないその松茸
雲の端をざうざうのんでゆく冬海浦野紗知
犬またはなにかの骸冬の浜夏野あゆね
冬の海冬眠しない波が来る八田昌代
冬の海ヒトデがありのまま渇く三浦にゃじろう
全身が鼓膜のように冬の海吉行直人
軽石のされかうべめく冬の海井納蒼求
軽石は龍の形に冬の海でんでん琴女
軽石の龍尾打ち寄せ冬の海戸部紅屑
磯笛を涛が呑み込む冬の海あ・うん
冬の海苦し紛れの嘘ひとつあおいなつはやて
冬の海カップラーメンを啜る啜る藍雅凛
北方領土わかつ断崖冬の海愛燦燦
冬海や箱階段の軋む音藍野絣
冬の海シベリア匂う水抱え間岳夫
釜飯の甘みや瀬戸の冬の海あいむ李景
シーサーの迎ふる冬の海黒し青居舞
冬の海祠の幣が風に舞う大竹八重子
考に訊ふこゑは届くか冬の海青田奈央
人滅び冬の海より来る輩あおのめ
禿げ将軍ヘリより冬の海眺む赤間勇
また変へる心療内科冬の海赤馬福助
発声のひとりリハビリ冬の海明惟久里
冬の海迫りラジオはさだまさし秋沙美洋
冬の海灰色の街錆びついて秋田白熊
冬の海触れれば指は石となる秋野茜
曇天を混ぜっ返して冬の海秋吉孝治
水切りに飽きて無言の冬の海あくび指南
冬の海汽笛のばぅと捩る朝朝倉カグラ
をんならの訛りめづらし冬の海朝月沙都子
マーラーの嬰ハ短調冬の海淺野紫桜
冬海を弁慶も泣く所まであさのとびら
ドーナツの穴を崩して冬の海麻場育子
冬の海散骨舞い上がり汽笛芦幸
甲板に硬き手の母冬の海あずお玲子
飼い主も山国うまれ冬の海梓弓
冬海に黙つて飲み下す鼻血足立智美
均衡を破る一手や冬の海あたなごっち
舷窓を舐れる冬の海の舌at花結い
冬海に背骨のボルト響き合ひ天風
国道の食い込む冬の海鉄紺あまぐり
冬の海夜風がざばり月なぶる数多未完
離婚する前に行ったね冬の海雨戸ゆらら
穏やかな明日へ冬の海どどどあまぶー
砕け散る切子酒杯や冬の海朱頂蘭
冬の海ジュンのシャベルは百ペセタ網野れいこ
佐渡の「渡」の滲む切符や冬の海あみま
冬海を乗せ江ノ電のゆるやかに綾竹あんどれ
ラヂオから人生相談冬の海ALLY満る
安針の望郷の色冬の海荒井類
松の葉をかき混ぜ冬の海の風あらかわすすむ
冬海やラジオに朝鮮語混信荒木俊充
断崖へ波ばりばりと冬の海新多
朽舟は砂の舟子に冬の海安蘭若ん
神々の暗号資産、冬の海ありあり
防潮堤見上ぐ冬海の無人ありいかな
岐阜のみづ加へて冬の海しづか有本仁政
ぐわんぐわんと地殻抉るや冬の海アロイジオ
ぎりぎりの車窓に冬の海迫るアンサトウ
鯨骨抱きて眠る冬の海安春
舌ピアスを十五の夜に冬の海飯村祐知子
冬の海遠浅涅のごと粘るいかちゃん
冬海や母の渇いた平手打ちいくたドロップ
紺鼠の冬の海裂き大漁旗池之端モルト
子を返せと叫ぶ看板冬の海イサク
冬の海しばし加はるゴミ拾ひいさな歌鈴
冬ノ海触レレバ黄泉ノアタタカサ石井一草
冬の海待つ追い焚きのドラム缶石垣
車椅子キシキシ冬の海の夜を石垣エリザ
焼香は二番目冬の海軋む石川巴里
星空に積み木を積めば冬の海石塚彩楓
冬の海ゴム手の湯気に弾む息石の上にもケロリン
右手に襷背に声援と冬の海石橋可秋
軋む音見に網走の冬の海石橋千佳子
断崖は濤切る刀冬の海石原由女
冬の海抱かれし子は目を瞑る和泉明月子
冬の海とぎれし会話繕へず和泉攷
混み合うた波に帆ひとつ冬の海石動胡盧巴
釣れるかと渡すコーヒー冬の海遺跡納期
碧落や光ひしめく冬の海磯野昭仁
冬海や小舟めきたる受験票板柿せっか
冬の海くちびるしょっぱい二人なり伊多波良子
腰掛けた杭の丸みや冬の海いたまきし
冬の海片道切符の流刑島一井蝸牛
冬の浜沈黙の廃墟佇む市川りす
冬の海抱うバッグの古き傷一太郎ラン坊
防波堤越へて逆巻く冬の海いつかある日
冬の海テトラポットを越えて来るいまいやすのり
錆色の風の生ひ立ち冬の海斎乃雪
おととしの涙の希釈冬の海一秋子
雑踏に遠き波音冬の海伊藤亜美子
冬の海しらぬ国旗の貨物船伊藤順女
冬の海ひかりて我に導火線伊藤治美
進退問ふ黒の封蝋冬の海伊藤柚良
割れている貝殻ばかり冬の海伊藤れいこ
漁り人の刺青赫し冬の海伊藤小熊猫
冬の海ざぶりざぶりと国道へ糸川ラッコ
青鈍のうしほの尖り冬の海伊奈川富真乃
言ふことを聞かぬ子とゐる冬の海稲畑とりこ
不定休たゆたふままに冬の海伊縫音々
梵鐘の黒き口開け冬の海イマスノリコ
我れめざし光の道や冬の海井松慈悦
冬の海もう食べることに飽きたの妹のりこ
照りかへす赤字路線や冬の海伊予吟会宵嵐
夫婦とは何だったのか冬の海入江幸子
流木の屍めくや冬の海五郎八
冬の海奥歯がキリキリと痛む岩木順
冬の海やさしくなつた分の老い磐田小
冬の海猫が主なる漂着船いわつよ8
冬の海白浪に佇つ巌仏岩橋春海
陸前に立たせる松や冬の海植木彩由
貝を焼く小さき火囲む冬の海上野眞理
波の間を埋める饒舌冬の浜うからうから
鈍色に乾ききつたる冬の海うさぎまんじゅう
冬の浜口中黒き魚喰へり宇佐美こころ
冬海は日の光にはときめかぬ宇佐美好子
冬の海夢食い尽くす獏の腹宇田建
抗がん剤体は冬の海になる宇田の月兎
冬の海華道教授の雅号棄つ内田こと
蒔く灰の父の軽ろきや冬の海内本惠美子
冬の海宿に一枚戦争写真卯月かりん
冬の海エナメル質の波荒れて空木眠兎
冬の海帯の鳴りにも耳澄まさむ内海七奏
冬の海われを離れぬKの声靫草子
冬の海声の届かぬ距離に君卯夏野心
車掌の渋声と向かう冬の海宇野翔月
ゆげあがる父のだっぷん冬の海吽田のう
冬の海カーラジオからキヨシロー詠頃
オルガンの掠れし音色冬の海江川月丸
冬の海湯治湯に聞く時化の音s葉子
航海燈ずるずる流る冬の海蝦夷野ごうがしゃ
冬の海十三階の霊安室越前岬
乱読の頁の数や冬の海絵十
この角を曲がると全て冬の海海老あまびゑ
冬の海網から浮力こぼれ落ち戎居多佳子
白鯨のようなホスピス冬の海M・李子
冬の海骸となりし魚孕みえりべり
弓なりに削る列島冬の海えんかず
境なく空へと続く冬の海遠藤愁霞
底生性深海魚に冬の海よ旺上林加
冬海やトランペットを吹く少女淡海かこ
冬の浜二人の影の長きこと近江菫花
冬の海サーフィンあとのコーヒー熱し大江風鈴
冬海をブーツに連れて帰りけり大紀直家
網引けば毒魚毒魚や冬の海大黒とむとむ
冬の海未だ憶えぬ般若心経大小田忍
五分刈の漁師の耳や冬の海大槻税悦
満天の星墜落す冬の海大野静香
冬海やきららに沈む母の骨大庭慈温
冬の海二次面接の結果待つ大谷一鶴
冬の海後部座席に沈む母大山香雪蘭
手つかずの星に千年冬の海大和田美信
したたかな女と言はれ冬の海岡井風紋
冬の海怒涛に酔ひを醒ましたり紅紫李依
一滴の墨のにほひや冬の海acari
冬の海終日空の鏡かな岡崎俊子
絶望を気取りて冬の海に立つ可笑式
冬海は蔵王権現唸りかな岡田明子
碧くうき黒く沈んで冬の海岡田瑛琳
冬の海ななめに消ゆる機窓かな緒方朋子
別荘は友の持ち物冬の海岡田雅喜
流木の目利き気取って冬の海オカメインコ
残照や鉄路の先に冬の海岡山小鞠
冬の海喪服を叩く波の粒小川さゆみ
沈船を揚げれば冬の海を吐く小川天鵲
目隠しの指のあはひの冬の海小川野棕櫚
波しぶき地球に爆ぜて冬の海小川都
吹き硝子冬の海より戻り吹くおきいふ
冬の海うちでは泣かぬ人を生みオキザリス
冬の海雲を拒みて波崩れ奥寺窈子
石灰化の潜む子宮や冬の海小倉あんこ
A面へかへるうつろに冬の海小椋チル
冬の海のたくる波に憩ふ鳥おざきさちよ
廃線の噂の先の冬の海おだむべ
母危篤冬の海辺を北上す小田ビオラ
冬の海の月は海月のごと笑ふ越智空子
ドコサヘキサエン酸固まらぬ冬の海乙華散
冬の海ばうと吹かるるフェニックス音羽凜
冬の海ろんろんと詩ながれくるおひい
冬の浜子亀の死骸ただ空っぽ諧真無子
冬の海コントラバスのビブラートかいぐりかいぐり
投げ込んだ花流れゆく冬の海甲斐紫雲
冬の海カラオケ響く漁協うら海瀬安紀子
冬海や意見通らずゴォオと鳴く快晴ノセカイ
冬の海羽が生えれば我も飛ぶ灰頭徨鴉
竿の鈴時々鳴りぬ冬の海海峯企鵝
刺さり立つあまたの錨冬の海火炎幸彦
暗澹にネオン持ち上ぐ冬の海果音
靴脱いで存外温し冬の海カオス
下手くそな夫の演歌や冬の海加賀くちこ
波兎を百まで数へ冬の海篝
冬の海はなればなれて冬の島影山らてん
陽食ひたり日本海側冬の海風花まゆみ
浮くものをすべて嬲りて冬の海樫の木
汽笛残し冬海靄に沈みけり柏原淑子
冬の海親も先生も信じぬかつたろー。
吃音に恋を託すや冬の海克巳@夜のサングラス
待てど来ぬウルトラマンよ冬の海桂子涼子
冬の海犬まつすぐに前を見る花伝
音楽に浸りて冬の海真っ暗鹿なぎ
あの継父からの輸血か冬の海仮名鶫
海獣の腑に棲むここち冬の海河南朴野
自販機の赤きランプや冬の海かぬまっこ
サンチャゴの白髪いっぽん冬の海兼子さとみ
汁粉屋の番犬を撫づ冬の海カフェオレ草
冬の浜目も開けられぬ髪の鞭壁明
冬海や山の千切りし雲の飛ぶ釜眞手打ち蕎麦
この星の生まれた時や冬の海神or愛
満天の星に牙剥く冬の海神長誉夫
海の家あばら屋めいて冬の海紙谷杳子
太陽の涎は長し冬の海かむろ坂喜奈子
冬の海波白ければ波に泣く亀田荒太
波ぐぐぐ風ががががが冬の海亀田かつおぶし
路地からは明るきと見え冬の海亀山酔田
女優帽でひっぱたかれて冬の海花紋
冬の浜シーグラスの昏き空加裕子
冬の海己が忌日をためらへり加良太知
冬の海みやくうち白き弁天島果禄
冬の海白き獣を吐き続く川越羽流
父の着た特攻服や冬の海江南和波
この人と願ひ異なり冬の海川村記陽子
冬の海ピアスの穴が見つからず川村湖雪
冬の海指輪なき手の仄暗き河村静葩
冬海やアレサ・フランクリンの腹閑々鶏
冬の海波頭シリウスはたくごと邯鄲
冬の浜甘酒カップの捨て所看板のピン
貝殻の記憶拾いぬ冬の海喜祝音
大漁と基地へ打電の冬の海キートスばんじょうし
いつまでも胎児の如く冬の海菊川寝ん猫
街道はフォッサマグナや冬の海菊池洋勝
冬の海父の眼鏡を懐に岸野草太朗
むき出しの星の裏側冬の海岸来夢
冬の海なにが優しさなのだろう北大路京介
冬海よつまらなくしてるのは俺北川颯
立ちどころに頬の痛さや冬の海北藤詩旦
冬海の歌ざりざりとカーラヂヲ北村崇雄
冬の海あれは漁師の力こぶ北村修
風泣けば波の尖りて冬の海北村礼子
冬の海時価の寿司屋のまねき猫北藤詩旦
唇の震へにふれて冬の海キッカワテツヤ
冬の海我は濃厚接触者きなこもち
冬の海餌は光か戯言か城内幸江
冬海を蹴り上げる道着から湯気木下昇吾
恐竜の足跡ひとつ冬の海木下桃白
冬の海コールタールのやうな海木ぼこやしき
幾人と来ても独りや冬の海木村となえーる
冬の海かつてリゾート地があってQ&A
貶されて不機嫌冬の海荒るるQさん
冬の海にぐらぐらの月磔にきゅうもん@木ノ芽
爪割れて毟り取ったり冬の海紀友梨
求人誌脇にブラブラ冬の海亨峯
ウクレレを買つてしまつて冬の海清瀬朱磨
水爆の白きを悼む冬の海ギル
冬の海自死のサインはあったのか銀紙
冬の海森進一のかすれ声菫久
心臓へ何を焚べるや冬の海ぐ
母に新しき恋人冬の海久我恒子
波突き上がり灯台を呑む冬の海楠田草堂
ドーナツをくぐれば冬の海の底ぐでたまご
漕ぎ出せば落ち来る空や冬の海窪田睡鯨
トリトンの吐息青ばむ冬の海くま鶉
冬の海流木皮を削ぎにけり熊谷温古
冬の海あれは故郷国後島熊本芳郎
冬の海風に埋もれた殉教碑クラウド坂の上
冬の海恋に反対するまつ毛海月莉緒
顔だけのレーニン冬の海の上眩む凡
イカロスは垂直に堕ち冬の海栗の坊
冬の海コマ送るごと波頭爆ず栗の坊楚材
煽られた鳥の尾忙し冬の海空流峰山
冬の海二日遅れの郵便船久留里61
陶工の遺骨を撒くや冬の海紅さやか
玻璃砕け落ちるがごとく冬の海クロまま
鈍色と轟音覆う冬の海くんちんさま
執心は芥のごとし冬の海鯨野
延命はしませんとだけ冬の海恵勇
冬海や転居初日の割れ鏡けーい〇
冬の海これが十二度目の輪廻げばげば
交わらぬ言葉が続き冬の海欅山四十八景
錆びついた観光案内冬の海元喜@木ノ芽
佐多岬輪郭削る冬の海研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
冬の海連覇を誓ふ背番号小池令香
水銀のやうなるとろみ冬の海こいぬ
風を飲み石を吐き出す冬の海郷りん
冬海や残留孤児の中国語剛海
おれの声どんなだつたか冬の海公木正
片方のサンダルとピアス冬の海紅紫あやめ
鬼の棲む心や昏き冬の海柑たちばな
冬の海ぼくを攫うてくれまいか幸田柝の音
冬の海はぐれた鳥に波は群れ古賀
羽ばたきのごと髪吹かれ冬の海五月ふみ
冬の海入込む河の痛そうに古賀未樹
冬の海月から届く道ひかるココヨシ
冬の海癌の家系に生まれたり小笹いのり
離合せし江ノ電四両冬の海小嶋芦舟
冬の海沖は静止画めいて暮れ木染湧水
弁当の玉手箱めく冬の海小だいふく
髪軋む冬の海から帰ります小手鞠しおり
旅まくら闇に荒ぶる冬の海来冬邦子
父さんを僕は選んだ冬の海古都鈴
北斗号しなりてなぞる冬の海小波るり
後悔はパズルのやうに冬の海このねこのこ
冬の海ひとり手かざす水産課このみ杏仁
そう言えばと訃報はさらり冬の海虎八花乙
亀に似し岩に小銭や冬の海こひつじ
身を投げるなら摩天楼より冬の海こま
五能線車窓は墨絵冬の海こむぎ
流し台バゴンと鳴りて冬の海GONZA
らしからぬ幟の立ちて冬の海今藤明
冬の海凍て死ぬべきか跳ぶべきか今野淳風
冬の海捜索船の戻りけり紺乃ひつじ
冬の海校舎の窓の琥珀色さいたま水夢
町並のひとすぢ途切れ冬の海彩汀
青鬼の背中は丸し冬の海齋藤夜明鳥
冬のうみ宿の味噌汁赤じやない早乙女龍千代
サーファーを傾げ揉み籠む冬の海榊昭広
人妻は夕陽追ひ冬浜集ひ坂島魁文
また夢になるといけねえ冬の海坐花酔月
音割れの防災無線冬の海坂まきか
水銀の川の疼きよ冬の海さくさく作物
数学の追試は明日冬の海さくら悠日
冬の海朝にもなつていない朝迫久鯨
石段を数え来し背に冬の海雑魚寝
貝殻の色玲瓏や冬の海佐々木邦綱
冬の海傾ぎスクリュー空転す砂舟
冬海や死ぬ日を知りたいと思う紗千子
生きることトランペットと冬の海さっち
泣きながら帰る鍵つ子冬の海佐藤恒治
灯台をモヒート越しに冬の海佐藤志祐
停泊の軍艦昏き冬の海佐藤儒艮
吾の指に燃え広がらん冬の海さとけん
あら汁の湯気に崩れる冬の海里すみか
茫茫とカラオケ屋の灯冬の海里山子
光なき泣くためだけの冬の海里羽豊後
散骨はひかりと成りぬ冬の海真井とうか
冬の海癌を笑った人逝きぬサバナ光風
海見ゆる冬の海見ゆる生きるかさむしん
相撲部にはジャーマネがいて冬の海さるぼぼ@チーム天地夢遥
七人の敵じゃ済まねえ冬の海澤田紫
冬の海定宿つひに畳まれり澤田郁子
追いかけて飛沫や冬の海へ脚沢拓庵
炊き出しの湯気の尾ねじれ冬の海澤村DAZZA
砂まじる風の悲鳴や冬の海三休
海荒れてヒスイ拾へり冬の海塩原香子
祖父の目は今日も開かぬ冬の海獅子蕩児
三味線の響きやはらか冬の海紫檀豆蔵
スクランブルF2突っ切る冬の海じつみのかた
便箋の余白さびしき冬の海実本礼
冬の海陽受く風車は利休色品川笙女
冬の海仁王立ちするシェパード柴桜子
冬の海祖父の形見の竿しなり柴森爽
一件落着し冬の海荒れず島じい子
冬海や午前十時のヒッチコック縞子厶苑
ぐつぱあとよせて砕ける冬の海島田あんず
動物は吾と犬なり冬の海嶋田奈緒
境界は私が決める冬の海嶋村らぴ
億単位の借金あるや冬の海嶋良二
黒鍵を強連打する冬の海清水祥月
隕石はトンガに落ちた冬の海清水縞午
冬海の羽のあるもの蒼穹へ清水三雲
リストラの最終出社冬の海下丼月光
濡れそぼる「Open」の旗冬の海芍薬
銀の匙黒ずみ深き冬の海ジャスピン
過去帳の書く欄わずか冬の海沙那夏
疼痛を抱へてゐたり冬の海砂楽梨
制服の硬きボタンや冬の海洒落神戸
錆色に叫ぶ入線冬の海柊ニ
膨張の直前の黙冬の海寿松
孵化近き星の予感や冬の海シュリ
冬の海野風呂の柵の毀れをりじょいふるとしちゃん
歌のなき夜や冬海に咬まれさう常幸龍BCAD
庭に干すウェットスーツ冬の海白井百合子
冬の海釘を打たれた店のドア白とり貝
冬海に痩せ我慢めくピーヤ2基白プロキオン
冬の海大声出せよと怒鳴られる新開ちえ
ひだりから煙草の気配冬の海新城典午
出る船の白のみが色冬の海しんぷる
供花に風添ひ去り行きぬ冬の海深幽
冬海や魚雷回天の漆黒水牛庵乱紛
冬の海十五の心咆哮す酔進
鈍色に何億の嘘冬の海水蜜桃
波死せば素描の臭ふ冬の海すいよう
浜焼き鯖食む冬海に鳶平らすがりとおる
冬の海ドラム缶風呂に潮の風杉浦あきけん
突堤を叩きのめすや冬の海杉尾芭蕉
いただきの裂け目より冬海ひかり杉本果ら
冬の海呪われたのは若き詩家鈴木勝也
冬海や沖に痛みのなき陽射し鈴木由紀子
老人は祖国を棄つる冬の海鈴木麗門
冬の海土佐闘犬の創蒼し鈴ノ樹
イヤホンの隙間へ冬の海の咽び鈴野蒼爽
冬の海しづかな臓器もてること主藤充子
防砂林を刻々と食み冬の海スナップえんどう
冬の海暮れてくろぐろ鶏の舌すりいぴい
温温と淡路寝そべる冬の海静江
白骨の眼窩を漱ぐ冬の海醒子
歩いては帰れぬ故郷冬の海勢田清
アルミめく光の帯や冬の海瀬尾白果
無条件の抱擁であれ冬の海瀬紀
風の研ぐ波が刃や冬の海関とし江
訃報聞くふるさとの冬の海凪ぐ瀬戸ティーダ
一本の河から冬の海出づる背馬
冬の海みづはうゑからしんでゆく世良日守
崖上はしょっぱい墓群冬の海惣兵衛
冬の海ふくれ流人の島かくすそうま純香
納沙布を叩きに叩く冬の海そうり
冬の海星座詩人の上に在り曽我真理子
知る歌の知るところだけ冬の海素空
冬の海濤りゅうりゅうと盛り上がりそまり
冬の海干されし網の傷あまた染井つぐみ
ささくれの指より冬の海は湧く空野兎
二次会の客は来ぬ日々冬の海空豆魚
星とヘリ静かに燃えて冬の海ぞんぬ
指先がワイパーとなり冬の海駄詩
冬海の潮の香風に殴られて太閤検地郎
着衣の乱れなしと報道冬の海橙と紫
冬の海赤き正拳突き吠ゆる平良嘉列乙
夢の島昏昏冬の海に風高尾里甫
冬の海つと寝不足の牙を剥く高田祥聖
冬の海遠いお船を探そうか高嶺遠
冬の海風速計は笛の音たかはし薫風
覚悟てふ握り拳や冬の海高橋寅次
看板の牛屹立す冬の海高山佳己
筆洗に鈍色深む冬の海滝川橋
神戸より機影離るる冬の海多喰身・デラックス
透明の血を抱く魚冬の海竹内一二
防人のうた満つる貝冬の海竹口ゆうこ
冬の海何度翻りても白武田歩
靴を呑む砂たよりなき冬の浜竹田むべ
冬海は生ける身拒む如き闇竹八郎
冬の海にて終わりたる物語たけろー
足元に声塊て冬の浜たすく
泣くやうに軋むバラック冬の海多々良海月
朝ドラと冷めたやきそば冬の海橘乎夏
ワンマン降り立つ降り立つ冬の海ダック
冬の海黒を使わず描くこと辰野史会
冬海や星の漁村の闇の闇たていし隆松
人形のこわれたまぶた冬の海田中木江
エンディングノート加筆す冬の海谷相
死に場所は決まった冬の海じゃない玉木たまね
冬の海三角定規より尖るタマゴもたっぷりハムサンド
錆色の岬の尖り冬の海玉響雷子
吉野家を出づる親子や冬の海田村利平
冬の海ほしの自転のおとがする短歌も俳句も党唐草もみじ
敦賀ラーメン待つ冬の海しづか丹波らる
恍惚の頭蓋よ冬の海を飼ふ千歳みち乃
靴跡の沈む深さや冬の海千鳥城@広ブロ俳句部カナダ支部
工廠は骸となりて冬の海千葉羅点
冬の海いじめの世界はモノクロ中一ひろ太郎
冬の海グレートデンに人だかり衷子
冬の海をちこちの日々一緒くた澄心静慮
鈍色のマタイ奏でる冬の海ちょぼ鶉
冬海へ蹲踞し素振三千本千代之人
冬の海まで五粁油絵具の香月岡方円
瓶詰めの遺書投げ返す冬の海月硝子
ごうごうと冬海照らし待つ帰船対馬清波
冬の浜いちばん星を分けあひて綱川羽音
冬海みるひとは冬海みていないツナ好
冬の海母と呼ぶには若すぎて椿こちょすけ
探査機を呑みて静もる冬の海露草うづら
冬の海視覚は群青色となり露口全速
軽快な一両列車冬の海ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
父ちゃんは水切り五回冬の海ツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部
冬の海ダイナマイトを二個三個哲庵
挫折するほど冬の海透きとほるテツコ
雲間へと光聳えて冬の海鉄猫
冬の海だんまり決めこむ砂粒ら蚕丸
冬の海心中めいたエスケープ天陽ゆう
ねっとりと鎮まりたるや冬の海どいつ薔芭
冬の溟堤に轟音、波柱東京堕天使
釣道楽のげに道楽ぞ冬の海東戎
鳶と我急くこともなき冬の海藤陽丸
人工の浜や濁れる冬の海遠峰熊野
星ぼしは淋しく生まる冬の海とかき星
冬の海手配写真に似た男とき坊
冬の海あした会社をやめようか毒林檎
冬の海路肩に寄するヘッドライト斗三木童
冬の海ずんと重たき布袋富山の露玉
犬を引くこの土地の子や冬の海泥水真水
鳶の羽の翳を計れる冬の海内藤羊皐
岩全て鳥たちのため冬の海直
二日目のポトフの旨し冬の海中十七波
冬の海水銀灯の照らす雨中岡秀次
右は墓地左は冬の海の音中中
窓越しに冬の海今夜はひとり中西歌子
層雲や龍昇りたる冬の海中原柊ニ
冬海や領海またぐ漁夫の息仲操
カムチャッカ行がねばなんね冬の海なかむら凧人
赤錆の「元気ハツラツ」冬の海中村まさあき
揺れる揺れるソナー頼りの冬の海永谷部流
ああ出来ぬ看取りの覚悟冬の海凪ゆみこ
冬の海ひねもす崖を殴りつけなしむらなし
江ノ電に警笛尖る冬の海那須のお漬物
見おろせる渋谷は冬の海の底夏草はむ
彼の国へ唄う冬海ほうやれほ夏雲ブン太
母と棄つ父のステレオ冬の海夏湖乃
冬の海リュウグウノツカイ捩れる夏雨ちや
冬の海塗り潰したる走り書き七朝まるよ
冬のうみ立入禁止に母がいる七瀬ゆきこ
国境はないと歌えど冬の海七森わらび
冬海の雫のにほひセメダイン⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
立つなそこボースン怒号冬の海浪速の蟹造
底砂の一握は伯父冬の海名計宗幸
冬の海かがる羽田のジェットかな西川由野
冬海の裂けて運河の運転士西田月旦
経血はほのあたたかし冬の海西原みどり
冬の海「戦友」という長い歌西村小市
冬海を波より高きみづの馬西村棗
自由席の混む通路より冬の海二重格子
船酔ひの悪心酸つぱし冬の海にゃん
耳元をバリカン窓は冬の海仁和田永
日没は呼吸の速度冬の海根々雅水
楽隊が無言で進む冬の海涅槃girl
傷心や冬の浜辺の石拾ふノアノア
悪口を言いたくないから冬の海野井みこ
風神の袋割れたる冬の海野口雅也
離れても冬の海てふ鎖かな野地垂木
冬の浜記憶こぼるる夫とゆく野原蛍草
この中の誰が雨男冬の海登りびと
家々の間に入り込む冬の海稗島塗小太郎
冬の海呑みこんだシベリウス吐く白庵
千畳の溶岩鎮む冬の海白雨
風車群のひとつはしづか冬の海はぐれ杤餅
冬の海最極上の漁師めし橋本恵久子
翻車魚を低く歌はせ冬の海長谷川水素
ミサイルの骸しづかに冬の海長谷機械児
単身の焼き肉煙る冬の海長谷島弘安
ワイパーの振り幅速く冬の海畑詩音
冬の海揺らげば死語となる言葉はっしー
父母を選りし記憶よ冬の海はなあかり
難破船の心音聞こゆ冬の海花咲明日香
冬の海流れつくもの疲れ果て花咲みさき
冬の海令和の歌は歌えない花南天
ひとかけらの月や冬海押し寄せるはのん
ささくれし義父の静脈冬の海ぱぷりかまめ
冬の海もう着ぬ背広に名刺入れ浜口好山
稼働せぬ原発呻く冬の海浜友輔
冬の海に一人コーラ缶ぽおん林たまさか
フォルテシモモノトーンなる冬の海林田りこ
極限に網引き締まる冬の海林山千港
投擲の雄叫び聞こゆ冬の海原田民久
冬の海空喰らうてはしまはぬか巴里乃嬬
冬の海粉吹き駆けゆくひざ小僧晴菜ひろ
五号車の窓の指紋や冬の海葉るみ
冬の海雑魚寝の部屋の機関音はれまふよう
風神と雷神の吐瀉冬の海HNKAGA
冬海のみづに厚みのなかりけりはんばぁぐ
一斗缶皆で囲んで冬の海ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
瞽女さまの三味唄消すな冬の海ひーちゃんw
薪はぜてサーファー集う冬の海東の山
冬の海廃校決定の知らせ東原桜空
磯笛のかそけきありか冬の海東山たかこ
鍵先の小さな火花冬の海菱田芋天
書き起こす文の昏さや冬の海ひでやん
冬の海三猿めける母伯父叔母日向こるり
先生が初恋でした冬の海ひなた和佳
あのふたり心中かしら冬の海緋乃捨楽
冬の海に座せる夕日の達磨かな比々き
冬の海潜りて返事聞かぬようヒマラヤで平謝り
冬の海わたくしの血も鈍色か比良田トルコ石
冬の海カフカ片手に防波堤平松一
冬浜やザックにさがすチャークロス平本魚水
冬海や沖の光芒淡く垂れ比良山
冬の海佇む人は我に似て昼寝
冬の海鑢のやうな風にほひ広木登一
冬の海虚数と友だちな素数広瀬康
冬の海死因:ゴムボールの誤飲弘友於泥
釣り宿の転がるような冬の海風泉
冬の海まだ思春期を抜けきれず福井三水低
冬の海夜叉の夜叉たる所以かなふくじん
膏薬の古傷さする冬の海福田みやき
冬の海巻き貝のごと閉じ込もる福ネコ
欠航の文字だけ赤い冬の海福良ちどり
荒波の蒼いひび割れ冬の海藤井眞魚
女子寮に電話はひとつ冬の海藤色葉菜
淡路島両手ですくう冬の海藤丘ひな子
暁闇の巨鯨を咀嚼冬の海ふじこ
繽紛たる瓦礫に冬の海しづか藤咲大地
冬の海翼はみんなシンメトリー藤田康子
冬の海みてドーナツ買うて帰る藤田ゆきまち
犬見えず犬の声する冬の浜藤丸子
たぎりたる冬海すくみたる空母藤雪陽
国境の闇迫り来る冬の海船橋こまこ
冬海や二十歳の波濤砕け散る風友
冬の海抗うことで生きている冬のおこじょ
冬の海燗のつく間を味噌なめて古川シアン
波がしら尖りて冬の海が這ふ古瀬まさあき
空手部の耳を湯気立つ冬の海古田秀
冬の海さびしハモニカ振れば砂ふるてい
冬の海旅に飽きたる猿田彦碧西里
唯一の友は忌引や冬の海ペトロア
冬の海球体地球裏側も冬茫々
星空を梳きて冬の海きよら干しのいも子
冬の海豚汁入りの魔法瓶干しのいも子
冬の海エンドロールが流れない星乃ぽっち
冬の海詩への炎をはためかせほしの有紀
歩けない母貝投げて冬の海細川小春
冬の海へとひかりが死にたがつてゐるほろろ。
冬の海流木の骸を荼毘に付す盆暮れ正ガッツ
トルコ艦の兵士眠るや冬の海本間美知子
国うまれさうな朝日や冬の海梵庸子
冬の海天とはなれず鉛色まーちゃん
三ツ石の翳り黒々冬の海前田冬水
冬の海蒙古の草の味がする曲がりしっぽ
みちのくの生けるもの皆冬の海真喜王
冬の海ユーミンに泣くカーラジオまこ@いつき組広ブロ俳句部
岩礁の飛沫は鈍器冬の海まこちふる
冬の海琳派の青に灰を足す正岡丹ん
オリオンの憤怒挙げてや冬の海またあ
冬海や錆びた入日と陸の船町田勢
冬の海津波跡地は真っ平ら松井くろ
頬削る刃吹き上げ冬の海松井酔呆
冬の海竜馬と呼びたい青い色松岡幸子
踏切や冬の海へと下る道松高網代
頭髪は妖怪めきて冬の海松田文女
母なにか寝言や暗き冬の海松山のとまと
冬の海ここにも太宰治の碑まどん
将校の叶わぬ懸想冬の海真冬峰
冬の海女人を寄せぬ沖ノ島まりい@木ノ芽
献花から彩はうばえぬ冬の海丸山志保
毒運ぶタンクローリー冬の海丸山隆子
どの風も名前を捨てよ冬の海まんぷく
冬の海波形正しき心電図みい
制服の膝逞しき冬の海三浦金物店
冬の海欠航せずに佐渡へ着く三浦ユリコ
冬の海話し相手は流木さ澪つくし
シボレーの荷台の腐食冬の海帝菜
隣家へと言伝のあり冬の海三上栞
山頂の珈琲熱し冬の海三島瀬波
左手のくすむギプスや冬の海みづちみわ
冬の海脳味噌不法投棄罪光峯霏々
一等星ひとつぶ沈む冬の海みつれしづく
巨石墓の如くトーチカ冬の海南方日午
泣きそうな我と気づくや冬の海水無月葉子
冬の海ゆふづつひとつ出ずつぱりみなと
ペンギンの腕輪ずつしり冬の海港のパン屋
冬の海近づけばもう帰りたく水面叩
トレモロは低いシの音ふゆのうみ宮井そら
冬の海接岸こばむ流人島みやかわけい子
日の本の穢れ刮げる冬の海宮坂暢介
切れぎれにマイルス・デビス冬の海みやざき白水
冬の海耳をばうばう叩く風宮武濱女
冬の海骨になりたる亀戻る宮部里美
指先の傷の拍動冬の海みやま千樹
わざをぎを惜しむをちかた冬の海ミラベル
冬の海攫はれさうな入日かな椋本望生
冬海のうねるや胎児七ヶ月村上牛蒡
冬の海子はまるまると温かく紫けい
ひとさらひゐるらし冬の海しづか紫小寿々
冬の海よくしゃべる男はきらい村瀬っち
退院は日延べと二行冬の海むらのたんぽぽ
逆光の江ノ島ゆらす冬の海暝想華
残り陽やどぶりどぶりと冬の海目黒千代恵
夜勤明けの父の匂いや冬の海目に若葉
七つ目の橋で愛媛や冬の海モコ
段ボール拳で砕く冬の海百瀬はな
冬の海舟をどどどと波の追ふももたもも
冬の海胃の中のもの上がりくる森佳月
プラゴミとダイバー沈む冬の海杜まお実
ばおばおと一夜を冬の海唄ふもりさわ
冬の海ポツケに吸入薬のあり森田かな
よそん家でママ待つ刻や冬の海森田祥子
断崖を跳ぶ勇気欲し冬の海杜乃しずか
冬の海実家の田んぼは売られけり森の水車
シンバル鳴り響く冬の海痛し森山博士
冬の海上京を決意する諸岡萌黄
ごぼごぼと鈍き鼓膜や冬の海山羊座の千賀子
冬の海父の命は父のもの八幡風花
ほんたうの海聞きたくて冬の海ヤヒロ
家で待つひとの有るひと冬の海山内彩月
海獣のかばねやかろし冬の海山河穂香
冬の海淦抜孔を濯ぎけり山河穂香
部活後の着替えもせずに冬の海山川真誠
戯言を聴いてくれぬか冬の海山口はなこ
僕はなぜ怒ってたのか冬の海ヤマコー
薄闇に吸い差し放る冬の海山崎のら
貝がらは光の骸冬の海やまさきゆみ
冬海の透明さとは死後の色山﨑瑠美
冬の海夜行列車の飛沫かな山下ひとみ
冬の海見て来し夜の歌やさし山田蹴人
冬の海精神科医に嘘吐いて山田喜則
防砂林割いて灰色冬の海山根永嗣
足裏の砂の硬さや冬の海山野麓
入院の手続き待つや冬の海山本康
星影を沈めて冬の海となる山本先生
廃業のコンビニ店舗冬の海山本ひろゆき
冬の海岬を波の這い上がる柚木みゆき
冬の海芥を砂にする時間宥光
冬の海テトラに裸身打ちつけてゆうま
冬の海は其処にあるはず夜の車窓雪井苑生
冬の海対岸の灯は不整脈雪音
冬の海まるい硝子は翡翠いろ雪音
冬の海砂に刺さりしショベルカー雪華きなこ
冬の海ボール紙なる手書き地図ゆすらご
冬のうみ漁船のおしくらまんじゅうゆめの常盤
はさかり岩の微動だにせぬ冬の海夢見昼顔
冬の海は落暉の熱を待ちわびる宵猫
肋骨のひとつを還す冬の海八日きりん
鉛色溶かす朝日や冬の海陽光樹
しんがりの鴎に広ぐ冬の海羊似妃
冬の海富士を見たとか見えぬとか欲句歩
錆色のサービスエリア冬の海横縞
まだ着かぬ夫の漁船や冬の海横田信一
冬の海町の輪郭だけとなりよし季
冬の海男は意見せず夕餉吉田郁
痩せ枯れて名もなき川を冬の海吉野川
冬の海いまはひとりと答えたりよしみち
岩礁が大好物や冬の海余田酒梨
冬海の轟き忌み小屋の眠りラーラ・K
安田講堂三島の前へ冬の海楽花生
ほほえみの表皮剥がして冬の海梨音
冬海やタバコ屋のある港街柳絮
冬の海革靴の砂をかぞへけり烈ゆう子
まなじりににじむ利かん気冬の海蓮花麻耶
原野果つ冬の海へとスコトン岬蓮花麻耶
冬の海喜びの馬駆くる朝れんげ咲く
ふゆのうみ心臓はいつ休むのかローストビーフ
返す波を押す波覆う冬の海若林鄙げし
冬の海ちぎれる雲を友として若宮直美
海獣の死をひた隠す冬の海渡邉一輝
踏切の音や好きだった冬の海渡邉桃蓮
冬海の水平線もとんがりて渡邉わかな
冬の海漂着物に鹿の角笑笑うさぎ
冬海や彼方に青き貨物船杏樹萌香
断崖に村ギリシアの冬の海池内ときこ
父の待つ離島の官舎冬の海おおい芙美子
右側に冬海連れて話し合う加藤ゆめこ
冬の海模試の結果は明後日澤野敏樹
絶望やヤカンの湯気に冬の海土田耕平
次の日もただ鎌倉や冬の海苳
旅の湯や耳の後ろは冬の海ほんみえみねこ
冬の海見てゐる母にみえるものみわ吉
錆びついたジッポーひとつ冬の海夢雨似夜
冬の海そら色多きシーグラス村松登音
Goodbyの涙温くかり冬の海蒼來応來
ページめくり寄せては返し冬の海アシツノカラ
冬の海眼鏡の昔失せにけり犬山裕之
股のぞき天が怒るや冬の海今西知巳
冬の海真っ正面に仁王立ち岩切義治
若き髪風に縺らせ冬の海上原淳子
波は夢うつつに爆ぜて冬の海遠藤百合
大空を映す鏡か冬の海大野喬
仇討ちは許されぬ世や冬の海おぐら徳
初七日と流れ作業や冬の海おこそとの
冬の海をとこ人魚の生ぬるき加世堂魯幸
翁指す果ては国後冬の海加田紗智
冬の海にうかぶ山岳は白し加知吾郎
忌明けの膳セイコも並ぶ冬の海岸本元世
冬の海ビン玉の他光無し木村修芳
冬の海結露の窓に絵描き歌清永ゆうこ
じょんがらを聞かまほしけり冬の海宏楽
冬の海三弦のごと夕日かなさくら亜紀女
癌宣告治療の是非問う冬の海櫻井弘子
冬の海触れずに逝けり甲斐の人さこ
天地に温もりありて冬の海錆田水遊
灯台光生気を得たり冬の海さぶり
島はみな山冬海に縁どられじゃすみん
堕天使のはしご突立つ冬の海正司志津
冬の海聞こえ来る地球の産声白井佐登志
冬海に父の十八番を聴かせけり泰山
冬海や黄金銃の殺傷力帝釈鴫
冬の海飛沫に隠る赤灯台髙見正樹
咳しても誰も答えぬ冬の海瀧龍之介
闇の中境い目探す冬の海卓女
鋏虫釈然と留守冬の海多事
冬海に深呼吸する肺凍る田鶴子
カムイ彫る若き円空冬の海ときめき人
冬の海立山連峰浮かび立つとんぼ
ポセイドンの母の胎内冬の海中島圭子
ポセイドンの鉾先受くる冬の海蜂鳥子
冬海や頁繰る指の定まらぬ仲田蓮謙
冬の浜女の足跡なきこと仲良トモ
冬の海荒波見つむやん衆かな西原さらさ
冬海や手の届きそな国後島アクエリアスの水
冬の海げきおこぷんぷんお母さんひなた息子
冬の海ガラスでできたお姫さまひなた娘
冬の海共に逝くかと肩を抱く向日葵@いつき組広ブロ俳句部
佐渡行きのフェリーの西語冬の海姫川ひすい
訛り聞くローカル車内冬の海日吉とみ菜
冬海やあゆむ駱駝の影二つ(御宿)平井千恵子
冬の海ドレスコードは赤と白ひろ夢
現前に嘘ひとつ無き冬の海風慈音
冬の海廃墟の穴と落ち合ひて深川佳子
冬の海とはふつと来る海のこと深町明
冬海や双子の泪鎮めてむ深蒸し茶
打つ人と打たぬ人の間冬の海豚ごりら
冬海や丹田凹むあえいうえお♪星善之
冬の海カレーうどんで染み付けるまこと(羽生誠)
冬の海移動販売車は山へまつたいら西
冬の海無限に交わる白と黒まりおR
南へと帆船光る冬の海三崎扁舟
異郷子と過ごす三年冬の海みずのややちゃん
冬の海越えて石油もウイルスも杜若友哉@はなばた俳句会
千里浜の沈黙ふたりは冬の海痩女
鈍行の旅こそよけれ冬の海矢橋
冬の海折鶴飛ぶよ夢の中山口雀昭
冬の海スマホに並ぶ上司の名ゆづみ。
冬の海君の十八番の歌い出し陽花天
ツィゴイネルワイゼンを弾く冬の海で夜香
肛門から鼻の奥まで冬の海横浜J子
冬海の奥に神威の光芒見余jii詐
差す陽にも力みなぎる冬の海よしぎわへい
夕やけ雲と冬の海なかよしね吉田結希
冬海や署名集める顔は老い吉武茂る
冬の海我も謙譲で有りたしリーガル海苔助
平坦な道で躓く冬の海和光
太陽の絨毯となり冬の海海神瑠珂
浪裏の藍深まりて冬の海渡邉俊一
まだ遠く迎えの磯香冬の海わたなべいびぃ
冬の海ギター担ぎて来しかども渡邉竹庵
大いなる母の乳房や冬の海吾亦紅
色失くし墨絵の如き冬の海ANGEL
赤き橋渡りて冬の海の上A茉莉
冬の海バカ野郎は聞き飽きたあいあい亭みけ子
軽石に覆われ喘ぐ冬の海愛華沙羅
小屋守の子猫若狭の冬の浜間むつみ
冬の海一筋の朝陽照らす道青橘花
朝ラーのチャーシューのゆげ冬の海葵かほる
東雲やリネンのやうに冬の海葵新吾
夕暮れの清盛像や冬の海葵そら
雲までも侵食するか冬の海青井晴空
全方位的恋するんだから冬の海青に桃々
泣き声の主は天女や冬の海青野遊飛
呪ひもあり祈りもあり冬の海よ青葉月
水晶の欠片を蒔けり冬の海蒼鳩薫
未だ見ぬ亡父の郷の冬の海赤子沢赤子
トンネルを抜けて月さす冬の海赤松諦現
黙々と走る前方冬の海あかり
江の島で寿司食べ眺む冬の海聰子
冬の海ソナーの魚群競う船昭谷
冬の海今宵も小さき我が釣果秋乃さくら
冬の海なつの涙のとけ残りあきののかなた
握る手も思わず強く冬の海秋山誠
冬の海まだまだ遠き静けさよ秋代
波挑むサーファー目指す冬の海天空海まりん
去り際の息をする顎冬の海あさいふみよ
冬の海妻の待ちたる陽は零れ朝雲列
エンジンに隠せぬ鼓動は冬の海麻の実薫
寂聴尼言霊永遠に冬の海亜紗舞那
停電す止まる車窓は冬の海あざみ
冬の海途方に暮れる山爺明日良い天気
鴎さへ雲下に籠めむ冬の海飛鳥井薫
冬の海15は昔と目をこらすあそぼ葉
親不知駄々っ子のやうに冬の海あたしは斜楽
冬の海マッコウは只熟考す新子熊耳
冬の海ポケットの中で手を繋ぐakkotas
潮汐の乱調の美の冬の海渥美こぶこ
冬の海「末の松山」波越えた跡部榮喜
冬海の鈍色濃淡動きけり阿部典子
冬の海佐渡から能登へお大師様sakuraa.
この世にも彼の世にもなる冬の海天川滴翠
叔母想う能登の岩のり冬の海尼丁和江
冬の海宅配ならば明日着くアマリリスと夢
冬の海を捜索船の照明弾雨霧彦@木ノ芽
幾筋も天使のはしご冬の海雨李
母が撮りし我と砂丘と冬の海あやや
冬の海ガソリン代は忘れとこあゆか
身を置けばふと父の声冬の海あらら
浚渫のこぼす碧波冬の海蛙里
鈍色の人生もあり冬の海有本俊雄
冬の海ずーっと向こうにツバメいる飯田むつみ
ダンスの子幾人かいて冬の海飯田淳子
未来地図描けぬ私冬の海生野薫
「運命」の鳴り響くごと冬の海郁松松ちゃん
吹き荒ぶ砂丘の果てや冬の海いくみっ句
気は満ちておぼつかぬ身は冬の海池愛子
冬の海いまにも雲と混ざらんや池内ねこバアバ
冬の海肴は潮と焚き火味池田華族
冬の海描く筆の墨の重みや池田村路
海峡に残る汽笛や冬の海池之端昇雲
納骨の島へ船ゆく冬の海石井茶爺
探し物見つけられずに冬の海石岡女依
夜行バスまだ鈍色の冬の海いしきひさき
思い出のCDを割る冬の海石崎京子
刻こくと風紋描く冬の海石下文子
肩よせて陽射し求める冬の海石田恵翠
濤声に迷い消したし冬の海石間毅史
父の如威厳に満ちた冬の海石本美津
答えは要らぬただ聴いてくれ冬の海伊集院十走
母の床越えて明るき冬の海いずみ節子
冬の海俗事なぞ呑み込んで散れ泉千尋
露天から天地を想ふ冬の海板津和貴
まるで仁王人寄せ付けぬ冬の海市場さと枝
冬海や凪て岩の藻掻き採る手樹十後
しづめればきえるだらうか冬の海一斤染乃
親となる途ぞや尚も冬の海いっちーりっちー
捨てはてて風ふき抜ける冬の海伊藤節子
冬の海だんだんポケラポット影伊藤正規
冬の海裾をまくってごみ拾い稲垣由貴
外つ国のボトルも連れて冬の海井中ひよこ号
冬の海山友ふたり登山靴稲葉こいち
冬の海小言も沈め鼠色稲葉雀子
冬の海の冬は波の先の泡居並小
冬の海戦死の父を思い出し井上幸子
冬の海さよならだけの走り書き井上橙子
黒赤に青添へ描く冬の海ゐのかたゆきを
トンネルを抜けて怒涛の冬の海今井淑子
涙枯れガム膨らませ冬の海彩人色
日の出まつ車内のふたり冬の海色葉二穂
怒号吐き波砕け散る冬の海ゐろをふくむや
連山を押し込む波や冬の海岩田勇
舞い散る白きもの呑み込む冬の海vivi
石巻今は眠れる冬の海植田かず子
冬の海初めて聞くペンパルの声上田次郎
冬の海や拉致されしくにのしぶきうた歌妙
ペンキにて採貝禁止冬の海うつぎゆこ
海底は大水槽な冬の海うっちーまみ
荒波や親子を分かつ冬の海卯花かろん
白浪や刃のやうな冬の海海口竿富
煙突のけむり真横に冬の海海野碧
寂しさも引いては寄せる冬の海海坊主2021
冬の海カラスの帰路の乱円舞うめがさそう
冬海やあの童心のピアニスト梅里和代
冬の海水中眼鏡辿り着く梅ジャム
軋みゆく父の喉頭冬の海梅野めい
冬の海あと二駅の復路かな浦文乃
冬の海命の期限知らされて麗し
冬の海入る勇気もないくせに江田綾子
強情は誰にも負けぬ冬の海越後縮緬
海苔網が平らかにする冬の海江藤薫
サスペンスいま捕まるよ冬の海江藤真治
冬の海夜汽車の窓に素顔映す江戸川ちゃあこ
時間切れ進路相談冬の海榎本はなちゃちゃ
憤怒も諦めも冬の海に投げ笑姫天臼
冬の海赤煙突に集う釣り好き江本光景
大丈夫を繰り返す父冬の海えりいも
きざはしの先は暴風雨の冬の海円美々
引潮を浜に見送る冬の海遠藤玲奈
冬の海あなたと手を繋いでた大石聡美
冷たきは女の臀部冬の海大熊猫@四句八句
寂しさや波の音増す冬の海大阪駿馬
冬の海荒き波と佐渡の影大島一声
冬の海一両だけの軋む音大嶋メデ
東尋坊怒涛の猛る冬の海大谷如水
泣きさうな子のひざ撫でし冬の浜大塚恵美子
文学館の窓に広がる冬の海大津美
ウルトラマンまねするこども冬の海大野美波
冬の海波音騒ぐ老いの胸大原妃
冬の海塒忘れて飛ぶかもめ大本千恵子
キリキリと光突き刺す冬の海大山きょうこ
汚染水制御不能や冬の海大山小袖
逝く君とかなわぬ別れ冬の海岡れいこ
艶増す性を消したる為に冬海へ魚返みりん
冬の海心の底に妻のゐて岡﨑宙夏
冬の海黒い舟かげ白い波岡田一了
冬の海泡たつ向こうは異国の地岡田ぴか
冬の海涙乾かす父の隣おがたみか
灯台も音がかき消す冬の海岡塚敬芳
タイヤ跡砂に残せり冬の海岡本
黒き雲光芒放ち冬の海奥田早苗
街動くクルーズの旅冬の海奥ノ木蛍子
冬の海波の月影蒼白き奥の昼行燈
のほほんの世に疫病の冬の海小倉藍朱
油坂超えても見えぬ冬の海小栗福祥
あいつには似合わぬスーツ冬の海オサカナクッション
冬の海触れるディスプレイ静電気おさむらいちゃん
亡き友の笑顔まぶしき冬の海お品まり
釣果よりカップ麺嬉し冬の海小田孝子
ラジオから異国の声よ冬の海おでめ
画用紙に描く想い出冬の海お寺なでしこ
慟哭も泡と攫ふや冬の海音のあ子
冬の波身に住む魔物を飼い慣らすおぼろ月
ものかなし原発有す冬の海沢瀉あけみ
別府湾朝日と競う冬の海小山田之介
家出して眺む湘南冬の海おんちゃん。トリオTheヘンタイ
冬の海覗くなぞりし曇り窓菓果
孤島からボトルが届く冬の海海音寺ジョー
我ならば海底に棲む冬の海海鮮丼
老犬と酒と泪と冬の海海碧
暮れてなほ寄せては返す冬の海香依蒼
冬の海トロ箱上げる手は強くかえるL
しんかい2000ゆつくり浮上冬の海馨子
冬の海艦はろばろと帰り来ぬ案山子@いつき組広ブロ俳句部
荒れ狂う自身の心と冬の海柿野宮
見たこともない顔みせる冬の海笠江茂子
面会は5分限定冬の海梶田美保
煌煌とコロナも飛ばす冬の海加島
手術の日窓を震わす冬の海鹿嶌純子
冬の海褐色(かちいろ)潜む高級魚花純広場
わが内の父ありし頃冬の海カズン
子育てを丸めて捨てたい冬の海風ヒカル
聞き慣れた般若心経冬の海片栗子
冬の海赤きこころを濤に螫す桂葉子
陽の癒し崇高に待つ冬の海加藤紗子
わきまえず泣き腫らしても冬の海加藤雄三
脳に棲む海馬は痩せて冬の海かとの巳
冬の海ざらり分子の際立ちぬかなえの
写真なか褪せた二人と冬の海金子真美
償いのしようもなくて冬の海かねつき走流
親不知未完アートの冬の海神谷米子
冬の海蝕むマイクロプラスティック白鳥古丹
冬の海五足のくつの陽よろこび亀井汀風
砂浜に子犬遊ぶや冬の海亀田稇
時剥がるトーマス・マンの冬の海亀の
垂れこめる雲と交わる冬の海亀山逸子
ボトル流すハワイに届け冬の海かもめ
曖昧な映画の終わり冬の海かよ
ノスリ舞ふ騒つく水面冬の海カラハ
母呼べとつぶてで叩く冬の海狩谷わぐう
冬の海牙剥く波の呻き声川野カッパ
タマシイが雨粒に溶ける冬の海カワムラ一重
冬の海落暉に染まり老いふたり川村昌子
英霊の墓地の彼方に冬の海閑蛙
真黒な冬のオホーツク海忘られじ樺久美
冬の海老いゆく喉の夕餉かな紀杏里
肌と肌近づく夜明け冬の海KII
辿りつく祖母のルーツや冬の海黄桜かづ奴
一人旅冬の海にて叫ぶ愚痴如月霞
最果ての宿で飲む酒冬の海酒暮
冬海や吾子の夜泣きの果てしなき季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
父逝きて無音で荒れる冬の海北の36号
食卓に並ぶ恵みや冬の海北の貴子
潮の泡をふみかためたし冬の海きた実実花
浮城のはるかかすかに冬の海木寺仙游
好きの文字ざぶりと消して冬の海木下美樹枝
冬の海悲哀気取らず「バカヤロー!」木野まち
彼の日より刻止まりたり冬の海木原洋子
足早に帰るサーファー冬の海きべし
コロナ禍に退職間近冬の海木村梅代
砕けちる波の余光や冬の海木村かおり
出雲路にラフマニノフと冬の海木村かわせみ
冬の海飛ぶ鳥も無く堺港木村波平
冬の海北前船の荷は重く鳩礼
空いっぱいの北斎ブルー冬の海京野秋水
冬の海へ艦砲を向け記念艦桐野鈴子
クシャクシャのラップ重ねて冬の海銀長だぬき
二枚目の喪中はがきや冬の海空龍
冬の海偉大な指揮に魅せられる草豆
出稼ぎは昭和の記憶冬の海葛谷猫日和
冬の海千島海流漆黒楠美翠
吾を慰める留紺色の冬の海朽木春加
冬の海巌をくだく威勢かな工藤悠久
灯り消すポートタワーや冬の海國吉隆仁
友達になるには重い冬の海倉岡富士子
轆轤ごし亡き父の背に冬の海栗子
砂浜の電飾さびし冬の海くるみ今日子
飲み込んだ欠片も深く冬の海くるみるく
冬の海第四間氷期の憂鬱黒田良
鈍色に浮く鳥三羽冬の海桑田栞
冬の海仰ぐロウニンアジは孤高桑田さなえ
足とらるイラチな父に冬の海桑原和博
燃ゆる陽をぐっと呑み込む冬の海景清華
東尋坊髪を束ねし冬の海恵風
冬の海松原近し富士仰ぐ月昭
冬の海腹にマグマをたぎらせて健央介
白き泡瑪瑙を覆ふ冬の浜紫雲英
澪引くや補陀落渡海冬の海ケンG
流れゆく阿蘇の軽石冬の海源氏物語
発電の羽根向き変はる冬の海剣橋こじ
カーブする車窓に迫る冬の海小池浩美
誤れる前提にして冬の海幸久
履歴書を送り返さる冬の海香田ちり
冬の海一直線の鯔の群れ幸内悦夫
冬の海くらげのやうに蕩ける陽珈琲
文字読めぬボトルや冬の海広し神戸めぐみ
イヤホンを耳に押し込む冬の海こうやこう
天上に光羽ばたく冬の海幸織奈
抽象になりさう冬の海しづか五月闇
すっぽりと夕陽呑みこむ冬の海古烏さや
冬の海痛み堪える歯科矯正こけぽて丸
冬の海凛と漁火煌々と九重葛
冬の海夜に鎮まるを吾知らず孤舟
落書きをしのぶシャッター冬の海小杉泰文
のっぺりと息をひそめて冬の海コスモス
冬の海風に押されながらもゆく鳥よ木積
受験日に渡りし瀬戸の冬の海後藤三梅
冬の海さだめの船の霧笛鳴る小夏すどり
念仏に混ぜし母の名冬の海こにしみさこ
姥島に人影見えず冬の海小林昇
遠き日のマラソンの呼気冬の海小林のりこ
友逝きてただ漆黒の冬の海小松甘夏
亡き友はここに生きたか冬の海小山晃
小魚と卓上コンロ冬の海小山祐治
冬の海小さき我は此処に在り五郎島金時
望み抱きフェリーの底の冬の海西條晶夫
クリオネが踊る故郷の冬の海西條恭子
冬の海波間洗わる志西慎行治
遮断機が行く先阻む冬の海埼玉の巫女
伴奏は津軽三味線冬の海齋藤杏子
ハングルを粉々にして冬の海さいとうすすむ
冬の海小樽土産はクール便齋藤ろめたさ
背を丸め無言の二人冬の海宰夏海
冬の海底は命のゆりかごか坂上一秀
濁る空漁船待つ人冬の海さかたちえこ
夫逝きて心も無彩色冬の海坂本千代子
冬の海波乗る姿点々と相良まさと
風紋の消えゆく果てに冬の海さくやこのはな
冬の海二人に赤き糸は無し櫻井こむぎ
未亡人又ふへてゐる冬の海桜姫5
ふるさとへ義父母と越える冬の海笹おいけ
介護士の長きためいき冬の海笹かま
老いる者我がこころにぞ冬の海佐々木幸江
銃声と咆哮消える冬の海ささきなお
島鉄で早朝補習冬の海紗々
舟底を並べて浜の冬の海さとう菓子
魚たち撥ねて知らせよ冬の海佐藤綉綉
魚積む軽トラ行き交う冬の海佐藤俊
冬の海遠く昔の故郷見る里海太郎
亡き母と風に吹かれる冬の海佐藤佳子
冬の海さんさの矛をポセイドン佐藤里枝子
冬の海能登風の街藍の待ちさなぎ
荒波や私を責める冬の海さんとうせい
冬の海人魚に羽織る物はなく紫瑛
ぷらごみを拾ふ夜明けの冬の海ジェントルASANO
缶コーヒー飲み干してやや冬の海塩沢桂子
襷ゆく汗も煌めく冬の海しかの光爺
しみじみと歌う演歌や冬の海しげとし
情緒安定とは何ぞ冬の海紫蝶
四十四年の遠き遠き地冬の海篠原雨子
深海の熱き石吹く冬の海篠雪
ハングルの舟朽ちゆける冬の海柴山一鷹
まつしろな闇のごとくに冬の浜渋谷晶
無事祈る絵馬ばかりなり冬の海しぼりはf22
鉛色の逆巻く波や冬の海清水容子
老ゆ漁夫の船降る時や冬の海清水明美
冬の海コップ一杯分のウソ十一月菜名
キングの塔へ巨大客船冬の海写俳亭みの
赤黄のサンダル淋しい冬の海ジャスミン
波に向かい叫ぶ人あり冬の海しゅういずみ
冬の海今陽の射して青き潮秀耕
冬の海空に染まって藍色に秀道
曇天に狂波と濃藍冬の海獣羅
烏帽子岩尖り際だつ冬の海湘南じじ
のっぺりと油彩の筆致冬の海正念亭若知古
君の手も俺のポケット冬の海じょん爺
冬の海深みの色は紫に白沢修
四声の発音違うと冬の海白浜ゆい
ウォッカをぐっと一杯冬の海紫龍
燻らせるゲイシャの湯気に冬の海四郎高綱
冬の海二人の影は少し寄り添う白とり貝
鳥となり越えたき北緯冬の海白よだか
冬の海望むサーファーガラス越し新宮雪野
能登線を出で巨いなる冬の海新濃健
冬の海幼子の息暖かし新花水木
時さえも定かならずや冬の海森牧亭遊好
瀬戸凪終日輝冬之海酔軒
冬の海彼方に浮かぶ母の笑みすうちゃんのおやつ
巣立ち今広きリビング冬の海菅原千秋
よく喋る人と歩くや冬の海杉浦真子
冬の海テトラポッドを壊す音杉山博代
冬の海譬へる色のなき悩み 杉柳才
螢雪の砕け散ったぜ冬の海鈴木パンダ
冬の海未明の空は紫紺色すずさん
プラごみに異国の言語冬の浜清白真冬
佐渡も呑みただただ吠える冬の海素敵な晃くん
冬の海伊根の舟屋の静けさや晴好雨独
雲低く神島の影冬の海青児
四幕は鈍色たるや冬の海せいしゅう
解散し冷めたコーヒー冬の海星夢光風
頭垂れ革靴の滲み冬の海摂子
下り坂遠く見えるは冬の海仙台駄菓子
冬の海今が目覚めの刻と知るそしじみえこ
沈黙の町の原子炉冬の海ソフィ
冬の海ゆるぎないのは繋いだ手染野まさこ
頬を寄せ合い眺む焼ける冬海髙上ちやこ
松林ぬけあらはるる冬の海高岡春幸
冬の海父と走りし砂丘沿い多花丘春雪
軽石が日本を襲う冬の海高橋基人
懐かしく船旅に見る冬の海高橋紀代子
窓が聞く長き海鳴り冬の海高橋なつ
冬の海蹴り上げている子供かな高橋裕樹
理不尽という言葉あり冬の海高橋ひろみこ
アメリカは荒波の先冬の海高橋光加
冬の海渚を徘徊ほっといて竹一
冬の海急を告げるか長霧笛多胡蘆秋
冬の海小指の糸を補強する黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
冬の浜自分探しや足沈めただ地蔵
誓子見し白子の冬海閑かなり糺ノ森柊
鈍行のゴトリ停まりぬ冬の海唯飛唯游
小六の黙食冬の海しずか立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
垂れ込める不安は重し冬の海立野音思
冬の海もののけもいる無言の色蓼科嘉
酔い止めの甲斐なし寝たきりの冬の海楯縫十四二
素振りする少年の目に冬の海立部笑子
冬の海フォッサマグナと押しくらべ立山はな子
白線の破線になって冬の海田中勲
名を呼べど怒涛ばかりや冬の海田中洋子
冬の海滅びの前のシャングリラ谷川桜子
冬の海今年を沈め藍ふかし谷口昭子
冬の海無言の主従北上す谷口詠美
冬海や輪島朝市声猛り谷町百合乃
クラーケンぬうと出そうな冬の海谷本
鼻紙が秒で飛ばされ冬の海谷本真理子
冬の浜肉まんひとつ分けあって田畑整
荒波の崖這い上がる冬の海玉井令子
「運命」の調べに似たり冬の海玉木雅代
冬の海ハンバーガーと失恋とたまのねこ
鹿の立つ鉄路に遥か冬の海玉雪兎
かのひとのおらぬ月日は冬の海多美
夕星のひとつふたつや冬の海たむらせつこ
覆い来る鈍色の波冬の海田村モトエ
鈍色の暮れ行く空よ冬の海ダメ夫
愛猫を引取るまでが冬の海たろりずむ
冬海や自殺シーンの間のココアダンサーU-KI
冬の海肺いっぱいに青を吸い淡水亭
命抱く臨月の腹冬の海ちっちのきも
冬の海親父深酒明日も時化千葉睦女
冬の海押す波よ消せこのやみを千夜美笑夢
AMのラジオ途切れし冬の海長楽健司
冬海にしづかに消ゆる陸の底ツカビッチ
寒ぶりの切手や氷見の冬の海月影寒露
ずぶずぶとすべて呑み込む冬の海月影の桃
ミズウオの腹には深き冬の海つきのひと
冬の海白き妖精待ちわびぬつきりんこ
冬の海あやまち濡らす袂かな柘植雅一
立ち向かふ意気込みで来た冬の海辻内美枝子
竜宮の深く沈みて冬の海辻野花
波しぶき呼ぶや拒むや冬の海辻陽気姫
冬の海ぞわわ誰かのゐるやうなつちのこ
冬の海はらりはらりとあぶく散る土屋紅蠍
足踏みに近付いてくる冬の海堤善宏
冬の海晴れて彼方の氷鳴く津端GEE
冬の海轟く圧と灰の空弦巻英理華
歩けども歩けどもまだ冬の海T-京條
冬の海君のアドレス削除してデイジーキャンディー
嘘つけぬ冬の海には恐ろしく哲山(山田哲也)
冬の海海なし県の男にはてまり
磯笛もゆるりと伊勢は冬の海寺尾当卯
川尻は既にまっくろ冬の海電柱
冬の海あの日溢れた冬の海てんてこ麻衣
じょっぱりを仕込む怒濤や冬の海天童光宏
ヒロインは吉永小百合冬の海doいつもcoいつも
冬の海リマン流乗り祖人は来トウ甘藻
大魚手に涙の吾子や冬の海東京子
巻雲や海なし県の冬の海徳庵
運命を刻む指揮棒冬の海独星
冬の海小さき悩みは波に消ぬDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
冬の海ウェダーの紐なおきつくどくだみ茶
潮流は西へ五ノット冬の海としなり
軍港や埋め立て冬の海□どこにでもいる田中
冬の海右側に冷たい風が吹くどすえ
冬の海竜飛岬に日が沈む戸田なお
冬海に誓う前を向いて生きよ杼けいこ
冬の海神の怒りかぬるむ潮刀根山光風
冬の海幼子しゃがみ耳澄ます戸根由紀
冬海はとはに悲しき空の影トマト使いめりるりら
冬の海唸る演歌の十八番かな冨川友香理
生けるもの瞳活きてるか冬の海冨川精子
さぶちゃんの小節を生みし冬の海富野香衣
漁火の静かに灯る冬の海Tomo@雪ん子
父の忌に一羽の鳶や冬の海登盛満
冬の浜セピアのなかの砂あそびとよ
冬の海飛び込む鯔10点満点豊田雄二郎
冬の海彼女の頬をツンと突く鳥田政宗
ゆるる舟全てをまかせ冬の海トレンデイこずえ
つぶやきに傷つくなんて冬の海とんぶりっこ
会えぬ子に横たはる海冬の海内藤由子
サスペンスドラマの山場冬の海中里凜
灯なき宿のララバイ冬の海中島葉月
冬の海波乗る男カフェテラス中嶋京子
海神の怒り浮かべて冬の海中島走吟
アンネへの旅は重たし冬の海中嶋敏子
コンテナ船入港不可の冬の海中瀬すみっこ
頂より見おろす白冬の海ながのりりー
郵便受けの蓋はバタバタ冬の海中鉢矢的
富士仰ぎ今日はごきげん冬の海中村こゆき
故郷を訪ぬるけふや冬の海中村あつこ
冬の海家出の母と50km夏風かをる
欠航の連絡船や冬の海夏目坦
赤い影セッター躍る冬の浜七国独楽男
もう二度と翔べぬこの羽根冬の海名前のあるネコ
冬の海船酔いの先名物鍋なみ夢めも
我を呼ぶ声二度三度冬の海奈良素数
冬の海巨大観音像の無言南行
震災の岸に白波冬の海なんじゃもんじゃ
母眠る冬の海へ花一輪新潟中川思案
寂しさの集大成か冬の海にいやのる
冬の海女優気取って涙する二階堂恵
冬の海カンダタの糸揺れてをり西尾至雲
「もの好きね」こんなはずでは冬の海尼島里志
冬の海汗も滴る地引網二上松風
まろい石ふと拾い上ぐ冬の海日滔
愛犬の老々介護冬の海二和田美枝子
冬の海朝から石を拾う人鵺之疾秋
炭酸のごとく押し寄せ冬の海沼沢さとみ
私はね貴方のことね冬の海ねがみともみ
朝ぼらけ湯気立ち昇る冬の海猫野ふく
冬の海ただ叫んでも叫んでも猫詠たま
岩礁を削り千年冬の海埜水
恐恐恐や波荒れる冬の海野中泰風
闘病の果ては冬の海へさらばののr
冬の海飲み干すまでにさびしくてのの埜
利休鼠色の心よ冬の浜野ばら
浜に赤き滑り台や冬の海則本久江
衆生の骸白けて冬の浜広し羽織茶屋
苦しみを呑めど冬の海は厳か白水
要介護の母のしゃみせん冬の海パクパクポンタ
生きてゆく是非を答えよ冬の海橋爪利志美
湯けむりの立ち昇るごと冬の海波止浜てる
冬の海黄昏女の涙飲み込め一まどか
冬の海弓なり走る五能線馬笑
星座さえ飲み干してなお冬の海長谷島弘安
波のまに灯りひとつぶ冬の海畑中真土
冬の海しろき石みな骨に見え畠山悊央
黒みたる冬の海あり老いの来る葉月けゐ
おとり魚の動かぬ穂先冬の海パッキンマン
つなぐ手の温もり頼る冬の海初野文子
青天の山の向こうは冬の海花岡紘一
冬の浜拾う楽しみシーグラス花岡浩美
冬の浜十指ポケット老いにけり花岡淑子
ウェットスーツ冬の海から野湯へ華樹
冬の海吾が好きかと問いかける花弘
冬の海彼方より子らの声聞こえし花咲みさき
ただ暗く車窓にうつる冬の海花野
冬の海闇を灯台の一秒はなぶさあきら
ゴム落下テスト突き刺しテスト冬の海羽沖
冬の海心模様を語りけり羽馬愚朗
冬の海ぬくぬく湯船ああ恋し馬場裕子
冬の海僕も周りも釣り吉さ馬場勇至
冬の海汚れ引き受け今日も青浜けい
冬の海町越え聞こゆ波の音浜屋浜風
遠ざかるうしろ姿や冬の海早川令子
嘘と知り知りつつ黙す冬の海原善枝
冬の海ひかり一条佇んで原島夏翠
シーソーのごと冬の海越え佐渡へ原島ちび助
冬の海雪と見紛う軽石や原たすく
冬の海深藍の沖波白し原野乃衣
冬の海噴火し軽石おしよせる原宣子
冬の海ぴんと張り詰め空を射る針子のネコ
砂が飛び大波砕ける冬の海haru.k
冬の海拗ねているのか波高し春爺
冬の海不気味に舞い散る潮の花晴海南風
冬の海きすいの水を丸めこみはるる
魚釣り凄さが混じる冬の海ばんしょう
冬の海つかる湯船のやわらかさ榛名ぴぐもん
冬の海荒れた波だけ映されて万里の森
お茶揺るるサンダーバード冬の海光源爺
冬の海氷見の姉から退院報ひぐちいちおう(一応)
はためけるウェットスーツ冬の浜樋口滑瓢
ひとり来て風連れ帰る冬の海樋口ひろみ
病室の母みた景色かな冬の海久鍋得利子
若き僧我を探して冬の浜ひすい風香
身の動き寂しさつのる冬の海美泉
心病む子の歌い出す冬の海美竹花蘭
靴底の砂払えない冬の海日向の球磨
豊穣を秘して刻待つ冬の海ひな芙美子
陽光の煌めきしかと冬の海氷室茉胡
貝殻を探し忘れる冬の海ひめりんご
冬の浜地球のゴミの最終章雛子なな
冬の海背にし西施はたおやかにひよこねいさん
番小屋に湯気立ちのぼる冬の海平井由里子
手術終え天使の梯子冬の海平岡花泉
蔵王からシュプール描く冬の海裕子
ふるさとに南の魚冬の海廣重
誰も彼も無口になりし冬の海広島立葵
冬の海二艘は旅へ西と北琵琶京子
冬の海鈍色一点陽のひかり深見節子
弦叩く三味線の音や冬の海深夜のり子
冬の海とき舞ひたらむ佐渡の空福川敏機
冬の海父の残せし大くさめ福山文子
巨魚跳ねる釣り縄唸る冬の海福弓
冬の海孤独と在りて冬を抱くふくろう悠々
悲しみをかき消す波音冬の海藤井聖月
ハングルのプラゴミあまた冬の浜藤倉密子
何もかも捨ててしまえよ冬の海藤里玲咲
まだ他に胸中にある冬の海藤の湯
アイドルデビュー終え冬の海歩く藤乃雪
風紋のただひろがりて冬の海藤原涼
悲しみは全部捨てろと冬の海藤原訓子
冬の海胎児育む母のごとく布野悠乃
流木を我が身とおぼゆ冬の海文月さな女
冬の海天使の梯子にカメラ向け古澤久良
燃え移りテント飛び込む冬の海ヘッドホン
冬の海風乗りのパラ空ひとつベニヤサン
そんなもの愛とは言はぬ冬の海べびぽん
色なくて怒濤渦巻く冬の海ほうすい
荒天やグレー群青の冬の海房総たまちゃん
冬の海船酔い耐へて四国かなぼくのはね
星たよりに行くさきは冬の海か星雅綺羅璃
じんじんと痛む頭や冬の海星月さやか
冬の海一目散に夜汽車ゆく甫舟
冬のうみ車輪止め踏み超えて今ポップアップ
太陽は死せり真冬の日本海堀卓
血も凍る父の一言冬の海堀江弘子
冬の海暮らす魚の代はりけり堀隼人
まず一献踊る肴と冬の海堀邦翔
難民の子のつぶらな瞳冬の海梵多
声の限り罵詈雑言を冬の海凡々
漁解禁老父漕ぎ出す冬の海凡狸子
冬の海しぶき舞い散る東尋坊ma_tant.
冬の海それでもひとり走りだす茉叶
ひび割れの手見つつ冬海はあおし真壁和子
浜太鼓まなぶ子の背に冬の海真壁寛
行楽や今は懐かし冬の海真壁史明
冬の海収めて冷えしスマホかな槙由梨子
冬海や磯を掻き分け波の華眞熊
冬の海白き帆船に向かい風雅王
冬の海泣いて叫んで好きやから雅蔵
冬海やSiriへ質問無視さるる眞さ野
釣果ゼロ野良猫ひもじ冬の海マジカニャンチョロー
いずこから悲しき口笛冬の海松井研治
怒濤寄せ岩が潮吹く冬の海松尾祇敲
東尋坊ビロードのごと冬の海松島美絵
ジブジブと白き泡満つ冬の海松平武史
人工樹仕舞ふ頃合い冬の海抹茶子
波しぶき列車の窓に冬の海まつとしきかわ
薬飲み君と飛び込む冬の海松野蘭
松原を抜けて向かえり冬の海松村貞夫
蒼藍をなす太平洋側の冬の海松本修
帰る背に遠鳴る波や冬の海松本裕子
冬の海かけそばすする友の顔松本牧子
冬海や舫ひ船無き十三湊ままマリン
合宿の朝のダッシュや冬の海真宮マミ
手をかざす客船眩し冬の海豆福樹々子
ただそこに日々の暮らしや冬の海まやみこ恭
どよめきと大漁旗の冬の海真理庵
立ち止まり振りかえること冬の海眞理子
真似てみる黒の革ジャン冬の海まりっこ
冬の海きしむテグスにズームイン○エツねも
冬の海目凝らせば遠く闇畝る真路巴笛
冬海やテトラの鳥は誰を待つ万事丸
冬の海癒しか炬燵か龍馬像mia
時刻む潮吹岩や冬の海みいにゃん
船も鳥も鈍色に染め冬の海三浦ローズ
安寧を願い眺る冬の海みかん氷
冬海を見る三十分の逃避三茶F
暖かい恋人繋ぎの冬の海水樹由希
轟も胸虚ろなり冬の海三須多敏
渟名河の翡翠の色に冬の海みずな
重い口開けとばかり冬の海水野綾子
冬の海火照りて弾く残照水乃江辰
耳閉じて夕陽描きし冬の海巳智みちる
冬の海海無し県に嫁ぎけりみちむらまりな
暗闇で煙草燻らす冬の海美月舞桜
僧崇英の経や鎮まれ冬の海瑞季ゆうな
天国の夫を詠み妻冬の海光子
冬の海波待つ彼の背に富士や三橋ひかり
天を突く鳥取砂丘冬の海みつまめ京子
冬の海釣り糸垂れてカップ麺湊かずゆき
能面の怒りの如く冬の海南風紫蘭@木ノ芽
冬の海岩に噛みつく波しぶきみなみはな
湊への古道を歩く冬の海三保鶴
冬海や駱駝の列の遥か先みほめろ@いつき組広ブロ俳句部
冬の海伝う涙と波飛沫宮内潔
冬の海空き缶ひとつ握りしめ見屋桜花
ひと晩に足跡消して冬の海宮田羊
冬の海観測条件調いけり宮原みかん
もう一部願書取り寄せ冬の海雅乃珠晃
網かつぐ次男や眩し冬の海美山つぐみ
鳥寄せず魚(うお)を沈めて冬の海宮村寿摩子
光さえ風に吹かれし冬の海宮村土々
軽石に荒ぶ魚や冬の海妙
空っぽの庭に寂しさつのる冬の海夢民庵世々
遠望に釣り舟かすむ冬の海朝顔みどり
冬の海筆あと残す船二艘無形八治
故郷の駅や車窓へ冬の海無弦奏
てれくさいキラキラ照らす冬の海向原かは
冬の海ならば行きたき影法師睦月くらげ
冬の海見つめる母なき修司かな六浦筆の介
船上に留まる鴎冬の海むねあかどり
冬の浜しづか拝む人の影無恙庵閑酉
手を合す小さき老婆冬の海望月ゆう
くだらんと呟き読書冬の海望月朔
父と行こう釣友の待つ冬の海へもちづきゆきの
冬の海しづかやひとむれの鳥は本山喜喜
冬の海神の嘆きを映しけりmomo
子犬抱く夕闇迫る冬の海桃花
冬の海夕日雲間に重く照り桃香
駅前の紫煙の隅に冬の海森毬子
子の寝息アクセル加速冬の海もり葵
冬の海ブランドロゴの服の犬森中ことり
冬の海白い景色に貝ひとつ森ひのき
冬の海悶々知らぬとカラス鳴き森翠
船人の想い飲み込む冬の海森谷拓之
身のうちに冬の海から来た魔物森山遊鳥
冬の海生命スープの揺籃歌もろ智行
竿さきの道糸張りて冬の海焼津昌彦庵
冬の海母と汐汲み忌明ける八重葉
吾ひとり藍鼠色の冬の海八島裕月
鈍色の涛の轟く冬の海安田蝸牛
漆黒の多感の語らい冬の海奴
浮き見つめ今か未だかと冬の海柳井るい
波音が波の音立て冬の海柳川耀一郎
冬の海ネオンのごとしイカ船へやのかよこ
穴持たず嵐を起す冬の海山井直
荒行を超えて幸あり冬の海山内景子
冬の海酒で暖とる下戸の父やまかぜ
冬の海胎児の踊る小宇宙山川腎茶
遠き日の父母の諍ひ冬の海山口一青
冬の海水色ボトル漂いて山口香子
満ち満ちて誕生を知る冬の海山口たまみ
切りすてて切りすててなお冬の海山育ち
持てるもの捨てて清し冬の海山田啓子
冬の海みかんみたいなゆうやけきれい山田樂
ヴィーナスの誕生のごと冬の海ヤマコー
冬の海黒きコンニャク襲い来るやまだ童子
冬の海怒涛逆巻くどどどどど山田文妙
夜の居間ゲーム機スマホ冬の海山野花子
富士山や大き夕日の冬の海山薔薇
急坂の駅舎にせまる冬の海山辺道児
灰青の空裂く怒濤冬の海山本蓮子
冬の海父の汽笛を母待てり山吉白米
列島成りて離れ離れの冬海よ優入文
水しぶき目も開けられぬ冬の海夕凪丸
初めての交際三日冬の海雪白椿
髪を切り心機一転冬の海雪ノ下青観
満員の船弄ぶ冬の海弓原トーヤ
餌木が舞うイカよ掛かれと冬の海吉哉郎
塩まみれなるごみのやま冬の海吉川拓真
国境の空は鈍色冬の海葦たかし
冬の海砕ける波の温かき吉田びふう
冬の海見た日遙かな山暮らし吉田まゆみ
波を待つサーファー熱く冬の海吉藤愛里子
礁打つ波白々と冬の海与志朗
未解決拉致問題や冬の海四葉の苦労婆
カニ食べるために合宿冬の海Y・りこ
冬の海なくした手紙もあの中に夜紫遠
幻の白鯨眠る冬の海流流
冬の海ダダダダダダン叩きけり鈴音
もう二度と船には乗らぬ冬の海凛々
乱世の若君の呱々冬の海るんやみ
冬の海おっぺしの浜に我が身置き麗詩
冬の海洞に潜みてひかりごけ 蓮香(山端直子)
軽石漂着太古の冬の海紫雲英田
鈍色の落暉雲間に冬の海連雀
嵐来るステーホームや冬の海蓮風
黒雲の裂け目が光る冬の海わかなけん
呼べど呼べど声届かず冬の海若林千影
冬の海たまの晴れ間の波の音わたなべすずしろ
冬の海魔物の如く波を打つ渡辺香野
冬の海F点滅の港かな渡辺陽子
冬の海浪穏やかな余生かな侘介
サイレンの残響重たく冬の海吉田里香
冬の海岩噛む濤のうねりかな大村真仙
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号には苗字を!
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 軽石よ いずこに去れし 冬の海小杉紀久代
- 冬の海 波打ち静かに 雪は降るたたら
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●一句一季語から練習
- 冬の海釣れない釣りで底冷えし伊藤テル
- 冬の海寒さ薄める月の影大原雪
- 一人きり今年は寒い冬の海尾関みちこ
- 冥海に白鳥一羽冬の海かめよかめ
- ビスケーの冬海船や虎落笛河上輝久
- 凍る朝ジュエリーアイス冬の海齋藤メガネ衛門
- びゅうびゅうとマフラーなびく冬の海高倉夢羽
- 冬の海人喰い鮫と格闘や田中善美
- 冬の海寒いけれども芯は厚いねこねこ
- 息を呑むスケートリンク冬の海みことのりこ
- かにちりの向こうに見える冬の海服部たんぽぽ
- 寒禽や一羽たゆたう冬の海麦畠案山子
- 冬海の夕焼けハロゲンヒーター元仲良
- 匂うごと凍みる大根冬の海山崎鈴子
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
- 冬の海子らとかき焼く鳥羽のうみえみばば
○この「かき」は、牡蠣であろうが、柿であろうが、季重なりになるなあ。まさか「かき焼く」という複合動詞ではなかろうが……。
●兼題とは
- 百万のたましひねむる北の海朶美子
- 砂浜で 拾いし貝は 母の骨桂
- しんしんと降りゆく雪は青の中加藤史佳
- 冬支度梅のすっぱさ頬緩む黒田亜紀
- 静寂と無音のはざま散る紅葉幸良礼恩
- ザバーンバン波の強さに目を見張る白水秀美
- 碗のひび指に親しき小春かなににこ
- フクを呼ぶ底無しの黒シナ海で藤井弘子
- 薄曇り寄せては消える波の花湊弘
- 堀炬燵辞書傍らに規格なす山本弘
- かさかさかさ砂上翔ける落ち葉湯谷梓
- 檸檬しぼりほおばる生牡蠣汽笛の音よしくにみょうぶ
○今回の兼題は「冬の海」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
●入力漏れか?
- そこに行ったら現実逃避真壁花波
○上五か下五に「冬の海」と入れるつもりだったか……。
●文字化け
- 冬の海錆びし?の船眠る山口 絢子
○文字化けってのは、ネット俳壇の宿命。諦めるしかないか……。
●先月の兼題だ!
- 鶏頭はマーズアタックに似たやつ大神 阿修羅
- 河岸の戦い武器は枯鶏頭丘の上太郎
- 鶏頭や首領めく赤く寄植えに花鳥風猫
- 鶏頭の根はマントルへ伸びてゐる玉庭マサアキ
- 鶏頭やむかし親父の屠る庭武者小路敬妙洒脱篤
- 鶏頭を叩いて揺れる反抗期雷紋
○これらは、前回の兼題です。〆切に間に合わなかったか! ちなみに、全部で十七句あった……とほほ。
●類句いろいろ
- 冬の浜ペットボトルにハングル語雨李
- ハングルのペットボトルや冬の海伊藤亜美子
- ハングルの掠るるボトル冬の海多事
- ハングルの文字色褪せし冬の海杜まお実
- 冬海へ夏の思い出捨てにゆく入江幸子
- 冬の海にかなしい思い出を捨てにゆく大石聡美
- 冬の海心を捨てに人は来る蒼來応來
- 冬の海「砂の器」の父子消ゆ紫瑛
- 冬の海「砂の器」の父と子と後藤三梅
- 冬の海腹にマグマをたぎらせて健央介
- 冬海や胸にマグマを眠らせて島田あんず
- ラニーニャはお天気娘冬の海じつみのかた
- ラニーニャは何処の女か冬の海主藤充子
- 底抜けの柄杓沈めて冬の海さくさく作物
- 底無しの柄杓放りし冬の海楯縫十四二
- 冬の海しばらく来ない人魚姫三茶F
- 冬の海ここにはいない人魚姫渥美こぶこ
- 冬の海眺むる人のみな手ぶら平良嘉列乙
- 冬海に来る人は大体手ぶらはんばぁぐ
- 冬の海空の固さに軋みをりうさぎまんじゅう
- 冬の海空へ継ぎ目の軋みかなかいぐりかいぐり
- 焼香はニ番目冬の海軋む石川巴里
- 定時離陸機窓に軋む冬の海石川巴里
- 軋む音見に網走の冬の海石橋千佳子
○短詩系文学において、類想類句は宿命です。どうやって、類想を回避するのか。それを工夫していくのが、俳句という言葉のパズルの面白さなのです。俳筋力をつけつつ、一緒に学んでいきましょう。
お待たせしました!11月の兼題「冬の海」の結果発表でございます。21年もたくさんのご投句、本当にありがとうございました!
1月「風花」からはじまり、11月「冬の海」まで、なんとなんと総計4万3333句!!!!毎月ご投句いただいたみなさまはもちろん、毎月選句いただいた夏井先生、改めてお礼申し上げます。来年もぜひ、「俳句生活」をどうぞよろしくお願いいたします(編集部より)。