夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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2月の兼題

「霞」

2月の審査結果発表

兼題「椿」

お待たせしました!2月の兼題「椿」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。過去の兼題でも特定の花が登場したことはありましたが、今回の「椿」は何となく、ぞっとするような、きれいだけれど少し不穏な句が多いような……と感じました。椿の鮮やかさ等がそうさせるんでしょうか? 4月の兼題「蝶」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
空也像おそらく赤き椿吐く

水鏡新

夏井いつき先生より

 日本史の教科書の写真が記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。一読、六波羅蜜寺の「空也上人立像」を思いました。少し前屈みに、顔は上げて立つ空也上人。その口からは六体の小さな仏が飛び出しています。これは「南無阿弥陀仏」と唱えた声が阿弥陀仏となったという伝承によるものです。
 それに対して掲出句は、空也像はおそらく赤い椿を吐く、と断じました。「おそらく」と言いつつ「吐く」と断言し、実際に吐いてはいない「椿」を読者の目にありありと見せる。見事な力技です。
 念仏を唱えれば極楽往生できると説く空也上人。その口が吐く「赤き椿」は血のようでもあり、人の心を動かす鮮烈な言葉のようでもあります。

地
あの波を見たのだろうか山椿

なしむらなし

「あの波」とはかつてこの地を襲った津波でしょう。今、山椿の大木は無数の花をつけています。「山椿」に問いかけるかのような上五中七。「波」「山」、二つの単語をシンプルに機能させた巧みな一句です。

ここからが暗渠まつさらなる椿

板柿せっか

 水に落ちたばかりの「まつさらなる椿」を目で追っているのです。「ここからが暗渠」と言い切ることで、ここまでの水と椿の様子をも活写。暗渠に吸い込まれていく椿のなんと鮮やかなことでしょう。

きれいなのここが椿の爆心地

比良田トルコ石

 「きれいなの」という無防備な言葉で始まり、「爆心地」という心穏やかならざる言葉で終わる一句。「ここが椿の」という呟きのような中七が鮮やかな映像を描き、心に不穏なさざ波を立てます。

椿落つ椿落つ足が抜けない

夏雨ちや

 五五七の破調ですが、内容と韻律が抜き差しならない関係で成立しています。「椿落つ」のリフレインはとめどない椿の渦となり、「足が抜けない」虚の沼へ落ちていきます。這い上がれない椿の沼です。

炙りたる針先あをし夜の椿

げばげば

 棘が刺さった時、縫い針の先を炙り消毒します。「あをし」は炎の色であり、熱されて変わる針の色でもあります。下五「夜の椿」の映像に重なる色の変化の美しさ。夜の奥に浮かび上がる「椿」。

人
  • 重力に単位を付けるなら椿嶋村らぴ

  • 死んでゐるみづや椿の三つ四つ青に桃々@いつき組俳句迷子の会

  • つばきつばき鈍痛のやうないろRUSTY=HISOKA

  • 誰かしら椿を三つ置いたひとまでのこうじありこと

  • 椿つて霊がいそうでほら中に正岡丹ん

  • 銃弾を椿に変える痛みです錆田水遊

  • 椿落ち椿描く皆笑ひけり蓼科嘉

  • 椿椿かなしいときは腹が減るイサク

  • 椿満つこれが逆鱗かもしれぬいさな歌鈴

  • 一日中椿の怒り収まらず新蕎麦句会・凪太

  • 花芯のおいしそうなる椿かな石崎京子

  • 藪椿不法投棄の凹溜まり石上あまね

  • ぼつてりと椿ひらきてみな患部古瀬まさあき

  • 落椿みづすきとほるほど痛い綾竹あんどれ

  • 欄干に椿を置いて待ってますいかちゃん

  • 日の繭の如く椿の咲きかかる仁和田永

  • 椿落つ寂しさを吐き出したる順濃厚エッグタルト

  • 眠さうな椿落ちるか落ちないか登りびと

  • わたしいつ落ちたのかしらと椿問ふANGEL

  • をしみなく光こぼして椿かな愛燦燦

  • 椿にとびこむ影歩みをとめるあいのびふう

  • 白椿吸って鳥語の耳となるあいむ李景

  • 諦めることあといくつ椿落つ青井えのこ

  • 椿あり隠れんぼせし石段に葵かほる

  • 図面どおり乙女椿は開きけり青井晴空

  • 子規の名の鳥の子色の椿咲く青居舞

  • 水面を凹ませ赤き椿かな青空まる

  • ひとつだけ椿の咲いて住み続け大竹八重子

  • 原罪に時効のなくて白椿青田奈央

  • 偉そうな叔母の遺影に椿置くあおのめ

  • 玉椿黒鍵ばかり弾いてゐる蒼鳩薫

  • 椿ぽとり破婚の家の生け垣赤い実

  • 泣き声の主は母なり雪椿赤尾てるぐ

  • 先生にウソつきました白椿赤尾双葉

  • 木工の音は父なり八重椿茜咲

  • 落椿さかあがりなどもう出来ず赤波江春奈

  • 火打ち石自ら打ちぬ白椿赤富士マニア

  • 天国へ抜ける風あり落椿赤馬福助

  • 滝壺に落ちんと座する椿かな赤目作

  • 外廊下あければ椿チリぽりとacari

  • 落椿ふむや踏まずや猫はしる明かり**

  • 園バスをつらつら椿触れて待つ赤尾実果

  • たしだしにみづ八重椿紅椿明惟久里

  • 白椿今朝発売の書影は黄空地ヶ有

  • 閻魔堂までの坂道紅椿秋野茜

  • 出棺の雨に俯く白椿秋野萱

  • 公算のなくて椿は濡れてをり秋野しら露

  • 椿伏す君はゆっくり生きんとす朝雲列

  • たましひのぶんかるくなる落椿朝月沙都子

  • 川岸の真白き椿の水葬明後日めぐみ

  • 心音のやうに椿の落ちにけり淺野紫桜

  • みな椿落ちて予備校開校日あさのとびら

  • 一輪の椿に絞るカメラの眼あじさい卓

  • 円やかな椿赤子を抱くごとくあじさいパスタ

  • 瘡蓋を剥がす快楽落椿葦屋蛙城

  • しんしんと白に埋もれゆく椿飛鳥井薫

  • 咲く椿落つる椿を見てゐたり阿曽遊有

  • 花手水乙女椿へカメラ寄せ愛宕平九郎

  • 椿落つ首みな天を向きにけりあたしは斜楽

  • 白猫に牙のありけり落椿足立智美

  • 吐血後の息塊りて白椿あたなごっち

  • 雨天休業現場事務所の椿新子熊耳

  • 2Hzに頷く象や落椿at花結い

  • ぶら下がり着地の先の赤椿天晴鈍ぞ孤

  • おむすびころりん玉椿のとなりあなうさぎ

  • 教卓の椿畏るる教師かな姉あね猫

  • 夜もすがら椿にトレモロ奏でけりあねもねワンヲ

  • 椿林行けど歩けど視られてる阿部八富利

  • 龍角散さらり紅椿のはらり天風月日

  • びんづるさんの擦れたお顔やつらつら椿あまぐり

  • 手折られた白椿名はマリア様雨戸ゆらら

  • 椿よりあかい赤などあるものかあまどかに

  • 退職の言葉少なし椿の香あまねくみぞれ

  • 波動砲発射しさうな椿なりあみま

  • 椿の寺やパート帰りの写経雨乙女

  • テルミンの不思議な音色椿落つ雨李

  • 引き物の紅茶明るし玉椿綾波まこと

  • 椿、椿、椿、小さき沼光るあややaya

  • 踏み入らばつらつら椿只ならずあらあらかしこ

  • この土の底は宇柳具べにつばき新多

  • 硬さうな水や椿はあした咲くありあり

  • 椿抱く黒髪にしときゃよかったなありいかな

  • 天近く咲く椿には痛みあり在在空空

  • つくばひに浮かべて律の椿かなアロイジオ

  • まだ固きさみどり色の紅椿淡湖千優

  • 頂上へ斑入り椿を右にとる阿波オードリー

  • 落椿蕊の呼吸の音きれいアンサトウ

  • 潮入の池はさみどり椿咲く安寿

  • 朽ちずある離島の句碑よ椿咲く安春

  • 何もかも老いの重さや椿散る杏っ子

  • 押しかけの女房となり庭椿飯田淳子

  • 本陣の椿しづかに見送りぬ飯村祐知子

  • 咲きて黙落つるも黙の椿かな生野薫

  • 己が身に光あつめて照る椿郁松松ちゃん

  • 紅椿や色無き写真の祖母清しいくみっ句

  • 乱雑な色みな足せば白椿池内ときこ

  • 散り際についに名を呼ばれた椿池田華族

  • 花札の深緋に倣う椿かな池之端モルト

  • 椿ひしめく道に集う靴音池ノ村路

  • 花椿がいこくじんの話し声石垣葉星

  • 白い道椿の赤まで黙って歩く石川恵里香

  • 落椿甘えん坊になった猫石川巴里

  • 軍用機離陸乙女椿落下石塚彩楓

  • 城砦の鬼門椿の赤い道泉晶子

  • 落椿全山渡る魚鼓かな磯野昭仁

  • 隠れ家に放っておかれ薮椿いたまきし

  • 椿落つ小町の上にいくたりも市川卯月

  • 落椿がんばらなくていいんだな市川りす

  • 転がるペットボトル椿に止まる市川隆一

  • 椿落ち椿のあるを知る神社無花果邪無

  • 玉椿まわせばカチリと言いさうな五つ星

  • 祖父よりも椿を想う何が悪い伊藤テト

  • 文政よりうちの家主はこの椿伊藤柚良

  • ソプラノの声ふくらみて玉椿糸川ラッコ

  • 天草や崖に揺るがぬ紅椿井中ひよこ号

  • 歯磨きは生き抜く意志ぞ紅椿伊奈川富真乃

  • 珈琲が埋める喧騒白椿稲葉雀子

  • 不貞寝から覚めて椿くづれてゐる稲畑とりこ

  • まだ椿あったよ親子面会日居並小

  • 休日の園庭ぼくと白椿伊縫音々

  • 引き出しの反故のチケット落椿井上れんげ

  • 椿咲ク右横書キノドロップ缶井納蒼求

  • やかましい椿だ叱られたとこだ井原冴

  • 椿満つ昏き廊下の墨書かないまいやすのり

  • 園児みな数えておりぬ落椿今西知巳

  • 赤椿ぼとぼと硝煙の匂ひ妹のりこ

  • 未来しか見ません残りたる椿伊予吟会宵嵐

  • 椿落つ重力加速度のふしぎ伊予素数

  • 大きなる波紋椿の蹲へ五郎八

  • しがらみを抜けて完璧なる椿色葉二穂

  • 墓地の道椿を今日の散華とすいわさちかこ

  • 北限の椿の紅を未だ追いぬ岩清水彩香

  • 断崖のここに風葬なる椿磐田小

  • 薮椿知らんぷりつて難しい植木彩由

  • 振り返るほど音立てて椿落つ上野眞理

  • ジャム瓶の紅い椿とチロルチョコうえはらじゅんこ

  • 椿また生まれ代わってまた落ちる上原淳子

  • 竹筒に蕾ほどける玉椿上原まり

  • 椿朽ち始む言葉に触れてよりうからうから

  • 柏手に鳥飛び立ちぬ白椿うさぎまんじゅう

  • 落椿拾う心はまだ痛む宇佐美好子

  • 縁結び縁の切れたる椿かなうた歌妙

  • 吾の憂さを重力として椿落つ内田こと

  • 平家谷おつる椿や家十戸内本惠美子

  • 踏むのなら踏めよと椿落ちにけり空木眠兎

  • つばき椿お宮へ遊びに行ってくるうつぎゆこ

  • やはらかき鳥の骸よ藪椿靫草子

  • ふるさとのほう向いている椿かな卯波まり

  • 吸い込まれたら分かる椿の気持ち宇野翔月

  • 老猫は椿踏む音立てにけり海口竿富

  • 伴天連の削がれし耳や赤椿海野あを

  • 椿赤し遺品整理の二トン来るうみのすな

  • 側溝に椿見上げてまた椿梅鶏

  • 尼寺の椿の咲けば立ち話梅野めい

  • 忘却はすがすがしくて白椿浦野紗知

  • 町医者の庭のつらつら椿かな麗し

  • 沈黙や椿の開く通勤路詠頃

  • リーフパイほろり車窓の落椿江川月丸

  • 掌の椿に緋色てふ重さ蝦夷やなぎ

  • 元町は坂道ばかり紅椿越冬こあら@QLD句会

  • 玉咲きの吹掛け絞り椿の夜絵十

  • 学校に行けず椿の落ちる音海老名吟

  • もういいよこんなに椿きれいだし笑姫天臼

  • つらつら椿色なき鳥のゆらんゆらん絵夢衷子

  • 薮椿なぜ私だけ生きているえりいも

  • 玉椿ふはりとひきぬけふのまゆえりべり

  • 子は一番きれいな椿拾ひけりえんかず

  • 室外機三台先の紅椿円路

  • 椿咲く八畳の間に十五人縁穐律

  • 祖父愛でし乙女椿の売られゆく遠藤千草

  • 足留むる赤信号たる椿遠藤玲奈

  • 置き薬いつもこの時期椿咲く円美々

  • ぽつてりと椿ぽかんと落椿旺上林加

  • 憲兵の睨む落椿の深紅近江菫花

  • 玉椿いまだ渾名を呼ぶアイツおおい芙美子

  • ちょび髭の連長逝きぬ落椿大江鈴

  • 椿落つ十四センチの手術痕大岡秋

  • 椿よもう思ひ残す事はないか大越マーガレット

  • 肩に降る罵声払うや紅椿大小田忍

  • もう咲くか角の椿よもう咲くか大阪駿馬

  • 恨まれて恨んで独り落椿大塚恵美子

  • 夜の椿にほふ女の口ひらく大津美

  • 輪島塗塗師屋の庭の大椿大西和美

  • 黒猫のぬるんと抜くる藪椿大山和水

  • 紅のない化粧椿を切るために大和田美信

  • 椿つばき鬼瓦の髭とりどりおかげでさんぽ

  • 落椿拾へば其処にある虚ろ可笑式

  • 火の山や噴きて咲きしか肥後椿岡田明子

  • ひとつだけ秘密明かさう白椿おかだ卯月

  • 勲章を辞したる胸や八重椿緒方朋子

  • 縁枯れの椿とどまり日をあびる岡田ぴか

  • 溶岩の先は此処まで藪椿岡田雅喜

  • 繋ぐ手に挟まる椿あたたかくおがたみか

  • つらつら椿夫はメモ魔で静穏で岡山小鞠

  • 紅椿島の助産所今朝しずか小川さゆみ

  • 総身の赤喀き切るまでの椿かな小川野棕櫚

  • 琉球の記憶をひらく白椿小川野雪兎

  • 一山の血潮はここに藪椿小川都

  • しらじらと白湯に明けゆく紅椿おきいふ

  • 君が泣くまで白椿落ちるまで沖原イヲ

  • 肉界に未練ぎようさん落椿荻原湧

  • 藪つばき風の鳴る道灯台へ奥田早苗

  • 松明の火の粉避けるや良弁椿奥寺窈子

  • 田畑の準備せよと本家の椿咲く小倉あんこ

  • 椿咲く百円ガチャの無愛想おこそとの

  • 落椿父の命日近付きぬ小島やよひ

  • 甕に挿す椿の支点揺るぎなしおだむべ

  • 遊郭の裏にお稲荷紅椿越智空子

  • 椿は咲く番号は飛ぶ掲示板落句言

  • 落椿表面張力とふちから音羽凜

  • 君のうそ飲み込んでをり落椿帯壱

  • フランス語の告白ポポポ椿落つおぼろ月

  • 椿つばきあの日の空と泥流とおんちゃん。

  • 窓閉めぬ椿落つるを見せぬやう海瀬安紀子

  • ぽとりくたりへたり椿の死は明るい快晴ノセカイ

  • 片恋に佇む椿すぐそこに械冬弱虫

  • 椿落ちカーンと心失くしけり海堂一花

  • まばたきに落つる椿やまた落ちぬ灰頭徨鴉

  • 呼鈴を鳴らして暫し白椿海峯企鵝

  • 派遣先最終出勤散椿かえるゑる

  • 呆気なく闇と椿が入れかわる火炎幸彦

  • 花つばき海を東に山西にカオス

  • 椿咲く入り江に臨む天主堂案山子@いつき組広ブロ俳句部

  • ポポポンと村の有線玉椿化骨

  • 幾たびも懺悔せしこと落椿風花まゆみ

  • 目印の角に椿と落椿風花美絵

  • 眷属の吐きし椿の生臭さ加座みつほ

  • 現世をごろりと見つめ椿落つ霞山旅

  • 真ん丸な椿歪んでいる地球樫の木

  • 椿一輪そわそわとルージュひく鹿嶌純子

  • 落椿受け取り拒否の私書一通風早杏

  • 子ども会名簿余白へ椿置く片岡六子

  • 一礼の背筋うつくし庭椿加田紗智

  • たへかねてつぼみばらせり紅椿片山蒼心

  • 草庵の藪椿あと一輪に花鳥風猫

  • 花びらの透けて白椿は歌うかつたろー。

  • 鳥だった記憶か椿啄みて桂子涼子

  • 赤鬼の目からこぼるる椿かな桂葉子

  • 椿落つ約束ひとつ落ちにけり花伝

  • 彼の椿鼓膜を撫でるやうに落つ叶田屋

  • 次の社宅庭に椿が咲くらしい金田由香

  • 拾年目を祝つてくれるのか椿仮名鶫

  • 敷石に揺るる葉の影落椿かぬまっこ

  • 死は皆に確かな未来白椿金子泰山

  • 雨の粒椿のなかに溶けてゆく金子真美

  • 呑み込んだ言葉は詩へと椿へとかねつき走流

  • 看護師を続けてみるか椿咲く花星壱和

  • 人間には自死がありけり椿落つ神谷たくみ

  • 二階より椿と乙女見守りぬ紙谷杳子

  • 屋敷うち高々とある肥後椿亀井汀風

  • 地に戦死満ちて床の間に椿亀田荒太

  • しげしげと椿みられて落ちにけり亀田かつおぶし

  • 落ちてより尚ふつふつと紅椿亀山逸子

  • 椿咲き水にほどける魂の澱亀山酔田

  • 捨てられた子犬のそばに椿落つかもめ

  • 蜘蛛の巣にひかりあつめて椿咲く花紋

  • 紅椿猫は十四年生きました加裕子

  • 嗅覚の戻れば先づは椿嗅ぐ加良太知

  • 抜け道に踏切鳴りて良い椿かりそめのビギン

  • 坂道の傘の触れたる椿かな刈屋まさを

  • 紅椿落つまで咲かぬ白椿川内佳代

  • 葉をすべりすべりて散りし椿かな河上輝久

  • 病室はぬるき鳥籠白椿川越羽流

  • 椿見て椿油を選ぶ午後川端芙弥

  • 藪椿回覧板はまた訃報川村湖雪

  • 藪椿八日隔離の母の窓川村ひろの

  • 満開の椿の島を旅立てり川村昌子

  • ターザンロープ椿を抜けて青空へ閑々鶏

  • 田心姫笑まひぬ椿は戀御籤閑酉

  • 晩鐘のほろほろ崩れけり椿喜祝音

  • 一面の落椿みなこちら向くキートスばんじょうし

  • 椿落ち立つ鳥跡を濁しけり季々諧々

  • 落椿夜の余熱に星座めく岸来夢

  • 墨を磨る祖父窓外の白椿季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 椿咲く素数愛する人の群れ北大路京介

  • 椿咲き山道竜の背中めく北野きのこ

  • 折れ針の穴のうつろや落椿北藤詩旦

  • 風除室ほんわか椿てらてらり北村崇雄

  • ぐずぐずの椿男の転職先きだゆふすけ

  • チャドクガも生きてゐるなあ藪椿狐雨こじろう

  • この歳で叱られている落椿城内幸江

  • 裏庭は雨後の瞬き山椿きのえのき

  • 山神の角に椿が咲いてゐた木野桂樹

  • 暁や椿落ちたる音かすか木下桃白

  • 輪郭の翳みづみづし玉椿木原トモ

  • 白椿母の名残の副え木かな木原洋子

  • 御神火が静かなる島椿かなきべし

  • 椿落つ唐突に泣き伏すやうに木ぼこやしき

  • 口あたり優しき猪口や白椿木村となえーる

  • 生きるとは何ぞ異国の紅椿Q&A

  • 顔埋め鋭声の鳥や椿落つ休広忌

  • シーサーと向き合ふ島の椿かなきゅうもん@木の芽

  • 紅つばき海があやしているところ杏乃みずな

  • 椿落つ椿落ちたる部屋となる清瀬朱磨

  • ペガサスの弾痕に咲く椿かなギル

  • 油絵の空はでこぼこ山椿銀紙

  • 一礼の射手の背筋や白椿菫久

  • クラシックカー曲がる椿を映しつつ

  • 最北の椿や荒れた海思ふクウシンサイ

  • 星ひとつほろぶる音を椿かな荻田明子

  • 椿ぷつん永遠なんてあるものか久我恒子

  • 椿落つ骨はくづれて温かく鯨木ヤスカ

  • 日を溜めて台となれる椿かな鯨尺

  • 椿咲きぽとりと落ちる紆余曲折鯨之

  • 大望を抱き椿の島を出づ工藤遊子

  • 白無垢の清し社を玉椿久保田凡

  • 山椿バベルの塔のごとく咲くくま鶉

  • 木にひかりとまらせ緋の椿ふふむ熊谷温古

  • だるまさんが転んだ椿息止める倉岡富士子

  • シケモクに口紅曇天に椿倉木はじめ

  • 落椿しくしく宵を舐めはじめ眩む凡

  • 椿つばき虚ろとけしぬ生家の夜栗田すずさん

  • 約束の場所に落ちたる椿かな久留里61

  • 椿活け口紅買いにいきませう黒瀬三保緑

  • 切り通し抜けて寺内の椿かなくんちんさま

  • 白椿腰のあたりの小さき黒子桂子

  • 死顔の黙は饒舌白椿恵勇

  • 頑張れと言われた椿落ちちゃったけーい〇

  • 椿咲き心の襞のゆるみけり家古谷硯翠

  • 椿落つ一身上の都合にて健央介

  • ゴムパチンコ構ふ射程に藪椿謙久

  • 椿咲く俯瞰の構図今朝の夢紫雲英

  • 落椿ぼそとひと言ありそうなケンG

  • 椿もぎ握ればぼくの革命日剣橋こじ

  • 母の手へ今朝の椿の真白かな小池令香

  • 椿咲く噂話は無用なり恋瀬川三緒

  • ほの暗き道に椿の蘂真直ぐこいぬ

  • 色無き日赤き椿は俯きて郷りん

  • 蒼穹の椿一つを射落とせり剛海

  • トマホーク五百発買う落椿公木正

  • 椿つばき死とは何処にも居ないこと幸田梓弓

  • 八重椿ひとりでゐたいときもある幸田柝の音

  • 天城背に黒潮受くる椿かな宏楽

  • 落椿きらきら水脈をよろこばす古賀

  • 鬢付けの甘き香りや椿咲く小笹いのり

  • 近況を椿に告げん母眠る小杉泰文

  • 酒蔵に太き墨跡白椿木染湧水

  • 香香は二重国籍椿咲く小だいふく

  • 藪椿光集めし花心かな来冬邦子

  • 椿落つ奏鳴曲は単調へと転調虎堂吟雅

  • 散る椿音立ててゐるから静か後藤周平

  • 退院の荷ほどく縁側椿咲く後藤三梅

  • まだ鳴らぬ木鋏つやつやと椿古都鈴

  • 落椿島をそびらに金印碑このみ杏仁

  • この恋のやめどき椿落ちるとき虎八花乙

  • 山寺の吾の影跡の椿かな小林昇

  • 椿真っ赤なり福江火山群こひつじ@QLD句会

  • 一輪は憂ひの重さ落椿小藤たみよ

  • 耳遠き母は椿を怖がりぬ駒村タクト

  • 椿踏む地図に無い道始まりぬGONZA

  • 落ちかけの椿の影の白椿コンフィ

  • 吾子の右髪に着けたし紅椿サイコロピエロ

  • 落椿いくつも踏んで家出の子彩汀

  • 椿つばき「嫌い」と言えぬことがつらい齋藤ちの

  • 都電が迫る朝陽浴びる椿に齋藤鉄模写

  • ポケットに夜の名刺や落椿さ乙女龍チヨ

  • 鉢植えの椿へ星の熱溜まる酒井おかわり

  • 落椿積もれば贄の白羽降る榊昭広

  • 婆様の棺に爺の置く椿坂まきか

  • 雨樋は家の輪郭たまつばきさくさく作物

  • 歳月にからむ月夜の椿かなさくら亜紀女

  • まっしろな宝珠をおがむ雪椿桜姫5

  • 椿落つしぬつてほんたうはむづかしいさくら悠日

  • あかつばきしろつばきコッペパンがすき迫久鯨

  • 白椿きちんと恋に死ぬ男佐々木一朱実

  • 王朝に産まれたる子や玉椿さざなみ葉

  • 脳に溜まりし錆のごと椿落つ砂舟

  • 青空へ落ちてゆけたら白椿紗千子

  • 八十の母が挙手せり玉椿さち今宵

  • 湿りたる道に椿のまだ赤い砂月みれい

  • 山椿妻籠の茶屋の通し庭佐藤恒治

  • 鳥の声聞くたび庭へ紅椿佐藤志祐

  • 椿つばき愛情試すかに義母は佐藤儒艮

  • 曇天や無住の庭に椿咲く佐藤俊

  • 地母神の御手の真中や落椿佐藤レアレア

  • アイロンは糊の匂ひや椿咲く里すみか

  • 落椿きっと迷子のおばあちゃん里山子

  • 椿つばき病んで朱殷の血が巡る真井とうか

  • シスターの手の甲ぷっくり紅椿さふぁい庵

  • 入浴車着きぬ椿の垣根越しさるぼぼ@チーム天地夢遥

  • 紅白を並べ佳き日の椿かなさわだ佳芳

  • 海の見える書道教室紅椿澤野敏樹

  • 椿咲くほとりに家と表札と山海和紀

  • この赤が濁らぬやうに椿落つ三月兎

  • 触るること赦さぬ構へ白椿三休

  • 緋も白も肉めいて椿は重し三尺玉子

  • 薮椿ペット火葬の車来る紫瑛

  • もう今は渡れぬ橋や白椿潮見悠

  • 見つかって欲し気な椿でありにけりじきばのミヨシ

  • 落椿ペットの豚は穴を掘る四季春茶子

  • わつと言ふ伊豆大島の椿かな実本礼

  • 椿よ椿安楽死つてどうよ篠原雨子

  • 一条の光となりて落椿しぶ亭

  • 星のごと一斉にうたひだす椿渋谷晶

  • 椿落つおやじは眠りから覚めず渋谷背馬

  • 落椿重心低き庭となるしぼりはf22

  • 小さき嘘椿静かにこちを見る島崎うらら

  • また鳥は椿ゆらして蜜吸うて島田あんず

  • 落椿しやがめば緩む尻の頬嶋田奈緒

  • はりつめた心がぽとり落椿島田実可子

  • 雨激し椿の落ちて旅終る嶋良二

  • 椿の道をボーイソプラノかろし清水縞午

  • 落椿恐れて樹下に踏み込まず志村狂愚

  • 追悼の椿身内は我一人下丼月光

  • 天鵞絨のやうなチェロの音椿咲く芍薬@独逸

  • 一山を目覚めさせたる落椿じゃすみん

  • 朝練の竹刀椿に届きさう砂楽梨

  • 国東の椿に白し磨崖仏柊ニ

  • きっと今朝落ちたんだよと椿拾う秋雪

  • 玉椿ファーストシューズは10センチ寿松

  • 落椿とくんとくんとその花脈シュリ

  • 落椿真っ直ぐ見つめられておりじゅん

  • 太陽の欠片こぼれむ藪椿じゅんこ

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  • 白椿絶えぐい呑みに金の澱亘航希

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佳作
  • 落椿ピアスの出口見つかりぬEarly Bird

  • 赤痣の生めく首に椿咲く藍野絣

  • 革命の断頭台の椿かな秋白ネリネ

  • 椿たちなんの罪ゆえ首落とす昭谷

  • 椿見る父の背中は真っ直ぐに空き家ままごと

  • 赤い服着てうつむいちゃだめ、椿あさいふみよ

  • 角を曲がれば椿おはようと急ぐ亜紗舞那

  • 歳下に興味はないの紅椿芦幸

  • 富嶽背にあをを纏ひし椿かな渥美謝蕗牛

  • 紅椿サイレン鳴りて始球式雨霧彦@木ノ芽

  • いさぎよく侵略止めよ椿散るあらかわすすむ

  • 椿手に吾人生の花期のこと粋田化石

  • ぺたり雨後の闇夜を椿落つ石垣エリザ

  • 友の髪艶やかなりし椿かな泉恵風

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  • 笹藪を割きて椿の自己主張西尾至雲

  • 先陣の椿一輪咲きにけり西尾照常

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  • 髪結ひの紅き襷や玉椿暖井むゆき

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  • 引き出しの栞を探し椿かなねがみともみ

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  • 満貫の兆しの透き間椿へ目白庵

  • 落ちて皆空を向きたる椿かな白雨

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  • 手水鉢椿花びらそっと避け波止浜てる

  • 黒牛の頭に紅や落椿橋本有太津

  • 落椿昨日と今朝の不定形橋本こはく

  • 「もーいいよ」椿の奥から孫の声馬笑

  • 藪椿ふるさとに咲き夢となる蓮見玲

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  • 我も子も忘れし妻の手に椿べびぽん

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  • 狭庭や椿散ってはまた咲いて望月

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  • 紅椿マグロ丸ごと売る魚屋甫舟

  • 争いや名無き十字架落椿星善之

  • 椿落ち母看取りなる夜明けかな細川小春

  • 体育の授業の友は椿だけ細川鮪目

  • モノクロの映画に咲いた紅椿堀卓

  • ねえ今夜こんなに青く雨椿堀籠美雪

  • ふところに小鳥を抱く椿かな堀隼人

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  • 紅椿犬を待たせてSNSぽんぽこぽんこ

  • 転居先決め手はつばき白椿凡々

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  • 一房の椿散り落ち鳥の乱眞熊

  • キミ笑ふつらつら椿つらつらら雅蔵

  • 一二三つらつら椿千鳥足眞さ野

  • 合格や父の墓前へひと椿まじかにゃんちょろう

  • 階段の一段ごとに落椿増山銀桜

  • 来ぬ人の来ぬまま椿ぽとり落つ町田勢

  • 朝日浴び落ちた椿に息をする町屋の日々輝

  • 片想い平開しない白椿松浦宣子

  • ひとつ落ちまたひとつ落つ紅椿松岡玲子

  • 紅椿結婚式の夜の雨松尾祇敲

  • 投げ入れの椿に魅せられ人を知る松尾老圃

  • 時計見る土の小道の椿かな松川梅子

  • アスファルトから咲くように落椿松田慶一

  • 仇討やつらつら椿返り討ち抹茶子

  • ぽんと咲きぽとんと落ちて椿かなまつとしきかわ

  • 椿落つ赤白赤の積み木なす松原隆雄

  • 夜廻の月夜に浮かぶ白椿松本千春

  • 椿もて笑う母よ思い出よ松本牧子

  • 落椿踏んで滑って落ち込みてまほろば菊池

  • 椿の庭もらった愛を返す番真宮マミ

  • 紅椿母娘ふたりの餅屋かなまめばと

  • すりガラス合図の気配紅椿まやみこ恭

  • 父愛し乙女椿は私の木真理庵

  • 墓の上赤き椿の落つる音丸山隆子

  • そよ風に椿の落ちる日曜日三重野とりとり

  • 助手席を降りて泣き出す落椿澪那本気子

  • 落椿苔に濃き葉影床に映ゆ三木崇弘

  • 椿咲くラストメイクを子の子の子美乎梛

  • 去りし君椿手折りて吾に与え三島瀬波

  • 落椿訃報メールはサイレントMR.KIKYO

  • 落椿一直線にいさぎよく水谷佳未

  • 紅椿いのちはいずこめぐるらむ満生

  • 参道暮れひとつふたつ椿灯る美月舞桜

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  • ピカピカの葉に包まれて椿咲く湊かずゆき

  • 週末は薄めのリップ白椿港のパン屋

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  • 復元の城に接木の椿かなみのり甘子

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  • いにしえの椿インスタ映えのあか宮原みかん

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  • 火襷の椿や静かなパッション宮村寿摩子

  • 椿燃ゆ渾身の蹴りゴール裂く宮村土々

  • 落ちて尚踏まれ椿やさびしかり宮本モンヌ

  • 偕行社たりしカフェより椿見てみらんだぶぅ

  • お茶っ引き帰路の椿も七分咲きみわ吉

  • 連絡は勧誘と知り椿落つ三輪白米

  • 落椿心にひとつある決心夢雨似夜

  • 椿咲く日暮れが少し遅くなり霧想衿

  • 杖を手に椿へと母近づけりむねあかどり

  • 足もとの椿垣根にそと戻し村上の百合女

  • 椿落つしゃがむ頭上より一つむらのたんぽぽ

  • 庭先の椿一枝供華として村松登音

  • 散り敷きて入り日彩る八重椿室依子

  • 亡き父の植えたる椿紅々と恵のママ

  • ぬかるみの轍の跡の椿かな目黒智子

  • 廃屋の庭に椿の花ぽつりめでかや

  • モノクロのZUZUのまなざし花椿尚月

  • 活気付く横丁通りの椿かなモコ

  • 意志固く川下り行く山椿望月ゆう

  • 垣曲がつてもまがつても落椿元野おぺら

  • 椿笑む優しさもらう散歩道樅山楓

  • 生垣を行けど行けども椿なり桃井ゆらら

  • 白椿達者であれと母の言ふ桃香

  • 行儀よく歩く吾子の背椿かなもり葵

  • 茶道教室跡の卜伴椿もりたきみ

  • 去る人の早四年目や椿咲く森の水車

  • お稽古の花材は椿師は卒寿諸岡萌黄

  • 朝の庭砂浴び雀落椿焼津昌彦庵

  • 梳る湯上りの母玉椿八重葉

  • 峠道峰の上では椿咲く八木実

  • 垣根より漏れ出す赤は玉椿薬膳容子

  • 一つだけこちらを向いて落椿野州てんまり

  • 処刑場迄つづくつらつら藪椿安井コスモス

  • 蜜を吸う小鳥夢中の赤椿柳井るい

  • 廃校の椿いつからここにいる山尾政弘

  • 君と逢う椿の香り風運ぶ山口雀昭

  • 椿咲き炭酸ジュースの恋心山崎紫乃

  • 床飾り客待つ椿明るみし山崎鈴子

  • 集金に椿一輪そつと添へやまさきゆみ

  • 鼻歌のこぼるる空よ椿は赤山育ち

  • 2コンよ椿の家は引っ越した山田はち

  • 落椿といふ肉感的なもの山田喜則

  • 終の日の贈花がほろり散り椿大和杜

  • 雨上がりどっと踏まれし花椿山野花子

  • 椿散るもうすぐ友のトラバーユ山彦一水

  • 手で隠す禍々しいのよ落椿山吹黄色

  • 水盆に真紅の椿バリのヴィラ山村楓

  • 仲良くと椿の花弁手を繋ぐ山本康

  • 硝子の結界にココの白椿山本裕之

  • ぽたぽたと甘露の如き白椿山本蓮子

  • 経を詠む背中はまるしやぶ椿山吉白米

  • 木々の間を縫って椿の迷路行くヤン子

  • 亡き妻に今年も咲いたよ椿花ゆー

  • 咲き初むる椿黄金の蕊のぞく柚木みゆき

  • 誘ひしが手づから別る椿かな柚子こしょう

  • ぽっぽっと赤く灯るや玉椿柚木啓

  • 谷戸の底源泉に落つ紅椿宙美

  • 落つる花葉は不惑なり椿かな夢散人

  • 落椿うえには蕾と青き空ゆめの常盤

  • 店先の掃けるパティシエ白椿陽花天

  • 赤椿波砕け散る黒い磯陽子

  • ケンケンす子がよろめいた落椿夜香

  • 茶毒蛾を後ろに宿す椿かな横田信一

  • 道沿いの椿拾って塀に乗せ吉岡幸一

  • 落椿藩主の墓を赤く染めよしぎわへい

  • 紅椿迷いもせずに落ちにけり好子

  • 玉椿伏して落ちども姿よき吉田わさび

  • 迷い道垣根の椿三度見る吉藤愛里子

  • 豪快に笑ふ女や紅椿余田酒梨

  • 万葉やつらつら椿巨勢の山よぶこどり

  • 教壇につばき一輪風そよぐよみ、ちとせ

  • 古都マラソン椿目に入るコースかな楽和音

  • 樹木葬欅は止めて椿にすららら句らら

  • 気掛かりは今年椿の花の数らりっく

  • 地に咲ける椿誘ふ逢魔が時らん丸

  • ざわめくや退職の日の落椿梨音

  • 仄めかすことなくひそと落椿理佳おさらぎ

  • 咲くほどに椿の木肌白めきてリコピン

  • 八重椿いうれい思わず愛でしかな鈴音

  • 氏神社多年見守る椿かなルージュ

  • 罅割れし畑のへりに椿かな麗詩

  • つばき見て駆け出す我が子みつを吸うレオ

  • 笠山の椿落つ音誰ぞ聞く小熊猫烈子

  • 落ちそこねし椿またも残りけり烈稚詠

  • 必死だった私庭に赤椿蓮花麻耶

  • 椿咲く老夫婦たち昔ばなし蓮風

  • 落椿バックパッカー旅に出るわかなけん

  • 椿咲く比丘尼の寺の井戸の辺に若林雛げし

  • 夢語る我が子の思い玉椿わきのっぽ

  • 音も無くわが眼の前に椿落つ海神瑠珂

  • 石段をまろびて風と落椿わたなべいびぃ

  • 縄跳びの着地点の椿赤かり渡辺ヤスコ

  • 鳴き声につられ見やれば大椿渡辺陽子

  • 暖簾越し湯あたり沁みる椿かな和の光子

  • 椿落つ万有引力逆はずに割り箸

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。

※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。


●兼題とは

  • 如月に往きし祖母の油の香賀茂二葉
  • 川中の石に立つ鴨春を待つ青砥転典
  • 春を待つ街のフレンチレストラン宇田建
  • 龍の子のいろに春待つすべり台玉庭正章
  • 春を待つこんな世界にもう飽きた藤倉密子
  • はなまるにちょうを描き足し春を待つ前田麺

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「椿」での募集でした。
「春待つ」は前回の兼題ですね。〆切に送れたか……次回の挑戦をお待ちしています。


●俳句の正しい表記とは?

  • ポットーン 指先触れて 赤椿吉田裕美湖
  • 花椿 にほいかおる 大和撫子春風
  • 剪定に 実家の垣根 椿かなぴりけん

 「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●寒椿・冬椿・椿の実など

  • 囲炉裏端木戸の向こうに寒椿坊ちゃん
  • 寒椿深紅に映える青い空北壱グラス
  • モノクロのオフィスに一輪寒椿いわつよ8
  • 寒空に光を放つ寒椿お寺なでしこ
  • 酒過ぎて朝に笑うか寒椿関戸うふふ
  • 碁敵や老友二人寒椿高橋基人
  • 寒椿剪定せずに花の咲く多木緑雨
  • 冬椿眺め定める死ぬ覚悟竹下明宏
  • 寒椿潜りて小さき野の仏たむらせつこ
  • 足跡二つ寒椿の散歩道冨川精子
  • チョコあげると子がひらく手に椿の実にいやのる
  • 母好み侘助と言ふ椿ありhinamama5
  • 寒椿震え見送る園児たち日向大海
  • 風いたみ知る人もなし寒椿藤川鴎叫
  • 人知れず秘めたる情熱冬椿本間美知子
  • 寒椿競う花無く咲きにけり山口笑骨

 確かに「椿」の文字は入っていますが、これらは季節の違う季語です。

  • 侘助の視線浴びたる一人旅森毬子
  • 侘助の蕾のままに落ちにけり山田宣子

 確かに「椿」の種類ではあります。頁数の少ない季寄せなどでは、同じ項目の入れていることもありますが、「侘助」は別立ての季語と考えていいと思います。


●季重なり

  • 椿落つ踏まれぬ落ち葉の御褥に今村ひとみ
  • 寒き冬花咲き誇る椿かな後杉カヤ
  • 小鳥来る椿食堂大賑わい大島薄
  • 囀りに仰げば椿青天井大原雪
  • 雪解けて椿の赤と気づきけりおさだ澄恵
  • 雪解けて椿咲く頃父戻るかめれおん
  • 椿から無音の空気春が来るギザギザ仮面
  • 雪庭に椿の落つる音一瞬窪田睡鯨
  • 囀りを聴きて静かに椿落つ後藤方丈
  • 椿落ち春待ち人のひとめ落ち田川沙紀
  • ひとつ落つ椿と吐息とさえずりと星雅綺羅璃
  • 敗け堕ちて椿拾った冬さなか本間之処
  • 家族皆雪かき追われ椿見る山田一予
  • 白梅の向こうの木陰の椿の紅山田青廉
  • 白い息の急登赤い山椿やまだ童子

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「椿」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。

  • 暗雲に椿を探すメジロかな里海太郎

 これは、むしろ「目白」の句ですね。


●確かに「椿」の文字は入っているが……

  • 散りぎわは椿のように潔く草道久幸
  • 40くる椿のように走り抜く直のすけ

 「椿」が比喩に使われています。比喩になると、季語としての鮮度は落ちてきます。

  • 日本画の椿落ちずに赤々と伊藤足
  • アルバムの白黒の椿赤く咲き彩人色
  • 玄関で福神迎える椿の画そしじみえこ

 絵や写真の「椿」も、季語としては弱いですね。

  • 結納の菓子包み紙椿かな橋爪利志美
  • 嫁入りに柄は椿の訪問着石川初子

 包み紙が椿模様である場合も、着物の柄も、やはり季語としての力は弱くなります。


●「落椿」の表記について

  • 罵声止まず落ち椿三つ目粉山
  • 落ち椿拾い上げる母の笑み村のあんず
  • 秘め事を漏らす咎あり落ち椿間岳夫
  • ただ綺麗と思う落ち椿麻場育子
  • 古戦場案内版に落ち椿いちご一会
  • バス停を華やかにして落ち椿今井淑子
  • 落ち椿とりこぼしたる節目あり大山小袖
  • 落ち椿気にも留めずに君去りぬオカメインコ
  • 落ち椿拾ふその指もの悲しカラハ
  • 落ち椿未練残して地に映ゆる西條恭子
  • 落ち椿終わった恋の二つ三つさいたま水夢
  • 葉隠れの空を虚ろに落ち椿戸口のふつこ
  • 眠らない耳の聞きたる落ち椿仲操
  • アニメーターCG台頭落ち椿白銀の月
  • 落ち椿飛び越え響く桐の下駄松井酔呆
  • 落ち椿一輪残す箒の目目黒千代惠

 季語としては「落ち椿」ではなく「落椿」と書くのが一般的な表記です。送り仮名については、季語によって表記の揺れがあります。歳時記を確認しつつ一つ一つ覚えていきましょう。

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「霞」

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