夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
1月の審査結果発表
兼題「福寿草」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
石呑み込むやうに飯 福寿草がまぶしい
いさな歌鈴
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夏井いつき先生より
種田山頭火のような自由律の一句。まず押さえたいのは、前半の助詞「に」です。仮に「石飲み込むやうな飯」であれば、固く冷たい飯の意になりますが、「石飲み込むやうに飯」ですから(何かの事情や心身の調子によって)石を飲み込むように飯を食べていると読み解けます。このニュアンスを押さえた上で、出現する後半の「福寿草」にハッと息を飲みます。石を飲み込むようにしても飯が食えている有り難さを、新年の季語「福寿草」の眩しさに託す。「福寿草がまぶしい」という率直な措辞は、季語「福寿草」の存在をまっすぐに読み手の心に差し出すかのようです。灰色の石と白い飯と黄金色の福寿草のイメージの対比も隠し味。
寿ぎのうつはあかるし福寿草
にゃん
「うつは」は器。新年の寿ぎを盛る器であるかのような福寿草の明るさを愛でる一句です。中七で「あかるし」と言い切り、下五で季語を見せる語順の判断も的確。好感度の高い仕上がりです。
貧乏や太き芯立つ福寿草
朝方静流
上五をいきなり「貧乏や」と詠嘆した点に俳諧味があります。貧乏である現状を明るく肯定するかのような印象は、中七の描写が醸し出しているともいえます。福々しく逞しい福寿草です。
福寿草に微熱きんいろの初乳
七瀬ゆきこ
「微熱」の一語に一瞬負の印象を持ちますが、後半「きんいろの初乳」によって産褥熱のイメージを重ねたと納得。黄色がかった初めての母乳の美しさと「福寿草」の明るさが響き合います。
福寿草灯し研究室に鍵
木染湧水
「福寿草=灯」とイメージした句はありましたが、「研究室」にささやかな独自性があります。鍵をかけた暗い部屋に置かれた「福寿草」が、読み手の心にも灯り続けているような味わいです。
平和とは下向かぬこと福寿草
クラウド坂の上
今、テレビではウクライナ侵攻のニュースを報じています。「平和とは下向かぬこと」という言葉を、私たちは「福寿草」の灯りのように掲げ続けていかねばならないと、強く強く思うのです。
ふくじゆさう警蹕の声りゆうりゆうと斎乃雪
湯と呼べぬほどの温みや福寿草古瀬まさあき
陽にぬれてみづのあまさう福寿草RUSTY=HISOKA
福寿草ラムプのやうな母だつたおきいふ
口笛は小鬼の姉妹福寿草小だいふく
硝子戸に空の溢れて福寿草愛燦燦
表札にみんなの名前福寿草あいだほ
地の力あつめて灯す福寿草藍野絣
福寿草えほんひろばのあいあいと青居 舞
福寿草天満宮にスニーカー葵かほる
黄道の拓ける今日の福寿草葵新吾
ジョーカーを引いてはダメよ福寿草唯果
棄てられし墓の数ほど福寿草蒼空蒼子
天日へ袖振り待つや福寿草蒼鳩薫
福寿草にも当たり大当たりスカ赤馬福助
酒蔵に湯気のある朝福寿草あかり
めざましの真日に充電福寿草明惟久里
葬済んでぼちぼちふくじゆさうひらく秋沙美洋
車庫の横は福寿草車には猫昭谷
招き猫発祥の地や福寿草秋野茜
福寿草兄に教わるリコーダー彰乃泉
幸せは西に有るらし福寿草アクエリアスの水
孫抱く腰の力よ福寿草あさいふみよ
蒼穹を福寿草行きバス走る朝倉カグラ
福寿草見知らぬ人へする会釈朝月沙都子
福寿草咲き還暦になりにけり淺野紫桜
黒ヒゲと吾は置いてかれ福寿草芦幸
福寿草覗く我らを見据えたり明日良い天気
残る日の夫のそばに福寿草あしたはあした
飼い虎のパンチをもらう福寿草アシツノカラ
太陽のガチャがからころ福寿草あずお玲子
おのづから陽だまりなるや福寿草飛鳥井薫
福寿草母方の血の重さかな梓弓
福寿草ピアスの穴は膿んだまま麻生ツナ子
ちゃぶ台の母どっしりと福寿草あたしは斜楽
猫のへそ見つけた朝の福寿草足立智美
福寿草も白寿も待てぬかくそ爺あたなごっち
陽の粒を蕊に蓄ふ福寿草at花結い
毒舌の悪妻に福寿草の根渥美こぶこ
福寿草臍の緒はまだ濡れてをり天風
淋しさに毒を抱えて福寿草数多未完
レジを待つカゴに刺身と福寿草天野幸子
ざらざらと遺骨を土に福寿草あまぶー
ミソ小さき大谷石なり福寿草あみま
父が逝き母姉私福寿草雨降りお月さん
日を抱けばまんぷくさうに福寿草綾竹あんどれ
福寿草喫茶店には昭和の香荒井類
福寿草だけに十時の小窓の陽荒木俊充
福寿草あさの薬のひとつ減り新多
福寿草ひらく百寿の砂糖菓子ありあり
命名紙光れる朝や福寿草ありいかな
光るとは返すことなり福寿草有本仁政
晩婚の相の並びて福寿草アロイジオ
福寿草百年続く写真館アンサトウ
福寿草湯気立ちのぼる堆肥小屋安春
筋良き子良き師と稽古福寿草飯田淳子
福寿草ひかりを掬ひたるかたち飯村祐知子
福寿草咲くマヨネーズようけ出るいかちゃん
福寿草初のつかまり立ちは二秒いくたドロップ
天に星地に福寿草咲きにけり生野薫
条幅の墨匂いけり福寿草郁松松ちゃん
音楽に狂詩、福寿草に雌蕊池内ときこ
福寿草重きつぼみを土の上池内ねこバアバ
酒だけの置かるるいほり福寿草池之端モルト
福寿草母のホームの名はきぼうイサク
交番でもらふ百円福寿草石井一草
算額を奉じ綻ぶ福寿草石垣
去年に吾が蒔きし陽の種福寿草石川あ世楽
初めての株買いました福寿草石川巴里
ガラガラの今宮戎福寿草いしきひさき
てらてらと纏ふジェラシー福寿草石倉啓子
延命治療しないと言ふの福寿草石塚彩楓
父の手の何か柔らか福寿草磯野昭仁
陽を抱けば陽も抱きかへす福寿草石上あまね
福寿草排他的水域知らずいその松茸
新しき風はつめたし福寿草板柿せっか
純情もほどが過ぎるぞ福寿草いたばよしこ
飴細工並ぶ屋台や福寿草いたまきし
福寿草そろそろ街へ戻ろうか市川りす
福寿草ちょっとぼやいて前を向け一斤染乃
福寿草惜しまれたくて職を辞す一秋子
相談も聞く交番の福寿草伊藤順女
杖をつく父へひかりの福寿草伊藤治美
まっさらな陽を金冠に福寿草伊藤柚良
産院の受付静か福寿草伊藤れいこ
親知らず生え初む四十路福寿草伊藤小熊猫
福寿草ぎゅっとしゃがんでぽっと金糸川ラッコ
馬の尿跳ねてきらきら福寿草伊奈川富真乃
福寿草たまごのやうな便をうむいなだはまち
アパートの出窓を上座福寿草稲葉 こいち
福寿草海坂藩を一気読み稲葉雀子
にんげんはわりとたんじゅん福寿草稲畑とりこ
退院の便り丸文字福寿草伊縫音々
剣山のうへにあかるき福寿草犬山裕之
層雲に金継ぎ一つ福寿草伊吹はたき
佳きことを一つ加へて福寿草いまいやすのり
キーボード習うと決めき福寿草今井淑子
宝くじ買わぬ来し方福寿草伊予吟会宵嵐
下り坂ばかりではない福寿草入江幸子
おっとりは母親ゆづり福寿草五郎八
朝刊の占い信ず福寿草色葉二穂
ニンゲンの皮をぬぎたい福寿草磐田小
福寿草ゲームの土地に家建てるういろ丑
「ただいま」は空耳玄関に福寿草植木彩由
福寿草二台のベッドも新しい上田健五
福寿草初めて自分に買う指輪上野眞理
福寿草山の焼酎醸造所上原淳子
出戻りの子の一膳や福寿草うからうから
ちりめんをつまむ手仕事福寿草うさぎまんじゅう
厠まで飛び石伝ひ福寿草宇佐美こころ
福寿草きょうの痛みはまあまあか宇佐美好子
福寿草山が恋しくならないか宇田の月兎
朝晴に葉をひらきそむ福寿草内田こと
後朝の小雨しきりや福寿草内本惠美子
目覚めるも寝るも定刻福寿草うつぎゆこ
かはたれの色よりひらく福寿草靫草子
朝の光に結界を解く福寿草海口竿富
おはようは耳からひらく福寿草海野碧
あの家は叔母の匂いす福寿草海葡萄
懐かしき金の瞳や福寿草梅木若葉
土偶の女神出土の丘の福寿草梅里和代
母の書く字の誤りや福寿草梅鶏二号
我が子には友だちひとり福寿草梅野めい
皆勤を誓う朝なり福寿草浦文乃
少年や福寿草にもある孤独浦上啄鶴
福寿草初版昭和の図書五冊浦野紗知
もけもけと地熱掬ひて福寿草詠頃
行き過ぎて戻りて垣の福寿草s葉子
俯いた横顏すねて福寿草越後縮緬
ふくふくと土の胎動福寿草越前岬
福寿草もらひ笑ひの与太話絵十
転校生視線を集める福寿草えぬひよこ
福寿草ここもここもと笑み呼ばる海老あまびゑ
福寿草生かされるだけ生きますわ朶美子
福寿草マリアの付箋かもしれずM・李子
みどりごのほほゑみふふふふくじゆさうえりべり
姉様は孫がたくさん福寿草円 美々
玄関に色囀りて福寿草えんかず
福寿草リボルバー埋まつているなど旺上林加
福寿草目覚め良き日の目玉焼淡海かこ
遠鐘を合図に緩む福寿草おおい芙美子
福寿草後見人となりにけり大熊猫@四句八句
福寿草踏みつけ行ける運動員大黒とむとむ
御朱印の墨たっぷりと福寿草大小田忍
新しく作る戸籍や福寿草太田鵯
きしきしとしゃがみて立ちて福寿草大塚恵美子
釜の湯を注ぐ音かすか福寿草大槻税悦
子等の描く未来図無限福寿草大庭慈温
福寿草千金の日をさづかりて大村真仙
半日を満たして小さき福寿草大和田美信
福寿草見えぬところに死の一つ魚返みりん
ずつとあるやうに獄舎の福寿草可笑式
福寿草ここから始まる声がする岡田 一了
勤行に莟ふくらむ福寿草岡田明子
福耳を少し恥らひ福寿草岡田雅喜
鳴り止まぬ神社の鈴や福寿草 岡山小鞠
畳紙の母の結び目福寿草小川さゆみ
天竺にかみほとけ生り福寿草小川野棕櫚
折り鶴に息吹き込む子福寿草小川都
福寿草けさの鏡の朗らかにオキザリス
リハビリはワルツのやうに福寿草奥野悦穂
福寿草吾には母の代名詞小倉藍朱
新しき下着の朝や福寿草小倉あんこ
福寿草ぽくりぽくりと浴ぶる日よオサカナクッション
福寿草の三割引の札二寸おざきさちよ
地の裏の光が漏れて福寿草小沢 史
長屋門を小さく灯れり福寿草越智空子
金箔の酒をひとくち福寿草音のあ子
夜の端のひかりこぼせる福寿草音羽凜
今日の日を父落款の福寿草おひい
福寿草黄色き花は強き花沢瀉
縄跳びの縄土飛ばす福寿草海音寺ジョー
爆竹無き青天眩し福寿草かいぐりかいぐり
「進め」てふ黄色ありなむ福寿草海瀬安紀子
ため息に比例福寿草は群生快晴ノセカイ
福寿草黒ざーたーがほろり溶けかえるL
まこと地は陽に愛されて福寿草火炎幸彦
白銀の花蕊いくつも福寿草果音
介護士のくれし一鉢福寿草カオス
三世代十一人や福寿草馨子
水引きは結び切りなり福寿草風花まゆみ
ゆふづつに色もらひあふ福寿草霞山旅
印鑑と眼鏡と鍵と福寿草樫の木
福寿草一筆の輝く半紙鹿嶌純子
福寿草十年前は大家族花純広場
とりあえず雇用継続福寿草片栗子
山峡の方言やさし福寿草加田紗智
『失物』は『遅くても出る』福寿草かつたろー。
陽をつかむ指の形に福寿草克巳@夜のサングラス
福寿草空明るくてなお嫌い桂子涼子
福寿草あの空まではだいぶある花伝
病窓の咳穏やかに福寿草加藤雄三
遠縁の婚儀のはなし福寿草加藤ゆめこ
ばあちゃんにだけ福来そう福寿草加藤麗未
炉は点きぬ姥捨山の福寿草かなえの
ほほづゑを解くとき笑ふ福寿草彼方ひらく
辞表出す決意ゆさゆさ福寿草仮名鶫
豆腐屋の八人家族福寿草かぬまっこ@木ノ芽
目をこするように福寿草は揺れてかねつき走流
初孫はまだ産院に福寿草釜眞手打ち蕎麦
菓子分けて笑う姉妹や福寿草紙谷杳子
福寿草まるきものにぞ福やどる白鳥古丹
福寿草おくるみの子の二頭身かむろ坂喜奈子
馬齢重ね増えたる縁起福寿草亀田荒太
恐山岩の袂に福寿草亀田かつおぶし
泣くことを慣れたくないと福寿草亀の
昨日より今日より明日福寿草亀山逸子
福寿草家神様と祝ふ酒亀山酔田
悪い夢湖に沈めて福寿草かもめ
落したる金貨めいたり福寿草加裕子
福寿草一筆書きで星を描く唐草もみじ
墨をする手のふるへをり福寿草加良太知
てのひらに土の懐かし福寿草かりかり久助
龍も朝伸びをするやも福寿草果禄
だれよりも空広からう福寿草川越羽流
福寿草袱紗捌きのお浚いを川村湖雪
福寿草土の香吾子の頭の香閑々鶏
出欠の答えは清し福寿草寛月
信ずるに足る何か欲し福寿草勘八
雨の裏側のまどろみ福寿草喜祝音
甥姪の脚の長さや福寿草キートスばんじょうし
福寿草垂氷の雫のみほせり菊川寝ん猫
特別拝観裏の斜面は福寿草木ぼこやしき
福寿草にカウンターテナーのアリア木村かわせみ
二限目は行ってみるよと福寿草木村となえーる
福寿草鉢植え棚に詰めて置く木村波平
埋蔵金の上のあたりを福寿草きゅうもん@木ノ芽
エコー画のキックは強し福寿草紀友梨
初の字は手帳にいくつ福寿草京野秋水
天上の庭や零るる福寿草杏乃みずな
客一人二人三人福寿草清永ゆうこ
テレビが俺を勝手に占う福寿草ギル
標高の誤差はやさしい福寿草銀紙
小園にめでたき名あり福寿草菫久
福寿草かちりと螺子のごとき地よぐ
三泊の子らを見送る福寿草くぅ
大好きな叔母と会ふ日や福寿草葛谷猫日和
寓とある門の内なる福寿草楠田草堂
トンネルの終り福寿草待つ楠美翠
定位置に小面般若・福寿草ぐずみ
陽をあつめ影育てたり福寿草ぐでたまご
床屋さんの日の差しどころ福寿草工藤帽子
福寿草八重の潮風かすかなる工藤悠久
内ももに猫のおとがひ福寿草くま鶉
福寿草けものの臭ひ通り過ぐ倉木葉いわう
へし折った翅の顔して福寿草海月莉緒
従姉妹の手吾の手と似たり福寿草栗の坊楚材
福寿草一度も故郷を出ぬ末子久留里61
福寿草離婚届の濃き署名紅さやか
愛日のひかりふくらか福寿草クロまま
通夜帰り店頭に福寿草灯る桑田さなえ
山神の産み落とし子か福寿草健央介
母と子のアパート一間福寿草ケンG
福寿草年重ねても辛い酒研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
母殺す少年兵や福寿草研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
福寿草正座くずさずお礼状剣橋こじ
ふとん屋のばあちゃんの朝福寿草小池令香
福寿草ふうはりペット供養塔げばげば
福寿草整骨院は元マック小池令香
玉砂利も陽もかしましき福寿草小泉野魚
福寿草波動のやうなもの飛ばしこいぬ
父母も目出たき名なり福寿草郷りん
福寿草起きて瑞猫眠りけり剛海
福寿草坐骨神経痛は凪公木正
福寿草愛でるめしゐのゆびのはら幸田柝の音
大吉を引く妻とゐる福寿草香田ちり
老犬の遺骨の側の福寿草神戸めぐみ
尻込みの背中をぽんと福寿草宏楽
福寿草しあはせがはみだしてゐる古賀
臨月や福寿草にて折り返す五月ふみ
今日こそは遺影の写真福寿草小笹いのり
辛口の酒には金砂福寿草小杉泰文
ナナハンの音に開くや福寿草コスモス
短冊に小筆の匂ひ福寿草小林昇
福寿草一鉢下げて会食へ小林のりこ
玄関に靴のわさわさ福寿草こひつじ@QLD句会
福寿草母の達筆受け継がず後藤三梅
福寿草笑う薄日のアーケード来冬邦子
福寿草肩重なりて二輪あり小鳥乃鈴音
歯固めの石見いだして福寿草粉山
つごもりの地熱を解きて福寿草こなねこ
福寿草幼なじみの和尚さまこのみ杏仁
爺様の戒名朗ら福寿草GONZA
バク転の様見てをりぬ福寿草今藤明
和菓子屋の後継ぐ娘福寿草紺乃ひつじ
福寿草ふたりで分ける中華まんさいたま水夢
福寿草きんいろ土竜塚のとなり彩汀
臥す夫のお粥炊く朝福寿草齋藤杏子
つまずいて横顔を知る福寿草さいとうすすむ
愛でられしわけは知るまい福寿草宰夏海
福寿草あんがい長き親不知さ乙女龍千よ
混浴に妻のすがたや福寿草坂上一秀
福寿草あるじの居場所ほかに無し榊昭広
座の抜けし実家しんしん福寿草坂まきか
わが干支の虎を寿ぐ福寿草坂 幸夫
スケッチを見せ合ひ笑ふふくじゆさう桜姫5
福寿草受話器の向こうで唱う九九さくら悠日
福寿草ゲルニカの拳照らしたか桜よし榮
独り居の気楽極楽福寿草さこ
福寿草昨日の黄から今日の黄に迫久鯨
お隣りの子犬のワルツ福寿草笹かま
友からの支援物資に福寿草ささきなお
福寿草仕舞い忘れし猫の舌砂舟
女には女のあそび福寿草紗千子
筆洗ひしづくととんと福寿草さとう菓子
地球儀の傾き回る福寿草佐藤恒治
保護猫に匂いかがれる福寿草佐藤しのぶ
父に似た顔が並びて福寿草佐藤志祐
演じたるしあはせつらし福寿草佐藤綉綉
茶を立てる音清清し福寿草佐藤八米
テープカットするまで福寿草とゐるさとけん
原価割るコロッケ売って福寿草里すみか
福寿草庭の乳母車には猫さとマル
福寿草とは真上に向かい開くもの里山子
ひび割れた空も福寿草もきれい真井とうか
福寿草しやりしやり硫黄吐ける島錆田水遊
長生きと言はれ購ふ福寿草さぶり
福寿草けふの朝日を掬ひ上ぐさむしん
家族みなここに鍵置く福寿草さるぼぼ@チーム天地夢遥
平熱のありがたきこと福寿草澤田紫
城壁を福寿草なる守り神沢拓庵
社長室に待たされ福寿草が眩しい澤村DAZZA
自販機に買ふ御神籤や福寿草三月兎
福寿草背中で止まる遊び唄三休
根に抱く犬の骨片福寿草紫瑛
福寿草ホームの壁と話す母紫檀豆蔵
致死量の検索履歴福寿草じつみのかた
会えるうち会っておこうぜ福寿草篠雪
届け出す吹っ切れたやうな福寿草柴桜子
きよらかな墓地のひかりや福寿草渋谷晶
庭は無い瑠璃鉢に咲き福寿草縞子勾苑
福寿草むりして笑わなくていい島田あんず
福寿草レースのかかる黒電話嶋田奈緒
太陽はこう見上げます福寿草嶋村らぴ
永年の勤続手当福寿草清水祥月
南窓に大和三山福寿草清水 容子
ののとわらふらせんのははよ福寿草清水 三雲
靴箱に見慣れぬ手紙福寿草芍薬
本だけが味方よ庭の福寿草じゃすみん
福寿草猫頑として膝の上砂楽梨
古書店に埋れし主の福寿草柊ニ
パンダ舎はひとり三分福寿草寿松
陽の雫ぽたりとけふの福寿草シュリ
福寿草ひとには愛をと誰か云ひ順之介@QLD俳句会
如何しても伝えたきこと福寿草じょいふるとしちゃん
幼君の手鏡福寿草の鉢常幸龍BCAD
福寿草何て名前と小石蹴る白井佐登志
鐘楼の響きに醒めて福寿草白石健治
目は父に鼻は母似や福寿草白井百合子
若者が大勢眠る福寿草白とり貝
亡き僧の書簡にひかり福寿草白プロキオン
福寿草のちのセント・エルモの火白星みどり
千の絵馬こぞりて福寿草へ風白よだか
福寿草わろたらまけよあっぷっぷ新開ちえ
半世紀踏む足裏や福寿草神宮寺チェルシー
点滴の速さもあわず福寿草新城典午
喜寿米寿ふるさと会の福寿草新濃健
福寿草思春期は俯き気味よ森牧亭遊好
針箱に母のへそくり福寿草酔芙蓉
二十年引けぬ大吉福寿草水蜜桃
なんて重い酸素に生きる福寿草すいよう
マネキンは誰に言祝ぐ福寿草すがりとおる
七七日の妣の笑顔や福寿草杉浦あきけん
身ひとつの七十路も好し福寿草杉本果ら
膨れをる鳩や売らるる福寿草鈴木由紀子
へこたれの今日を丸めて福寿草素敵な晃くん
従妹らと座敷追はれて福寿草主藤充子
福寿草太陽風の当たる山すりいぴい
窯跡の欠片抱くや福寿草せいしゅう
子も孫もおりませぬのよ福寿草瀬尾白果
漁師らはキリスト教徒福寿草背馬
太陽に媚びて悪いか福寿草世良日守
子育てを終へて幾年福寿草蒼天
旧姓で届く絵葉書福寿草そうり
泥円く従えて福寿草咲く曽我真理子
福寿草太陽に黄をもらひをり素空
ひろひろと空と睦みし福寿草外鴨南菊
一輪を家族で見入る福寿草ソフィ
引退馬草食む影の福寿草そまり
臍の緒のぽろり取れたり福寿草染井つぐみ
福寿草たまの不幸へ酔いしれる染野まさこ
咲くならばけふも一献福寿草空野兎
天蓋を穿つ蕾の福寿草空豆魚
福寿草埃清しき杵と臼ぞんぬ
君が泣きやめば開くよ福寿草太閤検地郎
バックレて寝る福寿草あったけえ平良嘉列乙
ビリケンさんぴかぴか福寿草むくり高尾里甫
福寿草残し空家となりにけり高木音弥
夜泣きてふいのちぱちぱち福寿草高田祥聖
中東に戦争鉢植に福寿草鷹之朋輩
おしまいは深呼吸です福寿草高橋寅次
一心に擦りをる墨や福寿草高橋裕樹
眠れずに福寿草から朝になれ高橋ひろみこ
安らかな日差し眼差し福寿草高橋ままマリン
見上げるは北陸の空福寿草田上コウ
福寿草誰も私を見ていない滝川1019
福寿草大人のピアノ始めけり卓女
寄席文字の「伯山」大し福寿草多喰身・デラックス
福寿草みんな逃した鬼ごっこ武田歩
福寿草踏まれぬやうに飛ばぬよに糺ノ森柊
ナースステーションはしつこの福寿草多々良海月
福寿草九十の歳を肯へりダック
店に福寿草あったまっていきな立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
入選の大き封筒福寿草蓼科嘉
福寿草黄色過多だな朝の陽に田中勲
晴天をしぼれば福寿草ぽたぽた田中木江
真っ白な何もしない日福寿草谷町百合乃
還暦を互いに称ふ福寿草谷本真理子
一日の始まり清し福寿草玉井令子
息継ぎのやうに福寿草はひらく玉木たまね
県境を越えても福寿草はあるタマゴもたっぷりハムサンド
福寿草半日だけの家出するたまのねこ
あと二日夫は留守なり福寿草玉響雷子
隠し事なき互いの目福寿草田村利平
収集車はマーチ高らか福寿草丹波らる
日色を選る花珠や福寿草千歳みち乃
道祖神隣り合わせの福寿草千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
カウンター馴染みのくれた福寿草千葉睦女
日に鳩の羽裏はひかり福寿草衷子
嬰児の二kgこえたり福寿草千代 之人
陽を吸いて黄の吐息なる福寿草澄心静慮
其々の苗字善きかな福寿草蝶番
一斉に陽に爪立ちて福寿草ちょぼ鶉
福寿草が見ている 今日は青空か月岡方円
福寿草幸せ太り競い合い月硝子
チャンバラの爺の大敗福寿草つきのひと
風荒き信濃の畝の福寿草辻野 花
バーゲンの戦利品あり福寿草津々うらら
フルートのソのトリル音福寿草綱川羽音
できたてのあさひのうつはふくじゆさうツナ好
糠の入る皺の手ぬくし福寿草椿こちょすけ
母急逝いつもの道に福寿草津幡GEE
おほらかに濁れる河や福寿草露草うづら
段ボール箱にぎゅうぎゅう福寿草露口全速
福寿草義姉二人来てかしかましツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
福寿草僕よりチビがいて安堵ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部
福寿草中吉信じひた探すデイジーキャンディー
鍬だこの手は陽の匂ひ福寿草テツコ
艶やかな白寿の遺影福寿草哲山(山田哲也)
強面に深き笑窪や福寿草てまり
青空や自殺名所に福寿草電柱
屈む背を福寿草ごと抱きしめるてんてこ麻衣
まほろばの日差しやはらか福寿草でんでん琴女
墨を磨るこころに匂う福寿草蚕丸
ひかり編むひとりあやとり福寿草天陽ゆう
水飴の光とどめて福寿草どいつ薔芭
福寿草消防ヘリの遠き音doいつもcoいつも
父の声とどくパラボラ福寿草苳
最初ってドキドキするね福寿草トウ甘藻
マラソンの群れ小兵なり福寿草東京堕天使
金鉱の探知機として福寿草踏轍
欠け鉢に明るい兆し福寿草遠峰熊野
お日さまの足音小さし福寿草とかき星
もてなしは日の当たる部屋福寿草とき坊
溶け行きて日向の調べ福寿草徳田和良
福寿草咲きて福寿草と知る毒林檎
朝市の菰濡らしある福寿草としなり
ことミシンにかけては老母ふくじゆさう戸部紅屑
日当たりの融ける重みや福寿草斗三木童
富士山の収まりよき日福寿草富野香衣
地中にもひかりあるらむ福寿草富山の露玉
福寿草東にひらき西にとじとよ
妹は二十歳へ福寿草空へ鳥田政宗
おとうとの遺影若かり福寿草内藤羊皐
福寿草わたしはやさしくなんかない直
古希過ぎの婚の報せや福寿草中十七波
福寿草いこふ光のフェルマータ中岡秀次
福寿草陶の神馬の眼の真青中里凜
能書を垂れて届ける福寿草中島走吟
ちゃぶ台や九谷の内の福寿草仲田蓮謙
朽ち果てし獣の骸福寿草中鉢矢的
シャベルカー福寿草まで呑み込んで仲 操
福福寿草ゆるり深煎りマンデリンなかむら凧人
愚痴零れないよう福寿草で栓新蕎麦句会・凪太
福寿草朱塗の盃の出番かな凪ゆみこ
福寿草以外は造花小児歯科なしむらなし
黙食も取り合う煮しめ福寿草名津あじろ
元日草喜寿を真中にとる写真夏草はむ
宝くじ七等ですね福寿草夏雲ブン太
子の持てる空の広さや福寿草夏湖乃
図書室に新刊ありし福寿草夏空なみ
鈴の音を形にすれば福寿草夏椿咲く
太陽は嘘をつかない福寿草夏野あゆね
開店の花屋特価の福寿草夏目坦
ひとりゐて福寿草は眩しすぎる夏雨ちや
植木屋の挨拶にきて福寿草奈々
メンデルスゾーン弾いていたのは福寿草七森わらび
日の本の朝に活けたる福寿草⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
四畳半に家族集まる福寿草名計宗幸
切断の足先疼く福寿草なみ夢めも
あ、福寿草だよ 福寿草ですね奈良素数
肉眼の太陽小さし福寿草西川由野
車椅子押せ押せ福寿草踏むな西田月旦
音符待つト音記号と福寿草西原みどり
タオルより手拭が好き福寿草西村小市
還暦は若手の地区や福寿草西村棗
取らばやな御身の痛手福寿草日滔
課題曲飽きて小窓の福寿草二和田躬江
一献の陽を零しけり福寿草仁和田永
福寿草森在り続けますやうに鵺之疾秋
たましひを踏まれる覚悟福寿草暖井むゆき
可哀想だから置いてく福寿草沼沢さとみ
うからみな下がり眉なり福寿草猫
右折より左折が苦手福寿草涅槃girl
福寿草咲け預かりの犬はうるさいノアノア
聡い子と言われたい夜福寿草野井みこ
一面の地熱を括り福寿草野口雅也
おはじきにローカルルール福寿草野地垂木
余命告ぐ医師の机の福寿草ののr
「後期」なる冠詞つく歳福寿草野原蛍草
朝鶏の鳴きこぼしたる福寿草登りびと
福寿草拉致されて保護されていずこ羽織茶屋
福寿草の吐息田の畦くろぐろとパクパクポンタ
甥っ子の遠投の弧や福寿草はぐれ杤餅
眠さうな赤子のまぶた福寿草はごろも856
救急の混雑の隅福寿草波止浜てる
家族葬受付に置く福寿草馬笑
福寿草ほつれ擽つたい地面長谷川水素
百年の監獄の庭福寿草長谷機械児
福寿草孫はシステムエンジニアパッキンマン
あくびって幸せなんだ福寿草八田昌代
青空を見上ぐ急登や福寿草はなぶさあきら
福寿草そんなに遠くない戦場羽沖
他所の庭なんか綺麗と福寿草馬場勇至
災厄の無きごと明し福寿草浜けい
拘置所の受付台の福寿草浜友輔
福寿草母となる腹ふくらみてはらのぶこ
福寿草アンタ最近ちぢんだか巴里乃嬬
おひさまぽかぽか福寿草放牧播磨陽子
無縁塚を濯ぐ糠雨福寿草晴田そわか
福寿草戦前生まれの笑ひ皺晴菜ひろ
膝を擦るロープ一本福寿草葉るみ
土の香のまだ眠さうに福寿草はれまふよう
太っ腹の大黒様と福寿草ぱんだ
福寿草花占いの凶となりHNKAGA
ふくじゆさうはれのおもさにひらきけりはんばぁぐ
したたかに陽を操りぬ福寿草万里の森
陽だまりのあるじ無き椅子福寿草柊木祐希
鐘の音の門前町や福寿草光源爺
玉子かけご飯つやつや福寿草樋口滑瓢
予備校はかくも高きか福寿草菱田芋天
福寿草弁当配るボランティアひすい風香
福寿草ゲーテの請ひし光はも美竹花蘭
福寿草形見に一つもろうて来ひでやん
福寿草ちりり土の香はじきけり日向こるり
けしゴムにスマイル描いて福寿草ひなたのくまさん(ひなた娘)
足踏みのミシン匂へり福寿草ひなた和佳
福寿草愛でる和の声柔らかにひな扶美子
福寿草はないちもんめの一番目緋乃捨楽
閏秒足されて福寿草ひらく比々き
生まれかわってもふくじゅそうのままでヒマラヤで平謝り
「籍入れよう」思わぬライン福寿草向日葵@いつき組広ブロ俳句部
餡子には塩一つまみ福寿草姫川ひすい
おりん磨く母の鼻うた福寿草日吉とみ菜
解体の実家にわすれし福寿草平井千恵子
福寿草靴のかかとを揃えけり平野孤舟
未だ白き手帳めくりて福寿草平松 一
モルヒネの顔のしづやか福寿草平本魚水
日溜りは福寿草より始まれり広木登一
洗礼に赤子はあくび福寿草廣崎醒子
百回言えばきっと長生き福寿草廣重
小鉤留め甲の膨らむ福寿草広島立葵
初恋の人も歳とる福寿草広瀬康
福寿草飛ぶ蝉丸の札の先弘友於泥
前髪を揃えてみよう福寿草ひろ夢
くしゃみして老猫は逝けり福寿草琵琶京子
焔ほど光揺らさじ福寿草風慈音
朝日入る手鍋の棚や福寿草風泉
福寿草姉のえくぼが羨まし深川佳子
蒼穹の核融合福寿草ひらく深蒸し茶
福寿草隣家にをのこ生まれけり深夜のり子
肋骨に日ちに薬と福寿草福田みやき
千円は九枚用意福寿草福月スミレ
福寿草ねこの余命を告げられて福ネコ
子供食堂の模様替えして福寿草福弓
福寿草居住まい母に似ると云ふ福良ちどり
福寿草祈りは力集め合ふ藤色葉菜
福寿草耳鳴り飛蚊友として藤丘ひな子
天に日輪地に百輪の福寿草ふじこ
一病と二人三脚福寿草藤田康子
福寿草汝も吾を好きといふ奇跡藤田ゆきまち
受験票確かむ庭に福寿草藤原涼
福寿草待たず施設に入る母藤丸子
赤紙の来し日のはなし福寿草藤雪陽
復縁を傍観しましょう福寿草豚ごりら
地球より福寿草へと脱皮する冬のおこじょ
福寿草その黄は土の発酵色古川シアン
雀荘の窓に李さんの福寿草ふるてい
さへづりのやうにほころぶ福寿草碧西里
我慢せしことば福寿草につらつらペトロア
たから物うめたよ福じゅ草のとこへなけん
出棺に添える孫の手福寿草ベニヤサン
福寿草国の周りは青き海茫々
授業料送る農協福寿草星月さやか
黄金と呼ばれし國や福寿草干しのいも子
福寿草ひかりに召され天の色星乃ぽっち
福寿草てまりころころよく笑ふほしの有紀
福寿草鍛冶屋の湯だま笑ひをり甫舟
爺さんの手形朱しや福寿草星善之
家計簿の昭和の物価福寿草ぼたんのむら
胎毛筆やはらか福寿草へ風ほろろ。
百歳の祖母は福耳福寿草盆暮れ正ガッツ
妻ばかりしゃべる朝食福寿草梵多
やわらかきやまとことばや福寿草凡々
少年の夢はまだ無い福寿草梵庸子
半切に墨たっぷりと福寿草凡狸子
留守電に師の声を聴く福寿草前田冬水
顔だす雛のごと福寿草は蜜真壁和子
戦陣訓背き生きたり福寿草牧野敏信
二人掛けソファ捨てた日福寿草マキベエ
福寿草お辞儀すがしき寝ぐせの子まこ@いつき組広ブロ俳句部
乳をのむ子牛のよだれ福寿草まこちふる
陀羅尼助土産に福寿草きれいまつたいら西
福寿草うどんをすする修行僧松高網代
白昼の蛇口は硬し福寿草松本裕子
思い出の箱は空つぽ福寿草まどん
喪失のひかりに濡れて福寿草真冬峰
ピアノ音の昨日より今日福寿草真宮マミ
吐く息の祈りとなりて福寿草まりい@木ノ芽
末吉は吾によう似合ふ福寿草丸山隆子
キャスターの同郷なまり福寿草まんぷく
福寿草から福寿草へ駆けゆく子みい
福寿草そでに群れたる端役かな三浦金物店
老木に過分なひかり福寿草三浦にゃじろう
丸顔の家系なるかな福寿草澪つくし
前向けとやたらと歌う福寿草帝菜
福寿草うちのお鈴はアルトにて三茶F
知らせ待つ高三の土手福寿草三島瀬波
母の背の清きゆがみや福寿草みづちみわ
福寿草踏んでガサツなふりをして光峯霏々
万物に引き合ふちから福寿草南方日午
採用の吾子の手厚し福寿草水無月葉子
寡黙なる神の子池の福寿草みなと
今年こそ村消滅す福寿草港のパン屋
洗濯の廃液きれい福寿草南風の記憶
一人より一緒が嬉し福寿草みなみはな
にこやかに殺意を隠し福寿草ミモリ
元日草ねむる胎児もよく笑ふみやかわけい子
福寿草カーズシューズは三代目宮坂暢介
日時計の時をひと押し福寿草みやざき白水
福寿草ひかりと逸れないやうに宮武濱女
父囲む最後の写真福寿草雅乃珠晃
新しき名字初めての福寿草宮部里美
ありがとうって手話覚えたの福寿草みやま千樹
御神酒下げ受く朝朝や福寿草宮村寿摩子
福寿草スカイツリーを従へて宮村土々
あけぼのの福寿草ラジオの英語ミラベル
真新しい土の墓場に福寿草麦畠案山子
落書きはいつも青春福寿草椋本望生
墓石の値を問う母よ福寿草無弦奏
床脇へ陽射し鋭し福寿草武者小路敬妙洒脱篤
百歳がiPhoneで撮る福寿草睦月くらげ
志ん朝の芝浜古りず福寿草無恙庵閑酉
福寿草買って支那そば屋台来て村上牛蒡
新入りの髪師が窓を福寿草紫小寿々
月行きの夜汽車のひざに福寿草村瀬っち
顔洗ふ試験の朝の福寿草むらのたんぽぽ
犬の水たぷたぷ光る福寿草メレンゲたこ焼き
珈琲の揺らぎに黙す福寿草モコ
ピアノソナタはピアニッシモへ福寿草望月ゆう
耳鳴りを汽笛に変える福寿草望月朔
ひらがなのようにひらけるふくじゅそう百瀬一兎
福寿草たった二人の喪家なり百瀬はな
白色尉の髭ながながと福寿草ももたもも
艾年も妻は変わらぬ福寿草森勝利
五人目は男子とありて福寿草杜まお実
弾むってこんな色です福寿草森 毬子
鬱病の零から半歩福寿草森佳三
福寿草陽は仏葬の香に似たるもりさわ
玻璃越しの褪せし畳や福寿草もりたきみ
振袖を仕立て直すや福寿草森田祥子
封書にて結果通知や福寿草森中ことり
つぶやきと光と風と福寿草杜乃しずか
よくしゃべる子の居る列や福寿草森の水車
俯向く子頬柔らぎて福寿草森翠
妻という不思議なるもの福寿草森山博士
願かけて解く固結び福寿草山羊座の千賀子
客なき宿まどべに福寿草五輪痩女
福寿草買うて明るきひとり酒奴
老父から譲渡の車福寿草柳瀬レーコ
福寿草朝に匂いのありにけり矢橋
折尺は父の形見や福寿草八幡風花
初恋の相手はもしや福寿草ヤヒロ
酔ふままに羽織を忘れ福寿草山井直改め凡句楽直
ラッセルの遠鳴り福寿草の黙山河穂香
福寿草鄙びた宿の赤電話山川腎茶
小さき姫居るかもしれぬ福寿草山口 絢子
厨より豆煮る匂ひ福寿草山口一青
福寿草咲くのんと咲くゆんと咲くヤマザキコウシ
お手玉は祖母の十八番や福寿草やまさきゆみ
福寿草真白き紙におろすペン山育ち
追申は鉄路の果ての福寿草山田蹴人
ここら辺三年ぶりの福寿草山野花子
CTの頭蓋褒められ福寿草山野麓
恋多き神てふ矛盾福寿草山本先生
福寿草海山空も我を抱き山本蓮子
炊き出しの静かなる列福寿草山吉白米
真っ新なリハビリシューズ福寿草柚木みゆき
ふはふはとふくらみふゆるふくじゆそう遊羽女
笑い皺ある人が好き福寿草宥光
遠くゐてふと近き人福寿草ゆうま
道切りの御幣真白や福寿草雪井苑生
二上がりの三味の音柔し福寿草雪音
地獄谷みぎにひだりに福寿草雪ノ下青観
飛石を七つ数えて福寿草湯屋
石庭の金波銀波や福寿草陽花天
佳き人は甘露の匂ひ福寿草羊似妃
犬だつたころの幸せ福寿草横縞
犬逝きて忽然とある福寿草吉田郁
福寿草母と枕を並べる夜葦たかし
氏神のさざれ石三つ福寿草吉武茂る
福寿草尻尾みたいに跳ねる語尾吉行直人
バス停の影は明るし福寿草楽花生
飛行機の腹の柔そう福寿草羅点
福寿草悟りを悟る其の裏はリーガル海苔助
兄嫁の律儀一編福寿草柳絮
病み猫の練り餌舐めたり福寿草蓮花麻耶
一文屋の深き日差しや福寿草若林鄙げし
瘡蓋の取れるの待てず福寿草和光
福寿草親になるだけ稼ぎたし渡邉一輝
湯気透かしほころび合うや福寿草わたなべいびぃ
機織の響く庵や福寿草渡邉竹庵
寺猫のチロのおもかげ福寿草渡邉桃蓮
中三の神籤吉なり福寿草渡辺陽子
一丁目の一番地の福寿草渡邉わかな
おはな組おひさま役の福寿草和風
初陣の事務所開きを福寿草笑笑うさぎ
SAのトイレの隅に福寿草川村記陽子
三十人待ち受付に福寿草川村昌子
福寿草けふの幸せ一グラム城内幸江
福耳と言われ可もなく福寿草知恵さん
福寿草終活ノート書き足さん福山あやこ
無人駅古いおざぶと福寿草ma_tant.
福寿草摘んで悔いある命かな石本美津
家族増えて撮りし動画や福寿草和泉攷
福寿草幸せになるなんて罪磯むつみ
厚着して右向け右の福寿草イマスノリコ
信じ切る息子の未来福寿草いわつよ8
福寿草ひらきて恋の嘘一つ 岩橋春海
埴輪にも乳房がありて福寿草空木眠兎
福寿草笑顔の似合う人ばかり越冬こあら@QLD句会
福寿草宇宙の声を聞いている大紀直家
子の笑顔うつすがごとし福寿草岡田恵美子
母笑みて白かっぽうぎ福寿草奥田早苗
いにしえを光重ねし福寿草おでめ
子ら来れず二人・一匹福寿草奥の昼行燈
恋文にB面の君福寿草おぼろ月
誠実に死へ進む日福寿草灰頭徨鴉
首に鈴つけられてをり福寿草海峯企鵝
福寿草やんちゃ坊主も父となる加賀くちこ
反抗期過ぎしリビング福寿草風ヒカル
しゃがむればやっと目の合う福寿草花鳥風猫
福寿草さがして弟の夕餉かなacari
繰り上げスタート見送る福寿草朝雲列
さりげなく光あつむる福寿草石井茶爺
福寿草天に小判の供え物石岡女依
寄り添ひし地のてにをはを福寿草一本槍満滋
割烹着新しくして福寿草オカメインコ
絵手紙の描き手あまた福寿草季々諧々
主より長生きしたる福寿草教来石
勿体ないが母の口ぐせ福寿草小山晃
福寿草さらの手帖で種探し五郎島金時
日溜りに笑ふ八重歯の福寿草河南朴野
福寿草えがおをつくる朝鏡きた実実花
福寿草宇宙の底の水の星熊谷温古
末の子も飲みにゆく歳福寿草倉岡富士子
よちよちと床をばあちやん福寿草倉木はじめ
団欒に元日草が生々しい眩む凡
時盗む我手折りしは福寿草桑原和博
紅日の輝度を束ねて福寿草恵勇
小さき金烏山辺の福寿草古烏さや
夢追ひて増ゆる徳利や福寿草小久保ゆた夏
想い出も添えて沙汰あり福寿草西條恭子
乱高下毒に合点し福寿草斉実篤
福寿草甲羅は星を受くかたちさくさく作物
子の家に稚ひとりずつ福寿草咲弥あさ奏
福寿草癌と共存する決意櫻井弘子
窓越しにひと逝きにけり福寿草さっち
赤子抱く家族写真や福寿草澤田郁子
親よりも先に逝くなと福寿草さわだ佳芳
眉雪の家誰を待つのか福寿草さんとうせい
ひょっこりと土竜めく蕾福寿草品川笙女
「もういいかい」の返事待ってる福寿草沙那夏
佳きお茶と祖母の笑顔や福寿草新花水木
永久歯顔のぞかせて福寿草晴好雨独
楽しげに昔話や福寿草空
寿がぬ年を墓場の福寿草泰山
福寿草家事をさぼりて作句かな高橋光加
福寿草日の溢(こぼ)れつつ時零る滝川橋
愚直とは美しき事なり福寿草多木紫蝶
婿の面着け門前の福寿草竹八郎
寺の音や一里渡りて福寿草 たすく
本番の朝触れて出る福寿草辰野史会
川縁に唱の生まれて福寿草立部笑子
晴れた日の福寿草のあいず乱反射立山はな子
福寿草十月十日の末の声長楽健司
福寿草たれ打ち初むや弟鼓辻内美枝子
へべれけの阿呆帰宅す福寿草東戎
屋根めがけ放つ乳歯や福寿草どくだみ茶
福寿草めいと内緒のプリンパフェ杼けいこ
かき揚げは我が家の秘伝福寿草どこにでもいる田中
藪の中誰が投げし球福寿草中嶋敏子
幸薄き幸子手にとり福寿草浪速の蟹造
割烹着糊の香りや福寿草根々雅水
にこやかに上司に飲ます福寿草濃厚エッグタルト
廻るろくろ咲く福寿草踊る群衆稗島塗小太郎
人生百年竹神酒筒に福寿草花岡淑子
社会人まわりは敵か福寿草華樹
新しき花緒の硬し福寿草花南天
たまゆらにウィンクしたやうな福寿草ぱぷりかまめ
おこづかい少し貯まりて福寿草早川令子
空明けて鳥飛ぶ姿福寿草ばんしょう
福寿草皆で囲んで朱の御膳ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
あなただけ福寿草には嘘つけぬ日向大海
福寿草子あり孫あり我八十路平岡花泉
福寿草生まる神の錬金術により比良田トルコ石
唇は血の味残し福寿草福井三水低
福寿草娘の恋三十路の恋福田悦子
福寿草淀みの雨夜に待つ受粉藤咲大地
毒ですよ笑う月夜の福寿草星雅綺羅璃
福寿草水盤に満つ童歌甫舟
韓流は愛憎ドラマ福寿草堀卓
針金の細工瑞々し福寿草まつたいら西
母の背は日溜まりのやう福寿草村松登音
道端に捨てた夢あり福寿草momo
福寿草の黄君の気反比例もり葵
一人見の怖く楽しき福寿草山口雀昭
オレのことキライだってさ福寿草横浜J子
円卓を囲む似た顔福寿草横山雑煮
北風と太陽を借る福寿草吉川拓真
かいらしなぁ亡き祖母の声福寿草よし季
また坊主捲りて泣く子福寿草余田酒梨
つまづきを知る師の笑みよ福寿草ラーラ・K
じゃんけんの尽きぬあいこや福寿草梨音
傘寿なる階段を降り福寿草流流
福寿草指定ジャージにアップリケ烈稚詠
福寿草ミサイル飛んで津波来て蓮香(山端直子)
境内の賑わい半ば福寿草ANGEL
おみくじの吉を引くまで福寿草あ・うん
分かれ道問いかけてみた福寿草あいあい亭みけ子
陽だまりに孫の笑顔や福寿草愛華沙羅
山の端に福寿草しがみつき揺れる藍雅凛
仔犬らの肩寄せ合ひて福寿草あおいなつはやて
福寿草金糸まばゆし花文庫青井晴空
開く弁発つ意思あらたに福寿草青橘花
帰り道足下飾る福寿草青島めんそ
黄金の笑顔で陽に向く福寿草 青空太陽
はじめてのちぎり絵優し福寿草青空鳩
濃い黄色福寿草なる厳しさか大竹八重子
福寿草御空のひかり言祝ぎて青田奈央
誕生日食べちゃう話福寿草青に桃々
金杯に溢れる時間ふくじゅそうあおのめ
皿洗い終え窓越しの福寿草赤い実
手の振りて背後からこゑ福寿草赤尾双葉
福寿草幸を我が家に運ぶかな赤子沢赤子
福寿草咲いた夢から目覚めをり紅紫李依
早歩き福寿草とて孤独なり赤松鴨
葉書絵に福寿草描きありがとう聰子
福寿草黄色の酒坏天仰ぐ秋田白熊
おひさまがおちてさいたの福寿草秋乃さくら
寄り添うて佇む姉妹福寿草秋山誠
福寿草探し歩いて一万歩秋代
犬の糞得て咲き匂ふ福寿草秋吉和紀
白そこひ癒えて真黄や福寿草秋吉孝治
待ってるの小さなつぼみの福寿草天空海まりん
オリオンの脚に添い泣く福寿草芥川春骨
ぽんぽんと光り花咲く福寿草芥茶古美
臨家との境界標は福寿草あくび指南
最期の茶くらゐ急かすな福寿草あさのとびら
福寿草机の隅の写真立て麻場育子
どうしたの福寿草と見つめ合う亜紗舞那
「必勝!」と母の置き配福寿草あざみ
おもひでのピアノに置きし福寿草あすなろの邦
待ち侘びるひだまり恋し福寿草あすなろの幸
息切れて石段の先や福寿草あそぼ葉
自主返納車庫空けし日の福寿草新子熊耳
西日射す部屋に一鉢福寿草跡部榮喜
元日草ふるさとの海あれおきぬ阿部典子
空向いて咲く福寿草われひとり天川滴翠
福寿草初ネクタイはやや細めあまぐり
被爆樹にそっと寄り添う福寿草雨戸ゆらら
深呼吸凛たる笑顔福寿草朱頂蘭
十日後の蕾みっつめ福寿草アマリリスと夢
ガーネットの指輪とキスと福寿草雨霧彦@木ノ芽
花日記「今朝咲きました」福寿草雨李
多くは望まずと決めて福寿草あややDC
福寿草けいこ十分慰問曲あらかわすすむ
全開の笑顔並べて福寿草あらしず
福寿草母が父より強い家あらせもんじ
きょうの日は我の天下ぞ福寿草あらら
遺影決む陽射しの縁の福寿草蛙里
傘のうへ桝回ります福寿草ALLY満る
福寿草傘寿の妻のジャズダンス有本俊雄
日の刺さり今ぞとばかり福寿草阿波オードリー
福寿草まだかまだかと待ちわびてイカロス
黄玉ぽろり空くじなしの福寿草いくみっ句
生まれ来る孫や明日みる福寿草池愛子
遅咲きと言われて凹む福寿草池田華族
自主隔離画面越しの福寿草池ノ村路
誕の日にまねく喜び福寿草唯沢遥
福寿草咲初めしより時津風石井秀一
はじまりの色しげみに覗く福寿草石垣エリザ
セロファンを重ねたやうな福寿草石崎京子
一点の光を照らせ福寿草石島拓哉
喪中の仏壇にも福寿草石の上にもケロリン
旅立ちし母よ安かれ福寿草石間毅史
心こそ届けと頼み福寿草泉明月子
またひとつ老いの宣告福寿草泉子
初孫や歓喜に深黄福寿草石動胡盧巴
待ちわびた福寿草咲くけふ佳き日遺跡納期
独り居の生きる意義問う福寿草いちご一会
道程の一群れ点る福寿草一太郎ラン坊
生まれくる命待つ宵福寿草いつかある日
息吹の芽小指の程の福寿草いづる葉
別れ晴れやか福寿草輝きて井出奈津美
福寿草口笛日ごとに上手くなり伊藤亜美子
赤ちゃんの手のふっくらと福寿草伊藤節子
有毒で制する心福寿草伊藤テル
機内食一人赴任す福寿草伊ナイトあさか
昨日とも違ふ曇天福寿草井中ひよこ号
福寿草笑う根の毒無きがごと居並小
福寿草妻をいたわり車椅子井上幸子
真中へとあつめたる陽や福寿草井納蒼求
天から地地から天へと福寿草ゐのかたゆきを
福寿草厳しさに耐え花咲かせ今井保夫
軒先に日を浴びてをり福寿草井松慈悦
幸いもこのくらいなり福寿草今村ひとみ
吾子駆ける寄りそう母に福寿草彩人色
鉢の中楚々と顔出す福寿草ゐろをふくむや
平和とは嬰のあくびと福寿草岩木順
コロナ禍に不撓の決意福寿草石見牡丹
仮住まい福寿草ある嬉しさよ植田かず子
兼題をまずはじっくり福寿草上田次郎
「完」の字の背景に咲く福寿草うえともこ
生まれくるみなに咲き初む福寿草上埜嘉子
福を呼ぶ色や黄金の福寿草上原まり
初めての遊具握る手福寿草うさぎさん
息子から謎のstamp福寿草兎ト
元旦草ばあばの笑みは二年分うた歌妙
竜巻の消えゆく先の福寿草宇田建
福寿草ラジオたいそう日課の昼うちだまみ
福寿草焼跡に咲く十年目宇野翔月
福寿草や二礼二拝の宝くじうめがさそう
そら満月じめん金星福寿草梅原宏茂
福寿草病む吾の為に咲きたまえ麗し
福寿草悔いてばかりの帰り道吽田のう
夕暮れに光抱き込む福寿草江川月丸
元初とは無限の零に福寿草蝦夷野ごうがしゃ
大厄や巣籠りがちに福寿草江藤薫
足元のミニ・ソーラーか福寿草江藤真治
そっと抱く瞬間おもう福寿草戎居多佳子
後厄に財布新たに福寿草笑姫天臼
福寿草夢かなえねば今年こそえみばば
四姉妹金と健康福寿草江見めいこ
ばあちゃんとあんよゴールは福寿草えりいも
福寿草ねがえり打てぬ五十肩縁穐律
久々の笑顔揃って福寿草えんどうしん
福寿草陽射しを集め顔を出す遠藤愁霞
放大さんゆかりの寺の福寿草遠藤千草
後光差し神様おるや福寿草遠藤波留
水切りをもう一回と福寿草遠藤百合
健さんのハンカチのごと福寿草遠藤玲奈
ソーラーパネル並ぶ大地に福寿草追師うさぎ
長谷寺の土産日向に福寿草近江菫花
福寿草を花束にして師に贈る大石聡美
幸来る庭のそこかしこ福寿草大江戸小紋
知らぬ街不動産屋に福寿草大江鈴
打ち込んだボール探せば福寿草大阪駿馬
鉢植えの小さなしあわせ福寿草大島一声
祖母の手の皺なほ深き福寿草大嶋メデ
友来る明るく迎ふ福寿草大谷如水
赤ちゃんのほっぺ日向の福寿草大津美
母とまだ共に生きたし福寿草大野静香
合掌の友に一輪福寿草大野喬
かわってく復興のまち福寿草大野美波
園児たち走る走るよ福寿草大原妃
遠出ゆえ今年もお預け福寿草大原雪
故郷は辺り一面福寿草大道真波
福寿草かわいいけれど毒がある大神阿修羅
福寿草言い訳しない見届けて大本千恵子
定年も捨てぬ革靴福寿草大谷一鶴
まだまだと惰眠貪る福寿草大山きょうこ
字の呼吸説く師の筆跡福寿草大山小袖
拳あげ箱根路ゴール福寿草岡れいこ
満面の笑みの遺影や福寿草岡井風紋
福寿草ピン留めしたき笑顔かな岡崎俊子
福寿草今年も人は飾らざり岡崎佐紅
玄関の手を振る朝や福寿草岡田瑛琳
山道に光散りたり福寿草緒方朋子
土起こすか弱き茎の福寿草岡田ぴか
福寿草見つめる瞳に明日おもうおがたみか
福寿草摘むのも惜しむ黄小花岡塚敬芳
福寿草笑顔になる小福者岡本
手を合わす窓辺に光る福寿草丘るみこ
登り来ればぶち撒けしごと福寿草小川天鵲
空を恋ひ温もり恋ふや福寿草奥寺窈子
福寿草カブを残して訪う山家小椋チル
亡き母に生誕祝う福寿草小栗福祥
光芒に戻る笑顔や福寿草おこそとの
福寿草よけて歩くおせっかいおさむらいちゃん
小さき手に福寿草のせ古希祝お品まり
再びの孫待つ窓に福寿草尾関みちこ
福寿草一間半を蹣跚すおだむべ
福寿草に顔寄せ母の笑い皺小野寺さくや
福寿草いきがるもなく添うもなく小山田之介
名ばかりの床の間にある福寿草おんちゃん。
福寿草天まで続くしらす雲菓果
床の間にいつか咲きたい福寿草諧真無子
幸ありと妻言う窓辺福寿草甲斐紫雲
宝くじ買うて片手に福寿草海碧
あたりまえの日々懐かし福寿草案山子@いつき組広ブロ俳句部
杖の先照らす四国路福寿草篝
破顔なるよちよちの先福寿草柿野宮
もういいかい待ち兼ねたのね福寿草笠江茂子
おやつをへおむかへはママ福寿草風花美絵
絵手紙で季節を巡る福寿草梶田美保
今年こそ福寿草を我が庭に加島
ガン宣告受けし朝の福寿草柏原淑子
君笑ふ躓き掴む福寿草花純
駆けつこのゴールは福寿草あたり片岡六子
玄関に受験祈願の福寿草かなた小秋
ハンカチの映画また見て福寿草兼子さとみ
集う声黄色煌めく福寿草金子真美
たわいない会話の楽し福寿草神or愛
めでたさの重なる鉢や福寿草神谷米子
福寿草床に飾りし縁結び亀井汀風
名前負けするなよ庭の福寿草亀田稇
福寿草がんばらなくてもいいんだよ鴨ねぎ子
福寿草オムツいやいや期の双子花紋
変わらない朝の日課や福寿草かよ
微笑んだ診断結果や福寿草カラハ
柔かな光を呼ぶよ福寿草川野カッパ
慈悲深き言葉の棘や福寿草河村静葩
福寿草贋作のごとなぜ光るカワムラ一重
定点の福寿草まだ気配なし閑蛙
福寿草見つけし母のこの笑顔樺久美
「咲きました」父から受信福寿草看板のピン
福寿草まだかまだかと覗きをり紀杏里
赤ん坊のひゃっくり一つ福寿草KII
天界へ電波を送る福寿草岸野草太朗
福寿草ひらく画面の母に告ぐ岸本元世
畝立てを終えて一服福寿草酒暮
福寿草祖母ここ五年九十歳北の36号
合格の祈願帰りに福寿草北村修
陽だまりで顔持ち上げる福寿草吉祥天女草
大小の靴の散らかり福寿草木寺せんゆう
手術日の記憶をいやす福寿草木野まち
福寿草供え久しき夫の墓木原洋子
災害の国に陽色の福寿草きべし
福寿草黄色いハンカチ探したり木村恵美子
築地松の蔭福寿草の深黄木村修芳
福寿草たまには赤く生まれたし木村弘美
地面より目出たき花が福寿草キャム
百点も0点もなく福寿草Qさん
昼間から韓ドラに泣き福寿草鳩礼
福寿草卒寿の父と互戦清瀬朱磨
咲きかけの蕾輝く福寿草桐野鈴子
マスク街避けて小路の福寿草桐山榮壽
セールのコートに色似て福寿草銀長だぬき
福寿草そっと咲いてる我が家に錦流
縁側の猫のびのびと福寿草朽木春加
点滴の外れし朝や福寿草國吉敦子
この年は格別の意味福寿草窪田睡鯨
福寿草からのフク文字愛犬に球磨太郎
すみっこも陽の射すやうな福寿草空流峰山
祝福も休眠らしき福寿草黒田良
一鉢に朝日集むる福寿草桑田栞
怒られて嬉し涙の福寿草くんちんさま
夜道行く灯りにしたし福寿草桂月
日だまりに手を広げたる福寿草景清華
寄せ植えや蕾和らぐ福寿草恵風
被告携ふ家主貞良と福寿草 けーい〇
早くこい吾子らの笑顔福寿草月昭
福寿草忙し足取婿披露 紫雲英
福寿草佳いことありそう今朝の陽も源氏物語
福寿草死ぬか生きるか覚悟あるか弘
福寿草運んでくるか嫁と金紅紫あやめ
ささやかな願いほころぶ福寿草柑たちばな
小児病棟出口の鉢の福寿草幸内悦夫
きっと言ふ泣かずに笑へ福寿草こうやこう
福々と微笑み交わす福寿草幸織奈
福寿草吾が闇静かに照らしけり古賀ちん
福寿草や其処はマンション建設地こけぽて丸
糟糠の妻にみやげの福寿草ココヨシ
「めく」という接尾語教ふ福寿草胡蝶蘭
恋しても焦がれて待つ福寿草木積
パラボラや光集めて福寿草このねこのこ
ぼやけゆく鍛冶の煙や福寿草虎八花乙
白銀に黄金散華や福寿草小林㐂七
誘われし日に花開き福寿草小林健二
猫の眼や一気に開く福寿草小町瑞泉
陽だまりに母の形見の福寿草こむぎ
恋捨てて蜜まで捨てた福寿草西條晶夫
酔ふほどに見惚る床の間福寿草埼玉の巫女
ほの暗き床の間に点る福寿草齊藤真理
一本の先割れスプーン福寿草斉藤立夏
元旦草の初値跳ねつは農村単価坂島魁文
福寿草きらり幽体離脱の枕元坐花酔月
本屋への歩みを止めて福寿草さかたちえこ
山めざし歩む道脇福寿草坂丸美
日溜りに福寿草占めてそっと愛で坂本千代子
福寿草臭い止まりし犬散歩相良まさと
今年こそ今年こそはと福寿草さきまき
嫁ぐ日の玄関清し福寿草さくやこのはな
陽だまりの福寿草老の庭さくら亜紀女
我を呼ぶ子の足元に福寿草櫻井こむぎ
陽だまりの色に負けじと福寿草雑魚寝
餅を食う赤穂浪士と福寿草ささだたつや
一歩二歩母の歩みや福寿草紗々
福寿草見比べてみし花図鑑さち
庭先に手招きしてる福寿草佐藤邦夫邦夫
南面の机ぞ福寿草灯す佐藤儒艮
落球の転がる先に福寿草佐藤俊
床の間にスポットライト福寿草佐藤佳子
福寿草六福神のルーツ読む佐藤里枝子
福寿草愛らしい花おめでとうさなぎ
地蔵様の合掌のよな福寿草サバナ光風
福寿草土の中から後光差す猿茸
震度4耐えて窓辺の福寿草澤野敏樹
胸章に福寿草つけ挨拶をジェントルASANO
縁側に母の定位置福寿草塩沢桂子
小さきも佳き名の花よ福寿草塩原香子
お食い初め笑顔溢れて福寿草しかの光爺
いつかまた逢えるでしょうか福寿草実本礼
バンカラなあいつ酒と福寿草か篠原雨子
摘み取りて幸は消えぬか福寿草柴森爽
福寿草二人の会話明るくししぼりはf22
毒よりも薬が似合う福寿草島じい子
古本屋レジの接客福寿草嶋良二
膝に抱く孫の未来よ福寿草清水明美
朝釣りし鯵をフライに福寿草清水縞午
福寿草萌ゆせせらぎの在り処霜月詩扇
夕食はカレーと決めて福寿草下丼月光
ベッドの父動く右手に福寿草下村ももみ
福寿草何とかしてよ妻の黙ジャスピン
稽古前朝まだ起きぬ福寿草ジャスミン
ちゃぶ台を四人で囲む福寿草写俳亭みの
日差し浴び冬のひまわり福寿草じゃむぱん泉
母幸子八十路となりぬ福寿草洒落神戸
福寿草撫でて封切る福袋しゅういずみ
毒の気も薬の気もあり福寿草秀耕
臨月の娘の手元福寿草秀道
まぁあがれ酒が飲めるや福寿草獣羅
福寿草長生きというリスクかな春幸
東雲を待ちて忍びぬ福寿草正念亭若知古
しろき野に足跡きいろ福寿草四郎高綱
太陽は地上三寸福寿草しんぷる
溜息や空に向かひて福寿草深幽
退院の朝のほっこり福寿草真優航千の母
路地裏の日陰一叢福寿草水牛庵乱紛
ささくれた帰り道なる福寿草酔軒
老母がはなさきに笑み福寿草菅原千秋
膝まずき早く逢いたし福寿草杉浦俊
玄関に蕾ほころぶ福寿草杉浦真子
フィアンセは黄色のフレア福寿草杉尾芭蕉
福寿草清らかなれど毒をもつ杉山博代
父卆寿母は米寿の福寿草杉柳才
福寿草に添われし祖父の墓緩むずくなし
福寿草ゆく人と終止符を打つ鈴木勝也
母子手帳挟む二輪の福寿草鈴吉
肩すぼめそこにいたのか福寿草鈴木暮戯
美容室のドアを開ければ福寿草鈴木麗門
御御籤の結び目固し福寿草すずさん
鈴生りの御籤の枝や福寿草清白真冬
「巻き寿司」と余命の伯母よ福寿草鈴ノ樹
母系家族へ男子授かる福寿草鈴野蒼爽
福寿草包む両手の陽射しかなず☆我夢@木ノ芽
福寿草母のつましい90年靜江
野に有りて黄金ほのかに福寿草青児
故郷の記憶を共に福寿草勢田清
くす玉に込めた文言福寿草星夢光風
崖っぷち前進あるのみ福寿草瀬紀
陽光に負けじかがやく福寿草関根洋子
鉢を捨てスマホに根付く福寿草世代の隙間
トレランでほっと一息福寿草センターテール
汚染土と知らず咲けるや福寿草仙台駄菓子
健気さも嘘か毒持つ福寿草惣兵衛
祝ひ帯金糸の光り福寿草そうま純香
福寿草数える母も喜寿となり蘇州
誕生日よく朝は福寿草咲くそれいゆ
福寿草の見える窓辺父の寝息駄詩
福寿草おめでたき子の死ぬるサゲ帝釈鴫
小袋のわさびは無料福寿草橙と紫
たらふくの顔撫で誓う福寿草髙上ちやこ
おしくらべほくほく顔の福寿草高木うべ
この道でよいかと福寿草に問う高嶺遠
名に惹かれ買い求めゆく福寿草高橋基人
おひさまの子供みたいね福寿草たかはし薫風
墓をよく拭く嫁のゐて福寿草高橋なつ
バスを待つ路傍に花壇福寿草髙見正樹
福寿草おのれと共に日向へと高山佳己
横断や黄色き旗と福寿草竹内一二
永らへて六十路の弟や福寿草竹口ゆうこ
廃屋はかつて豪農福寿草武田豹悟
根っからの太陽礼讃福寿草武田豹悟
福寿草祖母と散歩の犬が嗅ぐ武連翹
福寿草いかなる人も幸せにたけろー
寄せ植えの鉢も新たに福寿草多胡蘆秋
陽を浴びて子の成人す福寿草多事
福寿草だるまの目入れ待ちてをり黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
腰痛に我が歳知るや福寿草ただ地蔵
「初」と「新」溢るる街や福寿草唯飛唯游
しめ縄のもと凜と福寿草あり立花かおる
福寿草もとめ大神大渋滞橘乎夏
閉ざされし日々に希望の福寿草橘春容
欲しいものなどなにもない福寿草立花紅
母のLINE初の写真や福寿草橘萌香
縁側の祖父の背中と福寿草橘路地
足元に小さき微笑み福寿草田鶴子
傷心に一縷のひかり福寿草立野音思
福寿草かざる女将の頬の丸たていし隆松
幸せを噛み締めながら福寿草立松あや子
向けられし笑みは宝よ福寿草立山枯楓
きらきらと希望咲かせて福寿草田中ひろこ
平凡てふ幸せもあり福寿草田中洋子
ふと見てた夜の月にも福寿草田中善美
福寿草毒もてりとは花も根も谷相
水墨画そこだけ色付け福寿草谷口昭子
楽と書く卒寿の母や福寿草谷口詠美
背伸びなどしないと決めた福寿草たかはし薫風
アルバムの若き両親福寿草田畑整
福寿草そっと開けたい包装紙玉木雅代
まばゆしや日射し集むる福寿草たむらせつこ
淡き日の野を明かるくす福寿草田村モトエ
遠き山畦に咲きたる福寿草ダメ夫
北朝鮮の拉致被害者や福寿草ダンサーU-KI
陽だまりの妻へことほぐ福寿草ちくりん
福寿草あと一万日に福をちっちのきも
福寿草見えぬものへの光たれ千風もふ
福寿草寂しき庭に眩し黄よ千夜美笑夢
しろきいろ福寿草合ふ母の髪ちゃんこダイエット
黄色とは逞しき色福寿草月影の桃
福寿草22年も咲きました草豆
福寿草思いのほかの鮮やかさ柘植雅一
自転車も新しきごと福寿草辻ホナ
喜寿過ぎし母の絵手紙福寿草辻瑛美
喪の庭に朝光まぶし福寿草辻陽気姫
母の背に射し込む日差し福寿草津本晶
ひっそりと葉書に咲いた福寿草弦巻英理華
合格の二文字掴めや福寿草哲庵
子も孫も去りて二人と福寿草てつねこ
正面はどちらと問へば福寿草寺尾当卯
ひたすらに祈る安寧福寿草天童光宏
君と幸願わばほつり福寿草桃源郷のチャイ
福寿草ひかりと共に住むみすゞときめき人
札納め空の手に福寿草徳庵
媼らの長立ち話福寿草独星
そこここに福寿草あり試験の日Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
一身に光集めて福寿草所陽子
川音のそばにこっそり福寿草十津川ポロ
老夫婦ふたり三度目福寿草戸根由紀
手鏡に微笑む祖母や福寿草冨川友香理
5黄寅輝き似たり福寿草冨川精子
福寿草宇宙の真理なる黄色Tomo
スケジュールの増える書込み福寿草友@雪割豆
抹茶たてる日々の戻りて福寿草ともこ
箱根路やカメラ捉うる福寿草登盛満
福寿草足元の黄名前知るトリクロロ
寄り添いし福寿草から明け初めるとんぶりっこ
福寿草ほどの幸せかもしれぬとんぼ
ひとり居にあしたはきらと福寿草内藤由子
潔く季節を変へよ福寿草なおじい
五回目の干支を迎えて福寿草中島葉月
集う膳正座の孫や福寿草中嶋京子
陽を集め黄を集めたる福寿草中島圭子
こっそりと願かけるかな福寿草中瀬すみっこ
七回忌墓の隣に福寿草中中
へそくりの缶ふたに咲く福寿草中西歌子
東雲にぽつと光るや福寿草中原柊ニ
公園の隅でふふふとふくじゅそう中村こゆき
経師屋の窓辺に咲ける福寿草中村あつこ
兄は凧妹しゃがみ福寿草中村まさあき
歓びの国の根を張れ福寿草中山月波
福寿草しあわせの色まとふ朝渚
福寿草笑顔いっぱいすべり台那須のお漬物
トーストへジャムを上手に福寿草夏風かをる
最下位のけふの占ひ福寿草七朝まるよ
長き根を切られ飾られ福寿草七国独楽男
伯母卒寿母は米寿や福寿草名前のあるネコ
福寿草目が合いし黄の幸福や成瀬悠
この年をこがねに染めなむ福寿草なんじゃもんじゃ
四度目の稲荷詣でや福寿草新美妙子
子と向かう実家への道福寿草にいやのる
福寿草軽やかになる散歩道二階堂恵
祝う日の光あつめて福寿草西尾至雲
福寿草今年の幸を疑はず西原さらさ
詩と酒と福寿草を我にくれ二重格子
飛鳥村こんな所に福寿草二上松風
膝折れば光湛へる福寿草温湯めぐみ
福寿草七福神と福来たり猫辻みいにゃん
カタカタと鳴る押し車福寿草根本葉音
美に幸あれど毒や持つ福寿草野中泰風
まち針のピンクみずいろ福寿草野ばら
新聞にふふっと笑うや福寿草則本久江
海色のやちむんの鉢福寿草俳号考え中のユキ
車椅子祖母はうつむき福寿草白庵
始む色天地の託宣福寿草 白雨
北のあの人へ切手は福寿草白羊子
福寿草芽の先のほのかに赤き橋本恵久子
玄関の明りとなりぬ福寿草長谷川ろんろん
師の墓碑の陰に暮れゆく福寿草長谷島弘安
福寿草大地味方に盛り上がり畑詩音
福寿草一輪摘んで今朝の膳畑中真土
硬き土ほぐしてひかる福寿草畠山悊央
愛の果てアドニス悲し福寿草蜂鳥子
暗闇に卒寿清しき福寿草初江
初接写大きく笑ふ福寿草葉月のりりん
鼻水の粘りやひかる福寿草はっしー
寝不足の目には眩しき福寿草初野
福寿草の黄色ひと匙ほどの愛はなあかり
廃屋の庭に元気な福寿草花岡紘一
並んでるこけしのような福寿草花岡浩美
百歳の母の慰霊や福寿草花弘
福寿草三日坊主の日記帳花咲明日香
福寿草下駄箱の上一番座花咲みさき
夢ふふむ黄一つづつ福寿草花野
福招き幸せほころぶ福寿草花見客
福寿草つぼみはお地蔵さまに似て花和音
福寿草ティアラを映す水鏡はのん
コロナ禍に凜と座るや福寿草羽馬愚朗
福寿草くぐり戸からのひかり受く浜口好山
名にし追ふ吉祥嬉し福寿草林田りこ
今年もの言葉重たし福寿草林山千港
赴任より帰国の報や福寿草原水仙
福寿草今年も庭に芽がひとつ原善枝
裏表二面性有り福寿草原島ちび助
スロープに出迎え並ぶ福寿草原田民久
福寿草土手のあちこち黄色く点火haru.k
しみじみと昨日も今日も福寿草春爺
しあわせと不幸せのあいま福寿草はるなつきえ
なんてんの下でさびしき福寿草晴海
玄関のわきが定位置福寿草晴海南風@木の芽
毒わずかかくして咲くや福寿草はるる
根っこに毒幸よ来い来い福寿草バンズワキ
福寿草黄色黄色の競い合い榛名ぴぐもん
いつまでも笑って生きたや福寿草ひーちゃんw
ままごとの今日のお客の福寿草東の山
晴れ渡る空をめがけて福寿草東原桜空
やっと咲き福もみっつよ福寿草東山たかこ
我が孫と母が遊べり福寿草微喜
めでたさや黄金こぼれり福寿草ひぐちいちおう(一応)
新婚となりて帰省の福寿草樋口ひろみ
寄せ植えに縁起詰めこむ福寿草原野乃衣
めんこゐて幸せ灯す福寿草ひしぬままき
今年こそ幸せ来たれ福寿草美泉
日の匂ひ立つ福寿草愛享けてヴィッカリー趣乃
独り身の我を見守る福寿草ひめりんご
命日に咲いたいちりん福寿草雛子なな
眼鏡でも福寿草へとピント合い比良夏翠
手作りや窓辺の鉢の福寿草平林晶子
固まって遊ぶ園庭福寿草平林眞砂
寝室の常夜灯めく福寿草比良山
めでたさを一身に負い福寿草昼寝
特養の一等地なり福寿草福川敏機
更生を誓う少女よ福寿草ふくじん
またきっとデートできるよ福寿草ふくろう悠々
死を選びし父の墓に福寿草藤井かすみそう
福寿草紅白なますの音が鳴るまろん
濃紺の鉢に三輪福寿草藤井聖月
福寿草日向に置けば咲くものを藤倉密子
古くからSDGs福寿草藤乃雪
養生の犬見上げしは福寿草藤連翹
家族写真ひとり加わり福寿草藤原訓子
福寿草温き御仁に迷いたり船橋こまこ
爪を切る窓辺日向の福寿草文月さな女
階上は電車ごっこか福寿草風友
撮初めのレンズの先は福寿草古澤久良
福寿草一つ開いてあと蕾古下翠照
福寿草光と陰を持つケモノヘッドホン
老齢の歯科医の指や福寿草べびぽん
肩寄せて鉢植えの中福寿草ほうすい
オミクロン変わらぬ色の福寿草房総たまちゃん
日当たりの優しさを知る福寿草北斗八星
虫たちのプラットフォーム福寿草ぼくのはね
山彦に応えて咲くや福寿草細江隆一
大検を母始めると福寿草細川小春
目を澄ませ信じる力福寿草細野めろん
雉鳩の首傾くる福寿草堀隼人
短冊に「吉」と一文字福寿草堀邦翔
古希祝う時に委ねて福寿草本間美知子
茅葺の堂脇日向福寿草ほんみえみねこ
大丈夫春は来るよと福寿草まあるいあんこ
福寿草女所帯のごときなり茉叶
日記帳抱負並べて福寿草真壁寛
首を振る寅の人形福寿草まがりしっぽ
放つ矢に色めき立つや福寿草真喜王
福寿草昭和の茶の間思い出し槙由梨子
木漏れ日に蕾持ち上げ福寿草眞熊
この辺で絵文字はハート福寿草正岡丹ん
戀すてふ想ひ秘そめし福寿草雅蔵
OB打つ愛想笑いを福寿草眞さ野
如何にせん還暦の筆福寿草町田勢
早咲きの無常感ずる福寿草松井研治
足元に温き灯福寿草松井酔呆
福寿草八重にめでたき福禄寿松浦宣子
福寿草鞠に込めたい愛らしさ松岡幸子
福寿草生きてるだけで褒めらるる松岡重子
祝宴の金杯のごと福寿草松尾祇敲
木曽路行く福寿草里見頃かな松尾廣子
耐えるのら猫足元に福寿草松島美絵
休眠を覚めて彩なす福寿草松平武史
日当たりて膨らみたるや福寿草松田文女
真っ新な葉書に挿絵福寿草抹茶子
福寿草見つめる先の明日かなまつとしきかわ
笑いジワ今年も増えて福寿草松野蘭
福寿草玄関に有り揃う靴松村貞夫
福寿草ひらく卒寿の同期会松本修
還暦の友も手習い福寿草豆福樹々子
道の駅野菜と並ぶ福寿草まやみこ恭
朝の日に微笑み返す福寿草真理庵
アルプスを望む菩提寺福寿草眞理子
我先に咲くぞ咲くぞと福寿草○エツねも
いつまでも壁の色紙は福寿草真路巴笛
福寿草まぶしき黄色朝の庭三浦ユリコ
愛猫も気付けば十に福寿草三上栞
約束をしたる喜び福寿草未貴
見上ぐるや栗鼠するすると福寿草三崎扁舟
福寿草そっと陽向に手を合わせMrふじやん。
毒を隠し季の先駆け福寿草水乃江辰
3歳と乗る新幹線福寿草水野ややちゃん
玄奘や経典胸に福寿草巳智みちる
福寿草実家は無人となりにけりみちむらまりな
福寿草もう悩むのはやめにして美月舞桜
吉例のお軸の山や福寿草みつれしづく
里帰り家族そろって福寿草湊かずゆき
福寿草みんな誰かの灯りなる宮井そら
福寿草あずまや奥に人知れず見屋桜花
神様は見てて下さる福寿草都乃あざみ
福寿草招く縁あり祝賀の日宮田恵里
この星に生まれ来たりて福寿草宮田羊
福寿草踏まぬように土手下りる宮原みかん
お喋りの輪の中心や福寿草美山つぐみ
福寿草福禄寿待つ浅草へ妙
尿かけぬ犬も知ってか福寿草みわ吉
合格の知らせはまだか福寿草三輪白米
福寿草お天道様のこぼれ笑み夢雨似夜
福寿草明日は会議の深夜便ムーン貞子
福寿草ふくらみ座る床まぶし霧想衿
霜髪の身を気遣いし福寿草武藤幸雄
夜勤明け陽の差す方へ福寿草むねあかどり
挨拶の五文字を添えて福寿草紫けい
家事支援庭先に咲く福寿草村のあんず
嬰児の黒目に揺れる福寿草暝想華
老いた母我に持たせる福寿草めいなな
福寿草友よりふみの届きけり目黒千代恵
福寿草咲きて誇りし蹊を成す本村なつみ
草の戸の庭も咲き添ひふくじゆさう本山喜喜
訪れを焦がれるお題福寿草椛楓
二人ゐて重ねし月日福寿草桃香
福寿草追うな探すな青い鳥森佳月
母からの絵手紙寄り添うふく寿草森日美香
福寿草空き家の庭で誰を待つ森谷拓之
露わなるリフトの根巻き福寿草杜若友哉@はなばた俳句会
本を閉じ出窓に咲ける福寿草諸岡萌黄
柏手の親子湯島の福寿草もろ智行
宮参り草履の先に福寿草八重葉
食卓に家族がそろい福寿草八木実
「あったよばぁちゃん」手に福寿草まご笑顔柳井るい
面会が終わる母の目机上の福寿草柳川耀一郎
福寿草リュックを背負い息子来るやのかよこ
福寿草朝日の方へ背伸びする山口
鉢植えの福寿草越し青い空山口香子
福寿草交わす挨拶こそばゆし山口たまみ
兄弟の素振り見てをり福寿草山口はなこ
福寿草株分けせしが何処で咲く山崎鈴子
陽光をこぼさず受けて福寿草山下青灯
とりあえず一日一日を福寿草山田啓子
福寿草妻が食べたいバレンチョコやまだ童子
福寿草靴の下から津波来し蓮香(山端直子)
福願ふごとく群る福島の福寿草山彦一水
幼子の積み木の中の福寿草山本康
祖母の手の青き地球や福寿草祐宇
凛と咲け「愛の手帳」と福寿草裕子
足らぬ皿差し出す小鉢福寿草ゆすらご
下校時のカップル眩し福寿草柚木啓
下校時の追いかけっこや福寿草宙美
酒盛りに福寿草の葉かすか揺れゆめの常盤
福寿草涙目になる我叱りようこ
縁側の祖母の笑顔や福寿草陽光樹
滑り台に黄色のテープ福寿草欲句歩
忙し都会の隅に我福寿草夜香
病癒え妻の触れたる福寿草横田信一
歩き初めおいでおいでと福寿草吉哉郎
福寿草サイコロの目に朝日射す吉岡幸一
福寿草家族の数だけ集まれりよしぎわへい
あと2キロ喘ぐ足元福寿草吉田静波
孫動画手術間近の福寿草吉田びふう
ひたすらに希望負わされ福寿草吉田まゆみ
教えてよ姪の結婚福寿草吉野川
上品な和菓子のごとき福寿草吉藤愛里子
理不尽を吸い上げ開く福寿草よしみち
福寿草高架橋ごし富士真っ白四葉の苦労婆
福寿草一番星の明かりかなよみちとせ
新品のコートと靴や福寿草Y・りこ
福寿草今年はハワイに行きたいわ夜紫遠
結露越しの陽だまりに笑む福寿草ラタタタム
福寿草奏でる音色幸せの予感ラブみるく
太陽の欠片集めて福寿草らりっく
タクシーの五分の逢瀬福寿草良俗倭人
吾はまだ夢の途中や福寿草凛々
新しき靴下ろしけり福寿草るぴなす花
老木へポツポツ集う福寿草るんやみ
旅立つや福寿草見え母の声麗詩
進路変え吉と出るまで福寿草紫雲英田
福寿草まる子の顔で笑いだし連雀
病がち心和むや福寿草蓮風
さりげなき姿ぞ嬉し福寿草蘆舟
リハビリの一歩促す福寿草若竹芳子
ラジオからロンド流れて福寿草わかなけん
おしなべて仲良く咲けり福寿草若林千影
犬そこに家族だんらん福寿草わきのっぽ
名を問えり福寿草見て幼子は海神瑠珂
化粧砂白し床の間に福寿草わたなべすずしろ
「福寿草咲いた」と祖母の電話かな渡辺香野
兄老いて母に贈らん福寿草渡辺ヤスコ
束の間の一家団欒福寿草吾亦紅
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
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◆お願い
●俳号には苗字を!○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 花咲きて 散らぬが名こそ 福寿草megurogo
- 歳重ね 福寿の花が 祝い花桂
- 片隅の 明るく照らす 福寿草齊藤安弘
- 福寿草 反撥と知る 孫の黙櫻井りこ
- 2年越し 自宅監禁 福寿草重芳
- 絵手紙の ぱっと咲いてる 福寿草戸田なお
- 福寿草 隣の庭から おいでませ~ニャンダ小町
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
○テレビの俳句番組では、三行書きにする場合が多いのですが、あれはテレビの画面が四角なので、そのような書き方をしているだけです。重ねていいますが「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが正しい書き方です。
●一句一季語から練習
- 氷る朝尻もちのそば福寿草321ちいに
- 福寿草ちいさい雪だるまの隣あきののかなた
- 氷点下泣いて笑って福寿草おでめ
- 新年に福をもたらす福寿草お寺なでしこ
- 還暦も過ぎ冬の終わりに福寿草の花幸子・S
- 雪積もる窓辺に光る福寿草佐藤しらべ
- 木漏れ日に雪融け願う福寿草里海太郎
- 君を待つ雪の夕暮れ福寿草鈴木菜摘
- 雪晴待つ夫のカメラの福寿草そしじみえこ
- 雪の下かくれんぼうは福寿草高橋紀代子
- 福寿草春が来たよとひっそりと谷口美奈子
- 初春の陽ふわりと包む福寿草でえくのぼお
- 福寿草炬燵にあたる祖母の笑み刀根山光風
- かじかんだ手で土払い福寿草ねがみともみ
- 黄が光り雪が溶け出す福寿草浮浪雲
- 福寿草 寿けばよし 春遠し林和志
- 凍て土の跫音失せし福寿草日野透
- 元日に童手に持つ福寿草広瀬幹於
- 里の春福寿草でけんけんぱー布野悠乃
- 綿を脱ぎ春を着て咲く福寿草松本直樹
- 梅林に共に咲くや福寿草松本牧子
- 氷点下氷突き抜け福寿草湊弘
- 蝋梅に福寿草にスプリングやすや
- 絵筆持ち賀状に添える福寿草山薔薇
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
●兼題とは
- 迎春の手に花に見る母の冬うね
- 寒空に カイロの代わり 肉まんを片想いの道化師
- 桜さき青空見上げ知らされる原始棒飛車
- 蓮池の水底揺らぐ寒の鯉小松優布
- 晩冬昭和歌謡血圧はかる母愛し道休史子
- 欠伸うつる猫見やる粥柱村山和
- 水平線 湯気にけぶるや 初日の出和栗博
- 九十九折 極渦を耐え 若芽立つ?橋光
○今回の兼題は「福寿草」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
- 雪を割り顔を突き出す深黄色唯一無二の福寿草おふちゃ中島
○確かに「福寿草」だけど、短歌と勘違いしているのか。そもそも、「雪を割り顔を突き出す深黄色」は福寿草として植物を説明したに過ぎない……のがツライ。
●前回の兼題
- 牛乳を一気飲みする狩の朝古都鈴
- 暁を口火に狩の十五人玉庭マサアキ
○季語「狩」は、前回の兼題だよ。〆切時間に遅れてしまったか……。次回こそは!
●喩えとしての福寿草
- 君こそは我が一門の福寿草上月ひろし
○言いたいことも、お気持ちもよく分かるのですが、季語を比喩に使うと、季語としての鮮度が落ちます。
この句は、「君」という人物への挨拶句として、ご本人にプレゼントしてあげて下さい。(笑)
お待たせしました!1月の兼題「福寿草」の結果発表でございます。「福寿草」はここ半年で一番投句数が多かった兼題でした。ゆえに入選も高倍率。2月の「猫の子」はさらに白熱しそうですね。みなさまの渾身の句、楽しみです(編集部より)