夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
6月の審査結果発表
兼題「虹」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
ぶよぶよにまだ濡れている虹の足
あずお玲子
-
夏井いつき先生より
雨あがりの空に、うっすらと虹らしきひかりを見つけることがあります。あれはひょっとして、虹かなあ?……と、暫し目を凝らしていると、次第に虹らしき色が浮かびあがってくる。空という立方体に、さっきやんだばかりの雨の粒子がきらきらと浮遊している、まさにあの感じ。そうか、あれは虹がまだ濡れているからなんだ! という気づきのなんと瑞々しいことでしょう。「ぶよぶよ」は、普通あまり気持ちのよいオノマトペとしては使われないのですが、この新鮮な感覚に愉快な驚きを感じます。「まだ濡れている」のは「虹の足」だという詩的リアリティに共感します。季語「虹」の一物仕立てへの鮮やかな挑戦に、大きな拍手を贈りたい作品です。
つまらない保健プールには虹だけ
羽織茶屋
体育は好きなのに、保健の授業はつまらない。横目で眺める窓の外には、誰もいないプールの青い水面。頭上には雨上がりの「虹」がくっきり。下五「だけ」の後の余白の作り方が巧い一句です。
この虹の見える範囲の暮らしかな
加藤ゆめこ
この町でこの家でずっと暮らしてきたのです。「この虹」が見える範囲に我が日常の「暮らし」があるのだと、改めて思うのです。作者の心に去来する親しさがまさに「虹」という季語の本意です。
両面が綺麗だなんて虹くらい
雷紋
物事にも人間にも、裏と表があるものなのです。「両面が奇麗だなんて」あり得ない。そう呟きつつ頭上を見上げれば美しい「虹」。切ないけれど美しい、それが虹なのだなという真理の呟きです。
指輪は要らない江ノ島は夕虹
海野碧
固有名詞「江ノ島」を巧く使いました。「指輪は要らない」という台詞がすでにドラマです。プロポーズの場面と読んだのですが、訣別の一句とも読める。「夕虹」はどちらも受け止めて綺麗です。
阪神園芸さん江 お礼の虹
赤馬福助
「阪神園芸さん」は、阪神甲子園球場のグラウンド整備を担当する会社。試合が始まった後での驟雨。見事な対応。そして上がる雨。再開を待つファンの心のカタチのような見事な「お礼の虹」です。
現るる虹や航空救難團あさのとびら
歯の生ゆるふしぎ虹立つふしぎかな足立智美
おるごおる虹の時間を巻いてゐる有本仁政
虹消えてチラシ配りに戻る声飯村祐知子
家も畑も流れて虹のなほ明しイサク
唸り合ふ野犬や虹を背に負ひていさな歌鈴
俯いて虹に気づかぬ馬鹿でした海老名吟
荼毘を待つ虹産室の前の虹大黒とむとむ
雨拭い配達員ら虹へ散るカフェオレ草
早足で課に持ち帰る虹のことかむろ坂喜奈子
マスクが邪魔で虹の匂ひがわからない清島久門
高跳のバーに背骨を打てば虹ぐでたまご
片方の足バンカーにはまる虹倉岡富士子
次々とfacebookに同じ虹小山晃
閉鎖幾月の植物園に虹瀬央ありさ
千年の虹を掲揚するジャッキ七瀬ゆきこ
再開の虹に始まる百球目はれまふよう
夕虹やみな笑ってるお葬式三浦にゃじろう
虹がすきワーズワースの詩のような三浦ユリコ
虹のした象は何頭いるでしょう南方日午
虹見えてそのまましあわせな未婚水面叩
ゴーグルを上げてタオルとそこの虹横浜J子
虹かかる君が青なら吾は黄色愛燦燦
虹を引けば水平線のめくれさうあいだほ
角砂糖じわりと崩れ虹の立つ藍野絣
虹立てりゲバラの手記は書き殴り葵新吾
傷深き六甲山にかかる虹あおいなつはやて
麻痺の手は虹に触れたる手でありぬ青海也緒
マグリットのあの空きつと虹架かる青田奈央
一滴のしづくに虹の映りけり蒼鳩薫
人を恋ふときめきに似て虹を追ふ蒼來応來
歌舞伎町我は虹の子灯点し頃acari
大した用じゃ無いけど綺麗な虹が撮れたから秋沙美洋
夕虹やつんつるてんの明日も未知あきののかなた
夕虹の消ゆるを待って点鼻薬あくび指南
朝虹や北へ特急こうのとりあさいふみよ
虹の彼方の幸せを信じるか朝雲列
カルキ臭虹で目洗う昼下がり朝倉カグラ
不意打ちの虹に撃たれて死なむとす朝月沙都子
虹よりも屎(まり)が大事な今日明日麻場育子
プリントに素数書き出す虹の昼アポロ
ソの♯やっと吹けた子虹たてりあまぐり
この虹は私のもの誰も見るな雨戸ゆらら
虹くつきり勝ち逃げのまま父が逝くあまぶー
虹の後阪神は2勝3敗網野れいこ
そこらから虹生えてるとLINE来るあみま
溶けかけていよいよ虹は甘くなる綾竹あんどれ
その虹を誰とみたのと聞けなくてあらせもんじ
笑顔へのスイッチとして架かる虹新多
虹立つやサンティアゴまで二十キロアロイジオ
虹の輪が地球に刺さる地平線アンサトウ
血のにほひもなくて虹立つ池袋いかちゃん
目印の虹消へ帰路を迷ひけり池内ときこ
挨拶に向かふ出雲や虹立てり池之端昇雲
ひんがしの皇子の身罷る地へと虹池之端モルト
新橋に酒場多くて虹の暮石井一草
妻呼びてたちまち虹の崩れけり石井茶爺
吾子放つ紙飛行機の虹捉う石岡女依
献花献花献花虹だけは高く石垣
虹立ちて時はいつたんとまりけり石崎京子
夕虹や露店に貝のイヤリング石塚彩楓
旅行鞄にチューインガムと虹と石原由女
裏山のどこにも触れず虹立ちぬ板柿せっか
猿走る浪江の森の二重虹いつかある日
不吉です画角はみ出す虹なんて斎乃雪
ファックスの祝い連なるるるる虹一斤染乃
虹立ちて少し優しき街となる伊藤亜美子
母でなく妻でなく北国の虹伊藤治美
虹一つ娘にやれぬ悲憤抱き伊藤柚良
虹の出て野の果て晶子おりそうな伊藤れいこ
七色の水つけすぎてにじむ虹糸川ラッコ
トンネルを抜けても虹に追いつかず井中ひよこ号
虹消えて姉は嫁いでしまひけり伊奈川富真乃
駄菓子屋のガラスに響く虹だ虹稲葉雀子
神経を抜きて虹見えなくなりぬ稲畑とりこ
虹消えてひらがな一字落ちてくる犬洗蜂
虹のあし見たひとがゐるこの村に戌の箸置
摩周湖を見に来て虹を見てゐたり井納蒼求
ジャズ止んでうつすら虹の川向かういまいやすのり
病床の窓より探す虹の初めイマスノリコ
龍産まれたらし光の種の虹妹のりこ
入り口も出口も虚ろ虹の橋伊予吟会宵嵐
中心は深海にあり虹の円五郎八
虹たちて見知らぬ街となりにけり色葉二穂
虹の下に埋めた慕情を掘り起こす岩木順
夕虹の端に立つていた少年岩切義治
夕虹を煮詰めて街の夜に塗る磐田小
朝虹や島を貫く滑走路岩橋春海
背中より貫かれゐて声虹にウィヤイ未樹
虹立ちて買い物袋軽くなり上野眞理
出来立ての空まだ濡れているよ虹うさぎまんじゅう
報復の報復の報復や虹宇田建
ユニコーンの角に結び虹の帯宇野翔月
反射炉は遺産となりぬ空へ虹浦野紗知
ばうばうと虹満たしたる赤子の眼詠頃
虹立ちて傘振る叔母の秘密主義絵十
老いし母の指先薄れゆく虹江藤薫
ひとり見るハッシュタグなぞ付かぬ虹江藤すをん
初めての虹まんまるの声あがる戎居多佳子
寝台を半回転し虹見せむ朶美子
馴初めは昭和通りからの虹M・李子
虹に入り虹から出てくるシャガールおいらくの鯉
虹立てり指す間に次の虹立てり大小田忍
海原や舳先遥かに虹立ちぬ大谷如水
夕虹や終業の椅子ギシと鳴く大槻正敏
虹とゐる最上階の霊安室大庭慈温
金色は要らぬ五色の虹あれば大山葉
自転車に空気を虹に永遠を大和田美信
虹かかる膵臓ちりり壊れゆく魚返みりん
虹の端ぢりぢり我に近づき来岡﨑宙夏
後ろに虹あるが教えてなどやらぬ可笑式
業平の恋の行方や虹の色岡田明子
君は書に夢中車窓に夕の虹緒方朋子
ふわり牧草ロール踏む虹の足オカメインコ
夕虹や君は微笑み返したね岡山小鞠
夕虹や古道具屋の蓄音機小川さゆみ
屈託の多き日海に刺さる虹小川天鵲
八卦見が身をのり出して虹の梁小川野棕櫚
溶ける虹の厚さ一ミリずつ未来おきいふ
眼前のどでかい虹に深呼吸小栗福祥
虹の夕ループシュートに届かぬ手おこそとの
虹の街今日は死ぬのをやめましたオサカナクッション
未来図に虹消えてより彷徨すおだむべ
クレパスの折れたる色や空の虹おひい
托卵の企みの歌虹くぐるおぼろ月
狐の輿過ぎて祝いの二重虹諧真無子
齧られたルアーを投げる虹消える海音寺ジョー
もうやめた虹の色数数えるの海瀬安紀子
見えぬ虹八番の色虚ろなり快晴ノセカイ
夕虹の赤紫の残りをり海峯企鵝
にじみゆく仰臥の窓の虹の熱火炎幸彦
見下ろせた虹よ朗らか放流音果音
虹までの距離ふるさとはもう訪はぬ影山らてん
虹立つや七日目の子と退院す風花まゆみ
大虹を大縄跳びの地球かな霞山旅
国生みの矛一振りに虹の立つ樫の木
虹二重底無し沼の波立てり加世堂魯幸
虹立つや土手に並べる紙の舟加田紗智
虹よ我縄文土偶の裸体なり桂子涼子
虹に足す一色私だけの色花伝
夫にもう話さぬ今朝の虹のことかとくみ@愛知
生き死にの狭間に虹や降り立ちぬかなえの
虹立ちて音の戻りし陶器市仮名鶫
恐竜も虹立つ方へ歩みしか叶黄不動
あの虹の当番らしき龍の雲神or愛
烏鳴く綻びた虹かける街神長誉夫
半島の端に地は果て虹老ゆる亀田荒太
眼の見えぬ私は闇に虹を飼う亀田かつおぶし
頬濡らす虹の欠片の甘きこと亀の
日本海に片足掛けて虹の立つ亀山逸子
うえのにじがさきにきえるね二重虹花紋子
あの色は虹の終わりかもう空かかよ
呼ばれたる心地して空に虹あり加裕子
広島や虹の真下に鎮魂碑加良太知
ぼくんちが虹をあかるく吐いてゐる河原つばめ
虹ふたつ高層ビルのよきところ川村記陽子
5限目の因数定理よりも虹河村静葩
虹は意外と赤色が不味いらし閑々鶏
何をしても上手くいかぬ日の虹よ岩のじ
朝虹や会議資料に誤植あり看板のピン
寄り道の終いは虹の真下かな喜祝音
葬式代振り込める日や二重虹キートスばんじょうし
あの虹はお前ん家から出とるじゃろ季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
どの色も私と違う虹くぐる北大路京介
雨の音の1オクターブ上は虹北川颯
虹立つや大雪山を一跨ぎ北雀ちえ
おほまたのいつぽさかさのにじゆるる北村崇雄
子らの問ふ戦禍の国に虹はありや祺埜箕來
虹立ちてふたりがいいと思ひけり城内幸江
文字得しは光得しこと虹二つ木原洋子
夕虹や同級生は十五人きべし
メロンパン齧る虹の裾はここ木ぼこやしき
シャンソンをはもり夕虹追ふ車輪木村恵美子
箱舟の虹の約束今ぞこそ木村かおり
虹立てり我厨房に馳走あり木村三球
午後三時虹をくぐって生きなおすきむらときこ
コンパスで描き足す虹の着地点木村となえーる
虹渡る生駒の山は静かなり木村波平
停学の三者面談窓に虹Q&A
それぞれの国の虹見て帰りけりギル
ぱちぱちと虹の湧きたる虹の中ぐ
一ぽんもこぼさぬやうに虹を撮る久我恒子
惜別に飛び交ふテープ沖に虹葛谷猫日和
空に虹大蛤は気を吐くか楠田草堂
山頭火分け入る青い山に虹ぐずみ
ティータイムはアールグレイ窓越しの虹朽木春加
碧き湾虹が落ち来て銅鑼が鳴る窪田睡鯨
金網の奥の変電所から虹倉木はじめ
泣き笑いしたあと虹はきよらかに倉嶋志乃
行く水の激しく虹は柔らかく久留里61
虹たつやアザーンの声高らかに紅さやか
不惑にして虹の麓を知る人に黒沢まる
霊園は薄墨色に虹の端くろべぇ
朝虹や雨に負けない眉毛描く桑田栞
食って寝る二人ぼっちに欠けた虹恵享怜
命綱だらんと虹をくぐりけりけーい〇
虹出でしとき道三の山動く健央介
給食の脱脂粉乳原っぱの虹幻仰庵空斎
虹仰ぎオストメイトの母朗らケンG
走っても走っても虹走っても研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
虹ぜんぶ盗られて俺は馬鹿を見る兼珍
胃カメラは異状とらへず虹太し剣橋こじ
子の去りし部屋拭き上げて夕の虹小池令香
にじにじ虹駆けてくる子のやうに母香雪蘭
虹消えてチェロのうねりのなかにゐる幸田柝の音
受験失敗逃げよう虹の根元まで高野豆腐
瓶に搗く米は亜麻色虹立ちぬ古賀
エスカレーター地下へ地下へと虹よ五月ふみ
夕虹や怪談話買い取ります小笹いのり
東京も虹は出てるか食べてるか木染湧水
夕虹のほのぼの空に吸はれゆく後藤三梅
黄昏れて仄かに明かし虹の内来冬邦子
スマホスマホスマホに捕縛さるる虹小殿原あきえ
気まぐれに森と煙突結ぶ虹小林のりこ
項はう男の手から虹産まれこまたれぶー
消えぬ虹ここ天国に近き島小松甘夏
雨にまた溺れそうなもろき虹駒水一生
昼過ぎの虹に対岸玩具めく今野淳風
会いたくて虹の気配を探す朝齋藤杏子
前へ前へ虹の欠片をかぞえ行く斎藤数
虹立てり床屋の椅子の大鏡齋藤俊幸
虹なんど数へても五色しかない斉藤立夏
しまいにはピアスも買って外は虹坂まきか
虹が立つ公園は飛び出す絵本さくさく作物
夕虹や明日は最終面接日咲弥あさ奏
前方に虹見えます次停まりますさくら
虹の忘却樹々の雫醒めずさくら亜紀女
朝虹や離婚届を投函すさくら悠日
凶兆と聞けば騒つく首都に虹さこ
虹が虹であるためにしゅっとするか迫久鯨
もう半分虹描き足せば海濃ゆし雑魚寝
スコップにもたれて見やる虹の根よ佐藤美追
ここにある黒子がきらい虹きれいさとけん
朝の虹地球が生まれて何日目里山子
七色の虹はない孤独死はある錆田水遊
物理学きれいに忘れ虹仰ぐさぶり
樹々のみは虹すり抜ける術(すべ)をもつさむしん
虹くぐりアウトバーンの水しぶき皿檸檬
西陣にゐて虹を見てゐないとはさるぼぼ@チーム天地夢遥
ヌーの群れ百万頭に懸かる虹澤田紫
疼痛はそのままでよしノアの虹澤田郁子
黒板は因数分解窓の虹沢拓庵
女には勃たなくて虹かたさうで澤村DAZZA
ありたけの言葉で虹に甘えたし紫瑛
約束の確か不確かそんな虹茂る
虹立ちぬサーカス団の初公演紫檀豆蔵
昼花火めく虹立ちて納骨日品川笙女
漕艇のラスト一本虹かかる篠崎彰
霊(くし)びたる大杉跨ぎ虹の梁篠原雨子
洗濯物腕に食い込み虹架かる柴桜子
虹を待つ降るたび雨のあがるたび渋谷晶
虹いつも消ゆさよならを言ふ前にしぼりはf22
あの山のあそこにいつも虹の端っこ島じい子
街々を跨ぎ虹くる家にくる島田あんず
虹逃げて商店街のメンチカツ嶋田奈緒
心臓の再々検査朝の虹清水祥月
雨は嘘虹どつかりと空は青清水縞午
かたこひに虹やよろづのちからみち清水三雲
虹の立つ畑は濡葉色の風霜月詩扇
虹仰ぐペナルティーキック憂鬱芍薬
虹架かるジャングルジムがぼくの家じゃすみん
虹立つやおおきなこえのえかきうた洒落神戸
大陸に立つ虹仰ぐ三輪車秀道
野球部の排水作業虹高し寿松
虹の帯錆びたクジラと待つ電車シュリ
葉も波も知らず落ちゆく虹の端春骨
卒検の帰りの虹のはつきりと春雪
虹歌ふきらきら枯れてゆく街を常幸龍BCAD
あの虹の出処どうやらウチらへん正念亭若知古
虹消えるまでにあと一つの課題翔龍
離職日や猫背の虹が最寄り駅白井佐登志
虹立ちて同じ空みる知らぬ人白井百合子
虹見上げ自分を見下ろし2色足りない白とり貝
ながらへて踏外したる虹幾つ不知火
解剖の実習終へて窓に虹白プロキオン
あの虹を渡つて腹へ来たか吾子白よだか
虹消えていつもの吾に戻りけりしんぷる
虹を向く山に貼り付くニュータウン深幽
虹の中心は破れた夢ばかり水蜜桃
夕虹の咲きたる音に振り返るすがりとおる
身は蟇になりてぽやぽや虹を吐く鈴木由紀子
酔ひどれの街にも虹のひとかけら鈴木麗門
本土行く通学船や虹渡る清白真冬
虹立つや四方澄みやかに青の濃し鈴ノ樹
夕虹やサーカステント現れる鈴野蒼爽
白虹やゆふべの夢をぬぐふごと主藤充子
尾根走り去る狼は白虹にスナップえんどう
豆腐買う鍋は凸凹虹が立つすみれ(9才)
夕虹を連れて帰りし妻眩し青児
ただ田んぼ虹の根元に来てみれば勢田清
プレゼンに負けたの虹がでていたの瀬尾白果
あの虹の端に湧水うまれをり世良日守
ごみ拾うのは虹を見に出たついで千波佳山
子の歓声虹の足場は墓場なり惣兵衛
夕虹の跨ぐ日付変更線そうり
緯度経度正しく記録されて虹曽我真理子
空の虹内なる虹と共振しそしじみえこ
虹消えて大空に穴開くごとくソフィ
消えるまで指切りの意味虹に問うそまり
πが割り切れたら虹もさはれます染井つぐみ
足場駆け登らせるあの二重虹それいゆ
夕虹や反省文に詩を少しぞんぬ
挟み撃つ空気は黒き二重虹帝釈鴫
白シーツ干す手の先や朝の虹平たか子
虹の下もひとつ虹を作る母平良嘉列乙
虹架かる熱海見下ろす秘宝館高尾里甫
大きくて笑ふビルの左右に虹のたもと髙上ちやこ
逆縁の家に二重の虹立てり高木音弥
いたいのいたいの 虹を指さす親子かな高田祥聖
全円の虹やこれから特売へ鷹之朋輩
虹や背をサクマドロツプスの弾む高橋寅次
朝の虹地引の魚ゆたかなり髙橋なつ
虹に突然遠近感を奪はれぬ高橋裕樹
虹の股アクセル捻りくぐりゆく高林学
船多し虹のまたがる備讃瀬戸髙見正樹
お客さん傘お忘れですあらま虹滝川橋
スキップの半分ずれて虹消えて瀧本敦子
言問橋吾妻橋虹駒形橋多喰身・デラックス
西に虹西の街でも西に虹竹内一二
雨の無人駅栞を挟んでから虹竹一
次はあの山を洗浄中と虹竹八郎
消ゆる虹ひらくたとう紙言葉なくたすく
車椅子ロックを解いて外へ虹唯飛唯游
我はいま虹の根つこにゐるのかも多々良海月
ただしい身体で虹から逃げている舘野まひろ
朝の虹うしろの生徒倒れけり田中木江
海でほら虹のすきまに入る波田中善美
虹はるかドクターヘリは飛んでった谷相
片虹や右に誰かの話声谷町百合乃
マリンバを内緒で鳴らす外は虹谷本真理子
吾が柩踏みつけ虹の立ち上がる玉木たまね
虹に香はあったか飛行船客にタマゴもたっぷりハムサンド
野次馬の皆あの虹に気づかない玉庭マサアキ
夕虹や検査のゼリーほろ温し玉響雷子
虹のよく見えれば虹の間となりぬたろりずむ
空気入れ重くなり虹軽くなり丹波らる
カタマラン虹へ舵きる午後三時広ブロ俳句部カナダ支部@千鳥城
大好きを言ひ合ふ虹の消えぬ間にちゃうりん
虹立つや火花の連射鉄工所中トロ
虹ならばかけられそうで受話器上ぐ澄心静慮
虹の端より還りゆく海の底ツカビッチ
この街へ隣町よりとどく虹月影の桃
虹を追う鳥と太陽追うマイカーつきのひと
天平の褪せぬ色なり虹の色辻内美枝子
棚田てふ階段かける朝の虹対馬清波
病窓に虹や来世は鳥として辻陽気姫
母の知らない俺になる東京の虹ツナ好
かすむ虹採血の跡むらさきに津本晶
有休の月曜や朝虹眺め露口全速
五輪旗は吹き千切れそう湾の虹ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
笛鳴りてホッケー場を跨ぐ虹ツユマメ末っ子@8歳
虹立つや彼の地に白き此処に赤き鶴小なみ
虹ひとつ褪せた写真に色をたすT-京條
虹消えて耳に残ってゐる音叉テツコ
虹二重すでに無けれど君の息哲山(山田哲也)
振り返る病院は今虹の中鉄猫
夕虹やシャトルが落ちる砂利の道電柱
つぷつぷと玄米むすび噛めば虹てんてこ麻衣
フルートのドレミファソラシ虹高しでんでん琴女
いまふたり共犯者めく虹の中天陽ゆう
洗濯物掛けてナポリの町に虹どいつ薔芭
泣いてない虹見てただけ見てただけdoいつもcoいつも
南鳥島虹は碇を下ろしけり苳
ハイウェイをルーフ全開 だって虹東京堕天使
父母のいない生家や虹生ふる遠峰熊野
東京の虹がなんだか嘘っぽいとかき星
虫螻のたりのたりのたくるさきの虹東戎
風巡る虹の消印賢治宛ときめき人
稜線と稜線に虹揺れる船Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
フルートのゆらぐ空気や虹の立つどくだみ茶
草野球虹のをはりをフルスイングとしなり
銃声の仏塔(ストゥーパ)赤が膿んだ虹戸部紅屑
あの虹をくぐる旅へと噴かすカブトポル
皮剥の刃音柔らか朝の虹トマト使いめりるりら
虹立つや地球つるりと洗いたて富山の露玉
水飴に虹を練ったら何の味とんぶりっこ
廃王へ語れる虹の涯てかな内藤羊皐
退院が延びたくらいで泣くな虹直
香港の鸚鵡の鋭声あゝ虹が中岡秀次
右奥の歯の痛みをり虹かかる中里蛙星
朝虹のゼウス渡りて来る如し中島圭子
清里の虹は草から生まれるよなかむら凧人
帰り道忘れて虹を目指すとは中山月波
この国が好きだが壊れそうな虹新蕎麦句会・凪太
虹立ちて疎遠の人を数えけりなごやいろり
虹立つや海へとつづく段葛那須のお漬物
泣き顔へ虹は青からほどけゆく夏草はむ
窓や虹五ヶ月ぶりの白髪染め夏湖乃
爆撃の空を異物のごとき虹夏野あゆね
玻璃の瓶かざしこの虹保存せり七森わらび
七か月ぶりの本番決まり虹名前のあるネコ
夕刊のインクにほいて虹仰ぐなんじゃもんじゃ
七色はなくてここらの虹きれい西川由野
夕虹や犠牲フライを落球す西田月旦
虹つかむために走っても逃げられる西谷寿
虹立つやカウンセリング室の窓西原みどり
せせらぎが生んだのですかあの虹を西村小市
虹立ちて街は言語を失えり二重格子
虹あおぐ相談室の窓をあけにゃん
あの虹の根元にぼくがゐて笑ふ仁和田永
メール打つ君の家から虹が生えてる沼沢さとみ
虹立てば虹見るための滑り台野地垂木
サリエリや一オクターブほどの虹ののr
虹の根はとがってるから隠れてる登りびと
虹かかるラジオ体操第二かな典子さん
悪辣な上司この虹が見えぬかはぐれ杤餅
夕の虹カオスの街を跨ぎゐる長谷川小春
夕虹やにんげんばかり発火する長谷川水素
待つ虹の眺めるほどにかたち濃く畑詩音
虹を指し話の腰を折りにけり畑田ほずみ
虹霧散入れ食いの時合がおわるパッキンマン
コンタクトレンズに虹が残ってた八田昌代
献血は四十回目虹高し初野文子
虹は陽に展翅されたる雨の影花屋英利
新疆の幾重の糸の弧よ虹よ花結い
たましいからだ虹づたいに帰る誰も羽沖
雨は三拍子その指先に虹生まるはのん
タワマンに虹の右足着地して浜けい
放課後の虹逞しきカフェテリア浜崎ナオト
虹消ゆる象のおつ母大あくび巴里乃嬬
だうだうとあくぶ横がほ虹を食ふ播磨陽子
惜敗のハンマー投げや虹燦々東原桜空
喧嘩後のベランダ虹へ吐く煙草光源爺
青天を虹の全身露わなり樋口滑瓢
書庫の隅の埃かぶった窓に虹菱田芋天
正面に虹市役所は右の道ひっそり静か
虹消えて虹の雫は犀の背に秀田狢
一回戦負けて夕虹消えかけてひでやん
家出して振り返ったら虹が出て日向こるり
色欠けし虹にちやうどの願ひかなひなた和佳
闇に降るなないろあれは虹の粉緋乃捨楽
水子にも虹を配達する仕事比々き
朝の虹いわさきちひろ美術館ヒマラヤで平謝り
虹の下コンビニ飯を食らふ君日吉とみ菜
人買ひの町は伽羅色虹立ちぬ平本魚水
レの音が鳴らぬ虹にも足らないレ広木登一
まあえっか靴の中まで濡れて虹ひろ夢
虹といふ美しきもの地へ触れず風慈音
虹の足似合ひの丘を選びたり福川敏機
少年の歌声虹の青を濃く福良ちどり
禁猟区虹くつきりと立ちにけり藤色葉菜
天穹の時の滅びを虹の弓ふじこ
虹放つ呪文おかしな魔女ごっこ藤里玲咲
虹が現れる法則つて解ける?藤田康子
かたぐるまでとどくはずなんや虹は藤田ゆきまち
虹は何色藤乃雪という俳人藤乃雪
虹遙か手に入らぬものみな憎し藤丸子
陸軍歩兵連隊ススム虹ノ橋藤雪陽
虹見えたトレジャーハンター地図に×(ペケ)豚ごりら
虹かかるミナミジサイチョウの見た夢船橋こまこ
虹の立つ川の向こうの進学校文月さな女
雨上がり虹の地図からひろげます冬のおこじょ
電線の美しき滲み虹かかる古川シアン
攫はれて虹の輪廻へ加へらる古瀬まさあき
対岸のトランぺッターそして虹古田秀
虹は虹で人に触れられたいのかもふるてい
ライブ佳境こぶし突き上げれば虹だ碧西里
虹が出て怒り悔しさお腹ヘルヘッドホン
鎖骨下にペースメーカー納め虹ペトロア
大人用おむつ両手の虹の幅弁女
客船の筆談虹は五色らし紅ズワイガニ海老美
夕虹や囲碁教室に挑戦者星月さやか
旧約は今だ有効らしく虹干しのいも子
虹は消へデイサービスは指あそび星詩乃すぴか
虹立ちて荷物下ろして君の街細川小春
防護服の火葬場夕刻の虹ポップアップ
虹立つや緊急事態宣言下堀卓
試験管百本洗ひ終へて虹ほろろ。
ナナハンやサイドミラーの虹遠く盆暮れ正ガッツ
閉ぢ込めしスマホの虹よいま出でよ凡々
ウチナーの虹のあかるき湿度かな梵庸子
世渡りに怯みたる日よ二重虹前田冬水
見た者よどこぞにいるか虹の腹茉叶
天泣に濡るる我が身に虹温し曲がりしっぽ
鳥たちは人には見えぬ虹を追う牧野敏信
夕虹のその片足は吾が抱く正岡恵似子
天津飯とろり遠くにひかる虹松井くろ
虹ならばぐいぐい歩く万歩かな松岡幸子
琉球は龍住むところ虹を懸け松尾義弘
触れるもの皆虹にして母愛し松田文女
喧騒の地球丸洗ひして虹松本裕子
村は虹くさり引き摺る象の足まどん
きんいろのスープに浸す虹の端真冬峰
円陣の手に手に手に手二重虹真宮マミ
ぐるり山底に寝ころび虹つかむまやみこ恭
天上のハープの音色虹かかるまりい@
虹を得て何も汚さず老いにけりまんぷく
虹立つやさつきの話なんだつけみい
虹ですと看護師の声手術あとみたせつよ
青帯を虹から抜きて髪に編むみち乃
夕虹やキッチンカーは多国籍みちむらまりな
虹を見に不急の用とは言はせまいミッキーオ
車椅子の子ぎゆつと掴むよ虹の根つこ満る
いま消えし虹のはなしを無菌室みつれしづく
夕虹や独りで泊る孫来るみなと
虹消えて人動き出すウォール街みやかわけい子
虹立ちてこの世に影の生まれけり宮坂暢介
あの人と虹を見たことはなかつた宮武濱女
世界中の虹の一つが目の前宮部里美
メーターが五千キロ午後二時の虹妙
ガラス戸にへのへのもへじ虹の梁ミラベル
虹を追ふ子に会えさうな昼下がりみわ吉
「虹きれい」我呼ぶ人と生きている夢雨似夜
金婚の話のつぎほ虹が橋椋本望生
口中を弾く炭酸庭の虹無弦奏
虹たつや遍路こむらへ力満つ向原かは
虹霓や地球たわわにすきとほるむゆき
朝虹やおとめらの声やふぁやふぁと紫けい
備忘録解明せんと虹あらはる紫小寿々
月曜日一色足りぬ虹へ漕ぐむらのたんぽぽ
虹消ゆる間に立ち漕ぎの登り坂暝想華
虹の輪や演習場に炸裂音目に若葉
いちぐらむ虹をわけてはくれまいか本山喜喜
虹消えて作り話の種つきてmomo
虹消えてメトロノームの動き出す百瀬はな
虹がでたよって呟く空遠しももたもも
虹食べて生きたる人の哀れかな森佳月
虹映す西病棟のちひろの絵森毬子
虹消えて真顔で戻る厨口百理有
赤色に引つぱられるやう虹の出づもりさわ
退院のめどは立たねどパノラマの虹森田祥子
虹に遭い青残るまで目を開く森ひのき
モーリシャスの青と重油に歪む虹杜若友哉
斎王の襲の色てふ虹淡し山羊座の千賀子
虹は虹いろ保健室にチャイム夜行
かなしびを虹に託して人となり奴
半分は常世の祖母へ虹立ちぬ矢的
抗体を宿す右肩虹立ちぬ矢的
まあどうせ直ぐ消えるでしょだけど虹ヤヒロ
欠伸するアルゼンチノサウルスの脚へ虹山内彩月
バスガイド右手に虹を載せにけり山﨑のら
黒雲裂く虹よ明日牛競りに出す山﨑瑠美
夕虹の消えて大きな鳥の影山田蹴人
夕虹や三者面談帰り道やまだ童子
虹消えて家族ごつこを再開す山田喜則
「ご」を消して「欠席」にして虹きれい山本先生
ポケットの数珠や三年前も虹結壱隆月
虹の成分優しさ寂しさあと一つ柚木みゆき
大楠よ智恵子は虹にふれたらし遊飛@蚊帳のなか
地下鉄の穴より出でし我に虹雪音
父母の介護始まる海の虹ゆすらご
竹槍の猛々しくて虹の端酔いどれ防人
虹立つと言ひたくも叱られゐる子羊似妃
あの虹と同じ元素を流し込む欲句歩
虹の色ひとり数えているオフィス横縞
町工場更地となるや夕の虹横田信一
淡き虹見つめ過ぎると消えそうで吉哉郎
虹見上ぐスキンヘッドの鼻ピアス吉川拓真
虹がならんだしゅくだいもおわったよ吉田結希
始末書に仕込む縦読み夕の虹吉行直人
恋唄のごと美しく虹消ゆるラーラ
ふるさとの山よ大きな虹吐いてRUSTY=HISOKA
東京の虹は潤んで綺麗です楽花生
虹匂ふ糺の森の古書の市梨音
酔うてます、通天閣に虹の橋柳絮
東(ひんがし)の虹ふりかへる仔牛かなルーミイ
ようちえんおやつそっちのけで虹をるんやみ
虹立てし箱庭療法終へて虹蓮花麻耶
夜勤明け娘は虹にも気づくまい若林千影
窓に虹鏡の奥の置き手紙和光
虹のうわさ窓盗み見る会議中わたなべいびぃ
放牧の羊まつさら虹洗ふ笑笑うさぎ
夕虹や退職願ポケットへういろ丑
白虹にたちまち阿蘇は寂光土えんかず
虹立つや流れを変えたフォアボールかつたろー。
アメリカの洗剤おしゃれ虹きれいかねつき走流
ランドリー追加百円二重虹狩谷わぐう
虹遠しロシアの島に暮らしあり北藤詩旦
図書室の君に知らせる二重虹きた実実花
虹の方ペーパードライバーが行く紗々
夕虹や真つ先に押す降車ボタン佐藤志祐
チェーンソー止め親方と夕の虹じょいふるとしちゃん
テレビでは死者の報道夕の虹桃和
アラビア語辞典めくれば虹が出る涅槃girl
はとバスの中のどよめき朝の虹のど飴
良い事と言えば綺麗な虹くらい灰田兵庫
虹へ降り翼休める鳥たちよKII
学校に遅刻したのは虹のせい空龍
にじをみるこころもにじをもっているさくら(5才)
宇宙から見ればとうめい虹のいろさくらちゃん
虹凄き村と村とのかけはしに桜姫5
「苦」真っすぐ曲げれば「若」き虹の橋そうま純香
天翔ける雷神の褌に虹立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
虹よこの刻み食にも色添えて津幡GEE
虹二つ笑顔が三つ四つ五つ中村こゆき
虹見た日青春時代ばかりなり痩女
「もういいかい」「もういいよ」目を開けて虹やまな未
みぎひだりどっちの虹に行こうかなよしぎわへい
窓に虹ベッドの中の君のぬくもり吉田びふう
「予約済み」「虹が出てます」「摂取しました」吉野川新
カンダタの糸絡まりて虹の端よしみち
しあわせの報告しあう二重虹渡邉桃蓮
虹消えてワクチン注射痛み出づ山川腎茶
八ミリにははしゃぎ声とモノクロの虹ANGEL
虹追ひて助手席の吾子追ひ越せとあ・うん
一刻のメルヘンなのか虹ひとつあいあい亭みけ子
雨寒く笑って虹は大嫌い藍彩々
虫跳ねる畑に架かる二重虹間むつみ
夕虹を知らせたき人声近しあいむ李景
虹に笑む美女と野獣の楽譜手に葵かほる
この虹の端を探しにゆくと君青井猫
昼の虹バス停に人いなくなり蒼空蒼子
つかの間の虹にはしゃいで置いてかれあおのめ
約束の虹を撮る音響きたり赤子沢赤子
岐路に虹雲間を抜けて天を衝く紅紫李依
虹まどか今も一病息災か赤松諦現
ニュートンのプリズム空いっぱいの虹あかり
雨晴れや見上ぐ猫の目映る虹秋
夕虹よきみゆるゆると癒えまほし明惟久里
リハビリの妻と夕虹を仰ぐ窓昭谷
雨あがり見上げし空に虹かかる秋代
その端に行ってみまほし虹の橋秋吉孝治
虹ひとつ東の空に晴れ予報天空海まりん
橋の上フード外すと二重の虹明敏
立ち読みコーナーにてふと二重虹浅緋桜
頑ななあいつのこころ虹ゆらす浅野俊也
嗚呼嗚呼ぁ虹の彼方はゴールイン亜紗舞那
夕虹やPiTaPaも跳ねるメラド前あざみ
虹の際上れぬように薄くなり明日良い天気
はつしよくの色えんぴつで描いた虹あじょあ
虹かかるスペクトラムを説く君にあずき
悲しみの虹に成りはて空に消ゆ麻生恵澄
よーいドン!あれは僕んち虹の下あそぼ葉
タオル手に豪雨被災地に立ちて虹あたなごっち
新兵の坊主頭に虹刹那新子熊耳
光零るる朝虹の黄色から渥美こぶこ
虹の階段バリアフリーはあるなしや跡部榮喜
朝の虹清し子の合唱祭の日のsakuraa.
虹の根に立ってみたくて行けど行けど天海天笑
われゆかば尻尾ふらなむ虹とおし朱頂蘭
木々や鳥和音奏でる虹の午後アマリリスと夢
太陽は永遠なるか虹滲むあらかわすすむ
雑踏の吐息や重き街に虹あらら
夕虹やスタッカートでお迎えに蛙里
人ごみを避く曇天の片虹やありいかな
虹立ちて孫と祝杯二十歳の日有本俊雄
ガラス屋の白き軽トラ虹二重安春
つかの間の虹と道づれ全てよし飯田むつみ
消えかける虹の粒集めもう一度飯田淳子
虹の先へ子を乗せた船は都会へイカロス
虹立ちぬ吾のゆく道の真中より郁松松ちゃん
虹が出て我が村もムーミン谷かいくみっ句
橋の上はじめて見るや二重虹池内ねこバアバ
anuenueフラの手のかわい虹きれい池上敬子
ニュートンが奏でた7色の龍が虹池田華族
友はしゃぐ朝の散策ダブル虹石川うんめーちゃん
ワクチンの肩気にし行く空に虹石川巴里
7回の三遊間に小さき虹いしきひさき
洗われし紫雲の峰に虹近し石下文子
受話器から虹を知らせる君の声石田恵翠
ふたえ虹子を見守るか母のよう石橋千佳子
静かなる湖面に現る虹の門石原直子
虹高し泥に塗れしローファー和泉明月子
虹かかる見えない色に思い寄す泉子
雨男カランコロンと虹の音泉千尋
あの虹の根元の街に君はいる遺跡納期
虹立や竿に長靴赤と黒磯野昭仁
雨上がり私と虹と保護犬と伊多波良子
高原はみづを湛えり虹の暮れいたまきし
虹を背に九十九折ゆく家路かな一井蝸牛
彼の地まであともう僅か虹の端市川りす
朝虹を見逃し今さら外に立ついちご一会
還暦や淡いつぼみへ繋ぐ虹いちごかじり虫
痴話喧疲れた頃に虹の出る一太郎ラン坊
雑司ヶ谷虹の結界空分かつ一秋子
さやふなら五十センチの虹の町一本槍満
吉凶禍福虹より誰より人が知る井出奈津美
誰か知る虹の出処失せ処伊藤順女
駅を出るスマホ手に取る垂直の虹伊藤節子
夕暮れの虹を眺めて家路かな伊藤ひろし
雨上り海原遠く虹高く伊藤正子
虹立てりスマホから見上げた先に伊藤小熊猫
天気雨虹の起点の信号機稲垣由貴
ビル工事虹を操るクレーン車稲葉こいち
虹かかる山に沸き立つ縁狭し稲葉木嬰
大見得を切りて端まで西の虹ゐのかたゆきを
虹を見ぬ町に住み古り半世紀今井淑子
橋立の虹を逆さに見てをりぬ井松慈悦
虹立つや水浴びをする象の群れ今西知巳
ふと立ちて彼のふり仰ぐ先の虹今村ひとみ
七色のどのいろも好き虹の帯入江幸子
告げる虹薄くなりゆく三人目彩人色
虹伸びてつながるまでの深呼吸いろどり五島
パソコンの起動の合間朝の虹綺花詠
早朝に架かる虹見るわれ一人いろをふくむや
虹を背にプレゼンコンペ勝ち抜けりいわつよ8
雨後の木に葉の影揺れて虹を待つvivi
太陽のカケラ欲ばる虹の色植田かず子
虹の端の消ゆるまで立つ下校の子上原淳子
虹映えて笑顔で了る北帰行上原まり
夕虹やピアノ教室再開中うさぎさん
夕虹や子らの落書き残る道宇佐美好子
自転車や隣の町のあの虹へ内田英樹
口論の君の眼に虹ふり返る内田誠美
クレヨンの箱に残りし虹の欠け内本惠美子
虹見つけ薄給忘れ深呼吸卯月かりん
立て掛けた梯子を登る夏の虹空木眠兎
義母がよび虹まれと知る婚家の地うつぎゆこ
雨色の地平より立つ太き虹靫草子
虹描く一色足りぬクレパスや海口竿富
海上を透きとおる虹雲と行く海葡萄
夕虹やバクテリアさえ歓喜して梅木若葉
祖先より届くごほうび虹光る梅里和代
タワマンに途切れる虹やカレー煮る梅野めい
一人立ち朝の眩しき中に虹浦文乃
冠水の立ち往生に虹立ちぬウルトラレーザービーム
「ほら虹」と見知らぬ人に声をかけ麗し
不自由はある意味自由虹立ちぬ江川月丸
二重虹明日も勝てると思うなよ江田綾子
虹見えて今日の運勢吉と出て越後縮緬
虹架かるパッヘルベルを聴いた午後えぬひよこ
水たまり行進す吾子虹笑う榎本はなちゃちゃ
夕虹を娘と共にトスカーナえみばば
虹立つや姉に追伸したためて江見めいこ
天国とこの世のあはひ虹の立つ円美々
逢いたいな虹のたもとに暮らす君えんどうしん
アイフォンで月照らす虹あなたにも遠藤愁霞
明り取り対角線に切って虹遠藤百合
待ち合わせ虹の足元早く来て遠藤玲奈
でこぼこの姉妹の背丈窓に虹追師うさぎ
虹消えて君の無き緩和病棟近江菫花
虹の橋たもとの猫よいつか会う大石風花
虹立つを言う人もなし一人旅おおい芙美子
一休み潤う畑で仰ぐ虹大江風鈴
虹立ちて大した事じゃないと知る大紀直家
追想の端無き橋の虹探し大熊梓遠
夕の虹シャンディガフをもう一杯大熊猫@四句八句
さっきから車窓の虹は付いて来る大阪駿馬
幸せをあの虹渡って掴みたい大島一声
匂ひ立つ夕暮れ近き虹二重大嶋メデ
泥んこの甥が渡るは映る虹大島由椿
虹の橋「君」なる人を探しけり大津美
七色を数え切らぬ間に虹消えて大野静香
虹の輪をくぐり昔の子に帰る大野喬
人生を否定したとき夕虹よ大野美波
初受注ビル間に虹の橋かかり大野要吏子
東の空虹のたもとに父の顔大原妃
胸騒ぎビルの谷間に並ぶ虹大原雪
吾子えがお頭のうえにかかる虹大神阿修羅
虹立ちて襟足とらえ子より子へ大村真仙
虹七色数え終るまで消えないで大本千恵子
夜勤明けお疲れ様と虹かかる大森大
どしゃぶりの後プロポーズそして虹大山きょうこ
虹向こう今日も粛々座学かな大山こすみ
シングルの婆あばの茶会二重虹岡れいこ
片虹の危ふさが好きやじろべえ岡井風紋
虹立つや龍の子太郎背に乗せて岡崎俊子
虹立つや初めて月に行くをとこ岡田雅喜
自転車で虹を目指した子らの瞳おがたみか
うるみ色七色つなぎ虹の帯小川都
病床の悪夢の寝覚め虹の立つ奥田早苗
五回裏コールド負けに滲む虹小口純子
空の旅見下ろす虹よ虹の輪よ奥寺窈子
虹に沸く踏切待ちの送迎車おくにち木実
右手首のパソコンだこや夕の虹小倉あんこ
スマホ見る乗客の上過ぎる虹おぐら徳
うつむき癖知る虹仰ぐ首痛しおざきさちよ
雲隠れ二枚のレンズ越しの虹おさむらいちゃん
山歩きカッパ着て見る虹の橋お品まり
虹を撮るスマホを横向け縦に向け小田孝子
虫編の蛇貫きて掛かる虹乙華散
虹ここに電車一本見送るもおでめ
七色の虹に寄り添う小鳥たちお寺なでしこ
虹空へ園児の揚げるパラバルーン音のあ子
虹やきれいあつめてきれいを贈る音人妙歌
帰国日にバス追うてくる二重虹音羽凜
虹くぐる白き制服の自転車鬼平哀歌真改
日暮れ時足もとの虹青春沢瀉みやこ
七いろの虹見ゆる眼の祖国かなかいぐりかいぐり
虹立ちて訳なき希望覚えけり甲斐紫雲
パワハラと責められグラスにかかる虹海碧
ISSの窓国境なき虹かえる
アイラブユー吾の軽薄は虹のせいカオス
ランドセル鳴らして駆ける夕虹へ馨子
吾子背負い勝手口から夕の虹加賀くちこ
鉛空太鼓橋のごと虹光る案山子@いつき組広ブロ俳句部
美しも淋しき虹やはは看取るかこ
元気出せ足元に虹水かがみ笠江茂子
草原の端から端へ虹ジャンプ風花美絵
草木染天平の色虹の色梶浦多見子
全世界コロナをなくし虹も出る加島
スキップは軽やか高く虹がたち鹿嶌純子
到着を待っていたよと虹かかる和
地表より虹を貫き龍神に花純広場(旧花純)
サヨナラの打球の先に架かる虹風ヒカル
しあわせも虹も静かに現れて片栗子
避難所のあさ歓声のさきに虹花鳥風猫
虹淡し思い出せない今朝の夢克巳@夜のサングラス
朝虹やホスピス棟の開く窓門未知子
虹のした避難区域で牛は喰む加藤雄三
虹架かるぬれた舗道をいそぐ足かとの巳
朝虹の雲を孤高の翼かな金井謙雄
虹立ちて後部座席を移動せりかぬまっこ
百均のクレヨンで描く虹のいろ兼子さとみ
カーテンに反射の虹とそよぐ風金子真美
末期のガン君の微笑みボクの虹甲山
虹失せて田圃に光る残り滓釜眞手打ち蕎麦
手を挙げて「先生、虹が出ています」紙谷杳子
虹変幻秒針止まる百十度神谷米子
虹消えてリトマス試験紙の行方白鳥古丹
友逝きて瀬戸内海に虹の橋亀田稇
野に一つ虹架け渡し通らんか亀山酔田
やんばるの森のかなたの虹2色かもめ
この虹の先に在るもの藪の中カラハ
おいおいとわれ呼ぶ夫や夕の虹霞流庵淡律
サンサンの空にかかった虹の橋カレー
見え隠れ帰りの車窓虹を追う可憐妥吾
虹の下虹の色持つ街となる川越羽流
zoom越し子どもに見せる虹の帯川野カッパ
二重虹三陸鉄道走りけり江南和波
西教寺閼伽井に映る虹揺れて川村湖雪
遥かなるサイドミラーの虹ま近カワムラ一重
大虹の海から山へ駆け上がる川村昌子
抜歯終え帰途の車窓に虹の橋閑蛙
虹見つけはしゃぎこおどり昭和の子樺久美
佇みて海から海へ二重虹紀杏里
虹の橋消えぬうちにと写メ撮りし菊川寝ん猫
窓際のベッドに会釈虹見たる菊池洋勝
虹の根や嫁っこ迎える親となり黄桜かづ奴
空からの救助を終えて虹仰ぐ岸野由夏里
分度器を探しあぐねて双子虹岸本元世
夕虹や足取り軽く縄のれん酒暮
虹の朝ドジのみ残し死んだ犬北川そうあ
二人して虹追いかけて初ドライブ北の貴子
虹あびて七色のそら仰ぎたし北村修
人生とは虹を登って降ること北村礼子
あの虹の根元は君の住む処基太郎
虹の輪を一色借りてトーチキスきなこもち
虹立ちぬ母に別れを告げし朝木村かわせみ
母見舞う帰途の出雲路虹立ちぬ木村修芳
虹の輪に入りきれざる瀬戸の島Qさん
自己ベスト壁を突き抜け虹が立つ鳩礼
虹立ちし新郎の手のやわらかき紀友梨
虹立ちぬ教会の鐘鳴り響く木葉
言霊のやまとことばや浜の虹京野秋水
接種して辿る家路に淡き虹教来石
巷間の酒場消灯虹薄き季凛
石段を二段飛ばしに上り虹銀長だぬき
現実と虚構を結ぶ虹でたる楠美翠
国境の峠を繋ぐ虹の橋國吉敦子
ベランダにはしゃぐ孫たち虹二本國吉隆仁
夕虹や老父の眉毛の黒黒とくま鶉
空見上げ心広げて虹惜しむ熊野みーぼう
濡れそぼつ牛久大仏またぐ虹空流峰山
夕虹や復旧を待つ熊本城くるみ今日子
あら尊出雲詣での帰路に虹桑原和博
海上を虹県跨ぐ救急車薫夏
波音を吸い込むように虹立てりくんちんさま
FMの途切れ途切れの虹の報ケイコサン
虹を越え外つ国の街眺めたし景清華
虹の色クレヨン並べデイケアでケセラ幸子
どこまでも窓の左の虹の端紫雲英
吾の声がことばにならず虹を指す源氏物語
土砂降りや我が頭上にぎらり虹ごうがしゃ
虹探し旅に出掛ける子供たち高坂和子
虹を見る今日忘れじと手を握る柑たちばな
人立ちがスマホをかざす先に虹幸内悦夫
ハーメルンの笛吹き虹の立つ朝に河野なお
股のぞきする子や虹の立ちにけり神戸めぐみ
タラップを降りて迎ふる虹二重宏楽
二重虹空に果てなしALOHAかな幸織奈
縦横か斜めに撮るか巨大虹こけぽて丸
朝虹やもう一色の碧き空小嶋芦舟
夕虹は下半分の下宿部屋孤舟
手のひらの虹をスワイプメール飛ぶ小杉泰文
慰霊の日の飛機の窓より円い虹コスモス
夕虹や教へるやうに鴉鳴く小だいふく
雨天順延夕虹に願掛け東風江里
でた虹の端っこ追って指をさす木積
かけめぐる遠く浮き立つ虹の橋コデマリ亀井
ミートソース煮込む間に虹消えぬ小手鞠しおり
宿めざすドライブ楽し夕空に虹小鳥沢やすこ
メールにて採用通知虹立ちぬ古都鈴
初めての虹を見た孫うれしそう小林蘇晃
夢未だ遠すぎるなり虹の橋こま
ジャンプして一歩踏み出す朝の虹こむぎ
ドヤ顔の猫もそもそと向かう虹小山祐治
八色の虹なら出せる魔女見習いGONZA
もうだめだあきらめかけたときに虹今藤明
7つまで指折らぬうち果てる虹西條晶夫
ICU7日醒めぬ子に虹を西條恭子
夕虹や吾子の右手のレジ袋さいす
夕虹の崩れていよよ海広しさいたま水夢
ほろ酔いで見上げるビルに夜の虹さいとうすすむ
ビルの間に我のみが見る虹の端齋藤むつは
渡り行く尻尾の見えし虹の夕齋藤夜明鳥
虹の輪よ隣の席へ帰国子女早乙女龍千代
消えかかる虹の脚へと駈け入りぬ榊昭広
蔦は死に土塀潰へど虹は立つ坂島魁文@回文俳句
信号待ちさざめく声に二重虹さかたちえこ
赴きし孫の平穏祈る虹坂本千代子
虹の下見上げる色へ走り行く相良まさと
大空を覆う大蛇の虹立ちぬさくやこのはな
二重虹神様はここにいらっしゃる櫻井弘子
解体の朝実家から見える虹桜会ふみ子
虹だよと跳ねる靴紐レインボーささきなお
青空と傘さす街に虹わたる佐々木幸江
スコールの厚いカーテン抜けて虹砂舟
虹立つや砂丘の駱駝起きあがる紗千子
ワイパーは止まり無言の窓に虹佐藤明美
語る夢大きく帰路の二重虹佐藤あん
虹立ちて扉の鍵は銀となりさとう菓子
見せたくて呼んでるうちに消えた虹佐藤しのぶ
夕虹や今朝の態度は謝ろう佐藤儒艮
虹の橋渡り終へたる姫ふたり佐藤綉綉
虹の果て行き着く先はわが家かな佐俊俊
アッ虹だようやく登校の子ら走る佐藤しらべ
虹めがけ投げるルアーや石狩湾里海太郎
子とともに新居に虹の門見上ぐ佐藤佳子
二重虹七重宝樹の七色佐藤里枝子
ボケたとて虹見る母は手を広げ里羽豊後
トゥクトゥクのチップは笑顔虹の橋真井とうか
難破船全員生きて虹を見るさなぎ
古希迎へ薄れゆく虹吾にかさねさぬきのにゃんこ
どれにしようサクマドロップ虹高し澤野敏樹
肩貸して虹仰ぎ見る二人かな塩沢桂子
消ゆるまで見仰ぎてをりぬ夕の虹塩原香子
手で割ったバームクーヘン午後に虹しげとし
黒髪の靡きトップロープを虹獅子蕩児
車窓の虹や駅のホームの向こう東雲
うねうねと東北道は虹裾へ篠雪
かみさまの凱旋門か虹かかる芝野麦茶
芝の地に奇跡の軌跡虹の橋渋谷武士
虹かかる列車の右窓阿蘇にまで嶋良二
ひたすらに恋のささやき二重虹清水容子
淡き虹無言の葬列最後尾十一月菜名
雲梯の残り三歩や虹見たり下丼月光
白虹に媼と翁祈りけりジャスピン
水平線それより丸い虹ふたつ沙那夏
一艘の船くぐりけり虹の端砂楽梨
国境を跨ぐ虹見るドナウ河しゅういずみ
雨季開けるワット・アルンに懸かる虹秀耕
のぼりやす火伏の虹よあたごさん柊二
雨上がり吾子の眼に透け映る虹じゅこ@トーキング
ピーと鳴きこれ見よがしに虹抜けて獣羅
去りてフジ偲んだ空に虹のぞむじゅりー
アクリルの囲いを出れば浮かぶ虹湘南じじ
天国へ葬儀の豪雨後の虹白沢修
夕虹の空いっぱいにかかりけり紫龍
当直室戻る足止む明けの虹四郎高綱
朝の虹寡黙な部長の笑みを見る新開ちえ
一瞥し虹に背を向く臍曲がり新濃健
虹映す瞳の子らや集まりぬ新花水木
ガーランドの追いし虹また吾も見つ森牧亭遊好
鈴の音や同行二人二重虹酔進
夕虹の優しく語る帰宅前すゑぴょん太郎
輪切りなる過去は七色虹立ちぬ澄海舞流生
安曇野や虹たちをりし道祖神杉浦あきけん
楠の枝払われし午後の虹杉浦真子
太師様ずぶ濡れ涙に虹二つ杉浦みちよ
湖の夕虹雲をくり抜いて杉尾芭蕉
笛吹て虹わたりゐるこびとらよ杉本果ら
「映画の日」観損ねた日の 虹の吉杉もりまさ
虹立つや雨の匂ひを連れてゆく杉柳才
石投げる湖面の虹は何処へと鈴木けい
夕虹や三割り引きの穴子寿し鈴吉
雨あがり虹かすかにも心晴れ鈴木典子
保護色の色はどの色虹の帯鈴木(や)
闘いて逝きし病床ああ虹よ!素敵な晃くん
西表(いりおもて)雨林を跨ぐ虹の立つ晴好雨独
虹消えて少し憂鬱ガーゴイルせいしゅう
行く当ても無いとそぞろに虹かかる星夢光風
虹二つ見つけ良きことありそうな瀬戸ティーダ
窓いっぱいの虹を手土産友見舞う仙台駄菓子
朝たちぬ名もなき山にかかる虹仙波武矩
会いたいや虹の橋まで降りてこい空
虹の袂見たしあのカーブの先に空豆魚
二重だね上司席から見る虹よ駄詩
あの人の住むあたりかな虹の端大門宙美
飼い猫も渡ったのかなにじの橋たいやきは腹から食べるにゃんこかな
オアフの月虹やトランクの重し高石たく
ラストラン札沼線に虹かかる髙倉深月
天上へ虹懸かる日や退院す高橋淳子
虹の橋わたるわたるに母困り高橋紀代子
早帰り高層ビルに虹かかる高橋ひろみこ
子ども会バザー売り切り虹二重高橋無垢
瓦屋根百棟先に虹の出づ拓王
朝虹やドリップの泡膨らみぬ卓女
乗馬場体験コースの空や虹卓鐘
ぼくと犬虹にむかって散歩するたけうちおうすけ
虹たちて笑顔ひろごる帰途のバス竹口ゆうこ
虹立ちぬシート巻取り2回裏多胡蘆秋
かく美しく虹に曲げ得かヘラクレス多事
虹はるか人形抱えゆれる婆黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
君が髪虹に透きたる虹のごとただ地蔵
虹消えて金平糖となる粒よ立葵
せめぎ合う魂のあり虹が立つダック
歌舞伎座を出て見る虹や木挽町立野音思
四つ角を曲がりて虹と対峙する辰野史会
特訓の最後のダッシュ虹の端へ蓼科嘉
夕の虹やっぱり行くと掴む鍵立山枯楓
ペコペコと真紅の電話虹の立つ田中勲
つかの間の虹に祈るや幼子も田中勝之
虹見える病棟の窓人の来る田中洋子
癒えずとも笑う日もあり虹も立つ谷口昭子
虹立つや接種会場後にして田畑整
健やかであれ虹の向こうに住む友よ田畑尚美
二重虹海辺の朝のバルコニー玉井令子
雨匂う虹の袂に歩いてくたまのねこ
ビニル傘回して虹の曲がりけり田宮勘八
野仏や野に立つ虹をひとり占めたむらせつこ
川跨ぐ虹の下行く工事船田村モトエ
まづもつてナビにて探す虹の元田村利平
がん転移見上げし空の虹滲むダメ夫
駆けてゆく子らも景色となりて虹田本雅子
虹帽子なないろ仮面傘の露智慧の環
夕虹やダムなき川の古き橋ちっちのきも
パゴタに虹托鉢の列動き出す千葉睦女
朝虹や七里ヶ浜の風立ちぬ千風もふ
地下鉄の四ッ谷駅抜け夕の虹衷子
欠伸せし双子同時や二重虹長楽健司
トロリーバス虹の根元へアラモアナ珍風伊潤
あの虹を渡れば君の故郷(ふるさと)へ津国智之
きょとん顔初めてのやや仰ぐ虹辻巣雀
波高き小さき神島虹生まる辻野花
憂鬱は踏切向こうの虹に投げ津田涼子
車窓から夫婦喧嘩を虹笑う堤善宏
答え出す勇気も無くて虹滲む綱川羽音
チョコレート工場匂ふ街に虹露草うづら
虹根元めがけ進むも虚空の輪弦巻英理花
テスト明けクレーン車より高い虹デイジーキャンディー
終業五分前虹のプレゼントてまり
長靴のみずひかりたり虹立ちぬトウ甘藻
推しへ虹探すミーグリ待つ時間東京子
虹淡し自転車停める琵琶湖畔とき坊
上り上りて息きれたまま虹徳庵
写真には映らぬ滝見茶屋の虹独星
虹が出て久方ぶりに紅をさす徳田ヨーコ
虹射して妹嫁ぐパリの朝杼けいこ
屋上のドデカイ虹の中に立ち十音
お帰りの園児ら虹の生中継冨川友香理
おさな子のてのひらぬくし虹が立つ冨川精子
夕影の虹に向かひて鼓笛隊斗三木童
突然の弾んだ声や虹二つとみことみ
魔法使いてふ選択肢虹の橋富野香衣
溺れし子天国行けよこの虹で戸村友美
曇天の街塗り替えて虹光る友@雪割豆
意地悪な心隠して見上ぐ虹登盛満
凸凹の二人の上は虹ダブル豊川顕
駅前の路上ライブに二重虹鳥田政宗
虹立つや成すべき事の定まらず内藤由子
カーナビを頼りにくぐる虹の橋中十七波
太古より虹立つ空を見上げをり長崎夏海
花束を選ぶ横顔虹二重中島葉月
黒き路半分の虹ビルの谷間中嶋京子
雨粒をプリズムにして虹わたる中島走吟
天気図の泣き顔晴るる空の虹中嶋敏子
虹立ちてアロマの残るワンピース中瀬すみっこ
虹神戸油彩のやうな居留地かな奈右追悼仲田蓮謙
高速路離京するたびかかる虹中中
スマホ手に虹を追う母に見せたくて中西歌奈子
虹立ちて手術日告げる医師静か仲操
ランドセル絶交した日虹の下夏雲ブン太
朝虹や妣耳元で傘を持て夏目坦
金曜の虹色淡し銀の雲夏雨ちや
夕虹や天使の子らのすべり台七朝まるよ
仲直り布石となりて虹かかる⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
神ゼウス架けるかお江戸虹の華浪速の蟹造
少年の胸の絵の虹空の虹名計宗幸
車椅子押しをり虹をくぐるまで奈良素数
一瞬のスピードゆるめ虹を撮り新美妙子
的は虹空の端からのアーチェリー西尾至雲
夕虹の下に我が家のありにけり西原さらさ
リトマス紙中性プラス窓に虹尼島里志
二歳児が自ら着る気朝の虹庭熊彩和音
朝虹やブルーな気分になる準備鵺駿明
何時かしら軋むワイパー虹知らす額田化石
虹立ちてまほろばの街キラキラとねがみともみ
老犬のもの言いたげに虹を待つ猫詠たま
雨上がり虹の行方は我が内に根々雅水
消えさうな虹へ掲げる五輪かなノアノア
高速道虹の動きで知るカーブ野井みこ
あの人へLINEに添付虹を見た埜水
四万十の赤鉄橋に虹や立つ野中泰風
脚立から降りて庭師の仰ぐ虹野ばら
母逝きてなおまた逝きて虹浮かぶ野原花火
ひとつだけ今日の良きこと虹を見た野原蛍草
老犬のシャンプー終えし虹の中則本久江
水彩に水色多し虹滲み白庵
港町虹のアーチや艦戻る白雨
パンダ舎へ誕生祝い二重虹パクパクパンダ
虹見つけ見えぬ二色(ふたいろ)描き入れるはごろも856
幼き日探してばかり虹のはじまり橋爪利志美
虹立つをなぜかたれかに伝えたい橋本恵久子
朝虹や切れ目は君の町あたり馬笑
ハッとして在宅のまど消える虹長谷島弘安
雨上がり虹の大きな滑り台はちみつくまさん
得したね笑う母指す虹二つ葉月けゐ
ふさはしい人になれてゐますか虹はなあかり
早々にワクチン打ちて虹を待つ花岡紘一
虹を見る母と二人で車窓から花岡浩美
夕虹のゆっくりほぐれ空と和し花岡淑子
虹立つや警報解除に安堵し華樹
傘かざし子はかけるかな虹追って花弘
虹の橋七色揃っているかしら花子.Y
散歩道振り返り虹ひとりじめ花咲みさき
ずぶ濡れの自転車押して虹仰ぐ花咲明日香
パラグライふんわり虹のたぐり寄せ花咲みさき
そこだけに賑わいみせる二重虹花乃
黒雲をスクリーンとし朝の虹はなぶさあきら
虹立ちてほっと一息人熱れぱぷりかまめ
愉快なり見下ろせば虹U字谷濱野菜摘子
虹西に立ち霓に乗りて母は去ぬ林里美
虹立ちて一人帰りの寂しさよ林めぐみ
頑張りや天から虹のメッセージ原善枝
欠けた虹琵琶湖東岸野洲辺り原田民久
虹の端亡父の住む世があるさうな原乃野衣
気球次々吸い込まれゆく虹ゲート腹ペコにゃんこ
会いたくて虹の袂に目を凝らす針子のネコ
雨に出でし修学旅行虹の先haru.k
虹立つや電車不通の月曜日ハルノ花柊
転移なし術後の電話夕の虹葉るみ
虹はどこ見上げる孫のほっぺに汗春海じゅん
虹仰ぐ山脈映える色ななつはるる
幸あれと踏み出す足に虹の橋ばんしょう
振り返ることのなき背に虹上がる半田優描
鳥の群れ目指すゴールのアーチ虹HNKAGA
四つ葉探し腰を伸ばせば虹みっけひーたん@いつき組広ブロ俳句部
つらい日々虹がおしえる雨上がりひーちゃんw
虹七色指差し覚ゆ留学生ひがし小波
愛犬と腰おろし見る大き虹東の山
廃線の線路に虹の出でて消ゆ東原桜空
知らぬ間の山の端の虹誰見るや東山たかこ
虹たちて三角点のむすびかな微喜
晩節や出でたる虹に夢もらいヒゲラ
虹立つや単線電車向かふ里ひすい風香
目が覚めるみずみずしいね虹の色美泉
虹越えて蒼穹の奥探る鳥美竹花蘭
虹の輪の中にパステル雨こぼすヴィッカリー趣乃
虹が立つ夢の彼方へ進む足日向の熊
おねえちゃんにじがでるゆめみたんだねひなた息子
にじが出て数分後には青になるひなた娘
色足りぬ虹の絵だとて夢判るひな芙美子
コロナ禍の緊急事態明けて虹向日葵@いつき組広ブロ俳句部
虹七色二色は孫に教へられ氷室茉胡
虹かかる芦有道路を走り抜けひめりんご
虹ふたえ色の並びは反対にひよこねいさん
ビル街の誰も見もせぬ虹が消え飛来英
虹の先いま母ひとり住まう方平井麦春
伊豆の山虹を濡らして小雨降る平井千恵子
夫の手術待つ間の窓に夕の虹平井由里子
露天風呂虹の高きに手を伸ばす平岡花泉
北西に虹が出たよとラインから平坂謙次
大虹や大声1、2の大縄跳平松一
夏の虹まだかまだかと待ちわびて平本文
遠き虹無言無音の響きあり比良山
亡き猫が待つらし虹の下あたり昼寝
コロナ禍や見舞わぬ見舞い虹にのせ蛭本喜久枝
明日こそと写メに撮りたる夕の虹廣重
墨田川橋のまにまに虹立ちぬ琵琶京子
前頭葉吸ひこむ虹のつけ根かな深川佳子
カルピスの氷しみじみ遠き虹深蒸し茶
朝虹やパッチワークのトタン屋根深夜のり子
青春の抜け殻包む山の虹ふくじろう
虹架かる空よ被曝樹あをあをとふくじん
二重虹空に大きな橋掛けて福田由美子
夕虹やぷくぷくの多肉とジョーロ福月スミレ
虹融けて樅の梢と電波塔福ネコ
夕虹や犬の横顔照り映えて福山文子
不意打ちの恋人つなぎ虹の坂福弓
虹立つ自転車軋む男坂ふくろう悠々
鈍色の雲を突き抜け虹濃ゆし藤丘ひな子
虹立ちて端から薄くなりにけり藤川鴎叫
愛したい人を愛せよ虹立てり藤倉密子
病室の虹見る父の肩薄し藤咲かおる
朝虹や心臓病の犬看取る藤咲大地
喪服干す納戸の窓に二重虹藤原涼
虹不吉大蛇が空を貫きぬ藤原訓子
歩道橋立ち止まる群れ虹送信双葉@あさ葉会
巌穿く大蛇かウルルの虹伏鬼兼光
夕虹やレモンサワーと乾杯す風友
「あかだいだい」指で追う間に消ゆる虹ぶるーふぉっくす
草むらに虹色滴カメラ向け古澤久良
虹出たよ友よりメールお裾分け古下翆照
虹立ちて神籤の結び固くなりベニヤサン
三輪さんはたぶん神様虹立ちぬべびぽん
走れども走れどもまだ虹遥かペリー伊藤
湖を漕ぎ来る舟や峰の虹茫々
虹見つけ小さなキセキ子を思ふぼくのはね
虹の橋今誰ぞ渡りたもふや星雅綺羅璃
サイボーグ虹のたもとに人と成る星乃ぽっち
水滴をつくろう虹へ願いごとほしの有紀
虹立つや指にめり込む引き出物星善之
虹一つ仏頂面を崩してる細江隆一
まぶた腫れ愛しき笑顔虹の橋堀江弘子
ビルの窓虹を眺むる人居らず堀ノ内和夫
蘋果堕ち虹も欠けたり香港島香港ひこぞう
ホームレスの呟き顔を上げれば虹梵多
即位式虹立つ神の御業かなボンタンアメのビニール
道行かば人の橋あり虹見ゆる本間美知子
明暗を斜めに分けて虹掛かるほんみえみねこ
絶望の夕の空に虹の立つ凡狸子
切り取りてスマホに入れる虹の空槙由梨子
ブリキ缶雨音去りてやがて虹まこ@いつき組広ブロ俳句部
片足を田んぼに刺して虹は立つ眞熊
縦列の幼児へ虹の切れめかなまこちふる
諦めず二人信じて虹を待つまこと(羽生誠)
虹立つや燃してと願うあの手紙まこも
虹の下駆けていくほど消えていき雅蔵
虹消える前に届けよ中華丼眞さ野
雨上がり虹の向こうの笑顔願ふ松井研治
立ち漕ぎの髪なびかせて虹を追い松井酔呆
十七の持続可能の色の虹松高網代
虹の果五臓に地雷癌治療抹茶子
親子かな二重虹観る夫婦かも松手也
もやもやに虹の懸かれば明日の晴れまつとしきかわ
先生に架けてあげたい虹の橋松野蘭
通り雨思わせ振りに虹を連れ松村貞夫
自転車を止めて仰ぎ見るしまなみの虹松本牧子
魔法かな天井に虹昼寝起きまみるふぃーゆ
あの虹は七色ないとおんぶされ豆福樹々子
空の虹草木で染めて身にまとい真理庵
とび込んだ虹のパレット水たまりまりおR
虹わたる夢の続きのそれつきり眞理子
嬉しさを分かちたいから「あっ、虹や」丸山隆子
湿り気の残る大気に虹の粒真路巴笛
「つぎはいつ」指切り虹の消えぬ間に三浦ローズ
縁側で足指の股拭けば虹澪つくし
大虹や不登校美容院に来帝菜
虹立ちぬ龍馬も力もらいしか三茶F
明日会えるかも樹間より虹立ちて三島瀬波
グラス越し君の面影虹遠し水口りょうゆう
虹仰ぐ我と生きとし生けるもの三須多敏
東京に人恋し虹空にドアに水乃江辰
浅間山見下ろす虹は円形で水間澱凡
虹の脚海へ海へと溶けゆきてみち乃
竹とんぼ虹に向かいて弧を描く美月舞桜
虹立てば亡き先生の笑顔かな光子
虹の色歌で数える吾子の指三ツ藤康子
「止んでるよ」畳んだ空に夕の虹緑風音女
大鳥に案内されたり残り虹水無月葉子
商談後ほっと一息見れば虹湊かずゆき
六色の色を放ちて虹の立つみなみはな
夕虹やリモートで見し歩く義母三保鶴(旧ヒメクグ)
夕虹やきっと明日も君に晴れみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
フォルダには母に見せたき虹も住み宮井そら
虹見るも虹をつくるは脳の中見屋桜花
七階の病室窓で虹さわれ宮階愛子
弟の死んだ日なりぬ朝の虹三宅雅子
虹を見るいいことあると思いたい都いばら
虹立つや皆湖側の車窓へと都乃あざみ
虹立ちて田をゆつくりと別所線みやこわすれ
ゴルゴダの丘のメサイア虹燃ゆる宮坂変哲
片空に消えゆく虹やバンクシーみやざき白水
各々に色々あり一筋の虹宮原みかん
チッチへの虹のはじまりサリーの手雅乃珠晃
虹見とれ夕げの支度忘れけり美山つぐみ
願掛けの朝夕ときに虹も見ゆ宮村寿摩子
スマホには写らぬ虹として眺むむうさく
雲晴れ間復興の地に届け虹無何有
ガムうすくうすーく吹いて弾け虹武者小路敬妙洒脱篤
虹の輪の奥に明日を見つけたり儚仁
自動ドア開いて叫ぶ二重虹睦月くらげ
夜勤明けバックミラーに朝虹やむねあかどり
椅子抱え歩くのに慣れ窓は虹村上牛蒡
虹立てりみなとみらいは夕暮れて村松登音
虹立つや高速急ぐ母のもと目黒千代恵
庭の虹食むやうに犬あくびせり萌木ひと未
帆先立て瀬戸大橋と虹の下モコ
片端はビルの屋上虹かかる桃香
Flagを持つ手繋ぐ手二重虹杜まお実
子の駆ける虹の根元を見たしとぞもりたきみ
二重虹明日は夫の再手術森中ことり
虫偏の虹は天空翔ぶ大蛇森の水車
虹仰ぎラヂオ体操朝七時森部浩輝
ボランティアの拾う空缶虹の橋森山博士
モノクロの大都市またぐ虹の橋諸岡萌黄
プリズムは無慈悲な別れ夕の虹もろ智行
朝虹や庭土そめる油かなもんちっち山本
孫の虹色の順番違えども八重子姫
虹にほひ肩を並べた仲直り八重葉
草原に停めて虹見る北海道八木実
水脈を断ち祀る街虹立ちぬ矢口知
独り身に愛芽生えしや虹の橋安チッチ
瞬きの隙間消えゆく朝の虹やっちゃば
虹光る誰それ胸にSDGs柳井るい
かの虹よ令和天皇即位の日柳川耀一郎
夢のよう山際入る夕虹の輪やのかよこ
虹立ちて自分探しの旅に出ず矢橋
諍ひを収む車窓の二重虹八幡風花
虹映す空水浅葱夕の頃山口香子
二重虹上は天国下地獄山口雀昭
夕虹や東の魔女へおめでとう山口たまみ
セーヌ川五色の虹をくゞり行く山﨑菫久
虹かけて被曝の森にサイトカイン山崎鈴子
虹の根よあの界隈に父眠る山科美穂
山に虹必死にこぐ足止めにけり山育ち
虹支ふ三角帽子の取水塔山田啓子
遠い虹ぼやけて萎むおやつ時山田文妙
虹たちぬえちぜん鉄道三国線大和屋としより
虹の輪や泥まみれ聞く得賞歌山野大樹
良いことか何度もググる二重虹山野花子
一斉に山の端見れば虹立ちぬ山薔薇
歓声に米寿の我の想う虹山辺道児
テイクアウトのラーメンすする虹の夜山村楓
空の旅まあるい虹を父は見た山本康
三線に目をつぶる猫虹遥か山吉白米
「元気か」の代わりに写真「虹を見た」遊井ユウ
天駆けて往く犬虹の粉まみれ雪井苑生
走っても走っても虹なお遠くゆみずくん
虹の元行けと言ふ子の目の虹よ宵猫
昔虹愛苦も知らず眺めけり葉子
吾子が呼ぶ消えかけた虹かろうじて夜香
土砂降りの雨でも進む虹信じ横井未紀
評価なき家事の数多や虹ひとつよしざね弓
警報も事なく過ぎて虹架かる吉田まゆみ
早番の道も軽やか虹の朝よしのはるか
雨上がり静寂やぶる派手な虹吉藤愛里子
七福神しやしやりいで来る二重虹余田酒梨
傘たたむ遥かなる虹あなたへとY・りこ
グループラインに虹みんな今ごろ紫雲英田
虹の下身過ぎ世過ぎにあくせくす連雀
雨上がり森の彼方に虹の橋蓮風
晴れた日にワダノマコトが虹を蹴り倫敦ぱり
魂ならば渡れるか虹のハイウエーわかなけん
虹消えるコーヒーの葉はぴょんぴょぴょぴょ若葉一家
朝虹をくぐりし船の上なる吾海神瑠珂
道脇の無人販売朝の虹わたなべすずしろ
葉脈の色褪せてをり虹かかる渡邉一輝
色薄れつつ夕虹の移ろへり渡辺陽子
クレヨンのひと色足りず虹の消え渡邉わかな
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●投句者の皆さんへ
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名前、似たような俳号での投句が増え、投句者双方の混乱も起こっています。
共に学び楽しむための俳句欄を維持していくため、〈俳号に姓をつける〉あるいは〈差別化できる俳号を工夫する〉ことを、ささやかな約束事としてご協力願います。
●俳句の正しい表記とは?
- みずたまり よけて歩いて 気づく虹鈴木翔子
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なり
- 合戦の刹那に虹や水鉄砲粋庵仁空
- 滝生まれ野石に止まる泡に虹木子結雲
- 梅雨時期の気候激変まどう虹重芳
- 梅雨長し靉嘔(あいおう)の虹二十四色静江
- 夕虹や雷雨の後のプレゼントちび助
- 雨あがり網戸の黄金虫と虹土屋紅蠍
- 蜻蛉の滝に渡るや昼の虹二上松風
- ゲリラ雷雨の爪痕に二重虹宮尾恭子
- 梅雨入りて虹を覗くは一人傘与太郎
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「虹」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●季重なりというよりは別の季語?
- 薬降る馳せた心にかける虹小桜希宝
- ジョウロと朝顔繋ぐ虹の橋まるはなはち
- 絵手紙の虹輝けり敗戦忌安田美智子
- 蜘蛛の巣に水滴ありて虹見つけ山内直美
○それぞれの「虹」は、本来の季語「虹」ではない使われ方になっています。「薬降る」「朝顔」「敗戦忌」「蜘蛛の巣」の句として、分類されるべきです。
●兼題が入ってない!
- 梅ちぎり孫の眼で確認すけんらん
- 梅雨籠り母を見上げて笑顔咲く藤川マリオ
○今回の兼題は「虹」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
- 七色に魅せられ旅はハワイかな紫紗希
○「七色」とあるので、虹をイメージしての一句かもしれませんが、兼題として出題された季語を詠み込みましょう。
- 泉湧き獣ひととき憩ひけり高橋純子
- 破水から始まる夜明け泉かな宮本象三
○「泉」は昨月の兼題。投句〆切時間に間に合わなかったか……残念。
●一部文字化け?
- ダブリンの街二重、三重の虹?清し粕谷聰子
○普通に「虹清し」でよいのかもしれませんが、間に一字文字化けが入っています。ネット俳壇の宿命とはいえ、これも残念。
●季語深耕
- 初虹や農村舞台の萱の屋根寿泉
○「初虹」とは、立春以後に初めて現れる虹のことで、春の天文の季語になります。今回の出題「虹」は、夏の天文の季語です。
- クールスポットのミストや街に虹あやや
- 船上を跳ねる魚鱗に虹の帯小倉藍朱
- 虹待つやスプリンクラーの回り来て柏原淑子
- 虹色の世界を創るアイとユーゲンさ~ん・はーい
- 若き日の恋のごと消ゆ波の虹こいぬ
- 不思議さにプリズムにライト当てて虹佐々木邦綱
- 水やりの脇を子供のくぐる虹白濱隆次
- ひめりんご如雨露がつくる虹をかけ染野まさこ
- 水しぶき虹にはしゃぐ吾子も虹色高嶺遠
- 晴天の庭に水撒き小さき虹高橋光加
- 夕陽背に孫水道で虹立てる辻宝樹
- 陽を背にし虹ひとりじめじょうろかざし戸根由紀
- はじめての虹はプリズム『ポリアンナ』なみ夢めも
- 花に水足元に虹つかむ手らにいやのる
- 水を撒くついでに虹を産むホースぽちうに
- しょぼつく目モニタの向こう淡く虹まる丸
- ホースより虹を作りて洗車かなみっちー@TG
- 散水が草木潤し虹となり焼津昌彦庵
- 噴水に光飛込み虹かかる山内直美
- 散水の虹今日もよき日山野花
- 午後二時のホースにて虹かける二児山野二葉
- 板の間にペットボトルが結ぶ虹はいびす
○スプリンクラー、散水車、如雨露、ホースなどによってできる小さな虹は、季語「虹」とは意味を異にするものです。「虹」が、夏の天文の季語であることを押さえて作ることが肝要です。
お待たせしました!6月の兼題「虹」の結果発表でございます。
4月1日より投句ルールを「一人3句まで」に変更しましたが、みなさまが毎度ルールを順守してくださるおかげで、担当者がスムーズに作業を行なえております。ご協力いただき、本当にありがとうございます。今月も、みなさまの渾身の一句、お待ちしております(編集部より)。