夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
6月の審査結果発表
兼題「紫陽花」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
紫陽花のほんとの花に合うピント
富山の露玉
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夏井いつき先生より
「紫陽花」の花びらに見える部分は、萼です。その真ん中にある粒みたいなのが花。ここが「ほんとの花」なのですね。
紫陽花の原型は、日本の額紫陽花。季語では「額の花」ともいいます。額紫陽花の場合は、真ん中に沢山集まっている粒々の部分が真花で、周りにあるのが装飾花。品種改良によって生まれた「紫陽花」は、装飾花が毬のように集まっています。
紫陽花の写真を撮ろうとしています。「ほんとの花」にピントを合わせようとしているですから、かなりの接写。ピントが合うまでの短い時間と映像をさらりと表現しました。「ほんとの花」という詩語に、へえ~この真ん中の粒が花なのか! と、ファインダーを覗く新鮮な驚きもこもっていて、いかにも「紫陽花」らしい素直な作品です。
あぢさゐの深部に磁場のありふるふ
倉木はじめ
「深部」「磁場」という言葉の堅さ冷たさから、青い紫陽花を思いました。「あぢさゐ」が震えるのは、細かな雨粒や微かな風ではなく、毬の深部に磁場があるからだという詩的断定に強く惹かれます。
紫陽花やいま出奔の機のにほひ
可笑式
「紫陽花や」の詠嘆から、「いま出奔の機」と展開し「~のにほひ」と着地する意外性。何気ない日常に存在する不穏は、紫陽花みたいに湿った水臭い土臭い、そんな「にほひ」を発しているのかもしれません。
紫陽花やブックマッチのうすじめり
くま鶉
「ブックマッチ」とは、紙カバーに挟み込まれた紙製マッチ。一本ずつ剥ぎ取って使います。「紫陽花や」という詠嘆が、小さなマッチの湿った手触りにまでおよんでくる、実感ある取り合わせです。
紫陽花の青はさびしくならぬ青
渋谷晶
「紫陽花の青は」と指さすように、その青をクローズアップし、それは同じ青でも「さびしくならぬ青」だと断定したことで詩が生まれました。読者の脳内には様々な青が浮かんでは消えてゆきます。
あじさゐのゆたか団地の真つ四角
高尾里甫
前半で紫陽花がたわわに茂っている様子を。後半で、その紫陽花が点在する団地を描きました。毬のようで色彩豊かな紫陽花と、真四角なコンクリート色の団地。形と色の対比が効果的な作品です。
ソプラノの紫陽花テノールの紫陽花さとけん
紫陽花の白はソプラノ青アルトDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
あじさいのるいせんあふれるすんぜんあさいふみよ
あぢさゐはみづのうつはにほかならず古賀
あぢさゐの脈はさらさら水のよう木染湧水
紫陽花眩し海はほんとは蒼くない字土街海
紫陽花や雨がひもとくアメジストANGEL
曖昧に終わりし恋や四葩咲くEarly Bird
紫陽花や丹田意識する呼吸愛燦燦
あぢさゐや蝶番の錆増すばかり藍野絣
あぢさゐはまだその色を明かさざるあいむ李景
水葬の村へ紫陽花なんとも濃いすいよう
紫陽花や陶の子犬の雨ざらし青井晴空
紫陽花を山ほど剪りて演歌ショー蒼空蒼子
風のあぢさゐ放埒の猫戻る青空まる
水底めく朝に沈める濃紫陽花青田奈央
通夜より返る紫陽花多き家青に桃々
あぢさゐや雨の日に弾く駅ピアノ蒼鳩薫
あぢさゐや指示待つ側の楽なこと赤尾双葉
紫陽花や欠席理由を聞いてゐる茜むらさき
真っ白な紫陽花烟る未成年赤松鴨
紫陽花や生るる前に名の決まり赤松諦現
自己投影には紫陽花は致死量赤馬福助
あぢさゐや藍の色増す半日影acari
紫陽花が庭の腫瘍に見えてくるあかり
貝殻のやま紫陽花の紅たわわ明惟久里
紫陽花や空のベットはまだ温し昭谷
社宅裏はびこる紫陽花の深淵空地ヶ有
合鍵を返す青々とあじさい秋野茜
情薄き祖母の手鞠よ紫陽花よ秋乃さくら
坂の上紫陽花越しに由比ヶ浜空家ままごと
バッシュ軋む床紫陽花は水を得てアクエリアスの水
紫陽花の青あふれ出す花手水あくび指南
紫陽花や恋の斬り口すっぱりと浅井翠
紫陽花や雫の天に還りゆく朝雲列
紫陽花の下を転がるヘルメット朝方静流
紫陽花の一朶は赤や信号を待つ朝桜咲花
退職に享けし四葩の手を溢れ朝月沙都子
紫陽花堅し握り潰せぬほどに明後日めぐみ
紫陽花の水やり順はあみだくじ淺野俊也
紫陽花や遅刻二時間まで許すあさのとびら
紫陽花や求人情報湿る頃麻場育子
紫陽花や雨に数多の呼び名あり芦幸
四葩打つ遣らずの雨となりにけりあじさい卓
蒼空色の紫陽花あじさいいろの空飛鳥井薫
紫陽花の根元探すや球拾ひ梓弓
紫陽花や明日も雨の飛鳥山あすなろの邦
お薬の残りひとつぶ白紫陽花麻生ツナ子
あじさゐの果てはミイラの色となりあたしは斜楽
紫陽花やなみだは粒でなく欠片足立智美
紫陽花や千年枯れぬ井戸の色あたなごっち
十八の紫陽花の玉父帰る中はじめ
調停の朝や紫陽花丸くなれat花結い
紫陽花と並ぶ君もうちょっと右あなうさぎ
紫陽花や出口調査のひょんな嘘阿部八富利
寄席はねて茜の街の白四葩天風月日
雨粒がブラームス弾く青紫陽花天川滴翠
紫陽花や雲版の音に揺れ始むあまぐり
紫陽花の陰に埋もれる小さき骨雨野雀雨
紫陽花の庭へたぷんと下りにけりあまぶー
紫陽花や雁木通りの映画館アマリリスと夢
紫陽花やけふも寄り添ふ道祖神あみま
あぢさゐのなかには無音のビッグバン雨霧彦@木ノ芽
あぢさゐの瑠璃いろは星悼むいろ綾竹あんどれ
紫陽花や一山一寺村十戸荒一葉
紫陽花やチョコチップメロンパン眩しあらせもんじ
紫陽花や再発なんて嘘でせう新多
海色のあぢさゐ空色のしづくありあり
さよならはさよなら紫陽花は再びありいかな
白あぢさゐ雨の重さに耐へてをり有本俊雄
あぢさゐにぬれ紫陽花の石の径有本仁政
紫陽花の大きな鞠も水星も在在空空
あぢさゐや水面に揺るゝ巫女神楽アロイジオ
紫陽花や鍵の掛かった薬品庫アンサトウ
紫陽花や土曜の午後の待ちぼうけ杏樹萌香
ぴいかんの空のほころび四葩かな安春
紫陽花の重さを蹴りて毬のごと杏っ子
悔いるたび色深うしてあぢさゐは飯村祐知子
紫陽花のどれもこちらを見てをりぬイエティ伊藤
紫陽花や雨だれは貫乳のやういかちゃん
検査入院の朝紫陽花白しいくたドロップ
雨の日の裏切り紫陽花はしなる生野薫
紫陽花やささやくやうな千の色郁松松ちゃん
紫陽花や舌先噛んで止める涙いくみっ句
泥酔を乗せあぢさゐの救急車池内ときこ
標本室にあじさいと人体と池田悦子
御首級の薄き化粧や濃紫陽花池之端モルト
水の国にみづはびこりて紫陽花はイサク
しとしとと波紋に崩れ濃紫陽花いさな歌鈴
みづに似てみづ欲しがつてゐるあぢさゐ石井一草
紫陽花や頷き流す母の愚痴いしいるぴなす
紫陽花や一番奥の色は何石岡女依
紫陽花や映画の列の公民館石垣
夜の庭をコルトレーン四葩微動石垣エリザ
紫陽花やええとこの子のランドセルいしきひさき
被爆者の義母の一生濃紫陽花石塚彩楓
紫陽花や使いきれないインク壺石間毅史
紫陽花や元気でいると書いた嘘遺跡納期
紫陽花や岬を遠く寒立馬磯野昭仁
病み上がりあぢさゐの碧まづ触れて石上あまね
乾ききる紫陽花伐採の告知板柿せっか
紫陽花や期限の近き備蓄水いたまきし
紫陽花の真花に瑠璃の翅畳む市川隆一
紫陽花の負傷兵めく水を待ついちご一会
紫陽花や厠に笑まふ付喪神斎乃雪
拳たたかわぬ紫陽花千そよぐ一斤染乃
紫陽花や坐禅の僧は背骨立て伊藤亜美子
紫陽花や塗らなくなった爪を見る伊藤どらやき
紫陽花や写経の筆の細きこと伊藤柚良
濃紫陽花ひと待ち顔の巡査かな糸川ラッコ
寝ころべばはつか色づく四葩かな井中ひよこ号
日晒しの紫陽花叔母は若き後家伊奈川富真乃
カニューレへ回るポンプや七変化いなだはまち
紫陽花やシャツにアイロン糊きかせ稲葉 こいち
紫陽花や人の戦の解毒剤稲葉雀子
子の頭重さうに揺れ濃紫陽花稲畑とりこ
紫陽花を伐って五代の墓じまい居並小
帰路なべて傘のなきこと濃紫陽花犬山裕之
紫陽花や岨一斉に海見やる井納蒼求
紫陽花の吐く靄それを敢て吸ふゐのかたゆきを
紫陽花の雫分け入り神の岩猪俣保子
紫陽花や愛想笑いをはじめた日井原冴
白あぢさゐ毬の重さを持て余すいまいやすのり
塵出しの邪魔と紫陽花嫌わるる今井淑子
曇天や紫陽花の名は万華鏡イマスノリコ
紫陽花や単身赴任も慣れた頃今西知巳
保護犬は名をもらい紫陽花に雨妹のりこ
紫陽花は血の色言の葉は刃物伊予吟会宵嵐
紫陽花をひと枝鋏の音硬し五郎八
カクテルの層かきまはす濃紫陽花色葉二穂
紫陽花や淋しき日には藍を濃く岩木順
紫陽花のまなかに灯る銀のしべいわさちかこ
紫陽花や雫のやうに刺すビーズ岩清水彩香
たましひの凝固に紫陽花のくたり磐田小
きのふよりけふへ紫陽花紺深し岩橋春海
紫陽花や軽トラギアをセカンドに植木彩由
宣告を聞く青より青し紫陽花植田かず子
紫陽花の小道静かに選挙カーうさぎさん
戒名がしっくりこない濃紫陽花うさぎまんじゅう
紫陽花の甘からんチョコレート工場宇佐美好子
紫陽花の白は修道服の白宇田の月兎
あじさいの坂をのぼっていったきり内田こと
紫陽花や昨日の白は今青くうちだまみ
紫陽花や井月酔ったまま死す内本惠美子
雨来たら紫陽花ことばで話そうよ空木眠兎
紫陽花はロープウェイの爪先にうつぎゆこ
手のひらに量る紫陽花けふの色靫草子
鎌倉の紫陽花濡れて飲むコーラうどん通り777
紫陽花摘みし霊柩車に届かず宇野翔月
雨はづむ白あぢさゐの蕊はあを海野碧
供えたる紫陽花濡れる誕生日海野みひろ
紫陽花や捕鯨の浜の小糠雨梅里和代
百のてふ眠らせ紫陽花のしづか浦野紗知
紫陽花の影に明るきベビーカー詠頃
病む人へ四葩切り口確と焼きS・葉子
紫陽花や片耳で聞く空模様越冬こあら@QLD句会
雪白のあぢさゐ口の重き甥絵十
父逝ってなんと鮮やか七変化海老名吟
徘徊す義母は四葩と濡れており笑姫天臼
紫陽花の午後は「ローマの休日」を朶美子
出棺の梵鐘紫陽花にしずくM・李子
あじさいやだんだん恋になるたぶんえりいも
なよよかな水の器よ四葩咲くえりべり
紫陽花は証人として呼ぶべきかえんかず
紫陽花や防空壕の有りし街えんちゃん
使はれず紫陽花の弾美しき錆遠藤一治
紫陽花とウインドサーフィン見て一日遠藤千草
紫陽花よ戦士を抑える力はあるか遠藤波留
紫陽花が一陣の風に小突き合う遠藤百合
焼き切りや坂下にあぢさゐ櫛比旺上林加
紫陽花へ詰んで乱れる傘の列近江菫花
紫陽花の朝やベッドのモーター音おおい芙美子
紫陽花や髪はほのかに塩素の香大紀直家
紫陽花に聞く乗車率被曝率大黒とむとむ
百咲いた紫陽花の青空の青大阪駿馬
紫陽花や旧居留地の記念館大塚恵美子
小ぶりなり学都の池の紫陽花は大津美
紫陽花や昔廓の櫺子窓大村真仙
シーソーの金属音や濃紫陽花大谷一鶴
紫陽花やぽんぽんぽんと山の路大山きょうこ
束縛の始まり七変化に雨大和田美信
紫陽花のお喋り聞こゆ雨の朝岡田明子
気怠さの雨音弾く七変化おかだ卯月
紫陽花の白を色づきはじめをり岡田瑛琳
紫陽花へ銀の自転車沈みゆく緒方朋子
リュウグウの砂に水あり濃紫陽花岡山小鞠
明け初むる空をかさねて紫陽花は小川さゆみ
再発を告げられし窓の紫陽花小川天鵲
ふうわりとあぢさゐ陰を孕みつつ小川野棕櫚
紫陽花や今日は無口な花係小川都
紫陽花やゲストハウスに世界地図おきいふ
紫陽花の白いところにある浮力沖原イヲ
紫陽花や今日は頭痛が軽さうな奥の昼行燈
中吊りの追悼記事や濃紫陽花おぐら徳
紫陽花や少年野球は中断小栗あきこ
紫陽花やかき揚げ丼の閉じぬ蓋おこそとの
紫陽花が隠す閉店ご挨拶おさだ澄恵
「言語野はここらへん」と指す紫陽花おさむらいちゃん
紫陽花や虹彩の青き陰影尾頭朔江ヱゐチ
あぢさゐや宿への道を見うしなひ小田寺登女
紫陽花に雨足首が痒み出すおだむべ
沈みかけの紫陽花薄暮の花手水越智空子
紫陽花や登校拒否の向こう側おでめ
よし今日は赤い紫陽花まで歩く音羽実朱夏
紫陽花や欄間の龍の彫深し音羽凜
深深とシェフの見送り濃紫陽花おひい
紫陽花や明日みたいな空ですねオペラ座の俳人
紫陽花や庭ののりしろたる場所におぼろ月
夜半過ぎの紫陽花に愚痴ぶちまけるおんちゃん。
ぞんざいなメールが届く濃紫陽花海音寺ジョー
紫陽花の果て名優の実年齢かいぐりかいぐり
柵溢る紫陽花駐車場はまだ先快晴ノセカイ
紫陽花は原始の海の濁りかな灰頭徨鴉
紫陽花や防犯カメラ猫映す海峯企鵝
紫陽花や10年ぶりの彼の文かえるL
色ごとにあるか四葩の雨音は火炎幸彦
紫陽花や地震の多き年は青馨子.N
かはたれのまち紫陽花のしづかなる案山子@いつき組広ブロ俳句部
あじさゐや離婚届の紙うすし風花美絵
濡れ鳩やあぢさゐ出鱈目に倒れ風早みつほ
紫陽花を蹴る少年のぼんのくぼ霞山旅
紫陽花の毬のまだらに乾きけり樫の木
紫陽花やもう死にたいと母が言う交久瀬小夜時雨
濃紫陽花活けて流人のたましづめ加田紗智
紫陽花やメールほどには消せぬ孤悲片山蒼心
紫陽花や実家の維持の話などかつたろー。
紫陽花のあお渇水の庭になほ克巳@夜のサングラス
紫陽花や雨の奏づるタンバリン花伝
納車日の左折あぢさゐ触れぬやう加藤ゆめこ
紫陽花や黒ずむ銀のサモワール金井登子
紫陽花や青空果つる十八時かなえの
紫陽花の隣家のひとの名を知らず仮名鶫
紫陽花や洋傘店の店仕舞ひかぬまっこ@木ノ芽
紫陽花の床屋ラジオはアル・ジャロウかねつき走流
車線変更せり紫陽花が近づけり金朋かいと
紫陽花や仕込最中の町中華釜眞手打ち蕎麦
山腹の墓石の黒あじさいの青紙谷杳子
あぢさゐやサイゴン発を待つ夜空亀田荒太
あぢさゐの白のこぼれて藍ゆたか亀田かつおぶし
あぢさゐの湖水の底のアルペジオ亀の
紫陽花や矢印の先すぐに海亀山酔田
紫陽花や私は今夜家を出るかもめ
紫陽花や白無垢重たくてきれい花紋
新駅は紫陽花の木のまだ低く加裕子
紫陽花に小雨少女に象徴詩加良太知
東京の水にあじさい慣れにけりかりかり久助
紫陽花の庭と呼ばるる父の庭川越羽流
紫陽花や胎内仏は三千余川村湖雪
紫陽花を分けて今宵の式終えり河村静葩
紫陽花といふ冷色にあたたまる川村ひろの
紫陽花を見たり首輪なき老犬川村記陽子
紫陽花の呼気はもこもこ歌舞伎町閑々鶏
色抜けた紫陽花や無罪判決勘八
最後の恋淡くも濃くも紫陽花よ紀杏里
紫陽花や駐在さんの丸めがね喜祝音
あぢさゐや手にとりどりの琥珀糖岸本元世
紫陽花や鍋のぷつぽつ沸き始め季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
中軸のどこか緩んでゐる紫陽花北川颯
紫陽花の濡るるスナックより軍歌北野きのこ
紫陽花や休業明けのパン屋さん北の星
零戦の錆びしプロペラ四葩さく北藤詩旦
あじさいのつぶつぶすきまに雨のすぢきた実実花
紫陽花のせい参議院総選挙北村崇雄
紫陽花や木造校舎の飾り窓吉川楽座
手折りたき紫陽花呑屋らしき角木寺仙游
赤チンの右膝痛し濃紫陽花きなこもち
少年の朝あぢさゐに許される城内幸江
紫陽花の水の明るさ陽の昏さきのえのき
紫陽花の大木ありき勝手口木村かわせみ
紫の紫陽花に雨母は逝く木村修芳
中心点集め紫陽花球となる木村となえーる
紫陽花や連なる鯨幕二軒Q&A
紫陽花を揺らして帰る配達夫きゅうもん@木ノ芽
紫陽花や再開発の街の色鳩礼
紫陽花や湖国に旨し鮒と酒京野秋水
百の目を順に開くや濃紫陽花杏乃みずな
住職は元演歌歌手濃紫陽花清瀬朱磨
あじさいの影まあるくて踏まずおく霧島ちかこ
紫陽花の雨受けられぬ方がうらギル
あぢさゐ爆ぜる爆ぜる箱根の雨は急ぐ
紫陽花の色濃し深爪の痛みくぅ
紫陽花や雨の匂ひと陽の匂ひ久我恒子
紫陽花に肺と心は溺死する九十九里の鰯
紫陽花やひとりの昼はあり合はせ葛谷猫日和
オフィーリアの如き紫陽花から雫朽木春加
紫陽花に溺れて三度目の離婚ぐでたまご
紫陽花や銭湯帰りの雨宿り國吉敦子
紫陽花雨遠き地の戦火消せぬか窪田睡鯨
紫陽花や郭のどぶに雨水輪熊谷 温古
斎場へ妣送る坂濃紫陽花熊本与志朗
紫陽花や五年生存率告知クラウド坂の上
紫陽花や夫が心閉じちゃった倉岡富士子
紫陽花のやさしき頭突き手水鉢眩む凡
紫陽花のほわほわ膝に子の潤み栗田すずさん
紫陽花を剪る降格を告げる朝栗の坊楚材
紫陽花や識字学級灯煌々久留里
紫陽花や法話の声のよく通る紅さやか
張り込みの記者あじさいは不発弾けーい〇
紫陽花や親しき風の通り道家古谷硯翠
ハルシオン苦しあぢさゐさびしさうげばげば
紫陽花の今朝より父の喪が明ける健央介
生麩屋の裏あぢさゐの藍は褪せ謙久
紫陽花や不定休日雨の朝黒田良
紫陽花の家に「売家」のステッカーケンG
紫陽花やうそがつけずにピアノ弾く源氏物語
紫陽花や隣の家は事故物件研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
教卓に紫陽花やはらかな号令剣橋こじ
濃紫陽花新宿無料案内所小池令香
重い雨あがり紫陽花完成す剛海
あじさいや異国の文字で書く手紙公木正
紫陽花の萼の蕾はまだ緑紅紫あやめ
紫陽花や地図のみで知る街に越す柑たちばな
軽トラの四葩ゆさゆさ朝市へ幸田柝の音
紫陽花やあをぞら市の耳飾り香田ちり
子の初めての紫陽花は青い色神戸めぐみ
紫陽花淡く昼休みは束の間古賀ちん
紫陽花やちつとも乾かぬ柔道着小笹いのり
紫陽花のふくふく町は高齢化小杉泰文
紫陽花の雨や実朝公の下駄来冬邦子
紫陽花の山には妖怪住むという小鳥乃鈴音
基礎コンの遅れ赤赤七変化粉山
枯るるまで色を定めぬ四葩かな木幡忠文
紫陽花や変わり映えなき反省文虎八花乙
紫陽花やバイクの音は郵便夫小林昇
選挙カー紫陽花揺らし通り過ぐ小林のりこ
コピー紙のぬくし四葩の花しづか小緑ふぇい
紫陽花の村は寂しくなるばかり小山晃
手羽先の骨積まれけり濃紫陽花コンフィ
紫陽花や風土記の神に名の数多GONZA
紫陽花の前で降ろしてくれと告ぐ今藤明
紫陽花や戦に滅ぶ寺の跡彩汀
紫陽花や尼の奏でるジムノペティ齋藤杏子
紫陽花の水を流電しずかなり齋藤ちの
悉く紫陽花淡し谷戸の奥榊昭広
紫陽花や急ぎしつけを抜く喪服坂まきか
紫陽花や如雨露てふ字に雨二つさくさく作物
紫陽花やナイフに碧き影揺れてさくやこのはな
あじさいやはくしゅのあとはてがかゆいさくら(6才)
あじさいの微睡へ窓全開すさくら亜紀女
あじさいのあおをおそらにかえそうかさくら悠日
紫陽花やむらさきといふいろのかず笹弓
紫陽花の雨父と子の風呂そうじ紗千子
紫陽花や夕べの雨のよき家居さち今宵
紫陽花や壊れかけたる手紙受砂月みれい
あじさいや遺品整理のごみ屋敷さっち
紫陽花や並ぶ式典の黒服さとう菓子
紫陽花や三日遅れの回覧板佐藤恒治
紫陽花やバケツに三日ぶんの雨佐藤志祐
紫陽花やゴミの曜日にまだ慣れず佐藤儒艮
降り過ぎる雨よ痛いよ濃紫陽花佐藤綉綉
紫陽花や釘のかたちの錆びに雨里すみか
紫陽花や藍に染め変へ母の帯佐渡の爺
ワイシャツは一途なかたち濃紫陽花真井とうか
紫陽花や嘘はきれいに錆びてゆく錆田水遊
ほんたうのこと紫陽花の青の中さむしん
紫陽花や会えば喧嘩の母なれど紗羅ささら
紫陽花や涙を隠すにはあくびさるぼぼ@チーム天地夢遥
紫陽花はにがいなきょうのママみたい澤田紫
紫陽花の原種に近き流人墓地澤田郁子
紫陽花や御釣りを五百円玉に沢拓庵
あぢさゐのみづにほひたる夜空かな山海和紀
長谷寺や海を彼方に濃紫陽花三月兎
死亡欄ぬれて紫陽花ひとつ咲き三休
ミラーボール止め紫陽花に水やり三水低オサム
紫陽花やモノクロームの旧駅舎潮風の台所
夜の紫陽花月の色して蒼きかな塩原香子
あぢさゐの褪せてアスファルトの匂ひ潮見悠
紫陽花や眠れぬ朝の視野検査四季春茶子
紫陽花やレインコートの犬集う柴森爽
紫陽花やおんぼろバスの土埃島田あんず
紫陽花やメールしたよと言ふ電話嶋田奈緒
紫陽花やこれは悲しくない涙嶋村らぴ
紫陽花や今日は昨日の色もたず清水容子
紫陽花やホットケーキの焦げ甘し清水明美
紫陽花に内緒話の傘回る霜月詩扇
コンビニの立ち読みの窓に紫陽花下丼月光
紫陽花の雫煮詰めて媚薬なり芍薬
紫陽花の息錆色に月へ吹くじゃすみん
紫陽花や吸い飲みの水八分目沙那夏
紫陽花や服用量を超える夜に砂楽梨
紫陽花に外野まかせてトンボ引く種種番外
A型の天秤座っぽい濃紫陽花シュリ
校長と紫陽花の待つ雨中かな春幸
紫陽花や三年前も雨なりき順之介@QLD句会
四葩咲く雨へ放電するごとく常幸龍BCAD
紫陽花を眺む濡れても構わない庄野酢飯
四葩青し金星めがけ漕ぐボート笑門亭来福
紫陽花の無限のさよならこだまする白河夜船
紫陽花や剃りし眉毛に当たる風四郎高綱
雀荘のみづに痺るる四葩かな白プロキオン
啼泣の隣家や紫陽花へ地雨白よだか
紫陽花や髪は二倍に膨らみて新開ちえ
紫陽花や窯元の手の皺に雨神宮寺るい
きざはしの磨り減り深し濃紫陽花しんぷる
水彩画の町よ紫陽花滲みて森牧亭遊好
街灯の路地あぢさゐに夜の色深幽
紫陽花やつれあひといふ安定剤瑞泉
湯の町の眠たき昼や濃紫陽花酔芙蓉
この路地は抜けられやうか濃あぢさゐすがりとおる
紫陽花の不法侵入許しけり杉田梅香
あじさいが咲いてだんぜん白が好き杉本果ら
空の色半分もらふ四葩かな杉柳才
紫陽花の横に忘れた処方箋筋村
四葩肥ゆ脱水槽の音吸ひて鈴木由紀子
紫陽花の午後はしづかな診療所鈴木麗門
妃殿下の振る手たおやか白紫陽花清白真冬
紫陽花や図書館はまだ木の香り主藤充子
紫陽花と一緒になんか泣かないよすりいぴい
濡れてゐる回転灯も紫陽花も瀬尾白果
紫陽花をみて被葬者は誰だろう背馬
紫陽花やエンジンかからぬハイエース世良日守
献体に同意身代わりとして紫陽花をせり坊
あぢさゐや駐輪場を猫の影千波佳山
紫陽花をしどろもどろにする天気そうり
土竜塚踏みしゃぐ祖母や濃紫陽花外鴨南菊
始めたるピアノ教室白紫陽花ソフィ
紫陽花やみづの慌ててゐる水車染井つぐみ
紫陽花やそろばん塾の跡静か染野まさこ
紫陽花染まりゆく鳥たちの悲鳴に空豆魚
とりあへず紫陽花多き方へ漕ぐぞんぬ
紫陽花や傘の子集う移動図書泰山
紫陽花は雨を泳いでいる水母平良嘉列乙
紫陽花やきしきし骨の痛む朝だがし菓子
紫陽花や短編閉じる停留所たか祥
嘘吐けぬ鋏真直ぐや四葩よひら高田祥聖
紫陽花の揺れを残してゆく電車高橋寅次
紫陽花や雨に踏まるる「探し犬」高橋ままマリン
ガラス戸砕けあぢさゐのさらに青たかみたかみ
カーラヂオ怒鳴る雨夜の濃紫陽花滝川橋
紫陽花や「金子みすず」を朗読す卓女
紫陽花に雨や癖毛は母譲り多喰身・デラックス
園庭の紫陽花人を欺かず竹内一二
紫陽花や汽笛は震ふ坂の街竹口ゆうこ
紫陽花や外科医早朝カンファレンス武田豹悟
紫陽花や濡れた回覧板へ印竹田むべ
紫陽花の青溶け出して湖の碧多事
紫陽花やとある星には水の跡多々良海月
文机の便箋さららアジサイゆらら橘乎夏
あぢさゐの故郷遠し四姉妹橘春容
紫陽花や苦き薬と水一杯ダック
あいつ泣くだろか紫陽花で殴れば立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
紫陽花は家の鬼門に鎮座する蓼科嘉
紫陽花や迷子の手引くウルトラマン立部笑子
紫陽花の隆起ラジオのイチ、ニ、サン田中勲
紫陽花の渇きのおりてくる視床田中木江
紫陽花は眩し命断ちたき夜田中紺青
紫陽花や心療内科無風帯谷町百合乃
紫陽花や離婚届とシュレッダータマゴもたっぷりハムサンド
あぢさゐやどれがルパンのデスマスクたま走哉
撮り鉄やあじさい不細工に乾く玉庭マサアキ
紫陽花やギプスに書いた「ファイト!」の字たまのねこ
雨粒のどれにも紫陽花の映り玉響雷子
紫陽花やぽんぽんぽんとお年頃たむらせつこ
紫陽花やカメラ使はぬまま古び田村利平
バックギア紫陽花右の目処となりちくりん
あぢさゐのつかれしいろをぬかづけり千歳みち乃
紫陽花やアクエリアスを一気飲み千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
紫陽花の射場矢の音は中白へ千代之人
紫陽花の剪られガスメーターぽつん彫刻刀
紫陽花やチェリストの声やはらかき月石幸
紫陽花や息子に妻ができる朝つきか
手を伸ばし紫陽花触れる保健室つきのひと
あぢさゐをとほりすぐくもにはたづみつくも果音
紫陽花や親には言へぬ恋である土屋ひこぼし
少年の静脈きれい濃紫陽花綱川羽音
七変化この亀は剥製のはずツナ好
紫陽花や破顔の僧とすれ違ふ露草うづら
紫陽花や議決は白紙撤回へ露口全速
紫陽花や土木コースは女子一人ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
紫陽花や和泉式部の恋の歌ツユマメ末っ子10歳@いつき組広ブロ俳句部
紫陽花や膝のケロイド薄れつつデイジーキャンディー
紫陽花を置く室外機五号棟電柱
ポン菓子が爆発します濃紫陽花でんでん琴女
海峡や白紫陽花の柩めく天陽ゆう
紫陽花や安治川渡船ただやねんトウ甘藻
迂回路の青いあぢさゐうるさくて東京堕天使
紫陽花や薬師の庭は海近し峠南門
搾りたての空の色をした紫陽花東戎
紫陽花を伐採この街が嫌い遠峰熊野
紫陽花へ降る音はみな色もたずとかき星
紫陽花の隣に選挙掲示板とき坊
紫陽花やホワイエに「雨だれ」微か常磐はぜ
紫陽花や城跡ほの暗き道徳庵
紫陽花や家庭教師の手が綺麗登盛満
紫陽花に雨賢治の詩一行目とよ
紫陽花や十万円のスリ被害鳥田政宗
紫陽花は袋小路の道標とんぶりっこ
紫陽花や産婦の集ふ夕間暮れ内藤羊皐
紫陽花やすいすい家事のはかどる日直
紫陽花やここも続かず一年半なおじい
紫陽花の枯れたる毬を切ってゆく中岡秀次
紫陽花や露天湯までの石畳中島走吟
紫陽花に水を吸はせて影法師中原柊ニ
風の尾に色を与ヘて四葩かな仲 操
紫陽花や車椅子にはよき高さ中村まさあき
濃紫陽花一億人が躁の国新蕎麦句会・凪太
紫陽花の明るいほうは父親似なしむらなし
紫陽花や身振り手振りの観光所那須のお漬物
あぢさゐはけふのあふみのみづのいろ夏草はむ
売れたらしあぢさゐ花花しき空き家夏湖乃
紫陽花は枯れずに嘘をつき通す夏椿咲く
紫陽花も雨が好きとは言うてない夏雨ちや
紫陽花はろんろん白衣てふ鎧七瀬ゆきこ
願はくば紫陽花充る柩にて奈良素数
すれ違ふたび紫陽花に濡れてをり西川由野
紫陽花はペルシャの涙壺の色にゃん
紫陽花の柔き痛点へと雫仁和田永
白紫陽花芯より藍の出でにけり濃厚エッグタルト
館長に見へぬ館長濃紫陽花野地垂木
紫陽花の下に埋めたの絵も指もノセミコ
紫陽花よ渡り廊下の七不思議野点さわ
紫陽花や吾子の義足の通学路ののr
白あぢさい水の器となりにけり野ばら
教卓に青き紫陽花「起立」「礼」野原蛍草
仏壇の紫陽花かたぶき完璧のり太 葉根
朝一に声の便りや濃紫陽花則本久江
紫陽花や星占いは十一位灰谷素数
紫陽花と丘の日時計雨の中白雨
紫陽花や鏡のなかの吾を見つむパクパクパンダ
長き名の病よ朝のあぢさゐよはぐれ杤餅
朝切りのあじさい日曜版二部紙橋本こはく
重機吼ゆ紫陽花の湧く水鏡長谷川水素
紫陽花の影闖入の通用門長谷機械児
あぢさゐの門灯届かぬ先は夜葉月けゐ
アラートや朽ちゆく紫陽花へ水を羽奈あかり
紫陽花の海はカルキの匂ひして花咲明日香
紫陽花や頭痛よぶ風はらふ風花南天あん
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紫陽花や風に捲らす歎異抄藤田康子
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植栽の紫陽花眩し癌告知藤千鶴
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紫陽花はきりりと青しフェルメール葡萄亭わいん
玲瓏な紫陽花なれば雨に剪る冬のおこじょ
あぢさゐや心模様は♭へ冬野とも
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将棋盤抱え紫陽花近き窓ふるてい
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堂守の放哉は留守濃紫陽花茫々
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紫陽花の色変わりたる投票日香港ひこぞう
紫陽花や眺めて雨の車中泊前田敏彦
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紫陽花や二十歳の夜のデモの波松井酔呆
とぶらひにあのピンヒール濃紫陽花まつたいら西
紫陽花や一筆箋に透くみどり松本裕子
四葩咲く辞世のようにくちびるは真冬峰
紫陽花や父を座らせ処方箋真宮マミ
紫陽花の花瓶に敵を溺死さすまるにの子
紫陽花や章の始めの飾り文字丸山隆子
紫陽花や我が名を辿る墓仕舞まんぷく
紫陽花や水の地球の波長域みい
働かぬ男が切りぬ四葩かな三浦金物店
紫陽花の貌がそのまま枯れている三浦にゃじろう
紫陽花を父一筋の母が切る澪那本気子
紫陽花や小吉出でし水みくじ帝菜
森林太郎の墓へ紫陽花の道三茶F
紫陽花重いか赤子つんのめるぞ岬ぷるうと
あぢさゐや急勾配をのぼる青三崎扁舟
仏彫る君は四葩のただなかに三島瀬波
紫陽花やお使いの品何だっけMR.KIKYO
リュウグウに咲く紫陽花の色を問ふ水野禾甫
閉校の前に紫陽花皆で見る巳智みちる
喧嘩した朝は白紫陽花きれいみづちみわ
紫陽花は熱すると虹色になる光峯霏々
紫陽花よ墓守りして幾千年みどり
雨の夜の花弁揉み合ふ濃あぢさゐみなと
紫陽花の蠢く不燃ごみ袋南風の記憶
あじさるや貸看板の色ましろみなみはな
紫陽花を二百万本越しに海美村羽奏
もこもこのねこ紫陽花にくははりぬ宮坂暢介
あじさいやパウルクレーのまるい顔みやざき白水
鎌倉に紫陽花を見て別れけり宮尚
墓守の紫陽花藍になりにけり雅乃珠晃
紫陽花や施錠の早き父母の家宮部里美
受付のあぢさゐあをし心療科みやま千樹
紫陽花の藍流れ古都ひと色に宮村土々
紫陽花や古刹の像の閑かなる妙
朝な朝な騙されさうな白紫陽花椋本望生
紫陽花や靄る八本目の鉄塔無弦奏
あぢさゐのことに白きを供ふ朝無恙庵閑酉
紫陽花群れてなお紫陽花のかたちかな村上牛蒡
紫陽花や手折りて母の家終う村上の百合女
ぼくは振られて白紫陽花はおとな村瀬っち
あぢさゐの凪を泳いで登り窯メレンゲたこ焼き
紫陽花や理科教室の試験片毛利尚人
ガムを噛むように紫陽花薄れゆく杢いう子
紫陽花へ僧侶の列の飲まれ消ゆ望月ゆう
忽然や庭の鬼門に濃紫陽花望月和美
チャイム押す紫陽花の鉢起こしつつ百瀬はな
クレヨンのやわらかい角濃紫陽花桃園ユキチ
紫陽花やフォークゲリラは西口に森佳月
あじさゐや血は繋がらねども父と呼ぶ森日美香
雀友の通夜に供えし四葩かな杜まお実
紫陽花の毬なだれ込む石畳森毬子
紫陽花の不可思議そらの欠片とも森海まのわ
あぢさゐのここより先は疲れてますもりさわ
紫陽花や磁器めく萼の薄青にもりたきみ
紫陽花は昨日も咲いていたよ、母森中ことり
雲の湧く山の紫陽花五千本山羊座の千賀子
紫陽花の家から少女白眩し柳川耀一郎
窓に紫陽花術痕は濃紫八幡風花
紫陽花や住み心地よき街らしきヤヒロ
紫陽花や青といふ字は月を抱き山内彩月
紫陽花や健診票を読むゆふべ山河穂香
紫陽花や病棟の中庭は雨山川腎茶
紫陽花の草の色より始まれり山田蹴人
履帯跡浸かる紫陽花は鋭角山田蚯蚓
紫陽花のおばさんを此の頃見ない山本先生
紫陽花やもう何度目の遺言書唯果
疫病の街に紫陽花溢れける雪井苑生
紫陽花の蒼きほとりやカヌー過ぐ雪音
アスファルトを掠る紫陽花の重さユキノユ綺
紫陽花や子に良き水を良き風をゆすらご
紫陽花や日にち薬の効きはじめ湯屋ゆうや
紫陽花や青酸カリの出庫ログ陽花天
あぢさゐやみづにねむれる千のいろ横縞
紫陽花の底まで五指を沈めけり吉武茂る
紫陽花やグランド・ジャット島の縁吉野川
ビー玉を紫陽花に乗せたら溶けた吉行直人
猛きほどのあぢさゐ車椅子の母ラーラ・K
あぢさゐが錆びてゐる母棄てにゆくRUSTY=HISOKA
紫陽花や詐欺師が母を老いさせた烈稚詠
紫陽花の弱気をみんな知っている楽花生
紫陽花を手折りて香を焚く尼僧蓮香(山端直子)
おほかたが歩道を向けり瑠璃紫陽花蓮花麻耶
紫陽花やツーピークスの叔父若し渡辺桃蓮
紫陽花や今日の一滴今日の色渡邉わかな
紫陽花や嘘を知らない鳥とゐて和山しなもん
紫陽花やこども棟吊る千羽鶴笑笑うさぎ
紫陽花や居抜きのBARの店開く季々諧々
紫陽花や今朝の電車の人の波中山よし
紫陽花の藍沈みゆく雨の坂木原洋子
ゴンドラの眼下紫陽花一万本みわ吉
紫陽花の雨見てよりのそば処さいたま水夢
紫陽花や二日続けて蕎麦屋に長居カオス
紫陽花やテラスで食べる瓦蕎麦紗々
紫陽花や昨日もけふもAランチ菫久
紫陽花や指の届かぬショパン弾く朝霧七海
紫陽花や人さし指で弾くショパン沼沢さとみ
紫陽花や奏でる曲はピアニシモ谷相
紫陽花やこんもり寄する花手水じょいふるとしちゃん
紫陽花を振舞つてゐる手水鉢埼玉の巫女
あぢさゐや訪ねはせずの「来る来ない」あかを実果
紫陽花や小休止せよ夫のガンあしたはあした
イヤホン付け吾の紫陽花送信すsakura a.
紫陽花や俳句雑誌に我が名前石井茶爺
紫陽花の青母に毒吐きし我石川巴里
夢殿の模型が土産八仙花石塚碧葉
紫陽花や悪女はけふも悪女なりいその松茸
紫陽花や父の背丈を超えた朝磯むつみ
白藍を集め紫陽花丸くなり伊縫音々
紫陽花や一夫多妻大家系図うた歌妙
別々の紫陽花は別々に咲く梅鶏
今の色未来の色紫陽花と大江戸小紋
紫陽花のみづを受けては手放しぬ海瀬安紀子
お砂場は「立入禁止」七変化看板のピン
あじさいやベッドピローが多過ぎる銀紙
紫陽花の白きを守り果てし朝紫瑛
紫陽花園路肩駐車で徒歩10分柴田朱々
あじさいや裁縫箱に母の文字寿松
紫陽花を水色で塗る不思議かなショートケーキ
あじさいやせんせいだれがすきですか丹波らる
紙漉の色滲ませし八仙花ふりっち
紫陽花の茎のびやかにコーラ瓶まめばと
紫陽花の丸き重みや掌にあまねくみぞれ
紫陽花も項垂れている帰り道天野幸子
紫陽花も濡れてばかりじゃつまるまい雨降りお月さん
紫陽花の淡きぼかしはちひろ色雨李
朝の庭光続ける紫陽花だあらいぐま
紫陽花の色塗り直す絵日記帳石の上にもケロリン
紫陽花を赤子の如く抱く女よ石本美津
紫陽花や咲きて寝覚めの緑酒かな石山日滔
紫陽花や歌舞伎役者の早変わり泉恵風
紫陽花や川の畔の蕎麦の味いつかある日
紫陽花や今日解禁の竿握り伊ナイトあさか
あぢさゐ一株更地となりし旧家かな井松慈悦
紫陽花や今は娘の反抗期上野眞理
新聞紙の匂ひの紫陽花二輪かな上原淳子
紫陽花や雨の箱根の招き猫上原まり
紫陽花や掛け着の祖母の話し好きうからうから
紫陽花や乳児の髪は陽の香り宇田建
紫陽花や作り笑顔も傘の中江戸川ちゃあこ
紫陽花やハーネス伝ふシロの影榎風子
不時着の紙ひこうきや濃紫陽花大熊猫@四句八句
紫陽花の滲み出したる濡れ歩道大野静香
紫陽花の海ひいてゆくよう碧烟る沖えいじ
あぢさゐは産土の色集めてをり奥田早苗
紫陽花や蜜は甘いか酸っぱいか小栗福祥
紫陽花もいつか深紅に咲きたかろ小沢史
植え込みはただの紫陽花ばかりあり帯壱
いずこかで兄弟げんか濡れ紫陽花おんとば
雨音を音符に奏でるあじさい花梶浦正子
つかの間の青空吸いこむ紫陽花鹿嶌純子
あまかぜにあぢさゐくんずほぐれつつ華胥醒子
紫陽花のへばりて子らは走り過ぐ片岡六子
青紫陽花死者の魂やどりたる桂子涼子
寺町や花曼荼羅の七変化桂葉子
紫陽花や母の拳の力入る金子あや女
紫陽花や揺れて華やぐ兄の声鴨井喜子
紫陽花や赤本染む蛍光ペン唐草もみじ
車窓から眺むるホーム四葩咲くカラハ
赤信号ほどの紫陽花まで暫し枯山日明萌
紫陽花を剪る解剖をするがごとキートスばんじょうし
紫陽花は淡い記憶の寄せ集め季々諧々
紫陽花のめまい低血圧の煉瓦岸来夢
紫陽花の青は私と別れの日酒暮
紫陽花の庭や方言拾う耳北大路京介
我が家にも咲く紫陽花を愛づ明月院木下桃白
一歩寄り二歩退り見る濃紫陽花Qさん
紫陽花が鐘と雨の音溶かしゆき銀長だぬき
紫陽花の街ランボーのAEIUOぐずみ
教会の紫陽花もなないろに変わる工藤雨読
紫陽花や変らぬものにひとの性工藤遊子
雨うたう紫陽花はずむ手毬唄桑田栞
紫陽花や風吹いて来て一番星桂月
紫陽花や何カラットの雨かしら恵勇
妣よりも夫との暮らし七変化コスモス
かみさまが端っこ塗った紫陽花よ小手鞠しおり
紫陽花や玉垣氏子名朱し虎堂吟雅
火山灰浴びて咲きたる玉紫陽花後藤三梅
紫陽花やはじめてとほる通学路小殿原あきえ
紫陽花をあやすがごとく抱いてみるこのねこのこ
紫陽花は父が最後に植えた花こむぎ
紫陽花や戦後の母の他界して五郎島金時
紫陽花や園児の名札にローマ文字小山秀行
雨の空あじさい踊る目も踊る最強の忍ハヤブサ
紫陽花のコーラス続く冥土道西條恭子
「捨てられた」と紫陽花の老人ホームこひつじ@QLD句会
紫陽花は潤んで空を映しをり小藤たみよ
紫陽花や互いに秘密かくす場所こまたれぶー
紫陽花にはじける星のありにけり小松原あんず
ボランテイア集ふ百人七変化小嶋芦舟
電車を俯瞰紫陽花一輪齋藤鉄模写
あじさいや後援会の立て看板さ乙女龍千よ
紫陽花やアインシュタイン青き頃坂上一秀
県道の斫りにゆれて濃紫陽花 さかえ八八六
沿道の紫陽花咲て黄泉国相良まさと
アリバイのまだそろわない七変化咲元無有
紫陽花や亡父に白を奇数本櫻井弘子
副作用悪夢と記され紫陽花雨櫻井りこ
紫陽花のなかのなかには黒がある迫久鯨
猫五匹看取りて逝かむ濃紫陽花砂舟
夜ランの沿道紫陽花の歓声五月雲すまいる
紫陽花や子は彩色の夢を見つさとマル
紫陽花は人魚姫の鱗のようで里山子
登山電車両脇固めつつ紫陽花澤野敏樹
老犬の寝そべる茶房七変化塩沢桂子
あぢさゐやいまきく友の「切除して」清水三雲
紫陽花や姉の小言を聞きたくて新城典午
紫陽花に嫉妬消えぬも刃先研ぎ白井佐登志
紫陽花や突いて帰らぬてん手まり酔軒
父の徘徊紫陽花の葉に雫鈴木もま
紫陽花の店へ内緒の二次会は鈴白菜実
紫陽花と聞き耳立てる口喧嘩鈴野蒼爽
真っ黒な紫陽花今に咲き出すのかスナップえんどう
紫陽花やしんと草ぬく京庭師砂山恵子
紫陽花の空飛行船北へ航く静江
紫陽花や子供歌舞伎の稽古部屋瀬央ありさ
紫陽花やすっぴん一度も見たことない惣兵衛
紫陽花や今年もここが通勤路駄詩
あじさいや味噌汁だけをすする朝たーとるQ
紫陽花や陣地広げし小さき庭大ちはる
紫陽花やコーヒーブレイクのひとりぼち平たか子
ゆさゆさと母の乳房や濃紫陽花高木音弥
紫陽花の朝陽あつめて鞠となり高山佳風
七変化最後の色となりにけり卓鐘
紫陽花の出来る限りの色を出すたけろー
むげんなり明治の紫陽花の寿命立花かおる
紫陽花の垣に干されし小さき靴田中ようちゃん
あぢさゐや万葉仮名からひらがなへ谷本真理子
首都高の陰に京橋濃紫陽花田畑整
あじさい路触れんばかりに車椅子田村モトエ
捻挫したダンスの帰路を濃紫陽花ダンサーU-KI
立ち止まり紫陽花の星雲覗き込む智同美月
紫陽花の乳房のごとき黙に耐ふちばナッツ
八仙花縹に染まる花頭窓千葉睦女
紫陽花にむぐりて吾子の背ぞ丸き澄心静慮
紫陽花や競う相手に我選ぶ塚本隆二
パドックの紫陽花咲いてデビュー騎手辻野花
天を指す像の雫や七変化対馬清波
あぢさゐや君に初めて嘘をつく津々うらら
あぢさゐもこもこまるぼおろぼおるどいつ薔芭
失明の父紫陽花の香を集む苳
紫陽花や昭和模様の窓硝子ときめき人
紫陽花やポケットに置く仲直りとしなり
紫陽花を数えて二百今朝の庭杼けいこ
紫陽花や尾を振る門の錆び具合十津川ポロ
大学の二年目堕落七変化戸部紅屑
紫陽花や焼き場で焼けぬ腹の水とまや
青空へ輪郭線なき紫陽花よ冨川友香理
紫陽花や七宝伽藍の仄明かり富野香衣
枯あじさい癌細胞は転移するとんぼ
紫陽花のまにまに頭浮き沈みなかかよ
ひと籠の水の匂いの七変化中十七波
紫陽花の泣き声したり午前四時中里 蛙星
紫陽花や糊かひ物の奥の翳中島隆
今朝の熊目撃談や七変化中鉢矢的
満開の紫陽花焦げた日曜日中村こゆき
紫陽花や色の褪せたる万華鏡なかむら凧人
光る朝紫陽花濡れて片笑窪夏雲ブン太
紫陽花に湿る帆前掛け濃く濃く七草木香
紫陽花や真ん中白き咲き始め七星麦穂
紫陽花はアメジスト汲み地下の香を七森わらび
紫陽花や虫歯何本ありますか⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
皆と居る時こそ寂し四葩かな名計宗幸
紫陽花や地球の色は水の色名前のあるネコ
あぢさゐやあをの国への勝手口西尾至雲
紫陽花や今日の心は青の色西澤にっさん
紫陽花の急に大きくなりにけり西爽子
紫陽花の砂利道がうるさい西田月旦
紫陽花の庭や研ぎ屋の昭和唄西の京あんこ
友からの儲け話や濃紫陽花西村棗
ずぶ濡れの紫陽花を裸にしたい二重格子
紫陽花を飽かず写せる齢かな庭野環石
あぢさゐの秘密包んでいる姿暖井むゆき
球形を保ち枝垂るる紫陽花よノアノア
人それぞれ紫陽花に似て自由埜いつやん
人知れず放つ彩り紫陽花や梅林我流
まるしかく否紫陽花の花はここ羽織茶屋
薄化粧四葩の花に五枚花白庵
紫陽花や家主はやがて居なくなりはごろも856
ガラス瓶に映る紫陽花も漬ける橋本恵久子
紫陽花の藪の中より人の顔橋本芳夫
晴天へ紫陽花は色解放すはっしー
紫陽花や大家さんの札勘定八田昌代
濃紫陽花隙間をじつと嫉妬の眼花和音
紫陽花や窓に留守居の子の目玉浜けい
紫陽花や喇叭切なき豆腐売り早川令子
紫陽花や重心高き三歳児林山千港
家族のように団結してる四葩かな原島ちび助
膨よかにスクラムを組む濃紫陽花HNKAGA
紫陽花の葉隠れの茎重たかろひーたん@いつき組広ブロ俳句部
後悔の数と紫陽花の花と東原桜空
紫陽花や色定まりて虻の来る東山たかこ
議案一賛成多数七変化光源爺
手首まで藍に奉げて濃紫陽花比企野朋詠
あぢさゐや皆睡りたる電車内土方雪駄
紫陽花や小惑星は黴だらけ菱田芋天
紫陽花や売れ残りたるサークル誌ひすい風香
母逝きぬ散る能はざる四葩かな美竹花蘭
藍溜まり重たげなりし濃紫陽花ひな扶美子
明日の色今日は悩まず七変化平岡花泉
紫陽花の花散りもせで唯逝けり平野孤舟
あぢさゐの沛雨に艶を流すなし風慈音
色嵩むパレットの早や七変化風泉
紫陽花や更地にも足音聞かせ福田みやき
紫陽花や恐竜を知る微化石が藤丘ひな子
紫陽花やこだましつづけ燃え尽きる藤川雅子
紫陽花や三日戻らぬ猫の皿藤原涼
念仏の果てにあじさい浮遊せり藤原素粒子
紫陽花の香もなく色のみ残りけり船橋こまこ
ようきたなぁ赤く染まる父の紫陽花布野悠乃
紫陽花の居場所無口な人の庭星詩乃すぴか
紫陽花や閉園決まる遊園地星野はいかい
とこしへに終はらぬ掃除いま紫陽花星乃ぽっち
紫陽花や母映画誌に付箋貼る細川小春
紫陽花が咲くから干乾びずに済む堀卓
回覧板とあぢさゐ届く祖母の家凡々
紫陽花やうなぎの「なぎ」の見えぬほど梵庸子
割れ壺に紫陽花一朶借りて継ぐ凡狸子
傷みつつ咲くあぢさゐや古希の朝前田冬水
四角四角四角四角紫陽花は茉叶
若冲の鶏見ゆる濃紫陽花まがりしっぽ
紫陽花の花のパレット淡きかな真喜王
呼ばれない銀行の列七変化眞さ野
紫陽花に乱れよと鬼雨襲来す町田勢
紫陽花のむらさきでなくあをでなくまつとしきかわ
紫陽花のふくらむ水は火星にもまどん
紫陽花や撫でられる如山の雨まやみこ恭
紫陽花の河童の皿に一雫まりい@木の芽
紫陽花の水色澄みて空の色三浦ユリコ
紫陽花の輪郭澄んで雨上がり澪つくし
深夜糸雨紫紺紫陽花雫垂る美月舞桜
紫陽花や園内マップ辿る指みつれしづく
紫陽花のおのが重さに傾げをりみやかわけい子
紫陽花もやっぱり晴れの日うれしかろ宮原みかん
紫陽花の蜜は七色雨の味未来に詩編む
紫陽花やつづら折りなる登山線夢雨似夜
紫陽花や貸し菜園に三輪車ムーンさだこ
紫陽花を要塞にして国造り麦のパパ
紫陽花の寺に異国語つむじ風睦月くらげ
刺繍花母の愛憎度占ひ紫小寿々
紫陽花や昼は冷やしか天丼か村のあんず
埋められた秘め事紫陽花の青しむらのたんぽぽ
吾子抱くごと紫陽花はこぶ庭師かな暝想華
あぢさゐやせんこうはなびともおもふ目黒千代恵
あぢさゐや煌びやかなる御開帳望月朔
四葩サクトゥルリトゥルリトオツルミズ本村なつみ
紫陽花や絵本の中の蛇の目傘本山喜喜
紫陽花や明日はあすの色になるmomo
紫陽花やショー待つ君と角煮まん桃井ゆらら
紫陽花や金婚式で明かす嘘桃花
子ら駆けてあじさい五線譜に乗って百瀬一兎
黄昏を暁を吸ひ紫陽花はももたもも
濃あぢさゐ郵便受けに手紙来るもり桂
紫陽花はあの娘のネイル色をして杜乃しずか
頬杖を紫陽花だつて突きたかろ森の水車
科学部のタイムカプセル紫陽花を杜若友哉@はなばた俳句会
鰻屋の床几に紫陽花と待てりもろ智行
紫陽花や三年ぶりの歓迎会八重葉
紫陽花や老いの乳房のまだ重し矢口知
笑ふとき頬のかたさや濃紫陽花安岡麻佑
紫陽花の茂り内外を隔てけり痩女
海色のあじさい人魚飛び出そう簗瀬玲子
本心の分からず父も紫陽花も矢橋
色のなき雨に遊ばれ七変化山音
紫陽花や地鎮祭には雨あがり山口一青
紫陽花や5八歩成りの負け将棋山崎かよ
雨が降りアジサイ光る目も光るヤマザキパン
紫陽花や折りたる鶴の山となり山育ち
紫陽花に漱石句碑の隠れおり山田企鵝
紫陽花や野菜鏤む茶碗蒸やまだ童子
紫陽花や空と書かれし水書板山野麓
紫陽花や「人間椅子」に座りたい結壱隆月
紫陽花や泣きべそかいて泣かない子柚木みゆき
紫陽花やよはき女もつよき母悠久
紫陽花の『あ』と『い』のあはひ通り雨遊羽女
四葩言ふそらいろは空のかけらよ有野 安津
紫陽花や熱りの醒める青みどろ宥光
紫陽花の色はフェンスを抜けにけり雪ノ下青観
紫陽花を活け卓に散るこむらさき 柚木啓
紫陽花やオムツはずれぬ吾子の尻ゆめの常盤
紫陽花や胎内の水重たくて羊似妃
焼塀の路地掃く刀自や山紫陽花陽のばぁば
碧い鳥逃げた籠ごしに紫陽花が夜香
仏前に揃ふガンダム七変化横浜J子
紫陽花や建前話す義母の前横山子守熊
カソックとすれ違ふ紫陽花の径横山雑煮
紫陽花や婿顔合わせ昼の膳吉哉郎
紫陽花や列車の席に正座の子吉川拓真
陽が射して紫陽花の青迫りくるよしぎわへい
紫陽花を手折れば千の雫落つ吉田郁
紫陽花やガードレールの先は黄泉葦たかし
紫陽花野良寄りつきて膝ぬくむよしだばあば
紫陽花や記憶の残滓夢にある吉田びふう
紫陽花や引退近き部活動吉藤愛里子
ヒロインのおほき涙や濃紫陽花余田酒梨
海を背に海より藍し刺繍花よみちとせ
紫陽花や指差す絵本の中の家よよ
紫陽花を噛らば雨の滴りぬ雷紋
紫陽花やかしずく儘に涙落つリーガル海苔助
紫陽花や新品の靴下ろす日はリコピン
紫陽花やそのひと後悔するがいい龍桔花
門口の紫陽花ひとを占ふや柳絮
紫陽花やくすぐる頬の夕陽色流流
紫陽花は老ゆる姿を人に見す良俗倭人
紫陽花やヒールで越える潦レアレア
紫陽花や母の背中は吾の背中煉獄佐保子
人生に意味あって欲し薄紫陽花連雀
雨上がりこの町は紫陽花の町わかなけん
誕生日母に捧げる紫陽花をわきのっぽ
紫陽花やバイト終わりの夜学生和光
紫陽花や彩葉と決めし赤児の名海神瑠珂
方違え験良く群れる紫陽花やわたなべいびぃ
紫陽花や色譲り合ふ花手水渡辺陽子
紫陽花の隣町から紅交じる亘航希
紫陽花や帰りを待つか紅・藍・茶321ちいに
あじさいの嬌艶なるや花手水あ・うん
古民家に紫陽花ひっそり今はかふぇあいあい亭みけ子
吉野山紫陽花揺れて亡母の声愛華沙羅
紫陽花は「ぶりんとしてる」老母笑む藍雅凛
黒紫陽花海見ゆ異人墓地に溢れ間岳夫
銀婚の卓に紫紺の紫陽花を青居 舞
店舗皆紫陽花の鉢並べをり大竹八重子
紫陽花の道行く下駄の足白くあおのめ
紫陽花の色変わりする才はなし青山さざんか
吾と子らで推し色探す四葩畠赤目作
紫陽花が沿線彩り井の頭聰子
紫陽花や廊下の奥のウクライナ秋沙美洋
独り居の門に迎ふる紫陽花や秋野萱
紫陽花の凝縮された恋ごころあきゆず
散歩する紫陽花見つけ花ねだる秋代
紫陽花や土に応じて色づけり秋吉和紀
挿して待つ白き紫陽花赤みさす秋吉孝治
色好み土に魅せられし紫陽花天空海まりん
紫陽花や雨粒溜めて涙する芥茶古美
ビル前に紫陽花の影今日は晴れ麻丘澪
雨潸々紫陽花の色滲みだす淺野紫桜
紫陽花や亡父の笑顔映すなり朝日雫
紫陽花も平和を願い団結し亜紗舞那
紫陽花や虫も寄せない隠し事明日良い天気
ギブスとる指おり待つや紫陽花かあすなろの幸
ハングオン目の高さ急く紫陽花よ新子熊耳
紫陽花やジグソーパズル千ピース渥美こぶこ
紫陽花の葉で雨宿り猫二匹あねもねワンヲ
独り身や雨に洗われ紫陽花白し逢助
其処彼処咲く紫陽花の協奏曲数多未完
紫陽花は揺るがぬ意志を隠してる雨戸ゆらら
紫陽花が今日咲いたからきみに会おう朱頂蘭
爪先に弁傘の向こうは紫陽花やあやや
色とりどりの傘と競演七変化荒井類
濃紫陽花雨に晒せば白となりあらかわすすむ
あじさいや変わらぬ日々で今日もよしあらら
紫陽花に鈍色の雨重く伸し蛙里
紫陽花や校舎の影に三年目有本典子
紫陽花の向かい合う道狭きかな阿波オードリー
はなやぎの声に四葩もほがらかに飯田淳子
雨のフュージョン四葩の鎧阿吽飯沼深生
ネオン街幽し紫陽花の色香粋庵仁空
紫陽花や24色絵の具買い郁爺
「好きです。」の自主練付き合う紫陽花君池田華族
仏壇の紫陽花三朶父祖父母池ノ村路
紫陽花や今日は衣装妖艶に池谷勝利
紫陽花の悪女のような艶やかさ石井秀一
紫陽花に化学を習う花の色石狩猫
逆風に歌え紫陽花白一輪石川伸子
紫の紫陽花青く移りけり石崎京子
紫陽花の花点々と雨もよい石原(花野)
紫陽花よ亡母の初恋宿る青石原直子
紫陽花の坂を母の杖コクコク石山知子
紫陽花や下に咲くもの目立つもの和泉攷
満目の紫陽花やそれぞれの流露市川りす
紫陽花や父との暮らしシミュレーション一秋子
紫陽花を忘れ語らう傘二輪五つ星
紫陽花や魂探す雨の朝和泉明月子
紫陽花の移ろふ色と夫婦仲弦
紫陽花や藍を濃くして静まれり伊藤節子
五分咲の紫陽花ひかる初出勤伊藤治美
知らぬ街あじさいだけがやさしけり伊藤れいこ
校庭のカラーコーンと濃紫陽花伊藤小熊猫
紫陽花をかき分け探し舞う飛沫イトートア
鉢植えの紫陽花の毬愛でかりし稲葉伸二
紫陽花やブルーな君は機嫌変え乾 結愛奈
紫陽花の光る滴を葉にとどめ井上幸子
濡れながら見つめる先は紫陽花かイノチカ亭
揺れゆれて雫きらきら紫陽花かな今村 ひとみ
紫陽花のここぞとばかり雨景色入江幸子
紫陽花につられ坂道のぼる母彩人色
紫陽花や明日の平和は泡の粒岩清水蒼天
通り雨濡れて佇む濃紫陽花いわつよ
朝の顔風に揺れるあじさいの花vivi
紫陽花や心変わりの雨模様魚氷 橙
病室のベッドで紫陽花のニュースうさぎと
待ち合わせ紫陽花どこへ見つからず臼倉桃子
紫陽花やオランダ坂のシーボルト卯月紫乃
傘を閉じ二人で紫陽花見つめ合い海上直士
頭垂れ紫陽花は白汚しけり海口竿富
紫陽花や神秘十字を見つけた日海葡萄
紫陽花や通勤バッグを軽くする梅井さきこ
紫陽花や清め難し花手水梅木若葉
紫陽花や小粒の雨の拠り所梅野めい
紫陽花は一粒一片が生命浦文乃
紫陽花や満願の寺近づきて麗し
呼吸する紫陽花のいぶき輝く吽田のう
紫陽花に元気もらいし朝散歩詠和
紫陽花や水琴窟の音に染まり江川月丸
妖精が四葩の花で飛びたちぬ蝦夷野ごうがしゃ
紫陽花のヘドバン激し雨宿り江藤薫
曇天の院内散歩七変化江藤真治
紫陽花にカタツムリなしエコが良いえみばば
紫陽花やらビルの狭間の菜園に絵夢衷子
七変化気紛れと言ふ吾もまた円 美々
紫陽花を撮る防水のスマホにて遠藤玲奈
覗く窓流るる雫か紫陽花の露ヱンドー
紫陽花や御堂に流る笙の笛淡海かこ
紫陽花は父が好きな花でした大石聡美
三ヶ月住めば我が町紫陽花や大江鈴
あぢさゐや傘の手元へ雨つたふ毒林檎改メ大久保加州
紫陽花の開店祝おにぎり屋大小田忍
紫陽花の変化自在やうらやまし大島一声
紫陽花や児童の傘と咲き競う大島薄
紫陽花や近寄り見れば星数多大谷如水
手水舎に紫陽花出自の色のまま大槻税悦
紫陽花の毬は白寿の母祝う大野喬
紫陽花や壺に一輪誰を待つ大原妃
ホームにて揺れる紫陽花濡れる頬大原雪
雨上がり紫陽花撮れば犬の鼻大本千恵子
寂しさが慰めになる七変化大山小袖
紫陽花や彼と鎌倉思い馳せ岡由紀阿紀
紫陽花やふるきず痛む雨やまず岡れいこ
紫陽花や遠くなゐ震る地のありて岡井風紋
雨降らず地に頭置く紫陽花おかげでさんぽ
紫陽花や再起の人の馥郁と岡崎俊子
紫陽花の年毎広し人はいざ岡崎佐紅
紫陽花に導かれ来し本堂へ岡田恵美子
背のびして色づく紫陽花探す子や岡田ぴか
紫陽花や芭蕉像にも手を合はせ岡田雅喜
母の手が紫陽花持たぐ重たげに岡塚敬芳
息切らし紫陽花越しに海望むオカメインコ
朝仕事パチンパチンと紫陽花や岡本
紫陽花や来年咲かす鋏入れ丘るみこ
紫陽花や卒婚の夫丸くなり小川野雪兎
紫陽花にうまれて百の青を知るオキザリス
紫陽花の彩り見惚れ憂さ晴らし奥田笑心
濡れそぼつ紫陽花墓碑に添ふごとく奥寺窈子
下り道雲海のごと七変化小倉あんこ
この緑も紫陽花も研究の支えかな尾座鬼
枯れ縮む紫陽花なほも雨待つやおざきさちよ
紫陽花の葉までうなだれ今朝の庭お品まり
陽に翳し紫陽花のステンドグラス落句言
紫陽花の色にときめくわが心お寺なでしこ
紫陽花やいつでも聞くよと友の声音のあ子
廃屋も紫陽花もただ雨洗う小野寺さくや
緑色小雨に嘆く友がいる小俣秀平
主なき我が家紫陽花咲き誇る小山田之介
小悪魔が水やり欠かさぬ紫陽花や械冬弱虫
紫陽花と父の追憶モノクロと海堂一花
赤くなる青さ紫陽花とともにかけだし寸ぎ
改札に紫陽花いちりん無人駅笠江茂子
紫陽花の垣根挟めて立ち話 風花まゆみ
狭き庭色の魔術師あじさい花梶浦和子
夕さりの紫陽花しぼみ水を待ちかじまとしこ
紫陽花の一つの花序も花として柏原淑子
紫陽花の花に隠れて君を見る和
七変化涙は花の色となり花純
紫陽花や平癒の札と花手水風早杏
鮮やかや対岸も千の七変化花鳥風猫
紫陽花の始めは白くいや青く勝瀬啓衛門
また会えたあじさいの花母好み桂
紫陽花や行くあてもなく雨眺む加藤雄三
思索する雨の深みの青紫陽花加藤麗未
紫陽花や子ら多言語ではしゃぎおり叶田屋
紫陽花の紫透ける朝陽なか金子真美
紫陽花や祖母と歩きし旧街道カバ先生
紫陽花の読み方最近知りましたカピバラ
外壁塗装終えて隣家の紫陽花やカフェオレ草
紫陽花や雨よショーシャンクの空に神木美砂
七日目の晴満身に濃紫陽花神谷米子
紫陽花やそばに去年の鳩の墓夏眠したい子
あじさいの大きな毬の移る色亀井汀風
人知れず紫陽花咲くや庭の奥亀田稇
そのままに紫陽花乾きゆくばかり亀山逸子
紫陽花やヒーローの背は割れおりぬ狩谷わぐう
紫陽花を間違いそうな君がいて翡翠
紫陽花や貸してあげるよ紅い傘川野カッパ
紫陽花の品種知らぬとんがり帽川端芙弥
紫陽花も泣いてくれてる通学路カワムラ一重
紫陽花や頭でっかち宇宙人川村昌子
紫陽花の雫が落ちた試験場神田優梨
紫陽花の青の晴れ着も素敵ですね樺久美
紫陽花と赤いエナメルピンヒール岸野草太朗
紫陽花を笑顔で片手の帰り道帰宅部めんそ
紫陽花やくるくるサインポール立つ北岳醍醐丸
古寺に続く地蔵や紫陽花や北村修
紫陽花も忘れし義母の眼遠く木野まち
色抜けてなお散りもせぬ四葩かなきべし
紫陽花を光背として六地蔵木ぼこやしき
紫陽花の古寺雨上がりのハイキング木村かおり
紫陽花や額前向きに添え木する木村波平
紫陽花や踵靴擦れ初デート霧峰
剪定の紫陽花咲かすコロナ武士草豆
紫陽花や五百羅漢に寄り添いて草道久幸
紫陽花や白きに青を散りばめて楠田草堂
香りたつブラックコーヒー八仙花くずもち鹿之助
亡き義父の伝う紫陽花白二輪國枝瞬山
紫陽花の香移りし傘を雨叩き久埜見永
雨降りの似合う色気の紫陽花か球磨太郎
紫陽花や坐禅くむ吾に微笑みてぐりぐら京子
紫陽花よ一人にさせて横恋慕来ヶ谷雪
紫陽花や幅を利かせた花葉っぱ空流峰山
紫陽花や己を探す吾子は鬱くるみだんご
盗人の手折れた紫陽花たれ癒す黒瀬三保緑
紫陽花は雨に打たれるためにある黒田
紫陽花の葉陰虫追う子のつむじ桑田さなえ
濡れ垂るる大紫陽花や真白なり桑原和博
チーム力発揮胸弾む紫陽花くんちんさま
紫陽花や濃き青たたえひそやかに景清華
紫陽花のいまわは悲しいたいたし鯨野
紫陽花や彩りきそって雨嬉し月昭
紫陽花も貴女もまるで万華鏡元喜@木ノ芽
来ぬ人を紫陽花待てど休耕田紫雲英
懐かしき紫陽花匂う金平糖弘
紫陽花や君の色はと責めあぐね郷りん
紫陽花や三年越しの瑠璃二輪幸内悦夫
木漏れ日に紫陽花映ゆる旧街道宏楽
ツーショット老母の頼みは紫陽花と幸織奈
紫陽花が宝石纏う雨上がり古賀粋漢
傘一輪紫陽花満てる古寺の暮古烏さや
保健室生徒がくれた紫陽花がコケコッコー
紫陽花と背比べして陽を浴びるココヨシ
天にかかるなないろこぼれ紫陽花染む古代エジプトギリシャ
紫陽花やトイプードルの三つ子めく小だいふく
紫陽花に地蔵のひとつ隠れをり後藤周平
藍色に染めるは海か紫陽花か小兎女
傘忘れ同士の紫 あじさいの花こばやしくにえ
紫陽花の揃ひ線路を向きて咲く小松甘夏
路地裏に白い紫陽花濡れて居る五葉松子
紫陽花の移り気きのうきょうの色西條晶夫
紫陽花や雨に向かいて盛り上がるさいとうすすむ
紫陽花を口実にして鎌倉へ宰夏海
弱る虫居さぢ紫陽花沁むる葉よ坂島魁文
晴るとも降るともなしや紫陽花が坂田貞雄
のらの仔を抱いた少女よ紫陽花よさかたちえこ
山紫陽花楚楚と迎えし茶席かな坂本千代子
紫陽花や巷に雨の欲しからん咲弥あさ奏
紫陽花や雨に降られしハネムーン櫻井こむぎ
紫陽花を揺らす雨粒コンダクター櫻井勇良
色づくを恥ずかしがりて七変化桜姫5
似顔絵のてるてる坊主八仙花笹かま
紫陽花や玄関先にしゃんと立ちさざなみ葉
日照り雨喉カラカラの紫陽花かなさっち山
道端の朽ちた紫陽花砂ぼこり佐藤しのぶ
紫陽花の波押し寄せる朱の鳥居佐藤俊
紫陽花は小さき幸の寄せ集め佐藤佳子
清濁を溶かし雨音七変化佐藤里枝子
美しい忘れ紫陽花再燃すさなぎ
紫陽花の毬を撫でをり下校の子さぶり
紫陽花は時に虹色誰を待つさわだ佳芳
蹲踞に紫陽花一朶今日は晴れ山賀
廃線の脇に紫陽花何故に咲くさんとうせい
濃紫陽花雫の奥で庵主咲む桑港
紫陽花やときに期待はうらはらに紫雲
華に問うあなたの心か紫陽花かしかの光爺
久々に紫陽花薫る朝陽かな四季彩
紫陽花やシングルファザーとなつた日紫檀豆蔵
紫陽花に片足上げるブルドッグじつみのかた
紫陽花や玉砂利踏みて清心に実本礼
路地裏を歩き紫陽花パトロール柴桜子
紫陽花や空より零れし虹の毬芝G
紫陽花や過去を絶ち切る蕾切るしぶ亭
錆びてなほ形そのまま濃紫陽花しぼりはf22
雨に揺れ寺の紫陽花2万本島じい子
紫陽花と異国の人と眼鏡橋縞子勾苑
紫陽花や花より膨る恋心島津菜素
紫陽花の空真似るごと青と紅清水祥月
紫陽花や日向の路を埋めるほど志村狂愚
紫陽花や女子会のごとキッチンカージャスピン
紫陽花の首の傾き吾に似て写俳亭みの
お隣のあじさい紫あざやかにじゃむぱん泉
紫陽花やおもちゃ転がる戸口前朱胡江
紫陽花の群れ江ノ電や現れり秀耕
あぢさゐや老木に散らで残りし香柊二
紫陽花や一株毎に競い合い秀道
紫陽花や色変はりする心ばへ朱康君
鎌倉殿の13人座長一目七変化珠桜女絢未来
雨粒に紫陽花映り数多×数多獣羅
紫陽花や一雨ごとに増える色じゅん
おはじきのやうな玉置き濃紫陽花じゅんこ
あぢさゐやあかかあをかをなやみをり正念亭若知古
四葩見るケーブルからの太竜寺白井百合子
紫陽花に寄りては離れ傘の花しろくも
紫陽花の涙は雨とし滴る白とり貝
紫陽花や朽ちた生家を囲むごと白猫のあくび
夫在る日還らざりけり濃紫陽花新濃健
紫陽花の前で撮り合う遺影かな新花水木
七変化終日雨を照らしけり水月一睡
紫陽花に染まれぬ白といふ孤独水蜜桃
紫陽花や雫に映る恋の色杉浦あきけん
紫陽花は青き幾何学模様なり杉浦真子
朝のあめあじさいぬれて踊りだすスケケイ
行楽の人出に雨待つ紫陽花鈴木暮戯
紫陽花のどれが好みの散歩道鈴木ユリ子
紫陽花や誰も降りない駅に咲く鈴子
くすり指淡く光りて紫陽花や素敵な晃くん
朝ぼらけ宙へ紫陽花わらわらと諏訪次郎
紫陽花や少女早くもねび勝り晴好 雨独
店先に並ぶ紫陽花母の顔清香優
四葩花土方の郷雨に濡れ青児
紫陽花やなほ青藍に手水鉢せいしゅう
紫陽花の青澄み渡る旧家あり勢田清
紫陽花や馳せる想いに終止符星夢光風
恋を得ておしゃべり上手濃紫陽花瀬紀
紫陽花や色とりどりのこうべかな関根洋子
まじないの紫陽花一本摘みし朝瀬戸ティーダ
紫陽花の一つの季節終わりかな瀬野広純
紫陽花や絵皿に溶きし濃むらさきそうま純香
今回は本気なんだよ七変化素空
紫陽花に傘さし雨を共に聞くそしじみえこ
あぢさゐは輪廻の中の雨の色空野兎
紫陽花を通るとき空仰ぐ宙まあみん
紫陽花やご近所方の縁のあとそれいゆ
雨空の分厚き雲や七変化大
太古の色紫陽花の名は卑弥呼ブルーだいとうえり
紫陽花やいつもの猫はどこへやら太平楽太郎
雨続く紫陽花の青だけが癒し高上ちやこ
紫陽花や昨夜の星を集めたか高嶺遠
移り気なアジサイの花雨が好き高橋紀代子
紫陽花の花弁夜には星となりたかはし薫風
紫陽花やこはく見えたる鬼瓦高橋なつ
紫陽花や一つ二つが色を変え高橋基
近道の矢印の先白紫陽花高橋ひろみこ
紫陽花に水遣りの跡無人駅高見正樹
我が庭の紫陽花自慢友の庭田上コウ
紫陽花は散らず花も葉もセピアへたかみたかみ@いつき組広ブロ俳句部
傘をさし独り紫陽花参道をタケキヨ
発車ヨシ懐中時計あじさい路竹内菊香
紫陽花の花はどこ?吾子の指濡れ竹村未麗
紫陽花や開花の夜に色付くか多胡蘆秋
紫陽花の香なく漂ふ木立かなたすく
紫陽花やトライポフォビアのため息黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
山腹に家並びをり紫陽花咲く多田ふみ
刺繍花咲きて選びし根付け柄ただ地蔵
紫陽花や断捨離終えた部屋に風糺ノ森柊
木漏れ日に僧一人紫陽花の中唯飛唯游
フロントガラスに雨モノグラムの紫陽花只野花
紫陽花や音色なめらかハーモニカ橘萌香
紫陽花のぼんぼり雨にお辞儀して田鶴子
紫陽花や出掛けぬ訳に行くまいか辰野史会
小紫陽花見ては薄目と朝化粧たていし 隆松
紫陽花や白のままなり遠い雨立山枯楓
紫陽花や色づく前の美しさ沢瀉
紫陽花や色まだ白きたおやかさ田中明美
紫陽花の色それぞれに思う雨田中邦恵
紫陽花の花占いはキライからたなばたともこ
あじさいに空を見つけし五歳児がたなべまるこ
花手水紫陽花国のパスポート谷卓生
紫陽花に呼ばれ出掛ける寺もうで谷口 あきこ
あじさいや遠きふるさと想う日よ谷口美奈子
紫陽花や業深き雨ふり止まず旅女
紫陽花の漢字教えてくれた君多歩衛門
教室へ庭の紫陽花子に持たせ玉井令子
吾子と目を合はせるやうに紫陽花見玉木たまね
紫陽花や遠回りして行く小道ダメ夫
厠にも紫陽花一輪妻戻る淡水亭
紫陽花のひそひそ話闇で聞く千妙 ひかる
紫陽花や交換日記の香りペン千風もふ
紫陽花や朝から雨の月曜日ちゃあき
紫陽花や今日の御婆は落ち着けり長楽健司
あぢさゐ青し藪中の地蔵尊ちょぼ鶉
あぢさゐのちひさくなりて雨あがり月岡方円
恋占に向くや向かぬや七変化つきみさとふく
雨零しなほ彩濃くす四葩かなつくだかずこ
雨欲しげ紫陽花の色まだ淡し辻宝樹
水遣りの虹水弾きて紫陽花辻ホナ
紫陽花やほんとは好きな陽の光辻内美枝子
紫陽花や道さまざまに同窓会辻陽気姫
もう少し紫陽花までの登り坂椿律
肩凝りの母は紫陽花一輪挿し津幡GEE
紫陽花や色変え濡らす傘ひとつ弦巻英理華
紫陽花や明月院の花手水寧陪禰
紫陽花の写真来る前電話来た手嶋錦流
紫陽花や水まく坊のかたはらに哲庵
父なくし晩酌の友七変化哲山(山田哲也)
紫陽花に百の青地に億の人徹光よし季
紫陽花や小さき傘の並び行くてつねこ
紫陽花やお前も丸くなつたなあてまり
紫陽花のグラデーションの悩み聞く手毬まりこ
紫陽花や別れ話は保留とすてんてこ麻衣
紫陽花や陸軍墓地を生みし事故天童光宏
子がつつき紫陽花ふわり鞠となり土井あくび
せうねんのこころのまゝで濃紫陽花藤白月
紫陽花やおぶる赤子の頭垂れ道見りつこ
顔を寄せ井戸端会議あじさいもとおやま桜吹雪
紫陽花や観音様へ続く道どくだみ茶
紫陽花や昆虫食のお煎餅どこにでもいる田中
紫陽花や雨粒が好き上を向く土手かぼちゃん
君の気は紫陽花のようななついろとままり
移ろゆく色こそあかしあじさい花冨川精子
嬌声の渦紫陽花のブーケトス斗三木童
空模様どちらも映ゆる濃紫陽花鳥越暁
喜怒哀楽隠しきれない七変化鳥元優子
亡き人の名入りのベンチ濃紫陽花中里凜
紫陽花や八十路楽しくジム通い中島功
銭湯の閉業知らす四葩かな中島葉月
ジム帰り白紫陽花の続く野辺中嶋京子
紫陽花の青やPHの調整中島圭子
紫陽花や足を崩して話し居る中嶋敏子
隣家とも紫陽花ロードで輪を広げ中嶋緑庵
愛犬の声耳に遺るや濃紫陽花中瀬すみっこ
紫陽花に触れれば唇のやうな中平保志
紫陽花の撓むる大輪夫傘寿中村あつこ
佳人咽ぶ大雨の紫陽花寺永谷部流
色褪せし紫陽花と恋残す雨凪ゆみこ
紫陽花や父の隣に今日は立つ夏空なみ
写生する老いの筆先七変化夏目坦
紫陽花と目が合うわらべする背伸び夏目十貫
茎撓むほどに紫陽花花をつけ七国独楽男
長屋門手招きしてる紫陽花や菜々の花畑
絵葉書のやうな紫陽花雨雫浪速の蟹造
紫陽花のピンク射し込む門扉脇新美妙子
昨日より今日のが好み紫陽花やにいやのる
迷い道キラリ紫陽花心推す二階堂恵
紫陽花の写生楽しむ子どもかな西谷寿
幾千の化したる蝶よ紫陽花よ西村小市
長谷寺や紫陽花の列傘の列二上松風
今年また君思ふ日の濃紫陽花二和田躬江
紫陽花や見上げる空に縦の線ねがみともみ
雨恋し枝垂れ紫陽花独り言猫辻みいにゃん
紫陽花や図書館へ向く母眺め猫屋ハチワレ
決心の実る日間近四葩かな根々雅水
紫陽花やプロレスラーと肩を寄せ涅槃girl
紫陽花や今日もマステは出てこない野井みこ
雨に煙れるあぢさゐの塗るシャドウ野口雅也
紫陽花や黒猫が来る塀の上埜水
紫陽花の紫陽花めぐる傘や傘野中苦泉
紫陽花よ色鮮やかな降雨の日野中泰風
紫陽花や律乱す心臓の揺れ野々かおり
紫陽花や今はもう君知らぬ色俳句王
紫陽花にトラップ仕掛けそこに居る稗島塗小太郎
紫陽花や頭を冷やす遊歩道白咒と蒸しエビ
待ちわびて裏庭の紫陽花へ幾度橋爪利志美
病室へ紫陽花と孫宅急便波止浜てる
紫陽花かあの日からもう四ヶ月一まどか
嫁ぐ日や庭の紫陽花色褪せて馬笑
暗闇に紫陽花浮かぶ鉄路かな長谷島 弘安
紫陽花の犇めく色を見せにけり畑詩音
銀河とふ紫陽花置くや古机蜂鳥子
紫陽花を観に行こうよあの寺へ服部たんぽぽ
紫陽花を撮りて飾れり病室に初野文子
濡れるのを喜ぶ紫陽花足冷えし花岡幸嗣
和菓子見て庭の紫陽花見比べる花岡浩美
慈雨浴びし紫陽花煌めく雨の妙花岡淑子
紫陽花を活ける母の背細りけり華樹
紫陽花の色落ちて貌此れも好し花弘
紫陽花の雨脚たわむきららかな花咲みさき
紫陽花や雨に打たれてなお強し華姫
参詣の眼に遊ぶ濃紫陽花はなぶさあきら
紫陽花の色替えをするプランター羽馬愚朗
雨静か紫陽花やけに笑み浮かべ馬場勇至
吾子からの紫陽花植える庭真中原 宣子
母逝きて心細げな鉢四葩原貴美子
紫陽花やジグソーパズルに畑の虹原馬正文
紫陽花やワンフォーオール球体に原田民久
荒れ寺の栄華紫陽花の色彩原田直幹
紫陽花や青き星地球に暮らすぱらん
雨も霧も紫に染めて紫陽花の群れharu.k
紫陽花に浮気心を見透かされ春爺
老いて咲く紫陽花二輪めおと道はるる
紫陽花は天下太平太い花ばんしょう
紫陽花も警戒アラートうな垂れて榛名ピグモン
紫陽花の萼の葉脈浮きにけり万里の森
紫陽花や雨で艶めく喜多方のひーちゃんw
紫陽花や鹿跳ぶ道に其処彼処東津村流坊
紫陽花や化粧直しの雨の後東の山
紫陽花の色が滴る川面かな樋口ひろみ
紫陽花や離れし吾子の誕生日久康
朝6時マイ紫陽花に会いに行くぴょんぴょん@広ブロ俳句部
思春期の出口見えぬや七変化ひなた和佳
紫陽花を指パッチンで染めかえる緋乃捨楽
ぽんぽんとあじさいなでるおばあちゃんヒマラヤで平謝り
紫陽花や突き通す嘘あの世まで向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
四葩の色深めつロープウェイ昇る氷室茉胡
紫陽花や何も言わぬも優しさか姫川ひすい
紫陽花に心奪われ傘落としひめりんご
パン寝かす庭から紫陽花一輪日吉とみ菜
あぢさゐの空より青し藍の毬平井千恵子
寝たきりの母にスマホの濃紫陽花平井由里子
絵筆とる雨の紫陽花傘の下平松一
紫陽花の茂みを漏れ来琴と笛比良山
紫陽花や小暗き奥へ続く道昼寝
七色十色に奏でる四葩蛭本喜久枝
紫陽花に優劣は無し三姉妹広島立葵
紫陽花や塀越しの顔笑う朝琵琶京子
一叢の紫陽花挙りて藍極む福川敏機
老いらくの会話の花や七変化福乃尻尾
紫陽花や托鉢終えて登り坂福弓
紫陽花や土を替えてもこの色か藤井かすみそう
先人の植えし紫陽花麗しき藤井智栄子
水たまりはしゃぐ長靴紫陽花祭藤井弘子
紫陽花の色を数へて雨籠藤井眞魚
君の声紫陽花の名はアナベルと藤れんぎょう
明日は晴れ白あじさいの照る坊主藤原訓子
紫陽花や青ともなれず藍で果つ布施無門
空より青し路地裏の紫陽花は文月さな女
紫陽花の蒼き蕾よ軽井沢風友
紫陽花や堤の土工偲ぶよう不洋
紫陽花はテンション低め晴天下ぶるーふぉっくす
紫陽花や母デーサービスに送る古澤久良
紫陽花の萎れぬように水を撒く古島軒三治
紫陽花のがく分けて見る真の花古谷芳彦
我髪の如く紫陽花ニ色咲き風路観徒
紫陽花が魔法で人に狼狽えるヘッドホン
紫陽花の影で露出狂逮捕へなけん
紫陽花やピヨピヨ靴に道譲りベニヤサン
街路樹の根元たわわに紫陽花や鳳凰美蓮
熱上げし若気のいたり紫陽花よホウスイ
成田へと鉄道柵を紫陽花や北欧小町
灰色のビルの谷間に七変化墨純
紫陽花やこの花ママであれがパパ北斗星
こころ晴やYOSHIKI曲と紫陽花とぼけろうじん
神庭にそよぐ日矢よし七変化ほこ
地上の星咲いて紫陽花となりや星雅綺羅璃
紫陽花や強気なむすめ恋をしてほしの有紀
しゃがむ吾子恋うちあけし七変化甫舟
紫陽花の萼蕊花弁包む青細野めろん
師を訪へば今年も咲ける濃紫陽花堀隼人
紫陽花や八幡様の花手水堀邦翔
あじさい寺風鐸の音も藍の色梵多
紫陽花に音なく銀の糸が降る本多幾千
七変化変わらぬ雨の優しさよ本間美知子
紫陽花を隠れ家にして猫数匹ほんみえみねこ
般若寺のみづとガラスと紫陽花と舞黒祖父登
紫陽花の益々蒼し売家かな牧野敏信
水まいて紫陽花の青たおやかやまこちフル
水溜り映る紫陽花行き帰りまこと(羽生誠)
紫陽花や街も色づく雨となり雅王
藍よりも戀の色なり七変化雅蔵
紫陽花よ金曜夜まであと二日まじかにゃんちょろう
静寂に映ゆ花手水の紫陽花増田蓮華
紫陽花も子も隠してるあの色気またあ
紫陽花を見つけぼた餅買いに行く街の貸自転車
紫陽花の花びら数える吾子の指松岡歩
火の玉のごとく咲きをり紅四葩松尾祇敲
紫陽花や人は情けの種をまく松尾美郷
紫陽花の寺に雨音人疎ら松尾老圃
紫陽花のアナベル摘みて友訪ね松川梅子
紫陽花や雨に遊んで増す青み松平武史
雨あがる映ゆる四葩の紫よ松高網代
紫陽花の色育む大地かな松田文女
堕天使の美しき名や七変化松野蘭
紫陽花のインスタ映える植木鉢松原隆雄
通勤路あじさい道のすれ違い松本俊彦
昼下がりコーヒーの香と紫陽花と松本牧子
色競う花火の如し紫陽花や茉莉花
独り身を誘う風情の濡れ紫陽花まほろば俳筋トレ
頬杖をつきし面影紫陽花に豆福樹々子
紫陽花の通せんぼ有り勝手口瑪麗
紫陽花や香立ち籠める深大寺真理庵
あじさいの淡い色なり若き母真路巴笛
雨の日にあじさいゆれて星光るミーちゃん
紫陽花に着かず離れず江ノ電は三上栞
鎌倉のあじさい守り友の手にみかりん
紫陽花や彩を奏でる音楽寺みきを広
咲き誇る戦火の中の紫陽花よMrふじやん。
紫陽花や虹よりもなほ虹の色水谷豊海
紫陽花が笑顔満ち隣家侵犯水乃江辰
石段の鉢紫陽花のほのかなりみちむらまりな
ひと日をも婿とすごして濃紫陽花光子
ADHDの子走る路地の濃紫陽花満る
臥す窓辺あぢさゐのなほ濡れそぼつ南方日午
紫陽花や白き墓標の異人墓地皆川徳翁
誕生花は紫陽花重き花束水無月葉子
紫陽花や両手で包み愛おしむ湊かずゆき
紫陽花や犬の首輪の色で揉め港のパン屋
ふるさとの線路の脇に咲くあじさい湊弘
雨よ降れ紫陽花も吾も枯れてるぞミモリ
主のなき家の紫陽花藍の美し宮井そら
紫陽花や雨下の散歩は地蔵まで見屋桜花
人通り花紫陽花の紛れたり宮さま
産土の水吸ひ上げて濃紫陽花宮武濱女
紫陽花や手毬のように手で包む美山つぐみ
こんもりと紅し紫陽花雨の辻宮村寿摩子
紫陽花の雫に映る雨女宮本モンヌ
紫陽花や洋2封筒受け取りぬミラベル
傘の下の雨や紫陽花だけが知る麦畠案山子
間引かれし紫陽花えばる手水鉢霧想衿
ピアノ音の消えて雨音紫陽花よむねあかどり
傘の街仄かに光る紫陽花や村尾彩音
紫陽花や並んで止まって閉じる傘村雨糀丸
七十路のとびら軽やか濃紫陽花村松登音
寝不足の目に紫陽花の色映えて名扇初江
朽ち色の紫陽花濡らす終い雨木曜日
紫陽花や中央線の果ての駅モコ
星のまばたき露天風呂のアジサイ望月幸人
染まらぬは白紫陽花のプライドか桃香
紫陽花やウッドデッキにソロテント森田祥子
一滴の滲む試験紙濃紫陽花森のオクターブ
関係の移り紫陽花なお恋し森野寅彦
完璧な愛など誤解七変化森山博士
ブラックホールより紫陽花の出る森脇美樹
紫陽花や富貴寺の壁画色褪めて諸岡萌黄
紫陽花の流した雫ばあさんやもろびとかづんく
路地うらの小雨まといし濃紫陽花焼津昌彦庵
紫陽花や雨上がり待つ人力車八木実
紫陽花や百寿の詩のしめやかさ薬膳容子
半額の枯れ紫陽花や店のすみ柳井るい
紫陽花の機嫌伺い回り道柳荷無花果
紫陽花や雨も軽やか鮮やかにやのかよこ
店先の紫陽花ゆらり客招き山木戸兆舞
揃いの色まとう紫陽花姉妹めく山口 絢子
宣告の日に紫陽花に水をやり山口香子
紫陽花の色待たずして友逝くや山口雀昭
紫陽花や筆跡太き閉店す山口たまみ
虚しさや紫陽花咲かず剪定禍山崎鈴子
紫陽花にほのとさびしき海のいろやまさきゆみ
旧友と巡る鎌倉七変化田啓子
紫陽花や強雨にめげぬ蕾秘め山田睦夫
紫陽花や裳裾を濡らし沛然と山田文妙
新顔の紫陽花一鉢抱え来る山野花子
社労士の学の深まり濃紫陽花山彦一水
紫陽花や毬の大きさ競い合う山本康
紫陽花は涙を呑んで色変化山本蓮子
紫陽花や先生の家訪ねけり山吉白米
雨粒にわらう紫陽花おどる傘ゆうみりん
ベランダより老母と眺む遠紫陽花床寝虫
紫陽花や大中小の親子傘宙美
紫陽花を揺らし帰宅のランドセルゆりのゆき
紫陽花や雨音静か蕎麦すする吉岡幸一
紫陽花や雨の重さに耐へており好子
紫陽花よ開かぬままにこの陽射しよしこに
紫陽花や色とりどりのランドセル吉田あじょあ
紫陽花や胸痛し雨けむる寺よした山月
紫陽花のなみだのしずく縹色四葉の苦労婆
紫陽花や解定まらぬ問いは恋楽和音
紫陽花を打つ雨人災の記憶ラタタタム
御聖堂を囲む紫陽花海の色らりっく
紫陽花や登校班のビニル傘蘭亭
濃紫陽花白が好きだと言はれても梨音
紫陽花やジェンダー語る散歩道梨花
剪定のあぢさゐ瓶に挿してをり理佳
紫陽花のひと枝折るも御膳立て麗詩
紫陽花よ何億何千の涙紫雲英田
水溜り映る紫陽花意気貰う蓮風
紫陽花や白寿の俳人の電話若宮直美
紫陽花や青いペン字の文を読む和田まりこ
空の色を映し紫陽花咲き初みてわたなべすずしろ
紫陽花をも抱きて地蔵菩薩かな渡辺香野
紫陽花や生命ここまで十五年渡邉竹庵
紫陽花よ路傍の老女に寄り添うか渡辺ヤスコ
色づいたあじさい通りいざ闊歩和の光子
さわさわと払われ清く額紫陽花神木
額の花ゆかしと思ふ齢かなこま
円錐白き柏葉紫陽花戸根由紀
三角の紫陽花朝の空の色獅子蕩児
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号には苗字を!
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて姓をつけていただけると混乱を多少回避することができます。皆で気持ちよく楽しむための、小さな配慮。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 雨に濡れ 大輪紫陽花 輝いて石川和世
- あじさいの とおきおもいで なつかしく今井保夫
- 紫陽花の 藍にさまよい ぬれそぼる光笑
- 紫陽花や 虹彩逆立て 獅子威し染井絢斗
- 紫陽花や 天は青なり 雨上がりひつじまる
- 紫陽花の 葉影で子猫が かくれんぼひまわり
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題無し
- 夏の雲祝いめでたし二十八一番星
- 若葉背のオールへ眼差し思い萌ゆ熊の比斗史
- 我が家も角は引っ込め蝸牛藤本仁士
- ザワザワと揺れる緑や袖まくり松本留依
- 夏の月雲の上から黄色いなMORI
- 万華鏡内より見るは夏神楽要次
○今回の兼題は「紫陽花」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
- 夏の海立山望み寄する濤ひぐちいちおう(一応)
○松山市がやっている「俳句ポスト365」の兼題と間違えての投句かも?
●前回の兼題
- 天つよりごふごふごふと落つる滝坐花酔月
○「滝」は前回の兼題。今回は7句ありました。〆切を確認してご投句下さいね。
●季重なり
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「紫陽花」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
今回は、季重なりが大変多かったので、種類わけしてみました。(梅雨)
- 梅雨の雨、紫陽花濡れる、夏始めあっきー
- つゆのそらアジサイさいてすてきだなアトム
- あじさいだつゆにぴったりきれいだな天の川
- 梅雨の雨濡れたあじさいきれいだな犬派
- あじさいだあめにぬれたねつゆのはなお家
- 梅雨の雨窓から見えるあじさいだお兄ちゃんが嫌いなNo.84
- あぢさゐは七変化ある梅雨の花缶のナス缶
- あじさいは梅雨のなかでもきれいだな軍事田近
- つゆのなかすくすくそだつあじさいだ女子力高めの獅子原くんYouTube検索
- 雨が降る紫陽花きれい梅雨の時期そば通り171
- あじさいは美しくさき梅雨告げる猫好き注意・・・
- 梅雨の花紫陽花咲いたよ気持ち良い僕像
- 梅雨の雨紫陽花咲くよこんにちは焼きもちもち
- 梅雨の中立派に育つあじさいだ山横
- 梅雨長く紫陽花青く咲きにけり和の春香
- 梅雨空に変化紫陽花ひっそりとMITSUE桜井
- 紫陽花の額に寄られて袖も梅雨眞熊
(蝸牛、蛙)
- 紫陽花に恋しているのカエルちゃん大村朱希花
- あじさいでたたずんでいるカタツムリさやえんどう
- 紫陽花やでんでん虫の雨宿り恵のママ
- 豊満な紫陽花渡るかたつむり森勝利
(その他)
- 雨恋し西陽受け行く紫陽花の道卯依堵
- 紫陽花の色雨で映える6月に咲く藤岡ばあば
- 炎天の紫陽花の色ぼけて見えさぬきのにゃんこ
- すさまじきもの炎天下の紫陽花パラダイスチャーハン
- 水無月の真夏紫陽花ふて腐れ菱田芋
●指導者の方へ
- あめふればあじさいひかるにじのはなしばいぬ.かも
- 雨の日にあじさい咲くときれいだなペンギン0621
- あじさいはちかくでみるときれいだな掃除神様
- 紫陽花はきれいな色がいっぱいだ菜由ん
- あじさいは星といっしょにおどってる対面最強りむる999
- あじさいはルンルンおどる雨の花門寺まーちん
○今回「10才」「11才」の投句が多くありました。どこかの学校もしくは団体からの投句ではないかと推測します。
が、届いた投句の大多数が、季重なりであったり、類想のど真ん中でもありました。子どもたちと俳句を楽しもう学ぼうとして下さっているのは、実に有難いのですが、何も教えないで「作ってみましょう」だけでは、どの学校でもどの指導者でも、結果は同じことになります。
『世界一分かりやすい俳句の授業』(PHP研究所)か、『俳句の授業ができる本』(三省堂)を参照して、まずは[取り合わせ]の基本を教えてあげて下さい。特に、後者は、ワークシートもコピーして使えるように配慮した指導用ですので、是非活用して下さい。
このままのやり方を続けると、俳句嫌いの子どもたちが増えてしまいます。そういう事実をこれまで沢山見てきているものですから、残念でたまらないのです。
是非、ご一緒に、子どもたちへの俳句の種蒔き、進めてまいりましょう。
●文字化け?
- 紫陽花は風の?つく遊びかな江見めいこ
- あぢさゐの?も稚も太りけり穂千
- 鉢植えの紫陽花の?無口なりふくじろう
- 紫陽花や難易度?の勝負曲みほめろ@いつき組広ブロ俳句部
○文字化けは、ネット俳壇の宿命。涙を飲むしかないが……残念。
●「紫陽花」は入っているが
- 紫陽花が茶の菓子として彩りぬ石川明世
- 紫陽花の和菓子を掬ふ雨しづか齊藤巻繊
○「紫陽花」をかたどった和菓子ならば、季語としての力は弱くなります。
- 窓に子ら背中不動の紫陽花号桜よし榮
○列車の「鎌倉あじさい号」だと季語ではなくなりますが、さて、どっちだろう。
- 紫陽花の葉に現し世の滴れり雑魚寝
- 検便や紫陽花の葉に小指ほどパッキンマン
- 紫陽花の葉に越冬のかたつむり飯田むつみ
○「紫陽花」とありますが、「紫陽花の葉」となれば、花を指さなくなるので、季語としての力は弱くなります。後句の場合は、主役が「越冬かたつむり」になっています。
●紫陽花のことだとは思うけれど
- 居候お前も酸化青色か跡部榮喜
- シーボルト「おたくさん」名で世に咲かせ柳川ひょうご
- 夜の雨木陰に咲いた梅雨の花ラーメン通り777
○「紫陽花」が入っていません。
●紫陽花が比喩に
- 大空に大輪咲かせ大紫陽花櫂英人
○「紫陽花」とありますが、これは花火を紫陽花に喩えた句ですね。となれば、季語としての力は弱くなるのです。
- 床に臥す母紫陽花のごと笑ふつちのこ
- 紫陽花の様に自分の花咲かす漢方十七錠
- 紫陽花のごとく形と色を変えY・りこ
- 浮き沈み私の心紫陽花か池田
- 不安な私の心紫陽花か善彦
○これらも、自分の母や心持ちなどを紫陽花に喩えてますね。
後ろ2句は、同じ作者でしょうか。苗字と名前を別々に入力したのかも?
●意図が伝わりにくいため……
- 紫陽花のうてなを分かつでもいいな待雪みほこ
- 床に伏せる父角かくし下げ紫陽花よもり葵
- あぢさゐは紫陽花になりシーツ干すやまな未
- コンテスト水美人だよ紫陽花は美泉
○それぞれ難しい言葉があるわけではないのですが、意図が伝わりにくいため、アドバイスがしにくいのです。
ひょっとすると、十七音に入らないような情報量を入れ込もうとした結果かもしれません。ご自身が何を表現したかったのが、再度、自問自答してみましょう。
●誤字だと思いますが・・
- あぢさいのほほゑみ袖つかむ母よ縁穐律
- あぢさいやひと匙母へとろみ食奥野悦穂
- 初恋の澄める水櫛濃あじさゐ晴田そわか
- あぢさひのつぼみぶつぶつささやきぬ吉田わさび
○「あじさい」の歴史的仮名遣いは「あぢさゐ」です。
歴史的仮名遣いを使うか、現代仮名遣いを使うかは、作者が選択する問題です。歴史的仮名遣いを使う場合は、常に国語辞典を傍らにおいて、確認作業をしましょう。
●季語深耕
- さわさわと払われ清く額紫陽花神木
- 額の花ゆかしと思ふ齢かなこま
○「額の花」については、兼題の説明に 「額紫陽花を母種とし」と書いたので、勘違いした方もいるかもしれません。
頁数の少ない季寄せでは、同じ項目として扱われているかと思いますが、大判の歳時記では「額紫陽花」は別の季語扱いになっています。これらは、やはり詠み分けて欲しいと思うのですよ。- 梅漬けて咲かぬベランダ額の花道端水系
○「梅漬けて」も季語であり、咲いてない「額の花」ですから、これは、「梅漬けて」が主たる季語になります。
- 円錐白き柏葉紫陽花戸根由紀
○「柏葉紫陽花」の句もちらほらありました。紫陽花の仲間ではありますが、形状がずいぶん違いますね。
- 三角の紫陽花朝の空の色獅子蕩児
○これも、もしや柏葉紫陽花のことかも?
- ほんたうのわたくしは留守てまり花このみ杏仁
- 石段を転がりさうに手毬花伊藤順女
- 木々の間を顔のぞきあふ手毬花裕子
○「手鞠花」での投句もありました。
『日本国語大辞典』によると、
① 植物「あじさい(紫陽花)」の異名。
② 植物「こでまり(小手鞠)」の異名。
③ 植物「おおでまり(大手鞠)」の異名。
とあるのですが、読み方が「てまりか」となっています。四音なのか! と、今ビックリしています。
「手鞠花(てまりばな)」と読む場合は、「おおでまり(大手鞠)」の異名、となっています。
ただ、コトバンクの中にある『動植物名よみかた辞典』では
手鞠花 (テマリカ・テマリバナ)=植物。ユキノシタ科の落葉低木,園芸植物,薬用植物。アジサイの別称。と解説されています。
「手毬」という表記も含めて、今の段階では、何が正しいのか、紫陽花の別称として断言できるものなのか、私もよく分かりません。
ただ、兼題「紫陽花」と出題された場合は、ひとまず「紫陽花」という季語と取り組んでみることを推奨します。「あじさい」は四音なので、下五に置きにくいから「てまりばな」にしてみた、というのは論外。一つ一つの季語と、誠実に向き合いつつ、技術を身につけていきましょう。
お待たせしました!6月の兼題「紫陽花」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。「額紫陽花」では別な季語扱いだったり、「手鞠花」では違う花の異称だったりと驚きの連続でした。花の種類や名前は、人に親しまれた分だけ増えていくのかもしれませんね。8月の兼題「螽斯」もふるってご応募ください(編集部より)。