夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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10月の兼題

「秋の暮」

10月の審査結果発表

兼題「草の花」

お待たせしました!10月の兼題「草の花」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。特定の花ではなく総称にも、季語の分類はあるんですね。12月の兼題「十二月」もふるってご応募ください。
ここでお知らせです。毎月、「天」「地」に入選された方には入選のお知らせメールをお送りし、賞典の宛名などをおたずねしていますが、まだお返事いただけていない方がいらっしゃいます。お心当たりのある方は、お手数ですが toukou@cataloghouse.co.jp までご連絡いただければ幸いです(編集部より)。
※お知らせメールの件以外のご質問は、お問い合わせフォームへご連絡ください。

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
腰抜けの手に石つぶて草の花

青海也緒

夏井いつき先生より

 一読、幼少の子規が浮かんだのは、前回兼題「子規忌」がまだ、我が脳内にたゆたっているからでしょうか。子どもの頃の子規は、泣きみそで弱みそ。外に出るといじめられては逃げ帰ってくるので、妹の律が石を投げて兄の敵討ちをしていたそうで、母八重の言葉を借りるならば「それはヘボでございます」という子どもでした。
 上五「腰抜け」は、困難に直面する己を表現する一語でしょうが、「手」の中には「石つぶて」が握られています。それは、なにくそという意志であり、反骨であり、この先の人生を生き抜く力の核。踏まれても踏まれても、健気な花をつける「草の花」が、寄り添うように配されています。人生のエールのような一句を、我が手にしっかりと受け止めました。

地
草の花五日鞄にある手紙

あまどかに

 鞄に入れたままの手紙。偶々ポストに入れるタイミングがなかったのかもしれませんが、季語「草の花」との取合わせは、投函するかしないか、迷う心を思わせます。「五日」という時間に切ないリアリティがあります。

水筒の遠心力や草の花

さくさく作物

 水筒を振り回しながら歩いているのは子どもでしょうか。子どものように振り回してみたからこそ、その手に感じとった「遠心力」かもしれません。「草の花」の道は先へ先へと伸びています。楽しい秋です。

濁流の中州明るし草の花

ふくじん

 昨夜来の大雨が「濁流」となって逆巻いています。取り残された「中州」が、ほんのり明るいことに気づきます。あれは、様々な「草の花」が咲き満ちているのだという小さな発見。祈りのような希望のような「草の花」です。

草の花次の仕事は昼がいい

字土街海

 秋草が風に揺れる土手にいるのでしょうか。久しぶりの休日でしょうか。はたまた夜勤明けの朝でしょうか。「次の仕事は昼がいい」は思わずこぼれた呟き。明るい秋の陽射しの中、ぽつねんと佇む影が一つ。

ご家族と看取りで合意草の花

いなだはまち

 最期をどう看取るかという「合意」と読みました。最期まで病院でお世話になることを望む家族もいれば、最期だけは家で看取りたい家族もいます。介護に携わる仕事の現場。その心の襞に「草の花」が揺れます。

人
  • 草の花聖の声のしない方常幸龍BCAD

  • 番号の付られし豚や草の花梓弓

  • 雲探すヒッチハイクや草の花あみま

  • 草の花牛の鼻輪に乾く泥綾竹あんどれ

  • 地蔵様のコップはアトム草の花阿波オードリー

  • 川を見てときどき草の花を見ていかちゃん

  • 猫探すひとにくははり草の花板柿せっか

  • キヤラメルのセロフアンぴるる草の花うからうから

  • 草の花ここ右ペット納骨堂新子熊耳

  • ギャロップの朝日彈くや草の花あ・うん

  • 無加工の空広がりぬ草の花EarlyBird

  • かき鳴らすフォークギターや草の花愛燦燦

  • 草の花送りし道を戻りたる相原洋子

  • 草の花山の醤油の甘し濃しあいむ李景

  • 文や来ん今朝咲き初めし草の花逢來応來

  • 車椅子押せる歩幅や草の花青井えのこ

  • 草の花やトロンボーンのソロは彼葵かほる

  • 送電塔の真下は聖地草の花青井晴空

  • 草の花そろばん塾のご明算青居舞

  • 学校に来ないともだち草の花蒼空蒼子

  • 草花や鳥は目的有し飛ぶ田奈央

  • 握る手に錆びた匂いの草の花あおのめ

  • 結納の疲れし肩や草の花赤波江春奈

  • 存分に使ふおしぼり草の花赤松諦現

  • よく小銭拾ふ土曜日草の花赤馬福助

  • 城跡の道標朽ちる草の花あかり

  • かはりゆくエキプ・ド・シネマ草の花明惟久里

  • 磔刑の烏に退る草の花空地ヶ有

  • 持久走なかばは歩く草の花秋野茜

  • 草の花グレーチングを零れ出づ秋野しら露

  • 草の花友を誘って名をあてる秋代

  • 五百円握りおつかい草の花朝霧七海

  • 草の花やたら付箋のある詩集明後日めぐみ

  • 下町の子供食堂草の花あさぬま雅王

  • 一人つ子の一人遊びや草の花淺野紫桜

  • 草の花道行く非常勤講師あさのとびら

  • 車椅子視線は低し草の花麻場育子

  • 廃坑の長屋の時間草の花あさひ

  • 草の花お山すわりの影ふたつ芦幸

  • 草の花鬼の雪隠てふ遺跡あじさい卓

  • 金ピカの仏壇に義母草の花あしたはあした

  • 達筆の父に及ばず草の花阿曽遊有

  • 野の花や異動の内示伝えられ愛宕平九郎

  • スクワット欠かさぬ畦の草の花あたしは斜楽

  • くさのはなほんとはひとつとうめいよ足立智美

  • 円楽の毒舌が逝き草の花あたなごっち

  • 五所塚へ風通る道草の花天晴鈍ぞ孤

  • 十字架の墓標小さし草の花あなうさぎ

  • 草の花吾に馴染まぬ迷ひ猫天風月日

  • ベビーカーに仔犬三匹草の花あまぐり

  • 草の花後ろ姿のぐりとぐら雨戸ゆらら

  • 草の花内緒話の部室裏あまねくみぞれ

  • 来世にはどれになりましよ草の花あまぶー

  • 草の花牧野博士の虫眼鏡雨李

  • あみだくじチラシの裏へ草の花あやたか

  • 廃線の噂ありけり草の花荒一葉

  • 草の花妣「ごめんね」と言ひすぎし荒井類

  • 話すことまだあつたよね草の花あらかわすすむ

  • はじめての事の未だあり草の花新多

  • 受け流す風の重奏草の花蛙里

  • 翅傷め草の花てふゆりかごにありあり

  • 逝く母よ風と陽浴びて草の花ありいかな

  • ぶらんこに蹴とばされては草の花在在空空

  • 新任はまだ微笑まず草の花アロイジオ

  • 草の花ソの音の出ないハーモニカ淡湖千樹

  • 山羊の仔の産まれる朝や草の花アンサトウ

  • 草花へ草花へ引くマルチーズ安寿

  • 山里の紙漉く響き草の花安春

  • 髪揺れてあきよちゃんと草の花杏っ子

  • 花咲いてやっと名前のわかる草安藤ツトム

  • 寄書きの恩師の文字や草の花飯村祐知子

  • かぶりつく団子きき手に草の花飯村ヤーキン

  • レゲエとは平和を謳う草の花いくたドロップ

  • 最低賃金上がつて草の花生野薫

  • 草の花や番号のみの十字架群いくみっ句

  • 神殿のごとくに崩れ草の花池内ときこ

  • 風下に人の住む家草の花池田悦子

  • 草の花おっと!BB弾発見!!池田華族

  • あゝそこは茶の間の跡や草の花池田桐人

  • 体温の遺る厩舎や草の花池之端モルト

  • 工場の予鈴あかるし草の花イサク

  • 直角な祖母の謝罪よ草の花いさな歌鈴

  • 草の花今朝も仕事に行けました石井一草

  • 友の皆どこか病みたり草の花石井茶爺

  • 草の花女王の馬お辞儀するいしいるぴなす

  • ヒロインになれなかったよ草の花石岡女依

  • 堆き廃車の底の草の花石垣

  • 草の花ひとり細く立つ紫石垣エリザ

  • 母の髪切る陽だまりに草の花石川巴里

  • 旧道の石敢當や草の花石塚碧葉

  • 草の花ひらがな拾う専門書石の上にもケロリン

  • 立て札は渡船場跡とか草の花石原花野

  • 過ちを赦し合えるか草の花石間毅史

  • 草の花ボールは二塁抜けていく石本美津

  • 渾名持たず静かに生きて草の花和泉攷

  • 象小屋は今日より無人草の花磯野昭仁

  • 草の花トタンバケツによき凹み石上あまね

  • ふるさとを捨てる吾子の背草の花いその松茸

  • 吸殻の残り火ちりり草の花磯むつみ

  • 一尺を測る手のひら草の花いたまきし

  • 草の花解体進む社長宅いちご一会

  • 制服も姉のお下がり草の花無花果邪無

  • 「美しみ」はかなしみと読む草の花一秋子

  • 帰城する国母の棺草の花伊藤亜美子

  • 野良猫の浅き眠りや草の花伊藤順女

  • あきらめた進路があります草の花伊藤どらやき

  • 草の花母のジャンプの一センチ伊藤柚良

  • お御堂の当番最後草の花伊藤れいこ

  • ヒジャブの娘と乗り合う帰路や草の花伊藤小熊猫

  • 女子校の塀高きこと草の花糸川ラッコ

  • 草の花揺るる関東ローム層稲垣良一

  • 持ち時間着実に減り草の花井中ひよこ号

  • ほのぼのと木綿の暮し草の花伊奈川富真乃

  • 草の花ベンチで開くお弁当稲葉こいち

  • 泣き出せばなかなか止まぬ草の花稲畑とりこ

  • 靴下は穴だらけです草の花稲見和子

  • 猫の歳分かりにくくて草の花居並小

  • 草の花くの字のままのショベルカー井上れんげ

  • 獣行く方へ倒るる草の花井納蒼求

  • ほかほかの牛糞草の花眩し井原冴

  • 城門を風とくぐるや草の花今西知巳

  • 拾いたる母の骨白し草の花今村ひとみ

  • 低ければ低い風受け草の花妹のりこ

  • 草の花県背負ひたるユニフォーム伊予吟会宵嵐

  • マタニティマークの揺れて草の花伊予素数

  • 孫の乗る電車に草の花揺れて彩人色

  • 花籠に盛りて寂しき草の花五郎八

  • 草の花摘み保健室登校す色葉二穂

  • 草の花いずれは此処を出るつもり岩木順

  • 草の花わたしはこれで良かったか岩崎鑑子

  • 早朝の犬の鼻息草の花いわさちかこ

  • 国々に神ゐる星や草の花磐田小

  • 鳴り物の稽古する子ら草の花ういろ丑

  • ヤクルトの殻の分だけ草の花植木彩由

  • 家系図に賞罰は無し草の花上野眞理

  • 星の夜の静寂を吸うて草の花上原淳子

  • ぐい呑みに生けて眺めて草の花上原まり

  • よくやったとは誰も言わない草の花宇佐美好子

  • 参観日ゆうきの挙手や草の花うた歌妙

  • 神殺すニーチェも死んだ草の花宇田建

  • 草の花踏みつけカワイイモノを撮り宇田の月兎

  • 小さきは小さく揺れて草の花内田こと

  • 産休の残りひとつき草の花卯月紫乃

  • 子を産みに帰る家郷や草の花空木眠兎

  • 祝詞聞く目で摘んでいる草の花うつぎゆこ

  • 野の花や二両編成奥羽線 卯波まり

  • 朽ち果てた小舟弔う草の花海口竿富

  • 草の花「死ね」と描かれた教科書へ海野あを

  • セルフレジ二百円なり草の花うみのすな

  • 草千里赤牛跳ねる草の花梅尾幸雪

  • 救急の曇りガラスや草の花梅木若葉

  • 草の花一息入れて行く木曽路梅里和代

  • 草の花父子の会話のない散歩梅鶏

  • 臨月の足むくみをり草の花梅野めい

  • 草の花ぽろんと止まるオルゴール浦野紗知

  • 三輪車こいで歌うよ草の花うらら茉瑠

  • 朝の日をかすかに授く草の花吽田のう

  • 草の花思春期の鼻触る癖詠頃

  • 草の花さだめて土はあまからん蝦夷野ごうがしゃ

  • 義仲の武具捨てし池草の花越前岬

  • 地下足袋の親父元気か草の花越冬こあら@QLD

  • 日記には嘘を並べて草の花絵十

  • 草の花手は給食のコッペパン榎風子

  • 上京を認めぬ父や草の花笑姫天臼

  • スペインの壺に挿したる草の花朶美子

  • 草の花今日も誰とも話さぬ日M・李子

  • ひとりでは広過ぎる空草の花えりいも

  • 子に言へば子は夫に言ふ草の花えりべり

  • ドローンの着地に戦ぐ草の花遠藤千草

  • ご先祖はきつと足軽草の花遠藤一治

  • 球拾ひの子のみ出逢ふ草の花遠藤玲奈

  • ランニングの兄ちやん草の花避けて旺上林加

  • 静謐や覇王の墓に草の花近江菫花

  • 転勤や小さき草の花は真白おおい芙美子

  • 草の花今宵ひつそり門を出て大木紅貴

  • ぼうけんのはじまりのうたくさのはな大紀直家

  • はじつこに吾の句のあり草の花大黒とむとむ

  • 草の花素振りの跡の残りけり大越マーガレット

  • 縄跳びは一人でできる草の花大小田忍

  • 母訪えば庭に遊ぶや草の花大谷如水

  • 地鎮祭近き空地や草の花大塚恵美子

  • 高村山荘へ草の花香る大槻税悦

  • 草の花尖閣沖へ巡視船大西カズミ

  • 万葉の土そのままに草の花大野喬

  • 荒波の潮の届くや草の花大村真仙

  • 母校での野球教室草の花大谷一鶴

  • 百草の花よ三輪車のわだち大山和水

  • 子の目まで屈む先生草の花大和田美信

  • 家族葬定着したり草の花岡井風紋

  • ならまちに三笠買ひをり草の花おかげでさんぽ

  • 川岸を吹ききらぬ風草の花可笑式

  • 縄文の女も愛でて草の花岡田明子

  • 霊園へ坂道ばかり草の花おかだ卯月

  • 三年生去りし部室や草の花緒方朋子

  • 草の花風のかたちに混み合えり岡田雅喜

  • うつろへる野に再会の草の花オカメインコ

  • 草の花張り子うさぎの中は空岡山小鞠

  • 草の花崩れて白き浜の墓小川しめじ

  • 曳船を遠くに丘の草の花小川天鵲

  • 地の上に天体を踏む草の花小川野棕櫚

  • ピアニカの息吸ふ音や草の花小川野雪兎

  • 人影の声よく響み草の花小川都

  • 草の花わらべ地蔵の二頭身小川めぐる

  • 島猫の白の遺伝子草の花おきいふ

  • 君の呼ぶ名は私です草の花オキザリス

  • 象の浴びる砂は金色草の花沖原イヲ

  • 父母の命日おなじ草の花沖らくだ@QLD句会

  • 円楽の人情噺草の花 合掌荻原湧

  • 城跡の石垣の反り草の花奥田早苗

  • 草の花ケーキ焼けたよ来ませんか奥野悦穂

  • 遠足のシートが覆ふ草の花奥の昼行燈

  • 息を吐いて「死体のポーズ」草の花小倉あんこ

  • 草の花通信制に決めました小椋チル

  • オカリナの透るラの音草の花おこそとの

  • 売れぬ土地訳知り顔に草の花おざきさちよ

  • 草の花鉄路の先を土砂ふさぐおさだ澄恵

  • だんだんと家具減らしをり草の花小沢史

  • どなたさんとまた問ふ母や草の花音館由佳

  • 草の花筑波が座る地平線おだむべ

  • 自分の戒名考えてみる草の花越智空子

  • 鎖場の岩の窪みや草の花乙華散

  • 小さきものあまた匿ひ草の花音のあ子

  • ウェストン碑の襟元へ草の花音羽凜

  • まつすぐに紙飛行機や草の花おひい

  • 草の花あだ名みたいな名の駄菓子オペラ座の俳人

  • 草の花皮肉の棘のかけら無しおぼろ月

  • 草の花夕の梵鐘ゆらゆらと小山田之介

  • 県民も知らぬ剣豪草の花海音寺ジョー

  • 読みかけて栞をはさむ草の花械冬弱虫

  • 草の花お囃子はずむ塩むすび海堂一花

  • 我の死に我は泣くのか草の花灰頭徨鴉

  • チップスの膨れを噛みぬ草の花海峯企鵝

  • 鷲掴むボールもろとも草の花火炎幸彦

  • 小さきには小さき蝶きて草の花カオス

  • 草の花伯父の柩の蓋は白案山子@いつき組広ブロ俳句部

  • 今日こそは打ち明けんとす草の花笠谷たか子

  • 昼休み一人弁当草の花風花美絵

  • 根の先に陽の色宿す草の花加座みつほ

  • 鎧ひたる埴輪の馬や草の花霞山旅

  • 野の花に囁き今日を締めくくり梶浦正子

  • 草の花名を知らざれば名を与ふ樫の木

  • くさばなや五才もねむる殉教碑華胥醒子

  • 墓守を託してみたし草の花柏原淑子

  • 草の花わっしわっしとひかれおり風早杏

  • 草の花きみと一緒の図書当番風ヒカル

  • 仔を守る猫の目険し草の花片岡明

  • 草の花挿して山崩しを終へる片岡六子

  • 君に似た草の花みな枯れてしまえ交久瀬小夜時雨

  • この辺にタイムカプセル草の花加田紗智

  • 草の花数は減れどもデモ隊はかつたろー。

  • 草の花舌を絡める牛の口勝瀬啓衛門

  • 制服の馴染んできたり草の花花伝

  • 幸不幸選べぬ草の花よろし瀬紀

  • 塹壕の双眼鏡や草の花金井謙雄

  • バネ指の治りが悪い草の花金井登子

  • 休職の閉じたる心草の花金田由香

  • 番号で呼ばれ尿出す草の花仮名鶫

  • 草の花父の煙草のお使いに金子あや女

  • 朝練の声を浴びたる草の花かねつき走流

  • 草の花避けて香箱座りかな カフェオレ草

  • 挨拶の明るい声や草の花花星壱和

  • 鉄棒の錆の匂ひや草の花釜眞手打ち蕎麦

  • 鉄塔の愚痴は小声や草の花神谷たくみ

  • 立入禁止を分け入る猫や草の花紙谷杳子

  • 草の花孤独は天にうつりゆく亀井汀風

  • 犬の死を家族で送る草の花亀田荒太

  • 心臓に月の瞬き草の花亀田かつおぶし

  • 屋上で空を見ない娘草の花亀の

  • 摘み貯める玩具のばけつ草の花亀山酔田

  • 草の花あの約束は秘密ですかもめ

  • カンロ飴は琥珀のこころ草の花花紋

  • 退き口の土を枕に草の花加山シンゴ

  • 草の花前行く人が名を呼べり加裕子

  • 野の花しかないとこまで家出しよ加良太知

  • ぶうぶうもぱおんぱおんも草の花狩谷わぐう

  • 吾の影におさまる草の花の百川越羽流

  • 急行のすぎて首ふる草の花川田典由

  • 草の花喪中はがきの絵柄選る川辺和香

  • 君奪う人になりたし草の花河村静葩

  • 暮れやまだ草花摘んでたい娘川村ひろの

  • 悲しみを消化しない胃草の花閑々鶏

  • 習わねど達筆な小父草の花邯鄲

  • 草の花課外授業のちりぢりに勘八

  • 寄席太鼓軽やかに聞く草の花看板のピン

  • 親馬の横目遣ひや草の花閑酉

  • ガラス瓶束ねしテラス草の花紀杏里

  • 日時計の音は透明草の花喜祝音

  • 草の花ひとりのために読む絵本キートスばんじょうし

  • 草の花はも怖がりて彼の人は岸野草太朗

  • 制服の丈を伸ばすや草の花岸本元世

  • 指切のつなぎたるもの草の花岸来夢

  • 草の花抱えた膝のあたたまる北大路京介

  • 堀口の石碑は読めず草の花北の星

  • にげもせず交尾ぶんぶん草の花北藤詩旦

  • 四十路にて反抗期終ふ草の花北村季凛

  • 雌牛は牛若とふ名草の花木寺仙游

  • 瘡蓋のやうな匂ひの草の花城内幸江

  • 草の花だれのものでもない時間きのえのき

  • 草の花上り框のほの白し木下桃白

  • おまじないなんて知らない草の花木原トモ

  • 陽当たる野陽当たらぬ野に草の花木原洋子

  • 草花よ私はいつも聞き役さきべし

  • リハビリの左手の摘む草の花木ぼこやしき

  • 閉店となりしうどん屋草の花Q&A

  • 往診の女医の白衣や草の花Qさん

  • 貰ひ犬の身のかろきこと草の花きゅうもん@木の芽

  • 御朱印の余白も僅か草の花鳩礼

  • 泰然と牛が阿蘇踏む草の花京野秋水

  • 半焼のスナックかれん草の花杏乃みずな

  • 草の花鄙の社の由緒書清瀬朱磨

  • 抜け道の先客は風草の花霧島ちかこ

  • 孤児院にシャツは十着草の花ギル

  • 草の花リフトの足の触れさうに菫久

  • 山の息草の花へと口移し銀髪作務衣

  • 草の花ピアノへ雨のしびしびと

  • レンタルの山羊残したる草の花くぅ

  • 草の花キリン研究者は卒寿久我恒子

  • 坂道の可笑しくもあり草の花久木田紀子

  • 草の花きのうの透ける摺りガラス鯨尺

  • くづし字の伯母の日記や草の花葛谷猫日和

  • 草の花予選通過ののど自慢ぐずみ

  • 実験のラットの眠る草の花くずもち鹿之助

  • ひらがなで書かれておりぬ草の花工藤雨読

  • 寝転んで匂い濃くなり草の花國吉敦子

  • 草の花吾の笑いを肯うや窪田睡鯨

  • 草の花YouTuberに食われをり句保田凡

  • ジオラマにこそ理想郷草の花くま鶉

  • 産土を迷子のやうに草の花熊谷 温古

  • 草の花高きはすべて墳丘墓クラウド坂の上

  • 事故物件なかなか売れず草の花倉岡富士子

  • 草の花喪服を着くずしてベンチ倉木はじめ

  • 草の花つめられたるはだれの靴眩む凡

  • 草の花浄化センター取り囲むぐりぐら京子

  • 草の花牛の尾つぽのぺちんぺちん栗田すずさん

  • 五個入パン四つになりぬ草の花栗の坊楚材

  • 草の花挿した小瓶は空の色空流峰山

  • 草の花介護休暇を申請すくるみだんご

  • 草の花象もキリンも展示され久留里61

  • 職を辞し階段下りて草の花黒田良@白井

  • 草の花瓦礫の我が家の隙間から桑田さなえ

  • 知らぬとはみつけることと草の花くんちんさま

  • かかと出て母のつつかけ草の花桂子

  • 風呂浴びた首手拭いや草の花鯨野

  • まだ空に無き色を咲く草の花恵勇

  • 透明は裏切りの色草の花けーい○

  • 草花や地層になゐのおと深きげばげば

  • ふさがれし抜け道を抜け草の花謙久

  • 草の花喧噪街へ裏道へ紫雲英

  • 朽ち果てた首切り台よ草の花ケンG

  • おしやべりなインコ埋めて草の花剣橋こじ

  • この道でよかつたらうか草の花小池令香

  • 草の花大部屋役者五十年恋瀬川三緒

  • 縁台の膝に日差しや草の花コウ

  • 別れあり草の花あり風吹けり郷りん

  • 野の花や知らぬ人しかおらぬ町剛海

  • 会釈だとわかったかしら草の花公木正

  • 草の花くぐりてそっと猫が逝く柑たちばな

  • お点前の心得いくつ草の花 幸水

  • 赤錆の戦機のむくろ草の花幸田柝の音

  • 草の花休み時間に開く本香田ちり

  • 草の花母の仏衣の薄むらさき紅茶一杯

  • 草の花液体歯磨き沁みる朝幸内悦夫

  • 野仏と身の上似たり草の花宏楽

  • 湯治場のバス停ひとり草の花幸織奈

  • こころにも数字ふらうか草の花古賀

  • 草の花揺らし介護のバス来たる古賀粋漢

  • ゆきかへり小さな手をふる草の花小久保ゆた夏

  • 草の花や二冊目のお薬手帳こけぽて丸

  • 草の花摘みとる子らの髪に咲くココヨシ

  • 山羊小屋に山羊の居なくて草の花小笹いのり

  • 廃校の懸垂棒や草の花小嶋芦舟

  • 名前では呼ばれぬ草の花も吾も木染湧水

  • 嘴に光る小魚や草の花虎堂吟雅

  • 人種問わぬ丘の霊園草の花後藤周平

  • ひとり遅れ登校の子や草の花後藤三梅

  • 草の花姉の名かすれし絵具箱来冬邦子

  • また解けた右の靴ひも草の花古都鈴

  • 千草の花廃線の消失点粉山

  • 手相見の言葉過りぬ草の花このみ杏仁

  • 独り身は身軽と言われ草の花虎八花乙

  • 草の花こぎつねこんこん母惚けてこひつじ@QLD句会

  • 補欠でも休まぬ部活草の花小藤たみよ

  • 鍵つ子の達者な料理草の花こま

  • 駄々っ子の地団駄軽し草の花駒野繭

  • 両親の蔵書を売れり草の花駒村タクト

  • 食事可のテラス千草の花ゆたか小緑ふぇい

  • 置き去りのタイヤの山や草の花小山晃

  • トランプの角まあるいね草の花コンフィ

  • 草の花海へと抜ける切り通しさいたま水夢

  • 木乃伊の胸に置かれし草の花埼玉の巫女

  • 草の花良寛さまのかくれんぼ齋藤杏子

  • くみちやんが口を利かない草の花さ乙女龍千よ

  • 人形を焼く草の花詰めこんで酒井おかわり

  • やさぐれたあいつの好きな草の花酒井春棋

  • 草の花煙草を呑まぬ二十年さかえ八八六

  • とりあへず草の花挿す死者の前榊昭広

  • 道添の軍馬観音草の花坂田貞雄

  • 草の花発表会が終わったよさかたちえこ

  • 草の花てがたの残るぐりとぐら坂まきか

  • 草の花横隔膜が下がりきる坂本千代子

  • 草の花イヤホンよりの追悼歌桜鯛みわ

  • 背負い投げ決め草の花摘みにけり桜月あい

  • おとうとはたまにいらない草の花さくら悠日

  • 九十九折り砲台跡に草の花桜よし榮

  • 出張のコンビニ飯や草の花迫久鯨

  • 石蹴りの石選びをり草の花雑魚寝

  • かけ足の歩幅あわせて草の花さざなみ葉

  • 和紙漉くやうにことば選みて草の花笹野夕

  • 引寄せし膝のたかさに草の花紗千子

  • チャペル坂犬に影くる草の花さち今宵

  • 草の花そくばくなきことの強さ砂月みれい

  • いちめんの草の花熊鈴ひびくさっち

  • 振り帰る道に人なし草の花さとう菓子

  • 薬膳も湯も良き宿や草の花佐藤恒治

  • ポケットに鍵入れたはず草の花佐藤志祐

  • 草の花揺れ古代湖の雨催ひさとうナッツ

  • 木端仏舞い散る木端草の花佐藤佳子

  • 草の花三十路無かりし友へ咲け佐藤レアレア

  • キャタピラのかたちに潰れ草の花里すみか

  • 地図にない路地の目印草の花佐渡の爺

  • 仮免のアクセルふわり草の花里山子

  • 家出したつもりで草の花摘んで真井とうか

  • 草の花嘲るもののみな偽名錆田水遊

  • 草の花四代続く診療所さぶり

  • 下校時のうちあけ話草の花紗羅ささら

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  • 草の花淫祠を拝みつつ威す山田喜則

  • 臆病な私も素敵草の花やまな未

  • 十字架を刻む石あり草の花山野麓

  • 草の花離れし沢と又出会う山薔薇

  • 砲撃の筒より出でよ草の花山歩子

  • 草の花少女剣士の果し状山村楓

  • 狛犬の阿の歯欠けたる草の花山本先生

  • 草の花洗濯物は生乾き山吉白米

  • グランドで一人拗ねる子草の花ヤン子

  • 厩舎からモモを呼ぶ声草の花唯果

  • 草の花砂のプリンのおもてなしゆうきはな

  • 草の花揺れ炭鉱町にこゑ遊羽女

  • 草の花楔となりし褒め言葉有野安津

  • 不発弾まだ一つ地下草の花宥光

  • 神社出る担ぎ手の手に草の花ゆうみりん

  • まだ止まぬ花一匁草の花雪音

  • 道の辺に脈打つ薄き草の花柚子こしょう

  • 往診は庭突っ切って草の花ゆすらご

  • 丘ふたつ公団跡地草の花宙美

  • 妹へ兄のまなざし草の花ゆめの常盤

  • 草の花ひとけ少なきキッチンカー夢見昼顔

  • 草の花燃して大腿骨頭白し湯屋ゆうや

  • 草の花時間薬の副作用羊似妃

  • 簡単な遺書をスマホに草の花横縞

  • 予定地の予定わすれて草の花横浜J子

  • 草の花大仙陵古墳の謎横山雑煮

  • 草の花田麩しかないちらし寿司吉岡幸一

  • 草の花パトカーパトカーまたパトカー吉田郁

  • 鉄橋を渡る二両や草の花吉田蝸牛子

  • 注連縄を作りませんか草の花吉野川

  • 草の花みんな最後は雲になる吉行直人

  • 草の花寝かせる和紙のなまこ蔵四葉の苦労婆

  • シェルターを愛犬と出づ草の花余田酒梨

  • 放蕩の男は優し草の花ラーラ・K

  • 子を産めば名もなき母や草の花雷紋

  • 赤子と鳩のことば似てゐる草の花RUSTY=HISOKA

  • 草の花みんな不揃いえじゃないか楽花生

  • 格子なき牢獄に咲く草の花リーガル海苔助

  • 志願して千本ノック草の花梨音

  • 野の花や総員点呼つつがなし柳絮

  • 草の花泡立つやうに彩雲へ流流

  • 草の花踏んで測量工場跡良俗倭人

  • クレパスの輪郭薄く草の花ルージュ

  • 手術痕薄くなりけり草の花蓮花麻耶

  • 六地蔵並びは変えぬ草の花六地蔵と狛犬

  • 湿田の轍大きや草の花ろまねす子

  • 草の花土手を通れば駅近し若井柳児

  • ランドセルやっと慣れたか草の花わかなけん

  • 友人の結婚を知る草の花渡辺飛鳥

  • ひっ算のページに挟む草の花亘航希

  • 旧かなのゐやゑの如し草の花侘介

  • 平飼いの餌は散り散り草の花笑笑うさぎ

  • 陶房に絵皿と草の花の庭犬山裕之

※今月の入選作品の発表で、12月12日まで多くの作品が掲載されていませんでした。お詫びいたします。

佳作
  • 摘みとれぬ名前はなーに草の花丘るみこ

  • 一人来て草の名問うや草の花小林昇

  • 幼子に草の花の名教わりぬGONZA

  • 野の花の名を聞いた子母となるさざんか

  • 我が名を知らされぬまま草の花数多未完

  • 草の花名も無きことの気高さよ安蔵典道

  • 教わった名は忘れても草の花海野穴熊

  • 草の花錆溢れ出し大花へ丑十八夜書ク

  • 草の花蹴って少女の男ことば内本惠美子

  • 草の花轍を辿り童歌 岡塚敬芳

  • 草の花紫好きな母傘寿小川さゆみ

  • 草の花愛ほしくなる齢かな奥田美和

  • うなじの綺麗な娘がいい草の花尾頭朔江ヱゐチ

  • 草の花一輪挿しかゴミ箱か笠江茂子

  • 認知症の姉は笑顔よ草の花鹿嶌純子

  • 野の花や初の自炊の写メ来たり花鳥風猫

  • 草の花名残りの帽子いっぱいに桂子涼子

  • 草の花可愛い嘘の言える女桂葉子

  • 草の花花占いは「好き」だった翡翠

  • 草のはな雲感覚の遠さかな北川颯

  • 「可愛い」はやはり嬉しい草の花木村となえーる

  • 舞降りし紙飛行機や草の花家古谷硯翠

  • 色淡き草の花吾の鏡なり紅紫あやめ

  • ど根性だけ褒められて草の花西條恭子

  • 嫁ぐ日の間違い探し草の花さくやこのはな

  • 片えくぼ素数語りて草の花潮風の台所

  • 草の花ひそひそ話する如し塩沢桂子

  • 草の花歩道車道と首伸ばし四季春茶子

  • 「おかえり」の眠たい文字と草の花篠雪

  • よく来たと祖母の煮物と草の花柴森爽

  • 少しだけ枯れかけが好き草の花釋北城

  • 草の花素泊まりの猫縁の下15センチの庭

  • ポイント還元電卓たたき草の花珠桜女絢未来

  • 恋仕舞ふ所作までが母草の花すいよう

  • 草の花小樽見おろす温泉路駄詩

  • 吾子の手で冠になる草の花田鶴子

  • 大空や万歩計止める草の花田村モトエ

  • キラキラと水滴重し草の花ダメ夫

  • 縄張りを共に侵さず草の花田村利平

  • 夕暮れやバイバイと草の花振る千夜美笑夢

  • 草の花こうなりたいと君の言う露口全速

  • 逆光に皆金色に草の花時まる

  • 古戦場骨粉となり草の花十津川ポロ

  • 草の花こうおつ無しにむねはって冨川きよこ

  • 宇宙より星屑降りて草の花富野香衣

  • 全地球青い空あり草の花なかむら凧人

  • 明日また遊ぶ約束草の花なつふじ

  • 宴なき旅なき暮し草の花奈良素数

  • 草の花明日は今日よりいい日かもにいやのる

  • 其々に輪郭有りて草の花塒小判

  • 座禅後に気づく景色や草の花根々雅水

  • 草の花さらに薄まる星のせゐ野口雅也

  • 草の花ウォーキングは大股で早川令子

  • 古希なんか知らぬ世界だ草の花原善枝

  • 水切りを七つ数えた草の花原田民久

  • 青春の翳り残せり草の花東山たかこ

  • 草の花バク転女子とお兄ちゃんひろ夢

  • 鏡台に映りし草の花一輪船橋こまこ

  • 雲梯を二つとばして草の花 ペトロア

  • 北海道弁はあります草の花べびぽん

  • 草の花紙パンツ履く夜を託つ細野めろん

  • 傍らに出汁引く男くさの花ポップアップ

  • 草の花こぼれだまよりよみがえり丸太

  • 年下を密かに想う草の花澪那本気子

  • 誕生日祝ひの電話草の花未来に詩編む

  • 割烹着履く下駄は紅草の花ムーンサダコ

  • 風ふかば森に追はるる草の花向原てつ

  • 寄り道の好きな男の子や草の花安井コスモス

  • 草の花坂道にあるは思い出か山崎鈴子

  • 街燈点滅草の花妖艶山田蚯蚓

  • バイトからバイトへあの娘草の花大和杜

  • 草の花握り父の背負われたり山本蓮子

  • 草の花心の痛む歌謡ショー横山子守熊

  • 寄り添つて四十五年や草の花吉武茂る

  • 孫の婚終えて熱い茶草の花よしだばあば

  • 「ぽい捨てはやめて下さい」草の花理佳

  • この次に生まれるならば草の花リコピン

  • したたかに咲く草花のしぼみ待つ321ちいに

  • 草の花種はフーテンの旅に出るANGEL

  • 通学路雀戯れ合う草の花安威網代

  • 踏ん張れど散り行く脆き草の花相澤泉

  • 草の花雑と言われどしゃんと立ち藍田落星

  • 板前の青い手袋草の花藍野絣

  • 草の花痩身美顔が野に集い間岳夫

  • 前世には如何なる生ぞ草の花青井季節

  • 野の花や集い睦みて帰る寂しさ大竹八重子

  • 文系のなんでもない子草の花青に桃々

  • 来し方を妻と語れば草の花蒼鳩薫

  • 名を上げぬ生き方も善し草の花赤尾ふたば

  • 気づかれずそっと咲いてる草の花赤子沢赤子

  • 雑草と呼ばれてもなほ草の花あかね茜

  • なごり星こぼしてきらり草の花赤松鴨

  • 草の花ベランダの隅におりあかめちゃん

  • 道端に隠れんぼだよ草の花了朗

  • 紫、黄色草の花あふれけり聰子

  • 自転車のよけて止めたり草の花秋白ネリネ

  • 教会に誰が活けたか草の花昭谷

  • 凛と咲く夕べに散るも草の花秋野萱

  • あら更地消えた工場に草の花空き家ままごと

  • 反抗の具現のかたち草の花秋吉和紀

  • 草の花簪にして姫気分アクエリアスの水

  • 失敗も小さく見える草の花芥茶古美

  • リハビリの靴に寄り添う草の花あくび指南

  • 草の花忘れかけてたあのベーゼ淺井翠

  • ラーメンとカレーのまんなか草の花あさいふみよ

  • 草の花国境線の両側に朝雲列

  • 吾子の手に笑顔あふれる草の花朝日雫

  • 空蒼く山目和みし草の花亜紗舞那

  • 道を行く人に怯える草の花明日良い天気

  • 草の花スマホを落とす夢の音アシツノカラ

  • ゴム毬の空気凹ませ草の花葦屋蛙城

  • 拾い種ひととせ長し草の花飛鳥井薫

  • 向日葵の百分の二の草の花あすなろの邦

  • バイバイと電車見送る草の花あすなろの幸

  • 草の花プランターの中で揺れているあぜ道さんぽ

  • 草の花全ての民に冠を麻生ツナ子

  • 青空を見上げた脇に草の花アツシ

  • 路地裏の野の花摘んで登園す渥美こぶこ

  • にわたみず足突っ込みて草の花渥美謝蕗牛

  • 愛犬が跨ぎ排尿草の花跡部榮喜

  • ママ友らまだ立ち話草の花姉あね猫

  • 風呂桶を小脇に抱え草の花あねもねワンオ

  • 草の花屋根まで咲いた避難跡阿部八富利

  • バックミラー路肩は草の花ざかり天川滴翠

  • 登り来て山門脇の草の花尼津彦

  • 草の花木々の紅より色深しアマリリスと夢

  • 草の花昼は菜飯を食うと決め雨降りお月さん

  • ドイツより帰りし孫と草の花あやや

  • 草莽の生家間距離草の花荒木俊充

  • まだ続く長き道のり草の花有本としを

  • 駱駝には地球の水や草の花有本仁政

  • ままごとの真ん中にいた野の花なり飯田孝子

  • 主なき生家の屋根に草の花イカロス

  • 戦場に静寂夜明けの草の花粋庵仁空

  • 思い立ち早期退職草の花郁爺(蟹組)

  • 慰めの言葉はいらず草の花郁松松ちゃん

  • はっと咲くもう踏まないね草の花池愛子

  • 草の花かれんなる身にとげもちて池内ねこバアバ

  • ままごとの昼餉となれり草の花池田の炭

  • 草の花踏みしだかれし枝わけて池ノ村路

  • 草の花倍の力で立ち上がり石井秀一

  • 草の花数えて所詮素数の積いしきひさき

  • 公園の子ら踏めど咲く草の花伊敷代左美

  • 手入せず荒れた庭にも草の花石崎京子

  • 躓きて草の花よけてG難度石原直子

  • 土手遊びティアラ作りし草の花泉恵風

  • にちにちのリハビリ見入る草の花泉陽之助

  • 出立を仰ぎみたるや草の花伊泉不洋

  • 草の花出勤前の可燃ごみ遺跡納期

  • 傘で撫でる雨上がりの草花や市川りす

  • 草の花墓石拭く手の白き皺市川隆一

  • 野の花も一輪させば画材なり市場さと枝

  • 草の花寄る辺なき身ぞ城の跡いつかある日

  • 祖母の家草の花活く桂籠一久恵(橋本恵久子改め。俳号)

  • 剣山の小さな森と草の花一軒家

  • 遠き日の華散りてのち草の花五つ星

  • 今生を恵みと受ける草の花和泉明月子

  • 細くともコンクリ割りて草の花伊藤薫

  • 猫の頬撫でるように草の花伊藤キア

  • 行人の坂につくばふ草の花伊藤節子

  • リフォームの学び舎に声草の花伊ナイトあさか

  • またひとつ主なき狭庭草の花稲葉雀子

  • 草の花「ありのままで」と我にエール伊波智恵美

  • 月曜の雨に光るや草の花伊縫音々

  • 草やぶき屋根いちめんに草の花井上幸子

  • 体臭の消えてほのかの草の花ゐのかたゆきを

  • 草の花休耕田をつつみけり井原昇

  • 人生は瞬きする間草の花今井みどり

  • 休耕地を可憐に飾る草の花今井正博

  • ベビーカー屈む高さに草の花今井モコ

  • 束ぬれば故郷にほふ草の花いまいやすのり

  • 日の光求めて高く草の花井松慈悦

  • 草の花終の棲家よ何故此処に今乃武椪

  • 渋顔のやや緩みしか草の花伊代ちゃんの娘2

  • 走り終え記念に妻へ草の花いわつよ8

  • 病む夫に摘めば儚し草の花植田かず子

  • 一隅を照らす心や草の花上野徹

  • 窓際の亡父の花器に草の花うさぎと

  • ラブレター先輩を待つ草の花うちだまみ

  • 団地ポストへチラシ千枚草の花靫草子

  • 轢かれた猫を通り越し草の花宇野翔月

  • 夜勤明け雨に打たれる草の花浦文乃

  • 草の花手折りて二日萎えにけり麗し

  • 逝くものの記憶を宿す草の花江川月丸

  • 草の花よくぞ続けし体操会S・葉子

  • バス停の列うつむきて草の花蝦夷やなぎ

  • 胡座かき人懐っこさ草の花越後縮緬

  • 草の花もつれあい前線通過江藤薫

  • 草の花鼻歌混じる風安し榎木田智子

  • 愛犬と散歩よくした草の花えみばば

  • 負へ波動放出させよ草の花絵夢衷子

  • 黄色やら白やら赤も草の花縁穐律

  • 休耕田おそるべき数草の花円美々

  • うずくまる生家の跡地に草の花大江鈴

  • 名ばかりのものの多しや草の花大岡秋

  • 草の花踏みて進みぬ軍靴かな大久保加州

  • 上京し草の花さえ見ぬ三歳大河内夏親

  • 寄る辺なくコンクリの割れ目に草の花大越総

  • 草の花連峰眺めにぎりめし大阪駿馬

  • 草の花我もかくあれ生き延びろ大島一声

  • 参拝の石段に咲く草の花大嶋宏治

  • 言の葉の理会の遅る草の花大津美

  • 亡き人を偲ぶ歩幅に草の花大野静香

  • ここにきた証となった草の花大野美波

  • 草の花朝の散歩にこぼす愚痴大原妃

  • 逆上がり励む子の背に草の花大原雪

  • 草の花愛でるあなたに浄化され大村朱希花

  • 摘むは易しそのままにする草の花大本千恵子

  • 草の花青空取り込む小花達大山小袖

  • そっと咲く草の花好んだ祖父に岡由紀阿希

  • 草の花明かりのごとく点々と岡崎蹊

  • 月曜のはやため息や草の花岡田瑛琳

  • 草の花踏まれる度に強くなり岡田恵美子

  • 草の花握った子の手緑たつ岡田ぴか

  • 草の花にぎってとびこむ母の胸おがたみか

  • 草の花五年ぶり会う元気色岡本

  • 初恋や並んで摘みし草の花岡本選魚

  • 星空を仰ぎ微睡む草の花奥寺窈子

  • 草の花天気になれと靴飛ばすおぐら徳

  • 歩道沿い朽ちたバス停草の花小栗福祥

  • 年寄りのブランチ草花の直売所尾座鬼

  • 寝ころべば隣りに草の花香りお散歩じいじ

  • 草刈り車去って静かな草の花お品まり

  • 草の花oneofthemの句沢山落句言

  • 草の花この瞬間咲くのは明日のためおでめ

  • 野うさぎが遊ぶ野山と草の花お寺なでしこ

  • 登園の子は手に父と草の花音羽実朱夏

  • 「気にするな」そっと囁く草の花小野寺さくや

  • 白髪とのっぽの影笑む草の花小野ぼけろうじん

  • ままごとに兄ちゃんもをり草の花帯壱

  • 草の花カタカナだけの祖母のメモおんちゃん。

  • とんとんと語る卒寿や草の花かいぐりかいぐり

  • 抜け道は神社の裏手草の花快晴ノセカイ

  • 草の花忘れていくが人の意地かえるL

  • 犬嗅ぎていばりかけらる草の花垣岡凡才

  • 手の平にくたびれ気味の草の花柿野宮

  • 誰よりも空は大きや草の花風花まゆみ

  • 事業主古希からの草の花ぴりけん

  • 赤白黄踏まれてつよし草の花かじまとしこ

  • 膝に傷薬草探す草の花花純

  • 決めた道日々繰り返し草の花片岡龍一

  • 草の花手折り如来へ供えたり桂田和京

  • 他所は他所うちはうちなり草の花勘解由小路白湯

  • 草の花しゃがみ眺むる子と母と加藤水玉

  • レントゲン影が焼き付き草の花加藤麗未

  • 藍洗う冷たき川の草の花叶田屋

  • 老父母と居るやすらぎや草の花かぬまっこ

  • 忘れじのひとに似ている草の花兼子さとみ

  • 長雨に打たれ草花惑う色金子真美

  • 採用の祝いの帰り草の花カバ先生

  • 墓参り路傍の草の花もそえ神谷米子

  • 散るまでは抜くこと待ちし草の花亀田稇

  • 生きているだけでお手柄草の花亀山逸子

  • 草の花片手に歩く残りたびカラハ

  • 草の花見事に咲くよ地方の野川口聡美

  • 教室のカースト制度草の花川端芙弥

  • 新築に惑わされるな草の花川村記陽子

  • 草の花念佛唱ふ防潮堤川村湖雪

  • 廃屋に繁茂すピンクの草の花カワムラ一重

  • かすかに揺れて「ここにいるよ」と草の花川村昌子

  • 草の花走る子供の誕生日神田優梨

  • 草の花尾瀬を彩り暮れてゆく樺久美

  • 路傍から天を見上げる草の花漢方十七錠

  • 霊園の外はぐるりと草の花季々諧々

  • 草の花弾けて巡る小宇宙木口まり子

  • 草の花田んぼの跡は駐車場季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 野生化を果たした栗鼠に草の花規田素乃子

  • 鼻唄のあいみょん側に草の花北岳醍醐丸

  • 国道の曲がりし草の花ぐぬぬ北村崇雄

  • 草の花名乗ることなく咲いている紀田有介

  • 草の花供えて弾むあの話木野まち

  • 散り際の色鮮やかし草の花木村かおり

  • ハードルを跳び越す先や草の花木村かわせみ

  • 牛曳いて帰る畔道草の花木村修芳

  • 野の花や走るトロッコ風を切る木村隆夫

  • すずめ来る垣根の隅や草の花木村波平

  • 大水の痕なんのその草の花きゅうせき

  • 病院はギャン泣き草の花そよぐ紀友梨

  • 野の花に等身大の我を見る教来石

  • 吾子の自転車練習や草の花清鱒

  • 廃墟墓場火事場跡に草の花銀溟さきのすけ

  • ままごとのご飯だったか草の花銀長だぬき

  • 目立たない民の生き様草の花草道久幸

  • 野の花で遊び呆けて日が暮れる楠田草堂

  • 草の花大きくしなりしぶとい楠美翠

  • つつましく生きてしあはせ草の花工藤遊子

  • 知れずとも皆かんばしや草の花國枝瞬山

  • 草の花ライアーハープを射す朝日曇ゆら

  • 草の花あるだけ植えて吾子恋し来ヶ谷雪

  • 遠ざかるなで肩の背な草の花紅さやか

  • 豆を挽き草の花飾り君を待つ黒瀬三保緑

  • 瓶にさし小鳥の墓に草の花桑田栞

  • 辻地蔵子ら供えしか草の花桑原和博

  • ユーミンも50周年草の花健央介

  • 草の花ひそかに生きて老いを知る源氏物語

  • 草の花うしろの小さきマーキングこいぬ

  • 草の花見えないものを見る力幸久

  • 草の花踏みそうよけてケンケンに康寿

  • 植えし覚えなけれど愛し草の花五雨論愚

  • 草の花今日は茶会の床の間に古烏さや

  • 草の花香水瓶におさまってコケコッコー

  • 認めよと咲くや歩道に草の花小杉泰文

  • 夕暮れのそば屋の灯り草の花小だいふく

  • 草の花袂惹くよに風に揺れ後藤方丈

  • 古民家の借景になり草の花小鳥乃鈴音

  • 目を細め箱座りの猫草の花小林のりこ

  • 草の花いちゃいちゃ揺れて命継ぐこまたれぶー

  • 歳重ね私はわたし草の花こむぎ

  • 里の香やサラダの中に草の花小山秀行

  • 食堂のカウンター席草の花五葉松子

  • 野仏に行き着くまでの草の花今藤明

  • かくれんぼ少女が踏みし草の花西條晶夫

  • 過疎村の昼のしづけさ草の花彩汀

  • 帰り道一緒に揺れる草の花さいとうすすむ

  • ファインダー電車とともに草の花齋藤鉄模写

  • 実になれば棘角喇叭草の花さいとうるち

  • 名前なんぞあってもなくても草の花宰夏海

  • ほうけたる母にぎりしむ草の花さおきち

  • 茅葺きに今は昔と草の花坂上一秀

  • 名は知れぬ千草の咲く地濡れし花坂島魁文@回文俳句

  • 草の花ちらほら咲て刈り残す相良まさと

  • 草の花ほら足もとに踏むまいぞ咲まこ

  • 草の花光鱗のごと道凪ぎるさくらあきじょ

  • 草の花「長いお別れ」読み返す櫻井こむぎ

  • 草の花大雪山の峰はるか櫻井紫乃

  • もう充分頑張りました草の花櫻井弘子

  • 草の花孫遊びゐるままごとに桜華姫

  • いとこ会いずれを見ても草のはな桜姫5

  • 草の花ベビーカーからのぞく足笹おいけ

  • マフィン焼く吾子やコップに草の花砂舟

  • 地蔵荒れ寄り添うのは唯草の花

  • ジョギングの疲れも癒やす草の花薩摩じったくい

  • 犬小屋の前に置かれし草の花佐藤しのぶ

  • 草の花負けるな固有種ここに有り佐藤俊

  • 退院の朝呼気ゆつくりと草の花さとマル

  • かりそめの笑顔の翳り草の花さむしん

  • 草の花微かに香る癒しかなさわだ佳芳

  • 君の黙胸さす夜に草の花桑港

  • ひたすらにただひたすらに草の花紫雲

  • 脇道の馬頭観音草の花紫瑛

  • 野仏の小瓶に咲きし草の花しかの光爺

  • 巡礼の一歩に力草の花四季彩

  • 妻退院ワイングラスに草の花じつみのかた

  • 図鑑にもデジタル機能草の花実本礼

  • あそこにもここにもあるぞ草の花芝G

  • 散骨はサステナブルか草の花縞子勾苑

  • アスファルト割き咲く草の花ここにしまのなまえ

  • 名も知らず明日までもつや草の花嶋良二

  • 草の花禍にまみえず母転院の朝清水容子

  • ウーロン茶の酔い冷ます風草の花霜月詩扇

  • 手枕の前思い見る草の花釋愚拙

  • カラミ煉瓦の精錬所跡草の花沙那夏

  • 草の花愛でて一生過ごしけり写俳亭みの

  • スーパーの店頭に咲く草の花じゃむぱん泉

  • 橋立の股のぞきまず草の花秀耕

  • 満面の笑顔はじける草の花朱康君

  • 大海のパヤオのような草の花種種番外

  • 犬の鼻嗅がられ揺れる草の花祥雲

  • 耳を掻く三毛の震わす草の花庄司しづく

  • 草の花愛しい愛の小瓶かなショートケーキ

  • 草の花よ国道の傍に祈る人白井佐登志

  • 名乗るほどの者ではないと草の花森牧亭遊好

  • 堆肥場の根際のらんまん草の花水佳

  • 洋花に負けるな我も草の花酔軒

  • をさな子のリュツクにゆれる草の花酔芙蓉

  • 底辺の吾の靴跡や草の花水蜜桃

  • 草の花訪うひとの疎らかな瑞陽庵

  • 草の花妻のひとみに星ひかる杉浦あきけん

  • 除草から逃れし一輪草の花杉浦真子

  • 草の花名前知らぬが仏様杉柳才

  • 草の花摘みし亜子の手露きらり涼風亜湖

  • 「私にも名前あるわ」と草の花鈴木暮戯

  • ランドセル放り転げた草の花鈴木もま

  • 草の花活き活き咲けり崖の上鈴屋いるか

  • 昼飯を父母と食べる草の花すまいる大王

  • 草の花あの日の母を語りけり諏訪次郎

  • 草の花写メール届く「生きてるぞ」静江

  • 老いぼれの犬鼻先に草の花晴好雨独

  • 野の花やグーグルレンズ向けて知る青児

  • 草の花墓場へ続く細い道勢田清

  • 隠しても証拠は残る草の花星夢光風

  • 幾千の涙ひろいし草の花関根杏華

  • いつよりか知らねどそこに草の花関根洋子

  • 草の花残し刈られる遊歩道瀬戸ティーダ

  • 野の花の故人をしのぶわが娘瀬野広純

  • ここにいるわ誰か気づいて草の花早春(SOSHUN)

  • 草の花皆の優しさあなたのせいそしじみえこ

  • リハビリで草の花見て空見上げ園蜩

  • 吟行きて立ち止まりては草の花

  • いつかは日比谷へわたしは草の花それいゆ

  • 夕暮れの橋脚にカビ草の花太閤検地郎

  • いつからか空き家となりて草の花大ちはる

  • 庭先のぽつんと一つ草の花大督

  • 薬効を静かに秘めて草の花平たか子

  • プリンカップ一輪挿しに草の花たかこ姫

  • 草の花我が子の得度見届けし高橋基

  • 島っ子やそこらじゅうみな草の花高橋久恵

  • 木漏れ日に草の花あり稚き手田上コウ

  • 他愛なき夢の畔に草の花滝谷朗

  • 停車場の小さきコップに草の花たくじょ

  • あるじ居ぬ庭野の花咲いた咲いた卓女

  • 愛犬の墓穴に草の花一つ竹内菊香

  • Googleに名を尋ねけり草の花竹内久雄

  • 球拾ふイチローもゐる草の花武田豹悟

  • 草の花鎌倉御家人夢の跡多胡蘆秋

  • 知らぬ間に百草の花柵越ゆるたすく

  • 気疎しや草花繁き考の庭鶴群

  • 草の花空に憧がれ地の星に橘春容

  • あの人は元気でいるか草の花田中紺青

  • 道路脇手入れされたる草の花田中洋子

  • 笑いあう白髪の姉妹草の花田中ようちゃん

  • 心細し五時限目の草の花たなべまるこ

  • 炊き出しの列に寄り添う草の花谷卓生

  • 踏みそうになり止まる足草の花谷口あきこ

  • 小さくも負けず輝く草の花谷口美奈子

  • 草の花野より映えしや李朝壺 旅女

  • 名も知らず草の花摘む幼かな玉井令子

  • 草の花「見っけ」が迫るかくれんぼタマゴもたっぷりハムサンド

  • 人住まぬ庭となりたり草の花たむらせつこ

  • 草の花バックダンスの帰路の酒ダンサーU-KI

  • 村を出づ個々に別れの草の花知恵さん

  • どの草もけっきょくすべて草の花千鳥

  • とぼとぼと旧街道を草の花ちゃあき

  • サブ6のランナーの友草の花 長楽健司

  • 畦道のランウェイ立つや草の花塚本隆二

  • プラ製のカップへワイン草の花月石幸

  • 龍泉洞草の花のみ知る祠つきのひと

  • 草の花たどり万超え万歩計つきのみう

  • 草の花雨粒纏いきらめけり月待小石

  • 匠座す切り株に添う草の花月見里ふく

  • 流れゆく雲のゆるやか草の花柘植雅一

  • ふらついて腰を下せば草の花つこささ

  • 帰り道朝日に映えて草の花辻ホナ

  • 野の花や風車は海に回転す対馬清波

  • 草の花色々あれど凛として辻本四季鳥

  • 一服の腰の隣に草の花土屋ひこぼし

  • 父逝くや散歩の白い草の花椿律

  • ペダルより跳ねたる足や草の花弦欧淹

  • 踏まれても形残るや草の花鶴富士

  • 少しだけ連れて帰ろふ草の花寧陪禰

  • 草花も集うよ母の墓前祭手嶋錦流

  • 草の花予選駆け抜け箱根路へ哲山(山田哲也)

  • 偶然×(かける)必然=(は)草の花てつてるよしき

  • 重機去りなお此処に在る草の花徹光よし季

  • 自分には無理と思ひき草の花手毬まりこ

  • 水桶重き墓参の坂に草の花輝由里

  • 薔薇よりも草の花愛で母の庭どいつ薔芭

  • 幼の指ほんのり染まる草の花

  • 犬が糞散歩の土手に草の花道見りつこ

  • 鹿罠に至る道々草の花遠峰熊野

  • いくつもの出逢ひありけり草の花とき坊

  • 草の花地平線の果て赤色徳庵

  • ゲートルの行軍泥濘草の花どこにでもいる田中

  • 風ゆれて視線いちいち草の花としなり

  • 目立たなく我が人生は草の花戸田静雄

  • 夕散歩犬に連れられ草の花杼けいこ

  • 草の花猫と娘が笑ってるどてかぼちゃん

  • 草の花小さき手のひらから三つ 戸根由紀

  • 草の花今日で三日目朝散歩鳥羽せつこ

  • 白装束刀を添へて草の花とはち李音

  • 人の行く道だけ空けて草の花冨川友香理

  • 胸の児の小さき寝息や草の花戸村友美

  • テーブルに小ビンに生けし草の花とよ

  • この店も値上げしてるか草の花鳥田政宗

  • 百均の小さきグラスに草の花とわずがたり

  • 陵を巡りて半里草の花豚々舎休庵

  • 車椅子の犬もはしゃぐや草の花内藤清香

  • リメイクのシャツでお出かけ草の花内藤未来仁

  • 未だひとつ出来る事増ゆ草の花内藤由子

  • 人生や路肩にて咲く草の花naoki

  • いつの間にそよそよ香る草の花中川新潟

  • 草の花村の太鼓も響く頃中嶋和久

  • 野の花や咲くのか遠き戦禍の地中嶋京子

  • 裾飾る立ち小便の草の花中島隆

  • 道の辺に踏まれてもなお草の花中嶋緑庵

  • シニアカー車輪の下の草の花中瀬すみっこ

  • 前を見て僕がいるよと草の花中村こゆき

  • また其処に咲いていたのか草の花中村あつこ

  • けもの道君待つピンクの草の花中村ぴとみ

  • 草の花ウクライナにもロシアにも中山由

  • 草叩く傘の子赦す草の花夏雲ブン太

  • 草の花千の喜び匂ひけり夏空なみ

  • 夕暮れの土手にすわれば草の花夏野あおのり

  • 草の花宿る名も無き命たち夏目十貫

  • 夕闇の熾火の照らす草の花七国独楽男

  • 埋められし池に祠と草の花菜々乃あや

  • ああ母校少子化過疎化くさの花浪速の蟹造

  • 淡々と日々の暮らしを草の花名前のあるネコ

  • 寝不足の目にふわふわと草の花鳴滝いたち

  • 急ぐ道一緒に急ぐ草の花新美妙子

  • それぞれに愁ひやあらむ草の花西尾至雲

  • 草の花摘んで家路の女の子西尾照常

  • 歴史旅仏閣飾る草の花西谷寿

  • 日活の純愛コンビ草の花西村小市

  • 草の花乱獲されておままごと二重格子

  • 草の花踏みしだかれて杣道やにのまえはじめ

  • 草の花キウスに吹く風はやわし庭野環石

  • 草の花ルージュの伝言スマホからねがみともみ

  • 無音の細雨草の花の淡々ねぎみそ

  • 初舞台子の成長や草の花猫野ふく

  • 子には子のブーケあるらし草の花野中苦泉

  • 裏庭やどんどん喰らう草の花野中泰風

  • 草の花ほほえむ地蔵あい間からののふく

  • 出棺を見送る路傍草の花野原蛍草

  • 草の花佇む先の赤子かな稗島塗小太郎

  • 靴ひもにじゃれて遊ぶは草の花袴田ひかり

  • 東雲やいつもの路地の草の花白咒と蒸しエビ

  • 名も知らぬ草の花ほど根の強しはごろも856

  • 草の花握り幼子図書館に来る橋爪利志美

  • 草の花握って初孫病室へ波止浜てる

  • ウイルス禍どすこい我は草の花馬笑夫

  • 草の花妙に懐かしクラス会長谷島弘安

  • 草の花探す散歩で一万歩初野文子

  • 庭の墓標ピンクに染める草の花花岡浩美

  • 草の花飾れば虫のシャカシャカと花岡淑子

  • 薙ぐ風に依る雀添う草の花華樹

  • 草の花混ぜて色良く籠の中花弘

  • 通学路母へのみやげ草の花花咲みさき

  • 草の花そよぐ老犬のほほえみ花咲明日香

  • 草花やシャッター街に親子猫はのん

  • 道端に名もなき主張草の花羽馬愚朗

  • 草の花母の教えし名のありてはむこ

  • 草の花認知の母のフラダンス林省造

  • 足もとの小さきそよめき草の花林田リコ

  • 激戦の街にポツリと草の花原島ちび助

  • 草の花一人夜道を歩きけりharu_sumomo

  • 駆け回る吾子とスピッツ草の花晴菜ひろ

  • 草の花ゆれる頭上の老細胞榛名ピグモン

  • 何処へ向く指の曲がりや草の花万里の森

  • 化野の石仏囲む草の花ひーたん@いつき組広ブロ俳句部

  • 青い空猫の絨毯草の花ひーちゃんw

  • 草の花土に抱かれる根の有りて東津村流坊

  • 廃校のブランコ脇に草の花東原桜空

  • 草の花摘みし孫らの咲(ワラ)ふ朝ひぐちいちおう(一応)

  • 雑草とふ草なし千草の花ざかり樋口滑瓢

  • 泣きてなほ種を飛ばすや草の花ひすい風香

  • 天変地異ありてその地の草の花ひな扶美子

  • 草の花しゃがみ込む子の背の丸み向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • 草の花踏み間違えて胸痛みひめりんご

  • 幸せの中に寂しき草の花日向守順子

  • 庭の辺に引かず残さむ草の花平井千恵子

  • 噺家の訃報かけぬけ草の花平岡梅

  • 愛らしさ気づき微笑む草の花平岡花泉

  • 強さゆゑ香りは要らじ草の花平野孤舟

  • 投函の足下楚々と草の花平林政子

  • 草の花靴ヒモ締めて登坂平松一

  • スカイツリー曇天重し草の花川辺和香

  • 草の花撮り送りたき友のいて昼寝

  • 草の花網持つ子らに踏まれおり廣岡好優→俳号:釋愚拙

  • 気取らずにおふくろの味草の花FUFU

  • 握った手右と左に草の花深蒸し茶

  • 風を切る野の花歌うランニング深谷英丸

  • 草の花一輪挿しに収まらず福川敏機

  • 嵩押さえプラごみ奥に草の花福田みやき

  • 屋台車の影に真白の草の花福弓

  • 失恋の似合ふ女よ草の花袋小路綴乃

  • 草の花残し草刈る老農夫藤井弘子

  • 明けぬれば光る玉抱く草の花藤井眞おん

  • 迂回路の道を超え行く草の花藤川鴎叫

  • 窓の外庭いっぱいの草の花藤川哲生

  • 見渡せば風にたなびく草の花藤川雅子

  • 庭掃除抜くか抜かぬか草の花藤田陽太

  • 草の花夫連れ出し朝散歩藤田充子

  • 寝転んだ君の髪から草の花藤永桂月

  • 幸あれかし名もなきひとに草の花布施無門

  • 渡し舟キラキラ揺れて草の花双葉@あさ葉会

  • 愛らしき草の花は私のテーマ布野悠乃

  • 草の花遠回りする帰り道冬野とも

  • 極相の子らよ路傍の草の花ふる雲

  • 草の花レンズ選びの難しさ古澤久良

  • 廃屋の傍で煌めく草の花ヘッドホン

  • ベランダの鉢植え草の花だらけへなけん

  • 草刈りの跡一輪の草の花ベニヤサン

  • 朝日浴び水やる松に草の花鳳凰美蓮

  • 迂回して草の花愛でて家路行くほうすい

  • 草の花君の足下猫二匹房総たまちゃん

  • 野の花よ我が人生もかくあらん墨純

  • 亡命す野より床まで草の花ほこ

  • 草の花こっそり罠やトゲの種星雅綺羅璃

  • 厚底の吾は魔物なり草の花星詩乃すぴか

  • 厚底の吾は魔物なり草の花星詩乃すぴか

  • 草の花タコとパンダを焼くお店星野はいかい

  • 孫と来て孫のため編む草の花堀籠美雪

  • 失業の届けて明日は草の花凡句楽直

  • 婆となり心あそばす草の花本間美知子

  • 介護へと走る車窓に草の花凡狸子

  • 立ち話復活候草の花茉叶

  • おやそんなところに咲くの草の花真壁かん

  • 草の花踏みしめ行けば戻る影真喜王

  • 境内に占い二軒草の花牧野冴

  • 太古から変わらぬが良し草の花牧野敏信

  • 草の花ゆるしたくさの放し鶏正岡丹ん

  • わかれうた元気でいてね草の花雅蔵

  • チェアリングの香るコーヒー草の花増山銀桜

  • 名も知らず雑草と呼ぶ草の花増田華蓮

  • またここでゲームオーバー草の花魔星蟲ダークネスライザーI世

  • 見舞客送りし後の草の花またあ

  • 草の花泣くことできぬ子守かなまだらめ

  • ひっそりと隅で愛嬌草の花松井研

  • ただいまとひっつき虫と草の花松浦ののふく

  • 悔い多き生を思ほゆ草の花松岡玲子

  • 放棄地の主公と成りぬ草の花松尾祇敲

  • 垣根越し今年八十路の草の花松尾美郷

  • 道端に咲く草の花スマフォ撮り松尾老圃

  • 旅先のここにも咲くや草の花松川梅子

  • 晩学の俳句雑詠草の花ふくじろう

  • ひと駅を歩き得する草の花松本俊彦

  • 草の花露に映しておもたげに松本牧子

  • 草の花去年の鉢にこぼれ種茉莉花

  • 草の花三毛の親子がつゆはらい招き幸運

  • 駆け落ちはいつか指切り草の花真冬峰

  • 空晴れて草の花蹴り子は走るまほろば菊池

  • 青空に雲ばかり見て草の花まめばと

  • 峠より盆地の底へ草の花まやみこ恭

  • 風の音妹の声草の花瑪麗

  • 草の花見入りひろがる小宇宙真理庵

  • 廃線の踏切り跡の草の花マロ爺

  • 人待ちて足元みれば草の花三浦ユリコ

  • 草の花重なりあいて暖をとる三日月なな子

  • 廃墟なる生家の屋根の草の花三上栞

  • 野の花や笑いさざめく寡婦四たり三島瀬波

  • Z世代スマホでサクッと草の花MR.KIKYO

  • 散歩道舗装の割れ目草の花水谷豊海

  • 虫日浴び蜜を占有草の花水乃江辰

  • 木漏れ日と照葉の会話草の花光子

  • 草の花はっ!と気がつき手を止める湊 かずゆき

  • 草の花リフトで下る高尾山見屋桜花

  • 送り人のやさしき手と目草の花みやざき白水

  • アスファルト縁取り続くや草の花宮原みかん

  • 杖ついて草の花摘み子に持たす雅乃珠晃

  • 草の花散歩の列の伸び縮み宮部里美

  • 溝そうじ抜かずに残す草の花美山つぐみ

  • 嫁ぐ子にめでたく寂し草の花宮村寿摩子

  • 轍跡踏まれてもなほ草の花宮村土々

  • 草の花汚れ輝く作業服宮本モンヌ

  • 顔色を伺ふ夜雨に草の花

  • もう一度駆けてごらんよ草の花みわ吉

  • 草の花ハローワークの道すがら霧想衿

  • 草の花うちの花壇に紛れ咲く睦月くらげ

  • 一人旅道に迷ひて草の花むねあかどり

  • お疲れさん老舗旅館と草の花村先ときの介

  • 置き去りの自転車覆い草の花村のあんず

  • 草の花スマホ翳して知る名かな村松登音

  • 草の花摘みし母への袖土産恵のママ

  • 葺き替へし茅煌々と草の花毛利尚人

  • けんけんとじゃんけんのこえ草の花

  • 馴染みなき駅に降り立つ草の花如芽一時

  • 大姫のお堂の供花や草の花モギナオミ

  • 草の花忘れてしまいたいことも茂木りん

  • 昇る陽をふるえて臨む草の花木曜日

  • 草の花「らんまん」待ちて予習して本山喜喜

  • 草の花愛でて素直な恋を知る樅山楓

  • 普段着の似合ふ娘や草の花もも

  • 草の花さやか君との帰り道ももくりかんきち

  • 還暦も仕事の一日草の花百瀬つきか

  • 変わらぬ朝君の声よ草の花もり葵

  • 特売を待つ列そよぐ草の花森居独人

  • 電子化に古き書ありぬ草の花森海まのわ

  • あんたにはストレスないか草の花杜若友哉@はなばた俳句会

  • 電話口耳遠し母草の花諸岡萌黄

  • 廃屋をひそと囲みし草の花焼津昌彦庵

  • 正当化にまさる良心道の花八重葉

  • 暖色の絵の具減りけり草の花薬膳容子

  • 草の花踏まれて強しまた起きるやずさん

  • 夜深きビルの明かりは草の花野生の栗

  • 草の花マスクの下に薄き紅痩女

  • また補欠道路の隅に草の花柳井るい

  • 病室のカーテンぎゅっと草の花柳川耀一郎

  • 登園時道草さそう草の花柳荷無花果

  • 精一杯雑草と生きる草の花やのかよこ

  • 草の花はじめて眼鏡を掛けた日矢橋

  • 茎細く飛んでる如し草の花山口笑骨

  • 生け垣を越えて伸びたる草の花山口香子

  • 草木塔囲むは野辺の草の花山口雀昭

  • 草の花仲良く出入り塞ぎゆく山崎かよ

  • 草の花猫の名呼びてまた泪山育ち

  • 濡れ渡り咲いて幽けき草の花山田季聴

  • 先づ尋ぬ今日の天気を草の花山田啓子

  • 賑やかな句会の火照り草の花山田はち

  • 思い出に心揺さぶる草の花山田文妙

  • これなあに鼻に押し当てる草の花山野花子

  • 華でなく草の花だと占い師山本康

  • 磨きあげ明日墓仕舞い草の花山本たか祥

  • 会わぬ日も照らしておくれ草の花山本裕之

  • 介入で動く為替や草の花優木ごまヲ

  • 花穂も実もみなないまぜに草の花柚木みゆき

  • ガーゼ噛む歯茎重きや草の花ユ綺

  • 恐竜も嗅いで食べたか草の花雪井苑生

  • 白じらと競馬場にも草の花雪ノ下青観

  • こっそりと風と踊るや草の花柚木啓

  • 草の花そろそろカバン下ろすときゆりのゆき

  • 日課ランおはよ!水滴草の花ゆるランナー

  • 除草剤逃れし草の花と居る宵猫

  • あの人は少女のままね草の花陽花天

  • 下校時は戯れていく草の花陽子

  • 独り居の気ままな日々よ草の花陽光樹

  • じゃじゃ馬に赤きベベ着せ草の花陽のばぁば

  • 街路樹の隙間にいずる草の花夜香

  • 高速の高架の下や草の花横田信一

  • 草の花手に取る吾子の嬉々として吉哉郎

  • 赤子にはママに名はなし草の花吉川拓真

  • 荒れたるる庭もそれなり草の花好子

  • 動物あいごが夢なの草の花吉田結希

  • おむすびをほおばる吾子や草の花よした山月

  • 久々の実家を彩る草の花吉田びふう

  • 抜け路の野良猫隠す草の花よしだわさび

  • お見舞いの花たば子らの草の花吉藤愛里子

  • 草の花そろそろお茶にしませうか吉本百花

  • 母ちゃんの耳たぶキラリ草の花よみちとせ

  • 年かさね目を遣る先は草の花Y・りこ

  • 自己採点束ね持つ手の草の花楽和音

  • 草の花母と私の心理戦らりっく

  • 草の花追っかけ伸びる万歩計麗詩

  • 近道を憚らせたる草の花烈稚詠

  • 草の花ブックカバーと待ち時間煉獄佐保子

  • 通勤も今日を最後の草の花連雀

  • 廃線や足にまつわる草の花蓮風

  • 次つぎと童が過ぐる草の花若林雛げし

  • 頂点をめざして競う草の花わきのっぽ

  • 孫ら皆冠作る草の花海神瑠珂

  • 草の花に呼ばれ小徑に迷いおりわたなべすずしろ

  • 夜の猫丸顔寄せし草の花わたなべいびぃ

  • 「さらば」「さらば」去り行く友へ草の花渡辺香野

  • オスマンと解体終へて草の花渡辺桃蓮

  • 子を探し惑いて踏まん草の花渡辺ヤスコ

  • 雨上がりしやんと陽を受く草の花渡辺陽子

  • 草の花負けず嫌いの三歳児渡邉わかな

  • 愛犬を彩る草の花たちよ和の光子

※今月の入選作品の発表で、12月12日まで多くの作品が掲載されていませんでした。お詫びいたします。

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増え、混乱が生じています。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
 皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。


●俳句の正しい表記とは?

  • 風に酔う 揺れ散りながら 草の花宗月

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●文字化け…

  • ?りつけ風の淋しき草の花あらら
  • ?泣きは今日でやめます草の花獅子蕩児

 投句サイトにおける文字化けは、ちょっと不可抗力な……残念。


●兼題とは

  • 義弟さま過度な援助で五十肩あまのじゃく
  • 失恋の秋空いた右手に缶コーヒー王様先輩
  • 花野行く好きも嫌いもある人と白玉みぞれ
  • 落ちてこい小さな手と母新松子鈴木麻奈
  • ちよつとしたパーティーのあり猫ぢやらし吉村おもち
  • 雪だるま溶けて盧生の夢枕よっしー

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は季語「草の花」での募集でした。次回兼題を確認して、再度挑戦して下さい。

  • 君と見た名知らぬ花や手のぬくみいずみ節子

 「草の花」をイメージして作った句だとは思いますが、「草の花」という季語をしっかりと入れる必要があります。


●季重なり

  • 草の花ついばむ蝶やいとほしき藤川カモメ

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。

  • 草も花抜くなと姉に百舌鳥の声乙姫雪

 上五の「も」は、「の」の入力ミスでしょうか。季重なりの匂いがプンプンしています(苦笑)。

  • 生まれすぐ立つ馬の仔や草の花松田慶一

 「仔馬」「馬の仔」は春の季語です。

  • 懸垂のコブの爽やか草の花和光

 「懸垂のコブ」と「草の花」の取合わせはよいと思います。ただ、「爽やか」が秋の季語なので、そこが勿体ないですね。

  • 野の花のあわひの蛇の匂ふかな片山蒼心

 佳い感覚の句だと思います。が、この発想を活かすとすれば、主たる季語を「蛇」として推敲したほうが、より良い句になりそうです。


●季語深耕

  • 木の枝につる草の実の首飾り飯田むつみ
  • 近路の水田の畦芹の花河上輝久
  • 忍び逢ふブーケ湖畔の秋の花抹茶子

 「草の実」「芹の花」「秋の花」などは、季語「草の花」とは、違う季語です。

  • 祖父逝きぬ千草の花の芽吹くころ齊藤巻繊

 「千草の花」は「草の花」の傍題ですが、下五「芽吹く」となると、ここで季節感に狂いが生じます。「芽吹く」は春の季語です。

  • 母のため野花摘む子の爪に土高石たく
  • 「草の花」読んで野花の小さき知る樹魔瑠
  • 仏壇に孫が供える野花かな佐竹草流

 「草の花」の五音が入らなったから、「野花」三音としたのでしょうか。どこかのネット歳時記に、こんな傍題があったのでしょうか。音数調整ができないからといって、安易に傍題(らしきもの?)に頼るのではなく、「草の花」をきちんと入れるためにはどうすればよいか。その工夫に力を注いでみましょう。それこそが、俳筋力のトレーニングです。
 例えば、一句目であれば……

  • 【添削例】 子の爪に土母へ摘む草の花

「子の爪に土/母へ摘む草の花」斜め線のところに意味の切れ目があります。こうすれば、作者の伝えたいことはそのまま伝わりつつ、「草の花」も生きますね。
 俳句は、言葉のパズル。さまざまなアプローチを学んでまいりましょう。


■悩ましい句たち

  • ハナノハも首をかしげる草の花ガラクタケータイ

 この上五は、花判定アプリ「ハナノナ」の入力ミスでしょうか?地方によっては樒を「ハナノハ」とも呼ぶようですが……。

  • 草の花は老杉と実のない話三尺玉子

 草の花が杉と話をしている? という意味でしょうか。そのあたりが、ちょっと読み切れなくて……。

  • ごんぎつね悪戯す日の草の花清水三雲

 中七「悪戯す」は、「日」に接続するのではないかと思うのですが、「悪戯す」が終止形で切れてしまってます。
 「悪戯する日の」とするか、音数調整して「悪さする日の」とするか。そのあたりを推敲してみましょう。

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10月の兼題

「秋の暮」

過去の審査結果

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