夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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7月の兼題

「盆」

※発表日が20日に変わりました※

3月の審査結果発表

兼題「燕(つばめ)」

春彼岸の頃に南から渡ってきて、秋彼岸の頃に南へ帰っていく鳥。
渡来時の新鮮な印象があり、見かけると春の季節を満喫したような気持になる。

3月の兼題『燕』は前回を大きく上回り、2,743句いただきました。毎月投句いただき、本当にありがとうございます。
4月の兼題は夏の季語『こどもの日』です。入選を目指してぜひチャレンジしてください(編集部より)

入選作品は「天」「地」「人」「佳作」4段階で評価します。

天
しわくちゃな朝を延ばして燕くる

宙のふう

夏井いつき先生より

「燕」と「朝」は、気持ちのよさという意味で相性がよいのでしょう。朝の燕を描いた句は沢山あります。一種の類想といってもよいでしょう。類想とは、逆の考え方をすれば大いなる共通理解。この句は類想を土台としつつ、「しわくちゃな朝」という比喩でオリジナリティとリアリティを獲得しています。「燕」がしきりに行ったり来たりしているのは、「しわくちゃな朝」をアイロンのように延ばしているのだよという発想の明るさ。「しわくちゃな朝」とは慌ただしい朝のことでしょうか。しわくちゃな気持ちで目覚めた朝かもしれません。比喩の解釈が縦横に広がっていくのもこの作品の魅力。「燕」の動きを映像として見せる比喩の使い方も見事です。

地
残像の燕と燕飛び違ふ

樫の木

「燕」の動きを「残像」という言葉で描写した句はありますが、「残像の燕」と実像の「燕」を映像として描いた点がさすがです。下五「飛び違ふ」のさりげない複合動詞が動きを活写しています。

そこに壁あるかに燕ひるがへる

亀田荒太

動物の一物仕立ての難しさは、動きや生態をどう映像化するかという点です。「そこに壁あるかに」という把握が「燕」らしい独特の動線を表現。「壁」と「燕」のみを漢字にした表記もよいですね。

削りたての鉛筆眩し朝つばめ

ほろろ。

取り合わせの技を成功させるためには、季語と季語以外の部分を繋ぐ接点が必要です。この句では「眩し」の一語がその働きをしています。一年生の最初の朝かな。「つばめ」の動きも眩しい朝です。

つばめつばめ友人はみな大企業

或人

春に渡って来る「つばめ」。春になる度に去来する「友人はみな大企業」という憂い。「つばめつばめ」の呼びかけに入り混じるプライドとコンプレックス。こんな呟きも詩にしてしまうのが俳人の力。

怒号してここは燕の来ない家

海老名吟

「燕」がいないことで「燕」という季語を描くという考え方もあります。「怒号」が聞こえてくる「家」、その軒に燕の巣はない。「ここは燕の来ない家」と断定することで詩を生み出すのが俳人の感性。

人
  • 初燕もの干し竿を拭いておく古田秀

  • つばくろに起こされ風の新たなり古田秀

  • 開幕の前夜燕は戻つたか古田秀

  • 四度目の英検二級つばめ来るはまのはの

  • 坂道の先は青空初つばめはまのはの

  • 燕来る人は必ず立ち上がるはまのはの

  • A#の音で空切る初燕宙のふう

  • つばくらめ哀しい海をいくつ見た宙のふう

  • 晴天や燕の来たる駐在所海老名吟

  • 結婚の決め手は軒にいた燕海老名吟

  • 幾度も泥田ついばむ燕かな樫の木

  • まだ硬きキャッチャーミット燕来る樫の木

  • 燕来るブラック企業で生きていく或人

  • 燕見上げる退学が決まった日或人

  • 燕来てよりの晴天けふ三日いまいやすのり

  • 新任のお巡りさんと燕来るいまいやすのり

  • 縦横に空を広げる燕かなうさぎまんじゅう

  • 閑谷の論語の講義つばくらめうさぎまんじゅう

  • 燕来るそしたら水を汲んでくるうどまじゅ

  • 僕だけ入賞できず燕が来て来て来てうどまじゅ

  • 夜燕やいづこの神も子を抱かむきゅうもん

  • 新宿も裏はさびしき夕燕きゅうもん

  • つばくらめ掠めているは陽の欠片

  • 放課後をきゅーんと燕きゅんと胸

  • つばめ来ぬ積木の崩れさうな家あまぶー

  • つばくろや母でゐてやること大事あまぶー

  • 燕切る空定年も悪くなし葦たかし

  • 左目の手術二時から初燕葦たかし

  • 燕来るヘッドハントの打診来る多々良海月

  • 甲板を燕のよぎる帰還かな多々良海月

  • 守備位置を下げればつばくらめ一瞬ふるてい

  • 夕燕ポストに請求書あまたふるてい

  • 白き毛の少し乱れてつばくらめみかりん

  • マンションの杭打ち始むつばくらめみかりん

  • 青空といふ急坂を燕来る可笑式

  • 波に濡るる十六羅漢やつばくらめ可笑式

  • 百年の梁へ一閃つばくらめにゃん

  • 漣を生み出し朝の燕来る にゃん

  • 影ひとつ置き去りにして夕燕古瀬まさあき

  • つばくろや唄のきこえる家に棲む古瀬まさあき

  • 佐渡という豊かな死に場つばくらめ綱長井ハツオ

  • つばくろは潮騒の糞潮風の尿綱長井ハツオ

  • 蒙古斑うすくなりけり燕来るいさな歌鈴

  • 米問屋は姉さん女房つばめ来るいさな歌鈴

  • 通勤の空広くなり燕来るくま鶉

  • 南国の果実のかほり燕来るくま鶉

  • ひこうき雲か燕が裂いた痕かさとけん

  • つばくらめ空に迷路はなかりけりさとけん

  • スキー場の閉鎖看板初燕じゃすみん

  • 百人の村の選挙や燕来るじゃすみん

  • 口中に愛のかたまり燕すみ

  • ジャグリングのピンの行跡飛燕かなすみ

  • 燕来るフランスパンの屑尖るすりいぴい

  • 燕来るペーパーナイフてふ律儀すりいぴい

  • 本売った金で本買うつばくらめせり坊

  • 燕飛ぶ天使のおしり甘いかいせり坊

  • 乙鳥や海に沈みし街ありてとかき星

  • 絵葉書に女王の切手燕来るとかき星

  • 仕舞屋となつたばかりや燕来るはむ

  • サフアイアは波打ち際に朝燕はむ

  • つばくらや良きこと続く旅の靴みなと

  • ふるさとは既に亡びぬ朝燕みなと

  • 鍵盤を統べる指先つばくらめみやこまる

  • 公園に移動図書室夕つばめみやこまる

  • 蒼穹へ光弾いてつばくらめみやこわすれ

  • 酒蔵の杉玉青しつばくらめみやこわすれ

  • コンビニは選挙事務所に燕来る安部さくら

  • 燕来る背に聞く教会の鐘の音安部さくら

  • 駅舎には祖父の扁額燕来る伊予吟会宵嵐

  • 燕来る日本にモスクありにけり伊予吟会宵嵐

  • 黒板をしゅわりと消せばつばくらめ一斤染乃

  • 燕来る電波時計に波の音一斤染乃

  • 引越しの荷解き終わりぬ初燕宇佐美好子

  • つばくらや土あしうらに柔らかし宇佐美好子

  • 飛行機を抜くヘリを抜く燕かな塩谷人秀

  • 残像の奥もつばくろその奥も塩谷人秀

  • 店流れて八年経った夕燕花紋

  • 生温き日本列島つばくらめ花紋

  • 社宅暮らし燕と我ら百世帯馨子

  • つばくろや観察記載る社内報馨子

  • 取り壊す小さなホテル燕飛ぶ亀山酔田

  • 燕来ず再開発という町よ亀山酔田

  • いつこうに減らぬタンメン軒燕久我恒子

  • つばくらめ講堂で聴く「新世界」久我恒子

  • 空っぽの部屋に鍵かけ燕来る宮部里美

  • 巣に躰伏せて睨める燕かな宮部里美

  • 初燕原発のタービン静か桑島幹

  • 初燕地軸はいつもブレが無く桑島幹

  • つばくろの一閃沼の虫捕らふ紅さやか

  • フィリピンの熱孕みたる初燕紅さやか

  • 武者返し吹き抜けゆくやつばくらめ佐藤儒艮

  • 二の丸はテニスコートぞ燕来る佐藤儒艮

  • 今朝の空すでに燕の空となり彩楓(さいふう)

  • 掌に新居の鍵や初燕彩楓(さいふう)

  • 何にでも平成最後つばめ来る三茶

  • 燕来る牛舎の梁を予約済み三茶

  • 燕飛ぶ性善説の揺らぐ朝七瀬ゆきこ

  • 燕来る正しき青を引っ提げて七瀬ゆきこ

  • 半ドンの父を待つ駅つばめ飛ぶ若井柳児

  • 拾円玉にぎる駄菓子屋つばめ来る若井柳児

  • つばめつばめ八百八橋くぐり来よ小川めぐる

  • 石英を拾ふ河原や初燕小川めぐる

  • 過疎のバス待てば快晴燕二羽小川弘志

  • つばめつばめ我が心臓も鉛なり小川弘志

  • 平成の轍に朝日燕飛ぶ小倉あんこ

  • 夕燕商店街の歌謡曲小倉あんこ

  • 燕です確かなルート知ってます城内幸江

  • 紙で手を切られるやうに燕来る城内幸江

  • つばくらめ帳場に古き大福帳清島久門

  • つばくらめ一気に日向灘へかな清島久門

  • つばくらや百均でモノそろえます青海也緒

  • 慣れた手が燕の糞を流しけり青海也緒

  • 今一瞬飛燕の影を見たような村上敏子

  • 遮らぬ光りを斬りてつばくらめ村上敏子

  • 燕待つ恋の便りを待つやうに大久保響子

  • フクシマとカタカナ表記燕来る大久保響子

  • 水彩画めきたる朝のつばくらめ中岡秀次

  • 水たまり朝を映してつばくらめ中岡秀次

  • 鯨幕たたむ夕暮つばくらめ中原久遠

  • 赤チンの沁みるくるぶし夕燕中原久遠

  • つばくらめ子には親しか居らぬのに冬のおこじょ

  • 空の無制限より燕の来たる冬のおこじょ

  • 石臼に水の満々燕来る藤井茂

  • いと白き燕のまりや金婚式藤井茂

  • 学ランのたらたら無言群燕尼島里志

  • つばくらや一本ずつのモノレール尼島里志

  • 低空を燕や犬のお葬式播磨陽子

  • 弾痕のモスクや燕濡れてをり播磨陽子

  • 防人へ届けたき詩つばくらめ白よだか

  • 燕飛ぶ祝詞を天へ運ぶかに白よだか

  • 幾千の汚染水槽燕の滑空白水

  • 飯館の廃屋に番う初燕白水

  • 妊活を終え夕空の燕かな白瀬いりこ

  • 不採用通知をついばむ燕白瀬いりこ

  • つばくらや巌流島へ発つ渡船八幡風花

  • レプリカの人間魚雷つばめ来る八幡風花

  • 町内に燕よる家よらぬ家板柿せっか

  • 農協にふりこむ学費初燕板柿せっか

  • 燕くる息子に嫁がこない家比々き

  • 清め塩はらふ戸口や夕燕比々き

  • パサージュのツバメ過疎地のつばくらめ文月さな女

  • タンク車に映る青空つばめ来る文月さな女

  • 針千本呑みて燕は高く疾く北野きのこ

  • うそ吐けば空に螺旋を繰る燕北野きのこ

  • 燕来る廊の硝子を篤と拭き椋本望生

  • ジャワの波ひつぱつて来いつばくらめ椋本望生

  • 難聴の微笑燕の声かすか夜川あみど

  • 燕来て国会前のデモの旗夜川あみど

  • 守備につく外野は二人朝燕野地垂木

  • 牛の背をかすめ燕の淡き空野地垂木

  • ペンギンの見上げる空を初燕唯我独善

  • ひらがなのちゅういがきありつばめのす唯我独善

  • 麻雀の帰りの風呂屋燕来る有瀬こうこ

  • 燕来て代返のきく法学部有瀬こうこ

  • 仕舞屋と知らず燕の来たりけり有本仁政

  • 燕来て半年分の町会費有本仁政

  • 燕来るジグザグ海を縫い縮め鈴木由紀子

  • 燕飛ぶ道にかかえる新作パン鈴木由紀子

  • つばくらめ地球に国境ある不思議露砂

  • 良き土と良き水の国つばめ来る露砂

  • 燕来る防災頭巾新調す惑星のかけら

  • 箱ひらく鞄の匂い燕来る惑星のかけら

  • この家に待つひとの居て燕来る朶美子

  • 燕また反りて服部時計店朶美子

  • つばくらめ風の仲間となる心地蓼科川奈

  • 側転をして見る世界つばくらめ蓼科川奈

  • 東京のきれいな夕日つばくらめあつちやん

  • 燕鳴く朝陽がみづのやうであるほろろ。

  • 燕来る水平線の匂ひさせあまぐり

  • 鬼瓦今年も燕と会ひにけりQさん

  • 燕や指を無尽に回るペンあいだほ

  • トラックへ荷を運び終へ初燕あさ奏

  • 左手で名前が書けたつばめ来るあらあらた

  • 五線譜のショパンのごとく燕飛ぶいのり

  • ビル裏に朽ちしかんばん燕くるおひい

  • 「癌です」とひとごとのやう燕来しおへま

  • 燕来るフォークダンスの男役おぼろ月

  • 燕二次関数は嫌いですおんちゃん。

  • 天も地も自動ドアも知る燕カオス

  • 帝都焼け沈む大和や燕来るぐずみ

  • 槌音のなほ絶へざるや初つばめくりでん

  • 燕来る児童二人の通学路くるめ絣

  • つばくらめ肩より街の風を生むクロエ

  • つばくらめ飛べる低さを競いけりけーい○

  • つばくろよ異教の友は健やかかケンG

  • 「つばめつばめ」唱える吾子を肩車こばやしまき

  • 玄鳥よ愛をあげやう去勢せばサイコロピエロ

  • 燕来て指のリングの光をりさくやこのはな

  • ねぶて貼る記念切手やつばめくらさとう菓子

  • 文通という時代ありつばくらめせつよ

  • 地下足袋のままのお八つや燕来るたむらせつこ

  • 文具屋のにおい大好き燕来るちゃうりん

  • 帰る家見えず燕の空を裂くテツコ

  • つばくろやうちきてくれてええんやでてんてこ麻衣

  • 電線を爪弾く雲や玄鳥ときこ

  • つばくろや移動文庫は日の含みとしなり

  • 燕来るフーセンガムは当たりつきとしまる

  • つばめ来た子は学級新聞記者とみことみ

  • 初燕ジーンズの色空の青なおこ

  • よく晴れて燕は高く高く飛ぶなんじゃもんじゃ

  • たんじょうびつばめのしたのケーキやさんにしむらおとか

  • 何度めの世界の終わり燕来るぬらりひょん

  • つばめ来て古き巣なおしかかりおりねこバアバ

  • 初めてのスマホ教室燕来るのど飴

  • ツバメの滑空ひこうき雲を横切ってパシフィコ

  • 燕来て里山動きはじめ出しひかるこ

  • 原発の無人の町に燕来るひこぞう

  • 燕語の「ただいま」らしき初燕ひでやん

  • 逆上がり今年燕に見て欲しいひな芙美子

  • 燕来るひとりの朝の深呼吸ひろ夢

  • 旋回のつばめの空は海の色ふじこ

  • ホームルームは二転三転つばくらめほしの有紀

  • 天地の境をぬうて初燕ぼたんのむら

  • 燕来て北へ戻りし漢ありまじねこ

  • 皇居とふ大江戸は森つばくらめまどん

  • サーカスの旗ひるがへる燕來るみそまめ

  • あしもとのやさしきむくろつばくらめみやかわけい子

  • クレープの移動販売つばめ飛ぶみゆき

  • 燕来るがらんどうなる母の家めめそうじ

  • 茶屋街のぼんぼり渡る燕かなもつこ

  • 三日後の譜読みを急ぐ燕来るゆすらご

  • つばくろの影に抜かれる小気味良さゆづ

  • 廃校の解体決まる燕来るよにし陽子

  • 朝市の空の広さやつばくらめよりこ

  • 燕来る始発駅なる無人駅ラーラ

  • 下町のつばめはつばめ歯切れよし亜紀女

  • 高架下商店街の初燕哀顏騎士

  • ベランダを一閃かはす燕かな愛燦燦

  • 巣へはこぶ風の動線ひく乙鳥葵新吾

  • 颯爽と燕銀座の四丁目伊藤順女

  • 燕には遠近法の穴がある羽沖

  • 指輪捨て低空飛行つばくらめ鵜瀬由紀子

  • 燕来る水もペットも買う時代塩瀬華

  • つばめ来る老舗の茶舗に椅子二つ塩沢桂子

  • 古民家の若き移住者つばめ来る岡れいこ

  • 野の草を摘みてつばめと遭遇す花岡淑子

  • 小惑星リュウグウに水燕来る花屋

  • 赴任地は海匂ふ町つばめ来る花南天

  • 寂れたる機織の町燕飛ぶ

  • 海風に紫雲棚引く燕かな雅水

  • 疾風を抜き去りゆくやつばくろめ海口あめちゃん

  • 燕飛ぶ新宿上空公開空地海碧

  • 燕来る光まとうて空分けて蛙里

  • せわしなく燕は出入り忌中札閑蛙

  • 里山のすくもに染まる燕かな気球乗り

  • 東京の硝子の林飛ぶ燕菊池風峰

  • 一筆書の花丸や燕来る菊池洋勝

  • 初つばめ孫がまんまと言い始む吉田びふう

  • 玄鳥や十三回忌の夫何処教来石

  • コンビニの軒に燕と中学生玉響雷子

  • 風の道のゴールテープを切る燕玉木たまね

  • 燕来たかと母は線香を焚く月の砂漠

  • 駄菓子屋の釣りは10円初燕月夜同舟

  • ハモニカを習いし頃やつばくらめ古史朗

  • 燕飛ぶ昨日と何が違ふやら古都鈴

  • 「店の間の障子燕に開けといて」湖雪

  • 「二千キロ先右折です」燕来る五月野敬子

  • 初燕指さす吾子の白き喉江川月丸

  • つばくらの抜き去る和尚のスクーター溝口トポル

  • 初燕校歌一番歌ひきる香衣

  • 燕来るベンチの上と下に犬高橋なつ

  • 避難所の目抜き通りの燕かな高橋寅次

  • 地学室に女子は三人濡燕高田祥聖

  • くろがねのストーブ冷えて燕来る砂舟

  • ジャズもれるレンガ造や燕来る斎乃雪

  • 玻璃越しの目を見合わせり初燕榊昭広

  • つばくらめ持ち重りする蛇の目傘桜姫5

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  • つばくらめ蔵は天然理心流三浦ごまこ

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  • つばくろや旅籠町には東西山田喜則

  • 此の街も故郷と呼びつばくらめ山内彩月

  • 燕来る上腕二等の黒子かな山本先生

  • 渋滞の10キロ表示夕燕市山利也

  • 燕くる定規で引いたやうな空 次郎の飼い主

  • 夕燕ピアノ流るる大屋敷珠桜女絢未来

  • 燕来る見上げる翁のど白し秀道

  • 燕来る古事記繙く文机秋水

  • 燕翔ぶ着尺織る手の深き皺

  • 初燕回帰線をくわへをり勝彦

  • 仏具店並ぶ下町初つばめ宵猫

  • 聞かせてよ呂宋の噂つばくらめ小磯悠人

  • きみが宮古島に行く日燕来る小山晃

  • 信金の庇を借りてつばくらめ小市

  • もしかして今が幸せ軒つばき小池玲子

  • 肥沃なる三浦台地やつばくらめ小嶋芦舟

  • ドドドドと糞してつばめ燕なり小南子

  • されこうべ眠る国から燕来る小柳悠子

  • 朝日差す「ハチ公」鼻に燕来る松ちゃん

  • 飜り影ふりおとすつばくらめ松山帖句

  • 九州に九州の山つばくらめ上原淳子

  • 一の字の墨の勢い燕来る上野眞理

  • 玄鳥や微かに残る遺墨の香城ヶ崎由岐子

  • つばくらや切子の青の透きとほる色葉二穂

  • 平成を俯瞰旋回燕かな森都

  • エ―エンと空にきざんで燕来る真繍

  • かんなくず反り返るごと燕かな真澄

  • つばくろや歩こう会に高き声神田央子

  • つばくらめ利根大堰の水ゆたか水夢

  • 龍の雲立つ嶺につばめ一直線杉本時子

  • 八回も燕来たとてあのまんま菅原千秋

  • 切っ先の光るや我へつばくらめ菅利通

  • 朝ぼらけ法華の太鼓に燕立つ星善之

  • 燕来る降圧剤を飲み忘れ晴好雨独

  • 初つばめ太平洋の風連れて清水仁

  • つばくらめ空の靴紐結ぶやう西川由野

  • 朝つばめセンターライン掃き清め西尾至史

  • 安達太良の智恵子の空に初燕青い月

  • ごつた返す小町通りのつばくらめ青山あじこ

  • 海人小舟つばくろ雨に低く飛ぶ青児

  • 翼竜の裔(すえ)なる我も飛燕かな青萄

  • つばくろの刃を見舞ひたき男あり石垣エリザ

  • 父のいた窓はあの辺つばくらめ石川ぱりん

  • 巣に入る燕切先収めたり赤橋渡

  • 初燕赤い簪貰ひけり赤馬福助

  • 燕来る入江に近き姉の家倉岡富士子

  • 燕行く青空に水尾ありにけり倉木はじめ

  • 幾百年続く祠や燕舞う惣兵衛

  • 巣燕よ給与袋の在りし日よ多事

  • 燕来る明日は退職者のリスト駄詩

  • 晴れわたり逃げてゆく空燕かな大小田忍

  • 馬小屋の産声燕旋回す大槻税悦

  • 糠漬けの野菜色冴え初燕鷹野みどり

  • 燕来る買ったばかりの墨を磨る知音

  • 乙鳥や芸妓はうなじ切り立てる中山月波

  • 牛売りて燕通わぬ巣となりぬ中山白蘭

  • ふくよかに河流れたり夕燕中西柚子

  • 燕つつつと空を開き光降る昼寝

  • 鮮やかにペーパーナイフ初燕衷子

  • 燕かな「ディー・エヌ・アール」とカルテ打つ椎の木くるみ

  • 五線譜に燕飛び来てスイングす梯子

  • 初つばめ後には空のキリトリセン田川彩

  • つばめ来るリハビリ室の小さき窓田村ともこ

  • 窯元の泥を燕は知り尽くす田村利平

  • 片親の巣なる燕の深眼差し登りびと

  • 初燕腫瘍をとつて八年目都乃あざみ

  • つばくらの影がつばくら追ひ抜きさう土井探花

  • 土曜日のカレー温むるつばくらめ嶋田奈緒

  • 君二十歳燕の空の広かりし東風弘典

  • 燕来る家を忘れし老母かな藤原訓子

  • スカートの襞麗しき燕来る藤色葉菜

  • 地下鉄の出口複雑つばめ来る藤田真純

  • つばくろや漫画の国へ留学し

  • 初つばめ農機も夫も整備よし惇壹

  • 議事堂前とんがらかつて夕燕奈良素数

  • 火事痕を燕の糞の瑞々し内藤羊皐

  • 上屋敷にも下屋敷にも燕楢山孝明

  • 燕の口赤し幾百の死骸南風の記憶

  • 晴天に螺旋を描き燕着く楠田草堂

  • 突き指の包帯白き初燕入江幸子

  • ワセリンのにぶきひかりや燕来る猫愛すクリーム

  • 海賊の帰還つばめの空青し梅里和代

  • つばくらめ風の匂いのマドロス帽白樺みかん

  • 燕来る日帰り旅行の郷愁(サウダーデ)

  • 公園のSL軋む玄鳥かな飯村祐知子

  • エチュードは白鍵黒鍵つばくらめ彼方ひらく

  • 外つ国の実習生や燕来る比良山

  • つばめつばめ親のない子は居ませんか富山の露玉

  • 初燕白寿の耳にピアッサー福良ちどり

  • 青空に燕川面を切る小石穂積のり子

  • 夕燕ピエロの回すオルゴール北大路京介

  • 燕飛ぶ迷いなき折れ線グラフ牧野敏信

  • 燕来るくるくる磨くボンネット凡鑽

  • この家も昔燕の宿なりき麻場育子

  • 青空のひかりはしずく燕鳴く抹茶金魚

  • つばくらめ祝いの品の届く午後蜜華

  • つばくろの軒を弾けて迅きかな蓑田和明

  • 燕来る風の電話を聞きしかな夢見昼顔

  • 今日もまた我が家に寄らぬ燕かな無頓着

  • 江戸筆の店へふたたび燕かな明惟久里

  • 朝燕リターンエースの庭球場明田句仁子

  • 漂流の木造船や燕飛ぶ茂る

  • 初燕うれしき朝の目玉焼門未知子

  • 恋文の如き藁しべ燕来る門前町のり子

  • 初燕あした着て行くワンピース野ばら

  • 河川敷の球児のエールつばめ来る野ゆき

  • コンビニの巣板に番う初つばめ野曾良

  • 夕暮の似合う街角燕来る野木編

  • 川面うずまく夕燕くるくる去る野良古

  • 閉店の貼紙白しつばくらめ油揚げ多喰身

  • 早朝に聴くビバルディ燕来る有本典子

  • 燕来る遺品整理のふるさとへ由づる

  • 燕や博物館の図面引く遊飛

  • 燕飛ぶ砂場の園児五名起立葉るみ

  • 肖像画の青年老いて初燕梨音

  • ドローンにとって空は孤独つばくらめ鈴木(や)

  • 屋根つまむ燕や吉野ヶ里遺跡鈴木上む

  • 白き手の朱印捺しけり初つばめ鷲尾さゆり

  • まほろばの空は茜やつばくらめ巫女

  • つばくらめはらりと空を分割す楡野ふみ

  • 幾たびも曜日問う義母燕飛ぶ櫻井弘子

  • 街の香の少し濃くなり燕哉洒落神戸

  • 県議選の選挙事務所や軒つばめ

  • あの燕去年生まれた子かしらと祺埜箕來

  • 眼鏡して新しき空つばくらめ籠居子

  • 祖母作るポテトサラダや初燕芍薬

  • 「よく生きたもんだ」と母逝く燕来る

  • 軒燕間男のごと出入る夫邯鄲

  • 退寮の朝のあいさつ燕来るうい

  • 雨上がりの印刷室やつばくらめ井原千恵理

  • 繕ひの日がな一日つばくらめ大山小袖

  • 燕来る内示の文字の細く濃く大小田忍

  • 芽の匂ひ土の匂ひや燕来る満る

佳作
  • 遮断機の高さに合わせ燕飛ぶAKI

  • 曇天を切り颯爽と初燕ANGEL

  • もしかしてあれは燕一瞬時haru

  • 燕来る生地離(さか)りて半世紀KISOBA・UFO

  • 寒暖のグラフのごとくつばめ飛ぶmika-na

  • 青空をヒューと切り裂くつばくらめmomo

  • つばくらめ飛行機を折る小さきゆびnid

  • この青空好しとツバメのゴールかなnoRiko

  • 石段知らずツバメや首里へ青空へS.久美子

  • 半熟の黄身はトローリ燕来るあかり

  • 青空につばめ返しの風の声あきけん

  • 雲梯でくるり見上げる初燕いくちゃん

  • 鹿児島や真白ボディで飛ぶつばめいっちゃん

  • そろそろか軒下のぞき燕待ついろをふくむや

  • 燕舞ふルッツアクセルトゥループいわきり

  • 新築の窓にぶつかる燕の子うたけいこ

  • 花壇揺れ黒い燕が翔け上がるうっしー

  • 空高く沢すじ一気燕交ふうめがさそう@旧梅笠

  • 初燕急ごしらえのカーシートエゴさん

  • 空低く燕も低く飛びにけりオカメインコ

  • ひゅんひゅんと燕横切る裏通りおくにち木実

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  • 街を行く人波に乗るつばめかなさきまき

  • 男前シュッとキリリと初燕さだとみゆみこ

  • 燕鳴き新聞紙敷き家人笑みしかめっ面

  • 燕くる予感に酔って背伸びするシップ

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  • 木目からたじろぐ燕睨む龍栗子

  • 行き戻り燕の織る天の機薫子(におこ)

  • 日暮れ前空(くう)切るように燕とぶ蛍子

  • 燕の凱旋は波状飛行なり見屋桜花

  • 母病んで天を仰げば燕飛ぶ原善枝

  • 翻る燕の胸の白さ哉原びいと

  • 痛みない常世へ運ぶ燕かな原口祐子

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  • ふんひとつ愛車に落とす燕かな源氏物語

  • 解体の老舗旅館につばめ来る玄次郎

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  • 青春の平成終わり初つばめ三河五郎

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  • 光風に低空飛行のつばめ来る山川恵美子

  • つばめ来てにぎわいさみし過疎の村山川芳明

  • 頭上掠め消えゆく影は燕なり山田啓子

  • つばくろの低空飛行明日は雨山本康子

  • 初燕漁師のごとく空を縫う

  • 燕来る変わらぬ日々を待ちかねて志貴子

  • 燕来る嘴に土玄関灯紫雲英

  • 燕恋う納屋の梁板清掃す紫小寿々

  • 燕の子吾もコーラスを練習す児玉香織

  • つばくらめカーブ描いて空を切る慈悦

  • 夫逝きて燕待たるるこの二年慈温

  • 商店街シャッター多し燕減り鹿嶌純子

  • 避難せし騎西に八度燕舞う篠雪

  • 故郷へ続く畦道燕飛ぶ修芳

  • 日和よし昭和こいしや初燕秋月なおと

  • 亡き夫よ燕になって飛んできて秋代

  • 燕来る二間間口の地鎮祭充夜

  • ツバクロの巣立ちに我が子を写し見る重仁

  • 雲の端をとらえて転ずつばくらめ春耕

  • エサ運ぶ小洞ツバメ東京駅春都

  • 低滑空雨は燕の背中追う潤目の鰯

  • お帰りと燕に声かけ出勤す初野文子

  • 転居する娘一家や燕来る小鞠

  • 仮免許追いこす燕自専道小熊猫

  • 陽に光る雨を切ってぞつばくらめ小川めぐる(妹)

  • つばくろのつがい∞を描く松永裕歩

  • ふるさとへ向かう列車に燕来る松虫姫の村人

  • 黒き雲つばめ最速横切りぬ松田和之

  • 老いた父ツバメの声に母を呼ぶ松島美絵

  • 葦原に日の暮れて寝る燕かな松尾義弘

  • 燕の嘴カチッカチッと翅に当たる焼田美智世

  • 雨の香や水面に映る燕目祥葉

  • 病から燕に乗って逃避行上田英津子

  • 鈍色の空に斬り込むつばくらめ上坊幹子

  • シャッター街記憶の中のつばくらめ城山のぱく

  • 独り立ちの深きおじぎや初燕植田かず子

  • 廃校と決まった学び舎つばめ来る慎之介

  • 病床の窓辺で待たん友燕森井はな

  • 廃駅の昼忙がしき燕の巣森弘行

  • 初燕赤ばかりの油性ペン森脇誠

  • 園児らの揃うピアニカ燕来る真宮マミ

  • 懐妊を告げられし日に燕来る真壁正江

  • 四兄弟揃いカラオケ燕来る真優航千の母

  • あぜ道に燕が波を描き飛ぶ真理庵

  • 低空飛行翻るわざつばくらめ神谷米子

  • 退院の朝の光と燕二羽尋征

  • 曇天を斜めに切り裂き燕落つ瑞峰子

  • 燕の巣見回りに行くシャッター街雛まつり

  • 低空を雨にならんとつばくらめ杉浦夏甫

  • 湧き水の泥と混じりて燕来る世良日守

  • つばめ撮る祖母の背伸びを撮影す瀬尾ありさ

  • 潦乾き難くくて燕斜かいに正岡恵似子

  • 奈良町を曲がりくねって初燕清水容子

  • つつがなく終わる平成初つばめ清水祥月

  • 軒下の板新調し燕待つ聖月

  • 燕来る会計監査終えし日に西原さらさ

  • 焙煎の香りに包まれ飛ぶ燕西村圭

  • 燕の尾切れ味上等ナイフが二本西村優美子

  • つばめ行く応援のごと小波よ西村佳織

  • 悠々と角帽見下ろし燕行く雪割豆

  • 再発無し病院の空燕来る雪兎

  • 軒下の燕一家は賑やかに千川小舟

  • 磨かれた靴の上にも燕来る川越雷鳴

  • 朝つばめ呼び合う声はかん高し川村昌子

  • 閉店の知らせの真上燕の子川端孝子

  • 新宿に落ちた燕のDNA曽我真理子

  • 「今年も燕来るかな?」「きっと来るよ」双子の父

  • つきまとう過去闇田舎母屋の燕倉岡唯

  • 独居に燕糞さへも愛おしく倉澤慶子

  • 音立てず曇天を裂く燕かな早山

  • 河原風を突っ切る燕目眩まし早川博子

  • 燕日記手に校下をめぐる子ら痩女

  • 行く雲や燕飛び交う高架下走流

  • 妻去りし家に未完の燕の巣増田賢一郎

  • 納骨の読経かすめて燕返し尊雅心

  • 昔日の土間ある家の燕かな村松登音

  • 燕来る軒飛び廻り巣作りす多田ふみ

  • 巣を作り人の見守る知る燕大本千恵子

  • 外灯をともさぬ日課初燕大和田美信

  • つばくろや大あくびかく昼下がり卓女

  • 初つばめ無沙汰の友に便りする谷口あきこ

  • 足元を燕がよぎる雨近し谷川秋子

  • 足病むやつばめのごとく飛べたらな知足

  • 信号の並ぶ直線つばくらめ智美

  • 真っすぐに孫よ進めとつばくらめ池愛子

  • 風に乗り青空切って燕来る池上敬子

  • 燕見て燕返しの夢描く池田功

  • 脱サラの父も燕も八年目竹口ゆうこ

  • 燕来るひとり住まいと縁を切り竹内うめ

  • 燕来る平和を祈る羽広げ中山清充

  • 初燕弾み出したる立ち話中村純代

  • 目覚ましは古家ふるえる子燕か中谷典敬

  • あいさつを終えて嫁ぐ日初燕中島知恵子

  • 今年こそ雛落とすまじつばくらめ中島圭子

  • 燕来て土間に広げる新聞紙中嶋純子

  • 帰還せる燕こぞの巣繕えり長谷川淑子

  • ツバメ飛ぶ国境無き身の自由さよ長谷島弘安

  • 日にかざす紅きマニキュア初つばめ直木葉子

  • 里山の空は群青初燕辻が花

  • PM2,5多き空裂く初燕鶴の子

  • 空眺め雌雄飛び交う燕かな鶴仙

  • 餅投げのもち高らかに燕かな天野規之

  • 初燕歩道の二人のけぞらせ田村伊都

  • 被災地の子等の言葉や燕来る田中ようちゃん

  • 学舎を子らの立つあと燕来る田中玄華

  • 帰りなん旅のつばくろみちのくへ田良穂

  • 東京は四角き空か路地燕渡り鳥

  • こびりつき燕の巣後廃材に渡辺音葉

  • それぞれの復興の道燕来る渡辺陽子

  • 遅刻しちゃう!遅刻しちゃうぞ!つばくらめ渡邉一輝

  • 燕来るエアーメールの届く午後渡邉竹庵

  • つばめ来る人事異動の発令日登久光

  • つばめ飛ぶ道しるべ無き三千粁都忘れ

  • 燕の巣どろ塗れの嘴愛しけり土屋雅修

  • つばめ来たよ目ヤニ拭きつつ大あくび嶋村紀子

  • 初燕筏流しをからかひぬ嶋良二

  • 燕にもヒミツの一つ二つ在り桃葉琴乃

  • 独り居の門に燕の帰り来し藤井眞おん

  • アレグロで奏でる風や燕飛ぶ藤千鶴

  • 手話の燕おやゆびひとさしゆびこゆび藤田康子

  • 改札の上賑やかに燕来る徳庵

  • 自転車のヒジャブの少女つばくらめ奈良香里

  • 黄昏の逢瀬の後の初燕内本惠美子

  • ブラタモリ五秒の主役つばくらめ二鬼酒

  • 鬼ごっこ駆けて転んで燕かな日記

  • 雨近し虫追うつばめ農夫婦葱無

  • 耳もひげも仰ぎて猫に燕来る猫星

  • 今年また軒を貸します初燕埜水

  • ハンバーガーほおばる二人つばめ来る波の音

  • 雨上がり雲間の日差しがつばめ呼ぶ馬笑

  • 燕が土をはこびて巣繕い馬場東風

  • 燕来てのど自慢の鐘ふたつ梅納豆

  • 燕来る家になりたや吾は一人白雨

  • 朱をみせてラーメン橋に燕来る白鷺

  • つばくろの急降下する雨上がり白米

  • 初燕ひと恋しくて待ちぼうけ畑詩音

  • キャンパスにあふれる笑顔つばつくめ八重葉

  • 燕の巣ストロー混じる都会かな八木実

  • 子育てはツバメのように軽やかに鳩礼

  • 筆ふるふ如くに燕空かける半香

  • 音楽葬旋回したる燕かな板垣美樹

  • 雨上がり燕飛び交う鐘の音

  • 初燕意識もどりぬ友昨夜琵琶京子

  • 茶室より青空望む燕かな美山

  • 糞投中の看板に笑む燕かな美山

  • 奈良町につばくろ帰る軒に二羽美山つぐみ

  • 新時代変わらぬ空のつばくらめ美帆

  • 燕来る「様」から「さん」に変わった日姫山りんご

  • 村燕匂ひあふるる八幡掘百合乃

  • 燕待つ僧の頭上に去年の巣浜けい

  • つばくらめ新築祝い軒の下敷島せっつ

  • 一筋の風のごときやつばくらめ風花

  • 燕来る十八グラムの身を尽くし風泉

  • まっとうに生きよと鳴きて燕来る風紋

  • 近代化燕京の人にツバメこず風来坊

  • 燕来て暦めくれば青き空福ネコ

  • 初燕被災地に舞う昼下がり福泉

  • つばめつばめ神保町のキーマカレー腹胃壮(伊勢史郎)

  • 空間を真一文字に燕かな文女

  • つばめくる幸せの家合掌す兵頭チズ

  • 晴天を切り裂く影や燕かな平凡

  • 墓じまい清めし軒に初つばめ片岡佐知子

  • 南洋の風の匂ひぞ燕来る本間美知子

  • 軒下に燕の恩義殻ひとつ麻生和風

  • 墓参りせわし燕におい越され枕独活

  • 橋越へて急上昇の燕かな抹香

  • 軒下や燕飛び交う雛五匹湊かずゆき

  • レーサーのごとき燕や無碍の空明良稽古

  • 燕くる燕尾服がなお嬉し木香薔薇

  • 喜びが一つ増えたりつばめくる木村波平

  • 燕くる家には住めず共白髪野胡のこ

  • 鋭角に三度曲がって燕去る野紺菊

  • 碧き星にて奔放な燕かな野中泰風

  • 軒下の勝手知ったる燕かな矢野茂樹

  • 飛行機雲なぞって飛ぶは燕かな 有馬裕子

  • 碧面に ∞描く飛燕かな由美子

  • 餌運ぶ燕また来てまた去って葉月けゐ

  • 新築の住人を待つ燕かな里惠子

  • 初燕作句生活に馴れもして鈴木政子

  • KEEPOUTテープ越え燕来る廃校舎鈴木淑葉

  • ハーレーを抜いて燕は湾岸線鈴木麗門

  • 越え来たるつばめよ許せ軒は閉ず麗し

  • けだるさを一閃切り裂き燕飛ぶ連雀

  • ツバメ来の便り白寿の父の筆侘介

  • 燕来し猫一匹の無人駅暝想華

  • つばくろやビルの足場をくぐり来よ淺紫

  • 軒先の勝手しりたる燕かな淺野紫桜

  • 人け無きアーケード燕突き抜ける澪つくし

  • つばくろや波恋治男から一筆箋としなり

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳句の正しい表記とは?

  • 傘閉じて 燕の塒 仰ぎ見るやままやー
  • 昼下がり 燕の巣から 覗く顔山本なつき
  • 軒近く 様子うかがふ 初燕星野茜
  • 小次郎も 及ばぬ空を 切る燕西條晶夫
  • 今昔 燕と人と 同じ家千鶴姫
  • 病室で 飛燕を妬む 手術前鈴木珠莉

○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪

●季重なり

  • 青空に燕飛び交う天高しまさ
  • 春が来た鯉には勝てぬ燕なり加島
  • 花冷えにまっすぐ飛ぶか新つばめ河畔亭
  • つばくらめ亀虫二匹飛びにけり妙子
  • 五月晴れ軒下に今年も燕くる鷲尾愛子

○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。

●兼題が入っていない

  • 口開けて待つ児も今は成人式玉田眞三

○本サイトでは、毎回「兼題(予め出題させるお題)」が決まっています。次回の兼題は「こどもの日」(4月末日〆切)。次のご投句お待ちしています。

●季語違い

  • 燕の子青空描くト音記号愛宕平九郎
  • ツバメの子老人ホームに誕生す河野すみれ
  • 初飛行庭を賑わすつばめっ子吉永憲子
  • 声高く並ぶ黄色や燕の子恵翠
  • 見上げれば菱口開くつばめの子妻有
  • 子つばめや1羽は我に似てるかも春風
  • ツバメの子空とぶれんしゅうしているよ西村咲音
  • 雛つばめウイーンの少年合唱団西條恭子
  • 地で鳴く子ツバメ如何にすれば良いか石ころ
  • 口ばしの競う子燕餌を待つ桃雨
  • 軒にまた連なる命燕の子内井薫
  • 新聞店の軒賑わすつばめの子ら夢おとめ
  • 巣立ちの日子らを見守る親燕ローズ
  • 親燕戻るやヒナの大合唱春野いちご
  • 親つばめ雨を背負いてひるがえる成田むぎ
  • 崖の宿眼下飛び交ふ岩燕酔進

○今回の兼題「燕」は、春の季語で、動物のジャンルに分類されます。「燕の巣」も春の季語。本来は別の季語と考えるべきでしょうが、季寄せなどでは「燕」の傍題にしているものもあるようですから、今回はぎりぎりOKにしました。が、「燕の子」は夏の季語なの、ちょっと違うかなと。その関係で「親燕」はアウトよりのグレーかなとの悩ましい判断。「岩燕」は、夏の季語です。

 毎回、歳時記や季寄せをひらいて兼題の意味を確認しましょう。