夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
7月の審査結果発表
兼題「西瓜」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
千羽鶴たった15羽西瓜切る
ツユマメ末っ子@8歳
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夏井いつき先生より
秋の季語だと知って驚く人が多いのが「西瓜」という季語。露地物は八月に入ってから熟れてくる、と農家の方に教えてもらったことがあります。夏のイメージなのに秋という曖昧な性質の季語「西瓜」を、こんな形で表現できることにハッとさせられました。
上五「千羽鶴」の一語は原爆への祈りを連想させます。まだ「たった15羽」しか折れていない「千羽鶴」。折り紙の鶴は一羽折るのも難しいのに、千羽折らなくては祈りは届かない。まだ「たった15羽」だけど、これ食べてまた頑張ろうねと、冷たい「西瓜」を「切る」のです。夏休みの親子の一場面ではないかと想像すると、中七がますます真実味のある呟きとして読者の心にひびきます。
相手校の分の西瓜も買っとくか
さとけん
夏休みの練習試合の「相手校」でしょうか。「買っとくか」は、監督とマネージャーの会話のようでもあります。何個と明確に書いてある訳ではないのに、なんとなく想像できるのも巧い表現です。
せせらぎへ西瓜だ次は火起こしだ
碧西里
「せせらぎ」で「西瓜」を冷やす句は沢山ありましたが、前半の措辞だけでそれを書き、後半でキャンプの場面だと分からせるあたりが巧いね。勢いのある口語表現がストレートで明るくて元気。
三つ四つ五右衛門風呂に浮く西瓜
くま鶉
「三つ四つ」も冷蔵庫では冷やせない。そうだ!「五右衛門風呂」に水を張れば冷やせるぞと思いついたのが、天晴れ。ついでに氷も放り込んで、なんてね。数詞を並べた面白さも作者の狙い通り。
スイカのニオイはカブトムシがシンダニオイだ
花結い
「スイカ」の食べ残しを「カブトムシ」の餌にしていた子どもの頃の記憶でしょうか。大人になっても「スイカ」を食べる度「カブトムシがシンダニオイだ」と思ってしまう。無邪気な死のニオイ。
家きらい家族がきらい西瓜は赤
播磨陽子
「きらい」を連呼する反抗の思春期。かつて家族仲良く食べた「西瓜」は、赤い口を開けせせら笑っているかのよう。「西瓜は赤」と言い切ることで全体のバランスを絶妙にコントロールしています。
西瓜ポカンと鳴ったよ井戸ん中だよ花結い
よいしょっとふんむむすとんすいかかぷ花結い
西瓜を提げて渋谷にくるなと言つただろ清島久門
村長西瓜その他四五人始発バス清島久門
水平線に並べて置かる西瓜かな清島久門
広島の英霊幾つ西瓜生るトマト使いめりるりら
西瓜生る空はびつしりがらんだうトマト使いめりるりら
西瓜の重さたまのを百人分トマト使いめりるりら
西瓜余ってるし涙でも足すか播磨陽子
刃の入るや水の手応へなる西瓜播磨陽子
西瓜とは末期の水の甘さかな播磨陽子
種のあるところより崩れる西瓜秋さやか
予定日の近づいてくる西瓜買う秋さやか
西瓜あかあか舌なぞる種かなしみの種ぐ
すいかすいか叩けば種の偏らんぐ
西瓜甘し被爆ポンプの錆昏しにゃん
シミーズの胸へ滴りゆく西瓜にゃん
太陽の秘部の匂ひの西瓜かなぐでたまご
ふとももに西瓜の汁の零れけりぐでたまご
せせらぎを走り出したる西瓜追うそうり
サッカーの控えベンチに西瓜をりそうり
嘘つけばかなしき西瓜ころがり来ほろろ。
西瓜しやりしやり心臓夜気を透きとほるほろろ。
湧くみづに西瓜まんまと捕えらるまんぷく
御呼ばれや西瓜蔕までうつくしきまんぷく
銅賞とその他との差西瓜食う駒斗
戻るなら西瓜がおやつだったころ駒斗
西瓜の香情事はラジオ流しつつ南風の記憶
二十秒水に潜れた西瓜食ふ南風の記憶
だらしなき点も長所や西瓜食ふ南方日午
身勝手に円周率を決め西瓜南方日午
西瓜切る円周率は忘れたがすりいぴい
弓なりの西瓜の骨を積み上げるすりいぴい
西瓜重しこれは首ではあるまいかあきのひなた
ジッパーであけたやうなそら西瓜食ふあきのひなた
お日様の匂ひの多き西瓜食ぶQさん
百選の滝に浸した西瓜食ぶQさん
エコバッグ西瓜と判る形なりあまぐり
西瓜叩く聞いても甘さ分からぬがあまぐり
砲丸のごとく西瓜は砂に座すいかちゃん
西瓜洗ふホースを水の全速力いかちゃん
西瓜畑に鴉の穿ちし赤いさな歌鈴
圓楽に笑ふ座卓の切西瓜いさな歌鈴
山の西瓜は甘そうな赤い嘘いづみのあ
種種種種どんどん種だ西瓜食ういづみのあ
西瓜提げ兄の歩幅に遅れまいいなだはまち
太陽のげんきはまるし西瓜玉いなだはまち
北極の辺りに刃入れ西瓜切るうさぎまんじゅう
ぶおんぶおんと真っ赤にひびく西瓜玉うさぎまんじゅう
そこ押すとばくはつするぞ黒スイカおばたよう
天板の裏に西瓜のたね一つおばたよう
江ノ電をまず西瓜から降りにけりかねつき走流
訳ありの訳のわからぬ西瓜かなかねつき走流
西瓜売の声西瓜より大きくてギル
砂浜の西瓜を包むバスタオルギル
西瓜も地球もほぼ水が占めているけーい〇
西瓜冷やす古井戸の底にお菊けーい〇
本日未明台所西瓜自爆さこ
まず西瓜出てきて帰省一日目さこ
西瓜食う原始地球は赤かったじゃすみん
地球儀は青の多くて西瓜切るじゃすみん
すいかすいか自由の国の旗のやうしゃれこうべの妻
ぼぉんぼぉんと空へ問ふかに西瓜打つしゃれこうべの妻
種無しの西瓜の縞の几帳面すがりとおる
張りつめし湖あをあをと大西瓜すがりとおる
龍の抱く水の匂ひや西瓜食ふちゃうりん
月光に積まれて黒き西瓜かなちゃうりん
へその緒を鋏で切りて西瓜採るドイツばば
初西瓜ゴンドラ形に食べていくドイツばば
西瓜二つ吊り下げ叔父の自転車来とかき星
足裏に西瓜の種が馴染んでるとかき星
子の見つむ盥に自転する西瓜トポル
西瓜重し破裂したがる愛詰めてトポル
弟は裸にされる西瓜かなパッキンマン
素手で割る工事現場の西瓜かなパッキンマン
水責めのごとく沈める西瓜かなはむ
この重さあの子のおもさ西瓜抱くはむ
仏壇の棚割れそうな大西瓜べびぽん
この年でまさか恋とは西瓜食ぶべびぽん
西瓜喰う隣は赤の他人なりまこちふる
夕暮れがゆがみ西瓜は空っぽよまこちふる
西瓜用包丁軽く研ぐ義兄みつれしづく
冷蔵庫へ西瓜入れ込む背中かなみつれしづく
さっきから西瓜がきーんと鳴っている羽沖
産休の教師が西瓜提げていた羽沖
西瓜こそ恋の味ではなかろうか浦文乃
西瓜から子の生まれたる話無し浦文乃
西瓜食ぶ泣きだしさうな夕日です影山らてん
この人となら西瓜にかぶりつける影山らてん
西瓜割り習近平の面の皮横浜J子
不条理と絶望の西瓜切々(せつせつ)横浜J子
でまかせの舌に西瓜がざらついて佳山@水戸
昼ドラは修羅場西瓜の皮しゃぶる佳山@水戸
まんまるき西瓜を天地無用とす可笑式
西瓜おきひとりの家をさびしうす可笑式
西瓜にも人にも臍はひとつなり花伝
リビングに西瓜の明るき甘さ花伝
体積求めよ但し西瓜は五等分樫の木
天草や連絡船に食む西瓜樫の木
西瓜切る今日はいつもの二倍寂しい吉田びふう
二人で食べる西瓜心細さがほつれていく吉田びふう
叩かれたことない西瓜切断す玉庭マサアキ
木星のやうな西瓜を抱きなほす玉庭マサアキ
西瓜切るまた赤道をずれてゐる玉木たまね
家ごとに違う三角すいか食ぶ玉木たまね
西瓜食ぶ夜は沸点を迎へけり古瀬まさあき
大敗の紙面を滲みゆく西瓜古瀬まさあき
大皿に西瓜晴れやかなる頂角古田秀
ほぢくつて西瓜に昏き種の跡古田秀
西瓜食い進駐軍に種を吹く戸海倫
雑音の玉音放送西瓜喰う戸海倫
腹一杯だろうと兎角西瓜食え胡麻栞
種全部取ってひと口目の西瓜胡麻栞
小玉西瓜ぼくはどうして叱られる高橋無垢
西瓜持つ父は猿人の曲線高橋無垢
試合果つ種ばかりなる西瓜かな高田祥聖
恋占に西瓜の種まで使ふとは高田祥聖
大の字の山は東に西瓜かな三雲
絡繰時計見惚れて軽やかなる西瓜三雲
人は老いておおかみとなりて西瓜食ふ三隅昌山
地震止まらず西瓜食うて弱音吐く三隅昌山
留守宅の前に西瓜と立ち尽くす山口一青
天の水甘きに変えて西瓜満つ山口一青
無観客試合西瓜の種飛ばす山太狼
赤子背負い寺に西瓜を届けたり山太狼
罅走る西瓜窟の聖母像山踏青時雨
少女みな皓歯西瓜のふた玉目山踏青時雨
皆ひとつ歳とりました西瓜食ぶ山内彩月
独り身の西瓜の種を飛ばしけり山内彩月
西瓜切るどんな遺恨のある目付き七瀬ゆきこ
西瓜食ぶ海にぽちゃんとつく夕日七瀬ゆきこ
西瓜置く板間の疵へ夜の沁む潤目の鰯
なまりだまはかるくてすいかはにがい潤目の鰯
逞しき西瓜の尻の薄黄色小川めぐる
ケツの穴小まいほど良き西瓜かな小川めぐる
ガラス器に身のみ西瓜の薄情け小川天鵲
しゃぷしゃぷぷぷぷぷしゃぷしゃぷぷぷすいか小川天鵲
仏壇の西瓜最大積載量小椋チル
西瓜買う「とても甘い」を信じる日小椋チル
享年追い越し西瓜の大き過ぎ小野睦
西瓜大きくて子供会のうすっぺら小野睦
蔓枯れの西瓜ごろごろお逃げなさい松井くろ
一つ目の西瓜は病治すため松井くろ
青空の熱量上昇西瓜冷ゆ松本裕子
二頭筋は西瓜の汁を拭く所松本裕子
西瓜買うひっそりと休刊の雑誌焼田美智世
手を切ると決めて西瓜のなほ青く焼田美智世
大西瓜周りは美しき水流る城内幸江
腹いせのやうに二個ある西瓜かな城内幸江
西瓜食ふ家族のやうにわらひあふ常幸龍BCAD
西瓜切る海やはらかに弓ヶ浜常幸龍BCAD
残照の香の溢れたる割れ西瓜仁和田永
西瓜まるまる産土神の呵々大笑仁和田永
年取らぬ犬の遺影に西瓜切る森山博士
熊本の夕焼け色の初西瓜森山博士
熊日を大きく広げ西瓜切る世良日守
木星に種を飛ばして西瓜喰ふ世良日守
破裂せる西瓜軍都の記憶あり星埜黴円
彼方まで西瓜畑や阿蘇は燃ゆ星埜黴円
黒斑の多き太陽西瓜切る晴好雨独
太陽は母西瓜まるまる太り晴好雨独
西瓜で言うとこの辺がハワイかな石井一草
西瓜取り出して意外と重き箱石井一草
久々の母の西瓜の甘塩つぱ石井茶爺
縁台の西瓜の甘し飛車を取る石井茶爺
西瓜喰む夕日こつんと降りてゆき石原由女
チェンバロは響き西瓜は眠らない石原由女
すいかやせんせいもふつうのおばちゃん赤馬福助
西瓜に混ざりぼくの生首笑ふ赤馬福助
西瓜の塩東京生まれの振りをする雪華きなこ
今日だけは家族のやうに西瓜切る雪華きなこ
川に冷やす西瓜はまるで飼い犬倉形サラ
夫つくる西瓜の傷も愛おしき倉形サラ
刃先いま西瓜の核を通過せり倉木はじめ
西瓜待つ河馬のそばへと別の河馬倉木はじめ
西瓜まみれの汚職政治家三面記事蒼奏
西瓜切るこころの糸の切れる音蒼奏
病床の無聊に赤き西瓜かな蒼鳩薫
垂乳根の西瓜のヘタの昭和かな蒼鳩薫
でこぼこの西瓜のぼこは里心足立智美
西瓜にも愁ひのありて地にずしり足立智美
塩といふ海光をふる西瓜かな多々良海月
西瓜たわわ房総半島やや沈む多々良海月
ぬるい西瓜大雨警報の夜大小田忍
西瓜食うヨリが戻って最終回大小田忍
傷心の指に西瓜の重さかな大和田美信
包丁の見せ場西瓜の音の見せ場大和田美信
自画像のゴッホに似たる西瓜売滝川橋
火球煌々と落ち西瓜罅割る滝川橋
ここまでは赤ぞ西瓜の自分量沢拓庵
包丁のまにまに西瓜不等分沢拓庵
父介護申請西瓜に藁敷く丹波らる
西瓜あり緩衝材の奥の奥丹波らる
祖母宅に九人の孫西瓜食む短夜の月
エジプト王朝滅ぶ西瓜の目の前で短夜の月
不発弾撤去のニュース西瓜食ふ中岡秀次
天井の低き実家や西瓜食ふ中岡秀次
眠る子の身体うつすら西瓜の香中原久遠
七歳が西瓜かかへて仁王立ち中原久遠
ごろごろとしてもいい日の西瓜かな天陽ゆう
空っぽの音の鳴りけり西瓜切る天陽ゆう
百歳の母の西瓜の食ひつぷり田村利平
善人が西瓜畑の脇を過ぐ田村利平
冷麺の西瓜をよけて啜りけり田畑整
西瓜切る香りに青さまざりけり田畑整
ペルシアの月の匂ひの西瓜切る土井探花
かう見えて逃げ出しさうな西瓜切る土井探花
台所干した布巾に西瓜の香島村福太郎
背負う西瓜肝煎の社長案件島村福太郎
ミゼットの荷台の西瓜そして俺東京堕天使
西瓜番の顔してゐるや秋田犬東京堕天使
スイカってむかしの鐘の音がする藤田ゆきまち
西瓜提げ未だインターホンの前藤田ゆきまち
赤いとこ無くなるまでは西瓜なり馬祥
地球ほどみづみづしくて西瓜かな馬祥
介錯のごとく西瓜を叩きけり白よだか
からからの地の西瓜ほどみずみずし白よだか
最高に旨い切り方西瓜に聞く迫久鯨
明日いかに猫破水かも西瓜かな迫久鯨
夜の西瓜種バリバリと檀家衆八幡風花
本堂へ従兄弟等運ぶ西瓜かな八幡風花
川上に西瓜冷やして最終日板柿せっか
試合中止合宿中止西瓜食ふ板柿せっか
西瓜より赤子生まれて来はせぬか比々き
仮の世の雨をはじいてゐる西瓜比々き
九回裏ツーアウト西瓜冷ゆ福蔵
島の子と張りあふやうに西瓜食ぶ福蔵
西瓜食む血管を流るる恍惚平本魚水
蔓かたく夜明けの西瓜湿りたる平本魚水
なあ西瓜ことしは何色に匂ふ北村崇雄
おいそこの西瓜に殺虫剤振るな北村崇雄
軽トラの徐行や西瓜三拾個門未知子
子らはみな服脱がされて西瓜食う門未知子
半分と貰ひし西瓜をまた半分柚木みゆき
西瓜食ぶこどもはみんな夏生まれ柚木みゆき
平等は父の仕事や西瓜置く葉るみ
迷い刃の亀裂に倣う西瓜かな葉るみ
この西瓜縞の濃緑荒ぶれり鈴木由紀子
始業日や西瓜の際の青臭し鈴木由紀子
大きくて丸くてのんき西瓜かな蓮花麻耶
叔父は浪人スイカの種は白し蓮花麻耶
西瓜赤しマチスの赤とミロの赤朶美子
神のすむ山のふもとの西瓜かな朶美子
風呂敷の結び目固き西瓜かな洒落神戸
西瓜切り雇用機会均等法洒落神戸
河馬の牙太く汚れて西瓜食ぶ茫々
西瓜冷やす水路に峰の水迅し茫々
西瓜つたふ雫遠回りは楽しさとけん
西瓜食ふ泣いたら軽くなる身体碧西里
鈍痛のやうな郷愁すゐくわ食ふRUSTY
冷たげな西瓜よ今朝も微熱(ねつ)あらむねぎみそ
寅さんが帰る予感の西瓜かな主藤充子
パック詰めの西瓜にふと浮かぶ離婚寿松
結局は西瓜観念して割れる木江
マドンナてふ西瓜にしやぶり付いてゐる北藤詩旦
西瓜切る活断層に日本あり名計宗幸
視界ただ赤く西瓜を齧りたる菱田芋天
浅手へと塗るマーキロや西瓜食む風慈音
くまモンのシールをよけて西瓜切る木染湧水
ひとのものは赤く甘やか恋と西瓜廣重
西瓜喰らふ錆色の家族写真暝想華
伯母様の西瓜に添える銀の匙 柝の音
水伝う西瓜流れ出そうな縞 伊藤亜美子
大西瓜少年野球の終わり待つDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
交代に西瓜を提げて三兄弟GONZA
包丁を差し込む瞬時弾ける西瓜haru.k
西瓜西瓜クレヨンの小さくなりぬM.李子
太陽から帰って来たと言う西瓜あさふろ
調律のごとく西瓜の音を聴くあそぼ葉
重力の落ち着く処西瓜なるあたなごっち
東京裁判西瓜盗みし子の罪はあまぶー
前腕を伝ふ西瓜の汁甘しあみま
玄関に西瓜がひとつ正座せりいくみいっ句
県道の西瓜に埋まる西瓜売りいたまきし
西瓜甘し制帽を脱ぐ警察官うどまじゅ
西瓜手に昔話の果てを待ちえちごひめ実
ご本家の仏間治めし西瓜かなえんかず
鉄棒の錆付きし手で西瓜食うおうれん
肩書の取れて朝餉の西瓜かなおおい芙美子
川岸に係留中の西瓜かなオカメインコ
西瓜食みつつ皆俺の口見てるおきゆきお
ゲイバーのママと西瓜を半分こおくにち木実
桶に家族分の西瓜の残骸かつたろー。
西瓜好きと決めつけられしご先祖様かむろ坂喜奈子
三姉妹集いて西瓜談義などきとうじん
老人会ぬるくなりたる西瓜かなきなこもち
西瓜切る七等分の難しさぐずみ
「やあやあ」と叔父貴ことしも西瓜下げケンG
腰屈めまあるく無い西瓜見るこつみ
三角の西瓜を待たす王将戦さいとうすすむ
青空をころげ抜けたる西瓜かなさくら亜紀女
西瓜喰うブラウン管の我がヒーローささきなお
ダンゴムシに心あるらし西瓜はむさだとみゆみこ
二間とも灯りをつけて西瓜切るさむしん
西瓜ごろごろ貨物列車ゆるゆるしかもり
奥羽山脈越えて来たるや西瓜売しぼりはf22
せせらぎに並ぶ西瓜は署名入りしゅういずみ
西瓜玉西半球は明日の分シュリ
種を吐く舌に嘘乗せ西瓜食ふジョビジョバ
種一つ種なし西瓜宿しけりしんぷる
西瓜ほど風呂敷に添ふ土産なしスマイリー正子
渓流に身を任せたる西瓜かなスローライフ
同い年の団地壊さる西瓜食ふせり坊
岩塩の解けるいとまの西瓜かなセントポーリア
路肩に山積みロシアの西瓜売りそうま純香
恐竜の孵化寸前の西瓜切る梨音
自動ドア止めて西瓜を運びをり髙橋なつ
西瓜滴り肘へ皿の場所変ふタマゴもたっぷりハムサンド
白昼の猿抱え行く西瓜かなたむらせつこ
悪態を呑みこみ独り西瓜かなちっちのきも
西瓜畠一番なりに立てる棒ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
西瓜食う時はあつまる家族かなテツコ
尻もよし縞模様もよし西瓜買ふでぷちゃん
戦争を咬み噛む兜太西瓜食むときめき人
やれ西瓜いつからお前化粧箱としなり
西瓜にはかつては耳と目があつたとりこ
西瓜喰いけりは付かぬが白い雲なかむら凧人
ポンポポン ポン ボンボボン西瓜熟るノグチダイスケ
似顔絵の微笑みてをり西瓜食ふのど飴
西瓜の種に斑太陽欠け始むはのん
姉訪ぬ西瓜畑の脇通りひぐちいちおう(一応)
んごろんと押し転がすや黒西瓜ひでやん
手の節に支流つくりて西瓜かなひなた
胎の子と西瓜の音を聞きにけりひな子桃青
生きるってあたりとはずれ西瓜切るひな芙美子
西瓜届きて父母は元気であるひろきち&ひろきき
すいかの種ガリッとかむたび時止まるひろ太郎11才
うまかけん塩やら要らん西瓜たいふじこ
西瓜食む余る手は犬撫でながらふるてい
猫二度見西瓜転がる縁側をヘッドホン
泥跳ねの跡や西瓜の薄緑ペトロア
西瓜あまし母方の叔父すきでしたほしの有紀
道の駅今帰仁西瓜の箱に猫ほんみえみねこ
庭の隅りんごくらいのすいか生るまこ@いつき組広ブロ俳句部
どっきんどきん転がって逃げたい西瓜ままマリン
千円の西瓜の重さ引きずりぬまりい@
西瓜食べ西瓜になった気分なりみつき小夏
西瓜喰ぶ目には拡がる多賀の海みやかわけい子
老い支度しばし忘るる西瓜かなみやこまる
決まり手は下手出し投げ西瓜食ぶみやこわすれ
スイカ美味へそに芽が出る種怖しもりのまりりん
こめんねは聞いてないけど西瓜切るヤヒロ
寝ぐずりをあやし西瓜の生温くやまなみ
包丁に西瓜ぱりりと割れたくてゆすらご
教会にけふ四つめの西瓜かなラーラ
すいかまんまるっこのままたべたいなりんたろう
麺つゆをどかして冷やす西瓜玉わたなべいびぃ
3つずつすいかとつみき盆の上葵はるか
ごろごろと訳あり西瓜軽トラに葦たかし
かの日の曲西瓜のにほひとともに伊藤興味
鄙の町の早瀬に冷ゆる西瓜かな伊藤順女
半導体めく縞に沿ひ西瓜切る伊予吟会宵嵐
時々の塩がしみいる西瓜の夜一佳
ぐっと海岸傾けて抱く西瓜一斤染乃
大黒様の好物多分西瓜宇田建
陽の気の響く西瓜を選びをり越智空子
火の国の子育ての日の西瓜かな奥寺窈子
ふたふりの断面会わぬ西瓜かな奥村俊哉
気合の西瓜一気食い全国へ下丼月光
西瓜なぞ誰と食うても西瓜なり加世堂魯幸
屠られし西瓜の皮に肉遺る加裕子
みんなして追へり西瓜の川流れ夏湖乃
しゃれにならぬ怪談 西瓜が温む夏雨ちや
新潟の海荒々し西瓜食ぶ花岡淑子
この星も西瓜も水で満ちている花咲明日香
包丁一閃スイカの腹のはちきれん花南天
起き抜けの西瓜寝しなの西瓜かな花紋
よく笑ふ法事の席に西瓜かな雅喜
せせらぎに西瓜の縞が回りけり海口竿富
西瓜食むタイマーの音鳴らせとく海瀬安紀子
ぼくが持ちばあちゃんが切る西瓜かな海野碧
西瓜食ふ姪っ子のわるだくみ顔海老海老
嘘ばかりついてしょっぱい西瓜かな海老名吟
拍手する子らも居なくてまんまる西瓜蛙里
河馬色の河馬に西瓜を放る人叶黄不動
西瓜喰ふ虫歯の少年の昭和釜眞手打ち蕎麦
真中からなくなる西瓜の大皿よ干しのいも子
滴れるけえ西瓜は外で食べんさい季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
刃先入れ大西瓜たるひびの音亀山酔田
西瓜抱く太陽からの贈り物亀田勝則
西瓜食ぶ若き歯形を勲章に久我恒子
幼子の顔をぶつけて西瓜喰ふ宮武桜子
手のひらを当てて冷たき西瓜かな宮武濱女
西瓜皆で良き家族といふ偽装宮部里美
友は皆学校へ行き西瓜かな宮本象三
示現流のごと西瓜叩っ切る京野秋水
鴉啼く西瓜の冷えぬ水道水玉井瑞月
健やかに死へ向かう日や西瓜食む玉響雷子
西瓜切る死はなぜあると子に聞かれ桑島幹
ざっくりと刃を濡らす西瓜かな薫子(におこ)
西瓜抱き吾子は何歳だったかな結壱隆月
よう来たやのう祖母の西瓜は井戸の中原善枝
湧水の特等席の西瓜哉原田民久
鋭角の西瓜の頭だけ摘まむ戸部紅屑
湧き水につけとったんよこの西瓜湖雪
失恋のだだくさに食う西瓜かな後藤麻衣子
鼻で食ふ顔面で食ふ西瓜かな公木正
ジグザグの西瓜模様にとどめさす弘
にぶき音軽き音して西瓜診る江雲
気をつけで何か言ひたそうな西瓜江藤すをん
かぶりつく西瓜この星みづの星高橋寅次
滾々と西瓜は赤を湛ふべし高砂浩
西瓜売る声も久しく聞かざりし今藤明
葉隠れに火照る西瓜や夕まぐれ佐藤儒艮
子は反って大人は猫背で西瓜提げ砂楽梨
侘しさにほどよき甘さ西瓜食む砂舟
トーマスのバス止まる音西瓜切る斎乃雪
半月の西瓜三日月まで減らす三浦にゃじろう
薬効を盾に冷たき西瓜かな三浦加容
西瓜切る日付変更線辺り三茶F
臍の緒を切るごと西瓜の蔓を切る山﨑瑠美
玄関にすいか隣にランドセル山越べに
西瓜喰らふラジオつけても静か山沖阿月子
西瓜切り西瓜をかじる音 ヒトリ山下真奈未
ざっくりと腹を見せたる西瓜かな山吉白米
我背子が大玉西瓜を持ち帰へり山田啓子
全身で西瓜抱く子よ何が嬉し山名凌霄
全力で西瓜を喰うてみる哀し市川りす
上腕に漢字のTATTOO西瓜売り獅子蕩児
稚魚の群れ避けて西瓜を浸しけり紫瑛
朝方の雨を奏でる西瓜かな七夏すばる
差し入れの西瓜の味や最終日芝野麦茶
しんがりが西瓜の荷上げワンゲル部紗智
弟がほしいと言はれ西瓜切る紗千子
五歳の弟に背負わす西瓜かな珠草
からだの水清んで西瓜のしみわたる若井柳児
西瓜抱き地球の重さこんなもの秀道
甘いと言い切る人いて西瓜買ふ秋夕介
粉の吹いた西瓜のヘタと蔓の棘秋月なおと
ズブバリと音して西瓜肉紅し重修司
波静かしゃくしゃくしゃくと西瓜食う宵猫
藍深き日本海かな西瓜食ふ小山晃
堂々の糖度十五度大西瓜小川都
こどもたち西瓜の皮の匂ひかな小川野棕櫚
魔除けのごと赤瑞々し西瓜かな小倉あんこ
空ろなる母に西瓜のひと匙を小池令香
片恋や西瓜はぬるく青臭く小南子
畑中の西瓜の猫に嗅がれけり小林陸人
シャリとかむ西瓜きれいな水の音松山のとまと
ざっくりと西瓜の音に人の寄る樟明子
腹の子に沁みる甘さの西瓜食む笑笑うさぎ
大罪の獄舎の如き大西瓜鐘ヶ江孝幸
西瓜切る刃先より手に響きくる植田かず子
爆笑は平和の証し西瓜食ふ色葉二穂
地球のプレート震えて西瓜食う森佳月
正解のない問いばかり西瓜切る森中ことり
食ふほどに水の味濃き西瓜かな真井とうか
水の星ならではの味西瓜かな神or愛
ゆらゆらとまろきすいかの香を抱き神長誉夫
店番の猫より買ひて良き西瓜真繍
好天にこれは脈動する西瓜水面叩く
三婆が西瓜の熟度もめている正岡恵似子
西瓜浮くぷかりのほほん井戸の中清白真冬
西瓜食うて耳の痒さを悔ひてをり西川由野
大西瓜切るや地球のひび割れて西尾至史
メールで別れ告ぐ西瓜の切り口西條晶夫
西瓜冷えて庭の湧水ゆたかなり青い月
好きと云ふ気持ちは大事西瓜食む青田奈央
西瓜切る甘さ均しく西瓜切る石岡女依
西瓜しゃくん青臭い自分を戻す石垣エリザ
地球のやうな西瓜の赤道を切る石崎京子
日本は西瓜の丁度このあたり石塚彩楓
軽き音我が頭より熟れている跡部榮喜
エアコンもなき頃の西瓜の甘さかな浅井和子
砂丘にて居並ぶ西瓜大地喝采素敵な晃くん
健やかに尖るすいかへ塩散らす倉嶋志乃
西瓜食う女の髪の乱れたり惣兵衛
二重跳び出来た出来たか西瓜切る太田鵯
西瓜食ぶ干拓の海赤々と対馬清波
瓜坊のごとく西瓜の縞模様大山香雪蘭
何時ぞやのウェッジウッドに西瓜かな大西蜜柑
真っ二つ西瓜に星群れて大野喬
西瓜がぶり靴擦れのあと痛痒し大野静香
屋根工事三時は西瓜塩多め鷹野みどり
分数を学んだ吾子が西瓜切る知足
車座の芯へ西瓜の弾き割れ池田郁英
夫は文春捲る妻は西瓜切る池内ときこ
せせらぎにまじりたそうに成る西瓜竹一
西瓜食む腕の吾子にしぶく乳竹口ゆうこ
頂を齧り西瓜を手渡しぬ中山月波
西瓜食むころころ変はる天気予報宙のふう
口に添へし西瓜棺奥に転ぶ朝雲列
大西瓜義姉の臀部大きこと辻が花
文庫本伏せて西瓜にかぶりつく鉄猫
心根は西瓜の円味阿修羅王天野呑水
西瓜にかぶりつく父の良い笑顔田本莞奈
カヤックの足元昼寝する西瓜杜まお実
西瓜食ぶ粗塩指にたつぷりと冬のおこじょ
あれが今年最後の西瓜だったとは冬木呑子
切り分けし西瓜大より消えにける嶋良二
家主の死知らぬ冷蔵庫の西瓜東原桜空
老健のロビーの集ひスイカ食む藤ちゃん
叩かれて西瓜鳴かねばならぬかな藤色葉菜
まんまるな西瓜まんまるな思ひ出藤田康子
かぶりつく西瓜赤くて寂しくて徳
閉ざされし地球の丸さ西瓜食む徳庵
お土産の西瓜を掴む父の動脈徳田ヨーコ
ボサノバのリズム喫茶店の西瓜内田英樹
外れ馬券濡らして西瓜食ひにけり内藤羊皐
子のをらぬ夫婦が西瓜購へり楢山孝明
唇はドレミファミレド西瓜食む尼島里志
マイバッグごろりと西瓜罷り出る如矢
西瓜食う今日も明日も休みなり背馬
指拭う服は西瓜の甘き香す梅嶋紫
三角錐の西瓜掘削工事中飯村祐知子
大皿の西瓜手に手にさらひゆく彼方ひらく
文化包丁西瓜半分切る難儀比良山
屏風山すいかカセットの声割れて緋乃捨楽
大西瓜かぶりつくとき陽は天心樋口滑瓢
常温の西瓜しみ入る寂寞や美翠
青臭き言葉を耳に西瓜食べ百合乃
貰うかも貰わないかも西瓜買ふ富山の露玉
大気圏へ水瓜の種を飛ばしけり富野香衣
スイカすいか西瓜 廊下を占領風ヒカル
刃当てられ自ずから割れゆく西瓜風花まゆみ
切り売りの西瓜よきっと明日は晴れ風紋
西瓜乗る車に揺れし成田山福井三水低
暴れ馬みたいな恋よ西瓜の香福月スミレ
かぶりつく西瓜の仲よ回す塩福田弓
西瓜抱く砂漠に月の冷たさよ福良ちどり
西瓜切る最後の父の食として文月さな女
合宿の十人に切る西瓜かな文女
畑仕事終えて西瓜や一筋の風平松 一
大当たりの西瓜を肩に父帰る平田花子
胸元に西瓜種乗せ道を説く歩亀
「獄門島」読みつつ西瓜冷やしをり蜂喰擬
太陽をもみくちゃに湖すいかの香北川蒼鴉
西瓜にも引力の有り青き星北大路京介
見送りや残る西瓜の真半分北野きのこ
西瓜甘いねと笑える七回忌妹のりこ
浮くか沈むか考へる大西瓜椋本望生
皮際になって西瓜を解放す門前町のり子
この西瓜昨日見た時無事だった野ばら
種出しも遠慮なき仲西瓜食ふ野原蛍草
西瓜切る座敷童子の分も入れ野木編
[スイカ始めました]濡れた黒インク唯飛唯游
月に雲熟れた西瓜のはぜる音来冬邦子
西瓜食ふ食ふ食ふ食ふがこれは水雷紋
西瓜成る丘の果てまでボコンボコン藍猫屋
西瓜や土佐打ち刃物の昏き平鈴ノ樹
西瓜切るあの娘の指に光る石麗し
西瓜食う隕石が地に落ちた日に惑星のかけら
土間ならぶ西瓜の音色ドレミレド琲朴
幽霊の掛軸に供う西瓜かな齋藤むつは
憎き人頭の隅に西瓜食ぶ笙女
西瓜切る中に縞馬居りませぬ綉綉
今年も西瓜の重心だけを食す翔龍
赤ウーピン捨てリーチだと西瓜食むこぶこ
夕べまで湯船貸しきる西瓜かなよしざね弓
川には西瓜絵日記はまだ白紙永谷部流
臨月のキャリーカートの西瓜かな橘まゆこ
陣痛の合間の西瓜青臭し朱頂蘭
差し入れの西瓜ごろごろ相撲部屋熊谷尚
トルファンの西瓜楕円の甘さかな桃香
垂直は西瓜に向かう水道水八重葉
西瓜切るハルキゲニアのような筋抹茶金魚
西瓜冷やす西瓜太郎といふ八百屋友雪割豆
波平の無口やましき西瓜かな有本仁政
仏壇の位牌を隠す西瓜かな馬笑
二切れの西瓜横目にテレワーク侘介
八つ切りの西瓜手に手に南京路遊飛@蚊帳のなか
八分の一のスイカと帰る夜上野眞理
八分の一の西瓜やまず供ふ渡辺陽子
冷蔵庫こーしてああして西瓜買ふ古今亭ちくしょう
とにかく今日の野菜室西瓜だけ坂まきか
つい買った西瓜どうして冷やそうか宮坂暢介
入れる場所ないから西瓜食べちゃって宇佐美好子
西瓜1個貧しき昭和皆集う木葉
卓袱台を囲む昭和の西瓜かな池之端昇雲
昭和とは家族みんなで食う西瓜三浦ごまこ
すいかはねわくわくルンルンうかんでる吉田結希
はらわたの赤さ競ひし西瓜かな華林灯
西瓜食む汁の肘へと流れ落つ小林のりこ
アゴつたうスイカの汁も構わずに柏原淑子
西瓜食ぶ滴ることを憚らず野地垂木
砂浜で西瓜破壊す手間話す(回文俳句)坂島魁文
枯れ畑粉西瓜のしま模様426
籠に入れ井戸に沈めた西瓜かな⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
西瓜食ふ天気予想の下駄飛ばす小笹いのり
朝採リの西瓜のまとふ光かな小嶋芦舟
兄妹のケンカのあとのスイカかな上原淳子
窓枠に収まり姉弟西瓜食む瀬尾ありさ
西瓜割って甘き返り血浴びにけり雪井苑生
空色の盥に西瓜雲と居て蒼空蒼子
縁側の膝膝膝よ西瓜食ぶ多事
買わぬのについ叩きたい大西瓜谷口あきこ
そちらでも西瓜一気をしてますか池田 洋子
地球にはならず西瓜になりました八田昌代
兎もつ西瓜甘いか戯画の内風花美絵
大玉西瓜日本刀をもってこいkao
西瓜食ふ早く食ひたる八時かなQ&A
かぶりつく西瓜の流儀忘れらるいちご一会
耳たぶの汁の乾きや西瓜食ぶいまいやすのり
供えた西瓜乾きゆく一周忌いろどり五島
西瓜抱くこれが産まれたてのあなたオサカナクッション
鴉二羽の喰い残し赤西瓜五個おざきさちよ
正座して西瓜喰ふ子の未来かなおひい
しゃぼんだますいかとちきゅうみんな〇カオスの孫そら
とりあえず西瓜売場はうろつくよかたちゃん@いつき組広ブロ俳句部
初孫とおなじ重さの西瓜かなさぬきのにゃんこ
ジャンボ西瓜出荷前の身体検査つなちゃん
床上げす西瓜の皮の尿瓶めくふくろう悠々
フッ種をフッ八切り西瓜抱えてフッ卯月かりん
スイカ畑空にも土佐の香のありて越智ちずる
西瓜虹色に捌かれ喰はれけり荻原湧
談笑すたらりたらりと西瓜の血火炎猿
つるべ井戸冷気纏うた西瓜かな蒲公英
西瓜食う西瓜色に染まる空閑々鶏
影が差す西瓜の皮も人の世も吉藤愛里子
藁の上向き変え変えし西瓜色古いっちゃん
漢方と聞きて西瓜を煮詰めたり根々雅水
助手席の西瓜転がる急ブレーキAKI
懐かしき吾子の重みや西瓜玉ANGEL
来年は西瓜畑さ種飛ばすito
亡き父の好物西瓜すくう匙Kへりくつ
青き空西瓜の峰に塩の雪maru
父卒寿西瓜一玉角切りしS.組子
冷西瓜提げてきた母の汗を拭くvivi
スーパーの西瓜サイコロとスマイルあかり
祖父来たかゴロっと西瓜ドアの前あくび指南
目隠して近づけ!君と西瓜の香あざみ
胃ろうチューブに好物のスイカ汁あじさい涼音
西瓜食む小さき御手や舟形のあつこっとん
寂しきは一人で喰らう西瓜なりあらら
前かごに西瓜一玉昼ごはんイカロス
縁に座し足ぶらぶらと西瓜食ふいまいやすのり
ぷかぷかと気持ち良さげな西瓜かないろをふくむや
皆逝きて一人西瓜にかぶりつくういろ丑
助手席に気づけば西瓜里帰りうさぎさん
碧い舟なみなみ歯形西瓜かなうさり
西瓜には少し小さきエコバッグうづら
西瓜食べ産地気になるあきつかなえみばば
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店先のセンターを張る西瓜かなお品まり
わからずも叩いて選ぶ西瓜かなカオス
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一葉を投じて西瓜買ってみるキートスばんじょうし
還暦の歯にしみひびく冷西瓜きた実実花
赤も黄も丸も四角も西瓜は美味いきみえは公栄
西瓜切る母は己れへ小さく切るくっちゃん
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半分のそのまた半分で買う西瓜さかたちえこ
引力の地球を持ちて西瓜かなさくやこのはな
ミシン踏む母の隣で西瓜食むさくら悠日
浮かびたる西瓜てんてん手毬唄さとう菓子
縁台に西瓜並べてみんな食むさなぎ
内定取り消しの取消しスイカ旨ししおみー
こんこんと西瓜叩きて笛を吹くジャマイカ丼
鎮座する西瓜や藁の円座かなシュルツ
指赤く食い込む紐の西瓜かなじょいふるとしちゃん
赤鬼のごとき幼子西瓜食むシリウス
妄想と笑えど西瓜は爆発すスッポン
ビリヤード軽トラ荷台西瓜ゴツすぴか
種はじくそれも楽しみ西瓜食うそまり
カラス一喝死守は屋上の西瓜それいゆ
地蔵さまにグーグルマップで西瓜供えたじま
西瓜抱くすべる重さは孫に似てたすく
三角の西瓜並びし合宿所たむこん
ポンと響き手に広がる西瓜畑ちやこ
パンパンの庫内の主や丸すいかつる凛々
西瓜積む軽トラックの唸りかなてまり
畑から栄養吸い尽くして西瓜てんてこ麻衣
金盥西瓜のつそり向きを変えとしまる
刃が当たりぴしっと鳴って西瓜の香とみことみ
ジレンマの因果性 西瓜が先かとものけい
黙黙とすいか食べるやラブシーンとろろ
西瓜提げじじの顔して父が来るなごやいろり
冷えた記憶浮かべ待てずままの西瓜なまくら
ルーツは砂漠西瓜小さきオアシスなんじゃもんじゃ
野菜室の主に成りたる西瓜かなにいやのる
玉まわしワラの座布団西瓜かなねがみともみ
虫食いの西瓜はグラマラスな死体ののr
夜勤明け気だるい猫と西瓜食むのりこ
川水に揺れる西瓜ぞ祖母の家バコ
笑ひ声やみて無心の西瓜かなはなあかり
庭先の西瓜食われて無残なりハルノ花柊
ひと口の西瓜の蜜やピラミッドはるる
すいか玉おふろに浮かべ待つ夕べひーちゃんw
恋心冷やし西瓜で熱冷ましヒゲラ
井戸の夢終わり西瓜は食べごろにひっそり静か
西瓜に塩私大人になりましたひなたか小春
甚六が真中よりとる西瓜かなビバリベルテ
西瓜食べ思い出すのは丹後の海ひめりんご
片付けし畑にごろりと西瓜かなひよこ号
川面では鞠の軽さの西瓜かなひろき
ついていく買い物抱え持つ西瓜ひろ夢
合戦のシーンの合間西瓜食うふくじん
湧水にほどよく西瓜客を待つふみ
西瓜冷え縁台将棋長くなりふみくらのな
大西瓜どかんと並ぶ道の駅ブルーバード
西瓜切る円周率と包丁とポンタ
西瓜あり道に文字増え故郷直ぐまこと(羽生誠)
塩ふるな種は吐き出せ西瓜食うマムシ銀行早乙女
彼の横スプーンで食う西瓜かなまりちゃ。
虫どものカースト制度西瓜畑みくも
皆の顔見つつ西瓜の旨さかなみたせつよ
軽トラの荷台がマルシェ西瓜買うみちむらまりな
今頃は誰が抱きをる大西瓜みなと
伴天連と西瓜分け合ふ闇の洞みやざき白水
二日酔い薬より西瓜食ふべしみわ吉
誕生日皿の西瓜の少し厚もつこ
畦そばの西瓜二玉消え去りぬももたもも
くまモンのシールの西瓜みなで食ぶヤンヤン
いざ勝負スイカの種のとばしっこよしこ
唇を西瓜の汁で湿らせるよにし陽子
勢いは手まで食いそうスイカ食うラリロリラリラ
包丁を入るるや割れてゆく西瓜るりぼうし
病院の西瓜甘きに季節知るわかなけん
カットと玉西瓜の今昔ものがたり亜紗舞那
西瓜食う西瓜の口になっている愛燦燦
カーペット捲らば西瓜のたねひとつ愛野優
真つ黒な純情伝助西瓜抱く葵新吾
団塊の西瓜の種は胃の中へ安部照
追憶の西瓜種ごと食す父安樂安策電
砂はらい西瓜のかけらにかぶりつく案山子@いつき組広ブロ俳句部
高熱の吾に西瓜の染み渡る杏樹萌香
楕円形の西瓜溢れる北京の街伊藤亜美子
砂ぼこり走る子追ふか西瓜切る伊藤小熊猫
店先の並んだ西瓜客を待つ伊藤正子
田舎家に西瓜ごろごろ土間にあり伊藤節子
月命日西瓜供えてなつかしや伊藤博
ベビーカー西瓜を乗せて子は抱いて遺跡納期
爆弾のやうな西瓜の中は赤井松慈悦
半分に切ったスイカが笑い顔井上 繁
黒光り西瓜提げたる父の腕郁楽
揺り起こすまろねの夫や初西瓜郁松松ちゃん
風呂敷の丸さでわかる西瓜かな郁陽
膨よかにどこまで丸き西瓜玉一太郎ラン坊
シャクシャクと妊婦食すはスイカなり一番ぶろ
手土産の西瓜の皮は三センチ稲垣由貴
ブロック西瓜封印久しかぶりつき稲葉 こいち
真っ二つ出来すぎ西瓜二片とび稲葉雀子
塩かけて食べる西瓜の甘さかな卯さきをん
西瓜畑匍匐のあたま悪ガキか影山嬾
断面を魅せて西瓜の並びをり榎本真希子
抱えたる西瓜重たき日の温み円
登り坂西瓜の紐の指のスジ遠藤百合
西瓜持ちかぶりつきつつ西瓜見る遠藤愁霞
たわいなき話をしながら西瓜切る塩原香子
餓鬼大将西瓜抱えて逝きにけり塩沢桂子
切り分けて中より取られへた西瓜奥ノ木蛍子
テレビ消すただシャリシャリ食む西瓜かな黄桜かづ奴
祖父の指西瓜をはじく朝の畑岡れいこ
かち割りてみよや西瓜の紅き肉岡美里
書きかけの葉書押しやり食む西瓜音のあ子
丿貫(へちかん)の手慣れ西瓜も笑うなり佳子
冷されて西瓜引揚げつるべ井戸夏目坦
食べ頃か背戸の山水西瓜冷え果音
スイカはむはむ鼻腔の陽気ごくん果禄
薄赤く滴り西瓜一心に河村静葩
割かれては甘き草蒸す西瓜かな河畔亭
初物や寡黙な父と食ぶ西瓜河野なお
西瓜切り夫の蘊蓄聞かされる花おうち
西瓜持ち迷って選びまた迷う花岡浩美
見落としのできすぎ西瓜またはねた花岡紘一
女よたり西瓜作法にはにかみぬ花屋英利
臨月のたたいて確認西瓜かな花咲みさき
スポーツ吹矢めく西瓜の種飛ばし花鳥風猫
西瓜食う姿で魅せたコメディアン海碧
皮はないカットスイカの種捨てる笠原理香
井戸に浮く西瓜冷えたか子らが待つ笠江茂子
ひとしきり西瓜畑に淀む風閑蛙
西瓜食むチフスで逝きし子の写真丸山隆子
縁側で西瓜むさぼる君二歳丸田仁美
大雨のあとの畑や西瓜爆ぜ岸本元世
西瓜玉沈む緑のより深く喜祝音
ノツクして西瓜の中は満員か貴志洋史
出刃ずぶり赤きに濡るる大西瓜鬼平哀歌
切り売りの西瓜で足りる暮らしかな亀山逸子
病後食よく噛み西瓜味わえり亀田稇
競ひ食ふ西瓜長兄手加減し亀田荒太
熟基準知らずにたたかれし西瓜菊池風峰
客の目を引きたるカット西瓜かな菊池洋勝
西瓜下ぐ爺の二の腕黒光り吉哉郎
試奏のごとつぎつぎ叩かるる西瓜吉行直人
井戸の中西瓜を冷やしかぶりつく吉田充
真二つに甘さ滴る西瓜かな橘右近
共同水場浮かぶ西瓜や名字入り宮村寿摩子
すいかは大玉半分ひとりじめ朽木春加
孫のため育てし西瓜を持て余す教来石
規格外味は別格我が西瓜橋本千浪
水分は西瓜で補給すると父玉井令子
丸くなれ朝日と転がす西瓜かな玉繭
モノクロのお勝手西瓜の皮食む子銀長だぬき
音聞いて尻見て選ぶ西瓜かな句楽
楽しげにリハビリ話し西瓜喰ふ空
銀盆を縁取る子らや初西瓜空龍
抱え込む西瓜に子らは顔うずめ桑原和博
お使いの西瓜抱えて汗滂沱桑田栞
西瓜食む美人薄命だつた人畦のすみれ
沢水に西瓜コロコロ遊ひをり月の沙漠★★
ムービーの西瓜お化けは裂けた口月影キョロ
赤黄色西瓜の顔が笑ってる月昭
西瓜食ふどの背もみんな丸まりて月城花風
トンネルをつくってしまう西瓜かな研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
井戸端でたらいの西瓜クルクルと見屋桜花
助手席の西瓜がナビして家帰る原田直幹
西瓜断つ恋の告白一直線源氏物語
縁側に西瓜きる音父の顔古史朗
雑草に囲まれてある西瓜一つ古庄秀樹
夫語る今年も語る西瓜かな古都鈴
県体や井戸冷え西瓜かぶりつく古澤久良
刃が足りずジグザグとなる西瓜かな弧楽
うだる身や染み入る西瓜塩の濃く戸根由紀
寂しさよ蝋燭灯す西瓜には光源氏
退職後畑に西瓜五個なりし光子
かぶりつく種無し西瓜怜和に酔う幸子
西瓜食ふ今年最後と母の声江見めいこ
今朝採れし西瓜あり遺影に微笑む江田綾子
西瓜かぶりつく虫へは皮ばかり江藤薫
こんこんこん吾子耳たてる西瓜かな甲山
饗されし西瓜の種をいかにせむ紅さやか
気が付けば叩いてしまう西瓜かな荒木豊
香港でほおばる西瓜鳥取産香港ひこぞう
サッカーの練習試合後の西瓜高橋光加
飛びちったあとの西瓜のセピアなる高橋実里
スイカ持ち笑う2010年の写真高石たく
子らが喰い終えて西瓜の皮真白高尾里甫
西瓜てふ皷店主の堅気告げ克巳@夜のサングラス
西瓜食う半裸が並びて種飛ばす今枝太郎
なにゆえに黒のしましま西瓜食む今村 ひとみ
太陽のいろ拝借す西瓜かな今野浮儚
三つ葵のごと西瓜の維管束根津C太
霊前の未だ小さき西瓜かな根本葉音
ゴルフして戦果代はりに西瓜買ふ佐々木宏
西瓜の種庭に飛ばしてオリンピック佐藤佳子
白磁器に真っ赤な笑顔西瓜なり佐藤花伎
宝くじ当選の夜西瓜かな佐藤志祐
縁側を掃いて清めていざ西瓜佐藤千枝
尻のごと母の西瓜を収穫す佐藤明美
部屋中に溢れる西瓜の香甲虫になる斎藤数
西瓜売りの声重なるラジオかな細川小春
西瓜出てふと食い合わせ表のこと在芽里子
独り居に見合う西瓜もいと甘し坂本千代子
西瓜切る目が逸れゆきてつまを見る榊昭広
留守宅の戸口にでんと大西瓜咲弥あさ奏
坂道でつまづき西瓜にげてゆく桜姫5
別れの日西瓜の種をほじりけり笹川酔進
本堂の球体浮くは西瓜なり三ノ宮ねこ
昼下がり母の歯茎が西瓜喰む三浦真奈美
手付かずのままの西瓜や見合い席三々一
西瓜抱きシルクロードの夢をみる三宅雅子
種取りて西瓜ひとかけ吾子の口三宅剛
あんちゃんの西瓜おっきい横にらみ三島瀬波
叩かれてでんすけすいか笑ひたる三泊みなと
種飲みて臍に手をやる西瓜かな山﨑菫久
算数を駆使して西瓜並ぶ子に山育ち
卓袱台の真ん中にをる西瓜かな山科美穂
持て余す小ぶりの西瓜杖の吾山口要人
鎮座する先祖の前の西瓜かな山口たまみ
姉弟で西瓜買う日のお供なり山口香子
甘いのは西瓜のしっぽ丸まりて山口雀昭
西瓜食うただただ日々を重ねたり山崎鈴
父の郷かばたに浮かぶ西瓜かな山崎ひろみ
がしがしと西瓜半分匙で食う山城明子
手に食い込む網目の紐の西瓜かな山川恵美子
冷蔵庫鎮座まします西瓜あり山川芳明
かぶりつく西瓜の汁も種も喉山田正夫
探検や深度十センチの西瓜山乃火穂
笹そよぎ和紙そよぐ夜の西瓜かな山辺道児
西瓜抱き酔歩の如き二歳の子山本あを
風呂敷に西瓜まるごと包み込み山本ふじ子
慈しむ西瓜畑の玉回し山本康
緑黒赤に白黒白西瓜山本先生
朝の畝飛行船めく西瓜かな山羊座の千賀子
西瓜に刃入れるやミシと割れてゆき糸川ラッコ
井戸水の沁みて西瓜の味深し紫雲
たなごころたたきて西瓜あまさきき紫雲英
農園に西瓜嫌ひの嫁迎ふ紫小寿々
包丁の刃触れて西瓜鳴きにけり鹿沼湖
西瓜切るよ号令のごと父の声鹿嶌純子
ドレミなく食べ頃打楽器なる西瓜篠崎しの
母君の供に召されし西瓜買い篠崎彰
小玉指し西瓜の子かと聞く子かな篠雪
教師と子山で西瓜を2個盗む蛇井めたる
西瓜割り三半規管弱りけり朱海祥
コロナ渦の速報ありし西瓜喰う珠桜女絢未来
ハーモニカ吹くが如きに西瓜食う酒暮
西瓜玉太き蔓にて完熟す秀耕
西瓜好き話し広まり届く今朝秋代
11度西瓜の糖度判定す舟根翠舟
空中のネットで育つ西瓜かな春夏
デザートの器はスイカ誕生日初野文子
給湯室の内緒話と初西瓜渚
ぺちぺちと診るやこの腹も西瓜も小だいふく
一切れのでんすけ西瓜匙も舐む小鞠
取っといた西瓜食べたの手を上げよ小栗福祥
西瓜切る黒塗り文書の実甘し小杉泰文
玉串と大玉西瓜乃木の神小雀
おさんじの真っ赤な西瓜はじぃじ産小川モモンガ
甥っ子が大玉西瓜ねだりけり小都見
子供らは学校始まる西瓜かな昭谷
半月の西瓜は盆に淡き紅松村貞夫
逆転打涙こらえて西瓜食う松島美絵
待ち倦む人来ないまま西瓜冷え松尾義弘
平等に西瓜切り分け平和来る笑々
高き音残して西瓜売られをり上月ひろし
風渡る西瓜畑に日は耀々上原まり
もてあまし写真に問うは初西瓜上山智子
西瓜玉コツンと叩きしたり顔上総道産
校庭や友の西瓜は育ち良し城ヶ崎由岐子
いつくしみ深き友なる西瓜切る新蕎麦句会・凪太
頑として西瓜は赤と決め付けり新濃健
早朝の読経すませて西瓜かな新美妙子
血に成ると祖母の信じた西瓜かな新米子
地道にと生きてどでかい西瓜食む森の水車
頬張る子親も頬張る西瓜かな森澤佳乃
夢はるか西瓜と海の砂にほひ深山涼水
さう言へば恋の始めは西瓜番深町明
西瓜食ふ名水よりも旨きかな真喜王
ジャンケンで決める店番西瓜売る真宮マミ
パキパキッパキッ大玉西瓜熟れに熟れ真優航千の母
青空に膝寄せ子供西瓜食む真理庵
陽にかざし喜び分かつ手の西瓜水乃江辰
北国の西瓜売りくる軽トラよ水夢
9Lの天竜スイカ供へられ杉浦あきけん
給食の黄色い皿にスイカあり杉浦真子
判る振りあちこち叩く西瓜採り杉尾芭蕉
自信もて選ぶ西瓜のまんまるし杉本果蓏
夜の精吸いし西瓜の甘さかな瀬尾白果
朝清し手塩かけたる西瓜かな星善之
スイカ半分こおらせシャリシャリくう星乃綺羅
置き去りに流れるプール西瓜なり星夢光風
西瓜さげ訪ぬる旧師へぼ将棋清水容子
一等席西瓜半分冷蔵庫清水京子
合宿やすぐになくなる西瓜五個清水祥月
ふり売りの軽トラに寄り西瓜選る西原さらさ
叩かれて西瓜安値で里離る西條恭子
刃当てればぱんっと広がる西瓜の香青井晴空
井戸の底ロープの先に西瓜冷え青児
ぴんときて西瓜ぽぽんとこれ決めた静泉
垣根まえスイカの種の飛ぶところ石山俊美
文鳥とともに味わう西瓜かな石田恵翠
行く雲や畑に西瓜の残りをり赤津勝茶
激甚災害水浸しの西瓜雪だるま担
冷え冷えのルビーの西瓜天女かな千家彩香
三角の頂点ガブリ西瓜食う千葉睦女
客用に糖度十一度の西瓜川村ひろの
ぺちぺちと叩いて選ぶ西瓜かな川村昌子
お隣に西瓜半分持っていく川田猫子
すいか食むほんの一瞬静がくる川畑 彩
なにげないかいわさえなし西瓜切る浅井フミヨ
不夜城のようともせ西瓜提灯浅野俊也
西瓜置く産まれて生きて死んでゆく船橋こまこ
今夜だけ名をつけてやる玉西瓜曽我真理子
ぱっくりと割れた西瓜の濡れた赤蘇州
大玉の西瓜を前に腕を組み双葉@あさ葉会
無人島めく床の間の西瓜かな倉岡富士子
喜劇王請われて西瓜早食いす早山
庭で食ふ西瓜のうまさあざやかさ痩女
給食後西瓜の皮は薄っぺらい草野あかね丸
振り塩をふた振り増やし初西瓜霜月詩扇
故郷の土香と声や西瓜来る則本久江
あれこれと言ひ合うて切る西瓜かな村松登音
土の香草の香水の香西瓜食む村辺史公
分数を教えつつ切る西瓜かな多喰身・デラックス
クラス会今年もマルしてスイカ切る多胡蘆秋
ぽこぽこ出るわが菜園のスイカかな多田ふみ
懐かしい小玉西瓜に付くネット駄詩
帰り来て西瓜食べる児丸いほほ大橋敏子
水はじく西瓜の横で笑う祖父大原雪
目を凝らす西瓜も吾子も川遊び大原妃
西瓜食み口いっぱいのノスタルジー大山きょうこ
水くさい父の西瓜にそっと塩大山こすみ
命日は西瓜供ふと妣と約し大山小袖
香煙のたゆとう墓地に西瓜おく大村真仙
ほろ苦き西瓜心病む子の味覚大津美
西瓜食ふ疎開の話し続く祖父大槻税悦
熟れ時の西瓜の頭ポンと打つ大嶋メデ
8等分割り切れぬまま食む西瓜大本千恵子
軽トラの荷台の西瓜と相席鷹之朋輩
午後三時つるべたぐりて西瓜食う卓女
西瓜提げ向かう母校の合宿所谷山みつこ
西瓜熟れ地球の奥のマグマめく谷本真理子
西瓜切るじっと意気込むおかしさよ池 愛子
西瓜買い食卓塩を買い帰る池田功
小学生の恋なんて西瓜ごし池田華族
心地よき小玉西瓜のひびの音池内ねこバアバ
西瓜から種をもらってプランター竹内うめ
種のついた素足投げ出し西瓜食む竹内みんて
僕生きる西瓜の様にまんまると中山清充
西瓜あり隣で笑ふ父の遺影中西舞
ゆふぐれの光に西瓜の白き尻中西柚子
知恵蔵のごとき西瓜を拝みをり中川裕規
キャンプ場西瓜浮かべて笑い声中島葉月
さてもさても西瓜嫌ひの親子かな中島圭子
西瓜浮く井戸の中には小宇宙中嶋京子
遥かなり畑で西瓜買いし日よ中嶋敏子
御先祖に初の西瓜を奉る中野富雄
河馬一口西瓜一玉砕き果汁衷子
母は錘吾は弓形西瓜切る長岡馨子
網棚の包みは西瓜朝参り長谷川ろんろん
西瓜喰ふはや昆虫の顔と化し直木葉子
熊本から西瓜前線北上す辻宝樹
差し入れの西瓜に棟梁の破顔点子
さみしさや 西瓜のうすくあまい赤田川さくら
来客の肩に担がれ西瓜来る田村モトエ
車座の野球少年西瓜食む田村伊都
ほらほらと子の手に伝う西瓜の汁田中ようちゃん
熊のごと西瓜の種も喰う男田中檸檬
三角のとんがり具合西瓜食む斗三木童
弟来るスイカ土産に穂高より渡辺みちこ
大西瓜母にねだりし誕生日渡辺満代
すいかより始むしりとりわが家まで渡邉わかな
西瓜畑風見の鶏の半回転渡邉一輝
こうていでばかっとわれたすいかだま渡邉久晃
円楕円時々四角西瓜食む渡邉竹庵
虫かごに歯形残りし西瓜あり都忘れ
水平線西瓜の種の放物線土田耕平
四本の指を揃へて打つ西瓜嶋田奈緒
真っ白なスケッチブック西瓜食む桃子ママ
西瓜孕んだおんなの情念増す赤さ桃葉琴乃
夜10時空に三日月手に西瓜藤井聖月
昭和初期薄い西瓜の大家族藤原訓子
二割引パックの西瓜朝食用峠まさ子
進化の効率のかたち西瓜なり独星
西瓜食むたび鈴虫のここちして奈良素数
西瓜かもしれない転ぶ秋田犬内橋可奈子
「ただいまー」部屋を占領する西瓜内田誠美
お辞儀して西瓜欲しがる牛の「黒」内本惠美子
思はぬに届いた西瓜黄が嬉し楠田草堂
叩くのはやめてくれよと西瓜言ひ二鬼酒
縁側に西瓜の黒子並びけり入江幸子
湯上りに齧る西瓜や雨あがる埜水
肘したたる子らの西瓜の食いっぷり梅次郎
安産と知らせるメール西瓜食ふ梅里和代
重たげに下げるスイカの心地よく博多66
見てくれの悪しき西瓜の旨きこと白井百合子
箸のびる西瓜の皮の漬け加減白雨
西瓜のタネ飛ばす我らに陽は落ちて白沢修
幸福は庭に飛ばせし西瓜種白土景子
三口目で西瓜だらけの顔になり白藍こは
車座でめいめい掴み西瓜食ふ畑 詩音
西瓜食う二本歯生えた天使かな畑澤利一
しゃりしゃりとストローさしてすうすいか八島清麟
午後三時八丈島のすいか食う八島鳳華
和讃後の西瓜みんなを無言にす八島裕月
宿題の横に西瓜の赤々と八木実
履歴書を書く手を休め西瓜食む飯田淳子
本物は日焼けの子喰ふ西瓜なり飛来英
誕生日祝う西瓜の赤さかな樋熊広美
西瓜切る母の手止める子たちの目尾関みちこ
真っ赤好き切られし西瓜じっと見る尾添ひろ美
白き皿西瓜汁落つ種笑う琵琶京子
祖父の家井戸で冷やした西瓜やさし美山つぐみ
あの頃は西瓜と僕と笑う君蛭本喜久枝
流水のまあるい西瓜昭和の音冨迫吉博
一ニ粒西瓜白種口の中撫品
前歯跡残して白し紅西瓜風泉
夢に見る一刀両断西瓜切り風来坊
無人販売山を見ている西瓜かな福ネコ
釣瓶にて西瓜冷えおり風呂支度福弓
収獲の西瓜畑はメデシング福泉
ベランダに種をぷぷぷとスイカ食う平馬
風呂沸いてぷかりぷかりと茹で西瓜米村菜摘
太っちょの我も可愛や西瓜食う片岡ひまり
タワマンの西瓜の種の行き所片岡佐知子
ばあちゃんちに皆が集ひし日の西瓜片栗子
十二の目と耳ぞ西瓜の亀裂?鵬
西瓜食む腎臓検査異常なし北原早春
「誰来たん?」厚めの西瓜指差して北村まゆみ
ペチペンポン今日の西瓜はこれにしよ牧野敏信
早取るか食えるかどうか小玉すいか堀満千男
夫手塩の西瓜仏間を陣取りぬ本間美知子
白黒西瓜祖母とキャメラに収まる盆暮れ
お帰りと冷やし西瓜のまんまるし盆暮れ正ガッツ
西瓜持つ手の止まりけり名勝負麻場育子
供物のごと畔に転がる西瓜かな麻生恵澄
西瓜提げ一人娘がやって来る抹香
西瓜種TUBEの音符ごとく跳び繭々
甘さを超へる甘さてふ西瓜切る満る
子ら笑顔種飛ばしつつ西瓜食う湊かずゆき
三角の西瓜嬉しき病院食眠兎
数学の課題やらねば西瓜食う明惟久里
西瓜とりトントンで診る熟れ加減明日良い天気
口にする西瓜の種の捨て処茂る
様々な価値観我が世西瓜食む木原洋子
西瓜切る赤きマグマで充ちてゐる木寺仙游
みどりくろあかくろ西瓜ふろの中木積
移住せし友の畑の西瓜かな木村かわせみ
腹に抱く西瓜十月の重さかな木村となえーる
黄西瓜は初めてなのと孫笑う木村修芳
葉隠れの西瓜に残す獣技木村波平
西瓜嫌い母は食べたき食べきれぬ夜香
包丁をつぷりと西瓜の皮よける野井みこ
降る雨やたっぷり吸えと西瓜見る野中泰風
まるごとの西瓜いつかのプロポーズ柳川心一
もう1つ三角西瓜に手がのびる佑菜
どれでもさ取って食べなとあの西瓜優夏
翅伸びぬ虫骸みつけ西瓜喰ふ柚野なつ
西瓜って幸せ家族想像す祐莉亜
西瓜玉意気揚々と売られけり揺子
谷水に経輪となり西瓜光来知万郷
赤に黄に西瓜シャキリと我祝う理佳
猛然と侵略のごと西瓜喰う立山はな子
打診して買った西瓜が空振りに隆美
西瓜持ちかぶりつく間にシャッター音林めぐみ
藁を敷く西瓜どつしり育つよに林田りこ
五か月の雨を蓄ふ西瓜かな瑠璃茉莉
冷えた西瓜や私は知覚過敏症鈴木(や)
腹の中探り合いつつ西瓜切る鈴木案菜
電卓と三角定規西瓜切る鈴木麗門
水中の西瓜の縞の揺らぎかな連雀
志村さん今年の西瓜しょっぱいや路地
カラハリ発東京砂漠西瓜飲み浪速の蟹造
語らずも母の手をとる西瓜かな和光
谷川で踊る西瓜や冷えごこち鷲野伎予子
遠き日の父の土産の西瓜かな國吉敦子
名水にぐるぐる回る西瓜かな巫女
西瓜食む母子三人の日曜日戌の箸置
抱えればふらつく程の西瓜かな戌亥
助手席の西瓜にシートベルトさせ櫻井弘子
地球儀と同じ模様の西瓜かな涅槃girl
端っこは鍬形の餌西瓜食ぶ淺野紫桜
垣根越しのぞく艶玉西瓜這う澤真澄
新聞はランチョンマット西瓜食う澪つくし
西瓜たね動線描く孫のあと眞鍋千穂
絆創膏貼りたる腕や西瓜食む祺埜箕來
乳飲み子の寝息確かめ初西瓜齋藤杏子
西瓜切る音囲みし日はらからよ齋藤とみよ
いらぬとは言わせぬ祖母の西瓜あり籠居子
はがゆきは先割れスプーン西瓜喰う苳
幾筋の稲妻西瓜に走りけり菫久
勝ち名乗り子ども相撲の玉スイカ豐田雄二郎
西瓜畑過ぎて靴紐直しおり邯鄲
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●兼題とは
○今回の兼題は「西瓜」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
- 目にしみる緑あふれる蓮子の池吉田俊哉
- 疲れ増すコロナ対応梅雨あかず黒井 肌
- 梅雨晴れのいつもの散歩汗にじむ内藤克明
○今、募集中の兼題を確認の上、次回のご投句お待ちしております。
- 雲の峰畳入れ替え頬固し紀友梨
- 勝負球振り切る四番雲の峰薫夏
○「雲の峰」は前回の兼題。〆切に間に合わなかったか・・・
- 白南風のテラスの笹に折紙スイカあおいなつはやて
○確かに「スイカ」という字は入っていますが、「折紙のスイカ」は季語としての力が弱い。むしろこの句は「白南風」の句ということになります。
●俳句の正しい表記とは?
- 西瓜やで お皿一杯 母の愛kan
- 西瓜食べ 緑あふるる リモートのきこう
- ぷっと種を 飛ばす香る 西瓜水ノハラ アザミ
- コロナ禍の シンクに浮かぶ 西瓜玉河合杏奈
- 家族減り カット西瓜を 選ぶ母狐福
- 西瓜食う 孫の笑顔は 万能薬一人ベランダ晩酌
- 初西瓜 切る術悩ます 細長きかな崎桜弥
- 西瓜切り 祖父の笑顔を 想い出すにいさんはんと
- 西瓜見て 笑顔の 親父思い出し田中敏廣
- 種一つ 隠し種無し 西瓜かな星野茜
- 光りさす 灰色空見て 食う西瓜皆尾淑子
- ふくよかな 甘きスイカの 土俵かな神島茂生
- 西瓜食べ 臍からいでる 新芽かな大神阿修羅
- 縁側の 種はいずこか 西瓜たべしに保土ちゃん
- 盂蘭盆会 皆かへる手に 西瓜かな或る間
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
- 翡翠いろ
西瓜の皮の
一夜漬かわいなおき - 西瓜食べ
汁も滴る
いい男花恋 - あれとって
西瓜片手に 星つかむ甲斐真里 - 子のために
西瓜の種とる
一年目進藤まき - 子の声と
包丁の音と
西瓜玉猪鷹 - 丸西瓜
甘い予感の
音ふたつ鷲尾真美 - 右手に傘
左手にスマホ
梅雨の雨板垣徹 - 白浜に
西瓜の破片
夏の夕嶋田吉朗
○テレビの俳句番組では、三行書きにする場合が多いのですが、あれはテレビの画面が四角なので、そのような書き方をしているだけ。重ねていいますが「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが正しい書き方です。
●一句一季語から練習
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。
- たなばた西瓜本紙はみ出す願いごとみことのりこ
- フルーツポンチ西瓜とサイダーかかせないいなりひろみ
- 月下美人の香 肩に朝露スイカ川嶋 香紫
- 夏の海見ながらすいか食べたいないをり7才
- ひんやりと夏の疲れに西瓜パック大姫
- 夏休みひたすらすいか食べてたな凛
- 暑いなあ家族みんなで西瓜割り加島
- 西瓜切れば線香花火の夢となり夏野花火
- 帰省の夜私を包む西瓜の香江川月丸
- 昼寝起き顔は西瓜の汁まみれ今田哲和
- 西瓜の白き皮残し昼寝す子副田木染
○季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習。どれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみましょう。
●季語深耕
- 歓声と手応え確か西瓜割るさきまき
- 足跡に海水滲む西瓜割り岩瀬拓哉
- 太陽にまつすぐ響く西瓜割り鷹の羽
- 照明に届かぬ棒で西瓜割り独奏
- 足裏の砂地重たきすいか割り高辻康治
○「西瓜割」を「西瓜」の傍題としている歳時記もあれば、「西瓜」は植物、「西瓜割」は人事生活の季語、と厳密に区別している歳時記もあります。
○今回も類句、いろいろありました。
- 丸ごとの西瓜入るかエコバッグ國吉敦子
- まるごとの西瓜入るかエコバッグ片栗子
- 叩くだけ叩いて買はぬ西瓜かな嶋田奈緒
- 叩くだけ叩いて買わぬ大西瓜Qさん
- ゴロリと地軸ズレてる西瓜玉シュリ
- 西瓜切る時や地軸の傾きぬすがりとおる
- 幼子の顔を西瓜に埋めけり宮武桜子
- 西瓜へと顔を埋めて襁褓の子内藤羊皐
- 抱え込む西瓜に子らは顔うずめ桑原和博
- 縁側でがぶりと西瓜種飛ばし山本康
- 縁側で西瓜がぶりと種とばし月昭
- 縁側で競う西瓜の種とばし鹿嶌純子
- 縁側で西瓜をかじり種飛ばし吉田充
- 恐竜の孵化寸前の西瓜切る梨音
- 西瓜から恐竜の子の孵化しそうそうり
●歴史的仮名遣いで書きたい!
○「歴史的仮名遣い」で書くか、「現代仮名遣い」で書くかは、作者自身が判断します。一句の内容に合わせて表記を変えるという考え方もありますが、混乱しやすいので、どちらかに決めることをお薦めします。
- このすいかたれぞがもってきたさうなあさのとびら
○この句の場合、「さうな」の部分は歴史的仮名遣いですが、それ以外が現代仮名遣いになっています。一句の中で、二つの仮名遣いが混在するのはタブーです。
歴史的仮名遣いで書くと、以下のようになります。
【添削例】 このすいくわたれぞがもつてきたさうな
・・・と、ここまで書いて、気になってきたので、念のため「西瓜」の仮名遣いを確認すると、手元にあった講談社版『カラー図説新日本大歳時記』の「西瓜」を引いてみると「すゐくわ」になっている。あれ?と思って、いくつか辞書やら歳時記やら確認するが「すいか」になってる。
こりゃ困った。私が絶大なる信頼を寄せている『日本国語大辞典』に当たってみると、「すいくわ」となっておりました。(ただ文献の中には「すゐくわ」の仮名遣いもありました。どこかの段階で誰かの間違った仮名遣いが踏襲されているのか、二つの説があるのか、そこまでは解明できないままです。)
歴史的仮名遣いで書きたい時は、常に辞書を片手に歴史的仮名遣いを確認する必要があることを肝に銘じておいてください。
6月に引き続き、7月も投句数が5000句を超えました!毎月『俳句生活』を盛り上げてくださり、本当にありがとうございます!
皆さん、夏井先生による毎月の「今月のアドバイス」はちゃんとチェックしていますか。俳句の正しい表記や、季重なりについて丁寧にご説明して下さっています。とくに、今月の「歴史的仮名遣いで書きたい!」のアドバイスは必見ですよ!(編集部)。