夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
12月の審査結果発表
兼題「水鳥」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
水鳥や朝の痛みを鳴き交はす
北野きのこ
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夏井いつき先生より
「水鳥」は、鴨とか鳰とか白鳥とか鴛鴦とか特定の種類をいうのではなく、冬の水辺に集う鳥たちを総称する季語です。つまり、この季語の本意には、それぞれの個体が認識されないぐらいの広い背景や空間が内包されていると考えてよいでしょう。
一句一読、ロケで訪れた米子水鳥公園の朝の様子がまざまざと蘇りました。身が締まるような冷気のなか、朝の湖に集う水鳥たちの声。あれは「朝の痛み」なのだという詩的断定にドキッとします。冷たい朝のひかりを弾く湖。その圧倒的な明るさに耐えかねて、鳥たちは口々に鳴き交わします。朝を迎える喜びと等分の、生きていく痛みがあるのだと。水鳥の言葉を解せる作者の心もまた、眩しいほどの朝の痛みに、声なき声をあげているのかもしれません。
水鳥の発てば波紋の群が追ふ
野地垂木
水鳥と水を描写する句は沢山ありましたが、「波紋の群」を擬人化しつつ映像化もできている作品。「追ふ」との描写のみでとどめることで、その後の映像もありありと想像させるのが巧いです。
水鳥の眠りにゆきのつもらざる
板柿せっか
兼題「水鳥」を使いつつ、傍題「浮寝鳥」を描いています。しかも「ゆき」との季重なりですが、湖に降り続く雪を背景に、動かない水鳥の様子を丁寧に描写しています。この技術、学びたいですね。
水鳥やそこは清らな被曝池
大黒とむとむ
上五「や」からの展開が巧い一句。「そこは」と指さし「清らな」と修飾し、一体それは? と思った瞬間に出現する「被曝池」のインパクト。この地に戻り始めた水鳥への複雑な思いが読み取れます。
水鳥の胸の白きは撃たるるため
RUSTY=HISOKA
遠目にも見える「水鳥の胸」の白い羽毛。それを「撃たるるため」に白いのだと言い切る発想に驚きます。下五の後の余白が、銃の照準器の映像に重なっていくようで、ひたひたと胸を打つ作品です。
水鳥うるせえここ角栄の家だぞ
新蕎麦句会・凪太
水鳥に向かって「うるせえ」と怒鳴るぐらいは思いつくかもしれませんが、政治家の栄枯盛衰を「ここ角栄の家だぞ」という台詞で表現してしまう力業に唯々吃驚! 忘れられない一句になりそう。
水尾をゆく水鳥水尾を押しひろげいさな歌鈴
水鳥の歩けば羽の重さうないさな歌鈴
水鳥の漂流物に似てかなしいさな歌鈴
水鳥の沼に張力朝が来る北野きのこ
水鳥やお堀はちょうど良く濁り北野きのこ
着水の水鳥水に躓けりうさぎまんじゅう
水鳥の光撒き散らかしてをりうさぎまんじゅう
水にゐて水鳥水と交はらず山名凌霄
濡れてゐるやうな水鳥濡れてない山名凌霄
水鳥に揺れる水鳥身じろがず小野睦
水鳥の流され水に追いつかず小野睦
水鳥の豊かにみづを片寄せり南方日午
水鳥の集ふ片手に離職票南方日午
水鳥にみづごろごろととどこほる水面叩
朝のくる夜ばかりだらう浮寝鳥水面叩
水鳥の頸のつなぎ目ずれてゐるぐ
水鳥怒る光の粒を震はせてぐ
水鳥は動かぬ珈琲を啜る池之端モルト
水鳥の足輪の革にキリル文字池之端モルト
水鳥の寄り来て富士は遠くなる葵新吾
水鳥の水尾金閣を梳る葵新吾
水鳥の死ねばきれいに脚揃ふ蒼空蒼子
浮寝鳥沈まぬかたちに丸まりぬ蒼空蒼子
みづの翳放たれて水鳥となる秋さやか
自爆するやうに水鳥羽ひらく秋さやか
水鳥観察朽ちゆくもの数ふあずお
ゆぶゆぶと老ゆ水鳥にさざ波来あずお
水鳥進む川しわくちゃに目覚めゆく足立智美
水鳥のあれが恐らく今の長足立智美
みずうみの水鳥白く暮れ残る新多
コンビナート火災迫り来浮寝鳥新多
水鳥や海のやつはすこしこわいイサク
水鳥やプラスチツクの海暮るるイサク
水禽の流るる墨のやうな水城内幸江
水鳥の声に寂しい朝を知る城内幸江
水鳥やラジヲ杖パン一欠片清水三雲
水鳥にMINOLTA光る水面かな清水三雲
着水の水鳥尾羽を振り納むあいむ李景
奈落めく城濠水鳥の引く光あいむ李景
水鳥やくるくる回るわらべ歌蒼鳩薫
殷々と古刹の鐘や浮寝鳥蒼鳩薫
水鳥も写真家も湧く晴れぽぴょぴょ赤馬福助
五分きりのローカルニュース水鳥赤馬福助
水鳥や孤独死だけはせぬやうに明惟久里
水鳥や心の深傷じんじんと明惟久里
残業の外を水鳥発ちにけり秋沙美洋
空に恋湖に恋あり浮寝鳥秋沙美洋
水禽の水面美し夢の果て芥川春耕
かそけくも地殻きしみて水鳥鳴く芥川春耕
水鳥は斯く羽撃けり胸に風朝月沙都子
水禽や平時多摩川のたりのたり朝月沙都子
水鳥よ口笛くらい許さんかあたなごっち
浮寝鳥剥がしたろかい上っ面あたなごっち
水鳥飛び立つ水面に雲戻るあまぐり
水鳥発つポケットに片道切符あまぐり
水鳥撃つ咥え煙草の英国王雨戸ゆらら
抱え上げ水鳥の重さ暖かさ雨戸ゆらら
水鳥や蓮根はもう甘いころ綾竹あんどれ
まっくらに眠る水鳥揺るる星綾竹あんどれ
まばらなる主日のミサや浮寝鳥アロイジオ
水鳥の荒みの極みたる眼アロイジオ
なりゆきは風まかせとす浮寝鳥飯村祐知子
水鳥の向かう岸よりどわつと来飯村祐知子
水鳥を囲むみんながサボタージュいかちゃん
水鳥の水びちやびちやにして発てりいかちゃん
念力で水鳥みんな飛ばしけり石井一草
みづとりにぎにぎ天岩戸は開きけり石井一草
水鳥の星を抱きてそれぞれに石塚彩楓
下手くそなピアノ水鳥動かない石塚彩楓
水鳥の飛び立つ先の灯かな磯野昭仁
水鳥の一夜泊まりへ星そろう磯野昭仁
水鳥の湖面を神さぶる光斎乃雪
水鳥の休符のやうな昼下がり斎乃雪
ぎしやぎしやと水禽みづのわに繰られいづみのあ
茎折れるかたちにこごる浮寝鳥いづみのあ
水鳥や大飯原発停止中伊藤亜美子
5枚目の喪中ハガキや水鳥啼く伊藤亜美子
浮寝鳥顎をうずめて風を聞く井中ひよこ号
山の影に徐々に覆はれ浮寝鳥井中ひよこ号
水鳥の翔つや水面を窪ませて伊奈川富真乃
水鳥の騒きおさむる風の息伊奈川富真乃
水鳥や勝麟太郎墓碑に雨伊予吟会宵嵐
周回を重ね水鳥増えにけり伊予吟会宵嵐
もう来ぬか水鳥をりし湖に風色葉二穂
水鳥へ孤独まるめるパンの耳色葉二穂
石切りの跡を水鳥泳ぎけりうすけ
橋脚を風除けに水鳥の群れうすけ
水鳥の水尾アキレス腱伸ばす内田英樹
水鳥の水尾尾道まで二キロ内田英樹
水鳥や内親王も人でして浦文乃
水鳥の居て水色の我が心浦文乃
水鳥の声だけやけに汚れをり潤目の鰯
水鳥眠る水鳥の体温で潤目の鰯
水鳥の顔写真ある池の端朶美子
水鳥や光まみれの水を浴ぶ朶美子
天の羽ひそめて川の水鳥よおおい芙美子
唐突に降り来て鳥は水鳥となるおおい芙美子
水鳥や声さざなみにころばせて大村真仙
瀬戸内の霞に水禽ぬすまれし大村真仙
住職は空を日向は水鳥を大和田美信
水鳥の過ぎて一語の病告ぐ大和田美信
水鳥やむらさき深き水弾く魚返みりん
水鳥の波かき分けていずる青魚返みりん
ふるさとのかぜ水鳥をまはしけり可笑式
水鳥のくちばし己が身を正す可笑式
鈍色の空にも波紋水鳥来小川めぐる
水鳥の八羽目かしら波かしら小川めぐる
未来より水鳥とどく水辺かなおきいふ
水鳥や同じ苗字の無関係おきいふ
水鳥にはなれぬ倒立上手くてもオサカナクッション
水鳥は摩擦を持たぬものとするオサカナクッション
不老不死の夢を見てをり浮寝鳥海音寺ジョー
水鳥の波紋しぼんで時止まる海音寺ジョー
水鳥の飛ぶやみづうみ広ごりぬ影山らてん
水鳥の忘れていつた泳跡波影山らてん
水鳥や夕べの夢のひとはだれ風花まゆみ
水鳥の首の辺りが好きな色風花まゆみ
水鳥の灯るや湖の鈍色に樫の木
水鳥の騒ぐよ月の喰はれたか樫の木
水鳥も水も静かに時を止め片栗子
水鳥や遺影のまわり白ばかり片栗子
水鳥や首の痛みの早三日かつたろー。
忙しなく動く水鳥田中っぽいかつたろー。
水葬の刻や水鳥天に舞ふ門未知子
水鳥の気の強さうな二羽をりぬ門未知子
有休の朝日まろやか浮寝鳥かねつき走流
水禽のつがひ硯に足す一滴かねつき走流
水鳥はあらかた美味し古老談叶黄不動性
水鳥の顔洗う時餌も取り叶黄不動
水鳥の腹重たげに陸の上かむろ坂喜奈子
まづ大きく見せて水鳥の求愛かむろ坂喜奈子
水鳥や獣舎の水を借りており菊池洋勝
水鳥にあり人にないものなんだ菊池洋勝
水鳥や安栖さんは期間工北村崇雄
水鳥やペンキ撥ねたる一張羅北村崇雄
浮寝鳥まだカタカナのような手話きなこもち
水鳥やぬたりと沈むパンの耳きなこもち
水鳥よ波紋を送り合ひませう木江
水鳥や果肉のひびき残すジャム木江
水鳥のくちばし血の色生きる色柝の音
傷を舐めあふ水鳥とさざ波と柝の音
水鳥に沈まぬ重さありにけり清島久門
水鳥の首一回転してたたむ清島久門
水鳥黒し漂流物のからみつくギル
水鳥は風が行きたい方へ行くギル
水鳥はひかりに歪みドービニーぐでたまご
水鳥の尻のスイッチ切ったろかぐでたまご
浮寝鳥バルカロールをゆくらゆくらくま鶉
水鳥やセルゲイ逝きて十九日くま鶉
水鳥をすべらせ水の昏きかな倉木はじめ
水鳥たゆたふ我が社の離職率倉木はじめ
水鳥の眉間に皺が隠れたるけーい〇
水鳥のぐぐぐぅと水面押し込めりけーい〇
水鳥とまとめて呼ばれここにいる木染湧水
水鳥観察御一行様うどん屋へ木染湧水
水鳥の名を聞く君の息ミント駒草らんぷ
水鳥が椰子にとまるとなんか変駒草らんぷ
水鳥や夕陽の落ちてそれつきりGONZA
水鳥の放り込まれたよな着水GONZA
水鳥の水上数歩駆け抜けり今野淳風
水鳥翔つみづの粘りを払ひのけ今野淳風
水鳥や湖を分かちて立つ大樹斉藤立夏
空き腹にラブソングかよ浮寝鳥斉藤立夏
水鳥の片寄せらるる那須颪砂舟
水鳥や今日も一人で行く蕎麦屋砂舟
キューポラのある街あまた水鳥来佐藤志祐
水鳥やひらがなのごと浮いてをり佐藤志祐
水鳥の水鳥として離れけり佐藤儒艮
水鳥や買い手のつかぬ遊覧船佐藤儒艮
浮寝鳥湖は麻酔を打つたやうさとけん
水鳥や金貨のやうな月揺らぐさとけん
浮寝鳥さざ波だけの重みかなさぶり
水禽や陣整へる気配なしさぶり
水鳥や沈むに勝るを浮力と云ふ沢拓庵
溜息に浮寝鳥らの揺れており沢拓庵
水鳥の嘴光る羽繕い茂る
水鳥の陣掻き回す風どっと茂る
北斗星に掬はれもせず浮寝鳥しぼりはf22
水鳥の岸を離るる早さかなしぼりはf22
水鳥の鳴き交わす眼の夜明色じゃすみん
水鳥のみづに嫌はれたる油膜じゃすみん
水鳥や岸へコロコロ吹き溜まるシュリ
水鳥や遠くに飛ばぬパンの耳シュリ
水鳥の趾縛られて御明神シュルツ
浮寝鳥今でも少し燻ってシュルツ
棺めく泉に灯る水鳥よ常幸龍BCAD
水鳥や上皇様の歩く道常幸龍BCAD
水鳥は湧水近く集ひけり笙女
浮寝鳥水かきの色生生し笙女
パテテテテ水鳥の飛ぶ浮島よ翔龍
水鳥の羽音鉛筆削る音翔龍
水鳥の浮くごと水尾振る一打ジョビジョバ
水鳥のおのが水輪の中にうくジョビジョバ
水鳥の聲よ子音を研ぎ澄ませ白プロキオン
吾の肉をやがて水鳥ついばめり白プロキオン
水鳥が暗き鼓膜を震わせり白よだか
水鳥の浮きたる此処が空の底白よだか
水鳥や必ず何か忘れをり新開ちえ
みずとりやとけいはみんないっしょなん新開ちえ
浮寝鳥吹き寄せられて遠ながれすがりとおる
水鳥や打ち捨てられしダルマ船すがりとおる
暁へ水鳥の飢ゑ広がれり鈴木由紀子
水鳥や星斗は跡を残しをり鈴木由紀子
食ひ切れぬポップコーンや浮寝鳥鈴ノ樹
水鳥ようぽうぽ今朝のパンの耳鈴ノ樹
水鳥や勾玉池の弧に沿ひてすぴか
水鳥やこの息羽に変はる時すぴか
水鳥のはばたき月面の波紋清波
水鳥の羽根混じりける夕干潟清波
水鳥や小舟たゆんと雨集むせり坊
水鳥の色を溶かして濁る水せり坊
知らぬまに水鳥消えて雨の粒蒼奏
風の日の水鳥ときに目を瞑る蒼奏
夕暮へ水鳥の声ファの#そうり
携帯に水鳥の声拾ひけりそうり
水鳥のふぉとふぉと歩くアスファルトそまり
水鳥や仲間はずれの美しきことそまり
水鳥やサファリパークの空狭い宙のふう
携帯はいつも圏外浮寝鳥宙のふう
まっしろじゃないあの水鳥も初恋も高尾里甫
星ひとつきえてぐわと啼くみづ鳥高尾里甫
切手貼りたし水鳥の滴にて高田祥聖
耳打ちの代わりに水鳥の造波高田祥聖
α波の眠りのなかを浮寝鳥高橋無垢
水鳥を眺めてふかくなる呼吸高橋無垢
水鳥の逆立ち空を切る朱の脚滝川橋
水鳥や住むにか細き流れなる滝川橋
水鳥や敵国の水硬いとな玉庭マサアキ
近江国越えぬ水鳥越える鳥玉庭マサアキ
水鳥の旅の記憶を空に置き玉響雷子
水鳥の水を蹴らねば飛び立てず玉響雷子
誰よりも水鳥湖の味を知る田村利平
山神に鳴いて水鳥嶺を越ゆ田村利平
シャドーピッチング浮寝鳥の池へたろりずむ
水鳥の定理のように動かざるたろりずむ
美味いとも不味いともなく水鳥丹波らる
水鳥のいたところにまた水鳥丹波らる
水鳥や無職で潰すスニーカー月々
水鳥や傷口なめて鉄の味月々
浮寝鳥夜をひと声鳴く遠さちゃうりん
水は蘇比色水鳥の影を消しちゃうりん
風得たる草水鳥を発たせけり辻が花
水鳥や少年いつか恋をして辻が花
水鳥や湖畔は愛を捨てる場所テツコ
水鳥へ愛を千切つて喰はしをりテツコ
水鳥はネオンに揺られ釧路川鉄猫
水鳥は氷うまれる音を聞く鉄猫
この沼は小さな器水鳥来天陽ゆう
水底を知らぬ水鳥浮きにけり天陽ゆう
水鳥を眺めるために買った城東京堕天使
水鳥を撮りたしジープでも買うか東京堕天使
水鳥や空には戻りたくないか独星
水鳥や教室から見える自由独星
水鳥や嘴の魚ごと水に影戸部紅屑
玻璃翳る大温室や水鳥発つ戸部紅屑
夕風の湿度水鳥三羽分トマト使いめりるりら
水鳥の発つ時月の濁る音トマト使いめりるりら
寄港船昭和の唄を浮寝鳥斗三木童
水鳥をたつぷり集む皆瀬川斗三木童
検索をして水鳥に会ひにゆく富野香衣
水鳥の水の呼吸に合はせけり富野香衣
動くものただ水鳥の古城かな富山の露玉
背を向けたまま水鳥の寄り添へり富山の露玉
太閤の秘湯を斯くも浮寝鳥内藤羊皐
水鳥の羽根を透きたる月明り内藤羊皐
朝靄のうすむらさきを水鳥来中岡秀次
水鳥のつくりものめく丸みかな中岡秀次
水鳥の羽音アイヌの尖る水中原久遠
水鳥や湖黒々と外来魚中原久遠
水鳥やかんぽの宿の昼しずかなかむら凧人
水よりも先に水鳥下りけりなかむら凧人
水鳥や紙芝居屋が柝をうちて夏雨ちや
浮寝鳥ちがふ男と歩きをり夏雨ちや
水鳥戦ぐ樹海は乳の匂ひ七瀬ゆきこ
哭きたいだけ哭いて水鳥になつた七瀬ゆきこ
水鳥もフォーレのピアノ曲聴くや楢山孝明
水鳥の嘴から水の零れたる楢山孝明
水鳥の嘴が引つ掻く昼の水西川由野
潜りしと違ふ水鳥浮いて来て西川由野
水鳥の水面に記す古代文字西村小市
水鳥や首も頭も消して寝る西村小市
撮影に慣れた上野の水鳥よ二重格子
右足を掻き水鳥の旋回す二重格子
水鳥の水脈もたれあふくづしあふにゃん
水鳥や艇庫をとざす銀の鍵にゃん
不機嫌な楽器水鳥の体温仁和田永
水の色逃げて水鳥の滑り来仁和田永
水鳥を数へるふりをして二人野ばら
水鳥やひかり集めては散らし野ばら
釣船の波くたびれて浮寝鳥馬祥
水鳥の蹼ひろげみづに降る馬祥
水鳥のいろ森の色みずの色八田昌代
水鳥や幻想振動症候群八田昌代
水鳥や砂嘴はひかりを産む構へ早田駒斗
水鳥や骨なきみづの苦鉄質早田駒斗
水鳥の少しく湖に染まり銀播磨陽子
水鳥のまりて澱みのやはらかし播磨陽子
はとバスの日和やお濠の浮寝鳥樋口滑瓢
波立てば水鳥隠る浮上がる樋口滑瓢
水鳥の一所懸命なる水輪ひでやん
身震ひに迷惑げなる水鳥もひでやん
寝違えて水鳥目線のみで追ふ緋乃捨楽
濁点の如き遠さや浮寝鳥緋乃捨楽
池濡らし水鳥を雨濡らさざる比々き
水鳥の羽怠けをる水の上比々き
水鳥の同じ顔なる平和かな平本魚水
水鳥の羽魚だつた日の記憶平本魚水
診察は五分水鳥もうゐない藤色葉菜
水鳥のじつとうるさくなりにけり藤色葉菜
水鳥はにんげんがすこしだけニガテ藤田ゆきまち
ハモニカの波長水鳥寄りにけり藤田ゆきまち
浮寝鳥百群れて百流れけり古瀬まさあき
みづうみの錆びて水鳥囚はるる古瀬まさあき
やさしくてさびしい距離にいる水鳥古田秀
頓服の甘み水鳥みづを蹴る古田秀
水鳥や砂利まざるかに鳴るラジオふるてい
水鳥のつがいの波紋ぶつからぬふるてい
知らぬ色浮かびて水鳥に光ペトロ
高波に吸ひつく白き水鳥やペトロア
水鳥の水面に眠る哀れかなべびぽん
水鳥渡る死刑執行の朝べびぽん
水鳥の重き臓腑の離陸かな茫々
水鳥墜ちビルヂング錆び鋭角茫々
夕風は鋼の匂ひ水鳥来ほろろ。
水やさし故に水鳥かなしかろほろろ。
浮寝鳥鏡はそっと触れるものまあぶる
水鳥の浮かび出る先当てにけりまあぶる
潮が足弾き水鳥飛びにけり曲がりしっぽ
クラインの壺か水鳥首自在曲がりしっぽ
しんしんと水鳥の水尾すきとほるまこちふる
銃声や水鳥の息つやめきてまこちふる
水鳥の水の薄墨色の雲まどん
蹴り上げる泥水水鳥の御空まどん
水鳥の見えぬ掟のあるようなまりい@
水鳥の家系図にある謎の謎まりい@
水鳥をいだきて余呉の鏡晴まんぷく
水鳥や疎水の先にある明治まんぷく
羽も首も口も預けて浮寝鳥三浦にゃじろう
水鳥は星の迷路をひたすすみ三浦にゃじろう
水鳥や杉より暮れる沼の池光子
水鳥の水引きつれて流さるる光子
浮寝鳥学校の窓濁りけり南風の記憶
水鳥や異国の硬貨ほの青し南風の記憶
水鳥の居ぬ池や水剥がれをり宮坂暢介
顎を引く水鳥池を押さえたり宮坂暢介
水面の星啄みてより浮寝鳥宮武濱女
水鳥の一羽もをらぬ右の池宮武濱女
食パンの耳百円水鳥に投ぐ宮部里美
水鳥飛んで絶縁といふ自由宮部里美
改憲やみづとりのめの黒黒す宮森ふみ
土砂降りの横浜港や浮寝鳥宮森ふみ
水鳥の波の奔さの入日かな椋本望生
水鳥や飛ぶと思へぬ尻を見せ椋本望生
明日香には飛鳥の色の水鳥来武者小路敬妙洒脱篤
水鳥や都心のみづをやはらかに武者小路敬妙洒脱篤
水鳥や豆腐贖ひ帰らばやむべ
浮寝鳥夫病院に置きしままむべ
水鳥や僕に居場所はあるかしらももたもも
水鳥やここにはいない母をよぶももたもも
芝浜の夜明やわらか浮寝鳥森山博士
人生はたった百年浮寝鳥森山博士
河岸のジャズのリズムを浮寝鳥夜行
水鳥の水にうつとり従へり夜行
水鳥の水面となりてやはらかきヤヒロ
水鳥の型に川の面へこみをりヤヒロ
水鳥の目の金色の異国めく山口一青
にび色の空に押されて浮寝鳥山口一青
水鳥や宇宙ガラスの如き水山﨑瑠美
チェーホフを諳んず水鳥の小径山﨑瑠美
水鳥のためらひのなき鼻濁音山田蹴人
水鳥の水面をつかむ助走かな山田蹴人
水鳥や訛りは人をさみしくす柚木みゆき
ウィークリーマンション二階水鳥の見ゆ柚木みゆき
水鳥のチワワと睨みあうてをり雪陽
それぞれの水鳥選ぶ子供たち雪陽
水鳥の当たらぬやうに浮かぶ術ゆすらご
浮寝鳥あれは三年住んだ家ゆすらご
鈍痛を流れにまかせ浮寝鳥百合乃
浮寝鳥ときに寂しき眠りあり百合乃
水鳥の長き滑走して飛ばず羊似妃
水鳥を撮れば横顔ばかりなり羊似妃
さっきまであんなに水鳥がいたのに横縞
寂しくもないのに我へ水鳥来横縞
ぜんまいの仕掛けせわしく浮寝鳥吉野春夏
水鳥のゆるく数へて三千羽吉野春夏
水鳥に水面はざりとしがみつき瑠璃茉莉
水鳥の翼広げるときは雑瑠璃茉莉
しあわせじゃなかった水鳥だった渡邉桃蓮
びろうどのみづをみづどりまつしろに渡邉桃蓮
風きらきら水鳥がともだちだつたRUSTY=HISOKA
水鳥の残るつがいの日向かな野地垂木
水鳥やひまにあかせてするけんか板柿せっか
水鳥の姿も富士も映しけり浦野紗知
水鳥や齧つただけのフランス語海老海老
水鳥や今朝気づきたる吹出物多事
水鳥の羽うらの少年少女たちあさふろ
重そうなくちばし水鳥の採餌青井晴空
水鳥の渇きつ風は紫色青田奈央
水鳥は四等の星啄んであさきまほろ
水禽の嘴高く飲みこめりあさぎいろ
音のなし水鳥のあし暇のなし淺野紫桜
怪我した水禽を逃がす工程浅野俊也
水鳥と言ふな名前を呼び給へあさのとびら
水鳥を数ふ楽しみ車椅子麻場育子
ポン菓子に水鳥の陣崩れけり芦幸
水鳥の顔に見覚えある数羽跡部榮喜
水鳥の水掻き魚屋の拳天野呑水
水禽のつぎつぎ見せる足の裏あまぶー
水鳥の潜ればだるまさん転ぶあみま
水の粘性水鳥を囲む輪にあやや
日没に水禽どれも焦げてゐる蟻馬次朗
出勤の妻にことづて浮寝鳥有本仁政
円光を広げ水鳥群れる沼アン
水鳥の微睡み雨に濡れてをり安春
翼磨く水鳥は整備士のまなざしで飯田淳子
水鳥や千羽の中の吾子のこゑ郁松松ちゃん
油汚染かすかに光る水鳥の目いくみっ句
出張のいとまを水鳥となりて池内ときこ
静かなる水鳥ひしと水を掻くいたまきし
考え事しているやうに浮寝鳥伊藤順女
求愛は目覚めのひかり浮寝鳥いなだはまち
水鳥の水脈やはらかな水となるウィヤイ未樹
水鳥も新幹線も過ぎし駅宇田建
水鳥の引つ張つてゆく入日かなうづら
タンカーの大波を受け浮寝鳥海口竿富
水鳥の滑る波紋や小さき嘘海野碧
水鳥や今日来る人の瞬がずうめがさそう
白銀の地平線凸水鳥か梅木若葉
水鳥や学生僧は素足なり麗し
頓服の薬とりどり浮寝鳥海老名吟
水鳥のるるると今日も終わりけりM・李子
水鳥やコロッケ包む新聞紙大小田忍
中也の詩こわさぬように浮寝鳥大津美
水鳥の嘴の反り具合の見事お銀
水鳥やカンバスに油絵具打つ小口zzda
水鳥やきのふの嘘を見抜かれし奥寺窈子
水鳥が着水し鏡面にひびおこそとの
水鳥の朱の脚に掻く首辺り越智空子
求人紙またバツつけて浮寝鳥音のあ子
水鳥潜り水底の黙破る鬼平哀歌
ジッパーの弾け水鳥飛び出て来火炎猿
水鳥の波紋魚影に追ひつけり馨子
水鳥や三羽といふは一あまる加世堂魯幸
水鳥や黄昏畏れ羽広げかたちゃん@いつき組広ブロ俳句部
シェパードの鼻噛みし水鳥のあり克巳@夜のサングラス
水鳥の着水光受け止めて花伝
水鳥の背中乾いてゐたりけり亀田荒太
水禽の飛ぶとき空は屈曲す亀田かつおぶし
水鳥の胸を濡して立ちにけり亀山酔田
水鳥の美しき足掻きよ城下町花紋
水鳥やクレッシェンドに立つ波紋邯鄲
水鳥や空の青さに沈みそう喜祝音
水鳥やガイド遮る中国語北藤詩旦
風うけて水鳥数羽吹きだまるきた実実花
浮寝鳥己が波紋を知らぬまま木寺仙游
水鳥やエールなき還暦の夜木下桃白
水かきを胸に抱きし浮寝鳥木村となえーる
水鳥の水の綴ぢ目にほのと紅久我恒子
母と諍い娘は水鳥を見る楠田草堂
浮寝鳥湖上の鳥居をくぐりけり國吉敦子
水鳥を待つ水面の平らなる久巳子
水鳥の寝相正しく寝まりをる倉岡富士子
着水の水鳥すぐにうたた寝す句楽
水鳥をかぞえて中学校遠し倉嶋志乃
水鳥や鼓動残して飛び立ちぬくんちんさま
水鳥の失踪月下の一夜城健央介
水鳥の過ぎゆく水の底に吾小池令香
ランナーと水鳥互いに無関心公木正
たゆたえば自殺も寿命浮寝鳥古賀
水鳥やニコライ堂の鐘昏し小だいふく
水鳥や龍を封じて石青む小林妙
水鳥の水掻きの良く水を獲るこま
水鳥の悠々渋谷の喧騒小鞠
パラランパララン水鳥の着水在芽里子
浮寝鳥水の調べはブラームス齋藤杏子
水鳥のふわりと夢の醒めるとき斎藤数
水鳥や形見のブローチの瑠璃 坂本千代子
水鳥や水はじゃばじゃば波の底さくらちゃん
水鳥の首から空に向かいたるさこ
浮寝鳥二人会話のないベンチ迫久鯨
水鳥の出払つてゐる流れかな紗千子
水鳥や水音たてり夜をゆらすさとう菓子
柴又にぶらりと男浮寝鳥佐藤志祐
からつぽの手に夕陽きて浮寝鳥さむしん
異境に果つ夫の遺灰や浮寝鳥澤田郁子
水鳥や買物バスは日に三便山太狼
水鳥や祖母より聞きし人柱紫瑛
水鳥やひとりも群れるのも嫌い獅子蕩児
水鳥の埴輪の淵の水鳥よ島田あんず
縄文土器の眠りし上や浮寝鳥清水容子
水鳥やふいごの喉の鳴き荒ぶ霜月詩扇
水鳥や棺の祖父とあくる朝下丼月光
水鳥の残す波紋を消す波紋沙那夏
水鳥揺らすひょうたん池の狭まりぬ水夢
空破れたり降り止まぬ水鳥嗚呼素敵な晃くん
長楕円軌道水鳥の終点すりいぴい
ボート漕ぐ渦に寄りしか水鳥は青児
水鳥の群れに揉め事起きそうな晴好雨独
水鳥の夜いたところまで歩く曽我真理子
水鳥やコンクリートの岸きれい染井つぐみ
水鳥よ琵琶湖の雲はやらかいか空野千鶴
古池に水鳥の波あめのなみ高石たく
雨の残り香と水鳥の川面高嶺遠
水鳥の真下を尾ひれ動く透く髙橋なつ
浮寝鳥求人誌丸め座りおる卓女
方船から水鳥発ちて世界みゆたすく
マグカップ熱し加茂川に水鳥唯飛唯游
水鳥のひかりに変はる落暉かな多々良海月
水鳥の水掻き川音を掴む橘まゆこ
水鳥の膨れて今朝は風強し立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
水鳥がちょっと気になる猫だもの田中節子
蒼穹の軽きを抱き浮寝鳥谷川下沖
水鳥の戻りて景色ととのえり谷口あきこ
猫獲るに大きすぎぬか浮寝鳥谷本真理子
水鳥の羽音の初めハ長調タマゴもたっぷりハムサンド
名も知らぬ水鳥のやうな水鳥田本莞奈
水鳥に集団登校間延びするちっちのきも
水鳥の子らにくすぐったき水面衷子
水鳥の尾羽より水尾の後れたるツカビッチ
曇天と湖わかつ水鳥よてんてこ麻衣
水鳥の影を濁して川岸へでんでん琴女
そうか水鳥にもいじめっこいるかドイツばば
水鳥の速さ湖動かさずdoいつもcoいつも
浮寝鳥冷たい鼻を羽に埋めトウ甘藻
水鳥の寝息の聞こえさうな夜とかき星
透明な賢治の祈り水鳥来ときめき人
きつかけの水鳥飛びて千の音としなり
水鳥のほとんど濡れてなかりけりとりこ
水鳥の水脈ひとつずつ岸に消ゆ中島走吟
この水鳥はさっき数えた水鳥か⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
水鳥の黙ひたひたと潮の満つ薫子(におこ)
水鳥や流水算で躓いた二鬼酒
水鳥のふるへるやうに進みをり根本葉音
水鳥やのたりと夕日落ちて行き埜水
波にのり波にのまれぬ水鳥や野原蛍草
陽落ちてて水鳥だけが鳥のよう登りびと
水鳥や十字の飛翔湖面揺る白雨
花嫁の渡れる川よ水鳥よ 長谷川小春
水鳥の夢へ沁み入る雨しづかはなあかり
水鳥のために湖呼吸する花咲明日香
水鳥も古墳も浮かべ池の晴花南天
水鳥は水に浮きつつ逝きにけりHNKAGA
水鳥や水面に星の浚はれぬひろき
雨降れば雨降る随に浮寝鳥風慈音
水鳥や舟に手強き向ひ風深町明
騒がしき一羽の他は浮寝鳥ふくじん
水鳥の川面に画く筆記体ふくろう悠々
夕映えの波を水鳥発光すふじこ
水鳥のしずかに水輪ひろげ行くふみ
水鳥や店とびとびに壇具川古川宏子
水鳥や夫と二人の囲碁教室星月さやか
浮寝鳥さみしい時はタクトふれ細川小春
水鳥を吹き集めたる風のいたずら正岡恵似子
グライダー眼下水鳥置き去りに松尾義弘
水鳥や夕日の底の水固し松本裕子
水鳥の来る朝君の来ない夜真冬峰
水鳥や宿の浴衣の糊硬しみちむらまりな
水鳥や頭にともる星明かりみつき小夏
水鳥の暮れて連峰暮れゆけるみつれしづく
水鳥の声乗せ風は湖畔へと見屋桜花
羽音やみ水鳥の夢はじまれりみやかわけい子
水鳥や互いの羽根をつひばめり三宅雅子
天心に蒼き星あり浮寝鳥みやこわすれ
寂しくて水鳥に石投げしことむうさく
水鳥の立ちて浅瀬と思ひけりむゆき
水鳥のガ行鼻音や暮るる空無恙庵仄斎
漆黒の淵水鳥どこで眠るむらのたんぽぽ
水鳥の名前を付けて日が暮れるmomo
水鳥や夫の写真とゐるベンチ杜まお実
そこ潜りそこは飛ぶのか水鳥よもりさわ
水鳥の時間ゆっくり昼の月森中ことり
ドカジャンの背中水鳥たちの白柳川心一
逆光の水鳥金波銀波かな八幡風花
水鳥の声をめがけて崖くだる山口要人
水鳥や漢字のいらぬ国恋しやまぐちこう司
水鳥の陣屋きっさき揃ひけり山科美穂
風が波を私語が浮寝鳥を山本先生
水鳥になったあなたが好きでした結壱隆月
みずとりやほっとけーきまだですかゆうすけ(3歳)
水鳥の一羽わたしのやうに独り雪井苑生
水鳥にあげるつもりはないポテチ横浜J子
水鳥や日本はパンの耳の味よしざね弓
ビル風の池 水鳥ぷかり生きる吉藤愛里子
水鳥の波紋重なり合ひ小風吉行直人
水鳥の嘴にシベリア凍てたままよにし陽子
水鳥や波紋アンダンテに揺れる雷紋
雲作る羽のスイッチ浮寝鳥梨音
水禽に狩場の風の味方かな柳絮
水面に夜空下ろして浮寝鳥るんやみ
水鳥や予備校生の昼休み和光
水鳥の去り水面いっぱいに城渡邉一輝
無垢な羽根汚さぬように浮寝鳥笑笑うさぎ
哀しさや白き水禽波高し蒼來応來
水鳥やペットボトルの水を買ふ赤松諦現
少年に水鳥の名を教えられ遺跡納期
水鳥や機影過ぎ行く羽田沖うさぎさん
鴨川デルタ転職の吾と水鳥と桂木右京
水鳥やカフェの親父は薪を割る川村湖雪
浮寝鳥湖面の月を過りをり洒落神戸
水鳥や防災無線谺せり酔進
しんしんと降るよ水鳥けぶりゐぬ杉本果蓏
廃村の浜の棄て舟水鳥来鈴木麗門
水鳥やカップラーメンもう飽きた世良日守
靄を鳴く水鳥千もありぬべし蒼求
水鳥の波に逆らひ動かざる高橋寅次
水鳥にあるらし杭の好き嫌ひてまり
水門にボロ布のような水鳥永谷部流
ゆらゆらと本心揺らぐ浮寝鳥ハルノ花柊
離れゆく手も水鳥も追えなくて東原桜空
水鳥や客船マリエラの終航廣重
水鳥やシベリア抑留四年余風紋
水鳥を巨大なレンズ狙いたり福井三水低
比叡見る水鳥を見るテラス席福良ちどり
空色の水の真中の浮寝鳥碧西里
水鳥や峡は壷中の天と化すみい
水鳥の硝子ひつかくような聲紫小寿々
水鳥の名を吾子に聞く橋の上山川腎茶
水鳥の群を水鳥離れけり新濃健
水鳥は除け行く池の張りと澄み坂島魁文@回文俳句
みずとりやごはんをゆったりたべてますまりな(6歳)
みずうみにみずとりぷかぷかふとってるひなた息子
水鳥の中の兄弟だれとだれひなた娘
うきねどりぽちゃぽちゃあしであるいてた吉田結希
審査無き絵描き会なり浮寝鳥島田金魚子
水鳥の泳ぎはなめらか父の古希島村福太郎
水鳥の片羽根上げて羽虫取り杉尾芭蕉
水鳥は水の温度を知ってをりすぎやん
水鳥やゆるりと時の速きかな鈴木直人
水球専用プールや浮寝鳥鈴木(や)
水鳥よ若き母から電話鳴るやも主藤充子
池には水鳥おまけの海老天来瀬尾ありさ
喧嘩するやうに水鳥交尾中走吟
水鳥のうたた寝八割悪夢なり惣兵衛
しらじらとおねしょかき混ぜ浮寝鳥尼島里志
剣豪の間合いの如く水鳥よ干しのいも子
水鳥よ焼けば旨そな尻振つて葦たかし
渡り着てもう馴染んでる水鳥や飛来英
水鳥の群れ上りたる逆さ富士ANGEL
木洩れ日を受けてうす目の浮寝鳥あ・うん
水鳥の日向にゆるりゆるりかな愛燦燦
水鳥や時を漕ぐ船永遠に青い月
かの池は清水のままか水鳥よあおいなつはやて
別れの日水鳥の目はただ虚ろあかり
水鳥のやたら詳しき坊主ゐてAKI
水鳥や北へ飛び立つ我が故郷昭谷
田園に追い立てられて浮寝鳥あきののかなた
水鳥の羽ばたき終えてシギの中秋代
水鳥やイミダペプチド秘め離陸あくび指南
浮寝鳥感じているかさざれ波あさいふみよ
水鳥は静寂破りぬ午前五時朝雲列
一直線に憂鬱も飛ばす水鳥也亜紗舞那
目が合いてすーっと遠のく浮寝鳥あじさい子
水鳥の極彩色に生まれけり明日良い天気
水鳥の水尾に水面の木々揺るるあじょあ
三日月の浮かぶわんどの浮寝鳥網代
水鳥を撮る妻の背にさす夕日東洋一郎
水鳥の泡の光りて釣果なし畦のすみれ
土砂降りの川面避けて中洲の水鳥麻生恵澄
風上を見すえる水鳥波光るあそぼ葉
水鳥や卵に入れ泡立てろ!姉川司
水禽水面を翼竜めき翔びぬsakuraa.
水鳥の知らぬ地球の寿命とはアポロ
水鳥の姿に似た数教えた日を吾亦紅
水鳥の水面蹴立てる水辺かな荒木豊
水鳥の真の姿空にありあらら
水鳥の水輪小さく潜りけり蛙里
川面なる水鳥描く五線紙やありいかな
水鳥や吾子もいつしか父となり杏樹萌香
水鳥のスーッと波紋月過ぎる粋庵仁空
水鳥の着水みなもかくしつつ池内ねこバアバ
水鳥よ瓢湖の景色かわらずや池上敬子
水鳥の鳴きまねしたら襲われた池田華族
水鳥や分校の友ただ一人石井茶爺
夕暮れの波光にとける水禽や石岡女依
水鳥や電波かき分け飛来せり石垣
水鳥の背に真珠めく水の玉石崎京子
水鳥や集い渦巻く昼下がり石田恵翠
水鳥がりんとたたずむ水面かな石橋千佳子
草震え雲曳くごとく水鳥来石原由女
水鳥のいく先には知らぬ街和泉明月子
水鳥の逆立ち決まり芸術点泉子
園児らの指す尾の軽し水鳥や市川りす
薄闇の湖に影在り浮寝鳥一太郎ラン坊
旋回す水鳥の足せわしなく一番ぶろ
向かい風水鳥の羽音歩が乱れ一佳
水鳥や木漏れ日紅き浮見堂いつかある日
一陣の水鳥揺らぐ風一陣一秋子
水鳥よあなたのように生きていく井出奈津美
浮寝鳥波紋のまなかつぶらな目伊藤節子
水鳥の何をついばむ懸命に伊藤ひろし
水鳥や戦力外といわれた日伊藤れい子
水鳥は静寂の夜まといたり伊藤玲子
水鳥のおしりのふたつぷかぷかと伊藤小熊猫
息合わせる潜っては浮く水鳥に糸川ラッコ
白内障術後眩し水鳥は稲葉こいち
まさを空水鳥吸われ白い帯稲葉雀子
水鳥や貯水池巡る杖の音戌亥
水鳥や親子の集ふ昼下がり戌の箸置
水鳥の平然な顔波の上井上繁
波やさし夢の中なる浮寝鳥いまいやすのり
人恋し水鳥の群れ水尾引けり今井淑子
朝靄をわけて水鳥飛び立ちぬ井松慈悦
水鳥の円を描きて餌を取る今西知巳
水鳥の掻く足の如友と会い今村ひとみ
水掻きのブレーキキキキ水鳥来妹のりこ
先陣の水鳥二羽の水入らず彩人色
水鳥は水面の空を切り裂いていろどり五島
水鳥や静かに時を流し行くいろをふくむや
来月の家賃どうしよ浮寝鳥ういろ丑
まるく丸く水鳥の羽根より円く植田かず子
温泉街水鳥はよく動きけり上野眞理
火の鳥のごと水鳥の巖に立つ上原淳子
水鳥は知らん顔して行っちまう宇佐美好子
水鳥の行方決めるは磁界なり歌い鳥
カーラジオ無言で二人浮寝鳥内田誠美
自動ドア開けて水鳥見せるカフェ内本惠美子
午後の陽の中洲ぬくしか水鳥よ卯月かりん
水鳥の検温日課飼育員梅里和代
水鳥や光を跳ねる魚の腹
風に飛べ水鳥の群れそのままに江田綾子
水鳥や波紋も二つ真珠婚江藤薫
贖罪の貯水池に二羽の水鳥江藤すをん
角張った空水鳥は高く飛び江戸川ちゃあこ
孫とみる水鳥つがい東山えみばば
水鳥の項を垂れて波動かざる江見めいこ
浮寝鳥くっつきをうて眠りをり円
手の切れる水をしとねに浮寝鳥えんかず
水鳥の羽音に跳ねる隠れ猫えんどうしん
水鳥の飛ぶ影我を一文字遠藤百合
雪がないと水鳥に見えない気がする遠藤愁霞
水鳥に投げしパンのみ浮かびをり遠藤玲奈
水鳥や群の一羽を望遠に近江菫花
赤レンガ歪む水鳥の航跡大熊猫
水鳥よ二羽でゆうるり行くも良い大嶋メデ
水鳥や波に動かぬ強き芯大隅淳一
餌くるゝ子らを水鳥見分けをり大谷如水
廃ビルの群れへ水鳥急上昇大槻税悦
水鳥は微動だにせずカメの池大野静香
水鳥やしずかに燃やす恋心大野美波
水鳥や故郷だんだん遠くなる大庭慈温
生き辛し水鳥群れて吾独り大原妃
水鳥が飛び立つ空に探す希望大原雪
水鳥の彫刻にしたい羽である大本千恵子
どしゃぶりを行くガムシャラな水鳥よ大山きょうこ
水鳥は先着順に異論なし大山こすみ
麻酔醒め漂ふ病床浮寝鳥大山小袖
水鳥は大空の旅秘めて浮き岡崎俊子
片目だけ辺りうかがう浮寝鳥オカメインコ
遊覧船追う水鳥の猛き群小川天鵲
水鳥の時停めている葦辺かな小川野棕櫚
大空へ水鳥の足水面うて小川都
水鳥のしれっと川を流れゆく荻原湧
並びゐて水鳥描くレースライン奥田早苗
水鳥はビビリと見ればつけあがり奥ノ木蛍子
「ベトシチ」に誘わるるごと水鳥来小倉あんこ
漣に揺られるままの水鳥よおぐら徳
水鳥や足かき鯉にご挨拶小栗福祥
水鳥に漁り下手居り我も又おざきさちよ
ピロピロリ息吹き生きる水鳥かおさむらいちゃん
水鳥や夕べは去りて朝来たる小澤ほのか
くちばしはしまいて静か浮寝鳥お品まり
水鳥よ旅物語聞かせてよ尾関みちこ
水掻きもまた水鳥の一部なり小田和子
水鳥を浮かべダムへと沈む村小田龍聖
人も去り水鳥も去りサイレント小田虎賢
水鳥や吾は熟睡に沈みゆく小田慶喜
水鳥や濡れぬ汚れぬその毅然乙華散
水鳥やベニエの美味な喫茶店お漬物
水鳥の水掻の皹かわきをりお天気娘
水鳥やくちばし痒いとこ楽々音人妙歌
水鳥や水の面ひかりて白極むおひい
浮寝鳥流れに甘えひとひ過ぐおぼろ月
くびを折り浮き寝の鳥よ夢蒼天かいぐりかいぐり
水鳥の波あと弱き美しき甲斐紫雲
けば立ちた水鳥を見る午後の無為海瀬安紀子
浮寝鳥水の冷たさ存じぬと快晴のセカイ
ティーショット水鳥の如こゆるぎもせず海碧
憂き世にて常しへの穏浮寝鳥果音
水鳥が湖の水飲んでいるカオス
水鳥は波紋にゆらり揺られけり案山子@いつき組広ブロ俳句部
パン屑を投げ水鳥の序列知る篝
旅立つ朝静清整で水鳥の様柿野宮
シンクロの如く水鳥かをを出すかこ
水鳥の足はわが家の台所笠江茂子
水鳥や期間限定偽装婚風花あつこ
水鳥の仲間にしてね飛びたいの風花美絵
密を避けコロナに挑む水鳥も加島
昼下がり波紋小さき浮寝鳥鹿嶌純子
番ふたり群れたり外れたり水鳥柏原淑子
朝日背に飛び立つ金の水鳥よ風ヒカル
水鳥や羽先が踊り子の指のごと花鳥風猫
手賀沼の空もうす墨浮寝鳥仮名鶫
水鳥や始業時間は八時半かぬまっこ
水鳥や男子饒舌女子寡黙甲山
水鳥とスワンボートと水尾クロス釜眞手打ち蕎麦
水鳥や闇にかすかな羽の音神or愛
羽拡げ水鳥零るる星拾う神長誉夫
漂って時を鎮める水鳥よ紙谷杳子
浮寝鳥夢は富士五湖水をかぐ神谷米子
彫物のやうな水鳥集ひけり亀田稇
水鳥の声無く群れてまた離れ亀山逸子
10年後水鳥戻り町無言かもめ
水鳥の声震えたり夜明け前加裕子
ひと筋の軌跡の先に浮寝鳥カラハ
水鳥やリーダーいるのかいないのか狩谷和寓
水鳥の羽ばたくチャンス待つカメラ河合弘子
水鳥や円くなったり光華ったり川北わこ
水鳥も映えに気づかい羽広げ川添昭則
泣いた日の水辺に立てば浮寝鳥河村静葩
女なんて星の数ほど浮寝鳥川村ひろの
水鳥や心の淵を覗きをり川村昌子
水鳥や風流を連れ間木堤川守田京子
水鳥の憩う湖畔の救急車閑蛙
水鳥や餌を取られてばかりの子閑々鶏
波打つて割るるが空や水鳥来岩のじ
水鳥と差し向かいホット缶コーヒー看板のピン
隔離無き世界旅する水鳥よKII
水鳥や漂ふといふ自由かなキートスばんじょうし
水鳥の群に立つ湯気銀の沼菊地璃芭風
ベタ凪を背にして遠い目の水鳥黄桜かづ奴
水鳥よ彼女の病と飛んでくれ岸本元世
冴えわたる星空の下浮寝鳥酒暮
水鳥や明日は離婚の話し合い季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
水鳥は水蹴り空蹴り飛びにけり北川そうあ
水鳥や北方領土からの風喜多吃音
水鳥の視線背にしていざ出陣北野南瓜
水鳥よ腹もお尻も冷えますよ北村季凛
水鳥に此処は暖かいと言われ祺埜箕來
明けゆくや水鳥浮かぶ夢のごと木原洋子
水鳥と母に送られ故郷立つ木村かわせみ
水鳥のここだも騒ぐ加茂の瀬に木村修芳
時越える仁徳陵や浮き寝鳥木村波平
水鳥や一年ぶりの里帰りQさん
水鳥の羽音に動く時の河鳩礼
浮寝鳥濠に映りし対となり木葉子
水鳥の呼吸は密かに峡の朝京野秋水
山おろし浮寝の鳥も揺蕩うて教来石
水鳥やアバンチュールを目撃す季凛
見交わして湖面駆け出す浮寝鳥銀長だぬき
水鳥も忖度してをり永田町金目鯛海咲
白く染む羽ばたき水鳥集う朝空龍
フェス中止されども来る水鳥よ草野あかね丸
水鳥や煉瓦倉庫のコンサート葛谷猫日和
水鳥の三さん五ごの孤独かなぐずみ
水鳥の着水鹿威し鳴りぬ久世有仁
夜のしじま望遠レンズ水鳥待つ國吉隆仁
千羽いる水鳥の中朽ちた舟倉木葉いわう
水鳥の走る水面に波紋あり久瑠圃
水鳥の飛ぶとき脚をもてあまし久留里61
水鳥を日がな眺むる失業者紅さやか
水鳥や伸びするように羽立ててクロまま
水鳥を待つ手に熱いコーヒー缶桑田栞
水鳥も葦吹き倒す風を避けつつ桑原和博
この村はおほかた空家浮寝鳥薫夏
晴れた空水鳥渡るミシシッピ恵享怜
水鳥や天才に陰なる努力佳山@水戸
水鳥さんぬくぬく羽毛ありがとうKへりくつ
水鳥や朝日を浴びてゆらぐ水月昭
水鳥の描く水輪陽に砕け紫雲英
はぐれたる水鳥一羽夜の河ケンG
水鳥は冷たき羽を軽やかに源氏物語
水鳥や去年と違う熊本城研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
すまし顔脚は激務ぞ水鳥は鍵盤ポロネーズ
ほら見てんのあげんおるばい浮寝鳥江雲
会社のマイクロバスの窓に水鳥高坂和子
水鳥の水尾のセンターすまし顔上月ひろし
氷る水路に水鳥の白い羽幸内悦夫
水鳥や陸海空をまたにかけ河野なお
水鳥や瞬間移動したような神戸めぐみ
浮寝鳥深く静かに悪だくみ古今亭朝朝
水鳥の皆風吹く方を向いている小笹いのり
水鳥の残せし静寂防災論小嶋芦舟
学名を口遊みけり浮寝鳥小杉泰文
水鳥と小人になって浮かびたい木積
水鳥や揺れる水面の茜雲来冬邦子
土塊の踏みつけて水鳥の音古都鈴
向きてんでん六羽の水鳥羽根休め小林のりこ
無防備の背中ふわりと浮寝鳥こぶこ
水鳥舞う新興福寺五重塔古宮伸泰
水鳥やとどのつまりは無国籍小山晃
水鳥の「さむくないの?」母の背の小山祐治
水鳥の呼吸最内を突く鹿毛今藤明
水鳥の滑走路となる運河沿い西條晶夫
望郷の水鳥凛と脚ほそし西條恭子
浮根鳥水面に映る我が姿さいとうすすむ
水鳥の一声団地の屋根遥か齋藤むつは
水鳥やリップ塗りつつ眺めたり早乙女龍千代
水鳥ひとり湖の真中に頸を差す榊昭広
水鳥や県民手帳お取り寄せ坂まきか
水鳥やおどろき多さスマホさえ相良まさと
ぷかぷかと水鳥あそぶ湖面かなさきまき
水鳥を呼んでいるよな空の碧さくやこのはな
水たたく水鳥俄か天に満ちさくら亜紀女
水鳥や線対称の水鏡櫻井弘子
ターコイズブルーの無限浮寝鳥櫻庭詩想
水鳥や機の爆音に胸つぶす桜姫5
水鳥や夫婦喧嘩の帰り道さくら悠日
水鳥の遥かなる水尾黄昏るる佐々木宏
昼行灯オレも翔べるか浮き寝鳥ささきなお
水鳥を数える媼撮る翁紗智
喪中にて水鳥浮かぶ日暮れの時幸子
水鳥や子らへ見せ続ける背中佐藤花伎
水鳥や深海魚らも寝りをり佐藤恒治
水鳥はいづこやはたとせぶりの池佐藤美追
毘盧遮那観相窓から水鳥に佐藤佳子
こんな池にも水鳥のひと番真井とうか
水鳥がお堀に降りて過去の夢さなぎ
水鳥の首の傾ぎの読書灯サバラン弘子
水鳥は私ゆらめく滑走路明香
水鳥や手漕ぎボートは陸にあり三々一
水鳥が波紋に残す白い羽さんのへケヰヂ
水飛沫上げて番いの浮寝鳥塩沢桂子
水鳥の飛来の記事を今朝読みぬ塩原香子
水鳥の水面叩きて空に舞う篠雪
一斉に飛び立つときの水鳥の呼吸島じい子
おいと子が呼べど水鳥振り向かず嶋田奈緒
騒がしき世はコロナ禍の浮寝鳥嶋良二
水鳥や膝抱へ泣く女の子清水祥月
唐揚げを食べつつ愛でる水鳥よ清水晴架
どぶ川の水鳥狸をちら見する石神井五郎
いつまでと水鳥に問ふ遊女かな斜楽
水鳥の瞬膜閉じて流れけり砂楽梨
水鳥の昏き空より降るごとくしゅういずみ
水鳥の群れ逆さ富士乱したり秀耕
水鳥や真っ赤に染まる水世界秀道
水鳥となつて伽羅奢の舞ひもどる綉綉
水鳥は水面に写る我知らず寿松
水鳥の行列水輪の消滅じょいふるとしちゃん
水鳥の光る扇の波紋かな白藍こはく
水鳥の羽音掻き消す風の音白井百合子
水鳥を避けてルアーの乱れ撃ち白沢修
水鳥の憩う干潟や双眼鏡白土景子
水鳥のしぶき地球のダイヤなりしらふゆき
水鳥や母逝く道を拓けなむ仁
水鳥の餌貰うこと覚えしか真繍
水尾二つ一つとなりて水鳥のゆくしんぷる
白と黒銀の世界にただ水鳥森牧亭遊好
愛らしき水鳥の平穏波濤の後のスカビオサ
水鳥のおかえりの声見てストレッチ菅原千秋
水鳥よ母のすがたが水の面杉浦あきけん
水鳥や淡き月見ゆこの朝杉浦夏甫
水鳥のもぐる羽ばたく宝ケ池杉浦真子
縄文のヴィーナスの羽根浮寝鳥すずしろ
水鳥に威嚇され立つ水辺かな清白真冬
水鳥と農夫のうのう紫煙かな須藤かをる
羽に首うづむ水鳥御陵池スマイリー正子
水鳥や池の面の鴟尾滲むすみ
摩周湖へ落つる夕日と浮寝鳥スローライフ
羽ばたくはテレビの中の水鳥か清香優
痛い耳押さえ眺める水禽や星夢光風
水鳥の羽ばたき夜を驚かす瀬尾白果
水鳥のリズムとりつつ潜りあいそうま純香
水鳥は震えもせずに水をかく蘇州
水鳥の羽音競いし我が足やそれいゆ
赤レンガでおにぎり水鳥浮かぶ駄詩
裸眼だがあれは孤島か水鳥かたいやきは腹から食べるにゃんこかな
水鳥のついばむ脚の長さかな平たか子
水鳥の影と波とのつづれ織高木音弥
光る朝水鳥笑う母と歩く徳田ヨーコ
水鳥やどこからどこへ行くのやら田頭晴美
水鳥よ褐色の山へ水給え鷹野みどり
水鳥や三羽の首の競い合い高橋ひろみこ
水鳥や小さき池に住み着きぬ高橋光加
空映る夢のうつつに浮寝鳥竹井龍天
群れはぐれ水鳥の波見えぬまで竹一
水鳥の求愛水草の甘し竹口ゆうこ
呼ばずとも集う水鳥人造湖竹八郎性
水鳥何羽大凡十羽の升目引く多胡蘆秋
父歩く川辺に飛べ水鳥よたじま
水鳥の離れた所に陽があたる多田ふみ
水鳥の群れに一羽の烏かな立葵
水鳥や互いの温さ知らず寝るダック
来るはずの水鳥もゐず青き空立野音思
水鳥の群るる湖ひとまわり蓼科嘉
すきっ歯で呼ぶ水鳥の背が黒い舘野まひろ
あさましく水かき続けよ水鳥よ立山はな子
水鳥の羽音のみ有り白昼夢田中玄華
風さけて水鳥湾にたまりをり田中ようちゃん
水鳥や水面境に静と動谷相まり子
水鳥や待たされし君語気強く田畑整
取水堰何を見張るか水鳥よ玉井瑞月
水鳥や岸に立つ吾に寄り来たる玉井令子
滑空する水鳥落ちよ銃が鳴るたまた
水鳥や波紋の彼方に顔を出したむこん
水鳥や水尾静かに溶けてゆき田村伊都
水鳥や水輪拡げし山の池たむらせつこ
汚水の水鳥蓮華のごとさやか田村モトエ
水鳥や滑る湖面に戸惑いてダメ男
ケルヴィン波たてる水鳥丸い胸千鳥城@広ブロ俳句部カナダ支部
夕闇に溶け込むように水鳥よ千葉睦女
水鳥の群れ木漏れ日の中踊るチャーリー・吉田
水鳥が一斉に飛び立つ爽快!ちやこ
遥かなるシベリア浮寝鳥の眼(まなこ)珍風伊潤
水鳥や近隣の似非プロブァンス月影キョロ
水鳥や散歩帰りも連なりて月城花風
禁漁区悠々群る浮寝鳥辻宝樹
水鳥や過去が希望と呼ばれをる辻内美枝子
川上へ水鳥点となりにけり津幡GEE
夜更かしの水鳥鳴きて闇を視る津本晶
プルタブのカチ水鳥は湖面剥ぐツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
水鳥の全員集合午後三時ツユマメ末っ子@8歳
水鳥よこの池だけは残ったな寺林凌
水鳥は競うキッチンカーには列苳
検疫のなき水鳥や天仰ぐ満天星
水鳥やがらんと池の静かなり徳庵
水鳥の翼の澄んだまま別れ独奏
水鳥よそこは遊泳禁止なりDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
水鳥や水面挟んで静と動どくだみ茶
水鳥や何はともあれすっからかんとだまゆみ
水鳥のねぐら足元に月冨川友香理
直径をゆたり測るや浮寝鳥友雪割豆
コロナ禍にも水鳥の足忙し豊川顕
水鳥や名店探して羽根休め豐田雄二郎
水鳥の遠まなざしやうすづく日直木葉子
水鳥の甘える首に君想う中川佐千子
あたりまえのように生きて浮寝鳥中川裕規
水鳥やつがいで描く二重丸中島葉月
黒い浜翔べぬ水鳥オイルフェンス中嶋京子
水鳥の思ひは知らず吾に寄る中島圭子
汚染池クチバシに糸浮寝鳥仲田蓮謙
水鳥や鶏百万羽殺処分中鉢矢的
水鳥を見下ろす子どもに風の刺す中村こゆき
水鳥よ今日も老女は感嘆す中山清充
予期不安水鳥の足痙攣す新
水鳥や静かに星を揺らしてる夏風かをる
水鳥や回天辿り瀬戸の夕夏雲ブン太
水鳥や奇襲果たせず返す闇夏湖乃
先頭の水鳥続くは母子かな夏目タンチャン
水鳥の遊ぶをじっと毘沙門天七歩
水鳥よりどりみどりのマコモ群浪速の蟹造
水鳥をひと日ベンチに見てる日も名計宗幸
水鳥や人より鳥の多き村名前のあるネコ
重力と浮力の間浮寝鳥奈良素数
直角の生垣のそば浮寝鳥新美妙子
風の中水鳥がまん強く浮くにいやのる
水鳥の水あけてをり1羽2羽西尾至史至雲
浮寝鳥ゆく艦隊の池となる西田月旦
水鳥の一団立ちて旋回す西原さらさ
一斉に陽光蹴立て水鳥が沼沢さとみ
波紋なく池の水鳥張り詰めるねがみともみ
向寒を告げる手紙や浮寝鳥ねぎみそ
水鳥や焼き立てパンはちぎらない猫ミシン@いつき組広ブロ俳句部
水鳥や鏡の中の空およぐ猫山竹
いざ生かん重油の星を水鳥と根津C太
大陸の湖を見た目水鳥の目根々雅水
フーコーの振り子を揺らす浮寝鳥涅槃girl
空の上湖面を探す水鳥よ寝ん猫
水鳥は今日を見送るために鳴く野井みこ
水鳥や消えるコインの種明かし野木編
水鳥へ朝日真っ直ぐそそぎけりのど飴
水鳥や光波散らして宙に発つ野中泰風
水鳥や荒城の堀濁りけりののr
水鳥や巣立つ子供や飛び立ちぬ野原風香
水鳥のガーネットめく射る瞳のりのみや
水鳥の寄りて離れて水輪かな則本久江
レンズ越し水鳥閑か息静か白庵
抱きしめれば温かいはず水鳥は橋本恵久子
外堀りの水鳥すいと弧を描く橋本なつみ
水鳥や鈍色の空溶けて行く馬笑
世を渡れ強く賢く水鳥よ蓮姫
水鳥の風にあらがひ羽広ぐ長谷川ろんろん
水鳥やダビンチの夢飛び潜る長谷島弘安
水鳥の馴染みの川辺ためらわず畑詩音
水鳥と相席土手の昼下がりパッキンマン
波まかせ風まかせなり浮寝鳥初野文子
水鳥に忘られし湖の虚ろかな花おうち
浮寝鳥何処に塒変えたやら花岡紘一
待ってたよ水鳥を見て話しかけ花岡浩美
水抜かる追われ水鳥今何処花岡淑子
水鳥の声畑仕事の腰伸ばす花咲みさき
水鳥はミョーホーレンゲキョー分つ花屋英利
水鏡雲に貼りつく浮寝鳥花結い
水鳥が二つに割れる朝陽に羽沖
水鳥がゆるりと進む昼下がり羽馬愚朗
釣り人や水鳥脅し帰りけり馬場勇至
片岸に吹き寄せらるる浮寝鳥浜けい
水禽の鳴き声のごとコメント欄浜崎直人
水鳥へ行列店のパンを撒くはむ
水鳥はお城下の池眺めをり林口さよ子
波紋広げそ知らぬ顔の浮き寝鳥林田りこ
人が密水鳥密の餌やり場林めぐみ
静かさや水鳥眠る朝まだき原善枝
水鳥のV字軌跡の交差かな原田民久
散歩道変えて水鳥の池めぐるharu.k
水鳥の羽音一羽に振り向けり葉るみ
水鳥を育む葦の誉れかなはるる
水鳥や大旋回追う小さき我ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
こんな世をゆらり生きたや浮寝鳥ひーちゃんw
水鳥の池まで軌跡遙かなり光源爺
浮寝鳥湖面の風のおもふままひぐちいちおう(一応)
水鳥の一羽離れて孤高の目樋口ひろみ
水鳥の何処吹く風を待たせてもひっそり静か
極東の水鳥来たる保全池一重
水鳥の着水描く澄んだ空一人ベランダ晩酌
お尻魅せ餌をついばむ水鳥よひなげし
水鳥も我もいつもの席にをりひなた和佳
水鳥や刻の波紋を消して浮くひな芙美子
逢瀬かと水鳥二羽に微笑んでひめりんご
水鳥の塊に指入れたくて猫詠たま
水鳥の軌跡しづかな朝の濠ひよこ
白き風水鳥群れて首を埋め平松一
鯉の背をよぎり水鳥なめらかに平本さち
水鳥の己が像見つ鏡池比良山
水鳥の一羽ひとかき墨絵ゆれ蛭本喜久枝
水鳥や私は出来るどんとこいひろ夢
水鳥や思うがままの水尾清し琵琶京子
丸まって月と添い寝の浮き寝鳥風泉
水鳥の姿も見えぬ川を行く風来坊
水鳥の波紋たおやか木のベンチ福ネコ
水鳥や水面たそがれ羽下にヒナ福弓
水鳥の飛来て去りて海光る藤井眞おん
パンくずで水鳥つどう古墳濠藤丘ひな子
浮寝鳥手伸ばす吾子の冷たき頬フジサキサオリ
水禽の彫刻窓辺で自粛す藤里玲咲
水鳥が集き日本を憂ふかな藤原訓子
水鳥やヒッチコック張りの餌付け船橋こまこ
水鳥を揺り動かせり細波文女
水鳥の鼻を埋める雨の夜や文月さな女
ベンチひとつ浅く腰かけ水鳥や古川シアン
乾山の皿の水面の水鳥よ古川宏子
水鳥の喧噪破る川鵜かな古澤久良
どこですか水鳥が行く故郷はヘッドホン
草を分け振る竿を越す水鳥や歩路岡丁隠
コロナ禍で肩身狭きか水鳥や星雅綺羅璃
水鳥や浮雲のごと日曜日ほしの有紀
水鳥や夕日に群れて水脈を引く星善之
テニスコート水鳥のV字飛行ほたる純子
水鳥の群れなき故郷を偲ぶ堀江弘子
水鳥の大群寄せて寄港せり盆暮れ正ガッツ
水鳥の濡れた足跡途切れたり香港ひこぞう
水鳥やポケットふたつ有り難き凡々
懸命に漕ぐ足見せず浮寝鳥本間美知子
欄干の水鳥七羽同位角ほんみえみねこ
水鳥は心地よい場所知つて居り梵庸子
飛び立てず水鳥交じる百鳥の群れ牧野敏信
瀬戸内の白き水鳥陽のかけらまこ@いつき組広ブロ俳句部
水鳥や流れの先に渦をまき眞熊
水鳥や湖面に映る白髪増えまこと(羽生誠)
水鳥やおなじたかさでうかびおりまこも
水鳥に絡むビニール脚細く眞さ野
水鳥を不死鳥にして夕日落つ雅喜
水鳥のいつも腹ぺこめく自由松井くろ
水鳥や涼しい顔で動く足松岡哲彦
外猫のヘルプ水鳥の羽毛を松島美絵
見た事を口止めされて浮寝鳥松野蘭
忽然と水鳥出でて堀の主松村貞夫
関節にかかる重力浮寝鳥松本みゆき
一羽だけ水鳥離れゆく水面松山のとまと
指差して水鳥の名を言ふ幼ままマリン
水鳥の傍ら君へ傘をさす真宮マミ
ぷかぷかり水鳥波と対話して真理庵
水鳥の声暗やみに羽ばたくか眞理子
水鳥や母は不死身じゃありません丸山隆子
みずとりや今舞い降りる旅を終え三浦下問
水鳥の羽休ませる宵の湖(うみ)三浦加容
水鳥の集まる川面五丁橋三浦ごまこ
光り射す水鳥羽色一変す三浦佐知子
やわらかなゼリイに揺れて浮寝鳥澪つくし
電車の音微かバシャンと水鳥みことのりこ
水鳥の波紋しづかに重なりぬ三茶F
水鳥や髭の画伯と語りをり岬夕顔
水鳥や月も地球も浮いている短夜の月
水鳥のひょんと潜るや葦静か三島瀬波
のの字描く水鳥水紋を追う美翠
お日様淡く孤水鳥寒我慢水乃江辰
悲しみは水紋になり水鳥啼く美月舞桜
水鳥や妻は二三歩先を行き満る
水鳥やひかりさざめく広瀬川みどり川
父祖の碑や水鳥四羽ねむたさうみなと
水鳥の声しみわたる水面かな湊かずゆき
水鳥よさぞや寝起きもよかろうなみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
水鳥の足跡記す転居先三宅剛
約束のこの地水鳥来たる朝みやざき白水
水鳥やみんな拝礼浮御堂宮重祐子
浮寝鳥水面日を受け虹色に宮地弓恵
水鳥や寄り添う波紋音もなく美山つぐみ
吾里や水鳥池も白一色深山涼水
水面(みなも)蹴り飛ぶ水鳥の戯れり宮村寿摩子
水鳥の子三羽母を追い越しぬ宮本象三
嘘を飲み嘘を纏ひて浮寝鳥ミラベル
群れ嫌ふ水鳥一羽きみに似てみわ吉
水鳥の脚がガチャガチャしてをりぬ眠兎
水鳥のごと馬のゲートを放たれり村上ふみえ
水鳥の家族のやうに到来す村松登音
水鳥の嘴先染むる茜空暝想華
浮寝鳥フィギュアの如く横切るやモコ
さざ波を繋ぎ水鳥風上へもつこ
水鳥や二十年目で初舞台本山喜喜
水鳥の番となりて離れざる桃香
水鳥や青き漁火遠くへと桃子ママ
水鳥や湖底に眠る村があり森佳月
水鳥は瞑想浮遊隅田川森毬子
水鳥や池面に刺さり餌を食み森の水車
水鳥を指し指し航る大根島八重葉
水鳥や潜るに合わせ息こらえ八木実
浮寝鳥あいりん地区の「詩集」かな山羊座の千賀子
遠ざかる水鳥の波紋母の不在痩女
水鳥数千バサバサバササー沼の朝山川芳明
朽ち果てし桟橋に立つ水鳥や山口香子
水鳥や水と戯れ禁猟区山口雀昭
在り在りと流るるままか浮寝鳥山口たまみ
みずどりよかの地偲ぶや池に波山崎鈴子
水鳥の残しし一片白き羽根山﨑菫久
水鳥の一羽によりて過疎の村山育ち
ねぐら立つ万羽の水鳥けふ始む山田啓子
手も足も冷たくないか水鳥や山野花子
水鳥のもぐりし跡の小さき渦山辺道児
水鳥や合格通知届く朝山村楓
朝霧にまだ覚めやらぬ浮寝鳥山本康
水鳥や五十半ばのリモートワーク山吉白米
灰色の水にも影よ水鳥よ雪だるま担
水鳥が岸に座っている理由雪乃
水鳥やくちは琵琶湖に尾は天にゆこ
水鳥の足のごと掻く思春期かゆりこ
水鳥のもぐる瞬間しり可愛い夜香
鏡面を揺らして蒼し水鳥の横山洋子
水鳥や闇夜かしまし歩を早め吉哉郎
水鳥の足忙しく動きをりよしこ
水鳥の目線の角度母と似てよしもとあけみ
トイプーに追われ飛んだか水鳥よよりこ
終い田に落とし物した水鳥だけ来知万郷
水鳥の脳天穿つ散弾銃羅蒐
水鳥の集う水面に浮かぶVりたちつ
湖にポツリ水鳥水面割る龍季
水鳥や波頭耀ふ海冥しルーミイ
アイドルも水鳥も皆同じ顔黎成
水鳥や尻向け半間ごとにゐる蓮花麻耶
水鳥の鳴声渡る銀河かな連雀
水流る仲睦まじき水鳥や六手
水鳥や沸き立つ靄へ着水すわかなけん
水鳥や富士へドクターイエローと若葉一家
水鳥や人の世界は嘘多し若林千影
水鳥や光る波間の影絵かな鷲野の菊
羽繕ひ水鳥の午後ゆるりかな渡辺陽子
水鳥を数え数えて太鼓橋渡邉わかな
水鳥や空挺降下しぶきなしゐのかたゆきを
水鳥よ眠りに来たかこの国へなんじゃもんじゃ
かはたれどき水面しずかや浮寝鳥安田美智子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 水鳥の こしかた 知らず 子が六羽はぐれびと
- 潜水艦 還らぬログや 死水鳥犬
- 水鳥に 餌投げる父 颯爽と石原直子
- 黒犬が 跳ねて歩く 白鷺の群れ茶花
- 水鳥に 二度吠えて止む 仔犬かな直マツリカ
- 父見取り 水鳥の白 こころさす入平宗京
- 浮寝鳥 君は孤独か この水面木の実
- 水鳥を 名残り振り向く 帰路の橋玲咲
- 水鳥や
四度の離婚
五度目の恋つきのひと - 水鳥や
父母と見たのは
幼き日介田佳子 - 憂き寝鳥
穏やか水面
過去の夢梶浦多見子 - 水鳥を
買ってとせがむ
幼な子よ春井とつき初心者 - 水鳥や
水を蹴り空
殴り天大紀直家 - くわっ くわっと
水鳥 姦し
川端 会議林里美
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なり
- 浮寝鳥のんびり出し霧の海橘明月子
- 水鳥のはく息白しもうもうと山川恵美子
- 水鳥も一人で過ごす年末年始お寺なでしこ
- 水上を走る水鳥春近し常無一念
- 水鳥の揺れて広がる冬紅葉石倉啓子
- 浮寝鳥羽音寒しボート池池愛子
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「水鳥」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●兼題とは?
- 流星は宇宙への旅冬の空はたのしげこ
- 露天風呂ぼかり浮かぶ孫の尻神田光一
- 木枯らしや永跡波みだれ海となる木村香津枝
○本サイトでは、毎回季語を出題しています。今回の兼題は「水鳥」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
●確かに鳥のことではあるが……
- 白鳥や飛来地にみる水蒸気今宿
- 鶴来るやコロナ禍自由に入国す原宣子
- 窓に水滴垂れ小鳥が笑うしずく土田耕平
- 息白し狙い定める白鷺の坂元正登
- コロナ禍の散歩おおぞら鷺飛行まっち
○確かに、鳥のことを詠んでいますが、「白鳥」「鶴」「小鳥」などはそれぞれ独立した季語になっています。歳時記を開いて、いつの季節の季語なのか確認してみましょう。歳時記と仲良くなるところから始めてみましょう。
12月の兼題「水鳥」は5507句ものご投句がありました!みなさま毎月ご投句いただき本当にありがとうございます。
天・地に入選された方にはささやかな賞典もご用意しておりますので、ふるってご投句くださいませ(編集部より)。